(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145510
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】コンクリート工事管理方法及びコンクリート工事管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241004BHJP
E04G 21/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/08
E04G21/00 ESW
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057895
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都築 正則
(72)【発明者】
【氏名】神代 泰道
(72)【発明者】
【氏名】堀田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛人
(72)【発明者】
【氏名】並木 憲司
(72)【発明者】
【氏名】山本 直輝
(72)【発明者】
【氏名】西田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小島 健司
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用する。
【解決手段】実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを説明変数とし、前記Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数とした関係式を作成することと、新たな実施済のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加Xデータが追加されたXデータを新たな説明変数とし、前記追加Xデータに対応する前記項目Yに関する追加Yデータが追加されたYデータを新たな目的変数として、前記関係式が更新された更新関係式を作成することと、前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する前記項目Yに関するYデータを予測することと、を行うコンクリート工事管理方法である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを説明変数とし、前記Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数とした関係式を作成することと、
新たな実施済のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加Xデータが追加されたXデータを新たな説明変数とし、前記追加Xデータに対応する前記項目Yに関する追加Yデータが追加されたYデータを新たな目的変数として、前記関係式が更新された更新関係式を作成することと、
前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する前記項目Yに関するYデータを予測することと、
を行うコンクリート工事管理方法。
【請求項2】
前記Xデータは、コンクリート荷卸し前のコンクリートプラントデータである、
請求項1に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項3】
前記Yデータは、コンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データ、又は、コンクリート強度試験データである、
請求項2に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項4】
前記Xデータは、コンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データ、コンクリート材齢データ、又は/及び、コンクリート強度試験データである、
請求項1又は2に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項5】
前記Yデータは、コンクリート強度試験データである、
請求項4に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項6】
前記Xデータは、前記コンクリート荷卸し試験データにおける外気温のデータである、
請求項5に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項7】
前記Yデータは、前記コンクリート強度試験データにおけるコンクリートの呼び強度に対する発現強度の比のデータである、
請求項6に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項8】
前記Xデータは、前記コンクリート材齢データである、
請求項5に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項9】
前記Xデータをコンクリート材齢データとし、前記Yデータをコンクリート強度試験データとして第1の前記更新関係式を作成し、
前記Xデータをコンクリート荷卸し試験データにおける外気温のデータとし、前記Yデータをコンクリート強度試験データにおけるコンクリートの呼び強度に対する発現強度の比のデータとして第2の前記更新関係式を作成し、
前記第1の更新関係式を、前記第2の前記更新関係式を用いて補正する、
請求項1に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項10】
前記1又は複数の項目Xに関するXデータを第1の条件で抽出した前記1又は複数の項目Xに関する抽出Xデータを説明変数とし、前記抽出Xデータに対応する項目Yに関する抽出Yデータを目的変数として、前記更新関係式を再更新することと、
前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する抽出Xデータに対応する前記項目Yに関する抽出Yデータを予測することと、
を行う請求項1に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項11】
前記1又は複数の項目Xに関する前記抽出Xデータを前記第1の条件とは異なる第2の条件で抽出した前記1又は複数の項目Xに関する追加抽出Xデータを新たな説明変数とし、前記追加抽出Xデータに対応する項目Yに関する追加抽出Yデータを新たな目的変数として、前記更新関係式を再更新することと、
前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加抽出Xデータに対応する前記項目Yに関する追加抽出Yデータを予測することと、
を行う請求項10に記載のコンクリート工事管理方法。
【請求項12】
実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを取得し、新たな実施済のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加Xデータを取得する取得部と、
前記Xデータを説明変数とし、前記Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数とした関係式を作成し、前記追加Xデータが追加されたXデータを新たな説明変数とし、前記追加Xデータに対応する前記項目Yに関する追加Yデータが追加されたYデータを新たな目的変数として、前記関係式を更新する演算部と、
を有し、
前記演算部は、前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する前記項目Yに関するYデータを予測する、
コンクリート工事管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート工事管理方法及びコンクリート工事管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート工事におけるコンクリートの調合、荷卸し試験結果、強度試験結果等が記載されたコンクリートの各種書類は、例えば、紙ベースで作成され保存されている。このため、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データは、コンクリート工事毎に個別に保存されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートの品質管理のために活用することは困難であり、当該コンクリートの品質管理は、もっぱら工事担当者の経験に依存していた。
【0005】
本発明は、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの実施形態は、実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを説明変数とし、前記Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数とした関係式を作成することと、新たな実施済のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加Xデータが追加されたXデータを新たな説明変数とし、前記追加Xデータに対応する前記項目Yに関する追加Yデータが追加されたYデータを新たな目的変数として、前記関係式が更新された更新関係式を作成することと、前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する前記項目Yに関するYデータを予測することと、を行うコンクリート工事管理方法である。
【0007】
本発明の幾つかの実施形態は、実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを取得し、新たな実施済のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加Xデータを取得する取得部と、前記Xデータを説明変数とし、前記Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数とした関係式を作成し、前記追加Xデータが追加されたXデータを新たな説明変数とし、前記追加Xデータに対応する前記項目Yに関する追加Yデータが追加されたYデータを新たな目的変数として、前記関係式を更新する演算部と、を有し、前記演算部は、前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する前記項目Yに関するYデータを予測する、コンクリート工事管理システムである。
【0008】
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の幾つかの実施形態によれば、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態のコンクリート工事管理システム100の説明図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のコンクリート工事管理サーバー10の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のコンクリート工事管理手順のフロー図である。
【
図4】
図4は、コンクリートプラントデータの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、コンクリート荷卸し試験データの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、コンクリート強度試験データの一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、Aセメントを使用したコンクリートにおける荷卸し時の外気温と強度比との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、Bセメントを使用したコンクリートにおける荷卸し時の外気温と強度比との関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は、Cセメントを使用したコンクリートにおける荷卸し時の外気温と強度比との関係を示すグラフである。
【
図10】
図10は、Aセメントを使用したコンクリートにおける強度発現性状を示すグラフである。
【
図11】
図11は、Bセメントを使用したコンクリートにおける強度発現性状を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを説明変数とし、前記Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数とした関係式を作成することと、新たな実施済のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加Xデータが追加されたXデータを新たな説明変数とし、前記追加Xデータに対応する前記項目Yに関する追加Yデータが追加されたYデータを新たな目的変数として、前記関係式が更新された更新関係式を作成することと、前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する前記項目Yに関するYデータを予測することと、を行うコンクリート工事管理方法が明らかとなる。
【0013】
このようなコンクリート工事管理方法によれば、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0014】
前記Xデータは、コンクリート荷卸し前のコンクリートプラントデータである、ことが望ましい。
【0015】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0016】
前記Yデータは、コンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データ、又は、コンクリート強度試験データである、ことが望ましい。
【0017】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0018】
前記Xデータは、コンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データ、コンクリート材齢データ、又は/及び、コンクリート強度試験データである、ことが望ましい。
【0019】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0020】
前記Yデータは、コンクリート強度試験データである、ことが望ましい。
【0021】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0022】
前記Xデータは、前記コンクリート荷卸し試験データにおける外気温のデータである、ことが望ましい。
【0023】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0024】
前記Yデータは、前記コンクリート強度試験データにおけるコンクリートの呼び強度に対する発現強度の比のデータである、ことが望ましい。
【0025】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0026】
前記Xデータは、前記コンクリート材齢データである、ことが望ましい。
【0027】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0028】
前記Xデータをコンクリート材齢データとし、前記Yデータをコンクリート強度試験データとして第1の前記更新関係式を作成し、前記Xデータをコンクリート荷卸し試験データにおける外気温のデータとし、前記Yデータをコンクリート強度試験データにおけるコンクリートの呼び強度に対する発現強度の比のデータとして第2の前記更新関係式を作成し、前記第1の更新関係式を、前記第2の前記更新関係式を用いて補正する、ことが望ましい。
【0029】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0030】
前記1又は複数の項目Xに関するXデータを第1の条件で抽出した前記1又は複数の項目Xに関する抽出Xデータを説明変数とし、前記抽出Xデータに対応する項目Yに関する抽出Yデータを目的変数として、前記更新関係式を再更新することと、前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する抽出Xデータに対応する前記項目Yに関する抽出Yデータを予測することと、を行うことが望ましい。
【0031】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、所望の項目で容易に整理しつつ、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0032】
前記1又は複数の項目Xに関する前記抽出Xデータを前記第1の条件とは異なる第2の条件で抽出した前記1又は複数の項目Xに関する追加抽出Xデータを新たな説明変数とし、前記追加抽出Xデータに対応する項目Yに関する追加抽出Yデータを新たな目的変数として、前記更新関係式を再更新することと、前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加抽出Xデータに対応する前記項目Yに関する追加抽出Yデータを予測することと、を行うことが望ましい。
【0033】
これにより、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、所望の項目で容易に整理しつつ、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0034】
実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを取得し、新たな実施済のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加Xデータを取得する取得部と、前記Xデータを説明変数とし、前記Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数とした関係式を作成し、前記追加Xデータが追加されたXデータを新たな説明変数とし、前記追加Xデータに対応する前記項目Yに関する追加Yデータが追加されたYデータを新たな目的変数として、前記関係式を更新する演算部と、を有し、前記演算部は、前記更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する前記項目Yに関するYデータを予測する、コンクリート工事管理システムが明らかとなる。
【0035】
このようなコンクリート工事管理システムによれば、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。
【0037】
===本実施形態===
<概要>
図1は、本実施形態のコンクリート工事管理システム100の説明図である。
【0038】
コンクリート工事管理システム100は、コンクリート工事におけるコンクリートの品質管理を行うためのシステムである。コンクリート工事管理システム100は、プラント担当者用端末1と、工事担当者用端末2と、コンクリート工事管理サーバー10と、工事担当者用端末30とを有する。
【0039】
プラント担当者用端末1は、
図1に示されるように、コンクリートプラントにおけるコンクリート荷卸し前のコンクリートプラントデータを入力し、コンクリート工事管理サーバー10に送信するための端末である。本実施形態のコンクリート工事管理システム100では、プラント担当者用端末1は、パーソナルコンピュータである。但し、プラント担当者用端末1は、スマートフォンや、タブレット型の携帯端末であっても良い。プラント担当者用端末1は、不図示のCPU、メモリ、記憶装置、通信モジュール、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)、入力装置(例えば、キーボードやマウス)等のハードウェアを備えている。
【0040】
工事担当者用端末2は、
図1に示されるように、実施済のコンクリート打設現場における、コンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データや、コンクリート強度試験データを入力し、コンクリート工事管理サーバー10に送信するための端末である。本実施形態のコンクリート工事管理システム100では、工事担当者用端末2は、パーソナルコンピュータである。但し、工事担当者用端末2は、スマートフォンや、タブレット型の携帯端末であっても良い。工事担当者用端末2は、不図示のCPU、メモリ、記憶装置、通信モジュール、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)、入力装置(例えば、キーボードやマウス)等のハードウェアを備えている。
【0041】
コンクリート工事管理サーバー10は、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを取得し、演算処理を行うことにより、実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを予測するための装置である。具体的には、コンクリート工事管理サーバー10は、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データに基づいて関係式を作成する処理を行う(後述する
図3のS003)。また、コンクリート工事管理サーバー10は、新たな実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データに基づいて、当該関係式が更新された更新関係式を作成する処理を行う(後述する
図3のS006)。さらに、コンクリート工事管理サーバー10は、当該更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事のコンクリートに関する各種データを予測する処理を行う(後述する
図3のS008)。
【0042】
本実施形態のコンクリート工事管理システム100では、コンクリート工事管理サーバー10の不図示の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、コンクリート工事管理サーバー10における上述した各種処理の実行が可能になる。コンクリート工事管理サーバー10は、例えばサーバー等のコンピュータであり、演算装置(CPU等)、メモリ、記憶装置、通信装置等で構成されている。記憶装置には、コンクリート工事管理サーバー10が実行する上述した各種処理に係るプログラムや各種のデータが記憶されている。
【0043】
演算装置が記憶装置に記憶されているプログラムをメモリに読み出して実行することにより、コンクリート工事管理サーバー10における上述した各種処理が実行される。なお、コンクリート工事管理サーバー10は、複数のコンピュータを含んでいても良い。そして、ネットワークを介した当該複数のコンピュータの協働により、コンクリート工事管理サーバー10における上述した各種処理が実行されても良い。
【0044】
図1に示されるコンクリート工事管理システム100では、コンクリート工事管理サーバー10は、一つの実施済のコンクリート工事において使用される端末と通信ネットワークを介して接続されている。ここでの「一つの実施済のコンクリート工事において使用される端末」は、
図1に示されるコンクリート工事管理システム100では、コンクリートプラントにおけるプラント担当者用端末1や、コンクリート打設現場における工事担当者用端末2である。また、「通信ネットワーク」は、例えばインターネット、無線通信網、電話回線網、LAN、VAN等である。但し、コンクリート工事管理サーバー10は、多数の実施済のコンクリート工事において使用される端末と通信ネットワークを介して接続され、多数の実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを取得することができる。
【0045】
なお、コンクリート工事管理サーバー10は、教師あり学習を行っても良い。ここで、「教師あり学習」とは、事前に与えられているデータから人工知能がパターン等を認識し、新たにインプットされたデータに対しても予測を行うことを可能とする機械学習である。教師あり学習により得られた学習済みモデルによる人工知能が高い精度の予測を行うためには、相応の情報量を有する教師データが必要である。言い換えると、人工知能の教師あり学習に用いられる教師データが多ければ多いほど、人工知能の予測の信頼性は高くなる。コンクリート工事管理サーバー10は、多数の実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを取得し、教師あり学習を行うことができる。
【0046】
コンクリート工事管理システム100は、プラント担当者用端末1及び工事担当者用端末2の少なくともいずれかを有さなくても良い。この場合、コンクリート工事管理サーバー10は、入力装置(例えば、キーボードやマウス)を有し、当該入力装置を介して実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データが直接入力されても良い。
【0047】
工事担当者用端末30は、
図1に示されるように、実施予定のコンクリート打設現場において、コンクリート工事管理サーバー10によって予測された実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを表示するための端末である。本実施形態のコンクリート工事管理システム100では、工事担当者用端末30は、パーソナルコンピュータである。但し、工事担当者用端末30は、スマートフォンや、タブレット型の携帯端末であっても良い。工事担当者用端末30は、不図示のCPU、メモリ、記憶装置、通信モジュール、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)、入力装置(例えば、キーボードやマウス)等のハードウェアを備えている。
【0048】
工事担当者用端末30は、コンクリート工事管理サーバー10と通信ネットワークを介して接続されている。なお、コンクリート工事管理システム100は、工事担当者用端末30を有さなくても良い。この場合、コンクリート工事管理サーバー10は、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)を有し、当該表示装置を介して実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データが直接表示されても良い。
【0049】
コンクリート工事管理サーバー10は、
図1に示されるように、プラント担当者用端末1を介してコンクリート荷卸し前のコンクリートプラントデータを取得する。コンクリートプラントデータは、コンクリートプラントにおいて生成された段階(具体的には、納品時)におけるコンクリートの納品データである。コンクリートプラントデータは、例えば、後述するように、コンクリートの採取日、プラント名、呼び強度や、コンクリートの調合等に関するデータである。
【0050】
また、コンクリート工事管理サーバー10は、
図1に示されるように、工事担当者用端末2を介してコンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データを取得する。コンクリート荷卸し試験データは、コンクリート打設現場でコンクリートを荷卸した段階(すなわち、荷卸し時)におけるコンクリートの荷卸し試験のデータである。コンクリート荷卸し試験データは、例えば、後述するように、コンクリートの荷卸し時の外気温、コンクリート温度、空気量等に関するデータである。
【0051】
さらに、コンクリート工事管理サーバー10は、
図1に示されるように、工事担当者用端末2を介してコンクリート強度試験データを取得する。コンクリート強度試験データは、コンクリート打設現場におけるコンクリートの強度試験のデータである。コンクリート強度試験データは、例えば、後述するように、コンクリートの7日強度、28日強度等に関するデータである。
【0052】
コンクリート工事管理サーバー10は、コンクリートプラントデータ,コンクリート荷卸し試験データ及びコンクリート強度試験データのうち、一部のデータのみ取得しても良く、例えば、コンクリートプラントデータのみ取得しても良い。
【0053】
また、コンクリート工事管理サーバー10は、上述したコンクリートプラントデータ、コンクリート荷卸し試験データやコンクリート強度試験データ以外の、コンクリートに関するデータを取得しても良い。コンクリート工事管理サーバー10は、例えば、コンクリート打設現場におけるコンクリートの材齢データ(コンクリート材齢データ)を取得しても良い。なお、コンクリート材齢データは、コンクリート強度試験データの一部であっても良い。
【0054】
ところで、従来では、コンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データが記載されたコンクリートの各種書類は、例えば、紙ベースで作成され保存されている。このため、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データは、コンクリート工事毎に個別に保存されることになり、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートの品質管理のために活用することは困難となる。
【0055】
実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データが活用されない場合、コンクリート工事におけるコンクリートの品質管理は、もっぱら工事担当者の経験に依存することになる。このため、実施予定のコンクリート工事において、コンクリートの品質の予測の精度が低くなってしまうことがある。
【0056】
そこで、本実施形態では、コンクリート工事管理サーバー10によって、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。コンクリート工事管理サーバー10は、具体的には、取得した実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを用いて演算処理を行うことにより、所定の関係式(後述する更新関係式)を作成し、当該所定の関係式のデータを記録部(後述する記録部15)に保存する。そして、コンクリート工事管理サーバー10は、当該所定の関係式を当該記録部から読み出し、当該所定の関係式に基づいて実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを予測することができる。工事担当者は、後述する工事担当者用端末30を介して、予測された各種データを確認することにより、実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートの品質管理を精度良く行うことができる。
【0057】
<機能>
図2は、本実施形態のコンクリート工事管理サーバー10の機能ブロック図である。
【0058】
コンクリート工事管理サーバー10は、取得部11と、演算部12と、記録部15と、表示部16とを有する。
【0059】
取得部11は、コンクリート工事管理サーバー10のうち、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを取得する部位(機能)である。実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データは、上述したように、コンクリートプラントにおけるコンクリート荷卸し前のコンクリートプラントデータや、コンクリート打設現場におけるコンクリート打設現場データである。コンクリートプラントデータは、例えば、コンクリートの納品データであり、コンクリート打設現場データは、例えば、コンクリート荷卸し試験データや、コンクリート材齢データや、コンクリート強度試験データである。
【0060】
演算部12は、コンクリート工事管理サーバー10のうち、取得した実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを用いて演算処理を行うことにより、所定の関係式(後述する更新関係式)を作成する部位(機能)である。また、演算部12は、当該所定の関係式に基づいて、実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートに関する予測データを保存する。
【0061】
演算部12は、関係式作成部13と、関係式更新部14とを有する。
【0062】
関係式作成部13は、演算部12のうち、関係式を作成する部位(機能)である。当該関係式は、実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを説明変数とし、Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数としている。関係式作成部13は、当該関係式を作成し、記録部15に保存する。
【0063】
関係式更新部14は、演算部12のうち、当該関係式が更新された更新関係式を作成する部位(機能)である。当該更新関係式は、新たな実施済のコンクリート工事の前記1又は複数の項目Xに関する追加Xデータが追加されたXデータを新たな説明変数とし、追加Xデータに対応する項目Yに関する追加Yデータが追加されたYデータを新たな目的変数としている。関係式更新部14は、さらに、当該更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する項目Yに関するYデータを予測し、予測されたYデータを記録部15に保存する。
【0064】
なお、上述した関係式作成部13と、関係式更新部14とは、便宜上2つの部位(機能)に分けて説明したが、演算部12のうちの1つの部位(機能)が、関係式作成部13及び関係式更新部14の機能を有していても良い。また、上述したXデータ及びYデータや、追加Xデータ及び追加Xデータに関する具体例については、後述する。
【0065】
記録部15は、コンクリート工事管理サーバー10のうち、関係式作成部13で作成された関係式のデータや、関係式更新部14で作成された更新関係式のデータ等が記録される部位(機能)である。なお、不図示であるが、記録部15は、取得部11によって取得された実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データが記録されても良い。
【0066】
表示部16は、コンクリート工事管理サーバー10のうち、関係式作成部13で作成された関係式のデータや、関係式更新部14で作成された更新関係式のデータを外部の表示装置(例えば、工事担当者用端末30)に出力するための部位(機能)である。また、表示部16は、関係式更新部14が予測した実施予定のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する項目Yに関するYデータを外部の表示装置に出力する。表示部16は、記録部15から当該更新関係式や、予測されたYデータを読み出し、外部の表示装置に出力する指令を送信する。なお、不図示であるが、表示部16によって、取得部11が取得した実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データが外部の表示装置に表示されても良い。
【0067】
<コンクリート工事管理手順のフロー>
図3は、本実施形態のコンクリート工事管理手順のフロー図である。
【0068】
まず、コンクリート工事管理サーバー10は、実施済のコンクリート工事で用いられるコンクリートが生成されるコンクリートプラントおける、コンクリートプラントデータを取得する(S001)。本実施形態のコンクリート工事管理手順では、プラント担当者によってプラント担当者用端末1にコンクリートプラントにおけるコンクリート荷卸し前のコンクリートプラントデータが入力される。そして、当該コンクリートプラントデータはコンクリート工事管理サーバー10に送信されることで、コンクリート工事管理サーバー10は、コンクリートプラントデータを取得することができる。
【0069】
図4は、コンクリートプラントデータの一例を示す説明図である。
【0070】
コンクリートプラントデータは、上述したように、コンクリートプラントにおいて生成された段階(具体的には、納品時)におけるコンクリートの納品データである。コンクリートプラントデータは、例えば、
図4に示されるように、コンクリートの採取日、プラント名、セメント会社、種類、呼び強度等に関するデータがテーブル形式で構成されており、例えばCSV形式やJSON形式等のファイル形式にて記録部15に保存されている。
【0071】
次に、コンクリート工事管理サーバー10は、実施済のコンクリート工事のコンクリート打設現場における、コンクリート打設現場データを取得する(S002)。本実施形態のコンクリート工事管理手順では、工事担当者によって工事担当者用端末2に実施済のコンクリート工事のコンクリート打設現場におけるコンクリート打設現場データが入力される。そして、当該コンクリート打設現場データはコンクリート工事管理サーバー10に送信されることで、コンクリート工事管理サーバー10は、コンクリート打設現場データを取得することができる。
【0072】
図5は、コンクリート荷卸し試験データの一例を示す説明図である。
図6は、コンクリート強度試験データの一例を示す説明図である。
【0073】
コンクリート打設現場データは、例えば、コンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データや、コンクリート材齢データや、コンクリート強度試験データである。コンクリート荷卸し試験データは、例えば、
図5に示されるように、コンクリート荷卸し試験の試験日、工事名、種類、外気温、コンクリート温度、空気量等に関するデータがテーブル形式で構成されており、例えばCSV形式やJSON形式等のファイル形式にて記録部15に保存されている。また、コンクリート強度試験データは、例えば、
図6に示されるように、コンクリート強度試験に用いられるコンクリート供試体の採取日、工事名、種類、7日強度、28日強度等に関するデータがテーブル形式で構成されており、例えばCSV形式やJSON形式等のファイル形式にて記録部15に保存されている。
【0074】
次に、コンクリート工事管理サーバー10は、取得した実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを用いて演算処理を行うことにより、関係式を作成する(S003)。本実施形態のコンクリート工事管理手順では、演算部12の関係式作成部13が、実施済のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータを説明変数とし、Xデータに対応する項目Yに関するYデータを目的変数とする当該関係式を作成する。
【0075】
例えば、取得した実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データのうち、コンクリートプラントデータの呼び強度のデータをXデータ(説明変数)とし、コンクリート強度試験データの28日強度のデータをYデータ(目的変数)とする。この場合、演算部12の関係式作成部13は、呼び強度と28日強度との関係を表す関係式を作成する。ここで、説明変数とされるXデータは、1つの項目に限られず、複数の項目であっても良い。例えば、コンクリートプラントデータのプラント名及び呼び強度のデータをXデータ(説明変数)としても良い。
【0076】
次に、コンクリート工事管理サーバー10は、新たな実施済のコンクリート工事で用いられるコンクリートが生成されるコンクリートプラントおける、コンクリートプラントデータを取得する(S004)。また、コンクリート工事管理サーバー10は、新たな実施済のコンクリート工事のコンクリート打設現場における、コンクリート打設現場データを取得する(S005)。そして、コンクリート工事管理サーバー10は、取得した新たな実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、S001及びS002で取得した各種データに追加した上で演算処理を行うことにより、当該関係式が更新された更新関係式を作成する(S006)。
【0077】
本実施形態のコンクリート工事管理手順では、新たな実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを追加して演算処理を行うことにより、実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データの予測を精度良く行うことができる。
【0078】
本実施形態のコンクリート工事管理手順では、さらに新たな実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを追加して演算処理を行うことにより、更新関係式を再更新しても良い。更新関係式の更新が終了した(S007:YES)場合に、実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データの予測を行う(S008)。
【0079】
コンクリート工事管理サーバー10は、具体的には、当該更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する項目Yに関するYデータを予測し、予測されたYデータを記録部15に保存する。当該更新関係式が、呼び強度と28日強度との関係を表す式である場合、コンクリート工事管理サーバー10は、記録部15に保存された当該更新関係式を読み出し、実施予定のコンクリート工事の所定の呼び強度に対応する28日強度の予測値を出力することができる。
【0080】
本実施形態のコンクリート工事管理手順では、Xデータを第1の条件(例えば、呼び強度が40以上)で抽出した抽出Xデータを説明変数とし、当該抽出Xデータに対応する抽出Yデータを目的変数として、更新関係式を再更新することもできる。さらに、本実施形態のコンクリート工事管理手順では、Xデータを第1の条件とは異なる第2の条件(例えば、異なる種類のコンクリートを使用した場合)で抽出した抽出Xデータを説明変数とし、当該抽出Xデータに対応する抽出Yデータを目的変数として、更新関係式を再更新することもできる。
【0081】
これにより、項目別の(例えば、呼び強度別や種類別の)更新関係式を用いて、実施予定のコンクリート工事の1又は複数の項目Xに関するXデータに対応する項目Yに関するYデータを予測することができる。なお、本実施形態のコンクリート工事管理手順では、CSV形式やJSON形式等のファイル形式にて保存された各種データを活用できるため、所望の項目で容易に整理することができる。
【0082】
本実施形態のコンクリート工事管理手順では、上述したように、実施済のコンクリート工事におけるコンクリートに関する各種データを、実施予定のコンクリート工事のために有効に活用することができる。そして、実施予定のコンクリート工事におけるコンクリートの品質管理を精度良く行うことができる。
【0083】
コンクリート工事管理手順では、Xデータ(説明変数)を、コンクリート荷卸し前のコンクリートプラントデータをとし、Yデータ(目的変数)を、コンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データ、又は、コンクリート強度試験データをとすることができる。
【0084】
コンクリート工事管理手順では、Xデータ(説明変数)を、コンクリート荷卸し時のコンクリート荷卸し試験データ、コンクリート材齢データ、又は/及び、コンクリート強度試験データをとすることができる。また、Yデータ(目的変数)を、コンクリート強度試験データをとすることもできる。
【0085】
以下では、上述したXデータ及びYデータと、当該関係式との具体例を
図7~
図9を用いて説明する。
【0086】
図7は、Aセメントを使用したコンクリートにおける荷卸し時の外気温と強度比との関係を示すグラフである。
図8は、Bセメントを使用したコンクリートにおける荷卸し時の外気温と強度比との関係を示すグラフである。
図9は、Cセメントを使用したコンクリートにおける荷卸し時の外気温と強度比との関係を示すグラフである。ここで、「強度比」とは、コンクリートの呼び強度に対する発現強度(28日強度)の比である。
【0087】
図7~
図9に示される具体例では、Xデータ(説明変数)を、コンクリート荷卸し試験データにおける外気温のデータとし、Yデータを(目的変数)を、コンクリート強度試験データにおけるコンクリートの呼び強度に対する発現強度(28日強度)の比のデータとしている。
図7~
図9では、Xデータに対応するYデータの値を、○印にてプロットし、当該更新関係式として求められた回帰式を、実線のグラフにて示している。
【0088】
図7~
図9は、ある実施済のコンクリート工事のコンクリート打設現場におけるコンクリートの強度比(ここでは、コンクリートの呼び強度に対する発現強度の比)をセメント種類毎に示したものである。
図7~
図9に示されるように、コンクリートの荷卸し時の外気温が高くなるほど、コンクリートの呼び強度に対する発現強度が小さくなる傾向を示すことがわかる。つまり、
図7~
図9に示される更新関係式を用いることにより、コンクリートの荷卸し時の所定の外気温に対する強度比を予測することができる。
【0089】
なお、コンクリート強度試験において、コンクリート供試体は現場で採取され、翌日または翌々日に20℃に管理された水槽で水中養生(すなわち、標準養生)される。つまり、コンクリート供試体はほぼ20℃の環境下であるが、この図から、28日強度が養生初期の気温に影響されていることがわかる。特に、
図8に示されるように、Bセメントを使用したコンクリートにおいては、外気温による影響が他のコンクリートの種類よりも大きいことがわかる。
【0090】
以下では、上述したXデータ及びYデータと、当該関係式との別の具体例を
図10及び
図11を用いて説明する。
【0091】
図10は、Aセメントを使用したコンクリートにおける強度発現性状を示すグラフである。
図11は、Bセメントを使用したコンクリートにおける強度発現性状を示すグラフである。
【0092】
図10及び
図11に示される具体例では、Xデータ(説明変数)を、コンクリート材齢データとし、Yデータを(目的変数)を、コンクリート強度試験データとしている。
図7~
図9では、Xデータに対応するYデータの値を、○印にてプロットし、当該更新関係式として求められた回帰式を、実線のグラフにて示している。
【0093】
図10及び
図11では、第3者試験機関による試験結果(破線に示されるグラフ)を用いて、強度発現性を確認することができる。
図10及び
図11は、ある実施済のコンクリート工事のコンクリート打設現場におけるコンクリート強度発現を示したものある。
図10は、Aセメントを使用したコンクリートの強度発現性状を示し、
図11は、Bセメントを使用したコンクリートの強度発現性状を示したものである。
【0094】
図10A及び
図11AにおけるX軸を材齢、
図10B,
図10C,
図11B及び
図11CにおけるX軸を有効材齢として示している。ここで、有効材齢については荷卸し時の外気温を考慮した材齢である。また,
図7~
図9に示されるように、荷卸し時のコンクリート温度が高いほど、強度発現が小さくなることから、荷卸し時のコンクリート温度によりコンクリートのポテンシャル強度が変わると仮定し、
図10C及び
図11Cでは、コンクリート温度による係数を考慮している。
図10及び
図11に示されるように、外気温やコンクリート温度を考慮することで材齢と強度発現に関する関係式の寄与率(=R
2)が大きくなることが確認された。
【0095】
したがって、
図10A及び
図11Aに示される例では、Xデータをコンクリート材齢データとし、Yデータをコンクリート強度試験データとして第1の更新関係式を作成している。一方、上述した
図7~
図9に示される例では、Xデータをコンクリート荷卸し試験データにおける外気温のデータとし、Yデータをコンクリート強度試験データにおけるコンクリートの呼び強度に対する発現強度の比のデータとして第2の更新関係式を作成している。そして、
図10C及び
図11Cでは、当該第1の更新関係式を、当該第2の前記更新関係式を用いて補正した更新関係式となる。
【0096】
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0097】
1 プラント担当者用端末
2 工事担当者用端末
10 コンクリート工事管理サーバー
11 取得部
12 演算部
13 関係式作成部
14 関係式更新部
15 記録部
16 表示部
30 工事担当者用端末
100 コンクリート工事管理システム