(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145511
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】水中測定機器
(51)【国際特許分類】
G01N 21/15 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G01N21/15
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057897
(22)【出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 4年11月30日リファレンス駅東ビル(福岡県福岡市博多区博多駅東1丁目16-14)において開催されたJFEアドバンテック株式会社海岸・河川事業部「九州製品技術セミナー」で発表
(71)【出願人】
【識別番号】390000011
【氏名又は名称】JFEアドバンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】倉田 雅美
(72)【発明者】
【氏名】錦澤 徹
(72)【発明者】
【氏名】長澤 泰宏
【テーマコード(参考)】
2G057
【Fターム(参考)】
2G057AA02
2G057AA04
2G057AA10
2G057AB02
2G057AC01
2G057JA00
(57)【要約】
【課題】
効果的な生物・無生物付着防止効果を長期間に渡って維持し得る水中測定機器を提供する。
【解決手段】
水中測定機器1は、水中に投入される機器本体2の台座部2bに設けられ、測定に関連する検出を行う検出部11と、台座部2bに設けられて検出部11を払掃して機械的に清掃する払掃部15と、台座部2bに向けてUVC光を照射するUVC光照射部3とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に投入される機器本体の台座部に設けられ、測定に関連する検出を行う検出部と、
前記台座部に設けられ、前記検出部を払掃して機械的に清掃する払掃部と、
前記台座部に向けてUVC光を照射するUVC光照射部と
を備える、水中測定機器。
【請求項2】
前記UVC光照射部は、前記検出部と前記払掃部が備える駆動部とのうちの少なくとも一方に向けて前記UVC光を照射する請求項1に記載の水中測定機器。
【請求項3】
前記台座部に設けられ、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を前記台座部に向けて反射する反射部を備える、請求項1又は2に記載の水中測定機器。
【請求項4】
前記反射部は、前記台座部のうち前記UVC光照射部からの前記UVC光が直接照射されない部分に向けて前記UVC光を反射する、請求項3に記載の水中測定機器。
【請求項5】
前記反射部は、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を前記UVC光照射部に向けて反射する、請求項3に記載の水中測定機器。
【請求項6】
前記反射部に少なくとも1つの開口部が設けられている、請求項3に記載の水中測定機器。
【請求項7】
前記反射部は、前記台座部を少なくとも部分的に囲むように設けられている、請求項3に記載の水中測定機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中測定機器に関する。
【背景技術】
【0002】
水中のクロロフィル、濁度、溶存酸素、塩分等を測定する水質測定機器を含む水中測定機器では、海洋や河川への浸漬が長期間に渡ると、1週間程度で検出部に貝類等の生物や無生物である泥、有機物等が付着し、測定値に影響を及ぼす場合がある。
【0003】
特許文献1には化学的に生物が嫌忌する物質を塗布して生物付着を防止する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2,3には、検出部をブレードやブラシで払掃して付着した生物や無生物を機械的に除去する払掃装置を備えた水質測定機器が開示されている。
【0005】
さらに、深紫外線(UVC)を照射することで生物付着を防止できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7168278号
【特許文献2】特許第3899352号
【特許文献3】特許第6851343号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されているような生物嫌忌物質の塗布については、このような物質は測定値そのものに影響を生じるので検出部に直接塗布することができず、検出部の周辺に塗布する必要があるため、生物付着防止効果が限定的である。
【0008】
特許文献2,3に開示されているような払掃装置の場合、払掃範囲内の付着物を機械的に除去するため、生物・無生物に関わらず、付着による汚れの防止効果が非常に高いことが知られている。しかし,払掃範囲外,特にブレード等の駆動部に生物が付着すると払掃装置の動作に異常が生じ始める。また、ブレード等そのものにも生物が付着して測定値に影響が生じるため、1ヶ月以上の長期測定は困難な場合がある。
【0009】
一方、水質測定機器にUVC照射装置を採用した場合、生物付着が生物学的に防止される。しかし,払掃装置と比較すると、そもそも無生物付着防止効果はない、生物付着防止効果を得るためにUVC光照射時間を長くすれば水質測定機器の消費電力も大きくなり、内蔵電源で連続動作させる際の観測期間が短くなってしまうといったデメリットがある。さらに、照射光の影となる箇所には十分な効果が得られない。測定水域に濁り等の光が減衰する要因があると、UVC照射装置と検出部の間でUVC光が減衰し、生物付着防止機能が低下する。このため、UVC照射だけでは付着防止効果が不足する場合がある。
【0010】
以上のように、従来の水中測定機器では、効果的な生物・無生物付着防止効果を長期間に渡って維持することは困難である。
【0011】
本発明は、効果的な生物・無生物付着防止効果を長期間に渡って維持し得る水中測定機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、水中に投入される機器本体の台座部に設けられ、測定に関連する検出を行う検出部と、前記台座部に設けられ、前記検出部を払掃して機械的に清掃する払掃部と、前記台座部に向けてUVC光を照射するUVC光照射部とを備える、水中測定機器を提供する。
【0013】
検出部へ付着した生物・無生物は払掃部による払掃によって直接的に除去される。また、UVC光照射部からUVC光が照射されることで、台座部への生物の付着が防止ないし抑制される。払掃部による生物・無生物の機械的な除去とUVC光の照射による生物付着の防止ないし抑制の相乗効果により、効果的な生物・無生物付着防止を長期間に渡って維持し得る。
【0014】
前記UVC光照射部は、前記検出部と前記払掃部が備える駆動部とのうちの少なくとも一方に向けて前記UVC光を照射してもよい。
【0015】
UVC光照射部から照射されるUVC光によっても検出部への生物付着が防止ないし抑制される。また、UVC光照射部から照射されるUVC光により駆動部への生物付着が防止ないし抑制されるので、生物付着によって払掃部が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。
【0016】
前記台座部に設けられ、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を前記台座部に向けて反射する反射部を備えてもよい。
【0017】
UVC光照射部から照射されて反射部で反射されたUVC光によっても台座部への生物付着が防止ないし抑制されるので、台座部への生物付着をより効果的に防止ないし抑制できる。
【0018】
前記反射部は、前記台座部のうち前記UVC光照射部からの前記UVC光が直接照射されない部分に向けて前記UVC光を反射してもよい。
【0019】
UVC光照射部からUVC光が直接照射されない部分を含む台座部全体にUVC光が照射されるので、台座部への生物付着をより効果的に防止ないし抑制できる。
【0020】
前記反射部は、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を前記UVC光照射部に向けて反射してもよい。
【0021】
UVC光照射部から照射されて反射部で反射されたUVC光によりUVC光照射部への生物付着が防止ないし抑制されるので、生物付着によりUVC光照射部が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。
【0022】
前記反射部に少なくとも1つの開口部が設けられてもよい。
【0023】
開口部が水流を通過させるため、反射部が台座部における水流の障害となるのを回避ないし緩和し得る。
【0024】
前記反射部は、前記台座部を少なくとも部分的に囲むように設けられてもよい。
【0025】
反射部は、水流と共に流れてくる異物から検出部と払掃部を保護できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る水中測定機器は、効果的な生物・無生物付着防止効果を長期間に渡って維持し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る水質測定機器の側面図。
【
図4】
図1の水質測定機器を下方から見た拡大斜視図。
【
図5】
図1の水質測定機器を下方から見た拡大斜視図(反射板を外した状態)。
【
図6】第1実施形態における水中UVCライトによるUVC光の照射の向きを説明するための斜視図。
【
図7B】第1実施形態における反射板を異なる方向から見た斜視図。
【
図8】第1実施形態におけるUVC光の照射領域を説明するための図。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る水質測定機器の側面図。
【
図10】
図9の水質測定機器を下方から見た斜視図。
【
図12】
図9の水質測定機器を下方から見た拡大斜視図。
【
図13】
図9の水質測定機器を下方から見た拡大斜視図(反射板を外した状態)。
【
図14】第2実施形態における水中UVCライトによるUVC光の照射の向きを説明するための斜視図。
【
図15B】第2実施形態における反射板を異なる方向から見た斜視図。
【
図16】第2実施形態におけるUVC光の照射領域を説明するための図。
【
図17】本発明の第3実施形態に係る水質測定機器の側面図。
【
図21】
図17の水質測定機器を下方から見た拡大斜視図(反射板を外した状態)。
【
図22B】第3実施形態における反射板を異なる方向から見た斜視図。
【
図24】第3実施形態におけるUVC光の照射領域を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1及び
図2を参照すると、本発明の第1実施形態に係る水質測定機器(水中測定機器)1は、機器本体2と水中UVCライト(UVC光照射部)3を備える。この水質測定機器1は、海洋や河川のような水中に投入して使用される。例えば、水質測定機器1は洋上に係留されたブイ(図示せず)から海中に吊り下げられる。
【0030】
機器本体2の防水ケーシング2a内には、電源、後述するセンサ類からの信号を変換するデータ変換装置、変換されたデータを記憶する記憶装置等(いずれも図示せず)が収容されている。防水ケーシング2aの下端には、端面が円形の台座部2bが設けられている。
【0031】
水中UVCライト3は、UVC光出射窓(
図6参照)3aを先端に備えるライト本体3b、取付部3c、及び給電ケーブル3dを備える。取付部3cは、支持ロッド4の下端に角度調整可能に取り付けられている。支持ロッド4は、2個のクランプ金具5A,5Bによって、機器本体2の防水ケーシング2aに取り付けられている。給電ケーブル3dは前述のブイまで延びており、給電ケーブル3dを介してブイから水中UVCライト3に給電される。水中UVライト3は台座部2bの端面に向けてUVC光を照射する。水中UVCライト3によるUVC光の照射の向きや、照射領域については後述する。
【0032】
図2から
図6を参照すると、機器本体2の台座部2bには、センサユニット(検出部)11、サーミスター式の水温センサ12、及びワイパ(払掃部)15が設けられている。
【0033】
本実施形態におけるセンサユニット11は、測定値が生物・無生物付着の影響を受けやすい蛍光測定式のクロロフィルセンサ13と、赤外線光散乱式の濁度センサ14を備える。
【0034】
ワイパ15は、アーム15aと、アーム15aに取り付けられたブレード15bを備える。アーム15aの基端は、
図6にのみ図示する駆動軸(駆動部)15cに脱着可能に固定されている。駆動軸15cは、防水ケーシング2a内に収容された電動モータを含む駆動機構(図示せず)によって一定角度範囲内で往復回転する。これにより、
図3において符号Rwで示す範囲で、アーム15aが往復旋回運動を繰り返す。この往復旋回運動の範囲Rwには、センサユニット11とその周辺の台座部2bが含まれている。従って、センサユニット11とその周辺の台座部2bは、ワイパ15のブレード15bによって払掃されて機械的に清掃される。水質測定機器1を水中に投入して使用している間、ワイパ15は、常時作動してもよいし、間欠的に作動してもよい。
【0035】
本実施形態では、水中UVCライト3は、ライト本体3bの先端がわずかに台座部2bの端面と対向するように、台座部2bに近接して配置されている。また、
図6において矢印IDで概念的に示すように、本実施形態では、水中UVCライト3は、ワイパ15の駆動軸15cに向けてUVC光が照射されるように、UVC光の照射の向きが設定されている。水質測定機器1を水中に投入して使用している間、水中UVCライト3は、UVC光を常時照射してもよいし、間欠的に照射してもよい。ワイパ15により機械的に付着物が除去されるため、UVC光のみで生物付着を防止する場合に比べて照射量を低減しながら付着防止効果を維持することができ、水質測定機器1の消費電力を低く抑え,内蔵電源で動作させる場合の観測期間を延ばすことができる。
【0036】
図7A及び7Bを併せて参照すると、水質測定装置1は、UVCライト3から出射されたUVC光を反射するための反射板21を備える。
【0037】
本実施形態における反射板21は、全体として、幅一定の金属板を円弧状に湾曲した形状を有しており、前述のように端面が円形である台座部2bを、水中UVCライト3のライト本体3bの先端が台座部2bと対向している部分を除いて、台座部2bを円筒状に取り囲むように設けられている。反射板21の基端21a側には、穴21bが形成された3個のタブ状部21cが切り起こしによって設けられており、これらのタブ状部21cが台座部2bにねじ止めされている。反射板21の先端21dは台座部2bの端面から離れて位置している。また、反射板21のワイパ15に対して水中UVCライト3のライト本体3bとは反対側には、先端21dを内向きに部分的に傾斜させた傾斜部21eが設けられている。さらに、反射板21の基端21a側には3個の細長いスリット(開口部)21fが設けられている。スリット21fの総面積の反射板21の内側面の総面積に対する割合(開口率)は、例えば0%を上回り60%以下に設定される。
【0038】
図8を参照すると、仮に反射板21がないとすると、台座部2bの端面のうち水中UVCライト3からUVC光が照射される領域は、一点鎖線のハッチングを付した領域IA1に限定される。しかし、水中UVCライト3からのUVC光の一部が反射板21で反射されて台座部2bの端面の領域IA1以外の残りの領域IA2,IA3に照射されることで、台座部2bの端面の全体にUVC光が照射される。特に、領域IA3には、ワイパ15のアーム15aとブレード15bの陰になるために、水中UVCライト3からのUVC光が直接照射されない。しかし、水中UVCライト3からのUVC光が反射板21で反射されることで領域IA3にもUVC光が照射される。本実施形態では、台座部2bが金属製であるので、反射板21だけでなく、台座部2bの端面でも水中UVCライト3からのUVC光が反射され、それによってもワイパ15のアーム15aとブレード15bの陰になる箇所にも効果的にUVC光を照射することができる。
【0039】
図4を参照すると、水中UVライト3からのUVC光の一部は反射板21の先端21dに設けられた傾斜部21eの内面に照射される。傾斜部21eの内面に反射された反射光の一部は
図4の領域IA4、つまり水中UVCライト3のライト本体3bのうちUVC光窓3aを含む部分に照射される。このように水中UVCライト3から照射されて反射板21で反射されたUVC光の照射により水中UVCライト3への生物付着が防止ないし抑制されるので、生物付着により水中UVCライト3が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。
【0040】
本実施形態に係る水質測定機器1は以下の特徴を有する。
【0041】
センサユニット11へ付着した生物・無生物はワイパ15による払掃によって直接的に除去される。また、水中UVCライト3からUVC光が照射されることで、センサユニット11及び水温センサ12が設けられている部分を含む台座部2bへの生物の付着が防止ないし抑制される。ワイパ15による生物・無生物の機械的な除去と水中UVCライト3によるUVC光の照射による生物付着の防止ないし抑制の相乗効果により、効果的な生物・無生物付着防止を長期間に渡って維持し得る。
【0042】
前述のように、水中UVCライト3からのUVC光はワイパ15の駆動軸15cに向けて照射される。そのため、ワイパ15の駆動軸15への生物付着が防止ないし抑制されるので、生物付着によってワイパ15が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。
【0043】
水中UVCライト3からのUVC光は反射板21の傾斜部21eの内面で反射されることによって水中UVCライト3のライト本体3bのうちUVC光窓3aを含む部分に照射される。そのため,水中UVCライト3への生物付着が防止ないし抑制されるのでた、生物付着によって水中UVCライト3が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。
【0044】
水中UVCライト3からのUVC光は反射板21で反射されることによっても台座部2bに照射される。特に、ワイパ15の陰になって水中UVCライト3から直接はUVC光が照射されない領域IA3にもUVC光が照射されるので、台座部2bへの生物付着をより効果的に防止ないし抑制できる。
【0045】
反射板21にはスリット21fが設けられており、これらのスリット21fが水流を通過させるため、反射板21が台座部2bにおける水流の障害となるのを回避ないし緩和できる。反射板21の開口率を前述のように0%を超えて60%以下の範囲に設定することで、UVC光の反射という反射板21の本来的な機能を担保しつつ、反射板21が水流の障害となることを効果的に回避ないし緩和できる。
【0046】
前述のように反射板21は台座部2bの端面を取り囲むように設けられているので、水流と共に流れてくる異物に対して、センサユニット11、水温センサ12、及びワイパ15が反射板21によって保護される。
【0047】
以下、本発明の第2及び第3実施形態を説明する。以下の説明において、特に言及しない点については、第1実施形態と同様である。また、第2及び第3実施形態において参照される図面において、第1実施形態と同一又は同様の要素には同一の符号を付している。
【0048】
(第2実施形態)
図9から
図16は、本発明の第2実施形態に係る水質測定装置1を示す。
【0049】
図9及び
図10を参照すると、本実施形態における水中UVCライト3の支持ロッド4は1個のクランプ金具5により機器本体2の防水ケーシング2aに取り付けられている。
【0050】
図10から
図13を参照すると、水中UVCライト3は、UVC光の照射範囲を広くするために、第1実施形態と比較して機器本体2の台座部2bから離れて位置しており、反射板32の先端32dとの間に間隔が設けられている。
【0051】
引き続き、
図10から
図13を参照すると、機器本体2の台座部2bには、光学式の溶存酸素センサ31、水温センサ12、及びワイパ15が設けられている。
【0052】
図14において矢印IDで概念的に示すように、本実施形態では、水中UVCライト3は、概ね溶存酸素センサ31に向けてUVC光が照射されるように、UVC光の照射の向きが設定されている。
【0053】
図9から
図12に加えて
図15A及び15Bを参照すると、反射板32は幅一定の金属板からなる円筒状であり、端面が円形である台座部2bの全周を取り囲むように設けられている。反射板32の基端32a側には、穴32bが形成された3個のタブ状部32cが切り起こしによって設けられており、これらのタブ状部32cが台座部2bにねじ止めされている。反射板32の先端32dは、台座部2bの端面から離れて位置している。また、反射板32の先端32dには、外向きの折り返しにより環状部32eが設けられている。さらに、反射板32の基端32a側には、3個の細長いスリット32gが設けられている。
【0054】
図16を参照すると、仮に反射板32がないとすると、台座部2bの端面のうち水中UVCライト3からUVC光が照射される領域は、一点鎖線のハッチングを付した領域IA21に限定される。しかし、水中UVCライト3からのUVC光の一部が反射板32で反射され、ワイパ15のアーム15aとブレード15bの陰になって水中UVCライト3からのUVC光が直接照射されない領域IA22にも照射されるため、台座部2bの端面の全体にUVC光が照射される。
【0055】
図12を参照すると、水中UVCライト3からのUVC光の一部は同図における領域IA23、つまり反射板32の環状部32eの外面に照射される。環状部32eの外面に反射された反射光の一部は同図の領域IA24、つまり水中UVCライト3のライト本体3bのうちUVC光窓3aを含む部分に照射される。このように水中UVCライト3から照射されて反射板32で反射されたUVC光の照射により水中UVCライト3への生物付着が防止ないし抑制されるので、生物付着により水中UVCライト3が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。
【0056】
(第3実施形態)
図17から
図24は、本発明の第3実施形態に係る水質測定装置1を示す。
【0057】
図17及び
図18を参照すると、本実施形態の水質測定装置1は2個の水中UVCライト51,52を備える。個々の水中UVCライト51,52は、UVC光出射窓51a,52aを先端に備えるライト本体51b,52b、取付部51c,52c、及び給電ケーブル51d,52dを備える。水中UVCライト51が下端に取り付けられた支持ロッド53は、2個のクランプ金具54A,54Bによって機器本体2の防水ケーシング2aに取り付けられている。また、水中UVC52が下端に取り付けられた支持ロッド55は、2本のタイラップ56A,56Bによって防水ケーシング2aに取り付けられている。
【0058】
図18から
図21、及び
図23を参照すると、水中UVCライト51は、機器本体2の台座部2bの側方に間隔を設けて位置している。また、水中UVCライト52は、台座部2bの端面に対して正対して位置しており、反射板63の先端63dとの間に間隔が設けられている。
【0059】
引き続き、
図18から
図21、及び
図23を参照すると、機器本体2の台座部2bには、塩分測定のための電気伝導度センサ61、水温センサ12、及びワイパ62が設けられている。
【0060】
図23を参照すると、電気伝導度センサ61は、複数の絶縁筒と複数の環状電極(いずれも図示せず)により構成された筒状体61aを備える。
【0061】
ワイパ62は、筒状体61a内で進退可能な駆動軸62aと、駆動軸62aの先端に取り付けられたブレード62bを備える。駆動軸62aは、防水ケーシング2a内に収容された電動モータを含む駆動機構(図示せず)によって直動往復を繰り返す。これにより、ブレード62bによって、筒状体61aの内壁面が払掃されて機械的に清掃される。
【0062】
図21において矢印ID1で概念的に示すように、水中UVCライト51は、ワイパ62の駆動軸62a(
図23に図示する)に向けてUVC光が照射されるように、UVC光の照射の向きが設定されている。また、矢印ID2で概念的に示すように、水中UVCライト52は、電気伝導度センサ61の筒状体61a内に向けてUVC光が照射されるように、UVC光の照射の向きが設定されている。
【0063】
図18から
図21に加えて
図22A及び22Bを参照すると、反射板63は金属板からなる円筒状であり、端面が円形である台座部2bの全周を取り囲むように設けられている。反射板63の基端63a側には、穴63bが形成された3個のタブ状部63cが切り起こしによって設けられており、これらのタブ状部63cが台座部2bにねじ止めされている。反射板63の先端63dは、台座部2bの端面から離れて位置している。また、反射板63の先端63dには、外向きに折り返した円弧状部63eをそれぞれ備える切起片63fが、互いに間隔を開けて設けられている。さらに、反射板63の基端63a側には第1及び第2実施形態の反射板21,32のスリット21f,32bよりも面積の広い打抜部(開口部)63gが複数個設けられている。さらにまた、反射板63の基端63a側には、水中UVCライト51からのUVC光を通過させるための窓部63hが設けられている。窓部63hの両側には集光板63iが切り起こしにより設けられている。
【0064】
図24を参照すると、仮に反射板63がないとすると、台座部2bの端面のうち水中UVCライト51,52からUVC光が照射される領域は、一点鎖線のハッチングを付した領域IA31に限定される。しかし、水中UVCライト51,52からのUVC光の一部が反射板63で反射され、電気伝導度センサ61の陰になって水中UVCライト3からのUVC光が直接照射されない領域IA32にも照射されるため、台座部2bの端面の全体にUVC光が照射される。
【0065】
図20を参照すると、水中UVCライト52からのUVC光の一部は同図における領域IA33、つまり反射板63の円弧状部63eの外面に照射される。円弧状部63eの外面に反射された反射光の一部は同図の領域IA34、つまり水中UVCライト52のライト本体52bのうちUVC光出射窓52aを含む部分に照射される。このように水中UVCライト52から照射されて反射板63で反射されたUVC光の照射により水中UVCライト52への生物付着が防止ないし抑制されるので、生物付着により水中UVCライト52が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。
【0066】
図18を参照すると、水中UVCライト51からのUVC光の一部は同図における領域IA35、つまり集光板63iの外面に照射される。集光板63iの外面に反射された反射光の一部は同図の領域IA36、つまり水中UVCライト51のライト本体51bのうちUVC光出射窓51aを含む部分に照射される。このように水中UVCライト51から照射されて集光板63iで反射されたUVC光の照射により水中UVCライト51への生物付着が防止ないし抑制されるので、生物付着により水中UVCライト51が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 水質測定機器(水中測定機器)
2 機器本体
2a 防水ケーシング
2b 台座部
3 水中UVCライト(UVC光照射部)
3a UVC光出射窓
3b ライト本体
3c 取付部
3d 給電ケーブル
4 支持ロッド
5,5A,5B クランプ金具
11 センサユニット(検出部)
12 水温センサ
13 クロロフィルセンサ
14 濁度センサ
15 ワイパ(払掃部)
15a アーム
15b ブレード
15c 駆動軸
21 反射板(反射部)
21a 基端
21b 穴
21c タブ状部
21d 先端
21e 傾斜部
21f スリット(開口部)
31 溶存酸素センサ(検出部)
32 反射板(反射部)
32a 基端
32b 穴
32c タブ状部
32d 先端
32e 環状部
32g スリット(開口部)
51,52 水中UVCライト(UVC光照射部)
51a,52a UVC光出射窓
51b,52b ライト本体
51c,52c 取付部
51d,52d 給電ケーブル
53,55 支持ロッド
54A,54B クランプ金具
56A,56B タイラップ
61 電気伝導度センサ(検出部)
61a 筒状体
62 ワイパ
62a ロッド
62b ブレード
63 反射板(反射部)
63a 基端
63b 穴
63c タブ状部
63d 先端
63e 円弧状部
63f 切起片
63g 打抜部
63h 窓部
63i 集光板
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に投入される機器本体の台座部に設けられ、測定に関連する検出を行う検出部と、
前記台座部に設けられ、前記検出部を払掃して機械的に清掃する払掃部と、
前記台座部に向けてUVC光を照射するUVC光照射部と
を備え、
前記UVC光照射部は、前記払掃部に向けて前記UVC光を照射する、水中測定機器。
【請求項2】
水中に投入される機器本体の台座部に設けられ、測定に関連する検出を行う検出部と、
前記台座部に設けられ、前記検出部を払掃して機械的に清掃する払掃部と、
前記台座部に向けてUVC光を照射するUVC光照射部と、
前記台座部に設けられ、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を反射する反射部と
を備え、
前記反射部は、前記払掃部に向けて前記UVC光を反射する、水中測定機器。
【請求項3】
水中に投入される機器本体の台座部に設けられ、測定に関連する検出を行う検出部と、
前記台座部に設けられ、前記検出部を払掃して機械的に清掃する払掃部と、
前記台座部に向けてUVC光を照射するUVC光照射部と、
前記台座部に設けられ、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を反射する反射部と
を備え、
前記反射部は、前記UVC光照射部に向けて前記UVC光を反射する、水中測定機器。
【請求項4】
前記UVC光照射部は、前記検出部に向けても前記UVC光を照射する請求項1に記載の水中測定機器。
【請求項5】
前記反射部は、前記台座部のうち前記UVC光照射部からの前記UVC光が直接照射されない部分に向けて前記UVC光を反射する、請求項2又は3に記載の水中測定機器。
【請求項6】
前記反射部は、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を前記UVC光照射部に向けても反射する、請求項2に記載の水中測定機器。
【請求項7】
前記反射部に少なくとも1つの開口部が設けられている、請求項2又は3に記載の水中測定機器。
【請求項8】
前記反射部は、前記台座部を少なくとも部分的に囲むように設けられている、請求項2又は3に記載の水中測定機器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の一態様は、水中に投入される機器本体の台座部に設けられ、測定に関連する検出を行う検出部と、前記台座部に設けられ、前記検出部を払掃して機械的に清掃する払掃部と、前記台座部に向けてUVC光を照射するUVC光照射部とを備え、前記UVC光照射部は、前記払掃部に向けて前記UVC光を照射する、水中測定機器を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
検出部へ付着した生物・無生物は払掃部による払掃によって直接的に除去される。また、UVC光照射部からUVC光が照射されることで、払掃部への生物の付着が防止ないし抑制される。払掃部による生物・無生物の機械的な除去とUVC光の照射による生物付着の防止ないし抑制の相乗効果により、効果的な生物・無生物付着防止を長期間に渡って維持し得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の他の一態様は、水中に投入される機器本体の台座部に設けられ、測定に関連する検出を行う検出部と、前記台座部に設けられ、前記検出部を払掃して機械的に清掃する払掃部と、前記台座部に向けてUVC光を照射するUVC光照射部と、前記台座部に設けられ、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を反射する反射部とを備え、前記反射部は、前記払掃部に向けて前記UVC光を反射する、水中測定機器を提供する。
本発明のさらに他の一態様は、水中に投入される機器本体の台座部に設けられ、測定に関連する検出を行う検出部と、前記台座部に設けられ、前記検出部を払掃して機械的に清掃する払掃部と、前記台座部に向けてUVC光を照射するUVC光照射部と、前記台座部に設けられ、前記UVC光照射部から照射された前記UVC光を反射する反射部とを備え、前記反射部は、前記UVC光照射部に向けて前記UVC光を反射する、水中測定機器を提供する。
前記UVC光照射部は、前記検出部に向けても前記UVC光を照射してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
本実施形態における反射板21は、全体として、幅一定の金属板を円弧状に湾曲した形状を有しており、前述のように端面が円形である台座部2bを、水中UVCライト3のライト本体3bの先端が台座部2bと対向している部分を除いて、円筒状に取り囲むように設けられている。反射板21の基端21a側には、穴21bが形成された3個のタブ状部21cが切り起こしによって設けられており、これらのタブ状部21cが台座部2bにねじ止めされている。反射板21の先端21dは台座部2bの端面から離れて位置している。また、反射板21のワイパ15に対して水中UVCライト3のライト本体3bとは反対側には、先端21dを内向きに部分的に傾斜させた傾斜部21eが設けられている。さらに、反射板21の基端21a側には3個の細長いスリット(開口部)21fが設けられている。スリット21fの総面積の反射板21の内側面の総面積に対する割合(開口率)は、例えば0%を上回り60%以下に設定される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
水中UVCライト3からのUVC光は反射板21の傾斜部21eの内面で反射されることによって水中UVCライト3のライト本体3bのうちUVC光窓3aを含む部分に照射される。そのため,水中UVCライト3への生物付着が防止ないし抑制されるので、生物付着によって水中UVCライト3が機能しなくなるまでの期間を延ばすことができる。