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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145513
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ロータリ圧縮機、および冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/356 20060101AFI20241004BHJP
   F04C 23/00 20060101ALI20241004BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F04C18/356 L
F04C23/00 F
F04C29/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057899
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 真由
(72)【発明者】
【氏名】西出 洋平
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】土川 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】諸江 将吾
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA32
3H129AB03
3H129BB22
3H129BB24
3H129CC15
3H129CC25
3H129CC29
(57)【要約】
【課題】第1機構部と第2機構部とを繋ぐ中間連絡部において、第1機構部の吐出流体とケーシングの外部からの供給流体との合流部分の脈動を低減する。
【解決手段】圧縮機構(50)の中間圧空間(A)は、第1部材(M)の内部に形成される。第1部材(M)には、吐出ポート(66)と、流入口(67)と、流出口(68)とが形成される。流入口(67)は、ケーシング(20)の外から供給される流体を導く。中間圧空間(A)は、流入口(67)と流出口(68)との間の第1領域(A1)と、第1領域(A1)以外の領域である第2領域(A2)とを有する。吐出ポート(66)は、第2領域(A2)に配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(20)と、
前記ケーシング(20)に収容される圧縮機構(50)と、
前記圧縮機構(50)を駆動する駆動軸(40)とを備え、
前記圧縮機構(50)は、
流体を吸入して圧縮する第1機構部(55)と、
前記第1機構部(55)から吐出された流体を吸入して圧縮する第2機構部(56)と、
前記第1機構部(55)から前記第2機構部(56)に流体を導く中間連絡部(D)とを含み、
前記中間連絡部(D)は、
前記第1機構部(55)から中間圧力の流体が吐出される中間圧空間(A)と、
前記中間圧空間(A)の流体を前記第2機構部(56)へ導く連絡通路(57a)とを有し、
前記中間圧空間(A)は、第1部材(M)の内部に形成され、
前記第1部材(M)には、
前記第1機構部(55)の圧縮室(55b)と連通する吐出ポート(66)と、
前記ケーシング(20)の外から供給される流体を前記中間圧空間(A)に導く流入口(67)と、
前記中間圧空間(A)の流体を前記連絡通路(57a)へ導く流出口(68)とが形成され、
前記中間圧空間(A)は、前記流入口(67)と前記流出口(68)との間の第1領域(A1)と、前記第1領域(A1)以外の領域である第2領域(A2)とを有し、
前記吐出ポート(66)は、前記第2領域(A2)に配置される
ロータリ圧縮機。
【請求項2】
前記中間圧空間(A)には、
前記流入口(67)から前記流出口(68)に向かう第1流れ(R1)と、
前記吐出ポート(66)から前記流出口(68)に向かう第2流れ(R2)とが形成され、
前記第1流れ(R1)および前記第2流れ(R2)は、同じ方向に流れ、
前記中間圧空間(A)において、前記流入口(67)から流入した流体と前記吐出ポート(66)から流入した流体とが、前記流入口(67)付近で混合される
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項3】
前記中間圧空間(A)には、
前記流入口(67)から前記流出口(68)に向かう第1流れ(R1)と、
前記吐出ポート(66)から前記流出口(68)に向かう第2流れ(R2)とが形成され、
前記第1流れ(R1)および前記第2流れ(R2)は、逆方向に流れ、
前記中間圧空間(A)において、前記流入口(67)から流入した流体と前記吐出ポート(66)から流入した流体とが、前記流出口(68)付近で混合される
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項4】
前記中間圧空間(A)は、環状に構成され、
前記第1部材(M)は、前記中間圧空間(A)を径方向に横切る壁部(64)を有し、
前記吐出ポート(66)と前記流出口(68)とは、前記壁部(64)を挟んで配置され、
前記流入口(67)は、前記中間圧空間(A)における前記吐出ポート(66)と前記流出口(68)との間に配置される
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項5】
前記駆動軸(40)の軸方向の一方側の端部に配置され、前記駆動軸(40)を回転駆動する電動機(30)を更に備え、
前記第1機構部(55)は、前記第2機構部(56)の前記軸方向の他方側に配置され、
前記第1部材(M)は、
前記軸方向の他方側の端面が開口するように形成される凹部(65)を有し、前記第1機構部(55)の前記軸方向の他方側の端面を覆う閉塞部材(60)と、
前記閉塞部材(60)の開口面を覆うプレート(54)とを備え、
前記凹部(65)の内部空間が、前記中間圧空間(A)を構成する
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項6】
前記駆動軸(40)は、水平方向に沿って延び、
前記ケーシング(20)の底部には、油が貯留される貯留部(27)が形成され、
前記流入口(67)は、前記貯留部(27)の油面位置よりも上方に配置される
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項7】
前記流入口(67)は、前記駆動軸(40)の軸心よりも上方に配置される
請求項6に記載のロータリ圧縮機。
【請求項8】
前記ケーシング(20)を貫通し、前記ケーシング(20)の外から供給される流体を前記流入口(67)に導く吸入管(15)と、
前記吸入管(15)の外面の全周を包囲する第1断熱部(70)とを更に備える
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項9】
前記ケーシング(20)を貫通し、前記ケーシング(20)の外から供給される流体を前記流入口(67)に導く吸入管(15)を更に備え、
前記吸入管(15)は、炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成される
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項10】
前記第1部材(M)に設けられ、炭素鋼よりも熱伝導率の低い第2断熱部(80)を更に備える
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項11】
前記第1部材(M)の一部は、炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成される
請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項12】
冷凍サイクルを行う冷媒回路(110)を備える冷凍装置であって、
前記冷媒回路(110)は、請求項1~11のいずれか1つに記載のロータリ圧縮機を含む
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータリ圧縮機、および冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、低段圧縮部(第1機構部)と高段圧縮部(第2機構部)とを有する二段式のロータリ圧縮機が開示されている。低段圧縮部は、密閉容器の外部から冷媒を吸入して圧縮する。高段圧縮部は、低段圧縮部が圧縮した冷媒を、中間連結管(中間連絡部)を介して吸入してさらに圧縮し、密閉容器内に吐出する。中間連結管には、インジェクションパイプが接続される。インジェクションパイプには、密閉容器の外部から供給される冷媒が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/148453号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなロータリ圧縮機では、中間連結管内において、インジェクションパイプを通過した冷媒が低段圧縮室から吐出された冷媒に合流する。つまり、各冷媒の合流部が中間連結管内に位置する。そのため、この合流部の振動が中間連結管に伝搬して中間連結管が振動することにより、騒音が大きくなるという課題があった。
【0005】
これに対し、低段圧縮部の吐出ポートと中間連結管との間に、低段圧縮部から吐出された冷媒が流入する中間圧室を形成し、該中間圧室にインジェクションパイプを接続する。これにより、中間圧室において、低段圧縮部から吐出された冷媒にインジェクションパイプを通過した冷媒を合流させることが考えられる。
【0006】
この場合に、中間圧室において、インジェクションパイプからの流入部と中間連絡管への流出部との間には、密閉容器の外から供給される冷媒が流れる流路が形成される。この流路の途中に低段圧縮室の吐出ポートを配置した場合、吐出ポートから流出する冷媒は、吐出ポートの近傍において、密閉容器の外から供給された冷媒と合流する。そのため、吐出ポートの脈動が密閉容器の外から供給された冷媒に伝搬し、騒音が発生するという課題があった。
【0007】
本開示の目的は、第1機構部と第2機構部とを繋ぐ中間連絡部において、第1機構部から吐出される流体とケーシングの外部から供給される流体との合流部分の脈動を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、ロータリ圧縮機を対象とする。ロータリ圧縮機(10)は、ケーシング(20)と、前記ケーシング(20)に収容される圧縮機構(50)と、前記圧縮機構(50)を駆動する駆動軸(40)とを備える。前記圧縮機構(50)は、流体を吸入して圧縮する第1機構部(55)と、前記第1機構部(55)から吐出された流体を吸入して圧縮する第2機構部(56)と、前記第1機構部(55)から前記第2機構部(56)に流体を導く中間連絡部(D)とを含む。前記中間連絡部(D)は、前記第1機構部(55)から中間圧力の流体が吐出される中間圧空間(A)と、前記中間圧空間(A)の流体を前記第2機構部(56)へ導く連絡通路(57a)とを有する。前記中間圧空間(A)は、第1部材(M)の内部に形成される。前記第1部材(M)には、前記第1機構部(55)の圧縮室(55b)と連通する吐出ポート(66)と、前記ケーシング(20)の外から供給される流体を前記中間圧空間(A)に導く流入口(67)と、前記中間圧空間(A)の流体を前記連絡通路(57a)へ導く流出口(68)とが形成される。前記中間圧空間(A)は、前記流入口(67)と前記流出口(68)との間の第1領域(A1)と、前記第1領域(A1)以外の領域である第2領域(A2)とを有する。前記吐出ポート(66)は、前記第2領域(A2)に配置される。
【0009】
第1の態様では、中間圧空間(A)における第1領域(A1)には、流入口(67)から流出口(68)に向かう供給流体の流れが生じる。吐出ポート(66)は、第1領域(A1)以外の領域である第2領域(A2)に配置されるので、第1機構部(55)からの吐出流体が吐出ポート(66)から中間圧空間(A)に間欠的に流入することで脈動が生じても、上記供給流体の流れに、吐出ポート(66)からの脈動が伝わりにくい。これにより、中間連絡部(D)において、第1機構部(55)の吐出流体とケーシング(20)外からの供給流体との合流部分の脈動を低減できる。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記中間圧空間(A)には、前記流入口(67)から前記流出口(68)に向かう第1流れ(R1)と、前記吐出ポート(66)から前記流出口(68)に向かう第2流れ(R2)とが形成される。前記第1流れ(R1)および前記第2流れ(R2)は、同じ方向に流れる。前記中間圧空間(A)において、前記流入口(67)から流入した流体と前記吐出ポート(66)から流入した流体とが、前記流入口(67)付近で混合される。
【0011】
ここで、吐出ポート(66)で生じる脈動は、流体流れの上流側に伝搬しやすい性質がある。第2の態様では、第1流れ(R1)及び第2流れ(R2)が同じ方向に流れるとともに、中間圧空間(A)において、流入口(67)から流入した供給流体と吐出ポート(66)から流入した吐出流体とが、流入口(67)付近で混合される。このため、中間圧空間(A)では、吐出ポート(66)、流入口(67)、および流出口(68)は、この順に配置される。したがって、吐出ポート(66)よりも上流側に流れが生じないので、吐出ポート(66)の脈動が伝搬しにくくなる。これにより、中間連絡部(D)における第1機構部(55)の吐出流体とケーシング(20)外からの供給流体との合流部分の脈動を低減できる。
【0012】
第3の態様は、第1の態様において、前記中間圧空間(A)には、前記流入口(67)から前記流出口(68)に向かう第1流れ(R1)と、前記吐出ポート(66)から前記流出口(68)に向かう第2流れ(R2)とが形成される。前記第1流れ(R1)および前記第2流れ(R2)は、逆方向に流れる。前記中間圧空間(A)において、前記流入口(67)から流入した流体と前記吐出ポート(66)から流入した流体とが、前記流出口(68)付近で混合される。
【0013】
ここで、吐出ポート(66)で生じる脈動は、流体流れの上流側に伝搬しやすい性質がある。第3の態様では、第1流れ(R1)及び第2流れ(R2)が逆方向に流れるとともに、中間圧空間(A)において、流入口(67)から流入した供給流体と吐出ポート(66)から流入した吐出流体とが、流出口(68)付近で混合される。このため、中間圧空間(A)では、吐出ポート(66)、流出口(68)、および流入口(67)は、この順に配置される。したがって、吐出ポート(66)よりも上流側に流れが生じないので、吐出ポート(66)の脈動が伝搬しにくくなる。これにより、中間連絡部(D)における第1機構部(55)の吐出流体とケーシング(20)外からの供給流体との合流部分の脈動を低減できる。
【0014】
第4の態様は、第1の態様において、前記中間圧空間(A)は、環状に構成され、前記第1部材(M)は、前記中間圧空間(A)を径方向に横切る壁部(64)を有する。前記吐出ポート(66)と前記流出口(68)とは、前記壁部(64)を挟んで配置される。前記流入口(67)は、前記中間圧空間(A)における、前記吐出ポート(66)と前記流出口(68)との間に配置される。
【0015】
ここで、吐出ポート(66)で生じる脈動は、流体流れの上流側に伝搬しやすい性質がある。第4の態様では、前記流入口(67)は、中間圧空間(A)における、前記吐出ポート(66)と前記流出口(68)との間に配置される。そのため、中間圧空間(A)では、吐出ポート(66)、流入口(67)、および流出口(68)は、この順に配置される。したがって、吐出ポート(66)よりも上流側に流れが生じないので、吐出ポート(66)の脈動が伝搬しにくくなる。これにより、中間連絡部(D)における第1機構部(55)の吐出流体とケーシング(20)外からの供給流体との合流部分の脈動を低減できる。
【0016】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記駆動軸(40)の軸方向の一方側の端部に配置され、前記駆動軸(40)を回転駆動する電動機(30)を更に備える。前記第1機構部(55)は、前記第2機構部(56)の前記軸方向の他方側に配置される。前記第1部材(M)は、前記軸方向の他方側の端面が開口するように形成される凹部(65)を有し、前記第1機構部(55)の前記軸方向の他方側の端面を覆う閉塞部材(60)と、前記閉塞部材(60)の開口面を覆うプレート(54)とを備える。前記凹部(65)の内部空間が、前記中間圧空間(A)を構成する。
【0017】
第5の態様では、中間圧空間(A)が閉塞部材(60)の凹部(65)によって形成される。
【0018】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、前記駆動軸(40)は、水平方向に沿って延びる。前記ケーシング(20)の底部には、油が貯留される貯留部(27)が形成される。前記流入口(67)は、前記貯留部(27)の油面位置よりも上方に配置される。
【0019】
第6の態様では、流入口(67)が貯留部(27)の油面位置よりも上方に配置されるので、流入口(67)が油に接触しない。これにより、ケーシング(20)外から供給される供給流体と高温の油との熱交換によって、該供給流体の温度が上昇することを抑制できる。その結果、ロータリ圧縮機の能力低下を抑制できる。
【0020】
第7の態様は、第6の態様において、前記流入口(67)は、前記駆動軸(40)の軸心よりも上方に配置される。
【0021】
第7の態様では、流入口(67)が駆動軸(40)の軸心よりも上方に配置される。そのため、貯留部(27)の油面位置が運転条件によって変動しても、流入口(67)が油に接触しない。これにより、ケーシング(20)外から供給される供給流体と高温の油との熱交換によって、該供給流体の温度が上昇することをより抑制できる。
【0022】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、前記ケーシング(20)を貫通し、前記ケーシング(20)の外から供給される流体を前記流入口(67)に導く吸入管(15)と、
前記吸入管(15)の外面の全周を包囲する第1断熱部(70)とを更に備える。
【0023】
第8の態様では、第1断熱部(70)によって吸入管(15)の外面の全周が包囲されるので、高温の油が吸入管(15)に直接に接触することを抑制できる。加えて、第1断熱部(70)が設けられることにより、高温の油の熱が第1断熱部(70)によって遮られて、吸入管(15)に伝わることを抑制できる。これにより、高温の油と吸入管(15)を通過する供給流体とが熱交換することによって生じる供給流体の温度上昇をより抑制できる。
【0024】
第9の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、前記ケーシング(20)を貫通し、前記ケーシング(20)の外から供給される流体を前記流入口(67)に導く吸入管(15)を更に備え、前記吸入管(15)は、炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成される。
【0025】
第9の態様では、吸入管(15)が炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成されるので、高温の油の熱が吸入管(15)を通過する供給流体に伝わることを抑制できる。これにより、高温の油と吸入管(15)を通過する供給流体とが熱交換することによって生じる供給流体の温度上昇をより抑制できる。
【0026】
第10の態様は、第1~第9のいずれか1つの態様において、前記第1部材(M)に設けられ、炭素鋼よりも熱伝導率の低い第2断熱部(80)を更に備える。
【0027】
第10の態様では、第1部材(M)に第2断熱部(80)が設けられることにより、高温の油が第1部材(M)に直接に接触することを抑制できる。加えて、第2断熱部(80)は炭素鋼よりも熱伝導率が低いので、高温の油の熱が中間圧空間(A)を流れる流体に伝わることを抑制できる。そのため、高温の油と中間圧空間(A)内の流体とが熱交換することによって生じる流体の温度上昇をより抑制できる。
【0028】
第11の態様は、第1~第9のいずれか1つの態様において、前記第1部材(M)の一部は、炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成される。
【0029】
第11の態様では、第1部材(M)の一部が炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成されることにより、高温の油の熱が中間圧空間(A)を流れる流体に伝わることを抑制できる。そのため、高温の油と中間圧空間(A)内の流体とが熱交換することによって生じる流体の温度上昇をより抑制できる。
【0030】
第12の態様は、冷凍サイクルを行う冷媒回路(110)を備える冷凍装置を対象とする。前記冷媒回路(110)は、第1~第11のいずれか1つの態様のロータリ圧縮機を含む。
【0031】
第12の態様では、ロータリ圧縮機の中間連絡部(D)における第1機構部(55)の吐出流体とケーシング(20)外からの供給流体との合流部分の脈動に起因する騒音が低減された冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施形態の冷凍装置が備える冷媒回路の配管系統図である。
図2図2は、ロータリ圧縮機の構成を示す概略の縦断面図である。
図3図3は、図2のIII-III線矢視断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線矢視断面図である。
図5図5は、図3のV-V線矢視断面図である。
図6図6は、変形例1の図5に相当する図である。
図7図7は、変形例2の図5に相当する図である。
図8図8は、変形例3の図5に相当する図である。
図9図9は、変形例5の要部を拡大した断面図である。
図10図10は、変形例6の図9に相当する図である。
図11図11は、変形例7の図9に相当する図である。
図12図12は、変形例8の図9に相当する図である。
図13図13は、変形例9のロータリ圧縮機の構成を示す概略の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0034】
《実施形態》
実施形態のロータリ圧縮機(10)について説明する。ロータリ圧縮機(10)は、流体を圧縮する。本実施形態のロータリ圧縮機(10)で圧縮される流体は、冷媒である。ロータリ圧縮機(10)(以下、圧縮機という)は、冷凍装置(1)に設けられる。
【0035】
(1)冷凍装置
図1に示すように、冷凍装置(1)は、冷媒回路(110)を備える。冷媒回路(110)には、冷媒が充填される。本実施形態の冷凍装置(1)は、空気調和装置である。具体的には、空気調和装置は、冷房と暖房とを切り換える冷暖房兼用機である。空気調和装置は、冷房専用機または暖房専用機であってもよい。
【0036】
冷媒回路(110)は、圧縮機(10)と、室外熱交換器(2)と、減圧機構(3)と、室内熱交換器(4)と、エコノマイザ熱交換器(5)と、切換機構(6)とを含む。減圧機構(3)は、例えば膨張弁である。切換機構(6)は、冷媒の循環方向を切り換える。切換機構(6)は、冷媒の循環方向を暖房サイクルと冷房サイクルとで切り換え可能に構成される。切換機構(6)は、例えば四方切換弁である。冷媒回路(110)は、冷媒を循環させて、蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行う。
【0037】
圧縮機(10)の第1吐出管(12)は、四方切換弁(6)の第1ポート(P1)に接続される。四方切換弁(6)の第2ポート(P2)は、室内熱交換器(4)の一端に接続される。室内熱交換器(4)の他端は、エコノマイザ熱交換器(5)及び膨張弁(3)を介して、室外熱交換器(2)の一端に接続される。室外熱交換器(2)の他端は、四方切換弁(6)の第3ポート(P3)に接続される。四方切換弁(6)の第4ポート(P4)は、圧縮機(10)の第1吸入管(11)に接続される。
【0038】
四方切換弁(6)は、暖房サイクル時の第1状態(図1に実線で示す状態)と、冷房サイクル時の第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能に構成されている。第1状態では、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通するとともに、第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが連通する。第2状態では、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通するとともに、第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とが連通する。
【0039】
冷凍サイクルでは、圧縮機(10)によって圧縮された冷媒が、放熱器において空気に放熱する。このとき、冷媒が液化する。放熱した冷媒は、減圧機構(3)によって減圧される。減圧された冷媒は、蒸発器において蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(10)に吸入される。圧縮機(10)は、吸入した冷媒を圧縮する。なお、第1状態では、室内熱交換器(4)が放熱器として機能し、室外熱交換器(2)が蒸発器として機能する。第2状態では、室外熱交換器(2)が放熱器として機能し、室内熱交換器(4)が蒸発器として機能する。
【0040】
エコノマイザ熱交換器(5)は、高圧冷媒が流れる高圧流路(5a)と、中間圧冷媒が流れる中間圧流路(5b)とを有する。エコノマイザ熱交換器(5)では、高圧冷媒と中間圧冷媒が熱交換をする。高圧流路(5a)は、室内熱交換器(4)と膨張弁(3)との間の高圧冷媒配管(112)の途中に設けられている。
【0041】
高圧冷媒配管(112)には、室内熱交換器(4)とエコノマイザ熱交換器(5)の間に、インジェクション配管(120)が接続されている。インジェクション配管(120)は、圧縮機(10)の第3吸入管(15)に接続されている。インジェクション配管(120)には、中間減圧弁(7)と、エコノマイザ熱交換器(5)の中間圧流路(5b)とが設けられている。中間減圧弁(7)は、高圧液冷媒を中間圧に減圧する。
【0042】
中間減圧弁(7)を所定開度に開くと、高圧液冷媒と熱交換した中間圧のガス冷媒を圧縮機(10)に中間インジェクションすることができる。中間減圧弁(7)を全閉にすると、インジェクション動作を停止することができる。
【0043】
なお、冷媒回路には、調整機構が設けられる。調整機構は、暖房サイクル時と冷房サイクル時のいずれにおいてもエコノマイザ熱交換器(5)が膨張弁(3)の上流側に位置するように、冷媒の流れる順序を調整する。調整機構は、例えばブリッジ回路である。図1の冷媒回路では、調整機構の図示を省略している。
【0044】
また、冷凍装置(1)は、給湯器、チラーユニット、庫内の空気を冷却する冷却装置などであってもよい。冷却装置は、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナなどの内部の空気を冷却する装置である。
【0045】
(2)圧縮機
圧縮機(10)は、吸入した低圧のガス冷媒を圧縮し、圧縮した後の高圧のガス冷媒を吐出する。本実施形態の圧縮機(10)は、冷媒を二段階で圧縮する二段式の圧縮機である。図2に示す本実施形態の圧縮機(10)は、全密閉型の圧縮機である。
【0046】
なお、以下の説明において、圧縮機(10)の駆動軸(40)の軸心に沿う方向を「軸方向」と称し、軸方向に垂直な方向を「径方向」と称し、駆動軸(40)の周囲に沿う方向を「周方向」と称する。
【0047】
本実施形態の圧縮機(10)は、横置き型の圧縮機である。言い換えると、本実施形態の駆動軸(40)は、水平方向に沿って延びる。本実施形態の駆動軸(40)は、水平方向に対して所定の角度(約10°)傾いている。本実施形態の圧縮機(10)は、水平方向に対して平行な姿勢で配置されてもよい。
【0048】
図3に示すように、圧縮機(10)は、ケーシング(20)と、電動機(30)と、駆動軸(40)と、圧縮機構(50)とを備える。電動機(30)と、駆動軸(40)と、圧縮機構(50)の一部とは、ケーシング(20)に収容される。駆動軸(40)は、圧縮機構(50)を駆動する。
【0049】
(2-1)ケーシング
ケーシング(20)は、横長の密閉容器で構成される。ケーシング(20)は、胴部(21)と、第1鏡板(22)と、第2鏡板(23)とを有する。胴部(21)は、軸方向に延びる円筒状に構成される。胴部(21)は、軸方向の両端が開口している。第1鏡板(22)は、胴部(21)の軸方向の一端に固定されている。第2鏡板(23)は、胴部(21)の軸方向の他端に固定されている。
【0050】
ケーシング(20)の下部には、2つの脚部(24,24)が取り付けられている。脚部(24)は、ケーシング(20)の前側および後側に1つずつ配置される。第1鏡板(22)側(前側)の脚部(24)は、第2鏡板(23)側(後側)の脚部(24)よりも長い。つまり、圧縮機(10)は、第1鏡板(22)が第2鏡板(23)よりも上に位置するような姿勢で配置される。各脚部(24)の下には、台座部(25)が設けられる。台座部(25)の下には、不図示の防振部材(図示省略)が配置される。
【0051】
図2及び図4に示すように、胴部(21)の下部には、継手管(26)を介して、第1吸入管(11)が固定される。第1吸入管(11)は、胴部(21)を貫通する。第1吸入管(11)の流入端は、吸入配管(111)の流出端に接続する。吸入配管(111)の流入端は、アキュムレータ(8)に接続する。アキュムレータ(8)は、圧縮機構(50)に吸入される前の冷媒を一時的に貯留するとともに、ガス冷媒に含まれる液冷媒を気液分離する。胴部(21)の上部には、第1吐出管(12)が固定される。第1吐出管(12)は、胴部(21)を貫通する。第1鏡板(22)には、注油管(16)が固定される。注油管(16)は、ケーシング(20)内に油を供給するための管である。注油管(16)は、第1鏡板(22)を貫通している。
【0052】
ケーシング(20)の底部には、貯留部(27)が形成される。貯留部(27)には、圧縮機構(50)および駆動軸(40)の摺動部を潤滑するための冷凍機油(以下、油という)が貯留される。貯留部(27)は、第2鏡板(23)および胴部(21)の下部の内壁によって構成される。
【0053】
(2-2)電動機
電動機(30)は、ケーシング(20)内における軸方向の一方側に配置される。電動機(30)は、駆動軸(40)における軸方向の一端に配置される。電動機(30)は、圧縮機構(50)の軸方向の一方側に配置される。電動機(30)が通電されると、駆動軸(40)が回転駆動される。
【0054】
(2-3)駆動軸
駆動軸(40)は、電動機(30)と圧縮機構(50)とを連結する。駆動軸(40)は、ケーシング(20)の胴部(21)の軸心上に位置する。駆動軸(40)における軸方向の他端には、給油管(41)が取り付けられる。給油管(41)は、略逆L字状に形成される。給油管(41)の一端は、駆動軸(40)に接続される。給油管(41)の他端は、貯留部(27)の油に浸漬するように配置される。給油管(41)の他端は、下方を向いている。貯留部の油は、給油管(41)の他端から流入する。給油管(41)の流入した油は、駆動軸(40)の内部の油通路(図示省略)を通じて、圧縮機構(50)および駆動軸(40)の摺動部へ供給される。
【0055】
駆動軸(40)は、1つの主軸部(42)と、2つの偏心部(43,44)とを有する。主軸部(42)の軸方向の一端部は、電動機(30)に固定される。各偏心部(43,44)は、主軸部(42)よりも大径の円柱状の部分である。各偏心部(43,44)は、主軸部(42)の回転中心から偏心している。各偏心部(43,44)の軸心は、主軸部(42)の軸心から所定量だけ偏心している。
【0056】
駆動軸(40)は、第1偏心部(43)と第2偏心部(44)とを有する。第1偏心部(43)は、第2偏心部(44)よりも軸方向他方側に位置する。言い換えると、第1偏心部(43)は、2つの偏心部のうち、軸方向他方側の偏心部である。第2偏心部(44)は、2つの偏心部のうち、軸方向一方側の偏心部である。主軸部(42)の軸心に対する第1偏心部(43)の偏心方向は、主軸部(42)の軸心に対する第2偏心部(44)の偏心方向と180°異なっている。
【0057】
(2-4)圧縮機構
圧縮機構(50)は、電動機(30)の軸方向の他方側に配置される。圧縮機構(50)は、2つの機構部(55,56)を含む。詳細には、図3および図4に示すように、圧縮機構(50)は、フロントヘッド(51)と、ミドルプレート(52)と、リアヘッド(60)と、リアプレート(54)と、低段機構部(55)と、高段機構部(56)と、中間連絡管(57)とを有する。低段機構部(55)は、本開示の第1機構部に対応する。高段機構部(56)は、本開示の第2機構部に対応する。リアヘッド(60)は、本開示の閉塞部材に対応する。リアプレート(54)は、本開示のプレートに対応する。リアヘッド(60)およびリアプレート(54)が、本開示の第1部材(M)に対応する。言い換えると、第1部材(M)は、リアヘッド(60)と、リアプレート(54)とを有する。
【0058】
低段機構部(55)は、ケーシング(20)に導入した冷媒を吸入して圧縮する。高段機構部(56)は、低段機構部(55)から吐出された冷媒を吸入して圧縮する。本実施形態の低段機構部(55)は、高段機構部(56)の軸方向他方側に配置される。つまり、低段機構部(55)は、2つの機構部のうち、軸方向他方側の機構部である。高段機構部(56)は、2つの機構部のうち、軸方向一方側の機構部である。2つの機構部(55,56)は、軸方向に間隔を空けて設けられる。各機構部(55,56)は、シリンダ(55a,56a)と、ピストン(58)とを有する。
【0059】
フロントヘッド(51)と、ミドルプレート(52)と、リアヘッド(60)と、リアプレート(54)と、低段機構部(55)と、高段機構部(56)とは、ケーシング(20)内に収容される。圧縮機構(50)は、ケーシング(20)内において、軸方向の一方側から他方側に向かって順に、フロントヘッド(51)、第2シリンダ(56a)、ミドルプレート(52)、第1シリンダ(55a)リアヘッド(60)、およびリアプレート(54)が、重なり合った状態で配置される。フロントヘッド(51)、第2シリンダ(56a)、ミドルプレート(52)、第1シリンダ(55a)、およびリアヘッド(60)は、締結部材(図示省略)を介して、一体化されている。中間連絡管(57)は、ケーシング(20)の外に配置される。
【0060】
(2-4-1)シリンダ
各シリンダ(55a,56a)は、扁平は略環状の部材である。第1シリンダ(55a)は、第1偏心部(43)の外周を覆うように配置される。第1シリンダ(55a)の中央部には、第1圧縮室(55b)が形成される。第2シリンダ(56a)は、第2偏心部(44)の外周を覆うように配置される。第2シリンダ(56a)の中央部には、第2圧縮室(56b)が形成される。各圧縮室(55b,56b)は、略円環状の空間である。各シリンダ(55a,56a)には、吸入口(59)が形成される。各吸入口(59)は、径方向に延びる。各吸入口(59)の流出端は、対応する圧縮室(55b,56b)と連通する。第1シリンダ(55a)における吸入口(59)の流入端には、第1吸入管(11)が接続される。第1圧縮室(55b)では、第1吸入管(11)から吸入された低圧の冷媒が中間圧まで圧縮される。ここでいう中間圧は、低圧よりも高い。
【0061】
第2シリンダ(56a)における吸入口(59)の流入端には、第2吸入管(13)が接続される。図4に示すように、第2吸入管(13)は、継手管(26)を介して、ケーシング(20)の胴部(21)に固定される。第2吸入管(13)は、胴部(21)を貫通する。第2吸入管(13)の流入端は、中間連絡管(57)の流出端に接続する。第2圧縮室(56b)では、中間連絡管(57)を介して、第2吸入管(13)から吸入された中間圧の冷媒が高圧まで圧縮される。ここでいう高圧は、中間圧よりも高い。
【0062】
(2-4-2)ピストン
各ピストン(58)は、第1シリンダ(55a)及び第2シリンダ(56a)のそれぞれの内部に収容される。各シリンダ(55a,56a)と各シリンダ(55a,56a)に対応するピストン(58)とによって、各圧縮室(55b,56b)が形成される。各ピストン(58)は、真円形の環状に形成される。各ピストン(58)の内部には、対応する偏心部(43,44)が嵌め込まれている。各圧縮室(55b,56b)の内部は、ブレード(図示省略)によって、低圧室と高圧室とに区画されている。本実施形態の圧縮機構(50)は、いわゆる揺動ピストン式の圧縮機構である。
【0063】
(2-4-3)フロントヘッド
フロントヘッド(51)は、第2シリンダ(56a)の軸方向一方側に積層される。フロントヘッド(51)は、第2シリンダ(56a)の内部空間を軸方向一方側から覆う。言い換えると、フロントヘッド(51)は、高段機構部(56)の軸方向一端側の端面を覆う。フロントヘッド(51)は、本体部(51a)と、主軸受部(51b)とを有する。
【0064】
本体部(51a)は、円形の厚板状に形成される。本体部(51a)は、第2シリンダ(56a)の端面を覆う。本体部(51a)は、第2シリンダ(56a)に密着している。主軸受部(51b)は、本体部(51a)よりも軸方向一方側に形成される。主軸受部(51b)は、本体部(51a)の中央部に形成される。主軸受部(51b)は、円筒状に形成される。主軸受部(51b)の外径は、本体部(51a)の外径よりも小さい。主軸受部(51b)は、駆動軸(40)における第2偏心部(44)よりも軸方向一方側の主軸部(42)を回転可能に支持する。
【0065】
フロントヘッド(51)は、本体部(51a)の外周面がケーシング(20)の胴部(21)の内周面に固定される。フロントヘッド(51)には、第2圧縮室(56b)で圧縮されたガス冷媒を吐出するための吐出通路(図示省略)が形成される。吐出通路は、フロントヘッド(51)を軸方向に貫通する。
【0066】
(2-4-4)ミドルプレート
ミドルプレート(52)は、第1シリンダ(55a)と第2シリンダ(56a)との間に挟み込まれる。ミドルプレート(52)は、円形の板状に形成される。ミドルプレート(52)の外径は、ケーシング(20)の胴部(21)の内径よりも小さい。ミドルプレート(52)は、第1シリンダ(55a)の内部空間を軸方向一方側から覆うとともに、第2シリンダ(56a)の内部空間を軸方向他方側から覆う。ミドルプレート(52)は、第1シリンダ(55a)および第2シリンダ(56a)に密着している。ミドルプレート(52)の中央部には、軸方向に貫通する貫通孔が形成される。貫通孔には、駆動軸(40)が挿通される。
【0067】
(2-4-5)リアヘッド、リアプレート
リアヘッド(60)は、第1シリンダ(55a)の軸方向他端部に積層されている。リアヘッド(60)は、第1シリンダ(55a)の内部空間を軸方向他方側から覆う。言い換えると、リアヘッド(60)は、低段機構部(55)の軸方向他端側の端面を覆う。リアヘッド(60)は、円筒状に形成される。リアヘッド(60)の外径は、ケーシング(20)の胴部(21)の内径よりも小さい。ケーシング(20)の内周面とリアヘッド(60)の外周面との間には隙間が形成される。図3図5に示すように、リアヘッド(60)は、平板部(61)と、外周壁部(62)と、副軸受部(63)と、仕切り壁部(64)とを有する。平板部(61)と、外周壁部(62)と、副軸受部(63)と、仕切り壁部(64)とは、一体に形成される。仕切り壁部(64)は、本開示の壁部に対応する。
【0068】
平板部(61)は、円形の平板状に形成される。平板部(61)の外径は、ケーシング(20)の胴部(21)の内径よりも小さい。外周壁部(62)は、平板部(61)の外周縁から軸方向他方側に延びる。外周壁部(62)は、略円形状に形成される。副軸受部(63)は、平板部(61)の中央部から軸方向他方側に延びる。副軸受部(63)は、駆動軸(40)における第1偏心部(43)よりも軸方向他方側の主軸部(42)を回転可能に支持する。
【0069】
リアヘッド(60)には、凹部(65)が形成される。凹部(65)は、平板部(61)、外周壁部(62)、および副軸受部(63)によって形成される。凹部(65)は、軸方向の一方側に窪む。凹部(65)は、軸方向の他端側の端面が開口する。
【0070】
リアプレート(54)は、リアヘッド(60)の開口面を覆う。リアプレート(54)は、円形の平板状に形成される。リアプレート(54)の中央部には、貫通穴(54a)が形成される。リアプレート(54)の貫通穴(54a)には、給油管(41)の一端が挿入される。
【0071】
図3および図4に示すように、リアヘッド(60)における凹部(65)の内部空間は、中間圧空間(A)を構成する。具体的には、中間圧空間(A)は、リアヘッド(60)の平板部(61)、外周壁部(62)、副軸受部(63)、およびリアプレート(54)によって囲まれた空間である。言い換えると、中間圧空間(A)は、リアヘッド(60)およびリアプレート(54)で構成される第1部材(M)の内部に形成される。中間圧空間(A)には、低段機構部(55)から中間圧力の流体が吐出される。中間圧空間(A)は、略環状に形成される。
【0072】
仕切り壁部(64)は、外周壁部(62)の内周面と副軸受部(63)の外周面とを繋ぐ。仕切り壁部(64)は、径方向に延びる。仕切り壁部(64)は、中間圧空間(A)を径方向に横切る。言い換えると、中間圧空間(A)は、仕切り壁部(64)によって仕切られる。そのため、本実施形態の中間圧空間(A)は、略C字状に形成される。
【0073】
リアヘッド(60)には、吐出ポート(66)が形成される。吐出ポート(66)は、仕切り壁部(64)の近傍に形成される。吐出ポート(66)は、仕切り壁部(64)よりも、図5における時計回り方向の前側に配置される。吐出ポート(66)は、リアヘッド(60)の平板部(61)を軸方向に貫通する。吐出ポート(66)は、第1圧縮室(55b)と連通する。リアヘッド(60)の平板部(61)には、吐出ポート(66)を開閉するための吐出弁(図示省略)が取り付けられる。
【0074】
外周壁部(62)には、流入口(67)が形成される。流入口(67)は、ケーシング(20)の外から供給される冷媒を中間圧空間(A)に導く。流入口(67)には、第3吸入管(15)が接続される。第3吸入管(15)は、本開示の吸入管に対応する。
【0075】
第3吸入管(15)は、炭素鋼で構成される。第3吸入管(15)は、継手管(26)を介して、ケーシング(20)の胴部(21)に固定される。第3吸入管(15)は、胴部(21)を貫通する。第3吸入管(15)の一部は、ケーシング(20)の内部空間に露出する。具体的には、第3吸入管(15)は、胴部(21)の内周面とリアヘッド(60)の外周面との間の隙間において、露出する。第3吸入管(15)の流入端は、インジェクション配管(120)の流出端に接続する。インジェクション配管(120)を通過したインジェクション冷媒は、流入口(67)を介して、中間圧空間(A)に流入する。
【0076】
図5に示すように、流入口(67)は、貯留部(27)の油面位置Sよりも上方に配置される。そのため、リアヘッド(60)の流入口(67)付近および第3吸入管(15)が油に接触しにくい。これにより、高温の油とインジェクション冷媒とが熱交換することによって生じるインジェクション冷媒の温度上昇を抑制できる。その結果、圧縮機(10)の能力低下を抑制できる。
【0077】
より詳細には、本実施形態の流入口(67)は、駆動軸(40)の軸心Cよりも上方に配置される。そのため、貯留部(27)の油面位置が運転条件によって変動しても、流入口(67)および第3吸入管(15)が油に接触しにくい。これにより、高温の油とインジェクション冷媒とが熱交換することによって生じるインジェクション冷媒の温度上昇をより抑制できる。
【0078】
外周壁部(62)には、流出口(68)が形成される。流出口(68)は、中間圧空間(A)の冷媒を連絡通路(57a)へ導く。流出口(68)は、仕切り壁部(64)の近傍に形成される。流出口(68)は、仕切り壁部(64)よりも、図5における時計回り方向の後側に配置される。流出口(68)と吐出ポート(66)とは、仕切り壁部(64)を挟んで両側に配置される。中間圧空間(A)における、吐出ポート(66)から流出口(68)までの間に、流入口(67)が配置される。言い換えると、流入口(67)は、中間圧空間(A)において、吐出ポート(66)と流出口(68)との間に配置される。つまり、中間圧空間(A)では、仕切り壁部(64)、吐出ポート(66)、流入口(67)、および流出口(68)は、周方向において、この順に配置される。
【0079】
流出口(68)には、第2吐出管(14)が接続される。第2吐出管(14)は、継手管(26)を介して、ケーシング(20)の胴部(21)に固定される。第2吐出管(14)は、胴部(21)を貫通する。第2吐出管(14)の流出端は、中間連絡管(57)の流入端に接続する。中間圧空間(A)を流出した中間圧冷媒は、流出口(68)および第2吐出管(14)を介して、中間連絡管(57)に流入する。
【0080】
(2-5)中間連絡管
中間連絡管(57)は、第2吐出管(14)と第2吸入管(13)とを連通させる。中間連絡管(57)の内部には、連絡通路(57a)が形成される。連絡通路(57a)は、中間圧空間(A)から流出した中間圧冷媒を高段機構部(56)へ導く。
【0081】
なお、連絡通路(57a)は、中間連絡管(57)に形成されていなくてもよい。この場合、例えば、連絡通路(57a)は、リアヘッド(60)、第1シリンダ(55a)、ミドルプレート(52)、および第2シリンダ(56a)に亘って軸方向に形成される通路であってもよい。
【0082】
ここで、中間圧空間(A)及び連絡通路(57a)は、中間連絡部(D)を構成する。中間連絡部(D)は、低段機構部(55)から高段機構部(56)に冷媒を導く。詳細には、中間連絡部(D)は、第1圧縮室(55b)と第2圧縮室(56b)とを繋ぐ。
【0083】
(3)圧縮機の運転動作
次に、本実施形態の圧縮機(10)の運転動作について説明する。
【0084】
電動機(30)に通電がされると、駆動軸(40)が回転駆動を開始する。駆動軸(40)が回転駆動すると、この回転に伴って、各ピストン(58)が、対応する各圧縮室(55b,56b)内で偏心回転する。低段機構部(55)のピストン(58)の偏心回転に伴って、第1圧縮室(55b)の低圧室の容積が徐々に大きくなると、第1吸入管(11)を流れる冷媒が第1シリンダ(55a)の吸入口(59)から低圧室へ吸入される。そして、低圧室が吸入口(59)から遮断されると、遮断された空間が第1圧縮室(55b)の高圧室を構成する。
【0085】
さらに低段機構部(55)のピストン(58)が偏心回転すると、高圧室の容積が徐々に小さくなり、高圧室の内圧が上昇する。高圧室の内圧が所定の圧力を超えるとリアヘッド(60)の吐出弁が開き、高圧室の冷媒が中間圧空間(A)に吐出される。
【0086】
中間圧空間(A)では、第3吸入管(15)およびリアヘッド(60)の流入口(67)を介して、インジェクション流体が流入する。第1圧縮室(55b)から吐出された中間圧冷媒は、中間圧空間(A)において、流入したインジェクション流体と混合される。混合された中間圧混合冷媒は、リアヘッド(60)の流出口(68)および第2吐出管(14)を介して、中間連絡管(57)の連絡通路(57a)に流入する。連絡通路(57a)に流入した中間圧混合冷媒は、高段機構部(56)に向かって流れる。
【0087】
高段機構部(56)のピストン(58)の偏心回転に伴って、第2圧縮室(56b)の低圧室の容積が徐々に大きくなると、第2吸入管(13)を流れる中間圧混合冷媒が第2シリンダ(56a)の吸入口(59)から低圧室へ吸入される。そして、低圧室が吸入口(59)から遮断されると、遮断された空間が第2圧縮室(56b)の高圧室を構成する。
【0088】
さらに高段機構部(56)のピストン(58)が偏心回転すると、高圧室の容積が徐々に小さくなり、高圧室の内圧が上昇する。高圧室の内圧が所定の圧力を超えるとリード弁(図示省略)が開き、高圧室の冷媒が吐出通路を通じて、圧縮機構(50)の外部へ流出する。
【0089】
圧縮機構(50)から流出した高圧冷媒のうち一部の冷媒は、圧縮機構(50)と電動機(30)との間の空間に流入し、周方向に流れて第1吐出管(12)を経由してケーシング(20)の外部に流出する。また、圧縮機構(50)から流出した高圧冷媒のうち残りの冷媒は、ケーシング(20)の内部空間を軸方向の一方側へ流れ、電動機(30)のコアカット(図示省略)等を通過し、ケーシング(20)の内部空間における電動機(30)よりも一方側の空間に流入する。その後、この高圧冷媒は、ケーシング(20)の内部空間を軸方向の他方側へ流れ、再び圧縮機構(50)と電動機(30)との間の空間に流入する。圧縮機構(50)と電動機(30)との間の空間に流入した高圧冷媒は、第1吐出管(12)を経由してケーシング(20)の外部に流出する。このようにしてケーシング(20)の外部に流出した高圧冷媒は、冷媒回路(110)へ送られる。
【0090】
(4)吐出ポートの配置
次に、リアヘッド(60)の吐出ポート(66)の配置について、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、中間圧空間(A)は、第1領域(A1)と、第2領域(A2)とを有する。第1領域(A1)は、中間圧空間(A)のうち、流入口(67)と流出口(68)との間の領域である。第2領域(A2)は、中間圧空間(A)のうち、第1領域(A1)以外の領域である。本実施形態では、第1領域(A1)は、周方向における流入口(67)から流出口(68)までの間の領域である。本実施形態の第2領域(A2)は、周方向における流出口(68)から流入口(67)までの間の領域である。吐出ポート(66)は、この第2領域(A2)に配置される。詳細には、吐出ポート(66)は、第2領域(A2)において、仕切り壁部(64)に対して流出口(68)とは逆側に配置される。
【0091】
本実施形態では、中間圧空間(A)において、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒は、流入口(67)から流出口(68)に向かって周方向(図5における時計回り方向)に流れる。すなわち、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒は、第1領域(A1)を通過して流出口(68)に流れる。これは、流出口(68)の圧力が流入口(67)の圧力よりも低いからである。
【0092】
一方、中間圧空間(A)において、吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、吐出ポート(66)から流出口(68)に向かって周方向(図5における時計回り方向)に流れる。すなわち、吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、第2領域(A2)を通過した後、第1領域(A1)を通過して流出口(68)に流れる。これは、流出口(68)の圧力が吐出ポート(66)の吐出圧力よりも低いからである。
【0093】
このように、本実施形態では、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒および吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、流出口(68)に向かって同じ方向に流れる。つまり、流入口(67)から流出口(68)に向かうインジェクション冷媒の流れを第1流れ(R1)とし、吐出ポート(66)から流出口(68)に向かう中間圧冷媒の流れを第2流れ(R2)としたとき、第1流れ(R1)と第2流れ(R2)とは、同じ方向に流れる。
【0094】
このとき、中間圧冷媒とインジェクション冷媒とは、流入口(67)付近で混合される。そして、混合された中間圧混合冷媒は、第1領域(A1)を経由して流出口(68)から連絡通路(57a)に流れる。言い換えると、中間圧冷媒とインジェクション冷媒とは、吐出ポート(66)付近で混合されない。
【0095】
吐出ポート(66)は、インジェクション冷媒が流れる第1領域(A1)以外の第2領域(A2)に配置されるので、吐出ポート(66)から吐出される中間圧冷媒が中間圧空間(A)に間欠的に流入しても、その脈動がインジェクション冷媒の流れに伝搬しにくい。これにより、中間圧冷媒とインジェクション冷媒の合流部分の脈動を低減できる。
【0096】
また、上述のように、本実施形態では、インジェクション冷媒と中間圧冷媒とが同じ方向に流れ、流入口(67)付近で混合される。これは、吐出ポート(66)、流入口(67)、および流出口(68)が、この順に並ぶからである。言い換えると、吐出ポート(66)よりも上流側に冷媒の流れが生じていない。
【0097】
ここで、吐出ポート(66)で生じる脈動は、流体の流れ方向の上流側に伝搬しやすい性質を有する。本実施形態では、吐出ポート(66)よりも上流側に冷媒の流れが生じていないので、吐出ポート(66)の脈動がインジェクション冷媒の流れに伝搬しにくい。これにより、中間圧冷媒とインジェクション冷媒の合流部分の脈動を低減できる。
【0098】
(5)本実施形態の特徴
(5-1)
本実施形態の圧縮機構(50)は、低段機構部(55)から高段機構部(56)に流体を導く中間連絡部(D)を含む。中間連絡部(D)は、低段機構部(55)から中間圧力の流体が吐出される中間圧空間(A)を有する。中間圧空間(A)は、流入口(67)と流出口(68)との間の第1領域(A1)と、第1領域(A1)以外の領域である第2領域(A2)とを有する。吐出ポート(66)は、第2領域(A2)に配置される。
【0099】
本実施形態では、中間圧空間(A)における第1領域(A1)には、流入口(67)から流出口(68)に向かうインジェクション例内の流れが生じる。吐出ポート(66)は、第1領域(A1)以外の領域である第2領域(A2)に配置されるので、低段機構部(55)から吐出された中間圧冷媒が吐出ポート(66)から中間圧空間(A)に間欠的に流入することで脈動が生じても、インジェクション冷媒の流れに、吐出ポート(66)からの脈動が伝わりにくい。これにより、中間連絡部(D)において、低段機構部(55)から吐出される中間圧冷媒とケーシング(20)外から供給されるインジェクション冷媒との合流部分の脈動を低減できる。
【0100】
(5-2)
本実施形態の中間圧空間(A)には、流入口(67)から流出口(68)に向かう第1流れ(R1)と、吐出ポート(66)から流出口(68)に向かう第2流れ(R2)とが形成される。第1流れ(R1)および第2流れ(R2)は、同じ方向に流れる。中間圧空間(A)において、流入口(67)から流入した流体と吐出ポート(66)から流入した流体とは、流入口(67)付近で混合される。
【0101】
ここで、吐出ポート(66)で生じる脈動は、流体流れの上流側に伝搬しやすい性質がある。本実施形態では、第1流れ(R1)及び第2流れ(R2)が同じ方向に流れるとともに、中間圧空間(A)において、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒と吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒とが、流入口(67)付近で混合される。このため、中間圧空間(A)では、吐出ポート(66)、流入口(67)、および流出口(68)は、この順に配置される。したがって、吐出ポート(66)よりも上流側に流れが生じないので、吐出ポート(66)の脈動が伝搬しにくくなる。これにより、中間連絡部(D)における中間圧冷媒とインジェクション冷媒との合流部分の脈動を低減できる。
【0102】
(5-3)
本実施形態の中間圧空間(A)は、環状に構成される。リアヘッド(60)は、中間圧空間(A)を径方向に横切る仕切り壁部(64)を有する。吐出ポート(66)と流出口(68)とは、仕切り壁部(64)を挟んで配置される。流入口(67)は、中間圧空間(A)における、吐出ポート(66)と流出口(68)との間に配置される。
【0103】
本実施形態では、流入口(67)は、中間圧空間(A)における、吐出ポート(66)と流出口(68)との間に配置される。そのため、中間圧空間(A)では、吐出ポート(66)、流入口(67)、および流出口(68)は、この順に配置される。したがって、吐出ポート(66)よりも上流側に流れが生じないので、吐出ポート(66)の脈動が伝搬しにくくなる。これにより、中間連絡部(D)における中間圧冷媒とインジェクション冷媒との合流部分の脈動を低減できる。
【0104】
(5-4)
本実施形態の駆動軸(40)は、水平方向に沿って延びる。流入口(67)は、貯留部(27)の油面位置よりも上方に配置される。そのため、流入口(67)が油に接触しない。これにより、流入口(67)を通過するインジェクション冷媒と高温の油との熱交換によって、該インジェクション冷媒の温度が上昇することを抑制できる。その結果、ロータリ圧縮機の能力低下を抑制できる。
【0105】
(5-5)
本実施形態の流入口(67)は、駆動軸(40)の軸心よりも上方に配置される。そのため、貯留部(27)の油面位置が運転条件によって変動しても、流入口(67)付近が油に接触しない。これにより、流入口(67)を通過するインジェクション冷媒と高温の油との熱交換によって、該インジェクション冷媒の温度が上昇することをより抑制できる。
【0106】
(6)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0107】
(6-1)変形例1
図6に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機(10)のリアヘッド(60)は、仕切り壁部(64)を備えなくてもよい。具体的には、リアヘッド(60)は、平板部(61)と、外周壁部(62)と、副軸受部(63)とを有する。その他の構成は、上記実施形態と同一である。
【0108】
吐出ポート(66)は、第2領域(A2)に配置される。本変形例では、中間圧空間(A)において、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒は、流入口(67)から流出口(68)に向かって周方向(図6における時計回り方向)に流れる。すなわち、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒は、第1領域(A1)を通過して流出口(68)に流れる。これは、流出口(68)の圧力が流入口(67)の圧力よりも低いからである。
【0109】
一方、中間圧空間(A)において、吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、吐出ポート(66)から流出口(68)に向かって周方向(図6における反時計回り方向)に流れる。すなわち、吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、第2領域(A2)を通過して流出口(68)に流れる。これは、流出口(68)の圧力が吐出ポート(66)の吐出圧力よりも低いからである。
【0110】
このように、本実施形態では、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒および吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、流出口(68)に向かって逆方向に流れる。つまり、流入口(67)から流出口(68)に向かうインジェクション冷媒の流れを第1流れ(R1)とし、吐出ポート(66)から流出口(68)に向かう中間圧冷媒の流れを第2流れ(R2)としたとき、第1流れ(R1)と第2流れ(R2)とは、逆方向に流れる。
【0111】
このとき、中間圧冷媒とインジェクション冷媒とは、流出口(68)付近で混合される。そして、混合された中間圧混合冷媒は、すぐに流出口(68)から連絡通路(57a)に流れる。言い換えると、中間圧冷媒とインジェクション冷媒とは、吐出ポート(66)付近で混合されない。
【0112】
吐出ポート(66)は、インジェクション冷媒が流れる第1領域(A1)以外の第2領域(A2)に配置されるので、吐出ポート(66)から吐出される中間圧冷媒が中間圧空間(A)に間欠的に流入しても、その脈動がインジェクション冷媒の流れに伝搬しにくい。これにより、中間圧冷媒とインジェクション冷媒の合流部分の脈動を低減できる。
【0113】
また、上述のように、本実施形態では、インジェクション冷媒と中間圧冷媒とが逆方向に流れ、流出口(68)付近で混合される。これは、吐出ポート(66)、流出口(68)、および流入口(67)が、この順に並ぶからである。言い換えると、吐出ポート(66)よりも上流側に冷媒の流れが生じていない。
【0114】
ここで、吐出ポート(66)で生じる脈動は、流体の流れ方向の上流側に伝搬しやすい性質を有する。本実施形態では、吐出ポート(66)よりも上流側に冷媒の流れが生じていないので、吐出ポート(66)の脈動がインジェクション冷媒の流れに伝搬しにくい。これにより、中間圧冷媒とインジェクション冷媒の合流部分の脈動を低減できる。
【0115】
(6-2)変形例2
図7に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機(10)のリアヘッド(60)は、流入口(67)の位置と流出口(68)の位置が逆であってもよい。
【0116】
具体的には、流入口(67)は、仕切り壁部(64)の近傍に形成される。流入口(67)は、仕切り壁部(64)よりも、図7における時計回り方向の後側に配置される。流入口(67)と吐出ポート(66)とは、仕切り壁部(64)を挟んで両側に配置される。中間圧空間(A)における、吐出ポート(66)から流入口(67)までの間に、流出口(68)が配置される。言い換えると、流出口(68)は、中間圧空間(A)において、吐出ポート(66)と流入口(67)との間に配置される。つまり、中間圧空間(A)では、仕切り壁部(64)、吐出ポート(66)、流出口(68)、および流入口(67)は、周方向において、この順に配置される。その他の構成は、上記実施形態と同一である。
【0117】
吐出ポート(66)は、第2領域(A2)に配置される。本変形例では、中間圧空間(A)において、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒は、流入口(67)から流出口(68)に向かって周方向(図7における反時計回り方向)に流れる。すなわち、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒は、第1領域(A1)を通過して流出口(68)に流れる。これは、流出口(68)の圧力が流入口(67)の圧力よりも低いからである。
【0118】
一方、中間圧空間(A)において、吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、吐出ポート(66)から流出口(68)に向かって周方向(図7における時計回り方向)に流れる。すなわち、吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、第2領域(A2)を通過して流出口(68)に流れる。これは、流出口(68)の圧力が吐出ポート(66)の吐出圧力よりも低いからである。
【0119】
このように、本実施形態では、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒および吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、流出口(68)に向かって逆方向に流れる。つまり、流入口(67)から流出口(68)に向かうインジェクション冷媒の流れを第1流れ(R1)とし、吐出ポート(66)から流出口(68)に向かう中間圧冷媒の流れを第2流れ(R2)としたとき、第1流れ(R1)と第2流れ(R2)とは、逆方向に流れる。
【0120】
このとき、中間圧冷媒とインジェクション冷媒とは、流出口(68)付近で混合される。そして、混合された中間圧混合冷媒は、すぐに流出口(68)から連絡通路(57a)に流れる。言い換えると、中間圧冷媒とインジェクション冷媒とは、吐出ポート(66)付近で混合されない。
【0121】
吐出ポート(66)は、インジェクション冷媒が流れる第1領域(A1)以外の第2領域(A2)に配置されるので、吐出ポート(66)から吐出される中間圧冷媒が中間圧空間(A)に間欠的に流入しても、その脈動がインジェクション冷媒の流れに伝搬しにくい。これにより、中間圧冷媒とインジェクション冷媒の合流部分の脈動を低減できる。
【0122】
また、上述のように、本実施形態では、インジェクション冷媒と中間圧冷媒とが逆方向に流れ、流出口(68)付近で混合される。これは、吐出ポート(66)、流出口(68)、および流入口(67)が、この順に並ぶからである。言い換えると、吐出ポート(66)よりも上流側に冷媒の流れが生じていない。
【0123】
ここで、吐出ポート(66)で生じる脈動は、流体の流れ方向の上流側に伝搬しやすい性質を有する。本実施形態では、吐出ポート(66)よりも上流側に冷媒の流れが生じていないので、吐出ポート(66)の脈動がインジェクション冷媒の流れに伝搬しにくい。これにより、中間圧冷媒とインジェクション冷媒の合流部分の脈動を低減できる。
【0124】
(6-3)変形例3
図8に示すように、本実施形態のロータリ圧縮機(10)のリアヘッド(60)は、仕切り壁部(64)を備えなえておらず、且つ流入口(67)の位置と流出口(68)の位置が逆であってもよい。
【0125】
具体的には、リアヘッド(60)は、平板部(61)と、外周壁部(62)と、副軸受部(63)とを有する。流入口(67)は、仕切り壁部(64)の近傍に形成される。流入口(67)は、仕切り壁部(64)よりも、図8における時計回り方向の後側に配置される。流入口(67)と吐出ポート(66)とは、仕切り壁部(64)を挟んで両側に配置される。中間圧空間(A)における、吐出ポート(66)から流入口(67)までの間に、流出口(68)が配置される。言い換えると、流出口(68)は、中間圧空間(A)において、吐出ポート(66)と流入口(67)との間に配置される。つまり、中間圧空間(A)では、仕切り壁部(64)、吐出ポート(66)、流出口(68)、および流入口(67)は、周方向において、この順に配置される。その他の構成は、上記実施形態と同一である。
【0126】
吐出ポート(66)は、第2領域(A2)に配置される。本変形例においても、上記変形例2と同様に、中間圧空間(A)において、流入口(67)から流入したインジェクション冷媒は、流入口(67)から流出口(68)に向かって周方向(図7における時計回り方向)に流れる。一方、中間圧空間(A)において、吐出ポート(66)から流入した中間圧冷媒は、吐出ポート(66)から流出口(68)に向かって周方向(図7における反時計回り方向)に流れる。したがって、変形例2と同様の作用効果を得ることができる。
【0127】
(6-4)変形例4
上記実施形態のリアヘッド(60)の流入口(67)は、駆動軸(40)の軸心Cよりも上方に配置されていた。しかし、上記実施形態のリアヘッド(60)の流入口(67)は、駆動軸(40)の軸心Cよりも下方、且つ貯留部(27)の油面位置Sよりも上方に配置されてもよい。
【0128】
この場合においても、リアヘッド(60)の流入口(67)付近および第3吸入管(15)が油に接触しにくい。これにより、高温の油とインジェクション冷媒とが熱交換することによって生じるインジェクション冷媒の温度上昇を抑制できる。その結果、圧縮機(10)の能力低下を抑制できる。
【0129】
(6-5)変形例5
上記実施形態のロータリ圧縮機(10)は、第1断熱部(70)を更に備えてもよい。第1断熱部(70)は、第3吸入管(15)の外面の全周を包囲する。
【0130】
本変形例の第1断熱部(70)は、断熱材(71)で構成される。断熱材(71)は、第3吸入管(15)の外面の一部を全周に亘って覆う。具体的には、図9に示すように、断熱材(71)は、第3吸入管(15)におけるケーシング(20)の胴部(21)とリアヘッド(60)との間に配置される。このように、第3吸入管(15)におけるケーシング(20)の胴部(21)とリアヘッド(60)との間に断熱材(71)を配置することにより、第3吸入管(15)は、ケーシング(20)の内部空間に露出しない。
【0131】
断熱材(71)は、円筒状に形成される。断熱材(71)は、断熱性の高い材料で構成される。具体的には、断熱材(71)は、炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成される。つまり、断熱材(71)の熱伝導率は、炭素鋼で構成される第3吸入管(15)の熱伝導率よりも低い。断熱材(71)は、例えば樹脂で構成される。
【0132】
このように断熱材(71)を設けることにより、運転条件によって貯留部(27)の油面位置Sが変動したり、貯留部(27)の油が飛散したとしても、貯留部(27)の油が直接に第3吸入管(15)に接触しない。また、断熱材(71)が炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成されることにより、高温の油の熱が第3吸入管(15)を流れるインジェクション冷媒に伝わることを抑制できる。そのため、高温の油と第3吸入管(15)を通過するインジェクション冷媒とが熱交換することによって生じるインジェクション冷媒の温度上昇をより抑制できる。
【0133】
また、断熱材(71)は、第2吐出管(14)の外面の一部を全周に亘って覆ってもよい。この場合、断熱材(71)は、第2吐出管(14)におけるケーシング(20)の胴部(21)とリアヘッド(60)との間に配置される。このように、第2吐出管(14)におけるケーシング(20)の胴部(21)とリアヘッド(60)との間に断熱材(71)を配置することにより、第2吐出管(14)は、ケーシング(20)の内部空間に露出しない。そのため、貯留部(27)の油が直接に第2吐出管(14)に接触しない。
【0134】
(6-6)変形例6
上記実施形態のロータリ圧縮機(10)は、上記変形例5とは別の第1断熱部(70)を備えてもよい。本変形例では、上記変形例5と同様に、第1断熱部(70)は、第3吸入管(15)の外面の全周を包囲する。
【0135】
本変形例の第1断熱部(70)は、空気層(72)で構成される。具体的には、図10に示すように、第3吸入管(15)は、二重構造の管である。第3吸入管(15)は、外管(15a)と内管(15b)とを有する。外管(15a)は、内管(15b)の外側に配置される。詳細には、外管(15a)は、隙間を介して、内管(15b)の全体を覆うように形成される。外管(15a)と内管(15b)とは、一体に形成される。外管(15a)は、内管(15b)よりもひとまわり大きい。空気層(72)は、外管(15a)と内管(15b)との間に形成される。空気層(72)は、内管(15b)の外面を全体に亘って覆う。空気の熱伝導率は、炭素鋼の熱伝導率よりも低い。
【0136】
このように第3吸入管(15)に空気層(72)を設けることにより、運転条件によって貯留部(27)の油面位置Sが変動したり、貯留部(27)の油が飛散したとしても、貯留部(27)の油が直接に第3吸入管(15)の内管(15b)に接触しない。加えて、空気層(72)は炭素鋼よりも熱伝導率が低い。そのため、高温の油の熱が第3吸入管(15)を流れるインジェクション冷媒に伝わることを抑制できる。その結果、高温の油と第3吸入管(15)を通過するインジェクション冷媒とが熱交換することによって生じるインジェクション冷媒の温度上昇をより抑制できる。
【0137】
また、第3吸入管(15)に加えて、第2吐出管(14)を二重構造の管にしてもよい。この場合、第2吐出管(14)にも空気層(72)が設けられる。そのため、高温の油の熱が第2吐出管(14)を流れる中間圧混合冷媒に伝わることを抑制できる。
【0138】
(6-7)変形例7
上記実施形態のロータリ圧縮機(10)の第3吸入管(15)は、炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成されてもよい。第3吸入管(15)は、例えば、樹脂、ステンレス鋼(SUS)、球状黒鉛鋳鉄(FCD)などで構成される。
【0139】
この場合においても、第3吸入管(15)が炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成されることにより、高温の油の熱が第3吸入管(15)を流れるインジェクション冷媒に伝わることを抑制できる。その結果、高温の油と第3吸入管(15)を通過するインジェクション冷媒とが熱交換することによって生じるインジェクション冷媒の温度上昇をより抑制できる。
【0140】
(6-8)変形例8
上記実施形態のロータリ圧縮機(10)は、第2断熱部(80)を更に備えてもよい。第2断熱部(80)は、第1部材(M)に設けられる。第2断熱部(80)は、炭素鋼よりも熱伝導率が低い。具体的には、図11に示すように、本変形例の第2断熱部(80)は、断熱材(81)で構成される。断熱材(81)は、リアプレート(54)の軸方向他方側の端面および外周面に設けられる。
【0141】
本変形例の断熱材(81)は、樹脂である。樹脂の熱伝導率は、炭素鋼よりも熱伝導率が低い。本変形例では、リアプレート(54)に樹脂をコーティングすることで第2断熱部(80)を形成している。リアプレート(54)は、軸方向一方側の端面も樹脂でコーティングされていてもよい。断熱材(81)は、炭素鋼よりも熱伝導率が低い材料で構成されればよく、樹脂以外の材料であってもよい。第2断熱部(80)は、断熱材をコーティング以外の手段で形成されてもよい。例えば、第2断熱部(80)は、断熱材を圧着することで形成されてもよい。
【0142】
このように、リアプレート(54)に断熱材(81)が設けられることにより、運転条件によって貯留部(27)の油面位置Sが変動したり、貯留部(27)の油が飛散したとしても、貯留部(27)の油が直接にリアプレート(54)に接触しない。加えて、断熱材(81)が炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成されることにより、高温の油の熱が中間圧空間(A)を流れる冷媒に伝わることを抑制できる。そのため、高温の油と中間圧空間(A)内の冷媒とが熱交換することによって生じる冷媒の温度上昇をより抑制できる。第2断熱部(80)は、リアプレート(54)に加えて、リアヘッド(60)に設けられてもよい。
【0143】
(6-9)変形例9
上記実施形態のロータリ圧縮機(10)は、上記変形例8とは別の第2断熱部(80)を備えてもよい。本変形例では、上記変形例8と同様に、第2断熱部(80)は、第1部材(M)に設けられる。また、第2断熱部(80)は、炭素鋼よりも熱伝導率が低い。本変形例の第2断熱部(80)は、空気層(82)で構成される。具体的には、図12に示すように、リアプレート(54)が、二重構造になっている。
【0144】
リアプレート(54)は、第1プレート(54b)と第2プレート(54c)とを有する。第1プレート(54b)は、第2プレート(54c)よりも軸方向他方側に位置する。第1プレート(54b)の外径は、第2プレート(54c)の外径とほぼ同じである。第1プレート(54b)と第2プレート(54c)とは、それぞれの外周縁同士が接続されている。第1プレート(54b)と第2プレート(54c)とは、所定の間隔を空けて配置される。空気層(82)は、第1プレート(54b)と第2プレート(54c)との間に形成される。空気層(82)は、第2プレート(54c)の軸方向他方側の端面の全体を覆う。空気の熱伝導率は、炭素鋼の熱伝導率よりも低い。
【0145】
このようにリアプレート(54)に空気層(82)が設けられることにより、運転条件によって貯留部(27)の油面位置Sが変動したり、貯留部(27)の油が飛散したとしても、貯留部(27)の油が直接にリアプレート(54)の第2プレート(54c)に接触しない。加えて、空気層(82)は炭素鋼よりも熱伝導率が低い。そのため、高温の油の熱が中間圧空間(A)を流れる冷媒に伝わることを抑制できる。その結果、高温の油と中間圧空間(A)を流れる冷媒とが熱交換することによって生じる冷媒の温度上昇をより抑制できる。
【0146】
(6-10)変形例10
上記実施形態のロータリ圧縮機(10)の第1部材(M)の一部は、炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成されてもよい。具体的には、リアプレート(54)またはリアヘッド(60)は、例えば、樹脂、ステンレス鋼(SUS)、球状黒鉛鋳鉄(FCD)などで構成される。
【0147】
この場合においても、リアプレート(54)またはリアヘッド(60)が炭素鋼よりも熱伝導率の低い材料で構成されることにより、高温の油の熱が中間圧空間(A)を流れる冷媒に伝わることを抑制できる。その結果、高温の油と中間圧空間(A)を流れる冷媒とが熱交換することによって生じる冷媒の温度上昇をより抑制できる。
【0148】
(6-11)変形例11
図13に示すように、上記実施形態のロータリ圧縮機(10)は、縦置き型の圧縮機であってもよい。言い換えると、本変形例の駆動軸(40)は、鉛直方向に沿って延びる。本変形例の圧縮機(10)は、鉛直方向に対して平行な姿勢で配置される。圧縮機(10)は、鉛直方向に対して所定の角度に僅かに傾いた姿勢で配置されてもよい。本変形例では、駆動軸(40)の下端に、給油ポンプ(40b)が取り付けられている。給油ポンプ(40b)は、貯留部(27)に貯留された油を搬送する。なお、本変形例の縦置き型の圧縮機(10)においても、上記変形例1~10を適用してもよい。
【0149】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0150】
上記実施形態の圧縮機(10)は、半密閉型、または開放型であってもよい。
【0151】
上記実施形態の圧縮機構(50)は、ローリングピストン式であってもよい。この圧縮機構(50)では、実施形態のブレードに代えて、ピストン(58)から分離したベーンにより圧縮室(55b,56b)が仕切られる。
【0152】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0153】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0154】
以上説明したように、本開示は、ロータリ圧縮機、および冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0155】
1 冷凍装置
10 ロータリ圧縮機
15 第3吸入管(吸入管)
20 ケーシング
27 貯留部
30 電動機
40 駆動軸
50 圧縮機構
54 リアプレート(プレート)
55 低段機構部(第1機構部)
56 高段機構部(第2機構部)
57a 連絡通路
60 リアヘッド(閉塞部材)
64 仕切り壁部(壁部)
65 凹部
66 吐出ポート
67 流入口
68 流出口
70 第1断熱部
80 第2断熱部
110 冷媒回路
A 中間圧空間
A1 第1領域
A2 第2領域
C 軸心
D 中間連絡部
M 第1部材
R1 第1流れ
R2 第2流れ
S 油面位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13