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特開2024-145527制御装置、コンデンシングユニット、制御方法、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145527
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】制御装置、コンデンシングユニット、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
F25B1/00 304Z
F25B1/00 361J
F25B1/00 361P
F25B1/00 396D
F25B1/00 304D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057918
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 耕世
(72)【発明者】
【氏名】村上 健一
(72)【発明者】
【氏名】難波 悠輝
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和成
(57)【要約】
【課題】冷媒回路の中圧の制御が可能な制御装置、コンデンシングユニット、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】並列に設けられた圧縮機11、12と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に圧縮機11、12によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラ51、52と、ガスクーラ51、52で冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバ9と、中圧レシーバ9の上流側でかつガスクーラ51、52の下流側に並列に設けられた電磁弁SVGおよび電子膨張弁EEVGと、を備える冷媒回路の制御を行う制御装置30であって、高圧の圧力飽和温度が臨界温度以下である、かつ、蒸発温度設定値が、設定最大蒸発温度に対して吸入密度が50%以下となる値である、かつ、中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ電子膨張弁EEVGが最小開度である、との各条件を全て満たすと判定すると、電磁弁SVGを開から閉に変更する制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に設けられた複数の圧縮機と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバと、該中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁および可変開度の電子膨張弁と、を備える冷媒回路の制御を行う制御装置であって、
前記冷媒回路が、
前記冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下である、
かつ、前記冷媒回路の蒸発温度設定値が、前記冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して前記圧縮機の吸入密度が50%以下となる値である、
かつ、前記冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ前記電子膨張弁が最小開度である、
との各条件を全て満たすと判定すると、前記電磁弁を開から閉に変更する制御を行う制御装置。
【請求項2】
前記冷媒は、CO2冷媒である請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記電磁弁を開から閉に変更する制御を行っている場合に、前記冷媒回路の前記ガスクーラに液冷媒が貯留されていることが確認されると、前記電磁弁を閉から開に変更する制御を行う請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
並列に設けられた複数の圧縮機と、
通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラと、
前記ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバと、
前記中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁および可変開度の電子膨張弁と、
請求項1に記載の制御装置と、
を備えるコンデンシングユニット。
【請求項5】
並列に設けられた複数の圧縮機と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁および可変開度の電子膨張弁と、を備える冷媒回路の制御を行う制御方法であって、
前記冷媒回路が、
前記冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下である、
かつ、前記冷媒回路の蒸発温度設定値が、前記冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して前記圧縮機の吸入密度が50%以下となる値である、
かつ、前記冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ前記電子膨張弁が最小開度である、
との各条件を全て満たすと判定すると、前記電磁弁を開から閉に変更する制御を行う制御方法。
【請求項6】
請求項5の制御方法をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、コンデンシングユニット、制御方法、及び制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置において、2台の圧縮機で構成された冷凍装置が知られている。特許文献1には、2台の圧縮機で構成されたCO2冷媒を用いる冷凍装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-128049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発明では、広域の循環量処理のために、ガスクーラの下流であって中圧レシーバの上流である位置に設置された膨張弁と並列に設置される電磁弁についての検討がなされていない。また膨張弁と電磁弁が並列に設置されている場合は、膨張弁が可変開度、電磁弁が固定開度となっている。ここで、冷媒回路の冷媒の循環量が低循環量となると、電磁弁の開度が変更されないことから膨張弁の開度を絞らなければならない。その結果、中圧が高くなる事象が発生するが、膨張弁の開度を変更できないため、中圧をコントロールできていなかった。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電磁弁と膨張弁が並列設置された冷媒回路の中圧の制御が可能な制御装置、コンデンシングユニット、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の制御装置、コンデンシングユニット、制御方法、及び制御プログラムは以下の手段を採用する。
本開示の制御装置は、並列に設けられた複数の圧縮機と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバと、該中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁および可変開度の電子膨張弁と、を備える冷媒回路の制御を行う制御装置であって、前記冷媒回路が、前記冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下である、かつ、前記冷媒回路の蒸発温度設定値が前記冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して前記圧縮機の吸入密度が50%以下となる値である、かつ、前記冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ前記電子膨張弁が最小開度である、との各条件を全て満たすと判定すると、前記電磁弁を開から閉に変更する制御を行う。
【0007】
本開示のコンデンシングユニットは、並列に設けられた複数の圧縮機と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラと、前記ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバと、前記中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁および可変開度の電子膨張弁と、前述の制御装置と、を備える。
【0008】
本開示の制御方法は、並列に設けられた複数の圧縮機と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁および可変開度の電子膨張弁と、を備える冷媒回路の制御を行う制御方法であって、前記冷媒回路が、前記冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下である、かつ、前記冷媒回路の蒸発温度設定値が前記冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して前記圧縮機の吸入密度が50%以下となる値である、かつ、前記冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ前記電子膨張弁が最小開度である、の各条件を全て満たすと判定すると、前記電磁弁を開から閉に変更する制御を行う。
【0009】
本開示の制御プログラムは、前述の制御方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、外気温が低く冷媒循環量が少ない場合に、冷媒回路の中圧を抑えて目標中圧に近づけることができ、COPを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の幾つかの実施形態における冷媒回路を示す図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態における制御装置の機能の一例を示した図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態における中圧とCOPの相関を示す図である。
図5】本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローを示した図である。
図6】本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る制御装置、コンデンシングユニット、制御方法、及び制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の幾つかの実施形態における冷媒回路を示す図である。
図1にコンデンシングユニット1とショーケース2を含む冷凍装置100を示す。コンデンシングユニット1は、圧縮機11、12と、アキュムレータ3と、オイルセパレータ61、62と、ガスクーラ51、52と、オイルポット71、72と、中圧レシーバ9と、過冷却コイル10と、制御装置30とを主に備えている。ショーケース2は、膨張弁81、利用側熱交換器(蒸発器)80を備えている。本実施形態の冷媒回路は、圧縮機11、12、ガスクーラ51、52、膨張弁81、利用側熱交換器80、それらを接続する配管などを含んで構成される。
【0013】
圧縮機11、12は、冷媒を圧縮し、圧縮した高圧冷媒を冷媒回路に供給する。圧縮機11は、1段目の第一段圧縮部11aと、2段目の第二段圧縮部11bと、を有する2段圧縮機である。圧縮機12は、1段目の第一段圧縮部12aと、2段目の第二段圧縮部12bと、を有する2段圧縮機である。コンデンシングユニット1において、圧縮機11と圧縮機12は、並列に設けられている。また、後述するように圧縮機11と圧縮機12は、オイルポット71、オイルポット72、均油管73を介して冷凍機油が移動可能なように互いに接続されている。本実施形態の冷媒には、例えば、CO2が用いられる。CO2冷媒は、高圧と低圧の圧力差が大きく、圧縮機効率の向上のため二段圧縮構造が採用されている。また、性能・効率向上のため、圧縮機11、12の第二段圧縮部11b、12bに中間圧力(中圧)の冷媒を供給するガスインジェクション機構(後述)が採用されている。圧縮機11の吐出側には、温度センサTho-D1が設けられ、圧縮機12の吐出側には、温度センサTho-D2が設けられる。
【0014】
圧縮機11の吐出側の吐出管MP01には、ホットガスバイパス管BP11が接続される。ホットガスバイパス管BP11には、ストレーナ131、電磁弁SVHG1、キャピラリチューブ141が設けられ、負荷側から戻った冷媒の流路である戻り配管MP13に接続される。これらホットガスバイパス管BP11、ストレーナ131、電磁弁SVHG1、キャピラリチューブ141を含む流路をホットガスバイパスと呼ぶ。ホットガスバイパスにおける冷媒の流れは、電磁弁SVHG1の開閉により制御される。つまり、制御装置30が電磁弁SVHG1を開くと、圧縮機11の吐出側と吸入側が連通し、冷媒がホットガスバイパスを流れる。同様に圧縮機12の吐出側の吐出管MP02には、ホットガスバイパス管BP12が接続される。ホットガスバイパス管BP12には、ストレーナ132、電磁弁SVHG2、キャピラリチューブ142が設けられホットガスバイパスを構成し、戻り配管MP13に接続される。圧縮機12側のホットガスバイパスにおける冷媒の流れも圧縮機11側と同様に、電磁弁SVHG2の開閉により制御される。電磁弁SVHG1、SVHG2は、例えば、圧縮機11、12の起動前にそれらの吸入側と吐出側を均圧にするために開とされ、起動後には閉とされることが多い。従ってコンデンシングユニット1の運転中は、圧縮機11、12が吐出した冷媒は、ホットガスバイパスを流れずに吐出管MP01、MP02を流れる。
【0015】
吐出管MP01を流れる冷媒は、オイルセパレータ61へ供給される。オイルセパレータ61では、冷媒と冷媒に溶け込んだ冷凍機油とが分離され、冷媒は、逆止弁CV1を経由してガス管MP10へと流れる。また、オイルセパレータ61の底部とオイルポット71の側面は、油戻し管RP11で連通している。オイルセパレータ61で分離された冷凍機油は、油戻し管RP11を通ってオイルポット71へ戻される。油戻し管RP11にはストレーナ121が設けられ、ストレーナ121の下流側で油戻し管RP11は2つの流路に分かれる。一方の流路の配管には、キャピラリチューブ151と電磁弁SV-OIL1が設けられ、他方の流路の配管には、キャピラリチューブ161が設けられる。オイルポット71へ戻される冷凍機油の量は、電磁弁SV-OIL1の開閉により調整される。
【0016】
また、オイルポット71の上部と圧縮機11の第一段圧縮部11aの吐出側とは配管により連通されている。油戻し管RP11から流入する冷凍機油とは別に、圧縮機11の動作中、冷凍機油は、第一段圧縮部11aの吐出側の連通管からもオイルポット71に流入する。また、オイルポット71の底部は、配管により圧縮機11の底部と連通している。オイルポット71の下方に溜った冷凍機油は、底部の配管を通じて圧縮機11に戻される。
【0017】
また、オイルポット71には、レベルスイッチ71aが設けられる。レベルスイッチ71aは、オイルポット71内の油面の高さを検出する。レベルスイッチ71aは、油面が所定の高さまで低下すると、油面の低下を示す信号を制御装置30に出力する。
【0018】
圧縮機12側の構成も同様である。圧縮機12が吐出した冷媒は、吐出管MP02を通ってオイルセパレータ62へ至り、オイルセパレータ62で分離された冷媒は、逆止弁CV2を経由してガス管MP10へと流れる。分離された冷凍機油は、油戻し管RP12に設けられたストレーナ122、キャピラリチューブ152、キャピラリチューブ162、弁SV-OIL2を通過してオイルポット72に戻される。油戻し管RP12は、ストレーナ122の上流側で分岐し、その分岐管にはサービスバルブ94が設けられる。また、冷凍機油は、圧縮機12の第二段圧縮部12bの吐出側からオイルポット72に流入する。オイルポット72に供給された冷凍機油は、底部の配管を通じて圧縮機12に戻される。また、オイルポット72に設けられたレベルスイッチ72aは、オイルポット72における油面の低下を検出すると、油面の低下を制御装置30に通知する。
【0019】
また、オイルポット71とオイルポット72は、均油管73を介して接続されている。均油管73は、各オイルポット71、72に貯留される油量の偏りをなくすために設けられる。均油管73の一方の端は、オイルポット71の側面のレベルスイッチ71aが設けられた高さ(油面の低下を検出する高さ)より高く、油戻し管RP11の接続位置より低い位置に接続され、他の端は、オイルポット72の側面のレベルスイッチ72aが設けられた高さより高く、油戻し管RP12の接続位置より低い位置に接続されている。均油管73には、レベルスイッチ71a側から順にストレーナ123、電磁弁EV-OIL3、ストレーナ124が設けられる。均油管73はレベルスイッチ71aとストレーナ123の間で分岐し、その分岐管にはサービスバルブ93が設けられる。
【0020】
圧縮機11、12によって吐出された高温高圧の冷媒は、ガス管MP10を通って、並列に設けられたガスクーラ51、52に供給される。ガスクーラ51、52に供給された冷媒は、ファン41、42によって送り込まれる空気との熱交換により凝縮される。CO2冷媒の場合は冷却される。ガスクーラ51、52は、異常ではない通常運転時は、臨界圧力以上の高圧に圧縮機11、12によって圧縮された冷媒を冷却する。ガス管MP10におけるガスクーラ51、52の上流側には、温度センサTho-G1、高圧計測用の圧力センサPSH、サービスバルブ92が設けられる。
【0021】
ガスクーラ51、52で冷却あるいは凝縮された冷媒は、ガスクーラ51、52の下流側の気液2相管MP11に設けられたストレーナ111を通過して、中圧レシーバ9の入口側(上流側)に並列に設けられた固定開度、すなわち開閉弁である電磁弁SVG及び可変開度の膨張弁(電子膨張弁)EEVGによって、CO2冷媒の場合は、例えば6Mpa程度の中圧に降圧されて中圧レシーバ9へ供給される。気液2相管MP11におけるガスクーラ51、52の下流側には温度センサTho-G2が設けられ、中圧レシーバ9の入口側には温度センサTho-Mが設けられる。また電磁弁SVGの下流側には、キャピラリチューブ171が設けられる。
【0022】
電磁弁SVG及び可変開度の膨張弁EEVGは、広範囲に及ぶ冷媒の循環量処理のために並列に設けられる。冷媒回路の運転圧力には、高圧、中圧、低圧の各運転圧力があり、電磁弁SVG及び膨張弁EEVGは、高圧と中圧の圧力調整を行う。固定開度の電磁弁SVGは、通常開とされている。
【0023】
また、気液2相管MP11における膨張弁EEVGの上流側では、冷却後あるいは凝縮後の冷媒を、圧縮機11、12へ戻す液バイパス管BP21、BP22が接続されている。液バイパス管BP21には、膨張弁EEV-LB1が設けられ、制御装置30は、膨張弁EEV-LB1の開度を制御することにより、液バイパス管BP21へ流入する冷媒量を調整する。同様に液バイパス管BP22には、膨張弁EEV-LB2が設けられ、制御装置30は、膨張弁EEV-LB2の開度を制御することにより、液バイパス管BP22へ流入する冷媒量を調整する。液バイパス管BP21は、後述するインジェクション管IP11と接続し、液バイパス管BP22はインジェクション管IP12と接続する。膨張弁EEV-LB1は、圧縮機11の吐出側の温度が所定の温度以上となったときに制御装置30により開とされる。膨張弁EEV-LB1が開くことにより、ガスクーラ51、52で熱交換を行って圧縮機11の吐出側よりも低温となった冷媒が、液バイパス管BP21およびインジェクション管IP11を通して圧縮機11の中圧部(第二段圧縮部11bの吸入側)へと供給され、圧縮機11の吐出側における過度な温度上昇を抑制する。膨張弁EEV-LB2、液バイパス管BP22についても同様である。
【0024】
中圧レシーバ9は、電磁弁SVGを通過及び膨張弁EEVGで膨張された気液二相状態の冷媒を、気相の冷媒であるガス冷媒と液相の冷媒である液冷媒とに分離する。中圧レシーバ9には、液冷媒の液面が上限に達したかどうかを検出する中圧レシーバレベルスイッチ9aが設けられている。中圧レシーバ9の上部にはインジェクション管IP10が接続され、ガス冷媒を送出する。インジェクション管IP10には、サービスバルブ95が設けられた流路に圧力センサPSM1が設けられる。またインジェクション管IP10には、分岐した流路にストップバルブ96及びセーフティバルブ97が設けられる。インジェクション管IP10によって送出されたガス冷媒は、2つの流路(インジェクション管IP11、IP12)に分岐される。インジェクション管IP11には、膨張弁EEV-INJ1が設けられ、制御装置30は、膨張弁EEV-INJ1の開度を制御することにより、インジェクション管IP11へ流入する冷媒の圧力を制御する。膨張弁EEV-INJ1の圧縮機11側には逆止弁CV3が設けられ、インジェクション管IP11へ流入した中圧のガス冷媒は、圧縮機11の中圧部に供給される。インジェクション管IP11から供給された中圧のガス冷媒は、第二段圧縮部11bによって再圧縮される。これにより、冷凍サイクルのCOP(Coefficient Of Performance)を向上させることができる(ガスインジェクション機構)。インジェクション管IP11における圧縮機11との接続部の手前側には、温度センサTho-INJ1、圧力センサPSM21が設けられる。
【0025】
インジェクション管IP12には、膨張弁EEV-INJ2、逆止弁CV4が設けられ、制御装置30は、膨張弁EEV-INJ2の開度を制御することにより、インジェクション管IP12へ流入する冷媒の圧力を制御する。インジェクション管IP12へ流入した中圧のガス冷媒は、圧縮機12の中圧部に供給されて再圧縮される。インジェクション管IP12における圧縮機12との接続部の手前側には、温度センサTho-INJ2、圧力センサPSM22が設けられる。
【0026】
一方、中圧レシーバ9内で分離された液冷媒は、液管MP12を流れ、ストレーナ14を通過して、過冷却コイル10で冷却される。過冷却コイル10の上流側では、液管MP12に過冷却管MP12Aが接続され、中圧レシーバ9から流出した液冷媒の一部は、過冷却管MP12Aに分岐する。分岐した液冷媒は、過冷却コイル用の膨張弁EEVSCにより減圧されて低温となり、過冷却コイル10において、液管MP12を流れる液冷媒(負荷側へ供給される冷媒)を冷却する。過冷却管MP12Aに分岐した冷媒は、過冷却コイル10を通過するとアキュムレータ3へと流れる。過冷却管MP12Aには、温度センサTho-SCが設けられる。
【0027】
液管MP12を流れる冷媒は、過冷却コイル10で冷却された後、コンデンシングユニット1から流れ出て、接続配管82を通じて外部の負荷(ショーケース2)に供給される。液管MP12には、温度センサTho-Rが設けられる。ショーケース2は、膨張弁81、利用側熱交換器80を備える。コンデンシングユニット1から供給された冷媒は、膨張弁81で減圧され、利用側熱交換器80において熱交換を行い、対象物を冷却する。熱交換後の冷媒は、接続配管83を通じてコンデンシングユニット1へ戻る。コンデンシングユニット1では、負荷側から戻った冷媒は、戻り配管MP13を通じてアキュムレータ3へと流れる。戻り配管MP13におけるアキュムレータ3の手前側には、温度センサTho-S、低圧計測用の圧力センサPSL、サービスバルブ91が設けられている。
【0028】
アキュムレータ3は、圧縮機11、12に供給される冷媒の気液分離を行う。アキュムレータ3で分離されたガス冷媒の一部は、吸入管MP14を通過して、圧縮機11に付設されたアキュムレータ21へ供給される。アキュムレータ21でさらに気相だけが抽出されたガス冷媒は、圧縮機11の第一段圧縮部11aの吸入側に供給される。同様にアキュムレータ3で分離されたガス冷媒の残りは、吸入管MP15を通過して、圧縮機12に付設されたアキュムレータ22へ供給され、圧縮機12の第一段圧縮部12aの吸入側に供給される。また、コンデンシングユニット1には、外部の温度を計測する温度センサTho-Aが設けられる。
【0029】
制御装置30は、圧力センサPSL、温度センサTho-R等の各センサ、膨張弁EEVGなどの各種弁、圧縮機11、12等の機器と接続されており、各センサによる計測値を取得し、圧縮機11、12の回転数や膨張弁EEVG等の開閉を調整し、コンデンシングユニット1を運転する。
【0030】
図2は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図2に示すように、制御装置(Controller)30は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)1100、二次記憶装置(ROM、Secondary storage:メモリ)1200、主記憶装置(RAM、Main Memory)1300、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)1400と、ネットワーク等に接続するための通信部1500とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス1800を介して接続されている。
【0031】
CPU1100は、例えば、バス1800を介して接続された二次記憶装置1200に格納されたOS(Operating System)により制御装置30全体の制御を行うとともに、二次記憶装置1200に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU1100は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0032】
主記憶装置1300は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU1100の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0033】
二次記憶装置1200は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置1200は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置1200の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置1200は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置1200には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置1200は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置1200に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0034】
また、制御装置30は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。また、表示部を含み、ランプ、音、特にアラーム音を出力するスピーカーなどの通知部を備えていてもよい。
【0035】
図3は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置の機能の一例を示した図である。
図3に示すように、制御装置30は、取得部31と、判定部32と、弁制御部33と、を備えている。
【0036】
制御装置30が備える機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置1200(図2参照)などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)1100(図2参照)が主記憶装置1300(図2参照)に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置1200に予めインストールされている形態や、他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0037】
図3に示される取得部31は、各センサから計測値を取得する。例えば、取得部31は、高圧計測用の圧力センサPSHから、圧縮機11、12の吐出側(下流側)における冷媒圧力の計測値を取得する。圧力センサPSHが計測する圧力は、冷媒回路において、冷媒が高圧になった時の圧力(高圧圧力、高圧)である。
【0038】
取得部31は、温度センサTho-Rから、蒸発温度を取得する。
取得部31は、中圧計測用の圧力センサPSMから、中圧レシーバ9の吐出側(下流側)における冷媒圧力の計測値を取得する。圧力センサPSMが計測する圧力は、冷媒回路において、冷媒が中圧になった時の圧力(中圧圧力、中圧)である。
取得部31は、膨張弁EEVGの開度、および、電磁弁SVGの開閉状態を取得する。
取得部31は、圧力センサPSM21及びPSM22から、圧縮機11及び12の吸入冷媒圧力(吸入圧力)の計測値を取得し、温度センサTho-INJ1及びTho-INJ2から、圧縮機11及び12の吸入冷媒温度(吸入温度)の計測値を取得する。
【0039】
判定部32は、取得部31が取得した各種計測値に基づき、判定を行う。
具体的には、判定部32は、冷媒回路において、次の3つの条件が全て満たされるか否かの判定を行う。
(条件1)冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が、冷媒の臨界温度以下である。
(条件2)冷媒回路の蒸発温度設定値が、冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して圧縮機の吸入密度が50%以下となる値である。
(条件3)冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ電子膨張弁が最小開度である。
【0040】
(条件1)冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が、冷媒の臨界温度以下である。
制御装置30は、圧力センサPSHから取得した高圧から、冷媒回路の圧力飽和温度を算出する。冷媒が例えばCO2冷媒である場合、CO2冷媒の臨界温度は約31℃である。高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下であるとは、ガスクーラ51及び52において冷媒が液化している状態であるといえる。すなわち、外気温が通常時よりも低い(たとえば18℃未満)状態であるといえる。判定部32は、冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が、冷媒の臨界温度以下であるか否かを判定する。
【0041】
(条件2)冷媒回路の蒸発温度設定値が、冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して圧縮機の吸入密度が50%以下となる値である。
冷媒回路の蒸発温度の温度範囲は、例えば、-45℃~+5℃に定められている。この温度範囲を規定蒸発温度とする。規定蒸発温度のうち、最大値を設定最大蒸発温度(上記の例の場合、+5℃)とする。規定蒸発温度の範囲内で、コンデンシングユニット1を含む冷凍装置100の用途や気温等に応じて、ユーザーにより任意の蒸発温度を設定可能である。この設定された蒸発温度を蒸発温度設定値とする。
【0042】
制御装置30は、設定最大蒸発温度における圧縮機11及び12の吸入密度を求めておく。制御装置30は、蒸発温度設定値における圧縮機11及び12の吸入密度を求め、判定部32は、蒸発温度設定値における吸入密度が、設定最大蒸発温度における吸入密度の50%以下となるか否かを判定する。
【0043】
圧縮機11及び12の吸入密度は、冷媒の循環量の基準となる値であり、冷媒回路における目標蒸発温度と比例関係にある。また設定最大蒸発温度において、冷媒の循環量は最大となり、圧縮機11及び12は最大回転数となる。すなわち、冷媒の循環量が最大となる場合(設定最大蒸発温度)に対して吸入密度が50%以下となるとは、冷媒回路における目標蒸発温度が規定蒸発温度の最大値よりも低く、また循環量が最大の循環量よりも十分低い低循環量であるといえる。例えば、膨張弁EEVGと電磁弁SVGの弁流量係数が同値であるとするならば、設定最大蒸発温度の場合は、膨張弁EEVG及び電磁弁SVGが開(全開)となる。電磁弁SVGのみ開となるのは、すなわち吸入密度が50%以下となるときである。
【0044】
(条件3)冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ電子膨張弁が最小開度である。
圧縮機11及び12が2台運転の場合、圧縮機11及び12は、同じ回転数で運転する。また電磁弁SVGは、外気温や冷媒の循環量に依存せず、固定開度で開とされている。よって、外気温や冷媒の循環量に応じて膨張弁EEVGの開度を調整する。
【0045】
上述の(条件1)及び(条件2)を満たす場合、外気温が通常時よりも低い低外気であり、また冷媒の循環量が最大の循環量よりも低い低循環量であるといえる。このとき、圧縮機11及び12がともに低い回転数となる。2台の圧縮機11及び12の回転数の合計が、例えば圧縮機11または12の1台の最大回転数に近い値である場合、固定開度の電磁弁SVGの開度は変更されず、ガスクーラ51及び52から中圧レシーバ9への液冷媒の排出が優先され、膨張弁EEVGの開度が絞り方向に調整され、最低開度となる。
【0046】
膨張弁EEVGの開度が最低開度となると、冷媒回路の中圧が高くなる。中圧が高くなると、COPが低下する。
【0047】
図4は、本開示の幾つかの実施形態における中圧とCOPの相関を示す図である。図4において縦軸は冷媒回路のCOP、横軸は冷媒回路の中圧を示す。図4は、外気温が5℃の場合の中圧とCOPの相関を示すが、例えば外気温が15℃の場合も、同様の傾向を示す。
【0048】
図4に示されるように、中圧とCOPの相関は右肩下がりを示し、中圧が高い場合はCOPが低下する。一方、中圧が低い場合はCOPは向上し、中圧の低い領域に最適COPが特定される。
【0049】
このように、膨張弁EEVGが最低開度であり、中圧が高い値である、すなわち中圧測定値が目標中圧を上回ると、最適なCOPを発揮することができない。
【0050】
判定部32は、圧力センサPSM1が計測した中圧測定値が、目標中圧を上回るか否か、かつ、膨張弁EEVGが最小開度であるか否かを判定する。
冷媒回路において上述の3つの条件が全て満たされると判定部32が判定することは、外気温が通常時よりも低い低外気であり、また冷媒の循環量が最大の循環量よりも低い低循環量である場合に、膨張弁EEVGが最低開度でありかつ中圧が高い値となっており、最適なCOPを発揮することができていない状態である。
【0051】
図3に示される弁制御部33は、判定部32の判定結果に基づき、弁の制御を行う。本開示では、弁制御部33は、電磁弁SVGの開閉を制御する。判定部32により、全ての条件を満たすと判定されると、弁制御部33は、電磁弁SVGを開から閉に変更する。外気温が低外気であり冷媒が低循環量である場合に電磁弁SVGが閉となることにより、中圧を膨張弁EEVGでのみ調整することとなる。膨張弁EEVGは、中圧測定値が目標中圧に近づくように弁制御部33によって開度が調整される。
【0052】
図5は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローを示した図である。
ステップS101において、制御装置30の取得部31は、各センサから計測値を取得する。
【0053】
ステップS102において、判定部32は、冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が、冷媒の臨界温度以下であるか否かを判定する。高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下であると判定される場合(S102でY)は、ステップS103へ遷移する。一方、高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度を上回ると判定される場合(S102でN)は、ステップS101へ戻る。
【0054】
ステップS103において、判定部32は、冷媒回路の蒸発温度設定値が、冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して圧縮機11または12の吸入密度が50%以下となる値であるか否かを判定する。冷媒回路の蒸発温度設定値が、冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して圧縮機11または12の吸入密度が50%以下となる値であると判定される場合(S103でY)は、ステップS104へ遷移する。一方、冷媒回路の蒸発温度設定値が、冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して圧縮機11または12の吸入密度が50%を上回る値であると判定される場合(S103でN)は、ステップS101へ戻る。
【0055】
ステップS104において、判定部32は、冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ電子膨張弁が最小開度であるか否かを判定する。冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ電子膨張弁が最小開度であると判定される場合(S104でY)は、ステップS105へ遷移する。一方、冷媒回路の中圧測定値が目標中圧以下である、および/または電子膨張弁が最小開度でないと判定される場合(S104でN)は、ステップS101へ戻る。
【0056】
ステップS105において、弁制御部33は、電磁弁SVGを開から閉に変更する。弁制御部33は、判定部32がステップS102、S103及びS104の全ての条件を満たすと判定した場合に、電磁弁SVGを開から閉に変更する制御を行う。外気温が低外気であり冷媒が低循環量である場合に電磁弁SVGが開から閉となることにより、中圧を可変開度である膨張弁EEVGのみで調整することができる。膨張弁EEVGは、中圧測定値が目標中圧に近づくように弁制御部33によって開度が調整される。これにより、中圧を低く抑えることができ、冷媒回路のCOPを向上させることができる。
【0057】
図6は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローを示した図である。
図6のA及びBは、図5のA及びBに対応している。図5のステップS105において電磁弁SVGが閉とされた後に、さらに電磁弁SVGの制御を行うとしてもよい。この場合、図6のステップS106及びS107のフローが実行される。
【0058】
図5のステップS105において電磁弁SVGが閉とされると、ガスクーラ51および/または52から中圧レシーバ9への液冷媒の排出性が低下するため、ガスクーラ51および/または52に液冷媒が多く滞留する傾向となる。これにより、中圧レシーバ9の液冷媒の貯留量が低下する。ガスクーラ51および/または52に液冷媒が多く貯留していることは、例えば膨張弁EEVSCが全開になっていることで検知することができる。過冷却コイル10において過冷却がついていない場合、過冷却コイル10にはガス状態で冷媒が流れているといえ、このとき膨張弁EEVSCは全開となっている。これは、電磁弁SVGおよび膨張弁EEVGが絞り過ぎており中圧レシーバ9の液冷媒の貯留量が低下しているためであるといえる。すなわち、ガスクーラ51および/または52に液冷媒が貯留され、冷媒の循環量が低下している状態である。そこで、閉とされた電磁弁SVGを開とすることで、ガスクーラ51および/または52の液冷媒を中圧レシーバ9へ供給することができる。ガスクーラ51および/または52に液冷媒が多く貯留していることは、中圧レシーバ9の液冷媒の貯留量が低下していることであるといえるため、中圧レシーバ9の所定の位置に液冷媒の液面が下限に達したかどうかを検出する中圧レシーバレベルスイッチ(図示せず)が設けられ、液面が下限に達したことを検出することで検知するとしてもよい。
【0059】
図5のステップS105の制御実施後、図6のAへ遷移し、ステップS106へ遷移する。ステップS106において、判定部32は、ガスクーラ51および/または52に液冷媒の貯留があるか否かを判定する。ガスクーラ51または52に液冷媒の貯留があると判定される場合(S106でY)は、ステップS107へ遷移する。一方、ガスクーラ51及び52のいずれのも液冷媒の貯留がないと判定される場合は、ステップS106に戻る。
【0060】
ステップS107において、弁制御部33は、電磁弁SVGを閉から開に変更し、図5のBへ遷移する。電磁弁SVGを開とすることで、冷媒の循環量が増え、ガスクーラ51および/または52に貯留された液冷媒がガスクーラ51および/または52から中圧レシーバ9へ排出される。
【0061】
本実施形態によれば、冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下、すなわち外気温が低温であり、かつ、冷媒回路の蒸発温度設定値が冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して前記圧縮機の吸入密度が50%以下となる値、すなわち冷媒回路の目標蒸発温度(蒸発温度設定値)が低く冷媒循環量が少ない場合に、電磁弁SVGを閉とすることで、電子膨張弁EEVGが最低開度となるのを防いで電子膨張弁EEVGにより冷媒回路の中圧の制御を行うことができる。よって、冷媒回路の中圧を抑えて目標中圧に近づけることができ、COPを向上させることができる。
【0062】
また、ガスクーラ51および/または52に液溜まりが発生するとは、中圧レシーバ9の液冷媒が少なくなり、過冷却コイル10の膨張弁EEVSCが全開となって冷媒がガスの状態で流れている、すなわち中圧レシーバ9の上流側に並列に設けられた電磁弁SVGおよび電子膨張弁EEVGを絞りすぎて冷媒の循環量が低下している状態であるといえる。本実施形態によれば、電磁弁SVGを閉から開に変更することで、適切に冷媒を循環させ冷媒回路の運転を持続することができる。
【0063】
〈付記〉
以上説明した実施形態に記載の(発明の名称)は、例えば以下のように把握される。
【0064】
本開示の第1態様の制御装置(30)は、並列に設けられた複数の圧縮機(11、12)と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラ(51、52)と、該ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバ(9)と、該中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁(SVG)および可変開度の電子膨張弁(EEVG)と、を備える冷媒回路の制御を行う制御装置であって、前記冷媒回路が、前記冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下である、かつ、前記冷媒回路の蒸発温度設定値が、前記冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して前記圧縮機の吸入密度が50%以下となる値である、かつ、前記冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ前記電子膨張弁が最小開度である、との各条件を全て満たすと判定すると、前記電磁弁を開から閉に変更する制御を行う。
【0065】
冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下、すなわち外気温が低温であり、かつ、冷媒回路の蒸発温度設定値が前記冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して前記圧縮機の吸入密度が50%以下となる値、すなわち冷媒回路の目標蒸発温度(蒸発温度設定値)が低く冷媒循環量が少ない場合に、電磁弁を閉とすることで、電子膨張弁が最低開度となるのを防いで電子膨張弁により冷媒回路の中圧の制御を行うことができる。よって、冷媒回路の中圧を抑えて目標中圧に近づけることができ、COPを向上させることができる。
【0066】
本開示の第2態様の制御装置は、前記第1態様において、前記冷媒は、CO2冷媒であるとしてもよい。
【0067】
制御装置は、CO2冷媒の特性に応じた制御を行うことができる。
【0068】
本開示の第3態様の制御装置は、前記第1態様または前記第2態様において、前記電磁弁を開から閉に変更する制御を行っている場合に、前記冷媒回路の前記ガスクーラに液冷媒が貯留されていることが確認されると、前記電磁弁を閉から開に変更する制御を行うとしてもよい。
【0069】
ガスクーラに液溜まりが発生するとは、中圧レシーバの液冷媒が少なくなり、過冷却部の弁が全開となって冷媒がガスの状態で流れている、すなわち中圧レシーバの上流側に並列に設けられた電磁弁および電子膨張弁を絞りすぎて冷媒の循環量が低下している状態であるといえる。そこで、電磁弁を閉から開に変更することで、適切に冷媒を循環させ冷媒回路の運転を持続することができる。
【0070】
本開示の第4態様のコンデンシングユニット(1)は、並列に設けられた複数の圧縮機と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラと、前記ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバと、前記中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁および可変開度の電子膨張弁と、前記第1態様から前記第3態様のいずれかの制御装置と、を備える。
【0071】
本開示の第5態様の制御方法は、並列に設けられた複数の圧縮機と、通常運転時は臨界圧力以上の高圧に前記圧縮機によって圧縮された冷媒を冷却するガスクーラと、該ガスクーラで冷却された中圧の液冷媒を貯留する中圧レシーバの上流側でかつ前記ガスクーラの下流側に並列に設けられた固定開度の電磁弁および可変開度の電子膨張弁と、を備える冷媒回路の制御を行う制御方法であって、前記冷媒回路が、前記冷媒回路の高圧の圧力飽和温度が冷媒の臨界温度以下である、かつ、前記冷媒回路の蒸発温度設定値が、前記冷媒回路の設定最大蒸発温度に対して前記圧縮機の吸入密度が50%以下となる値である、かつ、前記冷媒回路の中圧測定値が目標中圧を上回り、かつ前記電子膨張弁が最小開度である、との各条件を全て満たすと判定すると、前記電磁弁を開から閉に変更する制御を行う。
【0072】
本開示の第6態様の制御プログラムは、前記第5態様の制御方法をコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0073】
100 :冷凍装置
1 :コンデンシングユニット
2 :ショーケース
3 :アキュムレータ
9 :中圧レシーバ
9a :中圧レシーバレベルスイッチ
10 :過冷却コイル
11、12 :圧縮機
11a、12a :第一段圧縮部
11b、12b :第二段圧縮部
21、22 :アキュムレータ
30 :制御装置
31 :取得部
32 :判定部
33 :弁制御部
41、42:ファン
51、52:ガスクーラ
61、62:オイルセパレータ
71、72:オイルポット
71a、72a :レベルスイッチ
73 :均油管
80 :利用側熱交換器
81 :膨張弁
82、83:接続配管
91、92、93、94、95 :サービスバルブ
96 :ストップバルブ
97 :セーフティバルブ
MP01、MP02 :吐出管
MP10 :ガス管
MP11 :気液2相管
MP12 :液管
MP12A:過冷却管
MP13 :戻り配管
MP14、MP15 :吸入管
Tho-D1、Tho-D2、Tho-SC、Tho-S、Tho-G1、Tho-R、
Tho-G2、Tho-M、Tho-INJ1、Tho-INJ2、Tho-A:温度センサ
PSL、PSH、PSM1、PSM21、PSM22 :圧力センサ
CV1、CV2、CV3、CV4 :逆止弁
BP11、BP12 :ホットガスバイパス管
SVHG1、SVHG2 :電磁弁
14、111、121、122、123、124、131、132 :ストレーナ
141、142、151、152、161、162、171 :キャピラリチューブ
RP11、RP12 :油戻し管
BP21、BP22 :液バイパス管
IP10、IP11、IP12 :インジェクション管
SV-OIL1、SV-OIL2、EV-OIL3、SVG :電磁弁
EEV-LB1、EEV-LB2、EEV-INJ1、
EEV-INJ2、EEVSC :膨張弁
EEVG :膨張弁(電子膨張弁)
1100 :CPU
1200 :二次記憶装置
1300 :主記憶装置
1500 :通信部
1800 :バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6