(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014553
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】加熱収縮装置
(51)【国際特許分類】
B65B 53/04 20060101AFI20240125BHJP
B65B 53/02 20060101ALI20240125BHJP
B65B 53/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65B53/04 B
B65B53/02 D
B65B53/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117463
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大岡 昌彦
(57)【要約】
【課題】物品に水滴が付着し難い加熱収縮装置を提供する。
【解決手段】加熱収縮装置(1)は、キャップシール(L1)へ蒸気(S)を噴出する蒸気噴出孔(41)と、蒸気噴出孔(41)の下方に配置され、容器(B)のうちキャップシール(L1)が被嵌されていない部位へ温風(HA)を噴出する温風噴出孔(51)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向へ搬送される物品の一部に被嵌されたシュリンクフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置であって、
前記シュリンクフィルムへ蒸気を噴出する蒸気噴出孔と、
前記蒸気噴出孔とは鉛直方向において離間した位置に配置され、前記物品のうち前記シュリンクフィルムが被嵌されていない部位へ気体を噴出する気体噴出孔と、
を備える加熱収縮装置。
【請求項2】
前記蒸気噴出孔と前記気体噴出孔との間に前記シュリンクフィルムに対して逆側へ傾いた角度で配置され、前記気体噴出孔から噴出された前記気体の向きを調整する調整板をさらに備える請求項1に記載の加熱収縮装置。
【請求項3】
前記気体噴出孔が配置される領域である気体噴出領域の前記搬送方向の長さは、前記蒸気噴出孔が配置される領域である蒸気噴出領域の前記搬送方向の長さ以上である請求項1または2に記載の加熱収縮装置。
【請求項4】
前記気体噴出領域は、前記蒸気噴出領域よりも前記搬送方向の上流側に長い請求項3に記載の加熱収縮装置。
【請求項5】
前記蒸気を通す気体加熱用配管の周面に前記気体を接触させて加熱した後、該気体を前記気体噴出孔から噴出する請求項1または2に記載の加熱収縮装置。
【請求項6】
搬送方向へ搬送される物品の一部に被嵌されたシュリンクフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置であって、
前記シュリンクフィルムへ蒸気を噴出する蒸気噴出孔と、
前記物品のうち前記シュリンクフィルムが被嵌されていない部位へ気体を噴出し、該部位への前記蒸気の付着を低減する気体噴出孔と、
を備える加熱収縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に被嵌されたシュリンクフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、封緘を目的として、熱収縮性を有するシュリンクフィルムから成るキャップシールを容器の口部に装着することが知られている。この種の技術に関連して、特許文献1には、蒸気によりキャップシールを加熱収縮させる際に容器の胴部へ冷却水を噴出することで、内容物の温度上昇を抑えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術では、容器の胴部に水滴が付着するため、キャップシールの加熱収縮後に容器に貼付されるタックシール、感熱ラベル等が剥がれ易くなる可能性があった。
【0005】
本発明の一態様は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであって、物品に水滴が付着し難い加熱収縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱収縮装置は、搬送方向へ搬送される物品の一部に被嵌されたシュリンクフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置であって、前記シュリンクフィルムへ蒸気を噴出する蒸気噴出孔と、前記蒸気噴出孔とは鉛直方向において離間した位置に配置され、前記物品のうち前記シュリンクフィルムが被嵌されていない部位へ気体を噴出する気体噴出孔と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱収縮装置は、搬送方向へ搬送される物品の一部に被嵌されたシュリンクフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置であって、前記シュリンクフィルムへ蒸気を噴出する蒸気噴出孔と、前記物品のうち前記シュリンクフィルムが被嵌されていない部位へ気体を噴出し、該部位への前記蒸気の付着を低減する気体噴出孔と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、物品に水滴が付着し難い加熱収縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る加熱収縮装置を示す正面図である。
【
図2】
図1に示される加熱トンネルの内壁を示す模式図である。
【
図3】
図1に示される一点鎖線の枠囲み部分の拡大図である。
【
図4】実施形態2に係る加熱収縮装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図3に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の一態様に係る加熱収縮装置を用いて、容器の口部にキャップシールを装着する一例について説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る加熱収縮装置の例示であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0011】
(加熱収縮装置1の概要)
図1は、本実施形態に係る加熱収縮装置1を模式的に示す正面図である。加熱収縮装置1は、キャップシール(シュリンクフィルム)L1を容器(物品)Bの口部に装着する装置である。未収縮のキャップシールL1が被嵌された容器Bはコンベア(搬送部)Tによって搬送され、加熱収縮装置1へ順次搬入される。加熱収縮装置1は、容器Bが加熱収縮装置1を通過する間にキャップシールL1へ蒸気Sを噴出し、キャップシールL1を加熱収縮させることで容器Bに密着させる。
【0012】
本実施形態に係る加熱収縮装置1は、容器Bの口部に被嵌されたキャップシールL1へ蒸気Sを噴出する際、キャップシールL1が被嵌されていない容器Bの胴部へ温風(気体)HAを噴出することにより、容器Bの胴部への蒸気Sの付着(付着量)を低減する。これにより、キャップシールL1が加熱収縮された後の容器B、つまり加熱収縮装置1から搬出された容器Bの胴部に水滴が付着し難くなり、次工程で該胴部に貼付されるタックシール、感熱ラベル等の剥がれを防止することができる。
【0013】
なお、キャップシールL1は、熱収縮性のポリエステル系フィルムまたはポリスチレン系フィルムに、文字、図柄等が印刷され、且つ、筒状に形成されている。キャップシールL1が装着される容器Bは、例えば、瓶容器、缶容器、またはブロー成形により形成されたポリエステル製のPETボトル等である。ただし、キャップシールL1等のシュリンクフィルムが装着される対象は容器に限定されず、シュリンクフィルムを巻き付けて使用される物品であればよい。本実施形態では、容器Bは、小径の口部と大径の胴部とが、口部から胴部へ向かって拡径した肩部によって連結された形状を有する。容器Bの内部には、例えば液体等の内容物が充填され、且つ、その口部はポリエチレン等を成形して成る嵌合キャップCで閉塞されている。
【0014】
(加熱収縮装置1の構成)
次に、
図1~
図3を参照して、加熱収縮装置1の構成を説明する。
図2は、
図1に示される加熱トンネル2の内壁を示す模式図である。なお、以下の説明では、コンベアTによって容器Bが搬送される方向を搬送方向X、平面視で搬送方向Xと直交する方向を左右方向Y、搬送方向Xと左右方向Yとに直交する方向を上下方向(鉛直方向)Zと称する場合がある。
【0015】
図1および
図2に示すように、加熱収縮装置1は、加熱トンネル2と、加熱トンネル2に接続され、加熱トンネル2内の蒸気S等を強制的に排気する排気ダクト3とを備える。また、加熱収縮装置1は、加熱トンネル2に蒸気Sを供給する蒸気供給部(図示省略)と、加熱トンネル2に加圧空気(空気)Aを供給する空気供給部(図示省略)とを備える。
【0016】
(加熱トンネル2)
加熱トンネル2は、キャップシールL1を加熱収縮させる加熱炉である。加熱トンネル2は、例えば、ベルトコンベア、ローラコンベア等のライン状のコンベアTを覆うように設けられる。加熱トンネル2は、搬送される容器Bの両側に位置するように配置された一対の蒸気噴出ユニット4と、該一対の蒸気噴出ユニット4の下方に配置された一対の温風噴出ユニット5とを含む。
【0017】
加熱トンネル2は、その内部に、キャップシールL1へ蒸気Sを噴出する蒸気噴出孔41と、蒸気噴出孔41の下方(鉛直方向下側)に配置され、容器BのうちキャップシールL1が被嵌されていない胴部へ温風HAを噴出する温風噴出孔(気体噴出孔)51とを備える。また、加熱トンネル2は、その内部に、温風噴出孔51の上方であって蒸気噴出孔41と温風噴出孔51との間に配置され、温風噴出孔51から噴出された温風HAの向き、つまり温風HAの風向を調整する風向調整板(調整板)6と、温風噴出孔51の下方に配置される閉塞板7とを備える。温風噴出孔51は、風向調整板6と閉塞板7とによって上下方向Zに挟まれており、この風向調整板6と閉塞板7とによって挟まれた隙間から温風HAを噴出する。
【0018】
蒸気噴出孔41は、搬送される容器Bの両側に位置するように、容器Bを挟んで互いに対向する蒸気噴出ユニット4の2つの内壁に搬送方向Xに沿って配置される。蒸気噴出孔41は、キャップシールL1の高さ位置、つまり容器Bの口部の高さ位置に配置される。蒸気噴出孔41は、キャップシールL1の位置に応じて、上下方向Zの位置が調整できるようになっていてもよい。また、蒸気噴出孔41から噴出される蒸気Sは、供給蒸気量調整バルブ(図示省略)により噴出量が調整できるようになっていてもよい。
【0019】
本実施形態では、蒸気噴出孔41は蒸気噴出ユニット4の内壁に穿設された円形形状の貫通孔であり、複数の蒸気噴出孔41が上下2段に配置される。具体的には、加熱トンネル2内の上流(搬入)側は、蒸気噴出孔41の段数が下段側の1段のみであり、搬入された容器Bに被嵌されたキャップシールL1の下部側を加熱して、容器Bに対するキャップシールL1の位置決めを行う位置決めゾーンになっている。また、位置決めゾーンの下流側は、蒸気噴出孔41の段数が上下2段になっており、位置決めされたキャップシールL1全体を加熱して、容器Bに対するキャップシールL1の装着を行う本加熱ゾーンおよび仕上げゾーンになっている。
【0020】
なお、蒸気噴出孔41の数(段数)、位置および形状等は、容器BおよびキャップシールL1の寸法等に応じて適宜変更可能である。例えば、蒸気噴出孔41の段数は好ましくは10段前後であり、容器Bの寸法等に応じて蒸気噴出孔41の一部を塞ぐことで、上下方向Xにおける蒸気Sの噴出位置を変更してもよい。また、蒸気噴出孔41の形状は好ましくは円形であるが、縦スリットのような形状であってもよい。さらに、互いに対向する蒸気噴出ユニット4の左右方向Yにおける間隔についても、容器BおよびキャップシールL1の寸法等に応じて適宜変更可能である。
【0021】
蒸気噴出ユニット4には、蒸気噴出孔41と連通する蒸気供給口42(
図2参照)を介して、図示しない蒸気供給部が接続される。蒸気噴出ユニット4は、蒸気供給部から供給された蒸気Sを蒸気噴出孔41から噴出することで、キャップシールL1を加熱収縮させる。蒸気噴出孔41は、蒸気Sとして、過熱水蒸気を噴出してもよい。過熱水蒸気とは、100℃で蒸発した飽和水蒸気をさらに高温度に加熱した水蒸気である。蒸気Sとして過熱水蒸気を用いることにより、キャップシールL1の加熱効率を高めることができる。
【0022】
温風噴出孔51は、蒸気噴出孔41の下方に配置される。具体的には、温風噴出孔51は、搬送される容器Bの両側に位置するように、温風噴出ユニット5の対向する2つの内壁に搬送方向Xに沿って配置される。温風噴出孔51は、キャップシールL1の下方、つまりキャップシールL1の被嵌されていない容器Bの胴部へ温風HAを噴出することにより、容器Bの胴部への蒸気Sの付着を低減する。
【0023】
本実施形態では、搬送方向Hに沿って2つの温風噴出ユニット5が配置される。温風噴出孔51は、各温風噴出ユニット5の内壁に穿設された、搬送方向Xに長手方向を有する矩形形状の貫通孔である。温風噴出孔51の上方には、温風噴出孔51の上端を規定すると共に、温風HAの風向を調整する風向調整板6が設けられる。また、温風噴出孔51の下方には、温風噴出孔51の下端を規定する閉塞板7が設けられる。温風噴出孔51は、風向調整板6と閉塞板7との間隔を調整することにより、上下方向Xの幅が変更可能になっている。
【0024】
加熱トンネル2の内壁において、蒸気噴出孔41が配置される領域を蒸気噴出領域R1、温風噴出孔51が配置される領域である領域を温風噴出領域(気体噴出領域)R2とした場合、搬送方向Xにおける温風噴出領域R2の長さは、搬送方向Xにおける蒸気噴出領域R1の長さ以上であってもよい。搬送方向Xにおける蒸気噴出領域R1の長さとは、搬送方向Xの最も上流側に位置する蒸気噴出孔41の外端(上流側の端)と最も下流側に位置する蒸気噴出孔41の外端(下流側の端)との距離である。また、搬送方向Xにおける温風噴出領域R2の長さとは、搬送方向Xの最も上流側に位置する温風噴出孔51の外端(上流側の端)と最も下流側に位置する温風噴出孔51の外端(下流側の端)との距離である。これにより、平面視において蒸気噴出領域R1全体と重なるように温風噴出領域R2を配置することができ、蒸気噴出領域R1全体に亘って温風HAを噴出し、容器Bへの蒸気Sの付着を低減することができる。
【0025】
また、温風噴出領域R2は、平面視において蒸気噴出領域R1全体と重なっており、且つ、蒸気噴出領域R1よりも搬送方向Xの上流側に長くなっていてもよい。これにより、蒸気Sの噴出前に温風Bによって容器Bを予め加熱しておくことができる。このため、容器Bへの蒸気Sの付着を効果的に低減することができる。
【0026】
温風噴出ユニット5には、温風噴出孔51と連通する空気供給口52(
図1参照)を介して、図示しない空気供給部が接続される。加熱トンネル2には、空気供給部から常温の加圧空気Aが供給される。温風噴出ユニット5は、その内部に、前述した蒸気供給部から供給される蒸気Sを通す空気加熱用配管(気体加熱用配管)53が複数回折り返された状態で配置される。このため、空気供給口52から温風噴出ユニット5の内部へ供給された加圧空気Aは、空気加熱用配管53の周面に接触することで加熱され、温風噴出孔51から温風HAとして噴出される。このように、過熱水蒸気を温風HAの生成に使用することにより、加熱収縮装置1の消費エネルギーを低減することができる。空気加熱用配管53を通過した蒸気Sを、直接または再加熱した後、蒸気供給口42をから蒸気噴出ユニット4へ供給してもよい。これにより、加圧空気Aの加熱に用いた蒸気SをキャップシールL1の加熱収縮に再利用することができ、蒸気Sの使用量を低減することができる。また、蒸気Sとして過熱水蒸気を用いる構成であれば、加圧空気Aの加熱効率を高めることができる。
【0027】
なお、加熱した加圧空気Aを温風噴出ユニット5へ直接供給し、温風噴出孔51から温風HAとして噴出する構成であってもよい。この場合、温風噴出ユニット5の内部で加圧空気Aを加熱する必要性がないため、温風噴出ユニット5から空気加熱用配管53等の加熱機構を省略してもよい。
【0028】
なお、温風噴出孔51の位置および形状は、容器Bの寸法等に応じて適宜変更可能である。また、互いに対向する温風噴出ユニット5の左右方向Yにおける間隔についても、容器Bの寸法等に応じて適宜変更可能である。
【0029】
加熱トンネル2において、温風噴出口32から容器Bの胴部へ噴出された温風HAは、容器Bの表面等で反射してその一部がキャップシールL1へ当たる。キャップシールL1へ当たる温風HAの風速または風量等が大きい場合、キャップシールL1の品質低下(例えば、皺または収縮ムラの発生等)が生じ得る。このため、容器Bの胴部への蒸気Sの付着を低減しつつ、キャップシールL1の品質低下が生じないようにキャップシールL1へ当たる温風HAを適切な範囲に調整することが好ましい。そこで、加熱トンネル2では、温風噴出孔51から噴出される温風HAの風向を調整する風向調整板6を温風噴出孔51の上方に配置することにより、キャップシールL1へ当たる温風HAが調整し易いようになっている。
【0030】
図3は、
図1に示される一点破線の枠囲み部分Pを示す拡大図である。
図3に示すように、風向調整板6は、キャップシールL1に対して逆側、つまり下方へ傾いた角度で配置される。具体的には、風向調整板6は、上下方向Zに沿って延在する第1部分61と、第1部分61の下端から容器B側へ延在する第2部分62とを含む。第2部分62は、第1部分61にして角度θを成している。この角度θは例えば90度以上に調整される。温風噴出孔51から左右方向Yへ噴出された温風HAの一部は、風向調整板6に衝突して斜め下方へ風向が変更される。このため、風向調整板6の角度θ等を変更することにより、加熱トンネル2内における温風HAの流れを調整することができる。従って、容器Bの表面等で反射してキャップシールL1へ当たる温風HAを適切な範囲に調整し易くなり、温風HAに起因するキャップシールL1の品質の低下を低減することができる。
【0031】
なお、キャップシールL1へ当たる温風HAは、容器Bの形状、温風噴出孔51の位置、温風噴出孔51から噴出される温風HAの温度、風速または風量等の各種要因よって変化する。このため、これらの各種要因を調整してキャップシールL1へ当たる温風HAを適切な範囲に調整可能であれば、風向調整板6は必須ではなく省略しても構わない。ただし、風向調整板6を使用することにより、キャップシールL1へ当たる温風HAの調整を容易に行うことができる。
【0032】
(排気ダクト3)
排気ダクト3は、加熱トンネル2の上壁8に設けられた排気口81(
図1参照)に接続される。排気ダクト3は、図示しないファンを含み、加熱トンネル2内の蒸気S等を上方から吸引して、強制的に外部へ排出する。なお、排出される蒸気S等とは、水蒸気および水蒸気が結露した湯気等をいう。
【0033】
(加熱収縮装置1の動作)
次に、加熱収縮装置1を使用してキャップシールL1を容器Bに装着する場合について説明する。先ず、キャップシールL1を、コンベアT上の容器Bの口部に被嵌し、その容器Bを加熱トンネル2へ搬入する。加熱トンネル2は、搬入された容器Bに対して、温風噴出孔51から温風HAを噴出する。これにより、容器Bを予め加熱し、容器Bへの蒸気Sの付着を効果的に低減することができる。
【0034】
次に、加熱トンネル2は、位置決めゾーンにおいて、キャップシールL1の下部側に対して、下段側の蒸気噴出孔41から蒸気Sを噴出する。これにより、キャップシールL1の主に下部側が容器Bに略密着し、キャップシールL1が容器Bの口部に位置決めされる。この際、容器Bの胴部に対して、温風噴出孔51から温風HAが継続的に噴出されるため、容器Bの胴部への蒸気Sの付着が低減される。
【0035】
次に、加熱トンネル2は、本加熱ゾーンおよび仕上げゾーンにおいて、キャップシールL1の全体に対して、上下2段の蒸気噴出孔41から蒸気Sを噴出する。これにより、キャップシールL1は完全に熱収縮し、容器Bおよび嵌合キャップCの周面部および周縁部に密着する。この際、容器Bの胴部に対して、温風噴出孔51から温風HAが継続的に噴出されるため、容器Bの胴部への蒸気Sの付着が低減される。
【0036】
このように、加熱トンネル2は、キャップシールL1に蒸気Sを噴出する間、容器Bの胴部へ温風HAを継続的に噴出する。このため、キャップシールL1を加熱収縮した後の容器B、つまり加熱収縮装置1から搬出された容器Bの胴部に水滴が付着し難くなる。従って、例えば次工程で容器Bの胴部に貼付されるタックシール、感熱ラべル等の剥がれを防止することができる。
【0037】
(加熱収縮装置1のまとめ)
以上のように、本実施形態に係る加熱収縮装置1は、搬送方向Xへ搬送される容器Bの一部(口部)に被嵌されたキャップシールL1を加熱収縮させる加熱収縮装置1であって、搬送方向Xへ沿って配置され、キャップシールL1へ蒸気Sを噴出する蒸気噴出孔41と、蒸気噴出孔41の下方に搬送方向Xへ沿って配置され、容器BのうちキャップシールL1が被嵌されていない部位(胴部)へ温風HAを噴出する温風噴出孔51と、を備える。
【0038】
加熱収縮装置1は、容器BのうちキャップシールL1が被嵌されていない部位へ温風HAを噴出する温風噴出孔51を備えるため、該部位への蒸気Sの付着を低減することが可能となる。従って、本実施形態によれば、容器Bに水滴が付着し難い加熱収縮装置1を実現することができる。
【0039】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図4に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0040】
本実施形態では、本発明の一態様に係る加熱収縮装置を用いて、容器の胴部にラベルを装着する一例について説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る加熱収縮装置の例示であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0041】
(加熱収縮装置11の構成)
図1は、本実施形態に係る加熱収縮装置11を模式的に示す正面図である。加熱収縮装置11は、ラベル(シュリンクフィルム)L2を容器Bの胴部に装着する装置である。
図1に示すように、加熱収縮装置11は、蒸気噴出ユニット4の上方に温風噴出ユニット5が配置されている点において、上述した加熱収縮装置1と主に異なっている。
【0042】
加熱収縮装置11では、蒸気噴出孔41は、ラベルL2の高さ位置、つまり容器Bの胴部の高さ位置に配置されると共に、温風噴出孔51は、蒸気噴出孔41の上方に配置される。また、温風噴出孔51の下方であって蒸気噴出孔41と温風噴出孔51との間に、風向調整板60が配置される。
【0043】
風向調整板60は、ラベルL2に対して逆側、つまり上方へ傾いた角度で配置される。温風噴出孔51から左右方向Yへ噴出された温風HAの一部は、風向調整板60に衝突して斜め上方へ風向が変更される。従って、例えば風向調整板60の角度θ等を変更することにより、容器Bの表面等で反射してラベルL2へ当たる温風HAを調整し易くなり、温風HAに起因するラベルL2の品質の低下を低減することができる。
【0044】
(加熱収縮装置11の動作)
次に、加熱収縮装置11を使用してラベルL2を容器Bに装着する場合について説明する。先ず、ラベルL2を、コンベアT上の容器Bの胴部に被嵌し、その容器Bを加熱トンネル2へ搬入する。加熱トンネル2は、搬入された容器Bに対して、温風噴出孔51から温風HAを噴出する。これにより、容器Bを予め加熱し、容器Bに蒸気Sが付着することを効果的に低減することができる。
【0045】
次に、加熱トンネル2は、位置決めゾーンにおいて、容器Bの胴部に被嵌されたラベルL2の下部側に対して、下段側の蒸気噴出孔41から蒸気Sを噴出する。これにより、ラベルL2の主に下部側が容器Bに略密着し、ラベルL2が容器Bに位置決めされる。この際、加熱トンネル2は、容器Bの口部に対して、温風噴出孔51から温風HAを継続的に噴出するため、容器Bの口部への蒸気Sの付着が低減される。
【0046】
次に、加熱トンネル2は、本加熱ゾーンおよび仕上げゾーンにおいて、ラベルL2の全体に対して、上下2段の蒸気噴出孔41から蒸気Sを噴出する。これにより、ラベルL2は完全に熱収縮し、容器Bの周面部に密着する。この際、加熱トンネル2は、容器Bの口部に対して、温風噴出孔51から温風HAを継続的に噴出するため、容器Bの口部への蒸気Sの付着が低減される。
【0047】
このように、加熱トンネル2は、ラベルL2に蒸気Sを噴出する間、容器Bの口部へ温風HAを継続的に噴出する。このため、ラベルL2を加熱収縮した後の容器B、つまり加熱収縮装置11から搬出された容器Bの口部に水滴が付着し難くなる。従って、例えば次工程で容器Bの口部に貼付されるタックシール、感熱ラべル等の剥がれを防止することができる。
【0048】
(加熱収縮装置11のまとめ)
以上のように、本実施形態に係る加熱収縮装置11は、搬送方向Xへ搬送される容器Bの一部(胴部)に被嵌されたラベルL2を加熱収縮させる加熱収縮装置11であって、搬送方向Xへ沿って配置され、ラベルL2へ蒸気Sを噴出する蒸気噴出孔41と、蒸気噴出孔41の上方に搬送方向Xへ沿って配置され、容器BのうちラベルL2が被嵌されていない部位(口部)へ温風HAを噴出する温風噴出孔51と、を備える。
【0049】
加熱収縮装置11は、容器BのうちラベルL2が被嵌されていない部位(口部)へ温風HAを噴出する温風噴出孔51を備えるため、該部位への蒸気Sの付着を低減することが可能となる。従って、本実施形態によれば、容器Bに水滴が付着し難い加熱収縮装置11を実現することができる。
【0050】
〔補足〕
本発明の態様1に係る加熱収縮装置は、搬送方向へ搬送される物品の一部に被嵌されたシュリンクフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置であって、前記シュリンクフィルムへ蒸気を噴出する蒸気噴出孔と、前記蒸気噴出孔とは鉛直方向において離間した位置に配置され、前記物品のうち前記シュリンクフィルムが被嵌されていない部位へ気体を噴出する気体噴出孔と、を備える。
【0051】
前記構成では、加熱収縮装置は、容器のうちシュリンクフィルムが被嵌されていない部位へ気体を噴出する気体噴出孔を備えるため、該部位への蒸気の付着を低減することが可能となる。従って、前記構成によれば、容器に水滴が付着し難い加熱収縮装置を実現することができる。
【0052】
本発明の態様2に係る加熱収縮装置では、前記態様1において、前記蒸気噴出孔と前記気体噴出孔との間に前記シュリンクフィルムに対して逆側へ傾いた角度で配置され、前記気体噴出孔から噴出された前記気体の向きを調整する調整板をさらに備えていてもよい。
【0053】
前記構成によれば、調整板の角度を変更することにより気体の向きを容易に調整することができる。
【0054】
本発明の態様3に係る加熱収縮装置では、前記態様1または2において、前記気体噴出孔が配置される領域である気体噴出領域の前記搬送方向の長さは、前記蒸気噴出孔が配置される領域である蒸気噴出領域の前記搬送方向の長さ以上であってもよい。
【0055】
前記構成では、平面視において蒸気噴出領域全体と重なるように気体噴出領域を配置することができる。従って、前記構成によれば、蒸気噴出領域全体に亘って気体を噴出し、容器への蒸気の付着を低減することができる。
【0056】
本発明の態様4に係る加熱収縮装置では、前記態様3において、前記気体噴出領域は、前記蒸気噴出領域よりも前記搬送方向の上流側に長くてもよい。
【0057】
前記構成では、蒸気の噴出前に気体によって容器を予め加熱しておくことができる。従って、前記構成によれば、容器への蒸気の付着を効果的に低減することができる。
【0058】
本発明の態様5に係る加熱収縮装置では、前記態様1~4において、前記蒸気を通す気体加熱用配管の周面に前記気体を接触させて加熱した後、該気体を前記気体噴出孔から噴出してもよい。
【0059】
前記構成によれば、加熱した気体を気体噴出孔から噴出することにより、物品への蒸気の付着をより効果的に低減することができる。また、前記構成によれば、蒸気を気体の加熱に使用することにより、加熱収縮装置の消費エネルギーを低減することができる。
【0060】
本発明の態様6に係る加熱収縮装置は、搬送方向へ搬送される物品の一部に被嵌されたシュリンクフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置であって、前記シュリンクフィルムへ蒸気を噴出する蒸気噴出孔と、前記物品のうち前記シュリンクフィルムが被嵌されていない部位へ気体を噴出し、該部位への前記蒸気の付着を低減する気体噴出孔と、を備える。
【0061】
前記構成では、加熱収縮装置は、容器のうちシュリンクフィルムが被嵌されていない部位へ気体を噴出し、該部位への蒸気の付着を低減する気体噴出孔を備える。従って、前記構成によれば、容器に水滴が付着し難い加熱収縮装置を実現することができる。
【0062】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0063】
1,11:加熱収縮装置
6,60:風向調整板(調整板)
41:蒸気噴出孔
52:温風噴出孔(気体噴出孔)
A:加圧空気(空気)
B:容器(物品)
HA:温風(気体)
L1:キャップシール(シュリンクフィルム)
L2:ラベル(シュリンクフィルム)
R1:蒸気噴出領域
R2:温風噴出領域(気体噴出領域)
X:搬送方向
Z:上下方向(鉛直方向)
S:蒸気
θ:角度