(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145537
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】嵌合具、嵌合具付袋体、及び、嵌合具付袋体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A44B 19/16 20060101AFI20241004BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A44B19/16
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057932
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾池 隆行
【テーマコード(参考)】
3B098
3E064
【Fターム(参考)】
3B098AA10
3B098AB07
3B098BA03
3B098BB02
3B098CB02
3B098DA04
3B098DB05
3E064AA05
3E064BA24
3E064BA26
3E064BA27
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA02
3E064HM01
3E064HN12
3E064HP01
3E064HP02
(57)【要約】
【課題】従来のヒートシール機をそのまま使用でき、かつ、軽量化も図れる嵌合具を提供する。
【解決手段】第1部材10及び第2部材20を備えたジッパーテープ2Aである。第1部材10は第1基材11と第1嵌合部12とを有し、第2部材20は、第2基材21と第2嵌合部22とを有している。第1基材11は、第1嵌合部12が設置される第1の設置部13と一対の第1のフランジ部14,14とを有し、第2基材21は、第2嵌合部22が設置される第2の設置部23と一対の第2のフランジ部24,24とを有している。第1及び第2の設置部13,23の少なくともいずれか一方の対向面4aが、その両側のフランジ部14,24の対向面4bよりも突出している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合する一対の第1部材及び第2部材を備えた嵌合具であって、
前記第1部材は、帯状の第1基材と、長手方向に沿って延びるように前記第1基材の対向面に設けられた第1嵌合部とを有し、
前記第2部材は、帯状の第2基材と、長手方向に沿って延びるように当該第2基材の対向面に設けられて前記第1嵌合部に対して着脱自在に嵌合する第2嵌合部とを有し、
前記第1基材は、前記第1嵌合部が設置される第1の設置部と、この第1の設置部の両側に沿って延びる一対の第1のフランジ部とを有し、
前記第2基材は、前記第2嵌合部が設置される第2の設置部と、この第2の設置部の両側に沿って延びる一対の第2のフランジ部とを有し、
第1及び第2の前記設置部の少なくともいずれか一方の対向面が、その両側の前記フランジ部の対向面よりも突出している嵌合具。
【請求項2】
請求項1に記載の嵌合具において、
前記第1部材と前記第2部材とを嵌合して第1の前記フランジ部と第2の前記フランジ部とを互いに平行させた場合に、これら第1及び第2のフランジ部の対向面の間の間隔が1mm以上となるように設定されている嵌合具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の嵌合具において、
第1及び第2の前記設置部の双方の対向面が、その両側の前記フランジ部の対向面よりも突出している嵌合具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の嵌合具において、
第1及び第2の前記設置部の少なくともいずれか一方の巾が、嵌合した前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の最大巾よりも大きい嵌合具。
【請求項5】
袋体に請求項1~4のいずれか1つに記載されている前記嵌合具が取り付けられている嵌合具付袋体であって、
前記第1部材及び前記第2部材が互いに嵌合するように、前記第1基材のフランジ部及び前記第2基材のフランジ部が前記袋体の内面に溶着されており、
前記袋体の内面と、第1及び第2の前記設置部の少なくともいずれか一方との間に隙間が形成されている嵌合具付袋体。
【請求項6】
嵌合具付袋体の製造方法であって、
請求項1~4のいずれか1つに記載されている前記第1部材と前記第2部材とを嵌合することにより、嵌合した状態の前記嵌合具を準備して、
所定の袋体を構成する一対のフィルムの間に前記嵌合具を配置し、
互いに対向している前記第1部材の各フランジ部と前記第2部材の各フランジ部との間に、ガイドプレートを配置して、
前記一対のフィルムの各々の外側から加熱した一対のヒータプレートを押し付けることにより、前記ガイドプレートを介して、前記フィルムの一方の内面と前記第1部材の各フランジ部、及び、前記フィルムの他方の内面と前記第2部材の各フランジ部のそれぞれを溶着させる各工程を含み、
第1の前記設置部の対向面と第2の前記設置部の対向面との間の間隔が、前記ガイドプレートの厚みよりも小さいことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、嵌合具、嵌合具付袋体、及び、嵌合具付袋体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温暖化対策が重要な課題となっている。そのため、二酸化炭素の排出量の削減などの観点から、環境に配慮した製品が求められている。特に、包装材料は、使い捨て型の製品が多いうえに使用量が膨大なため、リデュース(ゴミ量の削減など)の観点から注目されている。
【0003】
一方、食品、薬品などの包材や一般家庭で利用される保存袋などで、開口部分に嵌合具(ジッパーテープ)を一体に取り付けた袋(ジッパーバック)が広く使用されている。ジッパーバックは、ジッパーテープにより、袋を必要に応じて開閉できるようになるので、利便性に優れる。
【0004】
一般に、ジッパーテープは、袋体の内面に対向した状態で溶着される一対の部材で構成されていて、これら部材の各々に着脱自在に嵌合する嵌合部が設けられている。嵌合部の形態は様々である。雄型と雌型とを嵌合するタイプが多いが(例えば、特許文献1)、並列した複数の雌型どうしを嵌合するタイプなどもある(例えば、特許文献2)。
【0005】
しかし、ジッパーバックは、ジッパーテープの無い普通の袋に比べると合成樹脂量が増える。ジッパーバック単体であれば微量ではあるが、その総使用量を考慮すると、リデュースの点で改善の余地がある。従って、ジッパーテープのうち、特に樹脂量の多い嵌合部は小さい方が好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-297653号公報
【特許文献2】特許第6308532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ジッパーテープの袋体への取り付けは、特許文献1にも開示されているように、所定のヒートシール機を用いて溶着するのが一般的である。
【0008】
その取付工程を
図7に例示する。ここでは、雄型嵌合部101aを有する雄側部材101と雌型嵌合部102aを有する雌側部材102とで構成されたジッパーテープ100を例示する。ジッパーテープ100は紙面に垂直な方向に延びており、
図7はその断面を表している。符号103は、袋体を構成するフィルムである。
【0009】
ヒートシール機には、面側が互いに対向した一対の帯板状のヒータプレート110,110と、端部側が互いに対向した一対の帯板状のガイドプレート(セパレータ)111,111とが備えられている。各ヒータプレート110は、所定の温度に加熱でき、また、互いに近づいたり離れたりするように構成されている。各ガイドプレート111は、これらヒータプレート110の間に差し込み可能に構成されている。
【0010】
図7の(a)に示すように、一対のフィルム103,103の間の所定位置に、雄側部材101及び雌側部材102を嵌合した状態のジッパーテープ100が配置される。そのジッパーテープ100の雄側部材101及び雌側部材102の対向面間に、両側から、一対のガイドプレート111,111が差し込まれる。その状態で、加熱した両ヒータプレート110,110を近づけることにより、各フィルム103を外側から所定の圧力と時間で押し付ける。
【0011】
そうすることにより、二点鎖線で示すように、両フィルム103,103と雄側部材101及び雌側部材102の各々における嵌合部101a,102aの両側部分(フランジ部104)とが、ガイドプレート111を介して両ヒータプレート110によって圧接されて、溶着する。
【0012】
その後、
図7の(b)に示すように、両ヒータプレート110,110が各フィルム103から離れることで取付工程は終了する。ヒートシール機によっては、取付工程に引き続いて、ヒータプレート110と同様に構成された一対の板状のクーラプレートを押し付けることにより、溶着部位の冷却が行われる場合もある。
【0013】
このような取付工程において、ガイドプレート111が果たす機能は重要である。すなわち、ガイドプレート111は、ヒータプレート110を押し付けたときに、雄側部材101及び雌側部材102の各々の間に介在することにより、対向しているフランジ部104同士の溶着を防止する。また、ガイドプレート111は、ジッパーテープ100をその両側から挟み込むので、ジッパーテープ100を適切な位置に保持でき、ジッパーテープ100の蛇行や位置ズレを防止する。更に、ガイドプレート111は、ヒータプレート110と協働して、溶着対象とされるフィルム103とジッパーテープ100とを挟み込むので、これらの溶着を安定的かつ高精度に行える。
【0014】
このように、取付工程において、ガイドプレート111は無くてはならない存在となっている。ところが、既存のヒートシール機では、一般的なジッパーテープのサイズに合わせて、ガイドプレート111の厚みは1mm(寸法誤差を考慮すると1.1mm)以上とされている。ちなみに、ガイドプレート111の熱が直に雄側部材101及び雌側部材102に伝わるのを防ぐために、ガイドプレート111にはテフロンテープ(テフロンは登録商標)等を巻くなどされている場合が多い。
【0015】
そのため、リデュースの観点から軽量化を図るために、嵌合部101a,102aを小さくしようとした場合、制限を受ける。具体的には、
図8に示すように、従来のように、雌雄の嵌合部材の対向面が略平坦である場合、嵌合部101a,102aを小さくすれば、それに伴って雄側部材101及び雌側部材102の各々のフランジ部104,104の間の間隔も小さくなるので、ガイドプレート111を差し込むためには、嵌合部101a,102aの高さhをガイドプレート111の厚みt以下にすることができない。
【0016】
ガイドプレート111の厚みを薄くすることも考えられるが、ガイドプレート111の変更やそれに伴う関連装置の調整が必要になる。汎用性が損なわれ、かつ、製造効率の妨げにもなる。
【0017】
そこで開示する技術の目的は、従来のヒートシール機及びガイドプレートをそのまま使用でき、かつ、軽量化も図れる嵌合具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
開示する技術は、互いに嵌合する一対の第1部材及び第2部材を備えた嵌合具に関する。
【0019】
前記第1部材は、帯状の第1基材と、長手方向に沿って延びるように前記第1基材の対向面に設けられた第1嵌合部とを有している。前記第2部材は、帯状の第2基材と、長手方向に沿って延びるように当該第2基材の対向面に設けられて前記第1嵌合部に対して着脱自在に嵌合する第2嵌合部とを有している。
【0020】
前記第1基材は、前記第1嵌合部が設置される第1の設置部と、この第1の設置部の両側に沿って延びる一対の第1のフランジ部とを有している。前記第2基材は、前記第2嵌合部が設置される第2の設置部と、この第2の設置部の両側に沿って延びる一対の第2のフランジ部とを有している。そして、第1及び第2の前記設置部の少なくともいずれか一方の対向面が、その両側の前記フランジ部の対向面よりも突出している。
【0021】
この嵌合具によれば、第1及び第2の設置部の少なくともいずれか一方の対向面が、その両側のフランジ部の対向面よりも突出しているので、第1部材と第2部材とを嵌合した状態において、第1部材及び第2部材の各々のフランジ部における対向面間の間隔よりも設置部における対向面間の間隔の方が小さくなる。
【0022】
すなわち、袋体に溶着されるフランジ部の対向面間、つまりガイドプレートが差し込まれるスペースよりも、第1嵌合部及び第2嵌合部が設置されている設置部の対向面間が小さくなるので、ガイドプレートの厚みが大きくても、これら嵌合部を小型化できる。従って、嵌合具の軽量化が図れるので、環境に配慮した製品を提供できるようになる。
【0023】
前記第1部材と前記第2部材とを嵌合して第1の前記フランジ部と第2の前記フランジ部とを互いに平行させた場合に、これら第1及び第2のフランジ部の対向面の間の間隔が1mm以上となるように設定されている、としてもよい。
【0024】
上述したように、既存のヒートシール機のガイドプレートの厚みは1mm以上とされている。従って、このようにすれば、既存の設備をそのまま使用しながら嵌合部を小型化できる。従って、製造効率を損なうことなく軽量化が図れるので、環境に配慮した製品を安価で提供できるようになる。
【0025】
第1及び第2の前記設置部の双方の対向面が、その両側の前記フランジ部の対向面よりも突出している、としてもよい。
【0026】
そうすれば、より嵌合部を小型化し易くなるので、軽量化を促進できる。また、第1基材及び第2基材の厚みや形状を同じにすることで、袋体への作用が偏らないようにできる。
【0027】
第1及び第2の前記設置部の少なくともいずれか一方の巾が、嵌合した前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部の最大巾よりも大きい、としてもよい。
【0028】
そうすれば、対向面に垂直な高さ方向に加え対向面に水平な巾方向にも嵌合部の寸法を小さくできる。従って、よりいっそう軽量化が図れる。製造時には、段差の存在により、ガイドプレートが嵌合部に接触するおそれはない。従って、嵌合具を損なうことなく袋体に溶着することができる。
【0029】
開示する技術はまた、袋体に上述した前記嵌合具が取り付けられている嵌合具付袋体に関する。
【0030】
すなわち、その嵌合具付袋体では、前記第1部材及び前記第2部材が互いに嵌合するように、前記第1基材のフランジ部及び前記第2基材のフランジ部が前記袋体の内面に溶着されており、前記袋体の内面と、第1及び第2の前記設置部の少なくともいずれか一方との間に隙間が形成されていることを特徴とする。
【0031】
この嵌合具付袋体によれば、隙間の存在によって袋体の破損が抑制できる。
【0032】
すなわち、上述した特許文献2にも記載されているように、嵌合部並びに第1及び第2の設置部は袋体を構成しているフィルムよりも硬いため、その境界部分では柔軟性に差が生じる。その結果、開閉操作時に、その境界部分に応力が集中的に作用することで、その部分で袋体が破損するおそれがある。
【0033】
それに対し、この嵌合具付袋体の場合、その破損し易い第1及び第2の設置部と袋体との間に隙間が存在することで、第1及び第2の設置部に、その弾性変形を許容する「遊び」が設けられる。それにより、嵌合部及び設置部と、フィルムの境界部分への応力集中を低減でき、袋体の破損を抑制できる。
【0034】
開示する技術はまた、嵌合具付袋体の製造方法に関する。
【0035】
すなわち、その製造方法は、上述した前記第1部材と前記第2部材とを嵌合することにより、嵌合した状態の前記嵌合具を準備して、所定の袋体を構成する一対のフィルムの間に前記嵌合具を配置し、互いに対向している前記第1部材の各フランジ部と前記第2部材の各フランジ部との間に、ガイドプレートを配置して、前記一対のフィルムの各々の外側から加熱した一対のヒータプレートを押し付けることにより、前記ガイドプレートを介して、前記フィルムの一方の内面と前記第1部材の各フランジ部、及び、前記フィルムの他方の内面と前記第2部材の各フランジ部のそれぞれを溶着させる各工程を含む。そして、第1の前記設置部の対向面と第2の前記設置部の対向面との間の間隔が、前記ガイドプレートの厚みよりも小さいことを特徴とする。
【0036】
すなわち、この製造方法によれば、上述した軽量化とともに破損抑制効果が得られる嵌合具付袋体を、既存の設備を用いて製造することができる。従って、製造効率を損なうことなく軽量化が図れるので、環境に配慮した製品を安価で提供できるようになる。
【発明の効果】
【0037】
開示する技術を適用した嵌合具によれば、従来のヒートシール機及びガイドプレートをそのまま使用しながら嵌合部を小型化できる。従って、製造効率を損なうことなく軽量化が図れるので、環境に配慮した製品を安価で提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】
図1において矢印A1で示す方向から見た概略断面図である。
【
図3】第2の実施形態を示す図であり、
図2に相当する図である。
【
図4】ジッパーテープの第1変形例を示す図であり、
図2に相当する図である。
【
図5】ジッパーテープの第2変形例を示す図であり、
図2に相当する図である。
【
図6】
図3に示したジッパーテープの変更例を示す図である。
【
図7】ジッパーバックの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、開示する技術について説明する。ただし、以下の説明は本質的に例示に過ぎない。
【0040】
<ジッパーバック>
図1に、開示する技術を適用したジッパーバック(嵌合具付袋体)1Aを示す。ジッパーバック1Aは、食品や薬品などを収容するために用いられる。従って、図示は省略するが、使用状態でのジッパーバック1Aは、その内部に所定量の内容物を収容した状態で密封されている。
【0041】
ジッパーバック1Aは、一対のフィルム51,51を張り合わすことによって形成される密封可能な袋体50を有している。例示の袋体50は長方形状に形成されていて、その周縁部には、全周にわたって、所定の巾でヒートシール(熱溶着)されたシール帯52が設けられている。
【0042】
袋体50を構成しているフィルム51は、ヒートシール可能であればよく、合成樹脂製の単層フィルム又は合成樹脂製のフィルムを含む積層フィルムを用いることができる。フィルム51には、例えば、シール用のシーラントフィルム及び基材用のベースフィルムを含んだ積層フィルムが好適である。
【0043】
例示のフィルム51は、シーラントフィルム51aとベースフィルム51bとからなる積層フィルムである(
図2参照)。一対の積層フィルム51,51は、シーラントフィルム51aの側を向かい合わせにした状態で張り合わされている。
【0044】
シーラントフィルム51aとしては、ヒートシールに適した低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、アイオノマーなどが挙げられる。ベースフィルム51bとしては、強度に優れる二軸延伸ナイロン、ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレンなどが挙げられる。用途に応じて、積層フィルムに、アルミ蒸着層などの機能層を設けてもよい。各フィルム51の厚みや組み合わせ、袋体50の形状やサイズなどは、仕様に応じて適宜選択できる。
【0045】
内容物が収容されていない未使用状態のジッパーバック1Aでは、例えば、袋体50の双方の長辺部分及び一方の短辺部分(開封部53)の三方がヒートシールされていて、袋体50の一方の短辺部分(封止部54)は、ヒートシールされずに開放されている。内容物は、その封止部54の開口を通じて袋体50に充填される。そうした後、封止部54をヒートシールすることで、内容物を収容した状態で袋体50は密封される。
【0046】
袋体50の開封部53には、開封操作を誘導する切り取り構造55が設けられている。切り取り構造55は、シール帯52の内側に沿って延びる所定のカットライン55a(例えば微小な溝で構成)と、カットライン55aの一端に設けられたノッチ55bとで構成されている。ノッチ55bを起点にして袋体50を引き裂くことで、カットライン55aに沿って開封部53の縁部が切り取られ、容易に袋体50を開封できる。なお、
図1では開封後の状態を示している。切り取り構造55は、単にカットライン55aを描くだけであってもよい。
【0047】
開封後の開封部53には、開閉自在な開口部56が形成される。すなわち、
図1に破線で示すように、カットライン55aの内側に沿って延びるようにジッパーテープ(嵌合具)2Aが取り付けられている。そして、このジッパーテープ2Aの場合、従来と同様に扱える汎用性を確保しながら、軽量化も図れるように工夫されている。
【0048】
<ジッパーテープ>
図2に、
図1において矢印A1で示す方向から見た概略断面図を示す。開口部56の縁に沿って延びるように、ジッパーテープ2Aが各フィルム51の内面に取り付けられている。
【0049】
ジッパーテープ2Aは、互いに嵌合する一対の部材(第1部材10及び第2部材20)を備えている。具体的には、第1部材10は、所定巾を有する帯状の第1基材11と、長手方向に沿って延びるように第1基材11の対向面4に設けられた雄型の第1嵌合部12とを有している。同様に、第2部材20は、所定巾を有する帯状の第2基材21と、長手方向に沿って延びるように第2基材21の対向面4に設けられた雌型の第2嵌合部22とを有している。
【0050】
第1基材11は、第1嵌合部12が設置される第1の設置部13と、この第1の設置部13の両側に沿って延びる一対の第1のフランジ部14,14とを有している。同様に、第2基材21は、第2嵌合部22が設置される第2の設置部23と、この第2の設置部23の両側に沿って延びる一対の第2のフランジ部24,24とを有している。
【0051】
そして、第1及び第2の設置部13,23の双方が、その両側のフランジ部14,24に対して段差を有することにより、第1及び第2の設置部13,23の双方の対向面4aが、その両側のフランジ部14,24の対向面4bよりも突出した状態になっている。
【0052】
本実施形態のジッパーテープ2Aの場合、第1基材11と第2基材21の形態は同じである。すなわち、第1基材11及び第2基材21(これらを単に「基材11,21」ともいう)の双方は、所定の厚みを有するフィルム状であり、細長い帯状に形成されている。そして、
図2に示すように、その横断面方向から見て、第1及び第2の設置部13,23の双方に設けられている段差形状は、例えば、所定の金型を用いた押出成型、あるいは、プレス加工などにより対向面4の逆側(シール面3)から基材11,21を不可逆的に凹ませることによって形成することが可能である。
【0053】
従って、第1及び第2の設置部13,23の双方の厚みは、第1及び第2のフランジ部14,24の双方の厚みと同じであっても、異なっていてもよい。必要に応じてこれらの厚みは調整できる。なお、ここでいう同じ厚みとは公差などの実用上の寸法誤差を含む概念である(以下の寸法において同様)。
【0054】
第1部材10及び第2部材20の双方の材質は、異なっていてもよいが、通常は同じである。すなわち、基材11,21や、第1嵌合部12及び第2嵌合部22(これらを単に「嵌合部12,22」ともいう)は、合成樹脂を含む単層構造又は積層構造からなる。
図2では単層構造を例示している。積層構造の場合、例えば、シール用のシーラント層及び基材用のベース層を含む積層構造が好適である。
【0055】
シーラント層としては、熱溶着に適した低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマーなどが挙げられる。ベース層としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどが挙げられる。なお、シーラント層は、袋体50のシーラントフィルム51aと向き合うようにシール面3に露出するように設けられる。
【0056】
それにより、第1部材10及び第2部材20が互いに嵌合するように、第1及び第2のフランジ部14,24が、袋体50の開封部53の内面の所定位置に溶着されている。
【0057】
第1嵌合部12は、帯状の第1基材11の長手方向に沿って延びる細長い部分からなる。第1嵌合部12は、
図2に拡大して示すように、横断面形状が第1の設置部13の対向面4aからその法線方向に延びる軸部30と、その軸部30の先端部分に設けられた掛止部31とを有している。
【0058】
掛止部31は、軸部30の一方の側方に臨む弱作用部31aと、軸部30の他方の側方に臨む強作用部31bとを有している。弱作用部31aは、基端側および先端側の双方に向かって下り傾斜した曲面を含む膨出形状を有し、強作用部31bは、先端側に下り傾斜して基端側にフック部31cが設けられた曲面を含む膨出形状を有している。
【0059】
第2嵌合部22もまた、帯状の第2基材21の長手方向に沿って延びる細長い部分からなる。第2嵌合部22は、第2の設置部23の対向面4aから対向してその法線方向に延びる一対の湾曲腕部40,40を有し、横断面形状がU状に形成されている。各湾曲腕部40の先端には、内側に折り返すように曲がる逆フック部40aが設けられている。
【0060】
第1嵌合部12の先端を第2嵌合部22の湾曲腕部40,40の間に位置させた状態で、これらの外側から押し込むように、袋体50を介して外力を作用させると、湾曲腕部40が弾性変形して、両湾曲腕部40,40の間に掛止部31が入り込む。それにより、第1嵌合部12と第2嵌合部22とが嵌合する。その結果、開口部56が閉じて袋体50は密封される。
【0061】
一方、嵌合した状態の第1嵌合部12と第2嵌合部22の外側から引き抜くように、袋体50を介して外力を作用させると、湾曲腕部40が弾性変形して、両湾曲腕部40,40の間から掛止部31が引き抜かれる。それにより、第1嵌合部12と第2嵌合部22とが分離する。その結果、開口部56が開いて袋体50は開封される。
【0062】
掛止部31を両湾曲腕部40,40の間から引き抜く時、弱作用部31aの側は相対的に弱い外力で引き抜くことができるのに対し、強作用部31bの側は相対的に強い外力でなければ引き抜くことができない。すなわち、強作用部31bは、フック部31cと逆フック部40aによって引き抜き難いように構成されている。
【0063】
第1部材10は、その弱作用部31aを開口部56の側に向け、その強作用部31bを袋体50の内部側に向けた状態に配置される。それにより、袋体50の内部側の外力よりも開口部56の側の外力の方が小さい力で開け易くなり、袋体50の密封性の向上と易開封性とを両立している。
【0064】
<段差形状>
上述したように、このジッパーテープ2Aでは、第1及び第2の設置部13,23の双方が、その両側のフランジ部14,24に対して段差を有することにより、第1及び第2の設置部13,23の双方の対向面4aが、その両側のフランジ部14,24の対向面4bよりも突出した状態になっている。
【0065】
すなわち、フランジ部14,24の対向面4bと、設置部13,23の対向面4a(詳細には、対向面4aにおける第1嵌合部12及び第2嵌合部22の基端部分)との間に高低差が存在している。
【0066】
従って、
図2に示すように、第1部材10と第2部材20とを嵌合して、第1及び第2の各フランジ部14,24を互いに平行させた場合において、これら第1及び第2のフランジ部14,24の対向面4bの間の間隔S1よりも、第1及び第2の各設置部13,23の対向面4aの間の間隔S2を小さくできる。それにより、嵌合部12,22を小さくできる。すなわち、これら嵌合部12,22に要する樹脂量を低減することができ、軽量化が図れる。
【0067】
特に、第1及び第2のフランジ部14,24の対向面4bの間の間隔S1は、1mm以上となるように設定するのが好ましい。1.1mm以上とするのがより好ましい。
【0068】
上述したように、このようなジッパーテープ2Aの袋体50への取り付けは、所定のヒートシール機を用いて溶着するのが一般的である。従って、このジッパーバック1Aの製造方法もまた、ジッパーテープ2Aを、ヒートシール機を用いて袋体50に取り付ける取付工程を含む。
【0069】
すなわち、第1部材10と第2部材20とを嵌合することにより、嵌合した状態のジッパーテープ2Aを準備する。そして、
図7に示したように、所定の袋体50を構成する一対のフィルム51,51の間にジッパーテープ2Aを配置する。互いに対向している第1部材10の各フランジ部14と第2部材20の各フランジ部24との間に、ガイドプレートを配置した後、一対のフィルム51,51の各々の外側から加熱した一対のヒータプレート110,110を押し付ける。そうすることにより、ガイドプレート111を介して、フィルム51の一方の内面と第1部材10の各フランジ部14、及び、フィルム51の他方の内面と第2部材20の各フランジ部24のそれぞれを溶着させる。
【0070】
しかしながら、上述したように、既存のヒートシール機では、一般的なジッパーテープのサイズに合わせて、ガイドプレート111の厚みは1mm(寸法誤差を考慮すると1.1mm)以上とされている。そのため、リデュースの観点から軽量化を図るために、嵌合部12,22を小さくしようとした場合、制限を受ける。
【0071】
それに対し、第1及び第2のフランジ部14,24の対向面4bの間の間隔を1mm以上となるように設定すれば、既存のガイドプレート111を用いて溶着できる。従って、専用のガイドプレート111は不要であり、製造設備の変更や調整も不要であるので、汎用性に優れる。
【0072】
そして、第1の設置部13の対向面4aと第2の設置部23の対向面4aとの間の間隔S2を、ガイドプレート111の厚みよりも小さくできるので、上述したように、嵌合部12,22を小さくできる。その結果、生産性を損なうことなく軽量化が図れるので、環境に配慮した製品を提供できるようになる。
【0073】
<ジッパーテープの更なる利点>
このような形態のジッパーテープ2Aを、上述したような方法で袋体50に取り付けた場合、段差形状に起因して、袋体50の内面と、第1及び第2の設置部13,23の少なくともいずれか一方との間に隙間5が形成される。
【0074】
この隙間5の存在により、袋体50の破損が抑制できる。
【0075】
すなわち、上述した特許文献2にも記載されているように、嵌合部12,22や第1及び第2の設置部13,23は、袋体50を構成しているフィルム51よりも硬いため、その境界部分では柔軟性に差が生じる。その結果、開閉操作時に、その境界部分に応力が集中的に作用することで、その部分で袋体50が破損するおそれがある。
【0076】
それに対し、このジッパーテープ2A(ジッパーバック1A)の場合、その破損し易い第1及び第2の設置部13,23と袋体50との間に隙間5が存在することで、第1及び第2の設置部13,23に、その弾性変形を許容する「遊び」が設けられる。それにより、嵌合部12,22及び設置部13,23と、フィルム51の境界部分への応力集中を低減でき、袋体50の破損を抑制できる。
【0077】
なお、段差形状は第1基材11及び第2基材21のいずれか一方に設けてもよいが、このジッパーテープ2Aのように、第1基材11及び第2基材21の双方に段差形状を設け、第1及び第2の設置部13,23の双方の対向面4aが、その両側のフランジ部14,24の対向面4bよりも突出しているようにすれば、第1及び第2の設置部13,23と袋体50を構成している双方のフィルム51,51との間に各隙間5が設けられるため、フィルム51の破損を抑制できるので効果的である。
【0078】
<第2の実施形態>
図3に、ジッパーテープ2A及びジッパーバック1Aの第2の実施形態を示す。
図3は、
図2に相当する図である。
【0079】
この実施形態のジッパーテープ(第2ジッパーテープ2Bともいう)は、第1及び第2の設置部13,23の双方(少なくともいずれか一方でもよい)の巾W1が、嵌合した第1嵌合部12及び第2嵌合部22の最大巾W2よりも大きい点で、上述したジッパーテープ2Aと相違する。フィルム51、第1基材11、第2基材21などの基本的な構成は、上述したジッパーテープ2A及びジッパーバック1Aと同じである。従って、同じ構成については同じ符号を用いてその説明は省略ないし簡略化する(以下の変形例も同様)。
【0080】
また、第1及び第2の設置部13,23の双方の巾W1に対する第1嵌合部12及び第2嵌合部22の最大巾W2の比(W2/W1)が、0.5<W2/W1<1.0が好ましい。上記の範囲内であれば、嵌合部12,22が小さくなり過ぎず、充分な嵌合強度が得られる。また、設置部13,23の巾W1を所定範囲に設定することで、隙間5の巾が適切な長さとなり、袋体との接着強度が良好となる。
【0081】
例示の第2ジッパーテープ2Bでは、第1及び第2の設置部13,23の双方の巾W1が嵌合した状態での第1嵌合部12及び第2嵌合部22の最大巾W2よりも大きく形成されている。第1の設置部13の巾だけがその最大巾W2よりも大きく形成されていてもよいし、第2の設置部23の巾だけがその最大巾W2よりも大きく形成されていてもよい。なお、第1又は第2の設置部13,23の巾W1は、第1又は第2のフランジ部14,24の対向面4bにおける境界部位6、つまり各フランジ部14,24の対向面4bから段差が発生する変曲点を基点とする。
【0082】
第2ジッパーテープ2Bによれば、対向面4に垂直な高さ方向に加え対向面4に水平な巾方向にも嵌合部12,22の寸法を小さくできるので、上述したジッパーテープ2Aよりも軽量になる。従って、よりいっそう軽量化が図れる。
【0083】
しかも、各ガイドプレート111を第2ジッパーテープ2Bの奥方まで差し込んでも、段差の存在により、各ガイドプレート111が嵌合部に接触するおそれはない。従って、第2ジッパーテープ2Bを損なうことなく袋体50に溶着することができる。
【0084】
更に、隙間5の存在により、設置部13,23の「遊び」の作用を増強できるので、嵌合部12,22及び設置部13,23と、フィルム51の境界部分への応力集中もよりいっそう低減でき、袋体50の破損を更に抑制できる。
【0085】
なお、仕様によっては、第1及び第2の設置部13,23の少なくともいずれか一方の巾W1が、嵌合した第1嵌合部12及び第2嵌合部22の最大巾W2よりも小さくしてもよい。そうすれば、合成樹脂の総使用量を変えずに嵌合部12,22のサイズをより大きくすることができ、嵌合強度を高めることが可能となる。
【0086】
また、第1及び第2の設置部13,23の双方の巾W1に対する第1嵌合部12及び第2嵌合部22の最大巾W2の比(W2/W1)が、1.0<W2/W1<2.3が好ましい。上記の範囲内であれば、雌型の第2嵌合部22が設置部23に強固に固定され、耐久性に優れる。
【0087】
<ジッパーテープの変形例>
図4に、ジッパーテープ2Aの第1変形例(第1変形ジッパーテープ2C)を示す。第1変形ジッパーテープ2Cは、フランジ部14,24と設置部13,23との境界部分及び嵌合部12,22の形態が、上述したジッパーテープ2Aと異なる。
【0088】
上述した各実施形態では、フランジ部14,24と設置部13,23との境界部分の形態として、対向面4に略垂直な側端面60が認められる段差形状を例示した。それに対し、第1変形ジッパーテープ2Cでは、これら側端面60が設置部13,23からフランジ部14,24に向かって下り傾斜した傾斜面となっている。すなわち、フランジ部14,24の対向面4bと設置部13,23の対向面4aとの間に高低差があればよく、その境界部分の形態は任意に設定できる。
【0089】
第1変形ジッパーテープ2Cでは、第1嵌合部12及び第2嵌合部22の双方が同じ雄型の嵌合体によって構成されている。すなわち、これら嵌合部12,22の各々は、並列した複数(図例は2つ)の嵌合幹61によって構成されている。
【0090】
各嵌合幹61は、基材11,21の長手方向に沿って延びる細長い部分からなる。各嵌合幹61は、横断面形状が第1及び第2の設置部13,23の対向面4aからその法線方向に延びる変形幹部61aと、その変形幹部61aの先端部分に設けられた鏃形状の変形掛止部61bとを有している。
【0091】
そして、これら嵌合幹61が、変形幹部61aの巾の間隔を隔てて、第1及び第2の設置部13,23の双方に、互い違いに並列した状態で設置されている。
【0092】
図5に、ジッパーテープ2Aの第2変形例(第2変形ジッパーテープ2D)を示す。第2変形ジッパーテープ2Dは、第一に、段差形状が第1部材10及び第2部材20の一方にのみ設けられている点で、上述したジッパーテープ2Aと異なる。すなわち、第1基材11には、上述したジッパーテープ2Aと同様に、段差形状が設けられている。それに対し、第2基材21には、従来と同様に、段差形状が設けられていない。
【0093】
このような形態であっても、第1及び第2の設置部13,23の双方の対向面4aの間の間隔を、第1及び第2のフランジ部14,24の双方の対向面4bの間の間隔よりも小さくできる。従って、嵌合部12,22を小さくでき、軽量化が図れる。
【0094】
第2変形ジッパーテープ2Dは、第二に、上述したジッパーテープ2Aと嵌合部12,22の形態が異なる。すなわち、第1嵌合部12及び第2嵌合部22の双方が同じ雌型の嵌合体によって構成されている。具体的には、第2変形ジッパーテープ2Dの嵌合部12,22の各々は、並列した複数(図例は3つ)の湾曲幹対62によって構成されている。
【0095】
各湾曲腕対62は、基材11,21に沿って延びる細長い部分からなり、基材11,21の両端間にわたって設けられている。各湾曲腕対62は、先端に逆フック部62aが設けられた湾曲腕を巾方向に向かい合わせに配置することにより、横断面形状がU形状に形成されている。
【0096】
そして、これら湾曲腕対62が、所定の間隔を隔てて、第1及び第2の設置部13,23の双方に、互い違いに並列した状態で設置されている。
【0097】
このような形態であっても、第1及び第2の設置部13,23の双方の対向面4aの間の間隔を、第1及び第2のフランジ部14,24の双方の対向面4bの間の間隔よりも小さくできる。従って、嵌合部12,22を小さくでき、軽量化が図れる。
【0098】
また、
図5に示すジッパーバック1Aでは、その袋体50のフィルム51の構成も異なる。すなわち、上述した実施形態では、積層フィルムを用いた袋体50を例示したが、ここでは単層フィルムを用いた袋体50を例示している。このように、袋体50を構成するフィルム51は、少なくともヒートシールできるものであればよい。
【0099】
図6に、第2ジッパーテープ2Bの変更例を示す(変更第2ジッパーテープ2E)。変更第2ジッパーテープ2Eは、嵌合部12,22が設置部13,23に対して巾方向の一方の側に偏って配置されている点で、第2ジッパーテープ2Bと異なる。具体的には、第1嵌合部12及び第2嵌合部22の巾方向の中心が、第1又は第2の設置部13,23の巾方向の中心から端側にズレており、これらの中心線C1,C2の間に所定の間隔Iが存在している。
【0100】
変更第2ジッパーテープ2Eは、その嵌合部12,22の有る側(偏在側)を開口部56の側に向け、その嵌合部12,22の無い側(非偏在側)を袋体50の内部の側に向けた状態で袋体50に設置するのが好ましい。そうすれば、偏在側は、非偏在側に比べて「遊び」が少ないので、相対的に外力を作用させ易い。
【0101】
従って、開封時には開口部56を開き易くなるのに対し、袋体50の内部の側からは開口部56が開き難くなるので、袋体50の密封性の向上と易開封性の双方を更に促進できる。
【0102】
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、上述した各実施形態、ジッパーテープ2Aの各変形例で説明した内容は、仕様に応じて適宜組み合わせてもよい。袋体50や嵌合部12,22の形態は一例に過ぎない。
【0103】
袋体50と設置部13,23との間の隙間5は小さくなるか無くなるので、軽量化の観点からは好ましくないが、設置部13,23の厚みをフランジ部14,24よりも厚くすることによって対向面4の高低差を設けてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1A ジッパーバック(嵌合具付袋体)
2A ジッパーテープ(嵌合具)
3 シール面
4 対向面
5 隙間
10 第1部材
11 第1基材
12 第1嵌合部
13 第1の設置部
14 第1のフランジ部
20 第2部材
21 第2基材
22 第2嵌合部
23 第2の設置部
24 第2のフランジ部
50 袋体
51 フィルム
55 切り取り構造
56 開口部
110 ヒータプレート
111 ガイドプレート