(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145555
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】単票用紙積層体
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20241004BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G06K19/077 300
G06K19/077 156
G06K19/077 220
G06K19/077 264
G09F3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057960
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一広
(72)【発明者】
【氏名】山内 望由季
(72)【発明者】
【氏名】松原 奈央
(72)【発明者】
【氏名】西澤 文子
(57)【要約】
【課題】RFIDラベルが貼付された単票用紙を複数積層してなる単票用紙積層体にあって、RFIDラベルのICチップに加わる圧力を好適に低減し得る構成を提供する。
【解決手段】単票用紙積層体1の複数の単票用紙2a,2bを、用紙基材5に対するRFIDラベル6のICチップ15の配置が相違する複数種類の単票用紙2a,2bで構成し、種類の異なる単票用紙2a,2bは、夫々のICチップ15が積層方向に重ならないようにする。かかる構成によれば、従来構成に比べて、積層方向に重なるICチップ15の数が低減されるため、ICチップ15に加わる圧力を低減可能となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙基材にRFIDラベルが貼付された複数の単票用紙を積層してなる単票用紙積層体であって、
前記複数の単票用紙は、前記用紙基材に対する前記RFIDラベルのICチップの配置が相違する複数種類の単票用紙からなり、
種類の異なる前記単票用紙は、夫々の前記ICチップが積層方向に重ならないよう構成されていることを特徴とする単票用紙積層体。
【請求項2】
種類の異なる前記単票用紙には、同じRFIDラベルが、前記用紙基材に対して異なる態様で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の単票用紙積層体。
【請求項3】
前記RFIDラベルは、前記ICチップとアンテナをラベル基材の上に配設してなるものであり、
前記単票用紙は、前記ICチップが、他の種類の前記単票用紙の前記ICチップ及び前記アンテナと積層方向に重ならず、他の種類の前記単票用紙の前記ラベル基材と積層方向に重なるよう構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単票用紙積層体。
【請求項4】
前記単票用紙は、前記RFIDラベルが、他の種類の前記単票用紙の前記RFIDラベルと積層方向に全く重ならないよう構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単票用紙積層体。
【請求項5】
前記複数の単票用紙は、前記用紙基材に対する前記RFIDラベルのICチップの配置が相違する3種類以上の単票用紙からなり、
前記3種類以上の単票用紙が、積層方向に1種類ずつ順番に積層されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単票用紙積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDラベルが貼付された単票用紙を積層してなる単票用紙積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、作業指示書や配送伝票、証明書などの用紙に、RFIDラベルを配設した単票用紙が用いられている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の単票用紙は、表面が情報を印字する印字面を構成し、裏面にRFIDラベルが貼付される。こうしたRFIDラベルを貼付した単票用紙は、例えば、印字面に印字する情報を、RFIDラベルのICチップにも書き込んでおけば、単票用紙に印字される情報を無線通信で読取可能となるため、幅広い分野で導入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の単票用紙は、用紙基材にRFIDラベルを配設した部位、特にRFIDラベルに含まれるICチップの配設部位が凸状に盛り上がっている。このため、運搬時や保管時に、単票用紙が数十枚、数百枚積層された状態では、積層方向に重なったICチップの配設部位に積層方向からの圧力が集中して、ICチップが破損し易いという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、RFIDラベルが貼付された単票用紙を複数積層してなる単票用紙積層体にあって、従来構成に比べて、RFIDラベルのICチップに加わる圧力を好適に低減し得る構成の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、用紙基材にRFIDラベルが貼付された複数の単票用紙を積層してなる単票用紙積層体であって、前記複数の単票用紙は、前記用紙基材に対する前記RFIDラベルのICチップの配置が相違する複数種類の単票用紙からなり、種類の異なる前記単票用紙は、夫々の前記ICチップが積層方向に重ならないよう構成されていることを特徴とする単票用紙積層体である。かかる構成にあっては、従来構成に比べて、積層方向に重なるICチップの数が低減されるため、ICチップに加わる圧力を低減可能となる。
【0007】
本発明にあって、種類の異なる前記単票用紙には、同じRFIDラベルが、前記用紙基材に対して異なる態様で配置されている構成が提案される。ここで、RFIDラベルが「異なる態様での配置されている」場合とは、夫々のRFIDラベルが、異なる場所に貼付されていたり、異なる角度で貼付されていたりする場合が挙げられる。かかる構成にあっては、全ての単票用紙で共通のRFIDラベルを使用するため、低コストで実現できる。また、共通のRFIDラベルを使用することで、単票用紙の種類よる通信性能のばらつきが少なくなる。
【0008】
また、本発明にあって、前記RFIDラベルは、前記ICチップとアンテナをラベル基材の上に配設してなるものであり、前記単票用紙は、前記ICチップが、他の種類の前記単票用紙の前記ICチップ及び前記アンテナと積層方向に重ならず、他の種類の前記単票用紙の前記ラベル基材と積層方向に重なるよう構成されていることが提案される。かかる構成では、積層方向に重なり合うICチップの間に、比較的柔軟なラベル基材が介装され、比較的硬いアンテナは介装されないため、ICチップに加わる圧力を効果的に軽減できる。
【0009】
また、本発明にあって、前記単票用紙は、前記RFIDラベルが、他の種類の前記単票用紙の前記RFIDラベルと積層方向に全く重ならないよう構成されていることが提案される。かかる構成にあっては、RFIDラベル同士の積層方向の重なりを低減することで、単票用紙積層体の嵩張りを低減できるため、プリンタで単票用紙積層体から単票用紙を一枚ずつ搬送し易くなる。
【0010】
また、本発明にあって、前記複数の単票用紙は、前記用紙基材に対する前記RFIDラベルのICチップの配置が相違する3種類以上の単票用紙からなり、前記3種類以上の単票用紙が、積層方向に1種類ずつ順番に積層されている構成が提案される。かかる構成にあっては、従来の単票用紙積層体に比べて、積層方向に重なるICチップの数を1/3以下に低減できるため、ICチップに加わる負荷を大幅に低減可能となる。また、かかる構成では、積層方向に重なり合う全てのICチップの間に、柔軟な用紙基材が3枚以上介装されることとなるため、ICチップに加わる圧力を、用紙基材によって偏りなく軽減できる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、RFIDラベルが貼付された単票用紙を複数積層してなる単票用紙積層体にあって、従来構成に比べて、RFIDラベルのICチップに加わる圧力を好適に低減し得る構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】実施例1における、(A)第一単票用紙2aのRFIDラベル6の配置と、(B)第二単票用紙2bのRFIDラベル6の配置を示す説明図である。
【
図5】実施例2における、(A)第一単票用紙2aのRFIDラベル6の配置と、(B)第二単票用紙2bのRFIDラベル6の配置を示す説明図である。
【
図6】実施例3における、(A)第一単票用紙2aのRFIDラベル6の配置と、(B)第二単票用紙2bのRFIDラベル6aの配置を示す説明図である。
【
図7】実施例4における、(A)第一単票用紙2aのRFIDラベル6の配置と、(B)第二単票用紙2bのRFIDラベル6の配置と、(C)第三単票用紙2cのRFIDラベル6の配置を示す説明図である。
【
図8】実施例5における、(A)第一単票用紙2aのRFIDラベル6の配置と、(B)第二単票用紙2bのRFIDラベル6の配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を、以下の実施例によって説明する。
【実施例0014】
本実施例の単票用紙積層体1は、
図1,2に示すように、縦横サイズの共通する矩形状単票用紙2を、四辺が一致するように複数積み重ねてなるものである。単票用紙2は、帳票用紙であって、単票用紙積層体1の状態で運搬、保管される。そして、通常は、単票用紙積層体1の状態でプリンタにセットされ、帳票発行時に用紙基材5の他面側に所要情報が一枚ずつ印刷される。各単票用紙2は、矩形状の用紙基材5と、用紙基材5の一面側に貼付されるRFIDラベル6と、RFIDラベル6を覆うように用紙基材5の一面側に貼付される保護シート7とを備えてなる。用紙基材5は、紙に限らず、印字可能な樹脂製シートによっても構成され得る。
【0015】
図3に示すように、各単票用紙2の用紙基材5の一面側には、所定のラベル貼付部Sに、略矩形状のRFIDラベル6が一枚ずつ貼付される。そして、RFIDラベル6の全体を覆うように、保護シート7が貼付される。RFIDラベル6は、図示しない入出力装置(リーダ・ライタ装置)との間で、HF帯の電磁波を利用してコマンドやデータ等の信号を非接触で送受信できる非接触型の電池レスタイプである。
【0016】
図3に示すように、RFIDラベル6は、薄膜状のラベル基材14と、ラベル基材14の表側(配設面側)に配設されるICチップ15とアンテナ16により構成される。ラベル基材14は、略矩形状のPETフィルムからなるものであり、ラベル基材14の裏側には、用紙基材5に貼付するための粘着剤(図示省略)が塗布される。アンテナ16は、導電線がループ状に複数回巻回されてなる多重ループアンテナであり、ラベル基材14の表面に導電性ペーストで印刷される。ICチップ15は、所要事項を電磁的に記憶可能なものであり、アンテナ16の内側に配置されて、異方性導電接着剤によってアンテナ16の内側の端子線と接着されることにより、アンテナ16と電気的に接続される。
【0017】
図3に示すように、保護シート7は、平面視略矩形状をなしている。保護シート7は、PETフィルムや紙で構成され得るものであり、その裏側には、ほぼ均一な厚みの粘着剤(図示省略)が塗布されている。保護シート7は、RFIDラベル6の平面形状よりも縦横の寸法が大きく、裏側の粘着剤を介して、RFIDラベル6の表側(配設面側)全体を覆うように貼付されるとともに、RFIDラベル6の周囲で用紙基材5に貼付される。
【0018】
上述のように、本実施例に係るRFIDラベル6は、
図3に示すように、ICチップ15の配設部位が特に盛り上がっている。なお、
図3では、説明の都合上、ICチップ15の厚みを実際よりも厚く図示しているが、一般的なRFIDラベル6のICチップ15の厚みは1mm以下である。
【0019】
RFIDラベル6は、粘着剤によって、用紙基材5の、所定のラベル貼付部Sに収まるように一枚ずつ貼付される。ラベル貼付部Sは、RFIDラベル6の平面形状と略同じ大きさの矩形状の領域であり、全ての単票用紙2で同じ位置に設けられる。具体的には、
図1に示すように、ラベル貼付部Sは、各用紙基材5の一面側の長手方向の一側寄りであって、短手方向の中央部に設けられる。また、保護シート7は、全ての単票用紙2において、用紙基材5の同じ位置に貼付されて、RFIDラベル6を覆っている。
【0020】
本実施例の単票用紙積層体1では、上述の単票用紙2が同じ向きで重ねられるため、単票用紙積層体1においては、各単票用紙2のRFIDラベル6が積層方向に重なり合うこととなる。ここで、本実施例では、単票用紙積層体1を、RFIDラベル6の貼付角度の相違する第一単票用紙2aと第二単票用紙2bの二種類で構成することにより、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bのRFIDラベル6のICチップ15が、積層方向に重なり合わないようにしている。
【0021】
詳述すると、第一単票用紙2aでは、
図4(A)に示す向きでRFIDラベル6がラベル貼付部Sに貼付される。これに対して、第二単票用紙2bでは、
図4(B)に示すように、第一単票用紙2aと同じRFIDラベル6が、用紙基材5の表面に沿って180°回転させた向きで、同じラベル貼付部Sに貼付される。RFIDラベル6は略矩形状であるため、
図4(A),4(B)いずれの向きにおいても、RFIDラベル6をラベル貼付部Sに収まるように貼付できる。
【0022】
第一単票用紙2aと第二単票用紙2bでは、RFIDラベル6は同じラベル貼付部Sに貼付されるが、夫々の貼付角度が相違するため、ICチップ15は相異なる位置に配置される。具体的には、ICチップ15は、第一単票用紙2aでは用紙基材5の中心線Cよりも左方に配置され(
図4(A)参照)、第二単票用紙2bでは用紙基材5の中心線Cよりも右方に配置される(
図4(B)参照)。このため、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bを重ねた時に、夫々のICチップ15は、積層方向には重ならず、
図4中の左右方向に位置ずれした状態で積層される。
【0023】
そして、
図2に示すように、本実施例の単票用紙積層体1では、同じ種類の単票用紙2a,2bが積層方向に連続しないように、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bが一枚ずつ交互に積み重ねられる。かかる構成によれば、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bが略同数となることにより、ICチップ15に加わる圧力を偏りなく二分割できる。また、かかる構成では、積層方向に重なり合う全てのICチップ15の間に、柔軟な用紙基材5が2枚ずつ介装されることとなるため、各ICチップ15に加わる圧力を、用紙基材5によって偏りなく軽減できるという利点がある。
【0024】
このように、本実施例の単票用紙積層体1は、ICチップ15の配置の相違する第一単票用紙2aと第二単票用紙2bを積層してなる構成であるため、全て同じ位置にICチップ15が配置された単票用紙を積層してなる単票用紙積層体に比べて、積層方向に重なるICチップ15の数を低減して、ICチップ15に加わる負荷を低減できる。
【0025】
特に、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bは、同じRFIDラベル6の貼付角度を相違させることにより、ICチップ15の配置を相違させるため、単票用紙積層体1に用いられるRFIDラベル6は一種類で足りる。したがって、本実施例の単票用紙積層体1は、低コストで実現できる。また、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bにおいて、同じRFIDラベル6が、用紙基材5の同じラベル貼付部Sに貼付されるため、単票用紙積層体1を構成する全ての単票用紙2a,2bの通信性能を均一にできるという利点もある。
【0026】
また、
図4に示すように、本実施例では、第一単票用紙2aのICチップ15は、第二単票用紙2bのICチップ15及びアンテナ16と重ならず、第二単票用紙2bのラベル基材14と重なるよう配置され、第二単票用紙2bのICチップ15は、第一単票用紙2aのICチップ15及びアンテナ16と重ならず、第二単票用紙2bのラベル基材14と重なるよう配置される。かかる構成にあっては、積層方向に重なり合うICチップ15の間に、比較的柔軟なラベル基材14が介装され、比較的硬いアンテナ16は介装されないため、各ICチップ15に加わる圧力を効果的に軽減できる。
【0027】
なお、本実施例では、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bで、RFIDラベル6の貼付角度を180°相違させて貼付することにより、用紙基材5に対するICチップ15の配置を相違させているが、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bにおけるRFIDラベル6の貼付角度を、180°でなく、90°相違させるようにしてもよい。また、第一単票用紙2aと第二単票用紙2bで、RFIDラベル6を表裏逆に貼付することにより、用紙基材5に対するICチップ15の配置を相違させるようにしてもよい。
なお、本実施例では、両単票用紙2a,2bのRFIDラベル6の貼付場所に合わせて、保護シート7の貼付場所も左右にずらしているが、保護シート7の貼付場所は共通として、RFIDラベル6の貼付場所のみを両単票用紙2a,2bで相違させるようにしてもよい。また、本実施例では、両単票用紙2a,2bのRFIDラベル6の貼付場所を、用紙基材5の左右方向(短手方向)にずらしているが、左右方向に替えて、前後方向(長手方向)や斜め方向にずらしても構わない。