(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145556
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】貼付体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20240101AFI20241004BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241004BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241004BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20241004BHJP
A61L 15/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61F13/02 310D
B32B27/00 B
C09J7/38
C09J7/29
A61F13/02 355
A61F13/02 310M
A61F13/02 380
A61L15/00
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057961
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野村 彩英子
(72)【発明者】
【氏名】宮内 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】田辺 淳也
【テーマコード(参考)】
4C081
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4C081AA03
4C081AA12
4C081BB04
4C081CA022
4C081CA132
4C081CA162
4C081CA211
4C081DA02
4C081DC03
4F100AK07A
4F100AK19A
4F100AK42A
4F100AK51C
4F100AR00C
4F100AT00A
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4F100BA07
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4F100GB66
4F100JK03
4F100JK08C
4F100JL14B
4J004AA14
4J004AB01
4J004DB02
4J004FA09
(57)【要約】
【課題】キャリアシートを引き裂き、これによってキャリアシートを基材から剥がしやすくすることを可能とした貼付体を提供する。
【解決手段】キャリアシート11は、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、キャリアシート11の外縁のなかで貼付テープ13と重ならない部分から貼付テープ13に向けて延び、かつ、貼付テープ13の外縁まで達しない長さを有した切れ目11Aを備える。JIS K 7128-3:1998に準拠した直角形引裂法による引裂試験において、キャリアシート11が破断したときの変位量(mm)に対して、貼付テープ13が破断したときの変位量(mm)が3.0倍以上であり、キャリアシート11が破断するまでにキャリアシート11に加えられた引裂荷重の積分値が、100N・mm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアシートと、
剥離シートと、
前記キャリアシートと前記剥離シートとの間に位置する貼付テープと、を備え、
前記貼付テープは、
前記キャリアシートに接し、かつ、前記キャリアシートおよび前記剥離シートよりも高い引張破断伸度を有する基材と、
前記剥離シートに接する粘着層であって、前記剥離シートが前記粘着層から剥がされた後に生体表面に貼り付けられる前記粘着層と、を備え、
前記キャリアシートの面積は、前記貼付テープの面積よりも大きく、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは前記キャリアシート内に位置し、
前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した切れ目を備え、
JIS K 7128-3:1998に準拠した直角形引裂法による引裂試験において、
前記キャリアシートが破断したときの変位量(mm)に対して、前記貼付テープが破断したときの変位量(mm)が3.0倍以上であり、
前記キャリアシートが破断するまでに前記キャリアシートに加えられた引裂荷重の積分値が、100N・mm以下である
貼付体。
【請求項2】
前記キャリアシートの最大引裂荷重(N)が、20N以下であり、
前記キャリアシートが破断したときの前記変位量(mm)が、12mm以下である
請求項1に記載の貼付体。
【請求項3】
前記直角形引裂法による前記引裂試験において、
前記キャリアシートの破断までにおける前記キャリアシートの引裂強さ(N/mm)の積分値が、1000N以下である
請求項1に記載の貼付体。
【請求項4】
前記キャリアシートの前記引裂強さ(N/mm)が、376N/mm以下であり、
前記キャリアシートが破断したときの前記変位量(mm)が、12mm以下である
請求項3に記載の貼付体。
【請求項5】
前記直角形引裂法による前記引裂試験において、
前記キャリアシートに加えられた引裂荷重が5Nであるときの前記キャリアシートの変位量(mm)が、1.5mm以上である
請求項1から4のいずれか一項に記載の貼付体。
【請求項6】
前記直角形引裂法による前記引裂試験において、
前記キャリアシートの変位量が1mmであるときの前記キャリアシートに加えられた引裂荷重が、3.5N以下である
請求項1から4のいずれか一項に記載の貼付体。
【請求項7】
前記基材は、ポリウレタン樹脂を含み、
前記キャリアシートは、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、および、ポリフッ化ビニリデン樹脂のいずれかを含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の貼付体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貼付体に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に対する貼付体は、皮膚が有する患部を外部から保護すること、あるいは、皮膚の一部を外部から隠すことなどを目的として、広く用いられている。貼付体は、キャリアシートと剥離シートとの間に挟まれる貼付テープとを備えている。貼付テープは、キャリアシートに接する基材と、剥離シートに接する粘着層とを備えている。貼付体が使用される際には、まず、粘着層から剥離シートが剥がされる。そして、貼付テープとキャリアシートとの積層体が、粘着層によって皮膚に貼り付けられる。続いて、基材からキャリアシートが剥がされる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、皮膚に貼り付けられる基材には、皮膚に対する追従性を得ることを目的として、ポリウレタン樹脂のように高い引張破断伸度が要求される。一方、こうした基材は、ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂のキャリアシートに対する高い密着性も備えるため、皮膚に貼り付けられた基材からキャリアシートを剥がすことを困難にしている。なお、こうした事項は、貼付テープの貼付対象がヒトの皮膚である場合に限らず、ヒト以外の動物、例えば哺乳動物の体表面を含む生体表面である場合にも生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための貼付体は、キャリアシートと、剥離シートと、前記キャリアシートと前記剥離シートとの間に位置する貼付テープと、を備える。前記貼付テープは、前記キャリアシートに接し、かつ、前記キャリアシートおよび前記剥離シートよりも高い引張破断伸度を有する基材と、前記剥離シートに接する粘着層であって、前記剥離シートが前記粘着層から剥がされた後に生体表面に貼り付けられる前記粘着層と、を備える。前記キャリアシートの面積は、前記貼付テープの面積よりも大きく、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは前記キャリアシート内に位置する。前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した切れ目を備える。JIS K 7128-3:1998に準拠した直角形引裂法による引裂試験において、前記キャリアシートが破断したときの変位量(mm)に対して、前記貼付テープが破断したときの変位量(mm)が3.0倍以上であり、前記キャリアシートが破断するまでに前記キャリアシートに加えられた引裂荷重の積分値が、100N・mm以下である。
【0006】
上記貼付体によれば、キャリアシートが破断したときの変位量に対して貼付テープが破断したときの変位量が3.0倍以上であるから、キャリアシートに対してキャリアシートを引き延ばす力が作用し、これによってキャリアシートが破断する程度にキャリアシートが引き延ばされても、貼付テープが破断しにくい。また、キャリアシートが破断するまでにキャリアシートに加えられた引裂荷重の積分値が100N・mm以下であるから、キャリアシートに対する荷重の印加を開始してからキャリアシートが破断するまでの間に過度に大きな力を要しない。そのため、キャリアシートの破断によって貼付テープからキャリアシートを剥がすことが容易である。
【0007】
上記貼付体において、前記キャリアシートの最大引裂荷重(N)が、20N以下であり、前記キャリアシートが破断したときの前記変位量(mm)が、12mm以下であってよい。この貼付体によれば、キャリアシートが破断するまでにキャリアシートに加わる最大の引裂荷重が20N以下であるから、キャリアシートが延ばされている期間中における所定の瞬間においてキャリアシートに加える引裂荷重が過度に大きくなることが抑えられる。また、キャリアシートの破断時における変位量が12mm以下であるから、キャリアシートが破断したときにキャリアシートが引き延ばされる量が過剰に大きくなることが抑えられる。そのため、キャリアシートの破断によって貼付テープからキャリアシートを剥がすことがさらに容易である。
【0008】
上記貼付体では、前記直角形引裂法による前記引裂試験において、前記キャリアシートの破断までにおける前記キャリアシートの引裂強さ(N/mm)の積分値が、1000N以下であってよい。
【0009】
上記貼付体によれば、キャリアシートが破断するまでにおけるキャリアシートの引裂強さの積分値が1000N以下であるから、キャリアシートに対する荷重の印加を開始してからキャリアシートが破断するまでの間に過度に大きな力を要しない。そのため、キャリアシートの破断によって貼付テープからキャリアシートを剥がすことが容易である。
【0010】
上記貼付体において、前記キャリアシートの前記引裂強さ(N/mm)が、376N/mm以下であり、前記キャリアシートが破断したときの前記変位量(mm)が、12mm以下であってよい。
【0011】
上記貼付体によれば、キャリアシートが破断するまでにおけるキャリアシートの引裂強さの上限値が376N/mmであるから、キャリアシートが延ばされている期間中における所定の瞬間においてキャリアシートの引裂強さが過度に大きくなることが抑えられる。また、キャリアシートの破断時における変位量が12mm以下であるから、キャリアシートが破断したときにキャリアシートが引き延ばされる量が過剰に大きくなることが抑えられる。そのため、キャリアシートの破断によって貼付テープからキャリアシートを剥がすことがさらに容易である。
【0012】
上記貼付体では、前記直角形引裂法による前記引裂試験において、前記キャリアシートに加えられた引裂荷重が5Nであるときの前記キャリアシートの変位量(mm)が、1.5mm以上であってよい。
【0013】
上記貼付体によれば、引裂荷重が5Nであるときのキャリアシートの変位量が1.5mmであるから、キャリアシートに対して小さい力を加えることによって、キャリアシートが引き裂かれやすい程度にキャリアシートを引き延ばすことが可能である。
【0014】
上記貼付体では、前記直角形引裂法による前記引裂試験において、前記キャリアシートの変位量が1mmであるときの前記キャリアシートに加えられた引裂荷重が、3.5N以下であってよい。
【0015】
上記貼付体によれば、変位量が1mmであるときの引裂荷重が3.5N以下であるから、キャリアシートが引き裂かれやすい程度にキャリアシートを引き延ばすために必要な力が小さくてすむ。
【0016】
上記貼付体において、前記基材は、ポリウレタン樹脂を含み、前記キャリアシートは、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、および、ポリフッ化ビニリデン樹脂のいずれかを含んでもよい。
【0017】
上記貼付体によれば、基材がポリウレタン樹脂を含み、かつ、キャリアシートがポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、および、ポリフッ化ビニリデン樹脂のいずれかを含む。そのため、小さい力で延びやすい貼付テープを有し、かつ、キャリアシートにおいて破断時の変位量が過剰に大きくなりにくい貼付体を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0018】
上記貼付体によれば、キャリアシートを引き裂き、これによってキャリアシートを基材から剥がしやすくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態における貼付体の構造を示す断面図である。
【
図4】
図4は、貼付テープにおける変位量と引裂強さとの関係を示すグラフである。
【
図5】
図5は、貼付テープにおける変位量と引裂強さとの関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、キャリアシートにおける変位量と引裂強さとの関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、キャリアシートにおける変位量と引裂荷重との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、2つの切れ目を有する貼付体の構造を示す平面図である。
【
図9】
図9は、円形状を有した貼付テープを備える貼付体の構造を示す平面図である。
【
図10】
図10は、貼付テープの他の例を備える貼付体の構造を示す平面図である。
【
図11】
図11は、複数の貼付テープを備える貼付体の第1例における構造を示す断面図である。
【
図13】
図13は、複数の貼付テープを備える貼付体の第2例における構造を示す断面図である。
【
図14】
図14は、複数の貼付テープを備える貼付体の第3例における構造を示す断面図である。
【
図15】
図15は、複数の貼付テープを備える貼付体の第4例における構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から
図7を参照して、貼付体の一実施形態を説明する。
[構造]
図1および
図2を参照して、貼付体の構造を説明する。
【0021】
図1は、貼付体が広がる平面に対して直交する断面における貼付体の構造を示している。
図1が示すように、貼付体10は、キャリアシート11と、剥離シート12と、貼付テープ13とを備えている。貼付テープ13は、キャリアシート11と剥離シート12との間に位置している。貼付テープ13は、基材13Aと粘着層13Bとを備えている。基材13Aは、キャリアシート11に接している。基材13Aは、キャリアシート11および剥離シート12よりも高い引張破断伸度を有している。粘着層13Bは、剥離シート12に接している。粘着層13Bは、剥離シート12が粘着層13Bから剥がされた後に生体表面に貼り付けられる。本実施形態では、粘着層13Bが、基材13Aに積層されている。
【0022】
なお、粘着層13Bの貼付対象である生体表面は、例えばヒトの皮膚であるが、ヒト以外の動物、例えばヒト以外の哺乳動物の体表面であってもよい。本実施形態では、粘着層13Bの貼付対象がヒトの皮膚である場合について例示する。
【0023】
図2は、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見た貼付体10の構造を示している。
図2が示すように、キャリアシート11の面積は、貼付テープ13の面積よりも大きく、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13はキャリアシート11内に位置している。本実施形態では、キャリアシート11の面積が、貼付テープ13の面積および剥離シート12の面積よりも大きい。貼付テープ13において、基材13Aの大きさと粘着層13Bの大きさとが等しい。すなわち、基材13Aの面積が粘着層13Bの面積と等しく、かつ、基材13Aの形状と粘着層13Bの形状とが等しい。なお、剥離シート12の面積が貼付テープ13の面積よりも大きく、かつ、貼付テープ13が剥離シート12内に位置してもよい。すなわち、剥離シート12の大きさは、貼付テープ13の大きさ以上であってよい。
【0024】
キャリアシート11は、切れ目11Aを備えている。切れ目11Aは、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、キャリアシート11の外縁11Eのなかで貼付テープ13と重ならない部分から貼付テープ13に向けて延び、かつ、貼付テープ13の外縁13Eまで達しない長さを有している。すなわち、切れ目11Aは、キャリアシート11において、外縁11Eから外縁11Eよりも内側に向けて延びる形状を有している。切れ目11Aは、キャリアシート11の厚さ方向において、キャリアシート11を貫通している。本実施形態では、切れ目11Aは、直線状を有したIノッチである。
【0025】
切れ目11Aにおいて、外縁11Eに位置する端部が基端であり、基端とは反対側の端部が先端である。キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、切れ目11Aの先端は、キャリアシート11の外縁11Eと、基材13Aの外縁13AEとの間に位置している。このように、切れ目11Aが貼付テープ13の基材13Aの外縁13AEまで達しない長さを有するから、基材13Aからキャリアシート11が剥離されるまで、基材13Aの全体がキャリアシート11によって覆われている。これにより、貼付体10の使用前に、基材13Aの埃などが付着することが抑えられる。
【0026】
キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13は、四角形状を有している。
図2が示す例では、貼付テープ13は長方形状を有しているが、貼付テープ13は正方形状を有してもよい。キャリアシート11は、貼付テープ13と同様に長方形状を有しているが、キャリアシート11の形状は、貼付テープ13の形状と異なっていてもよい。
【0027】
貼付体10は、JIS K 7128-3:1998「プラスチック-フィルム及びシートの引裂強さ試験方法-第3部:直角形引裂法」に準拠した直角形引裂法による引裂試験において、以下に記載の条件1および条件2を満たす。
【0028】
(条件1)キャリアシート11が破断したときの変位量(mm)に対して、貼付テープ13が破断したときの変位量(mm)が3.0倍以上である。
(条件2)キャリアシート11が破断するまでにキャリアシート11に加えられた引裂荷重の積分値が、100N・mm以下である。
【0029】
なお、条件1において、貼付テープ13が破断したときの変位量は、貼付テープ13単体に対する引裂試験によって得られた値である。また、条件1および条件2において、キャリアシート11が破断したときの変位量、および、キャリアシート11が破断するまでにキャリアシート11に加えられた引裂荷重の積分値はそれぞれ、キャリアシート11単体に対する引裂試験によって得られた値である。なお、キャリアシート11に加えられた引裂荷重の積分値は、引裂試験の開始からキャリアシート11が破断するまでの間にキャリアシート11に加えられた引裂荷重のグラフにおいて、横軸である変位量と、縦軸である引裂荷重との関係を示すグラフによって囲まれる領域の面積である。
【0030】
本開示の貼付体10によれば、キャリアシート11が破断したときの変位量に対して貼付テープ13が破断したときの変位量が3.0倍以上である。そのため、キャリアシート11に対してキャリアシート11を引き延ばす力が作用し、これによってキャリアシート11が破断する程度にキャリアシート11が引き延ばされても、貼付テープ13が破断しにくい。また、キャリアシート11が破断するまでにキャリアシート11に加えられた引裂荷重の積分値が100N・mm以下である。そのため、キャリアシート11に対する荷重の印加を開始してからキャリアシート11が破断するまでの間に過度に大きな力を要しない。それゆえに、キャリアシート11の破断によって貼付テープ13からキャリアシート11を剥がすことが容易である。
【0031】
キャリアシート11を引き延ばす力がキャリアシート11に加えられたときに、貼付テープ13が過剰に引き延ばされることを抑える観点では、キャリアシート11が破断したときの変位量に対して、貼付テープ13が破断したときの変位量が30.0倍以下であることが好ましい。
【0032】
キャリアシート11に加えられた引裂荷重の積分値は、貼付テープ13に加えられた引裂荷重の積分値よりも小さい。これにより、キャリアシート11を破断するための力がキャリアシート11に作用した場合に、キャリアシート11は貼付テープ13の破断を伴わずに破断される。なお、貼付テープ13加えられた引裂荷重の積分値は、引裂試験の開始から貼付テープ13が破断するまでの間に貼付テープ13に加えられた引裂荷重のグラフにおいて、横軸である変位量と、縦軸である引裂荷重との関係を示すグラフによって囲まれる領域の面積である。
【0033】
貼付体10は、以下の条件3および条件4をさらに満たすことが好ましい。
(条件3)キャリアシート11の最大引裂荷重(N)が、20N以下である。
(条件4)キャリアシート11が破断したときの変位量(mm)が、12mm以下である。
【0034】
キャリアシート11が破断するまでにキャリアシート11に加わる最大の引裂荷重が20N以下であるから、キャリアシート11が延ばされている期間中における所定の瞬間においてキャリアシート11に加える引裂荷重が過度に大きくなることが抑えられる。キャリアシート11の最大引裂荷重は、貼付テープ13の最大引裂荷重よりも大きい。また、キャリアシート11の破断時における変位量が12mm以下であるから、キャリアシート11が破断したときにキャリアシート11が引き延ばされる量が過剰に大きくなることが抑えられる。そのため、キャリアシート11の破断によって貼付テープ13からキャリアシート11を剥がすことがさらに容易である。
【0035】
貼付体10は、以下の条件5を満たしてもよい。
(条件5)直角形引裂法による引裂試験において、キャリアシート11の破断までにおけるキャリアシート11の引裂強さ(N/mm)の積分値が、1000N以下である。
【0036】
貼付体10が条件5を満たす場合には、キャリアシート11が破断するまでにおけるキャリアシート11の引裂強さの積分値が1000N以下である。そのため、キャリアシート11に対する荷重の印加を開始してからキャリアシート11が破断するまでの間に過度に大きな力を要しない。そのため、キャリアシート11の破断によって貼付テープ13からキャリアシート11を剥がすことが容易である。
【0037】
なお、貼付体10が条件5を満たす場合には、貼付体10は、以下の条件6および条件7を満たすことが好ましい。
(条件6)キャリアシート11の引裂強さ(N/mm)が、376N/mm以下である。
(条件7)キャリアシート11が破断したときの変位量(mm)が、12mm以下である。
【0038】
貼付体10が条件6を満たす場合には、キャリアシート11が延ばされている期間中における所定の瞬間においてキャリアシート11の引裂強さが過度に大きくなることが抑えられる。また、貼付体10が条件7を満たす場合には、キャリアシート11が破断したときにキャリアシート11が引き延ばされる量が過剰に大きくなることが抑えられる。これにより、キャリアシート11の破断によって貼付テープ13からキャリアシート11を剥がすことがさらに容易である。
【0039】
また、貼付体10は、以下の条件8および条件9の少なくとも一方を満たしてもよい。すなわち、貼付体10は、条件8および条件9のいずれか一方のみを満たしてもよいし、条件8および条件9の両方を満たしてもよい。
【0040】
(条件8)直角形引裂法による引裂試験において、キャリアシート11に加えられた引裂荷重が5Nであるときのキャリアシート11の変位量(mm)が、1.5mm以上である。
(条件9)直角形引裂法による引裂試験において、キャリアシート11の変位量が1mmであるときのキャリアシート11に加えられた引裂荷重が、3.5N以下である。
【0041】
貼付体10が条件8を満たす場合には、キャリアシート11に対して小さい力を加えることによって、キャリアシート11が引き裂かれやすい程度にキャリアシート11を引き延ばすことが可能である。
【0042】
貼付体10が条件9を満たす場合には、変位量が1mmであるときの引裂荷重が3.5N以下であるから、キャリアシート11が引き裂かれやすい程度にキャリアシート11を引き延ばすために必要な力が小さくてすむ。
【0043】
キャリアシート11は、合成樹脂から形成された層を含んでいる。キャリアシート11は、例えば、基材シートと離型層とから形成されている。離型層は、基材シート上に積層されている。キャリアシート11が基材シートと離型層とを備える場合には、離型層が貼付テープ13の基材13Aに接している。基材シートは、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などのポリエステル樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂などから形成されてよい。基材シートは、一軸延伸シート、二軸延伸シート、および、無延伸シートのいずれかであってよい。離型層は、例えばシリコーン樹脂から形成されてよい。
【0044】
キャリアシート11は、上述した基材シートのみから構成されてもよい。この場合には、基材シートのうちで、基材13Aと接する接触面に、基材13Aを基材シートから剥離しやすくするための加工が施されていてもよい。基材シートの接触面に対する加工は、例えばエンボス加工などであってよい。
【0045】
キャリアシート11は、合成樹脂から形成された層に加えて、紙製の層を備えてもよい。この場合には、キャリアシート11は、紙製の基材層と、基材層にラミネートされた合成樹脂製の層とを備えている。合成樹脂製の層は、例えばPP樹脂などから形成されてよい。キャリアシート11の厚さは、例えば30μm以上400μm以下であってよい。
【0046】
剥離シート12は、剥離シート12と粘着層13Bとの間の剥離強度が、キャリアシート11と基材13Aとの間の剥離強度よりも小さくなるように構成されている。剥離シート12は、合成樹脂から形成されている。剥離シート12は、例えば、基材シートと離型層とから形成されている。離型層は、基材シート上に積層されている。剥離シート12が基材シートと離型層とを備える場合には、離型層が貼付テープ13の粘着層13Bに接している。基材シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などから形成されてよい。基材シートは、一軸延伸シート、二軸延伸シート、および、無延伸シートのいずれかであってよい。離型層は、例えばシリコーン樹脂から形成されてよい。
【0047】
剥離シート12は、上述した基材シートのみから構成されてもよい。この場合には、基材シートのうちで、粘着層13Bと接する接触面に、粘着層13Bを基材シートから剥離しやすくするための加工が施されていてもよい。基材シートの接触面に対する加工は、例えばエンボス加工などであってよい。剥離シート12の厚さは、例えば12μm以上350μm以下であってよい。
【0048】
基材13Aは、合成樹脂から形成されている。基材13Aを形成するための合成樹脂は、例えばポリウレタン樹脂であってよい。これにより、貼付適性が高い基材13Aを得ることが可能である。基材13Aの厚さは、例えば5μm以上30μm以下であってよい。ポリウレタン樹脂製であり、かつ、薄い基材13Aは、基材13Aを引き延ばすために基材13Aに加えられる外力が小さくともよく延びる。そのため、基材13Aは、貼付テープ13が貼り付けられる貼付対象の形状に対する高い追従性を有し、かつ、貼付対象に対する高い密着性を有することが可能である。
【0049】
一方で、貼付対象の形状に対する高い追従性を有した基材13Aは、基材13Aを覆うキャリアシート11に対しても高い追従性を有する。そのため、基材13Aからキャリアシート11を剥がすための力がキャリアシート11に作用した場合に、基材13Aが、キャリアシート11の変形に追従して変形しやすい。
【0050】
基材13Aの引張破断伸度は、例えば130%以上であってよい。引張破断伸度は、JIS K 7161‐1:2014(ISO 527‐1)「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」、および、JIS K 7127:1999(ISO 527‐3)「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して求めることができる。測定対象物が降伏点を有しない場合には引張破壊ひずみを測定し、降伏点を有する場合には引張破壊時呼びひずみを測定し、これらの測定値を用いて引張破断伸度を求めることができる。
【0051】
基材13Aの100%伸び引張強度は、例えば4N/cm以下であってよい。100%伸び引張強度は、JIS K 7161‐1:2014(ISO 527‐1)「プラスチック-引張特性の求め方-第1部:通則」に定義されたひずみが規定の値(100%)に達したときに測定された力の大きさを試験片の幅によって除算した値である。100%伸び引張強度(T)(N/cm)は、以下の式によって求めることができる。
【0052】
T = F/W
なお、上記式において、Fは測定された力の大きさ(N)であり、Wは試験片の幅(cm)である。
【0053】
なお、基材13Aは、ポリウレタン樹脂以外の合成樹脂から形成されてもよい。ポリウレタン樹脂以外の合成樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、および、ポリエチレンテレフタレート樹脂などであってよい。
【0054】
粘着層13Bは、基材13Aと同様に、合成樹脂から形成される。粘着層13Bを形成するための合成樹脂は、例えばポリウレタン樹脂であってよい。粘着層13Bの厚さは、例えば5μm以上25μm以下であってよい。
【0055】
基材13Aおよび粘着層13Bの少なくとも一方は、皮膚に対する有効成分を含んでもよい。すなわち、基材13Aのみが有効成分を含んでもよいし、粘着層13Bのみが有効成分を含んでもよいし、基材13Aと粘着層13Bとの両方が有効成分を含んでもよい。有効成分は、例えば化粧成分、美容成分、薬剤成分などであってよい。
【0056】
貼付体10において、基材13Aがポリウレタン樹脂を含み、かつ、キャリアシート11がポリプロピレン樹脂またはポリフッ化ビニリデン樹脂を含んでよい。この場合には、基材13Aがポリウレタン樹脂を含み、かつ、キャリアシート11がポリプロピレン樹脂またはポリフッ化ビニリデン樹脂を含むから、小さい力で延びやすい貼付テープ13を有し、かつ、キャリアシート11において破断時の変位量が過剰に大きくなりにくい貼付体10を得ることが可能である。
【0057】
[作用]
貼付体10の使用者は、まず、貼付テープ13の粘着層13Bから剥離シート12を剥がす。次いで、使用者は、粘着層13Bを貼付テープ13の貼付対象に貼り付ける。なお、貼付テープ13の貼付対象は、上述したように例えばヒトの皮膚である。次いで、使用者は、貼付テープ13の基材13Aからキャリアシート11を剥がす。
【0058】
ヒトの皮膚のうち、例えば手のひらなどの比較的平らな面に沿って貼付テープ13を貼り付けた場合には、キャリアシート11が切れ目11Aを有するから、使用者は、キャリアシート11の切れ目11Aを目印として、キャリアシート11のうち、切れ目11Aを画定する部分を親指と人差し指とで挟む。次いで、使用者は、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、切れ目11Aが延びる方向に沿う力をキャリアシート11に作用させる。
【0059】
また、貼付テープ13の貼付対象は、ヒトの指であってもよい。この場合には、貼付テープ13を指に乗せた後に、キャリアシート11を貼付テープ13とともに引っ張ることによって、切れ目11Aを起点としてキャリアシート11を引き裂く。なお、指に貼付テープ13を貼り付ける場合であっても、平らな面に沿って貼付テープ13を貼り付ける場合と同様の方法で、キャリアシート11を引き裂いてもよい。すなわち、貼付テープ13を指に乗せた後に、切れ目11Aを画定する部分を親指と人差し指とで挟む。次いで、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、切れ目11Aが延びる方向に沿う力をキャリアシート11に作用させる。いずれの場合にも、切れ目11Aが延びる方向に沿う力をキャリアシート11に作用させることが可能である。
【0060】
この際に、上述した本開示の貼付体10によれば、条件1および条件2を満たすから、貼付テープ13の破断が抑えられ、また、キャリアシート11に対する荷重の印加を開始してからキャリアシート11が破断するまでの間に過度に大きな力を要しない。それゆえに、キャリアシート11の破断によって貼付テープ13からキャリアシート11を剥がすことが容易である。
【0061】
[試験例]
図3から
図7、表1、表2、および、表3を参照して試験例を説明する。
[試験例1]
互いに対向する一対の面のうち、一方の面がマット面である二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学(株)製、FOR-MP、厚さ40μm)をキャリアシートとして準備した。そして、OPPフィルムのマット面に、エーテル系ポリオールを含む水性ポリウレタン(三井化学(製)、タケラックWS-6021)(タケラックは登録商標)を塗工した後、水性ポリウレタンを乾燥させることによって前駆層を形成した。次いで、前駆層を常温においてエージングさせることによって、15μmの厚さを有した基材を得た。
【0062】
PETフィルムと、シリコーン樹脂から形成された離型層とから構成される離型フィルム(東レフィルム加工(株)、セラピールWZ、厚さ75μm)(セラピールは登録商標)を剥離シートとして準備した。次に、主剤であるウレタン系粘着剤(トーヨーケム(株)製、SP-205)と、硬化剤(トーヨーケム(株)製、T-501B)とを準備した。主剤に硬化剤を添加した後、主剤および硬化剤を攪拌することによって、粘着層を形成するための塗液を得た。離型フィルムに対して塗液を塗工し、次いで、塗液を乾燥させることによって、15μmの厚さを有した粘着層を得た。
【0063】
そして、基材と粘着層とを貼り合わせることによって、OPPフィルムと、貼付テープと、離型フィルムとが記載の順に積層された積層体を得た。次いで、積層体に対して、離型フィルムおよび貼付テープのみを貫通し、かつ、長方形状を有する領域を切り出すようにハーフカット加工を施した。続いて、離型フィルムと貼付テープとにおいて、ハーフカット加工が施された部位よりも外側の部分をOPPフィルムから取り除き、これによって、離型フィルムの大きさと貼付テープの大きさとを、OPPフィルムの大きさよりも小さくした。そして、OPPフィルムのうち、貼付テープが積層された部位よりも外側に位置する部分に直線状を有する切り込みを形成した。これによって、試験例1の貼付体を得た。
【0064】
[試験例2]
試験例1の貼付体において、水性ポリウレタンを試験例1の水性ポリウレタンよりも高いガラス転移温度を有したエーテル系ポリオールを含む水性ポリウレタン(三井化学(製)、タケラックW-6020)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例2の貼付体を得た。
【0065】
[試験例3]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、S10、厚さ50μm)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例3の貼付体を得た。
【0066】
[試験例4]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、S10、厚さ75μm)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例4の貼付体を得た。
【0067】
[試験例5]
試験例1の貼付体において、水性ポリウレタンを試験例1の水性ポリウレタンよりも高いガラス転移温度を有したエーテル系ポリオールを含む水性ポリウレタン(三井化学(製)、タケラックW-6020)に変更し、かつ、OPPフィルムをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、S10、厚さ75μm)に変更した。それ以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例5の貼付体を得た。
【0068】
[試験例6]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムをポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)(アルケマ(株)製、Kynar FLEX2500)(Kynarは登録商標)を用いた押出成形によって形成した50μmの厚さを有したPVDFフィルムに変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例6の貼付体を得た。
【0069】
[試験例7]
試験例1の貼付体において、OPPフィルムを190μmの厚さを有したポリプロピレン(PP)ラミネート離型紙(リンテック(株)製、EV130TPD)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例7の貼付体を得た。
【0070】
[試験例8]
試験例1の貼付体において、水性ポリウレタンを試験例1の水性ポリウレタンよりも高いガラス転移温度を有した水性ポリウレタン(三井化学(製)、タケラックWPBー341)に変更した以外は、試験例1と同様の方法によって、試験例8の貼付体を得た。
【0071】
[評価方法]
[直角形引裂法]
図3を参照して、直角形引裂法を説明する。
【0072】
JIS K 7128-3:1998「プラスチックフィルム及びシートの引裂強さ試験方法-第3部:直角形引裂法」に準拠する方法によって、キャリアシートの変位量、引裂強さ、および、貼付テープの変位量を測定した。
【0073】
キャリアシートの評価を行う際には、各試験例のキャリアシートから、
図3が示す形状を有した試験片を切り出した。これに対して、貼付テープの評価を行う際には、各試験例の貼付テープから、
図3が示す形状を有した試験片を切り出した。なお、
図3が示す試験片の形状は、上述したJIS K 7128-3:1998に規定された形状である。
【0074】
図3が示すように、試験片30は、略V字状を有している。試験片30は、略V字状を有した第1長辺30L1と、第1長辺30L1と対向し、かつ、略V字状を有した第2長辺30L2とを備えている。各長辺30L1,30L2が延びる方向において、各長辺30L1,30L2の第1の端部を結ぶ線分が第1短辺30S1である。各長辺30L1,30L2が延びる方向において、各長辺30L1,30L2の第2の端部を結ぶ線分が第2短辺30S2である。各短辺30S1,30S2は、直線状を有している。試験片30の長さLは、第1短辺30S1から第2短辺30S2までの距離である。試験片30の幅Wは、各短辺30S1,30S2の長さである。長さLは100mmに設定され、かつ、幅Wは20±1mmに設定される。第1長辺30L1は、第1長辺30L1が延びる方向における中点30L1Cにおいて直角に屈曲している。第2長辺30L2は、第2長辺30L2が延びる方向における中点30L2Cにおいて湾曲している。なお、各試験例の貼付体から試験片30を作成する際には、貼付体の製造時における長手方向DLに対して直交する方向に試験片30が引き裂かれるように、貼付体から試験片30を切り出した。
【0075】
そして、引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフAGS-X ロードセル1kN)(オートグラフは登録商標)を用いて、第1短辺30S1と第2短辺30S2とを互いに逆方向に引っ張った。この際に、引裂速度を500mm/minに設定した。また、試験中に試験片に加えられたすべての引裂荷重を時間経過に伴って記録し、かつ、試験中における試験片30の変位量を時間経過に伴って記録した。なお、試験片30の変位量とは、試験開始時における変位量を0mmに設定した場合に、試験片30に引裂荷重が加えられることによって、試験片30が破断するまでに試験片30が引っ張られる方向において試験片30が引き延ばされた長さのことである。
【0076】
各試験例について5つの試験片を準備し、各試験片について以下に説明する各数値を測定あるいは算出した。そして、5つの試験片における各数値の平均値を算出し、当該平均値を各試験例の各数値に設定した。
【0077】
[貼付テープ]
各貼付体が含む貼付テープから形成した試験片に加えたすべての引裂荷重を時間経過に伴って記録し、かつ、試験片における変位量を時間経過に伴って記録した。そして、引裂荷重(N)を試験片の厚さ(mm)で除算することによって、試験片に加えられたすべての引裂荷重において引裂強さ(N/mm)を算出した。さらに、変位量と引裂強さとから、変位量と引裂強さとの関係を示すグラフを作成した。
【0078】
図4および
図5は、試験片について得られた変位量と引裂強さとの関係を示すグラフの一例である。
図4には、試験例1の試験片について得られたグラフが実線で示され、かつ、試験例2の試験片について得られたグラフが一点鎖線で示されている。なお、試験例3,4,6,7の試験片である貼付テープは、試験例1の貼付テープと同一であるから、試験例3,4,6,7の試験片についても、試験例1の試験片と同様のグラフが得られた。また、試験例5の試験片である貼付テープは、試験例2の貼付テープと同一であるから、試験例5の試験片についても、試験例1の試験片と同様のグラフが得られた。また、
図4には、キャリアシートの一例である試験例1のキャリアシートについて得られたグラフが参考例として破線で示されている。
図5には、試験例8の試験片について得られたグラフが破線で示されている。
【0079】
図4および
図5が示す各グラフについて、試験片に対する引裂荷重の印加後において、引裂強さが初めて0になった時点の変位量を、試験片の破断時における変位量として読み取った。
【0080】
[キャリアシート]
上述したように、各貼付体が含むキャリアシートから形成した試験片に加えたすべての引裂荷重を時間経過に伴って記録し、かつ、試験片における変位量を時間経過に伴って記録した。そして、引裂荷重(N)を試験片の厚さ(mm)で除算することによって、試験片に加えられたすべての引裂荷重において引裂強さ(N/mm)を算出した。さらに、変位量と引裂強さとから、変位量と引裂強さとの関係を示すグラフを作成した。
【0081】
図6は、試験片について得られた変位量と引裂強さとの関係を示すグラフの一例である。
図6には、試験例1から8の試験例について得られたグラフが示されている。
【0082】
図6が示す各グラフにおいて、グラフの最大値を引裂強さの最大値として読み取った。なお、JIS K 7128-3:1998では、
図6が示す各グラフにおける最大値が引裂強さとして定義されている。すなわち、JIS K 7128-3:1998では、最大引裂荷重を厚さで除算した値が引裂強さと定義されている。しかしながら、本開示では、引裂強さの積分値を算出する都合上、試験片に加えたすべての引裂荷重について、その引裂荷重を厚さで除算した値を算出している。そのため、本開示では、JIS K 7128-3:1998における引裂強さを最大引裂強さと称し、各引裂荷重を厚さで除算した値を引裂強さと称する。
【0083】
各試験片について、キャリアシートに引裂荷重の印加が開示されてからキャリアシートが破断されるまでの間における引裂強さの積分値(N)を算出した。なお、引裂強さの積分値(N)は、
図6が示す各グラフと横軸とによって囲まれる領域の面積に等しい。
【0084】
図6が示す各グラフについて、試験片に対する引裂荷重の印加後において、引裂強さが初めて0になった時点の変位量を、試験片の破断時における変位量として読み取った。また、
図6が示す各グラフにおいて、キャリアシートの変位量が1mmである際の引裂強さを読み取った。
【0085】
また、変位量と引裂荷重とから、変位量と引裂荷重との関係を示すグラフを作成した。
図7は、試験片について得られた変位量と引裂荷重との関係を示すグラフの一例である。
図7には、試験例1から8の試験例について得られたグラフが示されている。
【0086】
各試験片について、キャリアシートに引裂荷重の印加が開示されてからキャリアシートが破断されるまでの間における引裂荷重の積分値(N・mm)を算出した。なお、引裂荷重の積分値(N・mm)は、
図7が示す各グラフと横軸とによって囲まれる領域の面積に等しい。
【0087】
図7が示す各グラフにおいて、グラフの最大値を最大引裂荷重として読み取った。
図7が示す各グラフから、引裂荷重が5Nである際の試験片の変位量を読み取った。また、
図7が示す各グラフから、変位量が1mmである際の引裂荷重を読み取った。
【0088】
図7が示す各グラフにおいて、試験片に対する引裂荷重の印加後において、引裂荷重が初めて0になった時点の変位量を、試験片の破断時における変位量として読み取った。なお、
図7が示す各グラフから読み取られる破断時の変位量は、
図6が示すグラフのうちで同一の試験片について得られたグラフから読み取られる破断時の変位量と同一である。
【0089】
[キャリアシートおよび貼付テープの引裂評価]
各試験例において、貼付テープの大きさを10cm角に設定し、かつ、キャリアシートの大きさを12cm角に設定した。そして、キャリアシートの外縁から1cmの長さを有した直線状の切れ目を1つのみキャリアシートに形成した。次いで、各試験例の貼付テープを皮膚に貼り付けた後に、キャリアシートを貼付テープから剥離した。各試験例について、5つの貼付体の評価を行った。
【0090】
キャリアシートの引き裂き性を以下の3段階で評価した。
◎ キャリアシートを引き裂くときの抵抗をほぼ感じない。
○ キャリアシートを引き裂くときの抵抗が小さい。
△ キャリアシートを引き裂くときの抵抗が大きい。
【0091】
貼付テープの引き裂き性を以下の2段階で評価した。
○ キャリアシートを貼付テープから剥離したときに貼付テープが引き裂かれない。
× キャリアシートを貼付テープから剥離したときに貼付テープも引き裂かれる。
【0092】
[評価結果]
表1、表2、および、表3を参照して、各試験例の貼付体についての評価結果を説明する。
上述した直角形引裂法によって各試験例の試験片を評価した結果は、以下に示す表1および表2に記載の通りであった。また、上述した貼付体を皮膚に貼り付けた状態でキャリアシートの剥離性を評価した結果は、表2に記載の通りであった。
【0093】
【0094】
表1が示すように、試験例1,3,4,6,7の貼付テープでは、貼付テープの破断時における変位量が、227.7mm以上242.9mm以下の範囲内に含まれることが認められた。これに対して、試験例2,5の貼付テープでは、貼付テープの破断時における変位量が、46.8mm以上48.6mm以下の範囲内に含まれることが認められた。また、試験例8の貼付テープでは、貼付テープの破断時における変位量が10.3mmであることが認められた。このように、相対的に低いガラス転移温度を有したウレタン樹脂によって形成された基材を備える貼付テープの変位量が、相対的に高いガラス転移温度を有したウレタン樹脂によって形成された基材を備える貼付テープの変位量よりも大きいことが認められた。
【0095】
これに対して、試験例1,2,8のキャリアシートでは、キャリアシートの破断時における変位量が、8.5mm以上8.7mm以下であることが認められた。試験例3から試験例5のキャリアシートでは、キャリアシートの破断時における変位量が9.0mm以上13.5mm以下であり、かつ、キャリアシートの厚さが薄いほどキャリアシートの変位量が小さいことが認められた。試験例6のキャリアシートでは、キャリアシートの破断時における変位量が11.8mmであり、試験例7のキャリアシートでは、キャリアシートの破断時における変位量が9.6mmであることが認められた。
【0096】
そのため、試験例1から7において、貼付テープの変位量をキャリアシートの変位量で除算した比は、3.6以上27.4以下の範囲内に含まれることが認められた。これに対して、試験例8において、貼付テープの変位量をキャリアシートの変位量で除算した比は、1.2であることが認められた。
【0097】
直角形引裂法によってキャリアシートを評価した結果は、以下の表2に示す通りであった。
【0098】
【0099】
表2が示すように、引裂荷重の積分値は、試験例1,2において28.2N・mmであり、試験例3において37.2N・mmであり、試験例4,5において222.9N・mmであることが認められた。引裂荷重の積分値は、試験例6において42.7N・mmであり、試験例7において84.0N・mmであり、試験例8において28.2N・mmであることが認められた。
【0100】
最大引裂荷重は、試験例1,2において9.9Nであり、試験例3において18.7Nであり、試験例4,5において28.5Nであることが認められた。最大引裂荷重は、試験例6において7.3Nであり、試験例7において18.7Nであり、試験例8において9.9Nであることが認められた。
【0101】
引裂強さの積分値は、試験例1,2において708Nであり、試験例3において743Nであり、試験例4,5において2972Nであることが認められた。引裂強さの積分値は、試験例6において853Nであり、試験例7において442Nであり、試験例8において708Nであることが認められた。
【0102】
最大引裂強さは、試験例1,2において246.9N/mmであり、試験例3において375.9N/mmであり、試験例4,5において379.9N/mmであることが認められた。最大引裂強さは、試験例6において146.4N/mmであり、試験例7において98.7N/mmであり、試験例8において246.9N/mmであることが認められた。
【0103】
試験片30に5Nの引裂荷重を印加した際の変位量は、試験例1,2において2.9mmであり、試験例3において1,8mmであり、試験例4,5において1.0mmであることが認められた。試験片30に5Nの引裂荷重を印加した際の変位量は、試験例6において2.4mmであり、試験例7において0.6mmであり、試験例8において2.9mmであることが認められた。
【0104】
試験片30の変位量が1mmであるときの引裂荷重は、試験例1,2において1.0Nであり、試験例3において3.4Nであり、試験例4,5において5.2Nであることが認められた。試験片30の変位量が1mmであるときの引裂荷重は、試験例6において1.1Nであり、試験例7において14.7Nであり、試験例8において1.0Nであることが認められた。
【0105】
試験片30の変位量が1mmであるときの引裂強さは、試験例1,2において25.0n/mmであり、試験例3において67.3N/mmであり、試験例4,5において68.7N/mmであることが認められた。試験片30の変位量が1mmであるときの引裂強さは、試験例6において21.2N/mmであり、試験例7において77.2N/mmであり、試験例8において25.0N/mmであることが認められた。
【0106】
キャリアシートの引き裂き性、および、貼付テープの引き裂き性の評価結果は、以下の表3が示す通りであった。
【0107】
【0108】
キャリアシートの引き裂き性の評価では、試験例1,2,8の貼付体において、キャリアシートを剥離する際の抵抗がほぼ感じられないことが認められた。なお、試験例1,2,8では、キャリアシートを貼付テープから剥離する際に、キャリアシートが切れ目に沿って引き裂かれ、これによってキャリアシートが2分されることが認められた。試験例1,2,8によれば、最大引裂荷重と変位量との両方が低い水準に抑えられるから、引裂荷重の積分値が最も小さく、結果としてキャリアシートを破断する際の抵抗を最も感じにくいといえる。
【0109】
また、試験例3,6,7の貼付体において、キャリアシートを剥離する際の抵抗が小さいことが認められた。なお、試験例3,6,7では、キャリアシートを貼付テープから剥離する際に、キャリアシートが切れ目に沿って引き裂かれ、これによってキャリアシートが2分されることが認められた。試験例3,7のキャリアシートでは、試験例1,2のキャリアシートに比べて、引裂荷重の積分値、最大引裂荷重、および、キャリアシートが破断するまでの変位量のすべてが大きいから、試験例1,2のキャリアシートを剥離する際に比べて、キャリアシートを剥離する際の抵抗を感じやすいといえる。一方、試験例6の貼付体では、試験例1,2の貼付体に比べて、最大引き裂き荷重が小さいものの、引裂荷重の積分値と、キャリアシートを破断するまでの変位量との両方が大きいから、試験例1,2のキャリアシートを剥離する際に比べて、キャリアシートを剥離する際の抵抗を感じやすいといえる。
【0110】
試験例4,5の貼付体において、キャリアシートを剥離する際の抵抗が大きいことが認められた。なお、試験例4,5では、キャリアシートを貼付テープから剥離する際に、キャリアシートが切れ目に沿って引き裂かれ、これによってキャリアシートが2分されることが認められた。ただし、試験例4,5では、試験例1から3,6,7の貼付体に比べて、キャリアシートが引き裂かれた軌跡ががたつきを有することが認められた。試験例4,5のキャリアシートでは、試験例1,2のキャリアシートに比べて、引裂荷重の積分値および最大引裂荷重が大幅に大きく、かつ、キャリアシートの破断時における変位量も大きいから、キャリアシートを剥離する際の抵抗が大きいといえる。
【0111】
貼付テープの引き裂き性の評価では、試験例1から7の貼付体において、キャリアシートを剥離した際に貼付テープが引き裂かれないことが認められた。これに対して、試験例8の貼付体において、キャリアシートを剥離した際に貼付テープが引き裂かれることが認められた。こうした結果から、キャリアシートの破断時における変位量に対して、貼付テープの破断時における変位量が3.0倍以上であることによって、キャリアシートの剥離時に貼付テープが引き裂かれることが抑えられるといえる。
【0112】
以上説明したように、貼付体の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)貼付体10が条件1を満たすから、キャリアシート11が破断する程度にキャリアシート11が引き延ばされても、貼付テープ13が破断しにくい。また、貼付体10が条件2を満たすから、キャリアシート11に対する荷重の印加を開始してからキャリアシート11が破断するまでの間に過度に大きな力を要しない。
【0113】
(2)貼付体10が条件3を満たす場合には、キャリアシート11が延ばされている期間中における所定の瞬間においてキャリアシート11に加える引裂荷重が過度に大きくなることが抑えられる。また、貼付体10が条件4を満たす場合には、キャリアシート11が破断したときにキャリアシート11が引き延ばされる量が過剰に大きくなることが抑えられる。
【0114】
(3)貼付体10が条件5を満たす場合には、キャリアシート11に対する荷重の印加を開始してからキャリアシートが破断するまでの間に過度に大きな力を要しない。
(4)貼付体10が条件6を満たす場合には、キャリアシート11が延ばされている期間中における所定の瞬間においてキャリアシート11の引裂強さが過度に大きくなることが抑えられる。また、貼付体10が条件7を満たす場合には、キャリアシート11が破断したときにキャリアシート11が引き延ばされる量が過剰に大きくなることが抑えられる。そのため、キャリアシート11の破断によって貼付テープ13からキャリアシート11を剥がすことがさらに容易である。
【0115】
(5)貼付体10が条件8を満たす場合には、キャリアシート11に対して小さい力を加えることによって、キャリアシート11が引き裂かれやすい程度にキャリアシート11を引き延ばすことが可能である。
【0116】
(6)貼付体10が条件9を満たす場合には、変位量が1mmであるときの引裂荷重が3.5N以下であるから、キャリアシート11が引き裂かれやすい程度にキャリアシート11を引き延ばすために必要な力が小さくてすむ。
【0117】
(7)基材13Aがポリウレタン樹脂を含み、かつ、キャリアシート11がポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、および、ポリフッ化ビニリデン樹脂のいずれかを含む場合には小さい力で延びやすい貼付テープを有し、かつ、破断時の変位量が過剰に大きくなりにくい貼付体10を得ることが可能である。
【0118】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[切れ目]
・
図8が示すように、貼付体10は、2つ以上の切れ目を備えてもよい。
図8が示す例では、貼付体10は、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とを備えている。第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、互いに対向するようにキャリアシート11の外縁11Eに配置されている。これにより、例えば、第1切れ目11A1からキャリアシート11が引き裂かれた場合に、キャリアシート11の引き裂きが第2切れ目11A2に達することによって、キャリアシート11が2分される。そのため、第2切れ目11A2が第1切れ目11A1と対向する位置に配置されていない場合に比べて、キャリアシート11が引き裂かれやすくなる。
【0119】
なお、第1切れ目11A1と第2切れ目11A2とは、互いに対向するように配置されていなくてもよい。この場合であっても、キャリアシート11が2つ以上の切れ目を備えることによって、キャリアシート11が切れ目を1つのみ備える場合に比べて、キャリアシート11の引き裂きを開始する位置を2つ以上の位置から選択することが可能である。
【0120】
・切れ目は、Iノッチに限らない。例えば、
図8に示される切れ目11A1,11A2のように、切れ目はVノッチであってもよい。あるいは、切れ目は、Uノッチでもよいし、UVノッチでもよい。なお、キャリアシート11が2つ以上の切れ目を有する場合には、2つ以上の切れ目には、第1の形状を有した切れ目と、第1の形状とは異なる第2の形状を有した切れ目とが含まれてもよい。
【0121】
[貼付テープ]
・
図9が示すように、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13は円形状を有してもよい。
図9が示す例では、キャリアシート11も貼付テープ13と同様に、円形状を有している。キャリアシート11と貼付テープ13とは、互いに同心の円形状を有している。なお、貼付テープ13が円形状を有する場合であっても、キャリアシート11が四角形状を有してもよい。
【0122】
なお、
図9が示す例では、キャリアシート11は切れ目11AとしてVノッチを有しているが、切れ目11Aは、Iノッチ、Uノッチ、および、UVノッチのいずれかであってもよい。
【0123】
・
図1から
図3が示すように貼付テープ13が四角形状を有する場合には、キャリアシート11が円形状を有してもよい。この場合であっても、キャリアシート11が切れ目を有することによって、上述した(1)に準じた効果を得ることは可能である。
【0124】
・
図10が示すように、貼付テープ13は以下に説明する形状を有してもよい。なお、
図10では、キャリアシート11の形状と貼付テープ13の形状との差異を明確にする目的で、貼付テープ13に網点が付されている。
【0125】
図10が示すように、キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、貼付テープ13は、第1部分13P1と第2部分13P2とを備えている。第1部分13P1と第2部分13P2とは1つの方向である延在方向に沿って並んでいる。第1部分13P1は、略四角形状を有し、かつ、第2部分13P2と接続する端部において、第2部分13P2に向けて先細る形状を有している。言い換えれば、第1部分13P1は、長方形が有する4つの角部のうち、第2部分13P2が接続する辺によって区画される角部が切り欠かれた形状を有している。
【0126】
第2部分13P2は、長方形状を有している。第2部分13P2の面積は、第1部分13P1の面積よりも小さい。第2部分13P2は、延在方向と直交する幅方向において、第1部分13P1の中央を含む部分に接続されている。
【0127】
なお、貼付テープ13が備える基材13Aおよび粘着層13Bは、平面視における貼付テープ13の形状と同一の形状を有している。また、剥離シート12は、貼付テープ13と同一の形状を有している。
【0128】
キャリアシート11は、貼付テープ13の第1部分13P1と第2部分13P2との全体を覆うことが可能な大きさおよび形状を有している。キャリアシート11は、略長方形状を有し、かつ、長方形状において、幅方向に沿って並ぶ2つの角部のうち、一方の角部が貼付テープ13の外縁に沿って切り欠かれた形状を有している。キャリアシート11は、貼付テープ13と重ならない部分である非重畳部11Bを備えている。キャリアシート11が広がる平面と対向する視点から見て、非重畳部11Bは、幅方向において貼付テープ13の第2部分13P2と隣り合っている。非重畳部11Bには、キャリアシート11の縁から貼付テープ13に向けて延びる切れ目11Aが形成されている。
【0129】
以下、貼付体10の使用方法を説明する。なお、貼付体20は、突起部に貼り付ける上で好ましい形状を有している。突起部の一例は、例えばヒトの指先である。以下では、貼付対象がヒトの指先である場合の使用方法を例示する。
【0130】
貼付体10を使用する際には、まず、粘着層13Bから剥離シート12を剥離する。次いで、延在方向に沿って指が延び、かつ、指先が第1部分13P1のうち、第2部分13P2に接続される端部に位置するように、貼付テープ13の粘着層13Bに指を配置する。次いで、切れ目11Aから幅方向に沿ってキャリアシート11を引き裂くとともに、キャリアシート11が引き裂かれた部分において貼付テープ13の第2部分13P2を引き延ばす。そして、引き延ばされた第2部分13P2によって、指先を覆う。
【0131】
次いで、貼付テープ13の第1部分13P1のうち、幅方向において指の両側に位置する部分をそれぞれ指に対して巻き付ける。これにより、指を覆うように指に対して貼付テープ13を貼り付けることが可能である。
【0132】
[貼付テープの数量]
・
図11から
図15が示すように、貼付体は、2つ以上の貼付テープを備えてもよい。
例えば、
図11が示すように、貼付体20は、1つのキャリアシート21と2つの貼付テープ13と、2つの剥離シート12とを備えている。すなわち、貼付体20では、1つのキャリアシート21に対して2つの貼付テープ13が取り付けられている。各貼付テープ13の粘着層13Bは、1つの剥離シート12によって覆われ、かつ、一方の粘着層13Bを覆う剥離シート12は、他方の粘着層13Bを覆う剥離シート12とは異なっている。
【0133】
図12が示すように、キャリアシート21が広がる平面と対向する視点から見て、2つの貼付テープ13は、互いから離れている。キャリアシート21は、1つの切れ目21Aを備えている。
図12が示す例では、一方の貼付テープ13と切れ目21Aとの間の距離が、他方の貼付テープ13と切れ目21Aとの間の距離よりも小さい。キャリアシート21が広がる平面と対向する視点から見て、切れ目21Aの先端は、一方の貼付テープ13の近傍に位置している。
図12が示す例では、貼付体20は、2つ以上の切れ目21Aを有してもよい。なお、
図12が示す例では、切れ目21AはIノッチであるが、切れ目21AはVノッチ、Uノッチ、および、UVノッチのいずれかであってもよい。
【0134】
・
図13が示すように、貼付体20は、1つのキャリアシート21と、2つの貼付テープ13と、1つの剥離シート22を備えてもよい。すなわち、貼付体20は、2つの貼付テープ13に共通する1つの剥離シート22を備えてもよい。これにより、1つの剥離シート22を剥がすことによって、2つの粘着層13Bを同時に露出させることが可能である。なお、キャリアシート21は、2つ以上の切れ目21Aを備えてもよい。
【0135】
・
図14が示すように、貼付体20は、2つのキャリアシート11と、2つの貼付テープ13と、1つの剥離シート22を備えてもよい。すなわち、貼付体20が、2つの貼付テープ13に共通する1つの剥離シート22を備える一方で、各貼付テープ13の基材13Aは1つのキャリアシート11によって覆われ、かつ、一方の基材13Aを覆うキャリアシート11は、他方の基材13Aを覆うキャリアシート11とは異なっている。各キャリアシート11は、1つの切れ目11Aを備えている。なお、各キャリアシート11は2つ以上の切れ目11Aを備えてもよい。
【0136】
・
図15は、1つのキャリアシート21に対して複数の貼付テープ13が取り付けられた貼付体20を、キャリアシート21が広がる平面と対向する視点から見た平面図である。なお、
図15では、キャリアシート11と貼付テープ13との区別を明確にする目的で、貼付テープ13に網点が付されている。
【0137】
図15が示すように、貼付体20は、1つのキャリアシート21に対して取り付けられた複数の貼付テープ13を備えている。なお、
図11を参照して説明した貼付体20と同様に、各貼付テープ13の粘着層13Bは、1つの剥離シート12によって覆われている。キャリアシート21は、切れ目21Aを備えている。切れ目21Aは、キャリアシート21の縁のうち、貼付テープ13と重ならない部分から貼付テープ13に向けて延び、かつ、貼付テープ13の外縁に達しない長さを有している。
【0138】
キャリアシート21が広がる平面と対向する視点から見て、キャリアシート21のうち、貼付テープ13と重ならない部分と貼付テープ13とが、第1方向に沿って並んでいる。各貼付テープ13は、第1方向に直交する第2方向に沿って延びる形状を有している。
【0139】
キャリアシート21は、複数のミシン目21Bを備えている。各ミシン目21Bは、キャリアシート21の一部と1つの貼付テープ13とを貼付体20から切り離すことが可能に構成されている。言い換えれば、各ミシン目21Bは、キャリアシート21のうち、貼付テープ13と重ならない部分と、貼付テープ13と重なる部分との組である単位キャリアをキャリアシート21における他の部分から切り離すことが可能に構成されている。そのため、ミシン目21Bは、1つの単位キャリアと、その単位キャリアに隣り合う他の単位キャリアとの境界に位置している。各ミシン目21Bは、第2方向に沿って並ぶ複数の貫通孔によって構成されている。各貫通孔は、キャリアシート21の厚さ方向に沿ってキャリアシート21を貫通している。
【0140】
キャリアシート21は、貫通部21Cを備えている。各貫通部21Cは、キャリアシート21の厚さ方向に沿ってキャリアシート21を貫通している。各貫通部21Cは、第2方向において1つのミシン目21Bを分断するように、1つの単位キャリアとその単位キャリアに隣り合う他の単位キャリアとの境界に位置している。各貫通部21Cは、ミシン目21Bから、キャリアシート21のうち、貼付テープ13と重ならない部分に向けて先細る形状を有している。
【0141】
各貫通部21Cは、その貫通部21Cが分断するミシン目21Bが破断された場合に、破断後のキャリアシート21における縁に位置する。すなわち、ミシン目21Bの破断によって、貫通部21Cから切り欠きが形成される。そのため、貼付体20の使用者は、1つの貼付テープ13から単位キャリアを取り外す際に、貫通部21Cから形成された切り欠きを用いて単位キャリアを引き裂くことが可能である。
【0142】
上述した実施形態、各試験例、および、変更例から導き出される技術的思想を付記する。
[付記1]
キャリアシートと、
剥離シートと、
前記キャリアシートと前記剥離シートとの間に位置する貼付テープと、を備え、
前記貼付テープは、
前記キャリアシートに接し、かつ、前記キャリアシートおよび前記剥離シートよりも高い引張破断伸度を有する基材と、
前記剥離シートに接する粘着層であって、前記剥離シートが前記粘着層から剥がされた後に生体表面に貼り付けられる前記粘着層と、を備え、
前記キャリアシートの面積は、前記貼付テープの面積よりも大きく、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記貼付テープは前記キャリアシート内に位置し、
前記キャリアシートは、前記キャリアシートが広がる平面と対向する視点から見て、前記キャリアシートの外縁のなかで前記貼付テープと重ならない部分から前記貼付テープに向けて延び、かつ、前記貼付テープの外縁まで達しない長さを有した切れ目を備え、
JIS K 7128-3:1998に準拠した直角形引裂法による引裂試験において、
前記キャリアシートが破断したときの変位量(mm)に対して、前記貼付テープが破断したときの変位量(mm)が3.0倍以上であり、
前記キャリアシートの破断までにおける前記キャリアシートの引裂強さ(N/mm)の積分値が、1000N以下である
貼付体。
【0143】
上記付記1によれば、キャリアシートが破断したときの変位量に対して貼付テープが破断したときの変位量が3.0倍以上であるから、キャリアシートに対してキャリアシートを引き延ばす力が作用し、これによってキャリアシートが破断する程度にキャリアシートが引き延ばされても、貼付テープが破断しにくい。また、キャリアシートが破断するまでにおけるキャリアシートの引裂強さの積分値が1000N以下であるから、キャリアシートに対する荷重の印加を開始してからキャリアシートが破断するまでの間に過度に大きな力を要しない。そのため、キャリアシートの破断によって貼付テープからキャリアシートを剥がすことが容易である。
【符号の説明】
【0144】
10…貼付体
11…キャリアシート
12…剥離シート
13…貼付テープ
13A…基材
13B…粘着層