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特開2024-145566樹脂成形品用成形型、それを用いた樹脂成形品、樹脂製管継手及びそれらの製造方法
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  • 特開-樹脂成形品用成形型、それを用いた樹脂成形品、樹脂製管継手及びそれらの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145566
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】樹脂成形品用成形型、それを用いた樹脂成形品、樹脂製管継手及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20241004BHJP
   B29C 57/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B29C33/38
B29C57/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057973
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391033724
【氏名又は名称】シーケー金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】青山 航大
(72)【発明者】
【氏名】井関 知美
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一善
(72)【発明者】
【氏名】山本 匡秀
【テーマコード(参考)】
4F202
4F209
【Fターム(参考)】
4F202AE02
4F202AH11
4F202AJ12
4F202CA27
4F202CB01
4F202CN27
4F209AG08
4F209AG24
4F209AH11
4F209NA22
4F209NB01
4F209NG03
4F209NH06
4F209NM01
4F209NM12
4F209NN02
4F209NP01
(57)【要約】
【課題】熱可塑性を有する樹脂管材の端部側にフランジ等を金型を用いて加熱成形し、外観に優れた管継手等の樹脂成形品を得るのに適した樹脂成形品用成形型及びそれを用いた樹脂成形品、樹脂製管継手及びそれらの製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】熱可塑性を有する樹脂管材の端部側を挿入及び押圧し、樹脂成形品を加熱成形するのに用いる成形型であって、前記成形型は、樹脂成形品の、外形を成形する外形型と内形を成形する内形型との間に成形部を備え、前記外形型又は/及び内形型は、前記樹脂管材を挿入した際に当該樹脂管材の外周部又は内周部に位置する断熱部材を有していることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性を有する樹脂管材の端部側を挿入及び押圧し、樹脂成形品を加熱成形するのに用いる成形型であって、前記成形型は、樹脂成形品の、外形を成形する外形型と内形を成形する内形型との間に成形部を備え、前記外形型又は/及び内形型は、前記樹脂管材を挿入した際に当該樹脂管材の外周部又は内周部に位置する断熱部材を有していることを特徴とする樹脂成形品用成形型。
【請求項2】
前記外形型はベース金型と、前記ベース金型の成形部側に配置した外金型を有し、前記外金型に前記断熱部材として外側断熱部材を配設してあり、
前記外側断熱部材は前記外金型よりも熱膨張係数が大きいことを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品用成形型。
【請求項3】
前記内形型は内金型と前記内金型の前記樹脂管材の挿入側に前記断熱部材として内側断熱部材を配設してあり、
前記内側断熱部材は前記内金型よりも熱膨張係数が大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂成形品用成形型。
【請求項4】
熱可塑性樹脂からなる筒状の樹脂管材本体部と、前記樹脂管材本体部と一体であって、前記樹脂管材本体部の開口部の周縁から外方に張り出したフランジ部とを有し、
前記樹脂管材本体部のフランジ部側に側面視でT字型の凸部又は凹部が形成されていることを特徴とする樹脂製管継手。
【請求項5】
請求項1に記載の樹脂成形品用成形型を用いて、樹脂管材の端部側にフランジ部を成形することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の樹脂製管継手の製造方法であって、請求項1記載の樹脂成形品用成形型を用いて前記樹脂管材本体部の開口部の周縁にフランジ部を成形することを特徴とする樹脂製管継手の製造方法。
【請求項7】
前記外形型及び内形型を加熱するステップと、
樹脂管材を樹脂成形品用成形型内に挿入し、その後にフランジ部を押圧成形するステップと、
前記フランジ部を加圧保持しながら冷却するステップとを有し、
前記冷却するステップにおいて外金型と内金型とのうち、外金型の方を先に冷却することを特徴とする請求項5記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項8】
前記外形型及び内形型を加熱するステップと、
樹脂管材を樹脂成形品用成形型内に挿入し、その後に樹脂管材本体部の開口部の周縁にフランジ部を押圧成形するステップと、前記フランジ部を加圧保持しながら冷却するステップとを有し、
前記冷却するステップにおいて外金型と内金型とのうち、外金型の方を先に冷却することを特徴とする請求項4記載の樹脂製管継手の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性の樹脂管材を用いて、樹脂成形品を加熱成形するのに用いられる成形型に関し、特に樹脂管材の端部側を加熱された成形型に挿入及び押圧することで、この樹脂管材の端部側にフランジ部等を加熱成形するのに用いられる成形型、それを用いた樹脂成形品、樹脂製管継手並びにそれらの製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン,ポリプロピレン等からなる熱可塑性の樹脂管材の端部側を加熱温調された金型内に挿入及び押圧することで、樹脂管材の端部側にフランジ部を塑性変形させることにより成形することができる(特許文献1)。
【0003】
同公報に記載の成型方法は、樹脂管材の端部を金型に挿入し、軟化温度以上に加熱した状態でさらに樹脂管材を押し込んで管継手が成形される。
しかし、樹脂管材を押し込んだ際に金型の割面や端面から溶融した樹脂が流れ込み凸状のリブが周状に形成される。
この凸状のリブは高さが5mm程度と大きいものになる場合がある。
これが原因による外観不良や管内面での通水時の流体の流れが阻害する恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7068038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱可塑性を有する樹脂管材の端部側にフランジ等を金型を用いて加熱成形し、外観に優れた管継手等の樹脂成形品を得るのに適した樹脂成形品用成形型及びそれを用いた樹脂成形品、樹脂製管継手及びそれらの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る樹脂成形品用成形型は、熱可塑性を有する樹脂管材の端部側を挿入及び押圧し、樹脂成形品を加熱成形するのに用いる成形型であって、前記成形型は、樹脂成形品の、外形を成形する外形型と内形を成形する内形型との間に成形部を備え、前記外形型又は/及び内形型は、前記樹脂管材を挿入した際に当該樹脂管材の外周部又は内周部に位置する断熱部材を有していることを特徴とする。
【0007】
ここで、外形型及び内形型は、樹脂管材が軟化あるいは溶融し、塑性変形するまで加熱温調される。
ここで、約250℃程度まで昇温可能であれば特に限定されず、例えばヒーター,温調機等が用いられる。
この場合に本発明は、樹脂管材の端部側を成形型の成形部に向けて挿入及び押圧(押し込む)する際に、外形型と内形型の一方又は両方の挿入口側に断熱部材を取り付けた点に特徴がある。
【0008】
上記のように、断熱部材を配置したことにより、樹脂管材の断熱部材に接する部位での軟化あるいは溶融が抑えられるので、局部的な樹脂管材の変形やバリ発生を防止できるとともに、塑性変形が必要なフランジ部等の成形部以外の加熱が抑えられるので、それだけ押し込み力が加熱成形部に加わりやすくなる。
【0009】
本発明において、外形型はベース金型と、前記ベース金型の成形部側に配置した外金型を有し、前記外金型に前記断熱部材として外側断熱部材を配設してあり、前記外側断熱部材は前記外金型よりも熱膨張係数が大きいのが好ましく、内形型は内金型と前記内金型の前記樹脂管材の挿入側に前記断熱部材として内側断熱部材を配設してあり、前記内側断熱部材は前記内金型よりも熱膨張係数が大きいのが好ましい。
【0010】
このようにすると、外金型,内金型の加熱温度により、外側断熱部材は内径が縮径する方向に熱膨張することで、隙間から樹脂材が流れ込むのを抑える。
内側断熱部材は、外形が拡径する方向に熱膨張し、同様に隙間から樹脂材が流れ込むのを抑える。
【0011】
本発明に係る樹脂製管継手は、熱可塑性樹脂からなる筒状の樹脂管材本体部と、前記樹脂管材本体部と一体であって、前記樹脂管材本体部の開口部の周縁から外方に張り出したフランジ部とを有し、前記樹脂管材本体部のフランジ部側に側面視でT字型の凸部又は凹部が形成されていることを特徴とする。
このような凸部又は凹部は樹脂製管継手の成形時に外側断熱部材又は内側断熱部材との接触によりできる。
【0012】
本発明に用いることができる樹脂管材の材質としては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ABS,AES,熱可塑性ポリエステル(熱可塑性ポリエチレンテレフタレート等)等が例として挙げられる。
特に、耐震性や耐久性の観点から、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好適である。
オレフィン系樹脂管は、硬質塩化ビニル管に比べて、JIS K 6815-1,JIS K 6815-3に従って測定される引張破断伸びが高く、硬質塩化ビニル管が50~150%であるのに対してオレフィン系樹脂管は350%以上であり、特にISO/TR9080に規定する外挿方法でPE100の高密度ポリエチレン管を用いた場合には、引張破断伸びは500%以上となるため、地震によって損傷するのを抑制することができる。
また、オレフィン系樹脂については特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン,ポリブテン,低密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン,アタクチックポリプロピレン,アイソタクチックポリプロピレン,シンジオタクチックポリプロピレン,ポリαオレフィン等が好適である。
【0013】
従って断熱部材は、樹脂管材よりも軟化点が高い耐熱性の樹脂である。
例えば、フッ素樹脂,ポリアミドイミド,ポリフェニレンスルファイド等が例として挙げられる。
JIS K 7197(2012)に基づいて測定すると、25℃を基準とした150~250℃の熱膨張係数は、フッ素樹脂:13~18×10-5/℃,ポリアミドイミド:3.4~4.0×10-5/℃,ポリフェニレンスルファイド:4.0~5.5×10-5/℃である。
また、JIS K 6395(2012)に基づく融点は、フッ素樹脂(PTFE):327℃,フッ素樹脂(PFA):310℃,ポリアミドイミド:300℃,ポリフェニレンスルファイド:290℃である。
よって、本発明に用いる断熱部材は、熱膨張係数にて3.4~18×10-5/℃の範囲がよく、融点は290℃以上が好ましい。
また、金型の熱膨張係数は、JIS Z 2285(2003)に基づくと、炭素鋼:10~11×10-6/℃,ステンレス鋼:10~15×10-6/℃,SC材10~11×10-6/℃である。
従って、金型を常温から200~250℃に加熱した場合に、金型よりも熱膨張率の大きい外側断熱部材は内径が縮径し、内側断熱部材は外径が拡径することになる。
【0014】
このような成形型を用いて、筒状の樹脂管材の端部側(開口部)にフランジ部等を成形すると、成形寸法及び外観品質に優れた樹脂成形品が得られる。
本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、外形型及び内形型を加熱するステップと、樹脂管材を樹脂成形品用成形型内に挿入し、その後にフランジ部を押圧成形するステップと、前記フランジ部を加圧保持しながら冷却するステップとを有し、前記冷却するステップにおいて外金型と内金型とのうち、外金型の方を先に冷却することを特徴とする。
樹脂管材にフランジ部を成形する際には、樹脂の流れを誘導するのに加熱が必要であるが、その後に冷却する際に樹脂材が収縮するので、この過程を安定させるのに樹脂が軟化温度以下に固まるその間、フランジ部を加圧保持する必要がある。
本発明は、外金型と内金型との上部にそれぞれ両側から、樹脂材を押圧する断熱部材を設けたことにより、成形及び冷却時の寸法安定性が向上する。
これにより、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、外形型及び内形型を加熱するステップと、樹脂管材を樹脂成形品用成形型内に挿入し、その後にフランジ部を押圧成形するステップと、前記フランジ部を加圧保持しながら冷却するステップとを有し、前記冷却するステップにおいて外金型と内金型とのうち、外金型の方を先に冷却することを特徴とする。
また、外形型及び内形型を加熱するステップと、樹脂管材を樹脂成形品用成形型内に挿入し、その後に樹脂管材本体部の開口部の周縁にフランジ部を押圧成形するステップと、前記フランジ部を加圧保持しながら冷却するステップとを有し、前記冷却するステップにおいて外金型と内金型とのうち、外金型の方を先に冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る樹脂成形品の成形型は、筒状の樹脂管材の端部側を加熱金型内に挿入及び押し込み、この樹脂管材の端部の外周部に張り出したフランジ部等を成形する際に、金型への樹脂管材の挿入口付近での変形や樹脂流れを断熱部材で抑えることができる。
これにより、一方の端縁から他方の端縁にかけて略同一の太さの部材である筒状の樹脂管材の開口部の周縁にフランジ部を形成した樹脂製の管継手が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る成形型の構造例を示し、(a)は樹脂管材の押入前の外観、(b)はA-A線部分断面図を示す。(c)は樹脂管材の挿入状態、(d)はその部分断面図を示す。
図2】(a)は樹脂管材の成形型内に挿し込み、成形部を成形する際のA-A線部分断面図を示し、(b)は部分拡大図を示す。
図3】外形型を左右に分割し、成形品を成形型から取り出す流れを(a),(b)に示す。
図4】成形品の成形時における内外金型の温度変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る成形型を模式図として、図1及び図2に示すが、本発明はこれに限定されない。
図1(b)は(a)に示したA-A線において、内金型21を外観図として表現し、ベース型11,外金型12A,12B、外側断熱部材13A,13B及び外形拘束部材14A,14Bを断面端面図として表してある。
【0018】
成形型は、樹脂成形品の外形を成形するための外形型と、内形を成形するための内形型で構成される。
本実施例では、外形型としてフランジ部等の成形部(キャビティ)31を有するベース金型11と、左右に分割可能な外金型12A,12Bとで構成し、この外金型12A,12Bと内金型との間に設けた樹脂管材1の挿入口であって、樹脂管材1の外周部に位置する外側断熱部材13A,13Bを、この外金型12A,12Bの上面にボルト等にて取り付けてある。
外側断熱部材13A,13Bの内径寸法は、常温時において外金型12A,12Bの内形寸法に一致するように製作してある。
なお、約250℃の加熱時に外側断熱部材13A,13Bの内径が外金型の内径12A,12Bより小さくなる範囲で、常温時には外側断熱部材13A,13Bの内径寸法と外金型12A,12Bの内径寸法に差があってもよい。
外金型を昇温すると、それに伴って、外側断熱部材は内側が縮径し、外側が拡径するが、内側の縮径を誘導するのにセラミック等からなる外形拘束部材14A,14Bを外金型に設けてある。
ここで、外径拘束部材は、外側断熱部材が外側に膨張するのを抑えるのが目的であり、耐熱性を有し、外側断熱部材よりも熱膨張係数が小さいものであれば、セラミックに限定されない。
【0019】
内形型は、内金型21とその上部に内側断熱部材22をボルト等にて取り付けた例になっている。
内金型21は,図1に点線で示すように内部は凹部構造になっていて、ベース金型にボルト締結により位置決めされている。
内金型21及び内側断熱部材22の外径寸法は、常温時において一致するように製作してある。
また、熱膨張時にこの内側断熱部材22が拡径方向に変化するように、内側に炭素鋼又は金型鋼からなるコア部23を設けるとともに、必要に応じて冷却時の送風孔23aを設けてもよい。
この場合も、加熱時に内側断熱部材22の外径寸法が内金型21の外径よりも大きくなれば、常温時に限らずしも外径が一致していなくてもよい。
【0020】
ここで、ベース金型11,外金型12A,12B及び内金型21は、樹脂成形品の成形温度に合せて加熱温調されている。
【0021】
図1に示すように、樹脂管材1を成形型に挿入し、図2に示すようにさらに押し込むと、その押圧力により加熱された樹脂管材の端部が成形部31の形状に合せて、軟化あるいは溶融変形し、成形品が形成される。
この成形部31により形成された成形部が軟化温度以下になるまで冷却する。
次に、図3(a)に示すように左右の半割状の外金型12Aと12Bとは、分割方向に開き、図3(b)に示すようにフランジ部2aを有する成形品2を取り出すことができる。
【0022】
次に、本発明に係る成形型の作用について説明する。
図1に示したように、樹脂管材1を内金型21との間であって、成形型に有する外側断熱部材13A,13Bの内側に形成した間口(挿入部)33、外金型12A,12Bの内側に形成した連通部32を経由して、ベース金型11の内側底部に突き当たるように挿入する。
次に、図2に示すように樹脂管材1をさらに押し込む。
すると、外金型12A,12B,内金型21及びベース金型11により、加熱された樹脂管材の開口部は塑性変形し、成形部31の形状に合せて加熱成形される。
この際に、図2に示すように外側断熱部材13A,13Bは、縮径方向に熱膨張し、この外側断熱部材13A,13Bの内周面にて矢印fで示す方向に押圧力が作用する。
内側断熱部材22は外径が拡径する方向に熱膨張するので、矢印fで示す外側方向の押圧力が作用し、樹脂管材1を外周側と内周側の両方から押圧支持するので、樹脂管材1が外金型12A,12Bの挿入口付近での変形を抑えることになる。
図4に成形時の内金型と外金型との温度変化を示す。
樹脂管材の端部を成形型に挿入及び押圧する際には、樹脂の流れを誘導するのに適した温度に加熱制御される。
その後に、成形部(フランジ部)を冷却する必要があるが、冷却に伴い樹脂が収縮するので、軟化温度以下になるまで加圧保持するのが好ましい。
この際に、図2(b)にて外側断熱部材13A,13B及び内側断熱部材22の部分の樹脂温度が高いと、座屈変形したり、あるいは成形部に充分な加圧力が伝わらない恐れがある。
そこで、外側断熱部材13A,13Bと、内側断熱部材22とで両側から押圧するとともに、外金型を内金型よりも先に冷却し、その後に内金型を冷却し、金型から製品を取り出す。
この際に、図3(b)に示すように成形品の内周面や、外周面であって金型の分割面及び外側断熱部材13A,13B、内側断熱部材20に位置する部位に、痕ができる。
具体的には、外側断熱部材13A,13B及び内側断熱部材22と、樹脂管材との接触面には、樹脂管材のスキン層が残ったまま帯状の押圧面が周状に凸面又は凹面として形成される。
金型の分割面にはパーティングライン(PL)としての小さなバリがでる。
これにより、図3(b)に示すように側面視にてT字形状の痕2bが形成される。
断熱部材の痕の凸面高さ又は凹面深さは3mm以下であり、好ましくは1mm以下になっている。
凸面又は凹面の幅は、断熱部材の高さ方向の幅に相当し、10~40mm、好ましくは
20~30mmの範囲である。
また、PLのバリは2mm以下、好ましくは0.5mm以下、幅が1~3mm以下である。
これに対してフランジ部は、樹脂管材のスキン層が溶融により消滅している。
【0023】
本実施例では、内金型21の上面高さ21Uを外金型12A,12Bの上面高さ12Uよりも低く設定し、内側断熱部材22が外金型12A,12Bと、外側断熱部材13A,13Bとの境界部を跨ぐように配置し、内側断熱部材22の上面高さ22Uが外側断熱部材13A,13Bの上面高さ13Uと同じになるように設定した例になっている。
【符号の説明】
【0024】
1 樹脂管材
11 ベース金型
12A 外金型
13A 外側断熱部材
21 内金型
22 内側断熱部材
31 成形部
図1
図2
図3
図4