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特開2024-145575コンデンサ温度推定装置およびコンデンサ温度推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145575
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】コンデンサ温度推定装置およびコンデンサ温度推定方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20241004BHJP
   H02M 3/155 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
H02M3/00 C
H02M3/155 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057987
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】松田 英亮
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS04
5H730AS13
5H730BB14
5H730BB82
5H730BB89
5H730DD02
5H730FD01
5H730FD31
5H730FD41
5H730FD61
5H730XX19
5H730XX38
5H730XX40
(57)【要約】
【課題】コンデンサの温度を精度良く推定できるようにする。
【解決手段】コンデンサ温度推定装置は、第1取得部と第1同定部と第2取得部と第2同定部と温度推定部を備える。第1取得部は、昇圧コンバータの稼働状態に関する自己稼働情報を取得する。第1同定部は、取得された自己稼働情報と第1テーブルとに基づいて、自己リプル情報を同定する。第2取得部と、昇圧コンバータに接続される外部機器の稼働状態に関する外部稼働情報を取得する。第2同定部は、取得された自己稼働情報と第2テーブルとに基づいて、外部リプル情報を同定する。温度推定部は、同定された前記自己リプル情報と、同定された前記外部リプル情報と、に基づいて、コンデンサの温度を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧コンバータ内のコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定装置であって、
前記昇圧コンバータの稼働状態に関する情報としての自己稼働情報と、前記昇圧コンバータの稼働により発生するリプル電流である自己リプルに関する情報としての自己リプル情報と、の関係をテーブル化した第1テーブルを格納している第1格納部と、
前記自己稼働情報を取得する第1取得部と、
取得された前記自己稼働情報と前記第1テーブルとに基づいて、前記自己リプル情報を同定する第1同定部と、
前記昇圧コンバータに電気的に接続される外部機器の稼働状態に関する情報としての外部稼働情報と、前記外部機器の稼働により発生するリプル電流である外部リプルに関する情報としての外部リプル情報と、の関係をテーブル化した第2テーブルを格納している第2格納部と、
前記外部稼働情報を取得する第2取得部と、
取得された前記外部稼働情報と前記第2テーブルとに基づいて、前記外部リプル情報を同定する第2同定部と、
同定された前記自己リプル情報と同定された前記外部リプル情報とに基づいて、前記コンデンサの温度を推定する温度推定部と、
を備えるコンデンサ温度推定装置。
【請求項2】
同定された前記自己リプル情報と、同定された前記外部リプル情報と、前記コンデンサが有する寄生インピーダンスとに基づいて、前記コンデンサにおける電力損失を算出する損失算出部をさらに備え、
前記温度推定部は、算出された前記電力損失に基づいて前記コンデンサの温度を推定する、
請求項1に記載のコンデンサ温度推定装置。
【請求項3】
前記外部機器は、前記昇圧コンバータから出力される電力を交流電力に変換してモータに供給するインバータであって、
前記外部稼働情報は、前記昇圧コンバータから前記インバータに出力される電圧と、前記昇圧コンバータから前記インバータに出力される電流と、前記外部リプルの周波数と、前記モータの回転速度と、のうちの少なくともいずれか1つを含む、
請求項1又は2に記載のコンデンサ温度推定装置。
【請求項4】
前記自己稼働情報は、前記昇圧コンバータに入力される電流と、前記自己リプルの周波数と、前記昇圧コンバータにおける昇圧率と、のうちの少なくともいずれか1つを含む、
請求項1又は2に記載のコンデンサ温度推定装置。
【請求項5】
前記第2同定部は、
前記外部稼働情報と前記第2テーブルとに基づいて前記外部リプルの仮値を同定する仮外部リプル同定部と、
前記外部リプルの周波数に基づいて、前記外部リプルの仮値に対する前記外部リプルの値の割合としての外部利得を同定する外部利得同定部と、
同定された前記外部リプルの仮値と、同定された前記外部利得とに基づいて、前記コンデンサに流れ込む前記外部リプルの値を同定する外部リプル同定部と、を有し、
前記温度推定部は、同定された前記外部リプルの値に基づいて、前記コンデンサの温度を推定する、
請求項1又は2に記載のコンデンサ温度推定装置。
【請求項6】
前記第1同定部は、
前記自己稼働情報と前記第1テーブルとに基づいて前記自己リプルの仮値を同定する仮自己リプル同定部と、
前記自己リプルの周波数に基づいて、前記自己リプルの仮値に対する前記自己リプルの値の割合としての自己利得を同定する自己利得同定部と、
同定された前記自己リプルの仮値と、同定された前記自己利得とに基づいて、前記コンデンサに流れ込む前記自己リプルの値を同定する自己リプル同定部と、を有し、
前記温度推定部は、同定された前記自己リプルの値に基づいて、前記コンデンサの温度を推定する、
請求項1又は2に記載のコンデンサ温度推定装置。
【請求項7】
昇圧コンバータ内のコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定方法であって、
前記昇圧コンバータの稼働状態に関する情報としての自己稼働情報と、前記昇圧コンバータの稼働により発生するリプル電流である自己リプルに関する情報としての自己リプル情報と、の関係をテーブル化した第1テーブルを作成する工程と、
前記自己稼働情報を取得する工程と、
取得された前記自己稼働情報と前記第1テーブルとに基づいて、前記自己リプル情報を同定する工程と、
前記昇圧コンバータに電気的に接続される外部機器の稼働状態に関する情報としての外部稼働情報と、前記外部機器の稼働により発生するリプル電流である外部リプルに関する情報としての外部リプル情報と、の関係をテーブル化した第2テーブルを作成する工程と、
前記外部稼働情報を取得する工程と、
取得された前記外部稼働情報と前記第2テーブルとに基づいて、前記外部リプル情報を同定する工程と、
同定された前記自己リプル情報と同定された前記外部リプル情報とに基づいて、前記コンデンサの温度を推定する工程と、
を含むコンデンサ温度推定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇圧コンバータ内のコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昇圧コンバータの多くは、リアクトルなどを用いて昇圧した電力を、コンデンサを用いて平滑化して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-149905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような昇圧コンバータ内のコンデンサの温度は、コンデンサに流入するリプル電流によって上昇する。そのコンデンサの温度は、コンデンサに加わる負荷やコンデンサの耐久性などに影響を及ぼし得る。そのため、コンデンサの温度を監視することは重要である。そこで、本発明者らは、コンデンサに流入するリプル電流に基づいて、コンデンサの温度を推定することを考えた。
【0005】
しかしながら、その場合、以下に示す問題が発生し得る点に、本発明者らは着目した。例えば、昇圧コンバータの出力側に、インバータなどの所定の外部機器を電気的に接続した場合、昇圧コンバータの稼働により発生する自己リプルがコンデンサに流入するのみならず、外部機器の稼働により発生する外部リプルについてもコンデンサに流入してしまう。そのため、外部リプルをも考慮に入れないと、コンデンサの温度を精度良く推定できない。このような問題は、外部機器が外注である場合などに、特に顕著に起こり得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コンデンサの温度を精度良く推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、昇圧コンバータの稼働に起因してコンデンサに流れ込むリプル電流のみならず、外部機器の稼働に起因してコンデンサに流れ込むリプル電流をも同定するようにすれば、コンデンサの温度を精度良く推定できることを見出して、本発明に至った。本発明は、以下の(1)~(6)の装置および(7)の方法である。
【0008】
(1)昇圧コンバータ内のコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定装置であって、
前記昇圧コンバータの稼働状態に関する情報としての自己稼働情報と、前記昇圧コンバータの稼働により発生するリプル電流である自己リプルに関する情報としての自己リプル情報と、の関係をテーブル化した第1テーブルを格納している第1格納部と、
前記自己稼働情報を取得する第1取得部と、
取得された前記自己稼働情報と前記第1テーブルとに基づいて、前記自己リプル情報を同定する第1同定部と、
前記昇圧コンバータに電気的に接続される外部機器の稼働状態に関する情報としての外部稼働情報と、前記外部機器の稼働により発生するリプル電流である外部リプルに関する情報としての外部リプル情報と、の関係をテーブル化した第2テーブルを格納している第2格納部と、
前記外部稼働情報を取得する第2取得部と、
取得された前記外部稼働情報と前記第2テーブルとに基づいて、前記外部リプル情報を同定する第2同定部と、
同定された前記自己リプル情報と同定された前記外部リプル情報とに基づいて、前記コンデンサの温度を推定する温度推定部と、
を備えるコンデンサ温度推定装置。
【0009】
本構成によれば、自己稼働状態と第1テーブルとに基づいて自己リプル情報を同定すると共に、外部稼働状態と第2テーブルとに基づいて外部リプル情報を同定する。それら自己リプル情報および外部リプル情報に基づいて、コンデンサの温度を推定する。そのため、昇圧コンバータの稼働による自己リプルのみならず、外部機器の稼働による外部リプルをも考慮して、コンデンサの温度を推定できる。そのため、コンデンサの温度を精度良く推定できる。
【0010】
(2)同定された前記自己リプル情報と、同定された前記外部リプル情報と、前記コンデンサが有する寄生インピーダンスとに基づいて、前記コンデンサにおける電力損失を算出する損失算出部をさらに備え、
前記温度推定部は、算出された前記電力損失に基づいて前記コンデンサの温度を推定する、
前記(1)に記載のコンデンサ温度推定装置。
【0011】
本構成によれば、シンプルな手法で、コンデンサの温度を推定できる。
【0012】
(3)前記外部機器は、前記昇圧コンバータから出力される電力を交流電力に変換してモータに供給するインバータであって、
前記外部稼働情報は、前記昇圧コンバータから前記インバータに出力される電圧と、前記昇圧コンバータから前記インバータに出力される電流と、前記外部リプルの周波数と、前記モータの回転速度と、のうちの少なくともいずれか1つを含む、
前記(1)又は(2)に記載のコンデンサ温度推定装置。
【0013】
本構成によれば、このようなパラメータを含む外部稼働情報と第2テーブルとに基づいて、外部リプル情報を同定できる。
【0014】
(4)前記自己稼働情報は、前記昇圧コンバータに入力される電流と、前記自己リプルの周波数と、前記昇圧コンバータにおける昇圧率と、のうちの少なくともいずれか1つを含む、
前記(1)又は(2)に記載のコンデンサ温度推定装置。
【0015】
本構成によれば、このようなパラメータを含む自己稼働情報と第1テーブルとに基づいて、自己リプル情報を同定できる。
【0016】
(5)前記第2同定部は、
前記外部稼働情報と前記第2テーブルとに基づいて前記外部リプルの仮値を同定する仮外部リプル同定部と、
前記外部リプルの周波数に基づいて、前記外部リプルの仮値に対する前記外部リプルの値の割合としての外部利得を同定する外部利得同定部と、
同定された前記外部リプルの仮値と、同定された前記外部利得とに基づいて、前記コンデンサに流れ込む前記外部リプルの値を同定する外部リプル同定部と、を有し、
前記温度推定部は、同定された前記外部リプルの値に基づいて、前記コンデンサの温度を推定する、
前記(1)又は(2)に記載のコンデンサ温度推定装置。
【0017】
外部リプルの周波数の違いによって、外部リプルの発生源からコンデンサに至るまでの配線でのインピーダンスが変化して、コンデンサに流れ込む外部リプルが変化することが考えられる。その点、本構成によれば、外部リプルの周波数に基づいて、外部利得を同定して、コンデンサに流れ込む外部リプルの値を補正することができる。
【0018】
(6)前記第1同定部は、
前記自己稼働情報と前記第1テーブルとに基づいて前記自己リプルの仮値を同定する仮自己リプル同定部と、
前記自己リプルの周波数に基づいて、前記自己リプルの仮値に対する前記自己リプルの値の割合としての自己利得を同定する自己利得同定部と、
同定された前記自己リプルの仮値と、同定された前記自己利得とに基づいて、前記コンデンサに流れ込む前記自己リプルの値を同定する自己リプル同定部と、を有し、
前記温度推定部は、同定された前記自己リプルの値に基づいて、前記コンデンサの温度を推定する、
前記(1)又は(2)に記載のコンデンサ温度推定装置。
【0019】
自己リプルの周波数の違いによって、自己リプルの発生源からコンデンサに至るまでの配線でのインピーダンスが変化して、コンデンサに流れ込む自己リプルが変化することが考えられる。その点、本構成によれば、自己リプルの周波数に基づいて、自己利得を同定して、コンデンサに流れ込む自己リプルの値を補正することができる。
【0020】
(7)昇圧コンバータ内のコンデンサの温度を推定するコンデンサ温度推定方法であって、
前記昇圧コンバータの稼働状態に関する情報としての自己稼働情報と、前記昇圧コンバータの稼働により発生するリプル電流である自己リプルに関する情報としての自己リプル情報と、の関係をテーブル化した第1テーブルを作成する工程と、
前記自己稼働情報を取得する工程と、
取得された前記自己稼働情報と前記第1テーブルとに基づいて、前記自己リプル情報を同定する工程と、
前記昇圧コンバータに電気的に接続される外部機器の稼働状態に関する情報としての外部稼働情報と、前記外部機器の稼働により発生するリプル電流である外部リプルに関する情報としての外部リプル情報と、の関係をテーブル化した第2テーブルを作成する工程と、
前記外部稼働情報を取得する工程と、
取得された前記外部稼働情報と前記第2テーブルとに基づいて、前記外部リプル情報を同定する工程と、
同定された前記自己リプル情報と同定された前記外部リプル情報とに基づいて、前記コンデンサの温度を推定する工程と、
を含むコンデンサ温度推定方法。
【0021】
本方法によれば、前記(1)の装置と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0022】
以上の通り、前記(1)の装置および前記(7)の方法によれば、コンデンサの温度を精度良く推定できる。さらに、前記(1)を引用する前記(2)~(6)の装置によれば、それぞれの追加の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態のコンデンサ温度推定装置を示す構成図である。
図2】コンデンサおよびその周辺を示す回路図である。
図3】第1テーブルのイメージを示す図である。
図4】自己リプルの時間変化を示すグラフである。
図5】入力電流と自己リプル振幅との関係を示すグラフである。
図6】自己リプル周波数と自己利得との関係を示すグラフである。
図7】第2テーブルのイメージを示す図である。
図8】外部入力電流と外部リプル振幅との関係を示すグラフである。
図9】モータ回転速度と外部リプル振幅との関係を示すグラフである。
図10】外部リプル周波数と外部利得との関係を示すグラフである。
図11】リプルの周波数と寄生インピーダンスとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0025】
[第1実施形態]
図1に示す本実施形態のコンデンサ温度推定装置100は、昇圧コンバータ400の出力側に設けられているコンデンサ480の温度を推定する。昇圧コンバータ400は、バッテリ300から供給される電力を昇圧して、インバータ500に供給する。インバータ500は、その供給された電力を、交流に変換してモータ600に供給する。なお、「インバータ500」は、「外部機器」と読み替えてもよい。
【0026】
バッテリ300は、例えばリチウムイオン電池などである。
【0027】
図2に示すように、昇圧コンバータ400は、昇圧回路420と、平滑用のコンデンサ480とを有する。昇圧回路420は、本実施形態では昇圧用のコイルを3つ備える3相の昇圧チョッパ回路であって、1相駆動と2相駆動と3相駆動とを実施可能に構成されている。ただし、昇圧回路420は、例えば、1相の昇圧チョッパ回路であってもよいし、リアクトルを挟む入力側および出力側にそれぞれフルブリッジ回路を有する変圧回路であってもよい。
【0028】
昇圧回路420のプラス側の入力端子431は、バッテリ300のプラス端子に電気的に接続されており、昇圧回路420のマイナス側の入力端子439は、バッテリ300のマイナス端子に電気的に接続されている。以下、昇圧回路420の入力側における端子間電圧を「入力電圧Vi」という。入力電圧Viは、バッテリ300の端子間電圧と略等しい。また、以下では、昇圧回路420の入力端子431,439に入力される電流を「入力電流Ii」という。
【0029】
昇圧回路420は、バッテリ300から入力端子431,439に供給される入力電圧Viを昇圧して、出力端子441,449から出力する。昇圧回路420のプラス側の出力端子441は、コンデンサ480のプラス端子に電気的に接続されると共に、昇圧コンバータ400全体のプラス側の出力端子491に電気的に接続されている。昇圧回路420のマイナス側の出力端子449は、コンデンサ480のマイナス端子に電気的に接続されると共に、昇圧コンバータ400全体のマイナス側の出力端子499に電気的に接続されている。以下、コンデンサ480の温度を「コンデンサ温度cT」という。
【0030】
以下、昇圧回路420の出力端子441,449から出力される電流を「自己出力電流IoX」という。自己出力電流IoXには、昇圧回路420の稼働によるリプル電流としての「自己リプルRpX」が含まれる。自己リプルRpXは、コンデンサ480に流入する。
【0031】
以下、自己リプルRpXの周波数を「自己リプル周波数fx」という。自己リプル周波数fxは、図4に示すように、1相駆動の場合は30kHzであり、2相駆動の場合は60kHzであり、3相駆動の場合は90kHzである。以下、自己リプルRpXの振幅を「自己リプル振幅Ax」という。
【0032】
図2に示すように、コンデンサ480は、主機能成分としての静電容量Cと、寄生インピーダンスPiとを有する。以下、昇圧コンバータ400が出力する電圧を「出力電圧Vo」という。出力電圧Voは、コンデンサ480の端子間電圧と略等しい。また以下では、出力電圧Voを入力電圧Viで割った値から「100%」を減じた値を「昇圧率Bx」という。
【0033】
昇圧コンバータ400の出力端子441,449には、インバータ500の入力端子511,519が電気的に接続されている。それによって、コンデンサ480に、インバータ500の入力端子511,519が電気的に接続されている。以下、昇圧コンバータ400からインバータ500に供給される電流を「外部出力電流IoY」という。
【0034】
インバータ500の出力端子591,595,599には、交流用のモータ600が電気的に接続されている。以下、モータ600の回転速度を、「モータ回転速度Ms」という。インバータ500は、昇圧コンバータ400からの電力を3相交流電力に変換してモータ600に供給する。その変換によって、昇圧コンバータ400からインバータ500への外部出力電流IoYには、インバータ500の稼働によるリプル電流としての「外部リプルRpY」が含まれる。外部リプルRpYは、コンデンサ480に流入する。以下、外部リプルRpYの周波数を「外部リプル周波数fy」といい、外部リプルRpYの振幅を「外部リプル振幅Ay」という。
【0035】
図1に示すコンデンサ温度推定装置100は、以上に示した自己リプルRpXおよび外部リプルRpYに基づいて、コンデンサ480の温度を推定する。コンデンサ温度推定装置100は、CPU、ROM,RAMなどを備えるコンピュータを主体に構成されている。また、別の見方をすれば、コンデンサ温度推定装置100は、第1格納部10と、第2格納部20と、第1取得部30と、第2取得部40と、第1同定部50と、第2同定部60と、損失算出部70と、温度推定部80と、を備える。
【0036】
まず、第1格納部10と、第1取得部30と、第1同定部50と、について説明する。
【0037】
第1格納部10は、第1テーブルTxを格納している。第1テーブルTxは、自己稼働情報ixと自己リプル振幅Axとの関係をテーブル化したテーブルである。なお、「自己リプル振幅Ax」は、「自己リプル情報」と読み替えてもよい。自己稼働情報ixは、昇圧コンバータ400の稼働状態に関する情報である。本実施形態では、自己稼働情報ixは、入力電流Iiと、自己リプル周波数fxと、昇圧率Bxと、を含む。そのため、図3に示すように、第1テーブルTxは、入力電流Iiと自己リプル周波数fxと昇圧率Bxとの3次元情報と、自己リプル振幅Axとの関係をテーブル化した3次元テーブルである。
【0038】
具体的には、図4に示すように、自己リプル周波数fxが小さいほど、自己リプル振幅Axは大きくなる。また、図5に示すように、自己リプル周波数fxが同じなら、入力電流Iiが大きいほど、自己リプル振幅Axは大きくなる。また、昇圧率Bxが大きいほど、自己リプル振幅Axは大きくなる。これらのことから、第1テーブルTxは、前述の通り3次元テーブルとなっている。この第1テーブルTxは、予め実験やシミュレーションに基づいて作成しておく。
【0039】
図1に示す第1取得部30は、自己稼働情報ixを取得する。つまり、入力電流Iiと自己リプル周波数fxと昇圧率Bxとを取得する。具体的には、入力電流Iiは、例えば電流計による実測や演算によって取得できる。また、自己リプル周波数fxは、例えば、昇圧コンバータ400におけるデューティ制御の周波数に基づいて取得できる。また、昇圧率Bxは、例えば、バッテリ300の端子間電圧の実測値又は演算値と、コンデンサ480の端子間電圧の実測値又は演算値とに基づいて取得できる。
【0040】
図1に示す第1同定部50は、仮自己リプル同定部51と、自己利得同定部53と、自己リプル同定部55とを有する。以下、自己リプルRpXの実効値を「自己リプル実効値RpXe」といい、自己リプル実効値RpXeの仮の値を「自己リプル仮実効値RpXt」という。なお、「自己リプル仮実効値」は「自己リプルの仮値」と読み替えてもよく、「自己リプル実効値」は「自己リプルの値」と読み替えてもよい。以下、自己リプル仮実効値RpXtに対する自己リプル実効値RpXeの割合を、「自己利得Gx」という。
【0041】
図1に示す仮自己リプル同定部51は、取得された自己稼働情報ixと第1テーブルTxとに基づいて、自己リプル振幅Axを同定する。その同定された自己リプル振幅Axに基づいて、自己リプル仮実効値RpXtを同定する。具体的には、例えば、自己リプル振幅Axに所定数を乗じた値を、自己リプル仮実効値RpXtとする。
【0042】
図1に示す自己利得同定部53は、自己リプル周波数fxに基づいて自己利得Gxを同定する。具体的には、自己リプル周波数fxが変わると、自己リプルRpXの発生源からコンデンサ480に至るまでの経路におけるインピーダンスが変化する。そのことから、図6に示すように、自己リプル周波数fxと自己利得Gxとは、所定の関係を示す。自己利得同定部53は、このような関係を記憶した情報を格納しており、自己リプル周波数fxと当該情報とに基づいて、自己利得Gxを同定する。
【0043】
図1に示す自己リプル同定部55は、同定された自己リプル仮実効値RpXtと自己利得Gxとの積に基づいて、コンデンサ480に流入する自己リプル実効値RpXeを同定する。
【0044】
次に、第2格納部20と、第2取得部40と、第2同定部60と、について説明する。
【0045】
第2格納部20は、第2テーブルTyを格納している。第2テーブルTyは、外部稼働情報iyと外部リプル振幅Ayとの関係をテーブル化したテーブルである。なお、「外部リプル振幅Ay」は、「外部リプル情報」と読み替えてもよい。外部稼働情報iyは、インバータ500の稼働状態に関する情報である。本実施形態では、外部稼働情報iyは、出力電圧Voと、外部出力電流IoYと、外部リプル周波数fyと、モータ回転速度Msと、を含む。そのため、図7に示すように、第2テーブルTyは、出力電圧Voと外部出力電流IoYと外部リプル周波数fyとモータ回転速度Msとの4次元情報と、外部リプル振幅Ayとの関係をテーブル化した4次元テーブルである。
【0046】
具体的には、外部リプルRpYの場合においても自己リプルRpXの場合と同様に、外部リプル周波数fyが大きいほど、外部リプル振幅Ayが小さくなる。また、図8に示すように、外部リプル周波数fyが同じなら、昇圧コンバータ400からの外部出力電流IoYが大きいほど、外部リプル振幅Ayは大きくなる。また、昇圧コンバータ400からの出力電圧Voが大きいほど、外部リプル振幅Ayは大きくなる。また、図9に示すように、弱め界磁領域に至るまでは、モータ回転速度Msが大きいほど、外部リプル振幅Ayは大きくなる。これらのことから、第2テーブルTyは、前述の通り4次元テーブルとなっている。この第2テーブルTyは、予め実験やシミュレーションに基づいて作成しておく。
【0047】
図1に示す第2取得部40は、外部稼働情報iyを取得する。つまり、出力電圧Voと外部出力電流IoYと外部リプル周波数fyとモータ回転速度Msとを取得する。具体的には、出力電圧Voは、例えば、コンデンサ480の端子間電圧の実測値又は演算値に基づいて取得できる。外部出力電流IoYは、電流計による実測又は演算に基づいて取得できる。外部リプル周波数fyは、例えば、インバータ500におけるデューティ制御の周波数、つまりキャリア三角波の周波数に基づいて取得できる。モータ回転速度Msは、例えば、エンコーダによる実測や電流フィードバック値などに基づいて取得できる。
【0048】
図1に示す第2同定部60は、仮外部リプル同定部62と、外部利得同定部64と、外部リプル同定部66とを有する。以下、外部リプルRpYの実効値を「外部リプル実効値RpYe」といい、外部リプル実効値RpYeの仮の値を「外部リプル仮実効値RpYt」という。なお、「外部リプル仮実効値」は「外部リプルの仮値」と読み替えてもよく、「外部リプル実効値」は「外部リプルの値」と読み替えてもよい。以下、外部リプル仮実効値RpYtに対する外部リプル実効値RpYeの割合を、「外部利得Gy」という。
【0049】
第2同定部60についての説明は、前述の第1同定部50についての説明と、「第1」を「第2」に読み替え、「自己」を「外部」に読み替え、「図6」を「図10」に読み替えると共に、符号を該当するものに読み替えて同様である。つまり、図10に示すように、外部リプル周波数fyと外部利得Gyとは、所定の関係を示す。そのため、図1に示す外部リプル同定部66は、同定された外部リプル仮実効値RpYtと外部利得Gyとの積に基づいて、コンデンサ480に流入する外部リプル実効値RpYeを同定する。
【0050】
次に、図1に示す損失算出部70と温度推定部80とについて説明する。
【0051】
損失算出部70は、同定された自己リプル実効値RpXeと、同定された外部リプル実効値RpYeと、コンデンサ480が有する寄生インピーダンスPiとに基づいて、コンデンサ480における電力損失ΔPを算出する。
【0052】
具体的には、図11に示すように、リプルの周波数fx,fyと寄生インピーダンスPiとは、所定の関係を示す。損失算出部70は、この関係を示す情報を格納している。そして、図1に示す損失算出部70は、同定された自己リプル実効値RpXeの二乗と、取得された自己リプル周波数fxにおける寄生インピーダンスPiとの積(RpXe×RpXe×Pi)に基づいて、自己リプルRpXによる電力損失ΔPを算出する。また、損失算出部70は、同定された外部リプル実効値RpYeの二乗と、取得された外部リプル周波数fyにおける寄生インピーダンスPiとの積(RpYe×RpYe×Pi)に基づいて、外部リプルRpYによる電力損失ΔPyを算出する。
【0053】
損失算出部70は、これら自己リプルRpXによる電力損失ΔPxと、外部リプルRpYによる電力損失ΔPyとの和に基づいて、コンデンサ480における電力損失ΔPを算出する。
【0054】
温度推定部80は、算出された電力損失ΔPに基づいて、コンデンサ温度cTを推定する。具体的には、例えば、温度推定部80は、コンデンサ480での電力損失ΔPに基づいて、コンデンサ480での発熱速度を算出する。その発熱速度から冷却速度を減じたものの時間積分によって、熱量収支を算出する。その熱量収支を、コンデンサ480の熱容量で割ることによって、コンデンサ480の温度変化を推定して、コンデンサ温度cTを推定する。
【0055】
ただし、モータ600とコンデンサ480とが、同じ冷却系の冷却水によって冷却されている場合などには、モータ600での発熱がコンデンサ温度cTに影響を及ぼす場合がある。その場合には、温度推定部80は、モータ600での発熱とコンデンサ温度cTとの関係を示すテーブルを有していてもよい。そして、モータ600での発熱をも考慮して、コンデンサ温度cTを推定してもよい。
【0056】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0057】
図1に示すように、第1同定部50は、自己稼働情報ixと第1テーブルTxとに基づいて、自己リプル実効値RpXeを同定する。また、第2同定部60は、外部稼働情報iyと第2テーブルTyとに基づいて、外部リプル実効値RpYeを同定する。損失算出部70および温度推定部80は、それら自己リプル実効値RpXeおよび外部リプル実効値RpYeに基づいて、電力損失ΔPを算出してコンデンサ温度cTを推定する。そのため、自己リプルRpXのみならず、外部リプルRpYをも考慮して、コンデンサ温度cTを推定できる。そのため、コンデンサ温度cTを精度良く推定できる。
【0058】
図1に示すように、損失算出部70は、第1同定部50によって同定された自己リプル実効値aRpXeと、第2同定部60によって同定された外部リプル実効値RpYeと、コンデンサ480が有する寄生インピーダンスPiとに基づいて、コンデンサ480における電力損失ΔPを算出する。温度推定部80は、その算出された電力損失ΔPに基づいてコンデンサ480の温度を推定する。そのため、シンプルな手法で、コンデンサ温度cTを推定できる。
【0059】
図3に示す第1テーブルTxは、入力電流Iiと自己リプル周波数fxと昇圧率Bxとを含む自己稼働情報ixと、自己リプル振幅Axとの関係をテーブル化している。そのため、これらのパラメータIi,fx,Bxと第1テーブルTxとに基づいて、自己リプル振幅Axを同定できる。
【0060】
図7に示す第2テーブルTyは、出力電圧Voと外部出力電流IoYと外部リプル周波数fyとモータ回転速度Msとを含む外部稼働情報iyと、外部リプル振幅Ayとの関係をテーブル化している。そのため、これらのパラメータVo,IoY,fy,Msと第2テーブルTyとに基づいて、外部リプル振幅Ayを同定できる。
【0061】
図6に示すように、自己リプル周波数fxの違いによって、配線などでのインピーダンスが変化して、図2に示すコンデンサ480に流れ込む自己リプルRpXが変化することが考えられる。その点、図1に示す自己利得同定部53は、自己リプル周波数fxに基づいて自己利得Gxを同定する。自己リプル同定部55は、その同定された自己利得Gxに基づいて自己リプル実効値RpXeを同定する。そのため、自己リプル周波数fxに基づいて、自己利得Gxを同定して、自己リプル実効値RpXeを補正できる。
【0062】
図10に示すように、外部リプル周波数fyの違いによって、配線などでのインピーダンスが変化して、図2に示すコンデンサ480に流れ込む外部リプルRpYが変化することが考えられる。その点、図1に示す外部利得同定部64は、外部リプル周波数fyに基づいて外部利得Gyを同定する。外部リプル同定部66は、その同定された外部利得Gyに基づいて外部リプル実効値RpYeを同定する。そのため、外部リプル周波数fyに基づいて、外部利得Gyを同定して、外部リプル実効値RpYeを補正できる。
【0063】
なお、図1に示すコンデンサ温度推定装置100は、換言すれば、以上に示した各動作を行う各工程に基づいて、コンデンサ温度cTを推定するコンデンサ温度推定方法を実施している。そのコンデンサ温度推定方向によっても、以上に示したコンデンサ温度推定装置100の場合と同様の効果が得られる。
【0064】
[他の実施形態]
以上に示した実施形態は、例えば次のように変更できる。図3に示す入力電流Iiと自己リプル周波数fxと昇圧率Bxとのうちの1つ以上と、自己リプル振幅Axとの関係を、近似式に基づいて充分演算できる場合には、第1テーブルTxの自己稼働情報ixから、当該1つ以上を省いてもよい。同様に、図7に示す出力電圧Voと外部出力電流IoYと外部リプル周波数fyとモータ回転速度Msとのうちの1つ以上と、外部リプル振幅Ayとの関係を、近似式に基づいて充分演算できる場合には、第2テーブルTyの外部稼働情報iyから、当該1つ以上を省いてもよい。
【0065】
図3に示す第1テーブルTxを、自己稼働情報ixと自己リプル仮実効値RpXtとの関係を示すテーブルにしてもよい。なお、この場合、自己リプル仮実効値RpXtが、自己リプル情報に該当する。同様に、図7に示す第2テーブルTyを、外部稼働情報iyと外部リプル仮実効値RpYtとの関係を示すテーブルにしてもよい。なお、この場合、外部リプル仮実効値RpYtが、外部リプル情報に該当する。
【0066】
図6に示すような自己リプル周波数fxと自己利得Gxとの関係において、想定される自己リプル周波数fxの範囲内では、自己利得Gxの値がさほど変化しない場合には、図1に示す自己利得同定部53を省いてもよい。そして、第1実施形態でいう自己リプル仮実効値RpXtをそのまま自己リプル実効値RpXeとして採用してもよい。
【0067】
同様に、図10に示すような外部リプル周波数fyと外部利得Gyとの関係において、想定される外部リプル周波数fyの範囲内では、外部利得Gyの値がさほど変化しない場合には、図1に示す外部利得同定部64を省いてもよい。そして、第1実施形態でいう外部リプル仮実効値RpYtをそのまま外部リプル実効値RpYeとして採用してもよい。
【0068】
図1に示す自己稼働情報ixが、さらに自己利得Gxを含む4次元情報であって、第1テーブルTxが、その4次元の自己稼働情報ixと自己リプル実効値RpXeとの関係を示すテーブルであってもよい。そして、第1同定部50は、仮自己リプル同定部51や自己利得同定部53を有さず、取得された自己稼働情報ixと第1テーブルTxとに基づいて、直接、自己リプル実効値RpXeを算出してもよい。なお、この場合、自己リプル実効値RpXeが、自己リプル情報に該当する。
【0069】
同様に、外部稼働情報iyが、さらに外部利得Gyを含む5次元情報であって、第2テーブルTyが、その5次元の外部稼働情報iyと外部リプル実効値RpYeとの関係を示すテーブルであってもよい。そして、第2同定部60は、仮外部リプル同定部62や外部利得同定部64を有さず、取得された外部稼働情報iyと第2テーブルTyとに基づいて、直接、外部リプル実効値RpYeを算出してもよい。なお、この場合、外部リプル実効値RpYeが、外部リプル情報に該当する。
【0070】
図1に示す損失算出部70の機能の一部が、第1同定部50と第2同定部60とに移行されていてもよい。具体的には、第1同定部50が、自己リプルRpXによる電力損失ΔPxを算出するまでを行い、第2同定部60が、外部リプルRpYによる電力損失ΔPyを算出するまでを行うようにしてもよい。そして、損失算出部70は、単にこれら自己リプルRpXによる電力損失ΔPxと、外部リプルRpYによる電力損失ΔPyとの和に基づいて、コンデンサ480における電力損失ΔPを算出するようにしてもよい。
【0071】
図2に示す昇圧コンバータ400の出力端子491,499に、例えば直流モータなどの、インバータ500以外の外部機器の入力端子を接続してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 第1格納部
20 第2格納部
30 第1取得部
40 第2取得部
50 第1同定部
51 仮自己リプル同定部
53 自己利得同定部
55 自己リプル同定部
60 第2同定部
62 仮外部リプル同定部
64 外部利得同定部
66 外部リプル同定部
70 損失算出部
80 温度推定部
100 コンデンサ温度推定装置
400 昇圧コンバータ
480 コンデンサ
ix 自己稼働情報
Ii 入力電流(昇圧コンバータに入力される電流)
fx 自己リプル周波数
Bx 昇圧率
iy 外部稼働情報
Vo 出力電圧(昇圧コンバータからインバータに出力される電圧)
IoY 外部出力電流(昇圧コンバータからインバータに出力される電流)
fy 外部リプル周波数
Ms モータ回転速度
Ax 自己リプル振幅(自己リプル情報)
Ay 外部リプル振幅(外部リプル情報)
RpX 自己リプル
RpXt 自己リプル仮実効値(自己リプルの仮値)
RpXe 自己リプル実効値(自己リプルの値)
RpY 外部リプル
RpYt 外部リプル仮実効値(外部リプルの仮値)
RpYe 外部リプル実効値(外部リプルの値)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11