(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145585
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】包装箱および収容スタンド
(51)【国際特許分類】
B65D 5/68 20060101AFI20241004BHJP
B65D 5/60 20060101ALI20241004BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65D5/68 H
B65D5/60 A
B65D5/52 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058008
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB02
3E060BA24
3E060BB01
3E060BC02
3E060BC04
3E060CB03
3E060CB24
3E060DA17
3E060DA22
(57)【要約】
【課題】使い勝手の良い包装箱および収容スタンドを提供する。
【解決手段】箱本体201と蓋体205とを備えている。箱本体201は、前後の端壁211,212および左右の側壁212,213を有する筒状の胴部210と、胴部210の下側の開口部に設けられた底板220と、端壁211,212および側壁213,214の少なくとも一つに連設されたフラップ230と、を有している。蓋体205は、前後の端壁251,252および左右の側壁253,254を有する筒状の胴部250と、胴部250の上側の開口部に設けられた頂板280と、記フラップ230に係止される差込片290,291と、を有し、フラップ230は、箱本体201の胴部210の上端部で外側に折り曲げられるとともに、差込片290,291を係止するための被差込部232を備え、差込片290,291は、蓋体205の胴部250から延出している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の箱本体と、前記箱本体の上端開口部を覆う蓋体とを備えており、
前記箱本体は、
前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、
前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、
前記端壁および前記側壁の少なくとも一つに連設されたフラップと、を有し、
前記蓋体は、
前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、
前記胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、
前記フラップに係止される差込片と、を有し、
前記フラップは、前記箱本体の前記胴部の上端部で外側に折り曲げられるとともに、前記差込片を係止するための被差込部を備え、
前記差込片は、前記蓋体の前記胴部から延出している
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記被差込部は、前記差込片が挿入される挿通孔であり、側縁の一部が幅方向両側に広がる拡幅部を備え、
前記差込片は、幅方向両側に突出する突出部を備えている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記フラップは、前記箱本体の前記胴部の前記端壁および前記側壁のうち、少なくとも一組の互いに対向する壁にそれぞれ連設され、
前記差込片は、前記蓋体の前記胴部の前記端壁および前記側壁のうち、前記フラップの前記被差込部に対応する位置の壁にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記箱本体の内側に挿入される有底筒状の内箱をさらに備える
ことを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記蓋体の前記胴部は、内側に折り返された多重壁となっている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記箱本体と前記蓋体は、防水処理または撥水処理が為された板紙にて形成されている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の包装箱を収容する収容スタンドであって、
前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、前記側壁間に掛け渡される内壁と、を有し、
前記端壁は、背の低い低端壁と、前記低端壁より背が高い高端壁とで構成されており、
前記側壁は、前記低端壁に連設された低壁部と、前記高端壁に連設された高壁部とが連続した段差形状を呈しており、
前記高壁部の上部には、二重壁部が形成され、
前記内壁は、前記二重壁部の後縁部に連設され、互いに向かい合う前記高壁部の間に配置されている
ことを特徴とする収容スタンド。
【請求項8】
請求項7に記載の収容スタンドであって、
前記低端壁と前記内壁との間が、前記包装箱の収容スペースであり、
前記内壁と前記高端壁の上部が開封時の前記蓋体の保持部である
ことを特徴とする収容スタンド。
【請求項9】
請求項8に記載の収容スタンドであって、
前記内壁の上端部から前記高端壁側に延びる延出部をさらに有する
ことを特徴とする収容スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱および収容スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
上部が開口した有底の箱体と、その箱体の上側開口を塞ぐ蓋体とが別体で設けられた包装箱が多く知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の包装箱においては、箱体が、底面部とこの底面部から立ち上がる筒状の側壁部とを備え、蓋体が、頂面部とこの頂面部から垂れ下がる筒状の側壁部とを備えている。そして、蓋体の側壁部が箱体の側壁部を外側から囲うように、蓋体を箱体の上部から被せることで、箱体の上側開口が塞がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装箱では、蓋体で箱体の上側開口を塞ぐ際に、蓋体を粘着テープで貼り付けるようになっており、蓋体の固定および開封時に、粘着テープを着脱する手間を要する問題があった。また、蓋体は、開封時に箱体とは別途に取り扱いを管理しなければならない問題があった。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、使い勝手の良い包装箱および収容スタンドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、第一の本発明は、有底筒状の箱本体と、前記箱本体の上端開口部を覆う蓋体とを備えた包装箱である。前記箱本体は、前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、前記端壁および前記側壁の少なくとも一つに連設されたフラップと、を有している。前記蓋体は、前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、前記胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、前記フラップに係止される差込片と、を有している。前記フラップは、前記箱本体の前記胴部の上端部で外側に折り曲げられるとともに、前記差込片を係止するための被差込部を備え、前記差込片は、前記蓋体の前記胴部から延出していることを特徴とする。
【0007】
本発明の包装箱によれば、箱本体の胴部の外側に折り曲げられたフラップの被差込部に、蓋体の差込片を挿入して、箱本体の胴部とフラップとの間に差込片を押し込むことで、粘着テープを用いることなく、蓋体を箱本体に固定することができる。また、胴部の外側に折り曲げられたフラップは、復元力により外側に向けて広がろうとするので、蓋体の胴部を内側から押圧する。したがって、蓋体の固定強度が高くなる。一方、差込片をフラップの被差込部に係止した状態で、フラップを回動させることで、フラップが蝶番の役目を果たし、蓋体を箱本体に回動可能に接続することができる。これにより、蓋体は、開封時でも箱本体に接続されることになるので、別個に管理する必要が無い。また、差込片が破損した場合、蓋体のみを交換すれば、箱本体はそのままで包装箱を利用することができる。これらの事より、使い勝手がよい包装箱となる。
【0008】
本発明の包装箱においては、前記被差込部は、前記差込片が挿入される挿通孔であり、側縁の一部が幅方向両側に広がる拡幅部を備え、前記差込片は、幅方向両側に突出する突出部を備えているものが好ましい。このような構成によれば、差込片の挿通後は、突出部が拡幅部以外の側面に係止されるので、差込片が被差込部から抜け出し難くなる。差込片を被差込部に差し込む際には、差込片の突出部を、被差込部の挿通孔の拡幅部を通過させることで、差込片を被差込部に挿通し易くなる。
【0009】
本発明の包装箱においては、前記フラップは、前記箱本体の前記胴部の前記端壁および前記側壁のうち、少なくとも一組の互いに対向する壁にそれぞれ連設され、前記差込片は、前記蓋体の前記胴部の前記端壁および前記側壁のうち、前記フラップの前記被差込部に対応する位置の壁にそれぞれ設けられているものが好ましい。このような構成によれば、複数個所で、差込片を箱本体の胴部とフラップとの間に押し込むことができるので、蓋体の箱本体への固定強度を高めることができる。また、蓋体を開閉する際に被差込部に挿入された差込片が破損した場合、蓋体の向きを変えて、蓋体の他方の差込片をフラップの被差込部に挿入すれば、蓋体を交換することなく包装箱を利用することができる。これにより、包装箱の使い勝手がより一層よくなる。
【0010】
本発明の包装箱においては、前記箱本体の内側に挿入される有底筒状の内箱をさらに備えるものが好ましい。このような構成によれば、二重の包装箱となるので、鋭利な収容物が外部に突出することを抑制でき、さらには、収容物から漏れ出た液体あるいは染み出した水分が周囲に漏出することを抑制できる。
【0011】
本発明の包装箱においては、前記蓋体の前記胴部は、内側に折り返された多重壁となっているものが好ましい。このような構成によれば、蓋体の胴部はフラップ側に向けて広がろうとするので、箱本体の胴部を外側から押さえて、蓋体の固定強度が高くなる。
【0012】
本発明の包装箱においては、前記箱本体と前記蓋体は、防水処理または撥水処理が為された板紙にて形成されているものが好ましい。このような構成によれば、液漏れ防止性能が高くなる。
【0013】
前記課題を解決するため、第二の本発明は、包装箱を収容する収容スタンドであって、前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、前記側壁間に掛け渡される内壁と、を有している。前記端壁は、背の低い低端壁と、前記低端壁より背が高い高端壁とで構成されており、前記側壁は、前記低端壁に連設された低壁部と、前記高端壁に連設された高壁部とが連続した段差形状を呈している。前記高壁部の上部には、二重壁部が形成され、前記内壁は、前記二重壁部の後縁部に連設され、互いに向かい合う前記高壁部の間に配置されていることを特徴とする。
本発明の収容スタンドによれば、包装箱を安定した状態で収容できる。また、高壁部で蓋体を支持することで、差込片の劣化を抑制できる。
【0014】
本発明の収容スタンドにおいては、前記低端壁と前記内壁との間が、前記包装箱の収容スペースであり、前記内壁と前記高端壁の上部が開封時の前記蓋体の保持部であるものが好ましい。このような構成によれば、内壁と高壁部で蓋体を二点支持することで、開封時の蓋体の支持の安定度が高くなる。
【0015】
本発明の収容スタンドにおいては、前記内壁の上端部から前記高端壁側に延びる延出部をさらに有するものが好ましい。このような構成によれば、内壁の延出部が、蓋体を複数の線状部で支持することができるので、開封時の蓋体の支持の安定度がより一層高くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装箱および収容スタンドによれば、使い勝手が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るケース構成材にて形成された内箱を示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るケース構成材のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る包装箱の箱本体を示した斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る包装箱の箱本体のブランクシートを示した図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る包装箱の蓋体を示した斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る包装箱の蓋体のブランクシートを示した図である。
【
図7】箱本体に蓋体を封緘する状態を示した図であって、(a)は蓋体を封緘する前の状態を示した断面図、(b)は蓋体を封緘した状態を示した断面図である。
【
図8】箱本体に蓋体を取り付けた状態を示した図であって、(a)は蓋体を閉じた状態を示した斜視図、(b)は蓋体を開いた状態を示した斜視図である。
【
図9】内箱を外箱の内部に収納した状態を示した図であって、(a)は上端部を示した平面図、(b)は下端部を示した平面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る収容スタンドを示した斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る収容スタンドのブランクシートを示した図である。
【
図12】(a)はゴミ袋が装着された箱本体を収容スタンドに収容する状態を示した斜視図、(b)は収容スタンドに収容された包装箱の蓋体が開いた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向は、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0019】
本実施形態では、内箱1が収納された包装箱2を収容スタンド3に収容したゴミ箱を例に挙げて、各容器の構成を説明する。本実施形態のゴミ箱は、例えば医療現場において用いられるものである。このゴミ箱には、突起物や液体を収容した容器等が廃棄される場合がある。内箱1は、包装箱2の内部に挿入して使用する。内箱1が挿入された包装箱2は、上方から収容スタンド3に収容される。
【0020】
(内箱)
まず、
図1および
図2を参照しながら、内箱1の構成を説明する。本実施形態の内箱1は、ケース構成材101にて形成されている。ケース構成材101とは、端壁と側壁とを備えた胴部が筒状に保持されることで箱や容器等(本実施形態では内箱)のケースを構成する部材である。内箱1(ケース構成材101)は、
図1に示すように、筒状に形成された胴部110と、胴部110の下側の開口部に設けられた底板130と、を有している。内箱1は、上部が開口した有底筒状を呈している。
【0021】
本実施形態の内箱1は、
図2に示した段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。ブランクシートS1は、防水処理または撥水処理が為された板紙(段ボール製のシート)にて形成されている。
図2に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の折れ線は、ブランクシートS1の表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0022】
胴部110は、
図1に示すように、ブランクシートS1(
図2参照)の両端部をそれぞれ溝形に折り曲げ、溝形の開口部同士を互いに対向させて筒状に形成されている。
胴部110は、前後一対の端壁111,112と、左右一対の側壁113,114と、を有している。
【0023】
図2にも示すように、底板130は矩形状を呈している。底板130の前端部には、前側の端壁111が連続して上方に立ち上がっている。前側の端壁111の左側端部には、左側の側壁113の前部を構成する左側壁前部113aが連続して形成されている。左側壁前部113aは、罫線L1を介して後方に折れ曲がっている。前側の端壁111の右側端部には、右側の側壁114の前部を構成する右側壁前部114aが連続して形成されている。右側壁前部114aは、罫線L1を介して後方に折れ曲がっている。以上のように、前側の端壁111と左側壁前部113aと右側壁前部114aとが断面コ字状に折り曲げられ、前側の溝形部分となっている。
【0024】
底板130の後端部には、後側の端壁112が連続して上方に立ち上がっている。後側の端壁112の左側には、左側の側壁113の後部を構成する左側壁後部113bが連続して形成されている。左側壁後部113bは、罫線L1を介して前方に折れ曲がっている。後側の端壁112の右側には、右側の側壁114の後部を構成する右側壁後部114bが連続して形成されている。右側壁後部114bは、罫線L1を介して前方に折れ曲がっている。以上のように、後側の端壁112と左側壁後部113bと右側壁後部114bとが断面コ字状に折り曲げられ、後側の溝形部分となっている。
【0025】
左側壁前部113aの後端部と左側壁後部113bの前端部は、所定の幅で重ね合わされ、左側壁前部113aと左側壁後部113bとで左側の側壁113が形成されている(
図1参照)。右側壁前部114aの後端部と右側壁後部114bの前端部は、所定の幅で重ね合わされ、右側壁前部114aと右側壁後部114bとで右側の側壁114が形成されている(
図1参照)。
【0026】
底板130の左側端部には、左側の側壁113の下端部に重ねられる立上部115が連続して立ち上げられている。立上部115の前端部には、左側壁前部113aの下端部が罫線L3を介して連設されている。左側壁前部113aの下端部には、底板130の左前角部から斜めに延在する逆罫線L4が形成されており、左側壁前部113aと立上部115との間で折り畳まれる三角形状の折込部117aが設けられている。立上部115の後端部には、左側壁後部113bの下端部が罫線L3を介して連設されている。左側壁後部113bの下端部には、底板130の左後角部から斜めに延在する逆罫線L4が形成されており、三角形状の折込部117bが設けられている。折込部117bは、左側壁後部113bと立上部115との間で折り畳まれる(
図1参照)。
【0027】
底板130の右側端部には、右側の側壁114の下端部に重ねられる立上部116が連続して立ち上げられている。立上部116の前端部には、右側壁前部114aの下端部が罫線L3を介して連設されている。右側壁前部114aの下端部には、底板130の右前角部から斜めに延在する逆罫線L4が形成されており、右側壁前部114aと立上部116との間で折り畳まれる三角形状の折込部118aが設けられている。立上部116の後端部には、右側壁後部114bの下端部が罫線L3を介して連設されている。右側壁後部114bの下端部には、底板130の右後角部から斜めに延在する逆罫線L4が形成されており、三角形状の折込部118bが設けられている。折込部118bは、右側壁後部114bと立上部116との間で折り畳まれる(
図1参照)。
【0028】
隣り合う端壁111(112)と、側壁113(114)との間には、面取り状の傾斜壁140がそれぞれ形成されている。傾斜壁140は、胴部110の上端部にそれぞれ形成されている。傾斜壁140は、胴部110に設けられた切込C1と、上部罫線L2とで形成されている。切込C1は、段ボールを切断する線であり、隣り合う端壁111(112)と、側壁113(114)との間の罫線L1ごとに設けられている。切込C1は、罫線L1と交差する方向(本実施形態では直交方向)に延在している。切込C1は、胴部110の上端部から所定距離下がった位置に形成されており、罫線L1の上端で、罫線L1に直交している。切込C1の両端部は、それぞれ下方に向かって円弧状に湾曲している。
【0029】
上部罫線L2は、各切込C1の両端部から胴部110の上端に向かってそれぞれ延在している。上部罫線L2は、切込C1の端部から所定距離内側に寄った位置に繋がり、胴部110の上端に向かうに連れて一対の上部罫線L2,L2の罫線間距離が大きくなるように、罫線同士が互いに離れる離間方向に傾斜している。上部罫線L2の上部は、離間方向に向かって湾曲している。
【0030】
以上のように、胴部110に切込C1と一対の上部罫線L2,L2を設けたことによって、隣り合う端壁111(112)と側壁113(114)とを罫線L1を介して折り曲げると、段ボールが切込C1で切断されるとともに上部罫線L2,L2で折り曲げられ、胴部110の上端部に傾斜壁140が形成される。これにより、端壁111,112の上部同士の離間距離、および側壁113,114の上部同士の離間距離が底部側よりも大きくなる。よって、内箱1の形状が、上端部の開口部の面積が底部の面積より大きいものとなる。
【0031】
本実施形態のケース構成材101によれば、ブランクシートS1の状態で、胴部110を構成する部分のブランクシートS1の周縁部同士(左側壁前部113aの側端部と右側壁前部114aの側端部同士、左側壁後部113bの側端部と右側壁後部114bの側端部同士)は互いに平行となる。これによって、大きいシート材料からブランクシートを切り取る際の切り捨て部分が少なくなり、材料ロスを減らすことができる。
【0032】
また、本実施形態では、切込C1の両端部からそれぞれ延在する二本の上部罫線L2,L2は、胴部110の上端に向かうに連れて罫線間距離が大きくなるように傾斜しているので、傾斜壁140の上端部の長さが下端部の長さよりも大きくなる。よって、端壁111,112の上部同士の離間距離、および側壁113,114の上部同士の離間距離をより一層大きくすることができる。これにより、内箱1の上端開口部の面積をさらに大きくすることができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、側壁113(114)の下部に、立上部115(116)と折込部117a,117b(118a,118b)が折り畳まれるので、側壁113,114の下部の強度が大きくなるとともに厚さが大きくなる。これにより、側壁113,114の緩衝性能が高くなる。さらに、段ボールが重なるため、胴部110の下端部での液体の吸収量が多くなる。したがって、内箱1の内部で収容物から液漏れや水分の染み出しが発生した場合であっても、周囲への漏出を防ぐことができる。
また、内箱1の胴部110と底板130は、防水処理または撥水処理が為された段ボールにて形成されているので、内箱1の液漏れ防止性能が高くなる。
【0034】
(包装箱)
次に、
図3乃至
図8を参照しながら、包装箱2の構成を説明する。本実施形態の包装箱2は、箱本体201と蓋体205とを備えており、箱本体201の内部に内箱1が挿入される。なお、箱本体201の内部に収容された内箱1を含んで包装箱2とする場合もある。
【0035】
本実施形態の箱本体201は、
図4に示した段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS2を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。ブランクシートS2は、防水処理または撥水処理が為された板紙(段ボール製のシート)にて形成されている。
図4に示すブランクシートS2は内面側が見えるように配置されている。
【0036】
箱本体201は、
図3および
図4に示すように、胴部210と底板220とフラップ230とを有し、有底筒状を呈している。胴部210は、前後に間隔をあけて対向する前端壁211および後端壁212と、左右に間隔をあけて対向する左側壁213および右側壁214と、を有している。前端壁211、後端壁212、左側壁213および右側壁214は、矩形形状に形成されている(
図4参照)。
【0037】
前端壁211の左縁部には、折れ線を介して左側壁213が連設され、左側壁213の後縁部には、折れ線を介して帯状の接合片215が連設されている。また、前端壁211の右縁部には、折れ線を介して右側壁214が連設され、右側壁214の後縁部には、折れ線を介して後端壁212が連設されている。接合片215は、後端壁212の内面に接合されている。
【0038】
ブランクシートS2(
図4参照)を各折れ線で折り曲げつつ、接合片215を後端壁212の内面に接合すると、前端壁211、後端壁212、左側壁213および右側壁214によって、平面視で四角形の筒状の胴部10が形成される。前端壁211と後端壁212とは互いに平行で、これらの内面の離間距離は、内箱1の前端壁111の上部と後端壁112の上部の離間距離と略同等(内箱1が箱本体205に嵌合可能な距離)である。左側壁213と右側壁214とは互いに平行で、これらの離間距離は、左側壁113の上部と右側壁114の上部の離間距離と略同等(内箱1が箱本体205も嵌合可能な距離)である。
【0039】
底板220は、胴部210の下側の開口部を閉塞している。底板220は、
図4に示すように、前端壁211および後端壁212の下縁部に折れ線を介してそれぞれ連設された前後一対の第一底フラップ221,221と、左側壁213および右側壁214の下縁部に折れ線を介してそれぞれ連設された左右一対の第二底フラップ222,222と、を備えている。第一底フラップ221は、概ね長方形状に形成されている。第二底フラップ222は、基端から先端に向かって徐々に先細る略台形状に形成されている。左側の第二底フラップ222の先端縁部の前後方向中間部には、噛合凹部223が形成されている。右側の第二底フラップ222の先端縁部の前後方向中間部には、噛合凸部224が形成されている。
【0040】
図3に示すように、第一底フラップ221,221を折れ線で内側に折り曲げた後に、第二底フラップ222,222を折れ線で内側に折り曲げ、噛合凹部223と噛合凸部224とを噛み合わせる。これによって、第二底フラップ222,222同士が係止され、底板220が形成される。
【0041】
なお、底板220の形状は、一例であって、前記形状に限定されるものではない。例えば、底板は、前後一対の内フラップと、左右一対の外フラップとを備え、粘着テープで封をする形状等の他の形状であってもよい。
【0042】
フラップ230は、蓋体205を係止するためのものであって、互いに対向する前端壁211および後端壁212の上縁部に折れ線を介してそれぞれ連設されている。左側壁213および右側壁214の上縁部には、側フラップ231,231が折れ線を介してそれぞれ連設されている。フラップ230の張り出し長さと側フラップ231の張り出し長さは同等である。
【0043】
前後のフラップ230には、被差込部232がそれぞれ形成されている。被差込部232は、後記する蓋体205の差込片290,291が挿入される挿通孔である。被差込部232は、左右方向を長手方向とする長孔にて構成されており、フラップ230の中央部に形成されている。前方のフラップ230の被差込部232は、先端側の角部がそれぞれ円弧状に面取りされており、略長方形状に形成されている。
【0044】
後方のフラップ230の被差込部232は、先端側の角部がそれぞれ円弧状に面取りされるとともに、基端側の角部に拡幅部233がそれぞれ形成されている。拡幅部233は、被差込部232の左右の側縁の一部(基端側の角部)が左右幅方向両側に広がった部分である。拡幅部233の厚さ寸法(フラップ230の張り出し方向長さ)は、段ボールの厚さ寸法と同等である。後方のフラップ230の被差込部232の基端側の側縁には、凸部234が形成されている。凸部234は、差込片290,291を係止するために形成されており、円弧状を呈して先端側に突出している。凸部234は、被差込部232の基端側の側縁の幅方向中間部に形成されている。
【0045】
前後のフラップ230の基端部には、前端壁211または後端壁212との間の折れ線と平行な第二折れ線235が形成されている。第二折れ線235は、前記折れ線と段ボールの厚さ分離間した位置に形成されている。
【0046】
前方のフラップ230の左右の縁部は、折れ線を介して左右の側フラップ231,231にそれぞれ連設されている。包装箱2をゴミ箱として使用する際には、前方のフラップ230と左右の側フラップ231,231は、平面視コ字状に折り曲げられた状態で、胴部210の前端壁212、左側壁213および右側壁214の上方で同一面状に立ち上がっている(
図3および
図8参照)。前方のフラップ230と左右の側フラップ231,231との間の折れ線には、破断予定線が間欠的に形成されており、折れ線に沿って切断可能になっている。ゴミ箱の廃棄時に蓋体205を箱本体201に固定する際には、前方のフラップ230と左右の側フラップ231,231との間の折れ線の破断予定線を切断し、前方のフラップ230と左右の側フラップ231,231とを分離する。そして、前方のフラップ230と左右の側フラップ231,231を胴部210の外側に折り畳む。前方のフラップ230は、前端壁211との折れ線と第二折れ線235とでそれぞれ直角に折り曲げられ、前端壁211と段ボールの厚さ分の間隔をあけて、前端壁211の外側に折り畳まれる(
図7の(b)参照)。
【0047】
後方のフラップ230は、左右の側フラップ231,231と離反しており、外側に向かって折り曲げられる。包装箱2をゴミ箱として使用する際には、蓋体205を係止した状態で、後方のフラップ230を胴部110の内外方向に回動させることで、蓋体205を開閉させる。ゴミ箱の廃棄時に蓋体205を箱本体201に固定する際には、後方のフラップ230を胴部210の外側に折り畳む。後方のフラップ230は、後端壁212との折れ線と第二折れ線235とでそれぞれ直角に折り曲げられ、後端壁212と段ボールの厚さ分の間隔をあけて、後端壁212の外側に折り畳まれる。
【0048】
蓋体205は、
図6に示した段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS3を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。ブランクシートS3は、防水処理または撥水処理が為された板紙(段ボール製のシート)にて形成されている。
図6に示すブランクシートS3は内面側が見えるように配置されている。
【0049】
蓋体205は、箱本体201の上端開口部を覆うものであり、箱本体201に開閉可能に取り付けられている。蓋体205は、
図5および
図6に示すように、胴部250と頂板280と差込片290,291とを有し、天面を有した筒状を呈している。胴部250は、前後に間隔をあけて対向する前端壁251および後端壁252と、左右に間隔をあけて対向する左側壁253および右側壁254と、を有している。前端壁251および後端壁252は、段ボールが内側に折り返された多重壁となっている。
【0050】
頂板280は矩形状を呈しており、ブランクシートS3の中央に配置されている。頂板280の左縁部には、折れ線を介して左側壁253が連設されている。左側壁253は、矩形状になっている。左側壁253の前縁部には、折れ線を介して前端壁251の第一前壁片255aが連設されている。第一前壁片255aは、前端壁251を構成する複数枚の板部のうちの一つである。第一前壁片255aの基端部の高さ寸法は、左側壁253の前縁部の高さ寸法と略同等である。第一前壁片255aは、左側壁253の前縁部から右側に向けて折り曲げられている。第一前壁片255aの右側への張り出し長さ(左右幅寸法)は、前端壁251の左右幅寸法の半分より長い。第一前壁片255aの先端部は、下側が切り欠かれて段差形状になっており、後記する差込片290と干渉しないようになっている。第一前壁片255aの上縁部には下向きの係止凹部256aが形成されている。係止凹部256aは、前端壁251の左右幅方向の中間部に配置されている。
【0051】
頂板280の右縁部には、折れ線を介して右側壁254が連設されている。右側壁254は、左側壁253と左右対称の形状である。右側壁254の前縁部には、折れ線を介して前端壁251の第二前壁片255bが連設されている。第二前壁片255bは、前端壁251を構成する複数枚の板部のうちの一つである。第二前壁片255bの基端部の高さ寸法は、右側壁254の前縁部の高さ寸法と略同等である。第二前壁片255bは、右側壁254の前縁部から左側に向けて折り曲げられている。第二前壁片255bの左側への張り出し長さ(左右幅寸法)は、第一前壁片255aの右側への張り出し長さと同等である。第二前壁片255bの先端部は、下側が切り欠かれて段差形状になっており、後記する差込片290と干渉しないようになっている。第二前壁片255bの切り欠かれた段差部分の下縁部には上向きの係止凹部256bが形成されている。係止凹部256bは、前端壁251の左右幅方向の中間部に配置されており、第一前壁片255aの係止凹部256aと噛み合う。
【0052】
頂板280の前縁部には、折れ線を介して前端壁251の第三前壁片255cが連設されている。第三前壁片255cは、前端壁251を構成する複数枚の板部のうちの一つである。第三前壁片255cは、頂板280の前縁部から垂れ下がって第一前壁片255aと第二前壁片255bの前面を覆う。第三前壁片255cの下端縁には、折れ線、折れ代257および折れ線を介して第四前壁片255dが連設されている。第四前壁片255dは、前端壁251を構成する複数枚の板部のうちの一つである。折れ代257は、左右方向に長尺な帯板状を呈している。折れ代257は、段ボールの厚さ分の前後長さ(幅)を有している。第四前壁片255dは、折れ代257の後縁部から立ち上がって第一前壁片255aと第二前壁片255bの後面を覆う。第四前壁片255dの左右両側の縦辺の上端部には、外側に突出する突部がそれぞれ形成されている。第四前壁片255dは、左右の突部が左側壁253と右側壁254の内側面にそれぞれ突っ張る(すなわち、押し付けられる)ことで、立ち上がった状態で固定される。左側壁253の前端部で、左側の突部が突っ張る位置には、頂板280と左側壁253との罫線から下方に延在する短い罫線が形成されている。右側壁254の前端部で、右側の突部が突っ張る位置には、頂板280と右側壁254との罫線から下方に延在する短い罫線が形成されている。これら左右の短い罫線に左右の突部がそれぞれ押し込まれるので、突部が左側壁253と右側壁254とに留まり易くなっている。
【0053】
第三前壁片255cには、差込片290が設けられている。差込片290は、箱本体201の前方のフラップ230に設けられた被差込部232に差し込まれる部位である。差込片290は、先端の角部が面取りされた略長方形に形成されている。差込片290は、第三前壁片255c、折れ代257および第四前壁片255dに亘って形成された切断線292の内側を切り起こして形成されている。差込片290の上縁部は、折れ線を介して第三前壁片255cと連設されている。差込片290の下端部は、第三前壁片255cの下端よりも下方に突出している。差込片290には、上縁部の第三前壁片255cとの間の折れ線と平行であり、左右方向に延在する折れ線293が形成されている。折れ線293は、上下に二本設けられ、差込片290の高さ方向を略三等分した位置に配置されている。以上のように、前端壁251は、第一前壁片255a、第二前壁片255b、第三前壁片255cおよび第四前壁片255dが重ねられており、多重壁となっている。
【0054】
差込片290は、箱本体201の前方のフラップ230に設けられた被差込部232に差し込まれる。ゴミ箱の廃棄時に蓋体205を箱本体201に固定して包装箱2を封緘する際には、
図7の(a)に示すように、まず、前方のフラップ230を、前端壁211の前方外側に折り畳む。そして、フラップ230および胴部210を囲うように、蓋体205を嵌める。具体的には、箱本体201のフラップ230を外側に引き寄せながら、蓋体205の差込片290を被差込部232に差し込み、差込片290の先端部を折り返して、フラップ230と前端壁211との間で上方に押し込む。このとき、差込片290は、折れ線292によって折れ曲がり易くなり、フラップ230と前端壁211との間に押し込み易い。これによって、蓋体205が箱本体201の上端部に嵌合して固定される。蓋体205が固定された状態では、蓋体205の胴部250には、フラップ230が内側から外側に向けて押し出そうとする力が作用するので、蓋体205の箱本体201への固定強度が大きくなる。差込片290の先端部は、フラップ230の基端部(折返し部の折り目)まで押し込むのが好ましい。このようにすれば、蓋体205の固定強度がより一層大きくなる。
なお、ゴミ箱の廃棄時ではなく、通常の使用時に蓋体205を箱本体201に被せる場合には、差込片290を内側に折り畳んで、フラップ230の外側に配置させてもよいし、差込片290を下方に延ばした状態で、フラップ230の外側に配置させてもよい。
【0055】
左側壁253の後縁部には、折れ線を介して後端壁252の第一後壁片265aが連設されている。第一後壁片265aは、後端壁252を構成する複数枚の板部のうちの一つである。第一後壁片265aの基端部の高さ寸法は、左側壁253の後縁部の高さ寸法と略同等である。第一後壁片265aは、左側壁253の後縁部から右側に向けて折り曲げられている。第一後壁片265aの右側への張り出し長さ(左右幅寸法)は、後端壁252の左右幅寸法の半分より長い。第一後壁片265aの先端部は、下側が切り欠かれて段差形状になっており、後記する差込片291と干渉しないようになっている。第一後壁片265aの上縁部には下向きの係止凹部266aが形成されている。係止凹部266aは、後端壁252の左右幅方向の中間部に配置されている。
【0056】
右側壁254の後縁部には、折れ線を介して後端壁252の第二後壁片265bが連設されている。第二後壁片265bは、後端壁252を構成する複数枚の板部のうちの一つである。第二後壁片265bの基端部の高さ寸法は、右側壁254の後縁部の高さ寸法と略同等である。第二後壁片265bは、右側壁254の後縁部から左側に向けて折り曲げられている。第二後壁片265bの左側への張り出し長さ(左右幅寸法)は、第一後壁片265aの右側への張り出し長さと同等である。第二後壁片265bの先端部は、下側が切り欠かれて段差形状になっており、後記する差込片291と干渉しないようになっている。第二後壁片265bの切り欠かれた段差部分の下縁部には上向きの係止凹部266bが形成されている。係止凹部266bは、後端壁252の左右幅方向の中間部に配置されており、第一後壁片265aの係止凹部266aと噛み合う。
【0057】
頂板280の後縁部には、折れ線を介して後端壁252の第三後壁片265cが連設されている。第三後壁片265cは、後端壁252を構成する複数枚の板部のうちの一つである。第三後壁片265cは、頂板280の後縁部から垂れ下がって第一後壁片265aと第二後壁片265bの後面を覆う。第三後壁片265cの下端縁には、折れ線、折れ代267および折れ線を介して第四後壁片265dが連設されている。第四後壁片265dは、後端壁252を構成する複数枚の板部のうちの一つである。折れ代267は、段ボールの厚さ分の前後長さを有している。第四後壁片265dは、第三後壁片265cの下縁部に繋がる折れ代267の前縁部から立ち上がって第一後壁片265aと第二後壁片265bの前面を覆う。第四後壁片265dの左右両側の縦辺の上端部には、外側に突出する突部がそれぞれ形成されている。第四後壁片265dは、左右の突部が左側壁253と右側壁254の内側面にそれぞれ突っ張ることで、立ち上がった状態で固定される。左側壁253の後端部で、左側の突部が突っ張る位置には、頂板280と左側壁253との罫線から下方に延在する短い罫線が形成されている。右側壁254の後端部で、右側の突部が突っ張る位置には、頂板280と右側壁254との罫線から下方に延在する短い罫線が形成されている。これら左右の短い罫線に左右の突部がそれぞれ押し込まれるので、突部が左側壁253と右側壁254とに留まり易くなっている。
【0058】
第三後壁片265cには、差込片291が設けられている。差込片291は、箱本体201の後方のフラップ230に設けられた被差込部232に差し込まれる部位である。差込片291は、幅方向両側に突出する突出部294を備えている。突出部294の突出寸法は、後方のフラップ230の被差込部232の拡幅部233の拡幅寸法と同等である。突出部294は、差込片291の先端側の略3分の2の範囲で形成されている。差込片291の突出部294の先端の角部は面取りされている。差込片291は、第三後壁片265c、折れ代267および第四後壁片265dに亘って形成された切断線295の内側を切り起こして形成されている。差込片291の上縁部は、折れ線を介して第三後壁片265cと連設されている。差込片291の下端部は、第三後壁片265cの下端よりも下方に突出している。差込片291には、上縁部の第三後壁片265cとの間の折れ線と平行であり、左右方向に延在する折れ線296が形成されている。折れ線296は、突出部294の上端の高さに配置されている。以上のように、後端壁252は、第一後壁片265a、第二後壁片265b、第三後壁片265cおよび第四後壁片265dが重ねられており、多重壁となっている。
【0059】
差込片291は、箱本体201の後方のフラップ230に設けられた被差込部232に差し込まれる。包装箱2をゴミ箱として使用する際には、
図8に示すように、差込片291を後方のフラップ230の被差込部232に差し込む。このとき、差込片291の突出部294を被差込部232の拡幅部233を通過させた後、突出部294を拡幅部233の位置からずらす。これにより、突出部294の上端部が、被差込部232の拡幅部233以外の通常幅の部分に引っ掛かり、差込片291が被差込部232に係止される。この状態で、蓋体205を開閉すると、フラップ230がその基端部を中心に回動することとなる。つまり、フラップ230が蝶番の役目を果たし、蓋体205を箱本体201に回動可能に接続することができる。
【0060】
ゴミ箱の廃棄時に蓋体205を箱本体201に固定して包装箱2を封緘する際には、前方の差込片290と同様に、胴部210と、その外側に折り畳まれたフラップ230の被差込部232に差し込む(
図7参照)。具体的には、後端壁212の後方外側に折り畳まれたフラップ230の被差込部232に、蓋体205の差込片291を差し込み、差込片291の先端部を折り返して、フラップ230と後端壁212との間で上方に押し込む。差込片291の先端部は、フラップ230の基端部(折返し部の折り目)まで押し込むのが好ましい。これによって、粘着テープを用いることなく、蓋体205が箱本体201の上端部に嵌合して固定される。このとき、蓋体205の胴部250には、フラップ230が内側から外側に向けて押し出そうとする力が作用するので、蓋体205の箱本体201への固定強度が大きくなる。
【0061】
また、胴部210の前後の複数個所において、差込片290,291がフラップ230と胴部210の間にそれぞれ押し込まれているので、蓋体205を箱本体201に対してより強固に固定することができる。これにより、箱本体201に蓋体205がしっかりと重畳し、蓋体205がずれなくなる。
さらに、左右の側フラップ231に被差込部232を形成し、蓋体205の左側壁253および右側壁254に差込片290を形成してもよい。このようにすれば、蓋体205の箱本体201への固定強度がより一層強くなる。
【0062】
なお、側フラップ231は、側壁213,214の外側に折り畳んでもよいし、内側に折り曲げてもよい。側フラップ231を、側壁213,214の外側に折り畳むと、側フラップ231が蓋体205の胴部250を内側から外側に向けて押し出そうとするので、蓋体205の箱本体201への固定強度がより一層大きくなる。側フラップ231を内側に折り曲げれば、内蓋として利用することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の包装箱2によれば、箱本体201のフラップ230の被差込部232に、蓋体205の差込片290,291を挿入することで、蓋体205を箱本体201に固定するロック機構を得ることができる。一方、差込片291をフラップ230の被差込部232に係止した状態で、フラップ230を回動させることで、フラップ230が蝶番の役目を果たし、蓋体205を箱本体201に回動可能に接続することができる。これにより、蓋体205は、開封時でも箱本体201に接続されているので、別個に管理する必要が無い。また、差込片291が破損した場合、蓋体205のみを交換すれば、箱本体201はそのままで包装箱201を続けて利用することができる。これらの事より、使い勝手がよい包装箱2とすることができる。
【0064】
本実施形態では、後方のフラップ230の被差込部232は拡幅部233,233を備え、差込片291は突出部294,294を備えている。したがって、後方の差込片291の突出部294を、後方のフラップ230の被差込部232の拡幅部233,233に差し込めば、差込片291を被差込部232に挿通し易くなる。また、差込片291の挿通後は、突出部294,294が拡幅部233,233以外の側縁に係止されるので、差込片291が被差込部232から抜け出し難くなる。これによって、蓋体205を開閉する際に、蓋体205は外れ難くなる。
【0065】
また、蓋体205の前端壁251および後端壁252は、内側に折り返された多重壁となっているので、前端壁251および後端壁252が箱本体201のフラップ230を押えようとする力が発生する。したがって、蓋体205の胴部250が、箱本体201の胴部210を外側から押さえて、蓋体205の箱本体201への固定強度がより一層高くなる。
さらに、箱本体201と蓋体205は、防水処理または撥水処理が為された段ボールにて形成されているので、液漏れ防止性能が高くなる。
【0066】
図9に示すように、内箱1は、前端壁111の上部と後端壁112の上部の離間距離および左側壁113の上部と右側壁114の上部の離間距離が底部側よりも大きくなっているとともに、箱本体201の上端部は内箱1の上端部が嵌合可能な形状となっている(内箱1の底部側より大きい)ので、内箱1を箱本体201に収納し易い。そして、内箱1の上部は、箱本体201に嵌合されるので、内箱1が箱本体201に安定した状態で固定される(
図9の(a)参照)。
【0067】
さらに、内箱1の下部では、箱本体201の下部との間に隙間ができる(
図9の(b)参照)ので、衝撃等を吸収する緩衝部とすることができる。この緩衝部によって、万一内箱1から収容物が突き抜けた場合であっても箱本体201から突き抜けるのを抑制することができる。また、収容物は二重の壁で堰き止められることになるので、外部に突き抜け難い。
【0068】
(収容スタンド)
次に、
図10および
図11を参照しながら、収容スタンド3の構成を説明する。本実施形態の収容スタンド3は、包装箱2を収容するものである。
【0069】
本実施形態の収容スタンド3は、
図11に示した段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS4を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。ブランクシートS4は、防水処理または撥水処理が為された板紙(段ボール製のシート)にて形成されている。
図10に示すブランクシートS2は内面側が見えるように配置されている。
【0070】
収容スタンド3は、
図10および
図11に示すように、胴部310と底板350と内壁360とを有し、有底筒状を呈している。胴部310は、前後に間隔をあけて対向する前端壁311および後端壁312と、左右に間隔をあけて対向する左側壁313および右側壁314と、を有している。前端壁311は、背の低い低端壁321にて構成され、後端壁312は、低端壁321より背が高い高端壁322にて構成されている。左側壁313および右側壁134は、低端壁321に連設された低壁部325と、高端壁322に連設された高壁部326とが連続した段差形状を呈している。高壁部326の上部中間側には、高壁部326の先端部から内側に折り返された二重壁部327が設けられている。
【0071】
前端壁311の左縁部には、折れ線を介して左側壁313が連設され、左側壁313の後縁部には、折れ線を介して帯状の接合片315が連設されている。また、前端壁311の右縁部には、折れ線を介して右側壁314が連設され、右側壁314の後縁部には、折れ線を介して後端壁312が連設されている。接合片315は、後端壁312の内面に接合されている。
【0072】
ブランクシートS4の状態では、前端壁311の上縁部には、切込363を介して内壁360が設けられている。切込363は、前端壁311から左側壁313および右側壁314に亘って延在している。切込363は、前端壁311の左右幅方向中間部が一番低くなっており、手掛部362が形成されている。切込363は、手掛部362から両側に向かって高くなるように傾斜している。切込363の傾斜部分は、左側壁313および右側壁314まで延在し、傾斜部分の後端から後方は、水平に延在している。
【0073】
左側壁313および右側壁314の面において、切込363の下側部分は、低壁部325となり、切込363の上側部分は、折返し重合部365となる。切込363の後端は、左側壁313および右側壁314の前後方向中間部よりも前方に位置している。切込363の後端部には、上方に向かって垂直に延在する二本の折れ線364が連続して形成されている。二本の折れ線364は、互いに平行であり、段ボールの厚さ分離間している。
【0074】
折れ線364の後側部分は、高壁部326の上部となる。折返し重合部365は、高壁部326の上部の内側に折り返される部分であり、高壁部326の上部に対して180°で折り返される。折返し重合部365が折り返されることで、高壁部326の上部には、高壁部の上部前縁部から、二重壁部327が形成されている。折返し重合部365と内壁360との間に二本の折れ線364が形成されている。内壁360は、対向する折返し重合部365,365間に掛け渡される。内壁360と低端壁321との間が包装箱2の収容スペース370となる。内壁360の上端部と折返し重合部365の上端部は離間しており、内壁360の上端部に延出部361が形成されている。延出部361は、内壁360の上端部から高端壁322側に延びる部分である。延出部361の基端部には折れ線が形成されている。延出部361は、収容スタンド3に収容された包装箱2の蓋体205の開封時に、蓋体205の差込片290と箱本体201のフラップ230とに当たった状態で回動する部分であって、高端壁322側に傾斜する。そして、内壁360と高端壁322の上部が開封時の蓋体205の保持部となる。高壁部326には、収容スタンド3を運搬する際に手を掛ける手掛孔316が形成されている。
【0075】
ブランクシートS4(
図11参照)を各折れ線で折り曲げつつ、接合片315を後端壁312の内面に接合すると、前端壁311、後端壁312、左側壁313および右側壁314によって、平面視で四角形の筒状の胴部310が形成される。胴部310を形成した後に、手掛部362に指を掛けて引き寄せながら上方に持ち上げて切込363を切断する。切断した折返し重合部365を折れ線364で折り曲げて、高壁部326の上部の内側に重ね合わすとともに、内壁360を奥に押し込む。内壁360と折返し重合部365との間の折れ線364は、逆折れ状態となり、内壁360が、互いに対向する折返し重合部365,365の後端間で掛け渡される。
【0076】
底板350は、胴部310の下側の開口部を閉塞している。底板350は、
図11に示すように、前端壁311および後端壁312の下縁部に折れ線を介してそれぞれ連設された前後一対の第一底フラップ351,351と、左側壁313および右側壁314の下縁部に折れ線を介してそれぞれ連設された左右一対の第二底フラップ352,352と、を備えている。第一底フラップ351は、概ね長方形状に形成されている。第二底フラップ352は、基端から先端に向かって徐々に先細る略台形状に形成されている。左側の第二底フラップ352の先端縁部の前後方向中間部には、噛合凹部353が形成されている。右側の第二底フラップ352の先端縁部の前後方向中間部には、噛合凸部354が形成されている。
【0077】
図10に示すように、第一底フラップ351,351を折れ線で内側に折り曲げた後に、第二底フラップ352,352を折れ線で内側に折り曲げ、噛合凹部353と噛合凸部354とを噛み合わせる。これによって、第二底フラップ352,352同士が係止され、底板350が形成される。
【0078】
なお、底板350の形状は、一例であって、前記形状に限定されるものではない。例えば、底板は、前後一対の内フラップと、左右一対の外フラップとを備え、粘着テープで封をする形状等の他の形状であってもよい。
【0079】
本実施形態の収容スタンド3に包装箱2を収容するに際しては、
図12に示すように、包装箱2の箱本体201を、低端壁321(前端壁311)と内壁360と左側壁313と右側壁314との間に差し込む(
図12の(a)参照)。すると、箱本体201が四方向から保持されて安定した状態で支持される。特に、包装箱2の左右には、二重壁部327が形成されて壁面の強度が高められているので、包装箱2を安定した状態で左右から挟持することができる。
【0080】
なお、包装箱2に樹脂製のゴミ袋240を装着するのが好ましい。ゴミ袋240の上端部は、箱本体201の胴部210の上方で立ち上がった前方のフラップ230と左右の側フラップ231,231に折り返して被せる。後方のフラップ230は、ゴミ袋240の上端部の折返し部分から外されており、蓋体205を係止して回動可能になっている。ゴミ袋240の下部は、内箱1の内側に差し込まれている。
【0081】
その後、箱本体201の後端壁212のフラップ230の被差込部232に、蓋体205の差込片291を差し込んで、蓋体205を箱本体201に固定する。なお、蓋体205の固定は、包装箱2の収容スタンド3への収容前に行ってもよい。蓋体205を開いた際には、
図12の(b)に示すように、蓋体205の差込片290と箱本体201のフラップ230とが、収容スタンド3の内壁360の延出部361に当たった状態で延出部361とともに回動する。そして、蓋体205は、内壁360の上端部(延出部361)および高端壁322(後端壁312)の上端部に支持される。
【0082】
以上のように、本実施形態の収容スタンド3によれば、包装箱2を安定した状態で収容できる。また、開いた状態の蓋体205を内壁360および高壁部322で二点支持することで、安定した状態で支持することができる。これにより、フラップ230および蓋体205の後方への倒れ込みを抑制でき、フラップ230が必要以上に回動しなくて済むので、フラップ230および差込片291の劣化を抑制できる。
【0083】
さらに、内壁360の上端部が、高端壁322側に傾斜する延出部361となっているので、この延出部361が、蓋体205の差込片290と箱本体201のフラップ230とを、当たった状態で支持することができる。これにより、収容スタンド3が包装箱2を複数の線状の支持部で支持することになるので、開封時の蓋体205の支持の安定度がより一層高くなる。
【0084】
ゴミ箱のゴミを廃棄する際には、ゴミ袋240の上縁部を箱本体201内で結び、蓋体205を箱本体201に固定すれば、そのままの状態で廃棄することができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、前記実施形態のケース構成材101は、包装箱1に収納される内箱1として用いられているが、これに限定されるものではない。例えば、おもちゃ等を広げて遊ぶ際の敷マットとして用いてもよい。敷マットとすれば、おもちゃを敷マット上に置いた状態で、折り畳んで外箱に入れることで容易に片付けることができる。また、紙素材であるので、敷マットへの印刷が容易であるとともに、小さい子供らの落書きも可能である。
【0086】
また、前記実施形態のケース構成材101は、有底筒状を呈し、上部が開口した状態で使用されているが、天地逆向きとして下向きに開口する状態で使用してもよい。下向きに開口する状態では、例えば底上げ材として用いることができる。底上げ材は、箱本体の高さ寸法に対して、内箱の高さ寸法が略半分である場合に、箱本体の内部の下側にケース構成材を下向きに開口させて挿入する。これによって、箱本体の高さ方向中間部に支持面(ケース構成材の底板)が設置され、その上に上向きに開口する内箱を設置すれば、上側の内箱の上端と箱本体の上端の高さを揃えることができる。
【0087】
前記実施形態では、内箱1,包装箱2および収容スタンド3を医療現場で用いられるゴミ箱として利用しているが、これに限定されるものではない。包装箱に内箱を挿入して二重構造の容器とすれば、重量物や取り扱いに注意を要する物品の運搬に用いることができる。また、収容スタンドは、傘立てやポスター等の巻物を立てるものに用いてもよい。内壁の前方と後方で高さが異なる物を収容する仕切壁(内壁)付のスタンドとしても用いることができる。さらに、小さいサイズにして鉛筆立てとして用いることも出来る。また、収容スタンドに包装箱以外のものを収容した際には、前面に低端壁321が設けられているので、収容物を目視し易くなる。
【0088】
前記実施形態では、段ボールは、防水処理または撥水処理が為された板紙が用いられているが、これに限定されるものではない。耐湿処理、耐油処理、防臭処理、防腐処理、抗菌処理、耐熱処理または加熱殺菌処理等の他の対策が為された板紙を用いてもよい。さらに、各種吸収機能を有する組成の段ボールを用いてもよい。
【0089】
前記実施形態では、蓋体205の差込片290,291が前後で異なる形状となっているが、前後共に後方の差込片291と同じ形状としてもよい。この場合、前方のフラップの被差込部の形成を、後方のフラップの被差込部の形状と同等にする。このような構成によれば、後方の差込片291およびフラップ230が破損した際に、包装箱2の前後の向きを代えて、蓋体205の開閉を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 内箱
101 ケース構成材
110 胴部
111 前側の端壁
112 後側の端壁
113 左側の側壁
114 右側の側壁
116 立上部
130 底板
L1 罫線
L2 上部罫線
C1 切込
S1 ブランクシート
2 包装箱
201 箱本体
210 胴部
211 前端壁
212 後端壁
213 左側壁
214 右側壁
220 底板
230 フラップ
232 被差込部
233 拡幅部
205 蓋体
250 胴部
251 前端壁
252 後端壁
253 左側壁
254 右側壁
280 頂板
290 差込片
291 差込片
294 突出部
3 収容スタンド
310 胴部
311 前端壁
312 後端壁
313 左側壁
314 右側壁
321 低端壁
322 高端壁
325 低壁部
326 高壁部
327 二重壁部
350 底板
360 内壁
361 延出部
365 折返し重合部
370 収容スペース