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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145593
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H01L21/306 R
H01L21/306 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058023
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田 弦
(72)【発明者】
【氏名】小曽根 彰紀
(72)【発明者】
【氏名】笹平 幸之介
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕貴
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043DD07
5F043DD13
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE09
5F043EE10
5F043EE12
(57)【要約】
【課題】基板の面内における処理レートの均一性を向上させることができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、基板Wを保持し、回転可能とする保持部10と、基板Wに、第1の処理液と、第1の処理液よりも温度の低い第2の処理液とを供給する処理液供給部21と、基板Wの外周縁に沿う形状の内周縁を有し、全周に亘って一体的に形成された円環状のリング部材31であって、その周方向に液体が流動する流路33を有するリング部材31と、流路33に液体を供給する液体供給部34と、を備え、液体供給部34が、流路33に液体を供給することで、リング部材31の温度を第1の処理液の温度より小さく、第2の処理液の温度より大きくなるように設定された所定の温度に調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持し、回転可能とする保持部と、
前記基板に、第1の処理液と、前記第1の処理液よりも温度の低い第2の処理液とを供給する処理液供給部と、
前記基板の外周縁に沿う形状の内周縁を有し、全周に亘って一体的に形成された円環状のリング部材であって、その周方向に液体が流動する流路を有するリング部材と、
前記流路に液体を供給する液体供給部と、
を備え、
前記液体供給部が、前記流路に液体を供給することで、前記リング部材の温度を第1の処理液の温度より小さく、第2の処理液の温度より大きくなるように設定された所定の温度に調整する基板処理装置。
【請求項2】
前記流路は、前記所定の温度より高温の第1の液体が流動する第1の流路と、前記所定の温度より低温の第2の液体が流動する第2の流路と、を有し、
前記第1の流路に供給される前記第1の液体の流量と、前記第2の流路に供給される前記第2の液体の流量と、を制御することで、前記リング部材の温度を所定の温度に調整する制御部と、
を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記リング部材は、前記リング部材の温度を検出する検出部を有し、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記リング部材の温度に応じて、前記第1の流路に供給される前記第1の液体の流量、及び前記第2の流路に供給される前記第2の液体の流量の少なくとも一方を制御する請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の流路に供給される前記第1の液体の流量が、前記第2の流路に供給される前記第2の液体の流量より多くなるように制御する請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記リング部材を昇降可能とするリング部材昇降機構と、
を備え、
前記リング部材昇降機構は、前記リング部材を、前記リング部材の内周縁が前記基板の外周縁に近接した接近位置と、前記リング部材の内周縁が前記基板の外周縁から退避した退避位置との間で移動させる請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板の外径よりも大きい径を有し、前記基板の面に対向する加熱部と、
を備える請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記液体供給部が前記流路に供給する前記液体は、前記第1の処理液である請求項1記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記液体供給部が前記第1の流路に供給する前記第1の液体は、前記第1の処理液である請求項2記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やフラットパネルディスプレイなどの製造工程においては、ウェーハやガラス基板などの基板の表面に設けられた膜に、エッチング液を供給して所望のパターンを形成している。このようなエッチング処理を行う装置として、回転させた基板の中心領域に、エッチング液を供給する基板処理装置が提案されている。この場合、基板の中心領域に供給されたエッチング液は、遠心力により基板の外周縁に向けて広がるので、基板の表面が供給されたエッチング液でエッチング処理されることになる。
【0003】
ここで、エッチング処理は、エッチング液とエッチング対象の除去部分との化学反応により行われるため、エッチング液が除去部分に接触している時間を確保する必要がある。この場合、基板の単位時間当たりの回転数を高くすると、エッチング液の流速が速くなるので、エッチング反応が進まない。そこで、エッチング処理を行う際には、純水等の洗浄液による洗浄処理などの場合に比べて、基板の回転数を低くしている。基板の回転数を低くすれば、エッチング液の流速は遅くなるので、エッチング液が除去部分に接触している時間を長くすることができる。これにより、除去部分に対して、エッチング反応を促進することができる。
【0004】
ところが、基板の外周縁においては、表面張力により、エッチング液が外方に排出され難くなる。しかも、基板の回転数を低くすると、径方向外側に働く遠心力が小さくなり、さらに基板からエッチング液が排出され難くなる。そのため、基板の外周縁では、エッチング液が滞留しやすくなる。ここで、基板の中心領域に供給されたエッチング液は、除去部分との化学反応を行いつつ、基板の外周縁に向けて流れる。基板の外周縁に流れてきたエッチング液は、既に使用されたエッチング液、すなわち、除去部分との反応性が低下したエッチング液となる。反応性が低下したエッチング液が、基板の外周縁に滞留すると、基板の外周縁における処理レートが低下して、基板の面内における処理レートの均一性が損なわれることになる。
【0005】
そのため、基板の外周に、基板の外周縁に沿う形状の内周縁が形成された円環状のリング部材を設け、リング部材によって基板の表面が拡張されるようにした基板処理装置が提案されている(特許文献1)。これにより、基板の外周縁に流れてきたエッチング液に対して表面張力が働かなくなるので、エッチング液を基板の外側に円滑に排出することができる。このようにすれば、反応性が低下したエッチング液が、基板の外周縁に滞留することを抑制できるので、基板の面内における処理レートの均一性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-155377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような、基板の外周縁にリング部材を設けた基板処理装置では、エッチング処理中に基板に供給された高温のエッチング液が、基板の回転によって基板の外周縁へと広がることで、リング部材が高温に熱せられる。エッチング処理後、エッチング液を低温の洗浄液に置換するため、基板に供給された低温の洗浄液が、基板の回転によって基板の外周縁へと広がることで、リング部材が冷却される。このような温度変動によって、リング部材は、熱膨張及び熱収縮を引き起こす。これにより、リング部材は歪んでしまうことがある。リング部材に歪みが生じると、基板の外周縁と均一に近接することが困難となる。
【0008】
リング部材と基板の外周縁が近接していない箇所が存在すると、その箇所では基板の表面が拡張されていない状態、すなわち、リング部材が設けられていない状態と同様になるため、エッチング液が基板の外周縁に滞留してしまい、基板の外周縁における処理レートが低下してしまう。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、基板の面内における処理レートの均一性を向上させることができる基板処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る基板処理装置は、基板を保持し、回転可能とする保持部と、前記基板に、第1の処理液と、前記第1の処理液よりも温度の低い第2の処理液とを供給する処理液供給部と、前記基板の外周縁に沿う形状の内周縁を有し、全周に亘って一体的に形成された円環状のリング部材であって、その周方向に液体が流動する流路を有するリング部材と、前記流路に液体を供給する液体供給部と、を備え、前記液体供給部が、前記流路に液体を供給することで、前記リング部材の温度を第1の処理液の温度より小さく、第2の処理液の温度より大きくなるように設定された所定の温度に調整する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、基板の面内における処理レートの均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の基板処理装置の概略構成を示す断面図である。
図2】リング部材を例示するための模式平面図(A)、図2(A)におけるリング部材を矢印Aの方向から見た図(B)である。
図3】エッチング処理中の各部材の位置を説明する断面図(A)、洗浄処理中の各部材の位置を説明する断面図(B)である。
図4図2(A)のB-B線の断面位置でのエッチング処理中におけるエッチング液の流動状態を示す模式断面図である。
図5】実施形態の基板処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[構成]
以下、本発明の実施形態に係る基板処理装置1について、図1から図4を参照して説明する。基板Wについて、処理対象となる面を表面とし、その反対側の面を裏面とする。なお、本実施形態により処理される基板Wの表面には、例えば、窒化膜が形成されている。図1に示すように、基板処理装置1は、保持部10、供給部20、リング部30、回転機構40、回収部50及び制御部60を備える。
【0014】
保持部10は、基板Wを回転可能に水平保持する。保持部10は、載置部11、シャフト12、保持ピン13及びピン開閉機構14を備える。
【0015】
載置部11は、円柱状を成しており、径方向の大きさは、基板Wよりも大きい。載置部11は、基板Wの裏面と対向する面11aを有する。また、面11aの中央領域は、開口している。
【0016】
シャフト12は、載置部11よりも径が小さい円柱状を成しており、載置部11の面11aとは反対側の面に、軸線が合うように接続されている。また、シャフト12は、中空となっており、平面視において面11aの開口とシャフト12の中空が重なるように形成されている。
【0017】
保持ピン13は、基板Wの外周縁と接することで、基板Wを水平に保持する。保持ピン13は、載置部11の面11aに等間隔で複数設けられる。図2(A)に示すように、本実施形態では、保持ピン13は、6つ設けられている。
【0018】
ピン開閉機構14は、複数の保持ピン13を、基板Wから離れた開位置と、基板Wの外周縁に接して基板Wを保持する閉位置との間で移動させる。
【0019】
供給部20は、図1に示すように、保持部10の上方に設けられている。供給部20は、処理液供給部21、加熱部22及び供給部昇降機構23を備える。
【0020】
処理液供給部21は、保持部10によって保持された基板Wの表面に処理液を供給する。本実施形態において、処理液は、第1の処理液及び第2の処理液である。第1の処理液とは、例えば、リン酸を含む水溶液(以下、リン酸溶液とする)、フッ化水素を含む水溶液等のエッチング液Lpである。第2の処理液とは、例えば、純水、IPA等の洗浄液Lwである。また、第1の処理液の温度は、例えば160℃、第2の処理液の温度は、例えば25℃とすることができる。本実施形態では、エッチング液Lpにリン酸溶液、洗浄液Lwに純水を用いる。処理液供給部21は、処理液ノズル211、処理液槽212、処理液供給管213、ポンプ214、バルブ215及び流量計216を備える。
【0021】
処理液ノズル211は、第1の処理液ノズル211a及び第2の処理液ノズル211bを備える。第1の処理液ノズル211aは、エッチング液Lpを基板Wの表面に供給する。第2の処理液ノズル211bは、洗浄液Lwを基板Wの表面に供給する。
【0022】
処理液槽212は、複数の処理液を処理液ごとに貯留する。処理液槽212は、エッチング液Lpを貯留する第1の処理液槽212a及び洗浄液Lwを貯留する第2の処理液槽212bを備える。また、第1の処理液槽212aは、内部に加熱部(図示せず)が設けられている。加熱部は、基板Wへの処理に応じてエッチング液Lpを加熱し、エッチング液Lpの温度を調整する。本実施形態では、加熱部は、リン酸溶液を、例えば160℃程度となるように加熱する。
【0023】
処理液供給管213は、処理液槽212に貯留されている処理液を処理液ノズル211に送るための配管である。すなわち、処理液供給管213の一端は、処理液ノズル211に接続され、処理液供給管213の他端は、処理液槽212に接続されている。処理液供給管213は、第1の処理液供給管213a及び第2の処理液供給管213bを備える。第1の処理液供給管213aは、一端が第1の処理液槽212aに接続され、他端が第1の処理液ノズル211aに接続されている。第2の処理液供給管213bは、一端が第2の処理液槽212bに接続され、他端が第2の処理液ノズル211bに接続されている。
【0024】
ポンプ214は、処理液供給管213に設けられる。ポンプ214は、処理液槽212に貯留されている処理液を処理液ノズル211に供給する。
【0025】
バルブ215は、処理液供給管213に設けられる。バルブ215は、処理液の供給開始及び供給停止する機能と、流量を調整する機能を有する。
【0026】
流量計216は、処理液供給管213に設けられる。流量計216は、処理液供給管213を流動する処理液の流量を検出する。
【0027】
加熱部22は、基板Wの表面上のエッチング液Lpを例えば、180℃に加熱する。なお、基板Wの表面に供給されたエッチング液Lpを加熱する、とは、基板Wを加熱し、基板Wを介してエッチング液Lpを間接的に加熱する態様も含むものとする。加熱部22は、プレート221及びヒータ222を備える。
【0028】
プレート221は、円形状を成しており、基板Wの表面と対向して水平に設けられている。プレート221の外径は、基板Wの外径よりも大きい。プレート221は、耐熱性と耐薬性を備えていることが好ましく、例えば、石英により形成される。本実施形態においては、プレート221は、2つの供給口221aを有する。供給口221aは、プレート221において、基板Wの回転軸に対応する位置から少しずれた位置に処理液ノズル211ごとに形成される。これにより、基板Wの回転に伴って、基板Wにおける供給口221aの対向する位置が逐次変化し、エッチング液Lpの温度を均一化することができる。また、2つの供給口221aには、第1の処理液ノズル211a及び第2の処理液ノズル211bの先端がそれぞれ挿通されている。
【0029】
ヒータ222は、円形でシート状を成している。ヒータ222は、同心円状に複数設けられていても良い。この場合、円形状のヒータ片の外側に円環状のヒータ片を複数設ける。ヒータ222は、通電することにより、熱を発生させる。また、複数のヒータ222は、径方向外側に向かうほど高温になるように熱を発生させてもよい。これにより、基板Wの外周縁が放熱によって温度が低下することを抑制する。ヒータ222は、貫通孔222aを有する。貫通孔222aは、ヒータ222において、基板Wの回転軸から少しずれた位置であり、平面視において供給口221aと同位置に処理液ノズル211ごとに形成される。2つの貫通孔222aには、第1の処理液ノズル211a及び第2の処理液ノズル211bがそれぞれ挿通されている。
【0030】
供給部昇降機構23は、供給部20を基板Wに対して接離する方向に移動させる。例えば、供給部昇降機構23は、供給部20を、図1に示すように、基板Wの搬入出が可能となるように基板Wから離れた待機位置と、図3(A)に示すように、エッチング処理時にエッチング液Lpを加熱できるように基板Wと所定の間隔を空けて近接した加熱位置との間で移動させる。
【0031】
リング部30は、リング部材31、リング部材昇降機構32、流路33、液体供給部34、液体排出管35及び検出部36を備える。
【0032】
リング部材31は、図2(A)に示すように、基板Wの外周縁に沿う形状の内周縁が全周に亘って一体的に形成された円環状の部材である。リング部材31は、板状を成しており、その外径は、加熱部22のプレート221の外径より小さい。リング部材31は、耐熱性と耐薬性を備えていることが好ましく、その材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)とすることができる。リング部材31は、後述するリング部材昇降機構32により昇降可能に、載置部11の面11a上に設けられている。リング部材31は、基板Wの外周縁と非接触で近接することで、基板Wの回転によって基板Wの外周縁に広がったエッチング液Lpを基板W外に円滑に排出する。なお、リング部材31における加熱部22のプレート221と対向する面を表面、その反対側の面を裏面とする。リング部材31の表面は、水平面であることが好ましい。リング部材31は、カバー部31a、切欠31b及び孔31cを有する。
【0033】
カバー部31aは、図4に示すように、リング部材31の外周縁の全周に亘って一体的に載置部11側に突出した部材である。カバー部31aは、リング部材31が基板Wの外周縁に近接しているとき、リング部材31より径方向外側に飛散したエッチング液Lpが、基板Wの裏面に回り込むことを防ぐ。
【0034】
切欠31bは、リング部材31の内周側の側面に設けられた凹部である。また、切欠31bは、図2(A)に示すように、保持ピン13との干渉を避けることができるよう、閉位置にある保持ピン13が入るような形状である。本実施形態では、U字形の例を示しているが、このような形状には限定されない。切欠31bは、平面視において、保持ピン13と同様の位置に同数設けられている。よって、本実施形態では、6つ設けられている。
【0035】
孔31cは、図2(B)に示すように、リング部材31の外周側のカバー部31aを含む側面に形成されている。孔31cの一端は、後述する第1の流路33aの先端又は第2の流路33bの先端に接続される。また、孔31cの他端は、後述する第1の液体供給管341aの先端又は第2の液体供給管341bの先端が接続されている。なお、図2(B)では、後述する液体供給管341及び液体排出管35の図示を省略している。
【0036】
リング部材昇降機構32は、基板Wの回転軸方向におけるリング部材31の位置を移動させる。例えば、リング部材昇降機構32は、リング部材31を、図3(A)に示すように、リング部材31の内周縁が基板Wの外周縁に近接した接近位置と、図3(B)に示すように、リング部材31の内周縁が基板Wの外周縁から退避した退避位置とに移動させる。
【0037】
接近位置とは、具体的には、エッチング液Lpが基板Wとリング部材31の隙間から概ね落下しない程度まで、リング部材31の内周縁と基板Wの外周縁が近接している位置のことをいう。リング部材31が接近位置にあるとき、リング部材31の表面は、基板Wの表面と面一、もしくは基板Wの表面よりも僅かに低い位置にある。
【0038】
退避位置とは、具体的には、基板Wが搬入出可能であり、基板Wの外周縁及び基板Wの外周縁付近の処理液がリング部材31からの輻射熱によって加熱されないよう、リング部材31が基板Wの外周縁から離れている位置のことをいう。リング部材31が退避位置にあるとき、載置部11の面11aとリング部材31との間には、後述する液体供給管341及び液体排出管35が通る隙間が形成されている。
【0039】
流路33は、図4に示すように、リング部材31の内部に設けられる。より好ましくは、リング部材31のカバー部31aを含む外周縁の内部の全周に設けられる。流路33は、処理液が流動することで、リング部材31を所定の温度に保つ。所定の温度とは、基板Wに供給される複数の処理液のうち、最も高温で処理するときの処理液の温度より小さく、最も低温で処理するときの処理液の温度より大きくなるように設定された温度である。また、所定の温度とは、リング部材31が退避位置にあるとき、リング部材31の輻射熱によって基板Wに意図しないエッチング処理を引き起こさない温度のうち、最も高い温度であることが好ましい。流路33は、第1の流路33a及び第2の流路33bを有する。
【0040】
第1の流路33aは、第1の処理液槽212aに貯留されているエッチング液Lpが供給される。第2の流路33bは、第2の処理液槽212bに貯留されている洗浄液Lwが供給される。第1の流路33aは、基板Wの外周縁に熱が伝達しやすいよう、第2の流路33bと比べ、リング部材31の内周縁に直線距離で近い位置に設けられることが好ましい。図4に示すように、本実施形態では、リング部材31の回転軸方向に並べて設けられた2つの流路33のうち、リング部材31の表面に近い側を第1の流路33a、載置部11に近い側を第2の流路33bとしている。また、第1の流路33a及び第2の流路33bは、それぞれ複数設けられていてもよい。この場合、第1の流路33a、第2の流路33bが交互に配置されることが好ましい。
【0041】
液体供給部34は、液体供給管341、ポンプ342、バルブ343及び流量計344を備える。
【0042】
液体供給管341は、流路33に液体を供給するための配管である。本実施形態において、流路33に供給する液体は、処理液槽212に貯留されている処理液である。すなわち、液体供給管341は、一端が処理液槽212に接続され、他端が孔31cを介して流路33に接続されている。液体供給管341は、図1に示すように、面11aの開口及びシャフト12の中空に挿通されている。液体供給管341の途中には、載置部11の回転を阻害しないようにロータリージョイント(図示せず)が設けられている。また、液体供給管341は、載置部11とリング部材31の裏面との隙間を通して、流路33に処理液を供給するように接続されている。液体供給管341は、第1の液体供給管341a及び第2の液体供給管341bを有する。第1の液体供給管341aは、一端が第1の処理液槽212aに接続され、他端が第1の流路33aに接続されている。また、第2の液体供給管341bは、一端が第2の処理液槽212bに接続され、他端が第2の流路33bに接続されている。
【0043】
ポンプ342は、液体供給管341に設けられる。ポンプ342は、処理液槽212に貯留されている処理液を流路33に供給する。
【0044】
バルブ343は、液体供給管341に設けられる。バルブ343は、処理液の供給開始及び供給停止する機能と、流量を調整する機能を有する。
【0045】
流量計344は、液体供給管341に設けられる。流量計344は、液体供給管341を流動する処理液の流量を検出する。
【0046】
液体排出管35は、流路33を流動した液体を回収するための配管である。本実施形態において、流路33を流動する液体は、処理液槽212に貯留されている処理液である。液体排出管35を介して回収された液体は、処理液槽212に送られる。すなわち、液体排出管35は、一端が孔31cを介して流路33に接続され、他端が処理液槽212に接続されている。液体排出管35は、図1に示すように、面11aの開口及びシャフト12の中空に挿通されている。液体排出管35は、載置部11とリング部材31の裏面との隙間を通して、流路33から処理液を排出するように接続される。また、液体排出管35には、載置部11の回転を阻害しないようにロータリージョイント(図示せず)が設けられている。液体排出管35は、第1の液体排出管35a及び第2の液体排出管35bを有する。第1の液体排出管35aは、一端が第1の流路33aに接続され、他端が第1の処理液槽212aに接続されている。また、第2の液体排出管35bは、一端が第2の流路33bに接続され、他端が第2の処理液槽212bに接続されている。
【0047】
検出部36は、流路33に処理液が供給されている状態のリング部材31の温度を検出する。検出部36は、加熱部22からの放射熱の影響を直接受けない位置、例えば、リング部材31の裏面に設けられていることが好ましい。また、検出部36は、図4に示すように、基板W、及び基板Wに供給されたエッチング液Lpからの放射熱の影響を直接受けない位置、例えば、リング部材31の裏面のカバー部31a付近に設けられていることが好ましい。検出部36としては、例えば、熱電対、測温抵抗体を用いることができる。また、検出部36が導線(図示せず)等を必要とする熱電対である場合、導線は液体供給管341及び液体排出管35と同様に、面11aの開口及びシャフト12の中空に挿通される。
【0048】
回転機構40は、保持部10及びリング部材31を共に所定の回転数で回転させる。回転機構40は、モータ等の駆動源(図示せず)を有し、駆動源が保持部10及びリング部材31を回転させる。
【0049】
回収部50は、カップ51及びカップ昇降機構52を備える。
【0050】
カップ51は、円筒状を成しており、保持部10とリング部材31を囲むように設けられる。カップ51の周壁の上部は、径方向の内側に向かって傾斜しており、保持部10が露出するように開口している。カップ51は、基板Wの回転によって、保持部10より径方向外側に飛散した処理液を回収する。また、カップ51は、回収した処理液を、配管(図示せず)を介して、回収タンク(図示せず)へと送る。
【0051】
カップ昇降機構52は、基板Wの回転軸方向におけるカップ51の位置を移動させる。例えば、カップ昇降機構52は、カップ51を、図1に示すように、基板Wの搬入出が可能となるように下降した下降位置と、図3に示すように、飛散した処理液を回収できるように上昇した上昇位置とに移動させる。
【0052】
制御部60は、基板処理装置1の各部を制御する。制御部60は、プログラムを実行する演算部(図示せず)、プログラムや動作条件などの各種情報を記憶する記憶部(図示せず)、各種情報を入力する入力部(図示せず)、各種情報を表示する表示部(図示せず)及び各要素を駆動する駆動回路(図示せず)を有する。すなわち、制御部60は、ピン開閉機構14、供給部昇降機構23、リング部材昇降機構32、回転機構40、カップ昇降機構52、ポンプ214、342、バルブ215、343、及びヒータ222を制御する。
【0053】
例えば、制御部60は、処理液供給管213及び液体供給管341を流動する処理液を所定の流量となるようにバルブ215,343を制御する。制御部60は、第1の液体供給管341aを流動するエッチング液Lpの流量が、第2の液体供給管341bを流動する洗浄液Lwの流量より多くなるようにバルブ343を制御することが好ましい。
【0054】
また、制御部60は、流量計216、344により検出された処理液供給管213又は液体供給管341を流動する処理液が所定の流量に満たない場合、所定の流量を満たすようにバルブ215、343を制御することで、基板Wの表面又は流路33に供給される処理液の流量を調整する。例えば、制御部60は、流量計216により検出されたエッチング液Lpの流量が所定の流量よりも少ない場合、バルブ215を制御し、基板Wの表面に供給されるエッチング液Lpの流量を多くすることで、所定の流量を満たすように制御する。
【0055】
また、制御部60は、検出部36により検出されたリング部材31の温度に応じて、バルブ343を制御することで、流路33に供給されるエッチング液Lp及び洗浄液Lwの少なくとも一方の流量を調整する。例えば、制御部60は、基板処理装置1の動作中、検出部36により検出された温度が所定の温度よりも低い場合、バルブ343を制御することで、第1の流路33aに供給される高温のエッチング液Lpの流量が多くなるように制御する。もしくは、第2の流路33bに供給される低温の洗浄液Lwの流量が少なくなるように制御する。
【0056】
[動作]
以上のような本実施形態の基板処理装置1の動作を、上記の図1図4に加えて、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、リング部材31に設けられた流路33には、基板処理装置1の動作中、常に処理液槽212から液体供給管341を通じて、エッチング液Lp及び洗浄液Lwが供給されている。すなわち、リング部材31は、基板Wが搬入される以前から、流路33を流動するエッチング液Lp及び洗浄液Lwによって所定の温度で保たれている。
【0057】
まず、供給部20は待機位置に配置され、保持ピン13は開位置にあり、リング部材31は退避位置にあり、カップ51は下降位置にある。また、予め加熱部22のヒータ222に通電することにより、プレート221は、例えば、180℃に保たれている。この状態で、基板Wが保持部10と供給部20との間に搬入され(ステップS01)、保持ピン13が開位置から閉位置に移動することで、図1に示すように、基板Wが保持部10によって保持される(ステップS02)。その後、カップ昇降機構52によって、カップ51が下降位置から上昇位置に移動する。また、リング部材昇降機構32によって、リング部材31が退避位置から接近位置に移動する(ステップS03)。
【0058】
リング部材31が接近位置に移動すると、基板W、保持部10及びリング部材31が、回転機構40によって所定の回転数で回転する(ステップS04)。このときの回転数は、例えば、100rpm以下である。その後、図3(A)に示すように、供給部20は加熱位置に移動し、処理液供給部21は基板Wの表面の中心領域にエッチング液Lpを供給する(ステップS05)。また、供給部20に設けられた加熱部22によって、基板Wの表面上のエッチング液Lpが加熱される。このとき、リング部材31は、予め流路33を流動するエッチング液Lp及び洗浄液Lwによって所定の温度で保たれている。そのため、加熱位置に位置する加熱部22による急激な加熱によって引き起こされるリング部材31の熱膨張を抑制することができる。
【0059】
供給されたエッチング液Lpは、基板Wの回転によって基板Wの中心領域から外周縁に向けて流れる。これにより、基板Wの表面全体にエッチング液Lpが広がり、加熱されたエッチング液Lpによって基板Wに形成された窒化膜が除去される。基板Wの外周縁に流れたエッチング液Lpは、リング部材31によって基板Wの外周縁における流速の変化が小さくなるので、図4に示すように、基板Wの外周縁で滞留せず、リング部材31の表面に流れる。このとき、リング部材31は、予め流路33のエッチング液Lp及び洗浄液Lwによって所定の温度で保たれている。そのため、高温のエッチング液Lpによる急激な加熱によって引き起こされるリング部材31の熱膨張を抑制することができる。また、リング部材31が所定の温度に保たれているため、基板Wの外周縁の温度、及び基板Wの外周縁上のエッチング液Lpの温度が下がりにくくなる。したがって、基板Wの外周縁における処理レートが向上する。そして、リング部材31の表面に流れたエッチング液Lpは、リング部材31の外周縁から外方に排出される。
【0060】
所定の時間が経過したら、処理液供給部21は、基板Wへのエッチング液Lpの供給を停止する(ステップS06)。エッチング液Lpの供給停止後、リング部材昇降機構32によって、接近位置にあるリング部材31が退避位置に移動する(ステップS07)。これにより、基板W上に残留したエッチング液Lp、又は後述する基板Wの表面に供給され基板Wの外周縁に広がった洗浄液Lwが、リング部材31の輻射熱によって加熱され、基板Wの外周縁で意図しないエッチング処理が生じることを抑制することができる。また、エッチング処理後に基板Wのベベル部に残存したエッチング液Lpを、洗浄処理中に洗浄液Lwによって洗い流すことができる。
【0061】
その後、図3(B)に示すように、処理液供給部21によって基板Wの表面の中心領域に洗浄液Lwが供給される(ステップS08)。供給された洗浄液Lwは、基板Wの回転によって基板Wの中心領域から外周縁に向けて流れる。これにより、基板Wの表面のエッチング液Lpが洗い流される。このときの回転数は、例えば、150rpm~300rpm程度である。また、リング部材31は、予め流路33のエッチング液Lp及び洗浄液Lwによって所定の温度で保たれている。そのため、低温の洗浄液Lwによる急激な冷却によって引き起こされるリング部材31の熱収縮を抑制することができる。所定の時間が経過したら、処理液供給部21は洗浄液Lwの供給を停止し、供給部20は待機位置に移動する(ステップS09)。
【0062】
洗浄液Lwの供給停止後、基板W及びリング部材31は、回転機構40によって回転が停止される(ステップS10)。その後、カップ51は上昇位置から下降位置に移動する。また、保持ピン13は閉位置から開位置に移動する(ステップS11)。その後、基板Wが搬出される(ステップS12)。
【0063】
[効果]
このように、本実施形態の基板処理装置1によれば、基板Wを保持し、回転可能とする保持部10と、基板Wに、第1の処理液と、第1の処理液よりも温度の低い第2の処理液とを供給する処理液供給部21と、基板Wの外周縁に沿う形状の内周縁を有し、全周に亘って一体的に形成された円環状のリング部材31であって、その周方向に液体が流動する流路33を有するリング部材31と、流路33に液体を供給する液体供給部34と、を備え、液体供給部34が、流路33に液体を供給することで、リング部材31の温度を第1の処理液の温度より小さく、第2の処理液の温度より大きくなるように設定された所定の温度に調整する。すなわち、液体供給部34によって、リング部材31の周方向に設けられた流路33に液体が供給されることで、リング部材31は所定の温度を保つことができる。
【0064】
これにより、基板Wに供給されたエッチング液Lp及び洗浄液Lwが基板Wの外周縁に広がること、又は加熱部22が加熱位置に位置することによって引き起こされるリング部材31の急激な加熱及び冷却を抑制することができる。すなわち、リング部材31の熱膨張及び熱収縮を抑制することができる。そのため、リング部材31は、基板Wの外周縁に均一に近接することができ、基板Wの外周縁でのエッチング液Lpの滞留を抑制することができる。よって、基板Wの面内における処理レートの均一性を向上させることができる。
【0065】
流路33は、所定の温度より高温の第1の液体が流動する第1の流路33aと、所定の温度より低温の第2の液体が流動する第2の流路33bと、を有する。また、基板処理装置1は、第1の流路33aに供給される第1の液体の流量と、第2の流路33bに供給される第2の液体の流量と、を制御することで、リング部材31の温度を所定の温度に調整する制御部60と、を備える。本実施形態では、第1の液体をエッチング液Lpとし、第2の液体を洗浄液Lwとしている。これにより、リング部材31は、所定の温度を保つことができ、リング部材31の熱膨張及び熱収縮を抑制することができる。
【0066】
リング部材31の温度を検出する検出部36を有するリング部30を備え、制御部60は、検出部36により検出された温度に応じて、第1の流路33aに供給されるエッチング液Lpの流量、及び第2の流路33bに供給される洗浄液Lpの流量の少なくとも一方を制御する。例えば、制御部60は、基板処理中、検出部36により検出されたリング部材31の温度が所定の温度よりも低い場合、第1の流路33aに供給されるエッチング液Lpの流量が多くなるように制御する。もしくは、第2の流路33bに供給される洗浄液Lwの流量が少なくなるように制御する。これにより、リング部材31の温度が所定の温度から外れることがあっても、検出部36により検出された温度に基づいて、リング部材31の温度が所定の温度になるように調整することができる。したがって、リング部材31の熱膨張及び熱収縮をより抑制することができる。
【0067】
制御部60は、第1の流路33aに供給されるエッチング液Lpの流量が、第2の流路33bに供給される洗浄液Lwの流量より多くなるように制御する。これにより、リング部材31の温度は比較的高温に保たれるため、基板Wの外周縁、及び基板Wの表面上のエッチング液Lpが加熱され、エッチング処理時における基板Wの外周縁の処理レートを向上させることができる。
【0068】
基板処理装置1は、リング部材31を昇降可能とするリング部材昇降機構32を備え、リング部材昇降機構32は、リング部材31を、リング部材31の内周縁が基板Wの外周縁に近接した接近位置と、リング部材31の内周縁が基板Wの外周縁から退避した退避位置との間で移動させる。例えば、流路33を流動するエッチング液Lp及び洗浄液Lwによって比較的高温に保たれたリング部材31が、洗浄処理時にも接近位置にあると、基板Wの外周縁は加熱される。その加熱された基板Wの外周縁に向けて基板Wの中心領域から洗浄液Lwが流れることにより、基板Wの外周縁はエッチングされる。このように、エッチング処理時では、加熱部22及びリング部材31によって基板Wの全面を保温していたとしても、洗浄処理時には基板Wの外周縁のみ加熱されることにより、基板Wの面内における処理レートが不均一になる恐れがある。
【0069】
そこで、本実施形態では、エッチング処理時、リング部材31を接近位置に、洗浄処理時、リング部材31を退避位置に移動させる。接近位置では、所定の温度に保たれたリング部材31によって、基板Wの外周縁に均一に近接することができ、基板Wの外周縁でのエッチング液Lpの滞留が抑制される。よって、基板Wの面内における処理レートの均一性を向上させることができる。退避位置では、基板W上に残留したエッチング液Lp、又は基板Wの表面に供給され基板Wの外周縁に広がった洗浄液Lwが、リング部材31の輻射熱によって加熱され、基板Wの外周縁で意図しないエッチング処理が生じることを抑制することができる。また、エッチング処理後に基板Wのベベル部に残存したエッチング液Lpを、洗浄処理中に洗浄液Lwによって洗い流すことができる。よって、基板Wの面内における処理レートの均一性を向上させることができる。
【0070】
基板処理装置1は、基板Wの外径よりも大きい径を有し、基板Wの面に対向する加熱部22を備える。加熱部22は、基板Wの表面に供給されたエッチング液Lpを加熱する。これにより、エッチング液Lpと除去部分との反応が促進され、基板Wの面内の処理レートを向上させることができる。
【0071】
液体供給部34が第1の流路33aに供給する第1の液体は、第1の処理液とすることができる。これにより、処理液槽212とは別に、第1の流路33aに供給するための第1の液体を貯留する槽を設ける必要がないため、構成の簡素化、省スペース化が可能となる。
【0072】
[変形例]
以下、本発明の実施形態に係る基板処理装置1について、変形例を説明する。
【0073】
流路33に供給される液体は、リング部材31を所定の温度で保つことができれば、基板Wに供給される処理液でなくてもよい。例えば、リング部材31の所定の温度と同等の温度の液体を供給してもよい。
【0074】
流路33に供給される液体の流量は、リング部材31を所定の温度に保つことができれば、リング部材31の温度に応じて制御しなくてもよい。例えば、予め実験やシミュレーションを行うことで求めた最適な流量で、流路33に液体を供給してもよい。
【0075】
リング部材31に設けられる流路33は、リング部材31を所定の温度で保つことができれば、複数でなくてもよい。例えば、1つの流路33に対して、所定の温度以上の1種の液体又はエッチング液Lpを供給し、流量を制御することで所定の温度を保つようにしてもよい。また、1つの流路33に対して、所定の温度になるように高温の液体と低温の液体を選択的に供給してもよい。さらに、1つの流路33に対して、所定の温度になるように高温の液体と低温の液体を混合した液体を供給してもよい。
【0076】
リング部材31に設けられる流路33は、リング部材31の内部でなくでもよい。例えば、リング部材31の裏面に接するように設け、リング部材31を所定の温度で保つようにしてもよい。
【0077】
リング部材31に設けられる流路33は、リング部材31全体を所定の温度で保つことができれば、リング部材31の全周に設けられなくてもよい。例えば、リング部材31の半周にのみ流路33が設けられていてもよい。
【0078】
リング部材31に設けられる流路33の形状は、リング部材31の外周に相似する形状でなくてもよい。例えば、流路33が、蛇行するような形状であってもよい。
【0079】
リング部材31に設けられる流路33への供給は、ロータリージョイントを用いる方法に限定されない。すなわち、載置部11の回転を阻害せず、流路33に処理液を供給し、排出できればよい。
【0080】
基板処理装置1の処理内容及び基板Wに供給される処理液は、上記で例示したものには限定されない。処理対象となる基板W及び膜についても、上記で例示した物には限定されない。
【0081】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨や逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 基板処理装置
10 保持部
11 載置部
11a 面
12 シャフト
13 保持ピン
14 ピン開閉機構
20 供給部
21 処理液供給部
22 加熱部
23 供給部昇降機構
30 リング部
31 リング部材
31a カバー部
31b 切欠
31c 孔
32 リング部材昇降機構
33 流路
33a 第1の流路
33b 第2の流路
34 液体供給部
35 液体排出管
35a 第1の液体排出管
35b 第2の液体排出管
36 検出部
40 回転機構
50 回収部
51 カップ
52 カップ昇降機構
60 制御部
211 処理液ノズル
211a 第1の処理液ノズル
211b 第2の処理液ノズル
212 処理液槽
212a 第1の処理液槽
212b 第2の処理液槽
213 処理液供給管
213a 第1の処理液供給管
213b 第2の処理液供給管
214 ポンプ
215 バルブ
216 流量計
221 プレート
221a 供給口
222 ヒータ
222a 貫通孔
341 液体供給管
341a 第1の液体供給管
341b 第2の液体供給管
342 ポンプ
343 バルブ
344 流量計
図1
図2
図3
図4
図5