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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145595
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20241004BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D75/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058025
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】浦川 直也
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA21
3E064BB03
3E064BC18
3E064FA06
3E064HN06
3E064HP01
3E067AA05
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067EA11
3E067EB07
3E067GD08
(57)【要約】
【課題】粉状または粒状の内容物を効率的に取り出し易い包装袋を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る包装袋は、粉状または粒状の内容物を収容する包装袋であって、第1フィルムと、上記第1フィルムに重ね合わされた第2フィルムと、を備え、上記内容物が収容された状態において、上記内容物を収容する収容空間が形成されるように、重ね合わされた上記第1フィルムおよび上記第2フィルムの周囲にはシール部が形成されており、上記第1フィルムは、所定方向に沿って上記第2フィルムより高い直進カット性を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状または粒状の内容物を収容する包装袋であって、
第1フィルムと、
前記第1フィルムに重ね合わされた第2フィルムと、
を備え、
前記内容物が収容された状態において、前記内容物を収容する収容空間が形成されるように、重ね合わされた前記第1フィルムおよび前記第2フィルムの周囲にはシール部が形成されており、
前記第1フィルムは、所定方向に沿って前記第2フィルムより高い直進カット性を有する、
包装袋。
【請求項2】
前記第1フィルムは直進カット性フィルムであり、
前記第2フィルムは直進カット性を有しない、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記シール部のシール強度は、1N/15mm以上10N/15mm以下である、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項4】
前記第1フィルムの厚さは、20μm以上200μm以下である、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項5】
前記シール部は、
前記所定方向と交差する第1サイドシール部と、
前記所定方向と交差しているとともに前記第1サイドシール部と対向する第2サイドシール部と、
を有し、
前記第1サイドシール部に、前記第1フィルムのカットを開始するためのカット契機部が形成されている、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項6】
前記第1サイドシール部のシール幅は、前記第2サイドシール部のシール幅より大きい、
請求項5に記載の包装袋。
【請求項7】
前記第1サイドシール部のシール幅は、5mm以上50mm以下である、
請求項5に記載の包装袋。
【請求項8】
重ね合わされた前記第1フィルムおよび前記第2フィルムの周囲のうち前記カット契機部寄りに、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムを互いに剥離するための剥離契機部を有する、
請求項5~7の何れか一項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容する包装袋の一例として特許文献1,2に記載の包装袋がある。この包装袋では、包装袋において底部側を包装袋から切り離して、包装袋を開封する。包装袋から底部側を切り離すために、包装袋を構成する表側の部材および裏側の部材には、ハーフカット溝、切込み線、穿孔線などが形成されている。よって、包装袋から切り離された底部側の部分も、包装袋を構成する表側および裏側の部材を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-219134号公報
【特許文献2】特表2001-500093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載された包装袋のように、包装袋のうち底部側を包装袋から切り離して、包装袋を開封する形態では、包装袋に収容する内容物が粉状または粒状であると、分離された底部側に内容物が残存する場合が生じる。そのため、たとえば、粉状または粒状の内容物を包装袋から取り出す際に、分離された底部に残存した内容物も別途取り出す必要が生じる。すなわち、包装袋から内容物を効率的に取り出しにくい。
【0005】
本発明の一側面の目的は、粉状または粒状の内容物を効率的に取り出し易い包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る包装袋は、粉状または粒状の内容物を収容する包装袋であって、第1フィルムと、上記第1フィルムに重ね合わされた第2フィルムと、を備え、上記内容物が収容された状態において、上記内容物を収容する収容空間が形成されるように、重ね合わされた上記第1フィルムおよび上記第2フィルムの周囲にはシール部が形成されており、上記第1フィルムは、所定方向に沿って上記第2フィルムより高い直進カット性を有する。
【0007】
上記包装袋では、第1フィルムが第2フィルムより高い直進カット性を有する。そのため、第2フィルムをカットせずに第1フィルムのみ選択的にカットできる。更に、カットによって2つに分離された第1フィルムの一方を第2フィルムから剥離することで、包装袋を開封できる。この場合、第1フィルムが第2フィルムから剥離されて内容物を取り出すための開口が形成されているため、内容物を効率的に取り出し易い。
【0008】
[2]上記の包装袋[1]において、上記第1フィルムは直進カット性フィルムでよく、上記第2フィルムは直進カット性を有しなくてもよい。この場合、第1フィルムを選択的にカットし易い。
【0009】
[3]上記の包装袋[1]または[2]において、上記シール部のシール強度は、1N/15mm以上10N/15mm以下であってもよい。この場合、開封性を確保しながら、輸送時等における包装袋の破損を防止できる。
【0010】
[4]上記の包装袋[1]~[3]の何れかにおいて、上記第1フィルムの厚さは、20μm以上200μm以下であってもよい。この場合、輸送時等に包装袋が破損し難い。また、包装袋をより低コストで製造可能である。
【0011】
[5]上記の包装袋[1]~[4]の何れかは、上記所定方向と交差する第1サイドシール部と、上記所定方向と交差しているとともに上記第1サイドシール部と対向する第2サイドシール部と、を有し、上記第1サイドシール部に、上記第1フィルムのカットを開始するためのカット契機部が形成されていてもよい。この場合、第1フィルムをカット契機部からカットして包装袋を開封し易い。
【0012】
[6]上記の包装袋[5]において、上記第1サイドシール部のシール幅は、上記第2サイドシール部のシール幅より大きくてもよい。たとえば、機械を用いて包装袋を開封する際に、機械が第1サイドシール部を把持し易く、更に、そのような機械による包装袋の把持性を確保しながら、包装袋のサイズを低減できる。
【0013】
[7]上記の包装袋[5]または[6]において、上記第1サイドシール部のシール幅は、5mm以上50mm以下であってもよい。
【0014】
[8]上記の包装袋[5]~[7]の何れかは、重ね合わされた上記第1フィルムおよび上記第2フィルムの周囲のうち上記カット契機部寄りに、上記第1フィルムおよび上記第2フィルムを互いに剥離するための剥離契機部を有してもよい。この場合、剥離契機部の部分で、第1フィルムを把持して撚る等の操作をし易いため、包装袋を開封し易い。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、粉状または粒状の内容物を効率的に取り出し易い包装袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る包装袋であって内容物を収容前の包装袋の平面図である。
図2図2は、図1の包装袋であって内容物を収容した状態の包装複路の平面図である。
図3図3は、図2のIII―III線に沿った断面構成の模式図である。
図4図4は、包装袋を開封した場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0018】
図1は、一実施形態に係る包装袋であって内容物を収容前の包装袋の平面図である。図2は、図1の包装袋であって内容物を収容した状態の包装袋の平面図である。図3は、図2のIII―III線に沿った断面構成の模式図である。
【0019】
包装袋10は、第1フィルム11と第2フィルム12とを有する。第1フィルム11および第2フィルム12の平面視形状は同じであり、本実施形態において、第1フィルム11および第2フィルム12の平面視形状は矩形である。第1フィルム11および第2フィルム12の長手方向の長さL1の例は、200mm以上500mm以下であり、幅方向(長手方向に直交する方向)の長さL2の例は、150mm以上400mm以下である。第1フィルム11および第2フィルム12は、対向配置され且つ重ね合わされている。
【0020】
包装袋10は、重ねられた第1フィルム11および第2フィルム12の3方(包装袋10の平面視における3辺)がシールされた3方袋である。包装袋10の平面視においてシールされていない辺側が内容物20(図3参照)の投入口として機能する。この投入口から包装袋10に内容物20を収容した後、投入口側の辺が更にシールされる。このようにシールされた包装袋10は4方袋である。
【0021】
本実施形態では、説明の便宜のため、包装袋10において投入口側を天部と称し、天部と反対側を底部と称する。図2および図3に示したように、内容物20を収容しており天部がシールされた包装袋10を包装袋10Aと称す。包装袋10A(包装袋10)は、たとえば、容器に収容していた内容物20を使い終わった後に、その容器に内容物20を詰め替えるためのパウチ(詰め替え用パウチ)である。包装袋10が収容する内容物20は、粉状または粒状の内容物(粉体、粒状体など)である。図3では、内容物20を模式的に示している。
【0022】
図2に示したように、包装袋10Aは、重ねられた第1フィルム11および第2フィルム12の周囲にシール部13を有する。このシール部13によって、収容空間S(図3参照)が形成されている。図1図2および図4では、第1フィルム11および第2フィルム12がシールされている領域をハッチングで示している。
【0023】
シール部13は、天シール部131と、底シール部132と、第1サイドシール部133と、第2サイドシール部134とを有する。
【0024】
天シール部131は、天部がシールされることによって形成された部分である。底シール部132は、底部がシールされることによって形成された部分である。第1サイドシール部133および第2サイドシール部134は天シール部131と底シール部132とを繋ぐ部分であり、重ねられた第1フィルム11および第2フィルム12の側部がシールされることによって形成された部分である。本実施形態において、第1サイドシール部133は、包装袋10Aを第1フィルム11側から見た場合に左側に位置する左サイドシール部である。本実施形態において、第2サイドシール部134は、包装袋10Aを第1フィルム11側から見た場合に右側に位置する右サイドシール部である。
【0025】
シール部13は、第1フィルム11および第2フィルム12をたとえばヒートシールすることによって形成される。シール強度の例は、1N/15mm以上10N/15mm以下であり、2N/15mm以上8N/15mm以下でもよい。シール強度は、JIS Z1707:2019に基づいて測定された値であり得る。
【0026】
シール部13のシール幅の例は、5mm以上50mm以下である。天シール部131、底シール部132、第1サイドシール部133および第2サイドシール部134のシール幅は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0027】
天シール部131のシール幅W1および底シール部132のシール幅W2の例は、5mm以上30mm以下である。
【0028】
第1サイドシール部133のシール幅W3および第2サイドシール部134のシール幅W4の例は、5mm以上50mm以下であり、5mm以上30mm以下でもよい。一実施形態において、包装袋10を機械(または装置)で取り扱うために、第1サイドシール部133および第2サイドシール部134の一方のシール幅は、他方のシール幅より広く形成されていてもよい。図1および図2では、第1サイドシール部133のシール幅W3が、第2サイドシール部134のシール幅W4より広い形態が例示されている。シール幅W3とシール幅W4が異なる場合、シール幅W3の例は、5mm以上50mm以下である。
【0029】
上記例示したシール幅の範囲は、例示した長さL1および長さL2に対応する例である。よって、たとえば、天シール部131のシール幅W1および底シール部132のシール幅W2は、長さL1の範囲が例示した範囲と異なる場合、それに応じてシール幅W1およびシール幅W2の範囲も調整され得る。同様に、第1サイドシール部133のシール幅W3および第2サイドシール部134のシール幅W4は、長さL2の範囲が例示した範囲と異なる場合、それに応じてシール幅W3およびシール幅W4の範囲も調整され得る。
【0030】
第1フィルム11は、第2フィルム12から剥離可能なフィルム(たとえばシーラントフィルム)である。第1フィルム11は、第2フィルム12より高い直進カット性を有する。直進カット性におけるカット方向は、包装袋10の平面視において幅方向(所定方向)である。したがって、第1フィルム11のカット方向は、第1サイドシール部133(または第2サイドシール部134)と交差する方向であり、本実施形態では、カット方向と第1サイドシール部133(または第2サイドシール部134)とは直交している。
【0031】
以下では、断らない限り、第1フィルム11は直進カット性フィルムである。第1フィルム11の例は、直進カット性を有する無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)、リニア低密度ポリエチレンフィルム(LLPEフィルム)などである。第1フィルム11の厚さの例は、20μm以上200μm以下であり、好ましくは、50μm以上150μm以下である。
【0032】
第2フィルム12は、第1フィルム11とシール可能なフィルムである。本実施形態において、第2フィルム12は、基材フィルム121にイージーピールフィルム122が積層された積層構造を有するイージーピール部材であり、直進カット性を有しない。
【0033】
基材フィルム121の材料の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(NY)などである。基材フィルム121は、PETフィルムおよびPEフィルムがこの順に積層された積層フィルムでもよいし、PETフィルム、NYフィルムおよびPEフィルムがこの順に積層された積層フィルムでもよい。イージーピールフィルムは、たとえば、ポリエチレン系フィルムであり、イージーピールフィルムの材料の例は、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)のブレンド樹脂である。
【0034】
包装袋10A(包装袋10)における第1サイドシール部133の底部側には、包装袋10Aを開封する際のカット開始位置となるカット契機部14Aが形成されていてもよい。カット契機部14Aの例は、図1および図2に示したノッチ(切欠き)である。一実施形態において、カット契機部14Aと、包装袋10Aの底辺(底部側の辺)との間の長さL3の例は、10mm以上150mm以下である。長さL3の例示範囲は、長さL1の例示した範囲に応じた範囲である。
【0035】
包装袋10Aを容易に開封するため、包装袋10Aの周囲(重ねられた第1フィルム11および第2フィルム12の周囲)のうちカット契機部14A寄りには、剥離契機部15が形成されていてもよい。剥離契機部15は、第1フィルム11と第2フィルム12の剥離の切っ掛けとなる部分である。剥離契機部15は、剥離契機部15以外の領域より第1フィルム11と第2フィルム12とが剥離され易い領域である。たとえば、剥離契機部15がシール部13内に位置する場合には、剥離契機部15以外の領域より低いシール強度を有する領域であり得る。剥離契機部15は、第1フィルム11および第2フィルム12がシールされていない未シール領域でもよい。図1および図2に示した形態では、第1サイドシール部133と底シール部132とによって形成される角部に剥離契機部15が形成されている。
【0036】
図2に示したように、第2サイドシール部134側からも包装袋10Aを開封可能なように、第2サイドシール部134において、カット契機部14Aと対向する位置にカット契機部14Bが形成されていてもよい。
【0037】
包装袋10A(包装袋10)では、第1フィルム11が第2フィルム12より高い直進カット性を有する。そのため、直進カット性によって規定されるカット方向(本実施形態では幅方向)に第1フィルム11のみをカットできる。このように第1フィルム11がカットされることによって、図4に示されたように、第1フィルム11のうち、第1フィルム11のカット位置(図4では、カット契機部14Aの位置)より底部側の領域を第2フィルム12から選択的に剥離できる。その結果、包装袋10Aの底部側が開放されるので、図4の矢印で模式的に示したように内容物20を容易に取り出すことが可能である。
【0038】
たとえば、第2フィルムを第1フィルムと一緒に破断して、包装袋の底部側を、天部側から完全に分離することも考えられる。しかしながら、この場合、分離された底部側の部分が容器として機能するため、その底部側の部分内に内容物20が残存する。よって、たとえば、包装袋に収容された粉状または粒状の内容物20を他の容器に移す場合には、包装袋から分離された底部側の部分に残存した内容物20を別途容器に移す作業が生じ、結果として、内容物を効率的に包装袋から取り出せない。
【0039】
これに対して、包装袋10Aでは、図4に示したように、第2フィルム12を破断せずに第1フィルム11の一部のみを選択的に破断し且つ第2フィルム12から剥離して、内容物20を取り出すための開口を形成する。そのため、全ての内容物20を包装袋10Aから効率的に取り出すことが可能である。たとえば、包装袋10Aが詰め替え用の包装袋(たとえばパウチ)である場合、内容物20を、他の容器に詰め替え易い。
【0040】
カット契機部14A(またはカット契機部14B)が形成されている場合、カット位置を特定し易いとともに、第1フィルム11をカットし易い。
【0041】
図1および図2に示したように包装袋10Aに剥離契機部15が形成されている形態では、剥離契機部15において第1フィルム11を第2フィルム12から剥離し易い。この場合、剥離契機部15で第2フィルム12から剥離された第1フィルム11を容易に把持することができるので、第2フィルム12からの第1フィルム11の剥離を更に進めることで、第1フィルム11がカットされ得る。その結果、包装袋10Aを容易に開封できる。剥離契機部15が未シール領域である場合、剥離契機部15では、予め第1フィルム11と第2フィルム12とが剥離された状態であるため、第1フィルム11を摘まみ易く、第1フィルム11の第2フィルム12からの剥離および第1フィルム11のカットを進めやすい。その結果、包装袋10Aの開封性が一層向上ずる。
【0042】
包装袋10A(包装袋10)では、第1フィルム11が有する直線カット性を利用して第1フィルム11をカットする。そのため、第1フィルム11には、破断線(たとえばミシン線)が形成されていない。第2フィルム12はカットされないため、第2フィルム12にも破断線は形成されていない。このように第1フィルム11および第2フィルム12に破断線が形成されてないことから、包装袋10Aの輸送時(たとえば工場からの出荷する際の輸送時)、落下時などにおける包装袋10Aの破損をより防止できる。
【0043】
第1フィルム11および第2フィルム12が破断線を有しないことから、包装袋10Aを製造する過程において、破断線を形成するためのレーザ加工、ミシン加工等が不要である。よって、包装袋10Aの生産性も向上するとともに、製造コストも低減され得る。
【0044】
第1フィルム11の厚さが20μm以上の場合、輸送時、落下時などにおける破損が生じにくい。第1フィルム11の厚さは、輸送時、落下時の破損を防止する観点では厚い方がよい。たとえば、第1フィルム11の厚さが200μmを超えていれば包装袋10Aの耐衝撃試験、輸送試験をより確実にクリできる。しかしながら、第1フィルム11の厚さが厚すぎると、第1フィルム11の製造コスト、または、購入コストが増大する。第1フィルム11の厚さが厚すぎると、包装袋がかさばり易い。そのため、第1フィルム11の厚さは、200μm以下が好ましい。よって、第1フィルム11の厚さは、20μm以上200μm以下が好ましく、50μm以上150μm以下がより好ましい。
【0045】
包装袋10A(包装袋10)における第1フィルム11および第2フィルム12のシール強度が、1N/15mm以上である場合、輸送時、落下時などにおける破損を防止し易い。破損を防止する観点では、上記シール強度は高い方がよいが、シール強度が10N/15mmを超えると、包装袋10Aの開封性が低下する。よって、輸送時、落下時の破損を防止しながら、開封性を確保する観点から、上記シール強度は、1N/15mm以上10N/15mm以下であることが好ましく、2N/15mm以上8N/15mm以下がより好ましい。
【0046】
第1サイドシール部133のシール幅W3および第2サイドシール部134のシール幅W4が5mm以上である形態では、たとえば機械(装置)に包装袋10Aをセットして、自動で包装袋10Aの開封作業を実施する場合に、機械が包装袋10Aを把持し易い。しかしながら、たとえばシール幅が50mmを超える場合、包装袋10Aのサイズが必要以上に大きくなり、包装袋10Aの製造コストが増大する。そのため、機械での操作性および製造コスト低減の観点から、シール幅W3およびシール幅W4は、5mm以上50mm以下が好ましい。第1サイドシール部133および第2サイドシール部134の一方を機械による把持のためのシール部とし、他方のシール部のシール幅より大きくしている形態でもよい。この場合、機械による把持のためのシール部のみ、上記範囲のシール幅とすることで、他方のシール幅を、破損などが生じない範囲で短くできる。その結果、包装袋10Aのサイズを低減できるので、製造コストが抑制される。
【0047】
次に、第1フィルム11の厚さおよびシール強度に関する実験例を説明する。以下の実験例は、図1および図2に例示した形態の包装袋を製造し、実験を行った。実験例の説明では、説明の便宜のため、図1および図2を用いて説明した包装袋10および包装袋10Aが有する要素と同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0048】
(実験例1)
<第1フィルム>
第1フィルム11に、直進カット性を有するCPPフィルム(東レ株式会社製「トレファン YT62」)を使用した。第1フィルム11の厚さは50μmであった。
【0049】
<第2フィルム>
第2フィルム12には、基材フィルム121とイージーピールフィルム122の積層フィルムを使用した。基材フィルム121は、PETフィルムとPEフィルムの積層体であった。したがって、第2フィルム12は、次の層構成を有していた。第2フィルム12は、直進カット性は有していなかった。
PETフィルム/PEフィルム/イージーピールフィルム
【0050】
PETフィルムは、東洋紡株式会社製の「E5100」であり、厚さは、12μmであった。PEフィルムは、株式会社アイセロ製の「スズロンLN-165」であり、厚さは、70μmであった。イージーピールフィルムは、ジェイフィルム株式会社製の「SMX XB08」であり、厚さは30μmであった。
【0051】
<包装袋の準備>
実験例1では、上記第1フィルム11および第2フィルム12を、第1フィルム11とイージーピールフィルム122とが対向するように重ね合わせて、2軸製袋機で3方袋としての包装袋10を作製した。包装袋10のサイズは、200mm×300mmであった。第1フィルム11および第2フィルム12はヒートシールされていた。ヒートシールは、シール強度が1.5N/15mmとなるシール温度の条件で行われた。
【0052】
第1サイドシール部133のシール幅W3は、30mmであり、第2サイドシール部134のシール幅W4は10mmであり、底シール部132のシール幅W2は、10mmであった。第1サイドシール部133および第2サイドシール部134には、底辺から50mmの位置にカット契機部15Aおよびカット契機部15Bとしてのノッチ(切欠き)を形成した。図1に示したように、包装袋100において第1サイドシール部133と底シール部132とで形成される角部には、剥離契機部15として、未シール領域を設けた。
【0053】
上記のように準備した包装袋10に内容物20を収容した後、天部をヒートシールすることによって4方袋である包装袋10Aを得た。天部のヒートシールの条件は、底シール部132、第1サイドシール部133および第2サイドシール部134を形成した場合のシール条件と同様であった。天シール部131のシール幅W1は、底シール部132のシール幅W2と同じであった。
【0054】
<評価>
上記のように準備した包装袋10Aに対して次の3つの試験を実施した。
(1)開封性試験
包装袋10Aにおける未シール領域(剥離契機部15)の第1フィルム11を摘まんで第1フィルム11を第2フィルム12から剥離しながら、カット契機部14A(ノッチ)側からカット契機部14B(ノッチ)に向けて第1フィルム11を幅方向にカットし、包装袋10Aを開封した。その際の、開封性を次の基準で評価した。
評価A:開封し易い
評価A:評価Aより開封し易い
評価B:開封しづらい
【0055】
上記開封性試験は、20人で実施し、20人の結果を加点方式によってとりまとめて最終試験結果とした。
(2)輸送試験
上記<包装袋の準備>と同様にして、2個の包装袋10Aを準備し、それらの包装袋10Aを段ボールに収容し、JIS Z0200に基づいた輸送試験を実施した。輸送試験として、ランダム振動試験をレベル1の条件下で実施した。試験結果を次の基準で評価した。
評価A:全ての包装袋10Aにおいて底シール部132側から内容物20が漏れていない。
評価B:評価A以外の場合を評価Bとした。すなわち、底シール部132側から内容物20が漏れていた包装袋10Aが存在した場合を評価Bとした。
(3)衝撃試験
上記<包装袋の準備>と同様にして、2個の包装袋10Aを準備し、それらの包装袋10Aを段ボールに収容し、JIS Z0200に基づいた衝撃試験を実施した。具体的には、衝撃試験として、落下高さ80cm(レベルI)の条件下の自由落下試験を行った。試験結果を次の基準で評価した。
評価A:全ての包装袋10Aにおいて底シール部132側から内容物20が漏れていない。
評価B:評価A以外の場合を評価Bとした。すなわち、底シール部132側から内容物20が漏れていた包装袋10Aが存在した場合を評価Bとした。
【0056】
上記3つの評価項目の評価結果は表1のとおりであった。
【0057】
(実験例2)
第1フィルム11に、厚さが80μmのCPPフィルムを使用した点および第1フィルム11と第2フィルム12のシール強度が7.0N/15mmとなるシール温度条件で第1フィルム11と第2フィルム12をヒートシールした点以外は、実験例1と同様の包装袋10Aを準備した。
【0058】
準備した包装袋10Aに対して、実験例1と同様にして、開封性試験、輸送試験および衝撃試験を実施した。試験結果は表1のとおりであった。
【0059】
(実験例3)
第1フィルム11に、厚さが30μmのCPPフィルムを使用した点、および第1フィルム11と第2フィルム12のシール強度が5.0N/15mmとなるシール温度条件で第1フィルム11と第2フィルム12をヒートシールした点以外は、実験例1と同様の包装袋10Aを準備した。
【0060】
準備した包装袋10Aに対して、実験例1と同様にして、開封性試験、輸送試験および衝撃試験を実施した。試験結果は表1のとおりであった。
【0061】
(実験例4)
第1フィルム11に、厚さが30μmのCPPフィルムを使用した点および第1フィルム11と第2フィルム12のシール強度が9.0N/15mmとなるシール温度条件で第1フィルム11と第2フィルム12をヒートシールした点以外は、実験例1と同様の包装袋10Aを準備した。
【0062】
準備した包装袋10Aに対して、実験例1と同様にして、開封性試験、輸送試験および衝撃試験を実施した。試験結果は表1のとおりであった。
【0063】
(実験例5)
第1フィルム11と第2フィルム12のシール強度が0.6N/15mmとなるシール温度条件で第1フィルム11と第2フィルム12をヒートシールした点以外は、実験例1と同様の包装袋10Aを準備した。
【0064】
準備した包装袋10Aに対して、実験例1と同様にして、開封性試験、輸送試験および衝撃試験を実施した。試験結果は表1のとおりであった。
【0065】
(実験例6)
第1フィルム11に、厚さが16μmのCPPフィルムを使用した点および第1フィルム11と第2フィルム12のシール強度が5.0N/15mmとなるシール温度条件で第1フィルム11と第2フィルム12をヒートシールした点以外は、実験例1と同様の包装袋10Aを準備した。
【0066】
準備した包装袋10Aに対して、実験例1と同様にして、開封性試験、輸送試験および衝撃試験を実施した。試験結果は表1のとおりであった。
【0067】
(実験例7)
第1フィルム11に、厚さが250μmのCPPフィルムを使用した点および第1フィルム11と第2フィルム12のシール強度が7.0N/15mmとなるシール温度条件で第1フィルム11と第2フィルム12をヒートシールした点以外は、実験例1と同様の包装袋10Aを準備した。
【0068】
準備した包装袋10Aに対して、実験例1と同様にして、開封性試験、輸送試験および衝撃試験を実施した。試験結果は表1のとおりであった。
【0069】
(実験例8)
第1フィルム11に、厚さが30μmのCPPフィルムを使用した点および第1フィルム11と第2フィルム12のシール強度が12.0N/15mmとなるシール温度条件で第1フィルム11と第2フィルム12をヒートシールした点以外は、実験例1と同様の包装袋10Aを準備した。
【0070】
準備した包装袋10Aに対して、実験例1と同様にして、開封性試験、輸送試験および衝撃試験を実施した。試験結果は表1のとおりであった。
【0071】
【表1】
【0072】
実験例1~7では、シール強度は10N/15mm以下であり、評価Aまたは評価Aという評価結果であった。実験例8では、シール強度は12.0N/15mmであり、開封はできるが開封し難い(評価B)という評価結果であった。従って、シール強度が10N/15mm以下であることによって、開封性が向上することが検証された。
【0073】
表1に示したように、実験例5,6において、輸送試験および衝撃試験の評価結果は、Bであった。実験例5は、シール強度が異なる点以外は、実験例1の場合と同じ実験条件であり、実験例6は、第1フィルム11の厚さが異なる点以外は、実験例3の場合と同じ実験条件であった。したがって、シール強度および第1フィルム11の厚さが輸送試験および衝撃試験の結果に影響を与えていることが理解され得る。更に、実験例1~8の結果を対比することによって、シール強度が1N/15mm以上10N/15mm以下であり、第1フィルム11の厚さが20μm以上であれば、輸送試験および衝撃試験での評価A、すなわち、破損し難い包装袋10Aが得られることが検証された。実験例7のように。第1フィルム11の厚さが250μmと厚い場合でも、開封性試験、輸送試験および衝撃試験において評価Aである。しかしながら、第1フィルム11の厚さが200μmを超えてくると、第1フィルム11の準備コスト(製造コストまたは購入コスト)が増大したり、包装袋10Aがかさばる等の不具合が生じやすい。そのため、第1フィルム11の厚さは、200μm以下が好ましい。
【0074】
以上、本発明の実施形態および実験例を説明したが、本発明は、上記例示した実施形態および実験例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される範囲が含まれるとともに、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0075】
たとえば、上記説明では、内容物20が収容される前の包装袋10における内容物20の投入口側を天部として、包装袋10Aでは、天部と反対側の底部側を開封する形態を例示した。しかしながら、開封位置は、例示した位置に限定されない。
【0076】
第1フィルムが第2フィルムより高い直進カット性を有すれば、第1フィルムおよび第2フィルムの構成は、例示したものに限定されない。たとえば、第1フィルムは、積層構造を有してもよい。
【0077】
以上説明した種々の実施形態および変形例等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10,10A…包装袋、11…第1フィルム、12…第2フィルム、13…シール部、14A…カット契機部、15…剥離契機部、133…第1サイドシール部、134…第2サイドシール部。
図1
図2
図3
図4