(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145597
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】監視カメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 23/52 20230101AFI20241004BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20241004BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20241004BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241004BHJP
G03B 17/55 20210101ALI20241004BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/51
H04N5/222 100
G03B15/00 S
G03B15/00 P
G03B17/55
G03B17/56 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058027
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 康司
(72)【発明者】
【氏名】荒瀬 文啓
【テーマコード(参考)】
2H104
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H104CC00
2H105AA06
2H105AA17
5C122DA11
5C122EA03
5C122GD04
5C122GE01
5C122GE11
5C122GE18
(57)【要約】
【課題】遮光部と他の部品が接触しても部品が破損しにくく、遮光部とLEDが近接していても、遮光部が熱変形しにくい監視カメラを提供する。
【解決手段】監視カメラは、カメラ部と、カメラ部を内部に備えるカメラ筐体と、カメラ筐体を回転可能に接続する回転台座と、を備える。カメラ筐体は、金属で形成された基板保持部を有する。基板保持部の内側面には、カメラから送信されたデータを処理する電子部品が実装された第1基板が配置される。基板保持部の外側面には、放熱部が形成される。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部と、
前記カメラ部を内部に備えるカメラ筐体と、
前記カメラ筐体を回転可能に接続する回転台座と、を備え、
前記カメラ筐体は、金属で形成された基板保持部を有し、
前記基板保持部の内側面には、前記カメラ部から送信されたデータを処理する電子部品が実装された第1基板が配置され、
前記基板保持部の外側面には、放熱部が形成される、
監視カメラ。
【請求項2】
前記回転台座と前記基板保持部の外側面とは対向して配置され、
前記回転台座と前記基板保持部の外側面との間には放熱空間が設けられる、
請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記放熱空間は、外部空間と連通する、
請求項2に記載の監視カメラ。
【請求項4】
前記放熱部は、前記基板保持部のうち前記第1基板が配置された基板固定面と連続する、
請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項5】
前記基板保持部は、前記回転台座に連通する接続孔を有し、
前記接続孔にはスリップリングが設けられ、
前記回転台座の内部には前記スリップリングを介して前記第1基板と接続される第2基板が配置され、
前記放熱部は、前記接続孔よりも前記基板保持部の外周側に設けられる、
請求項4に記載の監視カメラ。
【請求項6】
前記放熱部は、板面の間に間隔をあけて並べられた複数の放熱板からなる、
請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項7】
前記放熱板は、前記基板保持部の中心から外側に向かって延びている、
請求項6に記載の監視カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラの一例として、ドームカバーと、本体基板と、本体基板を支持するベース部と、レンズユニットのレンズ側であって、ドームカバー側に配置される第1レンズカバーと、レンズユニットのレンズと反対側である撮像素子側であって、第1レンズカバーよりも本体基板側に配置される第2レンズカバーと、撮像素子を有するセンサ基板と、センサ基板と第1レンズカバーとに接触する伝熱部材と、を備える撮像装置が開示されている。第1レンズカバーは金属で形成され、第2レンズカバーは樹脂で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の監視カメラでは、本体基板上に実装されている電気部品から発生した熱はベース部に伝わる。しかしながら、ベース部が天井または壁等に固定されると、大気中への放熱性が著しく低下し、排熱効率が悪化するという課題があった。また、ベース部の全体に熱が伝わるので、ベース部に隣接する部品を予期せずに熱損傷する可能性がある。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、基板が発熱しても、適切に外部に排熱することができる監視カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、カメラ部と、前記カメラ部を内部に備えるカメラ筐体と、前記カメラ筐体を回転可能に接続する回転台座と、を備え、前記カメラ筐体は、金属で形成された基板保持部を有し、前記基板保持部の内側面には、前記カメラから送信されたデータを処理する電子部品が実装された第1基板が配置され、前記基板保持部の外側面には、放熱部が形成される、監視カメラを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板が発熱しても、適切に外部に排熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】回転台座に螺着された固定材の近傍構造を表す監視カメラの要部縦断面図
【
図6】回転台座に螺着された固定材の近傍構造を表す監視カメラの要部横断面図
【
図7】ねじ部材が回転台座に引っ掛かって保持された状態を表す要部縦断面図
【
図10】回転台座の中心軸を含む面で筐体を断面とした
図9のA-A断面図
【
図13】回転台座の中心軸を含む面と平行な面で筐体を断面とした
図12のC-C断面図
【
図18】
図15のE方向から見た回転台座及びカメラ筐体を上下逆転した外観図
【
図20】窓部の省略されたカバーに覆われたカメラの斜視図
【
図21】レンズ保持部の近傍をレンズの中心軸を含む面で断面とした要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る監視カメラを具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(実施の形態1に至る経緯)
例えば特許第5853181号公報には、中央部にカメラ取付空間を有して円環状に形成されたブラケットのカメラ取付空間に、カメラ筐体を取り付ける監視カメラの取付構造が開示されている。カメラ取付空間には、ダルマ穴を有した複数のカメラ固定用板金部が円周方向に沿って等間隔で形成されている。カメラ筐体の上面には、カメラ固定用板金部のダルマ穴に係合する大径頭部を有する係合ピンが突設されている。このような取付構造を有する監視カメラでは、カメラ筐体がカメラ取付空間に挿入され、回転されることで、係合ピンがダルマ穴に係合してカメラ筐体の落下が規制されて支持される。
【0011】
上述した従来の監視カメラでは、係合ピンをブラケットのダルマ穴に係合した際に脱落は規制可能である。しかしながら、係合方向(例えば上下左右方向)には僅かな緩みがあり、屋外環境下に設置される監視カメラでは、屋外での風圧あるいは振動によってはカメラ筐体が上下左右方向にがたつく虞がある。
【0012】
そこで、以下の実施の形態1では、屋外環境下で設置される場合でも、カメラ筐体のがたつきを抑えることができる監視カメラの例を説明する。
【0013】
以下の実施の形態の説明にあたり、各実施の形態に係る監視カメラの外観の上下左右前後方向は
図1に示す方向に従うとする。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る監視カメラ11の外観正面図である。監視カメラ11は、支持パイプ13等に固定されるブラケット15と、カメラ部を備えてブラケット15に吊り下げられて支持されるメイン筐体17と、を有する。メイン筐体17は、ブラケット15に吊り下げられた状態で固定される回転台座19と、回転台座19に対して回転自在となって吊り下げられた状態で支持されるカメラ筐体21と、を有する。監視カメラ11は、この他、カメラ筐体21に固定されるドーム状のカバー23を備える。カバー23は、中央の撮像窓部25と、この撮像窓部25を挟む左右の投光窓部27と、を有する。撮像窓部25と投光窓部27とは、連結体29で接続される。
【0014】
支持パイプ13は、例えば天井や壁、ポール等に固定される。ブラケット15は、例えば円錐形状で形成される。ブラケット15は、この他、回転台座19に係止する係止構造を下面に有し、ポールあるいは壁等に固定される支持金具であってもよい。ブラケット15に支持される回転台座19は、ブラケット15の円錐部における底面の直径とほぼ等しい円筒形の外形を有する。
【0015】
図2は、ブラケット15を省略したカメラ筐体21の斜視図である。メイン筐体17は、係止構造によってブラケット15に着脱自在に支持される。メイン筐体17の回転台座19は、ブラケット15から脱着されることにより、ブラケット15に着脱自在となる係止構造の一部分、ブラケット15から外部へ引き出されるケーブル31等が上端面33に露出する。なお、この上端面33は、少なくとも防滴構造、より好ましくは防水構造を備える。
【0016】
図3は、ブラケット15及び回転台座19の正面図である。監視カメラ11は、ブラケット15とメイン筐体17が備える回転台座19との間に介在する固定材35を有する。固定材35は、ブラケット15の下端面37と回転台座19の上端面33とを押圧して固定する。これら押圧される下端面37及び上端面33は、その一部(例えば周縁)であってもよい。固定材35は、ブラケット15及び回転台座19のそれぞれの円周方向に複数個が等間隔で配置されていてもよい。具体的には、監視カメラ11は、ブラケット15と回転台座19とに渡って形成される凹部39に固定材35が挿入される。凹部39は、回転台座19の円周方向に沿って180°ごとに設けられる。つまり、凹部39は、回転台座19における周縁の2箇所に設けられる。凹部39に挿入された固定材35は、ねじ部材41によって回転台座19に締結される。これにより、凹部39は、締結された固定材35によって内面が押圧される。固定材35は、回転台座19の円周方向に沿って、2個以上配置される形態であってもよい。例えば、回転台座19の円周方向に沿って凹部39と固定材35とが90°ごとに設けられてもよい。
【0017】
図4は、ブラケット15及び回転台座19の要部縦断面図である。ブラケット15の下端面37と回転台座19の上端面33とは、上下方向において隙間Sを有する。隙間Sの距離は、例えば数ミリ程度となる。隙間Sは、ブラケット15と回転台座19の接合境界の全周に渡って設けられる。
【0018】
メイン筐体17の回転台座19は、その上端面33の外周側に係止部を有する。一方、ブラケット15は、回転台座19の係止部を係止する被係止部を有する。これら係止部と被係止部による係止構造は、ブラケット15の下端面37と、回転台座19の上端面33とに、円周方向に沿って等間隔で複数が設けられる。監視カメラ11では、例えば3箇所の係止構造が設けられるが、数はこれに限定されない。
【0019】
【0020】
図2に示すように、回転台座19の上端面33は、上側及び外周面側に向かって開口する弧状溝43を有する。また弧状溝43は、上端面33の円周方向の一部分に沿って延びている。上端面33は、上端面33の外周端部から回転台座19の外周側に向かって延びる弧状係止部45を有する。弧状係止部45は、弧状溝43に隣接する。弧状係止部45の下部には、弧状溝43と連通する係止溝44が形成される。
【0021】
一方、ブラケット15には、
図4に示すように、弧状突片47が内周面から内側に突出して設けられる。また、ブラケット15には、弧状突片47の上方には、弧状当接部49が設けられている。弧状突片47は弧状溝43に挿入され、監視カメラ11が円周方向に回転したときに係止溝44に案内される。そして、弧状係止部45の下面と弧状突片47の上面とが当接することで、ブラケット15に監視カメラ11を係止することができる。また、弧状当接部49の下面と弧状係止部45の上面とが当接可能に設けられているので、監視カメラ11をブラケット15に係止した状態で監視カメラ11の上下方向の大きながたつきを抑制できる。弧状溝43と係止溝44及び弧状係止部45は、回転台座19の係止部を構成する。弧状突片47及び弧状当接部49は、ブラケット15の被係止部を構成する。
【0022】
この係止部及び被係止部からなる係止構造において、ブラケット15に回転台座19を係止するには、回転台座19の上端面33をブラケット15の下端面37に平行に当接して回転させる。これにより、回転台座19は、上端面33に設けた複数の係止部が、ブラケット15の下端面37に設けられたそれぞれの被係止部に係止し、落下が規制されてブラケット15に支持される。なお、係止部、被係止部の構造は、ブラケット15に監視カメラ11を係止できる構造であればよく、弧状溝43と係止溝44及び弧状係止部45の形状に限定されない。
【0023】
図5は、回転台座19に螺着された固定材35の近傍構造を表す監視カメラ11の要部縦断面図である。監視カメラ11では、ブラケット15と回転台座19とに渡って凹部39が形成される。より詳細には、凹部39は、ブラケット15の外周面に設けられ、下側に向かって開口した凹部39Aと、回転台座19の外周面に設けられ、上側に向かって開口した凹部39Bと、を上下に連結して構成される。
固定材35は、この凹部39に挿入される。凹部39に挿入された固定材35は、ねじ部材41によって回転台座19に締結される。固定材35は、回転台座19とブラケット15とを離間する方向に押圧する押圧部を有する。押圧部は、後述するように固定材35の上下左右の外周面で構成される。
【0024】
固定材35の押圧部の下部は、回転台座19の外側面から内側面に向かって傾斜する第1傾斜面51となっている。回転台座19の凹部39Bの底面は、この第1傾斜面51と当接する第2傾斜面53を有する。更に、固定材35の押圧部の上面は、ブラケット15の凹部39Aの上面と当接する当接部55となっている。固定材35は、
図3に示すように、正面視で上部が四角形となり、その四角形の下部が半円形となる外形を有する。また、固定材35は、
図5に示すように、第1傾斜面51と当接部55とによって、凹部39への挿入方向に向かって先細り形状(すなわち楔形)となる。
【0025】
図6は、回転台座19に螺着された固定材35の近傍構造を表す監視カメラ11の要部横断面図である。固定材35は、横断面においても、凹部39への挿入方向に向かって先細り形状となる。ここで、固定材35は、螺着されることにより、
図5に示す第1傾斜面51と当接部55、
図6に示す左右両側のテーパー面57、57が凹部39の内側面に当接する。すなわち、左右両側のテーパー面57、57は、ブラケット15の凹部39Aの側面と回転台座19の凹部39Bの側面とに渡って形成されている。一方、固定材35は、その挿入先端面が、凹部39の背面39Cに当接しない。すなわち、固定材35は、挿入先端面と凹部39の背面39Cとの間に僅かな間隙を有して凹部39に締結される。この間隙は、後述する雨水等の排水路となる。固定材35の材質としては、例えば樹脂材料、硬質ゴム等を用いることができる。
【0026】
図7は、ねじ部材41が回転台座19に保持された状態を表す要部縦断面図である。ねじ部材41は、棒状の軸部41Aと、軸部41Aの一端側に形成される頭部41Bとで構成される。軸部41Aの他端側に軸部41Aの径よりも大きい大径部が形成され、この大径部の外周に雄ねじ部59が形成される。ねじ部材41では、雄ねじ部59とねじ部材41の頭部41Bとの間の首下部61が、雄ねじ部59よりも小径で形成される。ねじ部材41は、雄ねじ部59と首下部61とが固定材35を貫通し(
図5参照)、頭部41Bが固定材35の座面63に当たる。ねじ部材41は、雄ねじ部59が回転台座19の固定部65に形成された雌ねじ67に螺合することで、固定材35を凹部39内に締結する。
【0027】
回転台座19は、固定部65よりも外周側に突起部69が形成される。突起部69は、雄ねじ部59が螺合する雌ねじ孔71を有する。突起部69と固定部65の間には空間が設けられる。この空間は、雄ねじ部59の全長よりも大きく設定される。これにより、固定部65との螺合が解除されたねじ部材41は、雄ねじ部59が突起部69の固定部側の側面69Aに引っ掛かり、ねじ部材41の突起部69からの抜けが規制されて突起部69に係止可能となっている。
【0028】
ねじ部材41の貫通した固定材35は、ねじ部材41が固定部65から螺合解除されても、ねじ部材41が突起部69に係止した状態となるので、回転台座19から離脱せず、紛失が防止される。なお、ねじ部材41は、回転により雄ねじ部59が雌ねじ孔71を通過することができる。これにより、ねじ部材41は、固定材35と共に回転台座19からの離脱が可能となる。
【0029】
図8は、回転台座19の上端面33を表す斜視図である。回転台座19の上端面33には、上端面33の全周にわたって溝部73が形成される。溝部73は、上述した凹部39B(
図5参照)を通過して形成される。凹部39Bは、上述したように回転台座19の円周方向180°ごとに設けられる。したがって、溝部73は、2箇所の凹部39Bによって分断される。言い換えれば、それぞれの凹部39Bには、円周方向の両側から溝部73が接続されている。
【0030】
図9は、メイン筐体17の正面図である。メイン筐体17の構成部材である回転台座19は、監視カメラ11の設置時、上端面33(
図2参照)が上側となってブラケット15に支持される。この際、回転台座19の上端面33は、水平面と平行に位置決めされる。この上端面33は、回転台座19がブラケット15に取り付けられることでブラケット15によって覆われる。
図9において、上端面33の外周側には、上半部が溝部73から突出した固定材35が視認できる。
【0031】
図10は、回転台座19の中心軸75を含む面でメイン筐体17を断面とした
図9のA-A断面図である。
図10に示す回転台座19における上端面33の外周側には、溝部73が位置する。溝部73は、上方に開放して上端面33の外周側に形成される。溝部73は、ブラケット15に回転台座19が取り付けられることにより、ブラケット15の外周面よりも内側に配置される。つまり、溝部73は、ブラケット15によって上方が覆われる。この際、溝部73とブラケット15の下端面37との間には、上述の隙間S(
図4参照)が空く。
【0032】
回転台座19に回転自在に支持されるカメラ筐体21には、チルト回転機構により支持されるカメラ部77が収容される。カメラ部77は、カメラ筐体21に取り付けられるカバー23によって覆われる。カメラ部77を収容したカメラ筐体21は、パン回転軸79によって回転台座19に対してパン回転自在に支持される。パン回転軸79は、回転台座19に設けられた複数の軸受81により回転自在に支持される。パン回転軸79の内穴には、後述のスリップリング83が挿通される。
【0033】
図11は、
図10のB部拡大図である。溝部73は、後壁85と、前壁87と、後壁85を前壁87に連結する底壁89と、からなる。なお、後壁85は回転台座19の上端面33の外周面である。
図9及び
図10に示すように、
図11に示した溝部73の位置は、固定材35の挿入される凹部39Bから円周方向に90°離れた位置となる。この位置における溝部73の深さはh1となる。
【0034】
図12は、メイン筐体17の側面図である。
図12に示すように、回転台座19を側面から見ると、回転台座19の円周方向180°ごとに設けられる凹部39Bと、凹部39Bに締結された固定材35とが中央に位置する。溝部73は、凹部39Bによって分断される。言い換えると、それぞれの凹部39Bには、円周方向の両側から溝部73が接続する。
【0035】
図13は、回転台座19の中心軸75を含む面と平行な面でメイン筐体17を断面とした
図12のC-C断面図である。
図13に示す回転台座19における上端面33の外周側には、
図10と同様に溝部73が位置する。溝部73は、上方に開放して上端面33に形成される。上述と同様に、溝部73は、ブラケット15に回転台座19が取り付けられることにより、ブラケット15の外周面よりも内側に配置される。
【0036】
図14は、
図13のD部拡大図である。溝部73は、
図12のC-C断面位置においても後壁85と、前壁87と、後壁85を前壁87に連結する底壁89と、からなる。但し、この位置における溝部73の深さはh1よりも深いh2となる(h1<h2)。溝部73は、凹部39Bが設けられる回転台座19の円周方向180°の位置から円周方向90°の位置が最も浅い(h1)。つまり、溝部73は、
図8に示すように、このh1の位置から凹部39Bの設けられたh2の位置に向かって下り勾配となる。なお、
図8中の矢印は下り勾配の方向を示す。また、
図8中の円で囲った部分は溝部73の最も浅い(h1)部分を示す。
【0037】
図4に示すように、溝部73を構成する後壁85は、前壁87よりも高い。後壁85の起立した先端部91は、ブラケット15の内部空間に配置される。ブラケット15の下端面37は、前壁87の起立端面93と対向する。後壁85のうち起立端面93よりも上側部分はブラケット15の内周面と対向する。
【0038】
次に、上述した実施の形態1の作用を説明する。
【0039】
実施の形態1に係る監視カメラ11は、ブラケット15と、カメラ部77を備え、ブラケット15に吊り下げられて支持されるメイン筐体17と、ブラケット15とメイン筐体17との間に介在する固定材35と、を備える。固定材35は、ブラケット15の下端面37とメイン筐体17の上端面33とを押圧して固定する。
【0040】
実施の形態1に係る監視カメラ11では、ブラケット15がポール等に固定される。ブラケット15の下端面37には、メイン筐体17の上端面33が係止構造により係止されて吊り下げられた状態となって支持される。すなわち、カメラ部77を収容するメイン筐体17は、ブラケット15にぶら下がった状態となって一体的に取り付けられる。
【0041】
監視カメラ11では、ブラケット15とメイン筐体17との間に固定材35が介在する。固定材35は、ブラケット15の下端面37とメイン筐体17の上端面33とを離れる方向に押圧して固定する。つまり、監視カメラ11では、ブラケット15とメイン筐体17の間に楔としての機能を有する固定材35が挟まれた状態となる。これにより、監視カメラ11は、ブラケット15の下端面37がメイン筐体17の上端面33から離間する方向に押圧され、下端面37と上端面33とが接近する方向に移動しなくなる。なお、後述するように、固定材35は、隙間S(
図4参照)の外側から締結される。
【0042】
また、監視カメラ11は、固定材35によって、下端面37と上端面33が離間する方向に押圧されるが、係止部の下面が被係止部の上面に当接するため係止構造によって一定以上は離間しない。
【0043】
したがって、監視カメラ11では、上下方向の移動がしっかりと規制されて、例えば雨、雪が降っていたり風が吹いていたりする屋外環境下で設置される場合でも、カメラ筐体21のがたつきが抑えられることになる。その結果、監視カメラ11は、風圧あるいは振動による撮像画像の揺れ、ひいては画質劣化を抑制することができる。
【0044】
また、監視カメラ11において、ブラケット15は固定材35が配置される第1凹部(凹部39A)を有し、メイン筐体17は固定材35が配置される第2凹部(凹部39B)を有する。第1凹部は、第1底面(背面39C)と、一対の第1側面(テーパー面57)と、で形成され、かつメイン筐体17側に開口してなる。第2凹部は、第2底面(背面39C)と、一対の第2側面(テーパー面57)と、で形成され、かつブラケット15側に開口してなる。固定材35は、一対の第1側面と一対の第2側面に渡って当接して配置される。
【0045】
監視カメラ11では、固定材35がブラケット15の第1凹部(凹部39A)の一対の第1側面(テーパー面57)とメイン筐体17の回転台座19の第2凹部(凹部39B)の一対の第2側面(テーパー面57)とに渡って押圧する。したがって、ブラケット15の下端面37と回転台座19の上端面33との間に、固定材35が楔状に圧入されるので、円周方向あるいは左右方向にも移動しなくなる。ここで、円周方向に移動しなくなるのは、凹部39Aと凹部39Bとの間に固定材35が圧入されるためである。つまり、ブラケット15に対して、回転台座19(監視カメラ11)を回転させて係止部を被係止部に係止する構造を取っているので、係止部が被係止部に係止された状態では、円周方向に監視カメラ11を回転させることができる。ここで、凹部39Aと凹部39Bに渡って固定材35が圧入されるので、ブラケット15に対して監視カメラ11が回転できなくなる。したがって、監視カメラ11は円周方向に移動しなくなる。
【0046】
また、監視カメラ11において、一対の第1側面(テーパー面57)と一対の第2側面(テーパー面57)との間は離間している。
【0047】
つまり、監視カメラ11では、固定材35が、一対の第1側面(テーパー面57)と一対の第2側面(テーパー面57)とを離間させた状態で押圧する。したがって、監視カメラ11において、ブラケット15とメイン筐体17との固定が強固になされる。
【0048】
また、監視カメラ11において、ブラケット15の下端面37とメイン筐体17の上端面33とは、上下方向において隙間Sを有する。
【0049】
この監視カメラ11では、メイン筐体17の上端面33が係止構造によりブラケット15の下端面37にぶら下がった状態となって一体的に取り付けられる。ブラケット15とメイン筐体17との間には、固定材35が介在するようにして設けられる。この固定材35は、楔が打ち込まれた状態となるようにしてブラケット15とメイン筐体17との間に介在する。
【0050】
このようにして監視カメラ11では、ブラケット15の下端面37とメイン筐体17の上端面33との間に、積極的に隙間Sを確保している。監視カメラ11は、この隙間Sを有することで、ブラケット15とメイン筐体17との間に、楔を打ち込んだ状態で固定材35を挿入することを可能としている。
【0051】
また、監視カメラ11において、メイン筐体17は、係止部を有する。ブラケット15は、メイン筐体17の係止部を係止する被係止部を有する。
【0052】
この監視カメラ11では、メイン筐体17が、係止部を上端面33に有する。一方、ブラケット15は、係止部を係止する被係止部を下端面37に有する。これら係止部と被係止部とによる係止構造は、ブラケット15の下端面37と、メイン筐体17の上端面33とに、円周方向に沿って等間隔で複数設けられる。
【0053】
それぞれの係止構造において、ブラケット15とメイン筐体17との係止は、メイン筐体17の上端面33をブラケット15の下端面37に平行に当接して回転させることで実現可能である。これにより、メイン筐体17は、上端面33に設けた複数の係止部が、ブラケット15の下端面37に設けられたそれぞれの被係止部に係止し、落下が規制されてブラケット15に支持される。
【0054】
この係止構造において、係止部と被係止部とは、係止部が水平方向から被係止部に係合して上下方向で重なり、上下方向の移動が規制される。一方、係止部と被係止部とは、係合のためのスライド動作を許容するため、上下方向に若干のクリアランスが必要となる。このクリアランスは、風圧や振動によりブラケット15に対してメイン筐体17が上下方向に僅かにがたつく要因となる。
【0055】
監視カメラ11では、このがたつきが、上述した楔を打ち込んだ状態で固定される固定材35によって抑制される。
【0056】
監視カメラ11は、メイン筐体17の係止部がブラケット15の被係止部に係止され、吊り下げられて支持された状態を、仮固定と称すことができる。監視カメラ11は、ブラケット15にメイン筐体17を当接して回転する容易な作業でこの仮固定状態とすることができる。一方、この仮固定状態では、監視カメラ11は、上述したクリアランスによるがたつきが生じると共に、係止の解除方向へ回転容易となる。
【0057】
監視カメラ11は、この仮固定の後、上述の固定材35が楔を打ち込んだ状態で固定される。監視カメラ11は、この固定材35が固定された状態を、本固定と称すことができる。
【0058】
したがって、監視カメラ11は、取り付け作業を仮固定と本固定との二段階に分けることで、取付作業を容易にしながら、しっかりとした固定が可能となっている。
【0059】
また、監視カメラ11において、固定材35は、メイン筐体17に螺合されるねじ部材41と、メイン筐体17とブラケット15とを離間する方向に押圧する押圧部と、を有する。
【0060】
この監視カメラ11では、固定材35が、ねじ部材41と、押圧部とを有する。固定材35は、メイン筐体17に螺合するねじ部材41によってメイン筐体17に固定される。押圧部は、固定材35がねじ部材41によってメイン筐体17に固定されると、メイン筐体17とブラケット15とを離間させる方向に押圧することができる。上述した楔が打ち込まれた状態とは、ねじ部材41の締結によって固定材35が固定され、その固定力によってメイン筐体17とブラケット15とが離間する方向に押圧される状態のことを言う。固定材35は、隙間Sの外側から実際に打ち込まれる訳ではない。
【0061】
また、監視カメラ11において、押圧部は、メイン筐体17の外側面から内側面に向かって傾斜する第1傾斜面51を有する。メイン筐体17は、第1傾斜面51と当接する第2傾斜面53を有する。
【0062】
この監視カメラ11では、固定材35の押圧部が第1傾斜面51を有する。第1傾斜面51は、メイン筐体17の外側面から内側面に向かって上り勾配で傾斜する。ブラケット15とメイン筐体17との間には、水平方向の上述した隙間Sが形成される。ブラケット15とメイン筐体17とには、この隙間Sを縦方向に縦断して縦長の凹部39が形成される。つまり、凹部39は、ブラケット15に凹部39Aが形成され、メイン筐体17に凹部39Bが形成される。
【0063】
凹部39Bには、押圧部の第1傾斜面51と平行に当接する第2傾斜面53が形成される。すなわち、第2傾斜面53も、メイン筐体17の外側面から内側面に向かって上り勾配で傾斜する。言い換えれば、第2傾斜面53は、メイン筐体17の内周面から外側面に向かって下り勾配で傾斜する。
【0064】
固定材35は、斜め下方からねじ部材41が締結されると、凹部39Bの第2傾斜面53に第1傾斜面51が押し付けられ、第2傾斜面53から受ける反力により上方向へ第2傾斜面53を滑り上がる。これにより、固定材35は、上端がブラケット15の上半部を押し上げることになる。つまり、固定材35は、このねじ部材41の締結動作により、メイン筐体17とブラケット15とを離間させる方向に押圧することができる。
【0065】
また、監視カメラ11において、押圧部は、ブラケット15と当接する当接部55を有する。
【0066】
この監視カメラ11では、固定材35の押圧部が、上端に当接部55を有する。すなわち、固定材35は、ねじ部材41が締結されると、第2傾斜面53から受ける反力により上方向へ第2傾斜面53を滑り上がる。これにより、固定材35の上端に形成された当接部55が、メイン筐体17とブラケット15にわたって設けられた凹部39のうち、ブラケット15の上半部を押し上げることになる。したがって、メイン筐体17に締結される固定材35は、第1傾斜面51で凹部39Bを押下し、当接部55で凹部39Aを押し上げることで、ブラケット15とメイン筐体17とを上下方向に離間させる方向の力を付与することができる。
【0067】
また、監視カメラ11において、ねじ部材41は、雄ねじ部59を有する。メイン筐体17には、雄ねじ部59と螺合して通過させる雌ねじ孔71を有する突起部69が設けられる。ねじ部材41は、雄ねじ部59が雌ねじ孔71を通過した状態で突起部69に係止可能となって形成される。
【0068】
この監視カメラ11では、ねじ部材41が、雄ねじ部59を有する。ねじ部材41は、軸部の先端に大径部が形成され、この大径部の外周に雄ねじ部59が形成される。つまり、ねじ部材41は、雄ねじ部59とねじ部材41の頭部との間の首下部61が、雄ねじ部59よりも小径で形成される。
【0069】
ねじ部材41は、雄ねじ部59と首下部61とが固定材35を貫通し、その頭部が固定材35の座面63に当たる。ねじ部材41は、雄ねじ部59がメイン筐体17に設けられた固定部65に螺合することで、固定材35を締結する。
【0070】
メイン筐体17には、固定部65の手前側に突起部69が形成される。突起部69には、雄ねじ部59が螺合する雌ねじ孔71が形成される。この突起部69と固定部65の間は、雄ねじ部59の全長よりも大きく設定される。
【0071】
固定材35を貫通したねじ部材41は、先ず、突起部69の雌ねじ孔71と螺合されて、雌ねじ孔71を通過した後、雄ねじ部59が固定部65に到達して螺合する。ねじ部材41は、雄ねじ部59を固定部65に締結することで、その頭部で固定材35を固定する。
【0072】
一方、ねじ部材41は、固定を解除されると、雄ねじ部59が固定部65から離脱する。離脱した雄ねじ部59は、突起部69に到達することにより、そのままでの通過が規制される。つまり、ねじ部材41は、固定材35を貫通した状態でメイン筐体17の突起部69に引っ掛かった状態に吊り下げられる。これにより、ねじ部材41と固定材35がメイン筐体17から脱落することが規制される。なお、ねじ部材41と固定材35をメイン筐体17から取り外すには、ねじ部材41を回転させて雌ねじ孔71に螺合させ、雄ねじ部59を突起部69から通過させれば、ねじ部材41と固定材35とは取り外される。
【0073】
また、監視カメラ11において、メイン筐体17の上端面33は、後壁85と、前壁87と、後壁85を前壁87に連結する底壁89と、からなる。メイン筐体17は、その上端面33の全周にわたって、後壁85と前壁87と底壁89との間で形成された溝部73を有する。
【0074】
この監視カメラ11では、メイン筐体17の上端面33に、全周の縁にわたって溝部73が形成される。溝部73は、後壁85と、前壁87と、後壁85を前壁87に連結する底壁89と、からなる。つまり、溝部73は、メイン筐体17の上端面33を全周に沿って形成されて水を流すことのできる樋(ピットと称すこともできる)を構成する。
【0075】
監視カメラ11は、メイン筐体17の上端面33が水平方向となる向きで設置される。なお、上端面33は、溝部73に向かって下り傾斜となる若干の勾配が放射方向で設けられていてもよい。これにより、隙間Sから上端面33に浸入した雨水は、溝部73に流れ込むようになっている。
【0076】
メイン筐体17の上端面33が円形である場合、溝部73は、円周方向180°ごとに設けられた上述の凹部39によって分断される。凹部39には上述の固定材35が挿入されて固定されるが、凹部39と固定材35の間には水を流下させるための間隙が形成される。つまり、溝部73に流れ込んだ水は、半円周ごとに凹部39に到達することで、凹部39と固定材35との間隙を通ってメイン筐体17の側面に排出される。すなわち、間隙は、排水路の機能を有している。
【0077】
この2箇所の位置から排水されて流下する水は、メイン筐体17の側面を伝ってメイン筐体17の下端から落下する。メイン筐体17は、上部の回転台座19と、下部のカメラ筐体21とにより構成される。カメラ筐体21に収容されるカメラ部77は、ドーム形状のカバー23に覆われる。カバー23は、メイン筐体17から落下した水が接しないように、回転台座19の外周よりも引っ込んだ位置に配置される。これにより、メイン筐体17の上端面33に浸入した雨水が溝部73を流れて凹部39と固定材35との間隙から排水されても、落下した排水がカバー23を濡らして撮影の邪魔になりにくい。
【0078】
また、監視カメラ11において、後壁85は、前壁87よりも高い。後壁85の先端部91は、ブラケット15の内部空間に配置され、かつ後壁85の前壁側の面と、ブラケット15の内周面とが対向し、ブラケット15の下端面37は、前壁87の起立端面93と対向する。
【0079】
この監視カメラ11では、溝部73の後壁85が、前壁87よりも高い。前壁87よりも高い後壁85の起立した先端部91は、ブラケット15の内部空間に配置される。起立した後壁85の前壁側の面は、ブラケット15の内周面と対向する。ブラケット15の下端面37は、前壁87の起立端面93と対向する。
【0080】
すなわち、溝部73は、ブラケット15の下端面37と、前壁87の起立端面93とに挟まれた狭い隙間Sを通して外部へ通じる。これにより横方向からの雨水が直接溝部へ吹き込みにくくなっている。また、仮に風圧により隙間Sから雨水が吹き込んでも、後壁85の前壁側の面に当たり、上端面33の奥深くまでは雨水が直接浸入しにくくなっている。つまり、ブラケット15とメイン筐体17との間に設けられる隙間Sは、雨水の吹き込みを軽減するトラップ構造を備えながら、浸入した雨水は円滑に排水できるように構成されている。
【0081】
(実施の形態2に至る経緯)
例えば特開2021-36293号公報には、ドームカバーと、本体基板と、本体基板を支持するベース部と、レンズユニットのレンズ側であって、ドームカバー側に配置される第1レンズカバーと、レンズユニットのレンズと反対側である撮像素子側であって、第1レンズカバーよりも本体基板側に配置される第2レンズカバーと、撮像素子を有するセンサ基板と、センサ基板と第1レンズカバーとに接触する伝熱部材と、を備える撮像装置が開示されている。第1レンズカバーは金属で形成され、第2レンズカバーは樹脂で形成されている。
【0082】
上述した従来の監視カメラでは、本体基板上に実装されている電気部品から発生した熱はベース部に伝わる。しかしながら、ベース部が天井または壁等に固定されると、大気中への放熱性が著しく低下し、排熱効率が悪化するという課題があった。また、上述した従来の監視カメラの構造では、ベース部の全体に熱が伝わるので、ベース部に隣接する部品を予期せずに熱損傷する可能性がある。
【0083】
そこで、以下の実施の形態2では、基板が発熱しても、適切に外部に排熱することができる監視カメラの例を説明する。
【0084】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2に係る監視カメラ11について説明する。実施の形態2に係る監視カメラ11の説明において、実施の形態1に係る監視カメラ11の構成と重複するものについては同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
【0085】
図15は、メイン筐体17の要部縦断面図である。監視カメラ11では、カメラ筐体21が、金属で形成された基板保持部95を有する。基板保持部95は、例えばアルミニウムあるいはアルミ合金によって成形されるダイカスト製とすることができる。基板保持部95の内側面には、カメラ部77から送信されたデータを処理するための電子部品が実装された第1基板97が配置される。基板保持部95の外側面には、放熱部99が形成される。
【0086】
図16は、
図15の要部拡大図である。監視カメラ11では、回転台座19と基板保持部95の外側面とが、対向して配置される。回転台座19と基板保持部95の外側面との間には、放熱空間101が設けられている。
【0087】
放熱空間101は、外部空間と連通する。これにより、放熱部99より熱交換された高温空気が外部空間へ速やかに排気されやすくなっている。
【0088】
放熱部99は、基板保持部95のうち第1基板97が配置された基板固定面103と連続する。
【0089】
基板保持部95は、回転台座19に連通する接続孔105を有する。接続孔105にはスリップリング83が設けられる。回転台座19の内部には、スリップリング83を介して第1基板97と接続される第2基板107が配置される。放熱部99は、接続孔105よりも基板保持部95の外周側に設けられている。
【0090】
図17は、
図16の要部拡大図である。
図18は、
図15のE方向から見た回転台座及びカメラ筐体を上下逆転した外観図である。放熱部99は、板面の間に間隔をあけて並べられた複数の放熱板109からなる。
図18には、放熱板109が7枚の放熱板が配置されているが、放熱板の枚数は7に限定されない。隣接する放熱板109同士の間の距離は同一でも異なっても構わない。放熱板109は、熱伝導率の高い金属(例えばアルミ合金)により基板保持部95と一体的に形成(金属鋳造、切削加工)されたフィンである。これにより、放熱部99は、ヒートシンクを構成している。
なお、放熱部99としての前述の複数の放熱板109を用いた機構は一例であり、排熱を促せるものであれば他の機構を用いてもよい。
【0091】
放熱板109は、円形状の基板保持部95の中心から外側に向かって延びている。つまり、放熱板109は、パン回転軸79を中心に複数枚が放射状に延在して設けられる。
また、放熱板109の端面とパン回転軸79の外側面との間には隙間Kを設けている。
これにより、放熱板109から、隙間Kを介して放熱し易くなることでスリップリング83側に熱を伝わりにくくすることができるとともに、放熱板109の基板保持部95の内側から熱が排出され易くなる。
【0092】
次に、上述した実施の形態2の作用を説明する。
【0093】
監視カメラ11は、カメラ部77と、カメラ部77を内部に備えるカメラ筐体21と、カメラ筐体21を回転可能に接続する回転台座19と、を備える。カメラ筐体21は、金属で形成された基板保持部95を有する。基板保持部95の内側面には、カメラ部77から送信されたデータを処理する電子部品が実装された第1基板97が配置される。基板保持部95の外側面には、放熱部99が形成される。
【0094】
この監視カメラ11では、カメラ部77と、カメラ筐体21と、回転台座19とが備えられている。監視カメラ11は、これらの部品に加えて、実施の形態1を参照して説明したブラケット15を備えて構成される。この場合、カメラ筐体21は、内部にカメラ部77をチルト回転可能に収容する。カメラ筐体21は、回転台座19から吊り下げられ、パン回転自在となって回転台座19に支持される。回転台座19は、ブラケット15に吊り下げられた状態で固定される。回転台座19と、カメラ筐体21とは、上述のメイン筐体17を構成する。
【0095】
カメラ筐体21は、金属の基板保持部95を有する。基板保持部95の内側面には、カメラ部77から送信されたデータを処理する1つ以上の電子部品が実装された第1基板97が配置される。この電子部品が発熱源となる。基板保持部95は、内側面の反対側となる外側面に、電子部品からの熱を外部に放熱するための放熱部99が形成されている。
【0096】
監視カメラ11では、運用時、カメラ筐体21が回転台座19の下方で支持される。基板保持部95は、カメラ筐体21の最上部に位置して回転台座19と対向する。すなわち、内側面に第1基板97が配置された基板保持部95の外側面は、カメラ筐体21の最上面となって回転台座19に対向する。
【0097】
監視カメラ11では、カメラ部77の高画質化に伴い情報処理量あるいは処理速度が増す結果、電子部品の発熱量が増大する。第1基板97に実装されている電子部品の駆動により発熱した熱は、先ず金属の基板保持部95に伝わる。第1基板97と基板保持部95との間には、熱伝導率の高い放熱シート111等が介在し、空気が介在してしまうことによる熱抵抗が大幅に低減されている。
【0098】
放熱シート111を介して第1基板97から基板保持部95に伝わった熱は、外側面に到達すると、外側面に設けた放熱部99から空気に放熱される。第1基板97の温度が高く、基板保持部95の温度が低いことで温度差が生じると、第1基板97からの熱が放熱シート111を介して基板保持部95へ伝わる熱伝導が生じる。基板保持部95の外側面から空気へ伝わる熱は、熱輻射あるいは熱対流を含む熱伝達により伝わる。
【0099】
放熱部99は、カメラ筐体21の最上面に設けられていることで、自然対流を効率的に利用して第1基板97からの熱を空気に排熱することができる。これにより、カメラ筐体21は、第1基板97からの熱が内部にとどまることを抑制することができる。したがって、監視カメラ11によれば、基板が発熱しても、確実に外部に排熱ができる。
【0100】
また、監視カメラ11において、回転台座19と基板保持部95の外側面とは対向して配置され、回転台座19と基板保持部95の外側面との間には放熱空間101が設けられる。
【0101】
この監視カメラ11では、回転台座19と、基板保持部95の外側面とが対向して配置される。すなわち、基板保持部95の外側面と回転台座19とは、所定の距離で離間されている。回転台座19と、基板保持部95の外側面との間は、放熱空間101となる。放熱空間101が形成できる所定の距離とは、基板保持部95の外側面に放熱部99を配置できるスペースが確保でき、さらに放熱部99から空気への熱の移動が自然対流によって効果的に行える距離である。放熱空間101が設けられることにより、基板保持部95の内側面と外側面との間での温度差が大きくとれるようになり、第1基板97の冷却効率を高めることができる。このことは、同時に、カメラ筐体21にとどまる第1基板97からの熱を効率よく排熱できることを意味する。
【0102】
また、監視カメラ11において、放熱空間101は、外部空間と連通する。
【0103】
この監視カメラ11では、放熱空間101が、外部空間と連通する。カメラ筐体21と回転台座19との間に設けられて円形板状となる放熱空間101は、円周側が外部に開口する。カメラ筐体21は、中心部に設けられる筒状のパン回転軸79により、回転台座19に対して回転自在に支持される。すなわち、放熱空間101は、このパン回転軸79を中心とした放射方向が外部空間へ開放される。これにより、監視カメラ11は、メイン筐体17の側方に風が当たれば、放熱空間101のほぼすべての体積分の空気が速やかに排気されて新鮮な空気と入れ替わる。つまり、円周方向を開口させた放熱空間101によって、良好な排熱が実現する。
【0104】
また、監視カメラ11において、放熱部99は、基板保持部95のうち第1基板97が配置された基板固定面103と連続する。
【0105】
この監視カメラ11では、第1基板97が、基板保持部95の基板固定面103に配置される。基板固定面103は、第1基板97の厚み方向で放熱部99と連続する。すなわち、第1基板97と放熱部99との間には、熱抵抗となる空間が介在しない。また、第1基板97と放熱部99とは、第1基板97の面方向においても、カメラ筐体21の内外で位置が一致する。つまり、放熱部99は、第1基板97の真上に位置する。これにより、第1基板97の熱が最短距離で熱伝導により放熱部99に伝わる。その結果、第1基板97は、高い排熱効率が得られるようになっている。
【0106】
また、監視カメラ11において、基板保持部95は、回転台座19に連通する接続孔105を有する。接続孔105にはスリップリング83が設けられる。回転台座19の内部には、スリップリング83を介して第1基板97と接続される第2基板107が配置される。放熱部99は、接続孔105よりも基板保持部95の外周側に設けられる。
【0107】
この監視カメラ11では、基板保持部95が、回転台座19に連通する接続孔105を有する。この接続孔105は、上述したカメラ筐体21の中心部に設けられる筒状のパン回転軸79の内穴とすることができる。パン回転軸79は、回転台座19に回転自在に支持される。カメラ筐体21の内部と、回転台座19の内部とは、パン回転軸79の内穴によって通じ(連通し)ている。パン回転軸79の接続孔105には、スリップリング83が同軸で設けられる。
【0108】
一方、回転台座19には、第2基板107が設けられている。第2基板は、第1基板から送られたデータを合成、解析するなどして、外部機器に送信する等の追加処理を行う。カメラ筐体21に設けられる第1基板97は、カメラ部77により得られた4K画像等のサイズの大きなデータの処理をあらかじめ行い、データサイズを小さく(圧縮)する役割を果たす。
【0109】
回転台座19にパン回転自在に支持されるカメラ筐体21は、パン回転軸79によってエンドレス回転される。監視カメラ11には、ハーネスの巻き込みによるカメラ回転角度の制限をなくすため、スリップリング83が用いられている。
【0110】
接触式のスリップリング83は、回転端子と、電気接触子とを備える。回転端子は、スリップ回転軸の外周に固定され、スリップ回転軸の軸線に沿う方向で複数段(例えば12段程度)設けられる。電気接触子は、回転しない回転台座側に設けられ、それぞれの回転端子に接触する。これにより、監視カメラ11は、スリップリング83を介することでエンドレス回転を実現しながら、カメラ筐体21と回転台座19との間の撮像信号等の送受や給電を可能としている。
【0111】
監視カメラ11では、接触式のスリップリング83を介してサイズの大きなデータを伝送する際に生じるデータ品質の劣化を、カメラ筐体21の第1基板97であらかじめ小さくしてから第2基板107へ送ることでデータ劣化を抑制している。
【0112】
これに加え、監視カメラ11では、放熱部99が、接続孔105よりも基板保持部95の外周側に設けられている。これにより、監視カメラ11では、スリップリング83に熱が伝わりにくくなる。その結果、監視カメラ11は、スリップリング83の回路が損傷しにくくなり耐久性が向上している。
【0113】
また、監視カメラ11において、放熱部99は、板面の間に間隔をあけて並べられた複数の放熱板109からなる。
【0114】
この監視カメラ11では、放熱部99が、カメラ筐体21の最上部に設けられている。放熱部99は、板面の間に間隔をあけて並べられた複数の放熱板109である。つまり、放熱フィンである。放熱板109は、基板保持部95の水平な外側面から垂直に起立し、比較的小さい間隙を有して多数が配置される。つまり、放熱板109は、表裏面が鉛直面に沿う。基板保持部95の最上部から熱伝導によって放熱板109に移動した熱は、外気との温度差によって表裏面から熱伝達によって放熱空間101の空気へと移動する。この際、それぞれの放熱板109は、鉛直方向に起立するので、隣接する放熱板109の間隙における高温空気は、自然対流を利用して速やかに熱交換されて間隙から抜け出ることができる。つまり、高い排熱効率(換言すれば冷却効率)を小スペースで実現できる。監視カメラ11は、回転台座19とカメラ筐体21の間に設けられる狭い放熱空間101によって高い排熱効率が得られることで、コンパクト化が可能となる。
【0115】
また、監視カメラ11において、放熱板109は、基板保持部95の中心から外側に向かって延びている。
【0116】
この監視カメラ11では、放熱板109が、基板保持部95の中心から外側に向かって延びる。基板保持部95は、中心部にパン回転軸79を配置した円形の外側面を有する。つまり、放熱板109は、パン回転軸79を中心に放射状に延在して形成される。この放熱板109が配置される放熱空間101は、上述したように、パン回転軸79を中心とした放射方向が外部空間へ開放されている。放射状に配置された複数の放熱板109は、半径方向外側に向かうにしたがって、隣接する放熱板109との距離が大きくなる。これにより、監視カメラ11は、放熱空間101の側方から当たった風を放熱板同士の間の奥深くまで円滑に導入して放熱空間101へ排出することが可能となっている。その結果、放熱板同士の間の空気が速やかに排気でき、良好な排熱を実現できる。
【0117】
(実施の形態3に至る経緯)
例えば特開2003-8954号公報には、赤外線を投光する赤外線投光手段と赤外線の照射範囲を撮像するカメラとを備え、赤外線投光手段とカメラとを覆うドーム型のカバーを、天井または壁等に固定されるベースに着脱自在に取り付けたドーム型監視カメラ装置が知られている。この監視カメラでは、カバーが、赤外線投光手段を覆う部分とカメラを覆う部分とを開口した筐体と開口に装着される透光板とからなり、遮蔽板を筐体の内側に立設して赤外線投光手段とカメラとの間を仕切るようにしている。または、遮蔽板をカバーに形成した所定の長さのスリットに挿着して赤外線投光手段とカメラとの間を仕切るようにしている。
【0118】
昨今、セキュリティ等の観点から監視カメラのニーズが社会的に高まっており、従前の大型筐体からなるものだけでなく、小型筐体のものも求められつつある。小型化がすすめられると、筐体内に複数の部材が配置されることが求められる。しかしながら、ドーム型のカバーの収容空間に、複数の部材を高密度に配置した監視カメラでは、カバーに異物が衝突した際に、カバーに近接して配置された遮光部が押圧され、移動した遮光部が収容空間内の他の部材と接触して他の部材を損傷する可能性があった。また、小型化のために、LEDと遮光部とを近接して配置すれば、LEDの発熱により遮光部が熱変形する虞がある。
【0119】
そこで、以下の実施の形態3では、遮光部と他の部品とが接触しても部品が破損しにくく、遮光部とLEDとが近接していても、遮光部が熱変形しにくい監視カメラの例を説明する。
【0120】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3に係る監視カメラ11について説明する。実施の形態3に係る監視カメラ11の説明において、実施の形態1あるいは実施の形態2に係る監視カメラ11の構成と重複するものについては同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
【0121】
図19は、カバー23の一部分を省略したメイン筐体17の斜視図である。監視カメラ11は、LED113と、カメラ部77と、カバー23(
図9参照)と、を備える。LED113は、例えば屋外環境下に設置される監視カメラ11が夜間等の暗い所でも撮像可能なように所定波長帯を有する赤外光を投光する。LED113は、複数が1組となって、カメラ部77を挟んで左右に2組が配置される。複数のLED113のそれぞれには、赤外光の照射距離によって、例えば高さと光軸に垂直な交差面の大きさとが異なるレンズ部品が3種類程度配置される。具体的には、遠方照射用には高さが最も高くかつ交差面の面積が最も小さいレンズ部品が配置され、中程度照射用には高さ及び交差面の面積が中程度となるレンズ部品が配置され、広角照射用には高さが最も低くかつ交差面の面積が最も大きいレンズ部品が配置される。LED113は、例えば4つで1組となる。なお、LED113の種類、数はこれに限定されない。
【0122】
カメラ部77は、レンズ115を保持するためのレンズ保持部117を有する。カメラ部77は、LED113が投光する赤外光の照射範囲を撮像する。すなわち、カメラ部77は、夜間撮影が可能となっている。カメラ部77は、上述した2組のLED113が本体部119に一体的に固定される。つまり、LED113は、チルト軸121を中心にチルト回転されるカメラ部77と一体となって回転する。
【0123】
カバー23は、LED113及びカメラ部77を覆う。カバー23は、複数の部材からなる。カバー23は、全体的には
図1に示したドーム形に組み立てられる。ドーム形は、ほぼ半球面を有する。カバー23は、撮像光を採り入れる中央の撮像窓部25(
図1参照)と、撮像窓部25を挟む両側に配置されてLED113を覆う投光窓部27(
図1参照)と、を有する。つまり、カバー23の窓部は、3つの領域に分けられている。なお、
図19には、これら撮像窓部25と投光窓部27とが省略されている。
【0124】
図20は、窓部の省略されたカバー23に覆われたカメラ部77の斜視図である。カバー23は、遮光部123を有する。遮光部123は、カバー23に連結された連結体29と、カメラ部77とLED113との間に配置される遮光板125と、を有する。遮光板125は、カメラ部77の左右の側部を両側から挟む一対の弧状板で形成される。一対の弧状板は、離間して平行に配置され、それぞれの両端部がリング部127に架橋された状態となって固定される。リング部127は、ドーム状となるカバー23の開口に一体的に固定される。離間した一対の弧状板の間には、カメラ部77が配置される。
【0125】
一方、連結体29は、円弧枠形状に形成される。一対の連結体29が、一対の遮光板125のそれぞれに対応して設けられる。一対の連結体29は、平行となってそれぞれの両端がリング部127に固定される。つまり、連結体29は、アーチ状となってリング部127に架橋される。カバー23において、一対の連結体29の間に、撮像窓部25が配置される。それぞれの連結体29とリング部127との間には投光窓部27が配置される。
【0126】
遮光板125、連結体29、リング部127、撮像窓部25及び投光窓部27は、異種材料とすることができる。カバー23は、これらの異種材料が一体となって形成される。異種材料は、接着剤あるいは溶接により接合することができる。また、接合は、2色成形により行われてもよい。このようにして異種材料により複合的に形成されたカバー23は、リング部127がカメラ筐体21の開口に水密に固定される。リング部127の内周側に遮光板125の外側端部が当接されることにより、リング部127と遮光板125とが固定されている。また、カバー23の先端よりも遮光板125の端面がカメラ筐体21側に延びている。つまり、カバー23よりも遮光板125が長く設けられることにより、LED113からの光をレンズ115への入射することを確実に遮光して防ぐことが可能となる。
【0127】
ところで、カバー23に一体成形された連結体29は、リング部127を介してカバー23に固定された遮光板125と若干の間隙を有してドーム曲面に沿って対向配置される。つまり、遮光部123では、連結体29と、遮光板125とが、非接触となっている。カバー23では、連結体29が耐熱性の硬質材料で形成され、遮光板125が遮光性を有する耐熱性の軟質材料で形成される。
【0128】
以下の実施の形態3の説明において、上下左右前後方向は
図19に示す方向に従うとする。つまり、本体部119を基準にし、本体部119よりも上側にリング部127が配置され、本体部119よりも下側にリング部127の反対側が配置され、左右方向は本体部119のLED台座129が伸びる方向とし、前後方向は本体部119のLED台座129がない方向とする。
【0129】
カメラ部77は、本体部119と、本体部119よりもカバー23側に設けられ、レンズ115を保持するレンズ保持部117と、を有する。LED113は、少なくともその先端がカメラ部77の本体部119よりもカバー23側に設けられる。遮光板125は、レンズ保持部117とLED113との間に配置される。
【0130】
図21は、レンズ保持部117の近傍をレンズ115の中心軸75を含む面で断面とした要部断面図である。LED113は、本体部119に接続されたLED台座129に保持される。LED台座129は、本体部119の左右両側から延出する。LED台座129は、カバー23側を向くLED支持面にLED113を固定する。
図21の例では、左右それぞれのLED台座129が上下方向に沿ってほぼ同じ高さであり、言い換えると、両方のLED台座129の位置がレンズ保持部117と本体部119との境界部分(
図21の破線参照)と上下方向において同じ位置である。
【0131】
なお、左右のいずれか一方のLED台座129が他方のLED台座129と比べて、レンズ保持部117よりも上側(つまり、カバー23から離れる側)に配置されても構わない。
【0132】
図22は、
図20のLED113を省略した斜視図である。LED台座129は、本体部119の側面に沿って設けられる側面部131を有する。LED台座129は、側面部131からカバー23側に向かって延びる延出部133(
図23、
図25参照)を有する。LED台座129は、延出部133のカバー23側の端部と接続され、LED113を支持する支持部135を有する。LED台座129は、これら側面部131、延出部133及び支持部135が、熱伝導率の大きい金属材料(例えば銅やアルミ合金)により一体でつくられる。
【0133】
図23は、支持部近傍の要部拡大斜視図である。支持部135は、一端が延出部133のカバー23側の端部と接続され、カメラ部77から離れる方向に延びる第1側面137を有する。また、支持部135は、一端が第1側面137の他端と接続され、カメラ部77に沿って延びる第2側面139を有する。支持部135は、弧状の曲線外形部141を有して形成される。支持部135は、カメラ部77と同期して回転したとき、曲線外形部141によってカバー23の内面と干渉しにくくなっている。
【0134】
遮光板125は、カメラ部77と、第1側面137と、第2側面139と、で形成される空間に配置される。さらに、第2側面139の中央よりも他端側に切り欠き部143が形成されていてもよい。カメラ部77と、第1側面137と、第2側面139と、で形成される空間及び切り欠き部143により、カメラ部77は、遮光板125に接触することなく高密度な部品レイアウトでチルト回転可能となっている。
【0135】
図24は、
図21の要部拡大図である。LED台座129は、LED113の熱をカメラ前面に逃がすため、支持部135を本体部119の上下方向の側面まで延長させている。遮光部123のうち特にLED113とカメラ部77(レンズ保持部117)との間に納まる部分(特に遮光板125)は、軟質材料を用いて形成される。
【0136】
カバー23は、3ピース構成となっている。すなわち、カバー23は、1つの撮像窓部25と、撮像窓部25を挟む2つの投光窓部27とを有する。撮像窓部25と投光窓部27との間は、連結体29により仕切られている。これにより、カバー23は、LED113から照射された光が、遮光板125の上側から回り込んでレンズ115に入ることを防いでいる。
【0137】
LED113から照射された光は、カバー23を通過して被写体に向けて照射される。この際、LED113から赤外光がレンズ115に進入する場合がある。レンズ115に赤外光が進入する場合は以下の3つが考えられる。1つ目の進入経路は、遮光板125の上側から回り込む経路である。2つ目の進入経路は、遮光板125の下側から光が回り込む経路である。3つ目の進入経路は、投光窓部27の媒質を伝播した光が撮像窓部25の媒質から出射してレンズ115に入る経路である。監視カメラ11は、1つ目の進入経路に対しては、遮光板125をLED台座129に近づけることで解消している。
【0138】
監視カメラ11は、2つ目の進入経路に対しては、連結体29及び遮光板125に設けた遮光片で光の通る直線通路を遮っている。具体的には、遮光板125は、第1遮光片145と、第2遮光片147とを有する。第1遮光片145は、連結体29に近接して突出する。第2遮光片147は、LED側に突出する。連結体29は、第3遮光片149と、第4遮光片151と、第5遮光片153とを有する。第3遮光片149は、第2遮光片147に向かって突出する。第4遮光片151は、投光窓部27と撮像窓部25の間に介在して、投光窓部27と撮像窓部25との連続を遮断する。第5遮光片153は、第4遮光片151からカメラ側に突出して、第1遮光片145を挟んで第3遮光片149と反対側に位置する。
【0139】
カバー23において、第1遮光片145と第3遮光片149とを左右方向に対向している。また、第3遮光片149と第2遮光片147とを上下方向に対向している。第2遮光片147によって第1遮光片145と第3遮光片149との間の空間の上側を塞いでいる。第1遮光片145の第3遮光片149と対向する面の反対側の面は、第5遮光片153と対向している。第4遮光片151で投光窓部27の媒質内を全反射して撮像窓部25の媒質内に進入する赤外光Irの伝播を阻止している。
【0140】
連結体29は、投光窓部27の側面に当接する第1側面29Aと、第1側面29Aから投光窓部27側に延び、投光窓部27の下面に当接する第2側面29Bと、を有している。連結体29は、第1側面29Aの端部から上方に延びる第3遮光片149を有している。すなわち、第3遮光片149は、連結体29の第1側面29AよりLED113側に配置される。また、連結体29は、第1遮光片145の下端面と対向する上面29Cを有する。第1遮光片145は、第3遮光片149よりも本体部119側に配置される。
【0141】
図25は、側面部131が取り付けられた本体部119の斜視図である。側面部131は、本体部119の左右方向の一つの側面に設けられる第1側面部155を有している。また、側面部131は、第1側面部155の端部から延び、本体部119の前後方向の他の側面に設けられる第2側面部157を有している。第2側面部157の近傍には、第2側面部157を冷却する冷却装置159が設けられている。冷却装置159は、例えば、第2側面部157に設けられていてもよい。
【0142】
次に、上述した実施の形態3の作用を説明する。
【0143】
監視カメラ11は、赤外光を投光する発光素子(例えばLED113)と、発光素子(例えばLED113)が投光する赤外光の照射範囲を撮像するカメラ部77と、発光素子(例えばLED113)及びカメラ部77を覆うカバー23と、を備える。カバー23は、遮光部123を有する。遮光部123は、カバー23に連結された連結体29と、カメラ部77とLED113との間に配置される遮光板125と、を有する。連結体29は、耐熱性の硬質材料で形成される。遮光板125は、軟質材料で形成される。
【0144】
この監視カメラ11では、赤外光を投光する発光素子(例えばLED113)が搭載されることにより、夜間撮影が可能となる。監視カメラ11では、カメラ部77とこのLED113とがカバー23によって覆われる。LED113は、カバー23に近接して配置される。
【0145】
カバー23は、遮光部123を有する。この遮光部123は、カバー23に連結された連結体29と、連結体29とは別体となってカメラ部77とLED113との間に配置される遮光板125とを有する。連結体29は、遮光材料からなり、カバー23のドーム曲面に沿う円弧形状で形成されてカバー23と一体となる。連結体29は、カバー23の撮像光透過領域と赤外光透過領域とを連結する。
【0146】
一方、遮光板125は、カメラ部77の側部を両側から挟む一対の弧状板で形成される。一対の弧状板は、離間して平行に配置され、それぞれの両端部がリング部127に架橋された状態となって固定される。リング部127は、ドーム状となったカバー23の開口に一体的に固定される。離間した一対の弧状板の間には、カメラ部77が配置される。
【0147】
カバー23に一体成形された連結体29と、リング部127を介してカバー23に固定された遮光板125とは、若干の間隙を有してドーム曲面に沿って対向配置される。つまり、遮光部123は、連結体29と、遮光板125とが、非接触となっている。
【0148】
監視カメラ11は、連結体29と遮光板125を非接触とすることにより、カバー23の外側から加えられた衝撃が遮光板125に直接加わることを抑制している。また、監視カメラ11は、カバー23の連結体29と遮光板125を非接触とすることにより、カバー23の内面に沿う空気の流れを円滑にし、滞留を抑制して、内面にくもりや結露を生じにくくしている。
【0149】
監視カメラ11は、小型化のために限られた収容スペースで組み立てられるので、カバー23に覆われたLED113からの照射光が、同じくカバー23で覆われたカメラ部77に直接入りやすくなる。そこで、監視カメラ11は、LED113とカメラ部77との間を遮光板125で仕切っている。遮光板125は、カバー23の連結体29に僅かな間隙を隔てて配置される。
【0150】
監視カメラ11では、カバー23に物が衝突した際、遮光板125の突端部とカバー23の連結体29とが接近しているため、内側に変形したカバー23に遮光板125が押圧されて移動する虞がある。そこで、監視カメラ11は、遮光板125が軟質材料で形成されている。これにより、監視カメラ11は、遮光板125が他の部品と接触したときの損傷が抑制される。遮光板125を形成する軟質材料は、耐熱性を有することが好ましい。
【0151】
また、監視カメラ11では、遮光部123が、LED113から受ける熱で変形する可能性がある。そこで、遮光部123のうちカバー23に近接する部分、すなわち、連結体29、連結体29に近接する遮光板125の突端部は、耐熱性の硬質材料とすることが好ましい。遮光板125は、上述したように、他の部品と接触したときの損傷を抑制するために軟質材料で形成される。このため、遮光板125の弧状板は、カバー23に近接する突端部が耐熱性の硬質材料となり、部品に対向する凹端部が耐熱性の軟質材料で形成されてもよい。同一部材を異質材質で成形するには、例えば2色成形を利用することができる。その結果、監視カメラ11では、遮光板125と他の部品が接触しても部品が破損しにくく、遮光部123とLED113が近接していても遮光部123が変形しにくくなっている。したがって、監視カメラ11によれば、遮光部123と他の部品が接触しても部品が破損しにくく、遮光部123とLED113が近接していても、遮光部123が熱変形しにくい。
【0152】
また、監視カメラ11において、カメラ部77は、レンズ115を保持するレンズ保持部117と、本体部119と、を有する。少なくとも発光素子(例えばLED113)の先端が、本体部119よりもカバー23側に配置されるように設けられ、レンズ保持部117と発光素子(例えばLED113)との間に遮光部123が配置される。
【0153】
この監視カメラ11では、カメラ部77が、本体部119にレンズ保持部117を有する。LED113は、本体部119よりもカバー側に配置される。これにより、LED113から投光される赤外光は、カメラ筐体21の内部で洩れて迷光となることが抑制される。
【0154】
監視カメラ11では、さらにレンズ保持部117とLED113との間に遮光部123が配置される。これにより、LED113から投光される赤外光は、遮光部123によって遮られ、カメラ部77のレンズ115へ直接入射しなくなる。その結果、カメラ部77は、例えば夜間撮影時の過剰露光による画像品質の低下が抑制される。
【0155】
また、監視カメラ11において、発光素子(例えばLED113)は、本体部119に接続された発光素子台座(例えばLED台座129)に保持される。発光素子台座(例えばLED台座129)は、本体部119の側面に沿って設けられる側面部131と、側面部131からカバー23側に向かって延びる延出部133と、延出部133のカバー23側の端部と接続され、発光素子(例えばLED113)を支持する支持部135と、を有する。
【0156】
この監視カメラ11では、LED113が、LED台座129に保持される。LED台座129は、本体部119に接続される。LED台座129は、側面部131と、延出部133と、支持部135とからなる。側面部131は、本体部119の側面に沿って設けられ、本体部119に固定される。延出部133は、この側面部131からカバー側に向かって延出される。支持部135は、延出部133のカバー側の端部に接続される。支持部135は、延出部133の延出方向に垂直なLED支持面を有する。
【0157】
監視カメラ11では、支持部135が例えば一対で設けられる。一対の支持部135は、カメラ部77を挟んで左右に設けられる。すなわち、一対の支持部135は、本体部119の左右両側から延出し、被写体と対向する支持部135のLED支持面にLED113を固定する。LED113を搭載したLED台座129は、本体部119に接続されるため、カメラ部77のチルト回転と共に、カメラ部77と一体となって回転する。これにより、LED113は、任意の位置に回転したカメラ部77の撮像方向に同期して回転し、赤外光の投光を可能としている。
【0158】
また、監視カメラ11において、支持部135は、一端が延出部133のカバー23側の端部と接続され、カメラ部77から離れる方向に延びる第1側面137と、一端が第1側面137の他端と接続され、カメラ部77に沿って延びる第2側面139と、を有する。遮光板125は、カメラ部77と、第1側面137と、第2側面139と、で形成される空間に配置される。
【0159】
この監視カメラ11によれば、例えば一対の支持部135がカメラ部77の左右両側から延出する。支持部135は、一端が延出部133のカバー23側の端部と接続され、カメラ部77から離れる方向に延びる第1側面137と、一端が第1側面137の他端と接続され、カメラ部77に沿って延びる第2側面139とを有する。遮光板125は、カメラ部77と、第1側面137と、第2側面139と、で形成される空間に配置される。
【0160】
一対の支持部135は、本体部119から第1側面137がカメラ部77から離れる方向に延びることで、遮光板125の外側へ配置が可能となる。つまり、支持部135は、第1側面137が遮光板125を横断する。支持部135は、この第1側面137の延出端で、カメラ部77に沿って延びる第2側面139を有することで、レンズ115の中心軸75に垂直となってLED113が実装可能な面材となる。
【0161】
LED113は、支持部135に実装されることで、レンズ保持部117との間が遮光板125で遮られる。LED113は、レンズ115の中心軸75に近接して配置されることが被写体に生じる陰影を抑制できる。一方、LED113は、レンズ115に近接して配置すれば赤外光が迷光となってレンズ115に進入しやすくなる。
【0162】
この監視カメラ11によれば、一対の遮光板125の間に配置したカメラ部77から、それぞれの遮光板125を横断して支持部135を延出させるので、高密度な部品レイアウトで、被写体の陰影を抑制しながら、レンズ115への迷光進入を抑制することができる。
【0163】
また、監視カメラ11において、側面部131は、本体部119の一つの側面に設けられる第1側面部155と、第1側面部155の端部から延び、本体部119の他の側面に設けられる第2側面部157と、を有する。監視カメラ11は、第2側面部157を冷却する冷却装置159をさらに備える。
【0164】
この監視カメラ11によれば、LED台座129が、本体部119の側面に沿って設けられる側面部131を有する。側面部131は、本体部119の一つの側面に設けられる第1側面部155と、第1側面部155の端部から延び、本体部119の他の側面に設けられる第2側面部157とを有する。すなわち、第1側面部155と第2側面部157とは、少なくともL字形となる。LED台座129は、一対の平行な第1側面部155を備える例では、第2側面部157が、これら一対の第1側面部155の端部同士を接続する。一対の平行な第1側面部155は、カメラ部77を間に挟む。一対の平行な第1側面部155のそれぞれからは、上述の支持部135がカメラ部77から離れる方向に延出する。
【0165】
第2側面部157には、冷却装置159が設けられる。冷却装置159としては、例えばファンや電子冷却装置を挙げることができる。
【0166】
冷却装置159が駆動されると、第2側面部157が冷却されて低温となる。一方、第2側面部157に接続される第1側面部155は、延出部133を介して支持部135に接続される。支持部135には、LED113が設けられているので、LED113の駆動により支持部135は高温となる。
【0167】
LED台座129では、LED113の発熱により高温となった第1側面部155と、冷却装置159により低温となった第2側面部157とに温度差が生じる。これにより、LED113から第1側面部155に伝わった熱は、第2側面部157へ伝わり、第2側面部157に設けられる冷却装置159によりLED台座129からカメラ筐体内の空気へ円滑に排熱されることになる。
【0168】
また、監視カメラ11において、カバー23は、カメラ部77に対向する撮像窓部25とLED113に対向する投光窓部27とを有する。撮像窓部25と投光窓部27との間には、連結体29が配置される。
【0169】
これにより、監視カメラ11において、撮像窓部25と投光窓部27との間には、連結体29により、LED113からの赤外光が遮光され易くなる。つまり、LED113からの赤外光が撮像窓部25を通過してレンズ115に進入することが抑制される。
【0170】
また、監視カメラ11において、連結体29と遮光板125との間には隙間が形成される。遮光板125は、連結体29側に向かって延びる第1遮光片145を有する。連結体29は、遮光板125側に向かって延びる第2遮光片(第3遮光片149)を有する。第1遮光片と第2遮光片とが対向している。
【0171】
これにより、監視カメラ11において、遮光部123とカバー23との接触を避けるように連結体29と遮光板125との間に隙間が設けられた場合でも、遮光板125の第1遮光片145と連結体29の第2遮光片(つまり第3遮光片149)とによって、LED113からの赤外光がレンズ115に進入しにくくなる。
【0172】
また、監視カメラ11において、連結体29は、投光窓部27の側面に当接する第1側面29Aと、投光窓部27のLED113側の面に当接する第2側面29Bと、を有する。
【0173】
これにより、監視カメラ11において、連結体29が投光窓部27の側面及びLED113側の面の両方と当接するので、LED113からの赤外光がレンズ115に進入しにくくなる。
【0174】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本開示は、基板が発熱しても、適切に外部に排熱することができる監視カメラとして有用である。
【符号の説明】
【0176】
11 監視カメラ
19 回転台座
21 カメラ筐体
77 カメラ部
83 スリップリング
95 基板保持部
97 第1基板
99 放熱部
101 放熱空間
103 基板固定面
105 接続孔
107 第2基板
109 放熱板