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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145608
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】眼科システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/135 20060101AFI20241004BHJP
   A61B 3/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B3/135
A61B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058044
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧田 博史
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA03
4C316AB16
4C316AB19
4C316FA04
4C316FC01
4C316FY02
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】消費電力の低減が可能であり、稼働状態とスリープ状態の切り替えを、より簡易に行うことができる眼科システムを提供する。
【解決手段】眼科システム1は、主電源部20、照明系30、固視部33、撮像部60、制御装置50(主制御部51)を備える眼科装置100と、ベース部201、スライドテーブル(可動板)202、検知部203を備える光学台200とを備える。眼科装置100は、稼働状態、遮断状態、スリープ状態を有し、各状態において、状態ごとに予め決められた所定条件を満たしたときに、状態が遷移するように構成される。主制御部51は、スリープ状態において、検知部203が、スライドテーブル202の引き出しを検知したとき、状態を前働状態に移行させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科装置と、前記眼科装置が載置される光学台と、を備え、
前記眼科装置は、
電力を供給する電源部と、
被検眼に照明光を照射する照明系と、
前記被検眼を固視させる固視部と、
前記被検眼の画像を取得する撮像部と、
前記電源部、前記照明系、前記固視部及び前記撮像部を制御する制御装置と、を備え、
前記電源部から前記照明系、前記固視部、前記撮像部及び前記制御装置の全部に電力が供給されて全部が機能する稼働状態と、全部への電力の供給が停止されて全部の機能が停止する遮断状態と、少なくとも一部に電力が供給されて一部が機能するスリープ状態とを有し、各状態において、前記状態ごとに予め決められた所定条件を満たしたときに、前記状態が遷移するように構成され、
前記光学台は、
ベース部と、
前記ベース部の上面に配置され、前記ベース部に対して水平方向に移動することで引き出しと収納が可能に設けられた可動板と、を備え、
前記制御装置は、前記スリープ状態において、前記可動板が引き出されたとき、前記状態を前記稼働状態に移行させる
ことを特徴とする眼科システム。
【請求項2】
前記可動板の引き出し動作を検知する可動板検知部を備え、
前記制御装置は、前記スリープ状態において、前記可動板検知部が前記可動板の引き出し動作を検知したとき、前記状態を前記稼働状態に移行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科システム。
【請求項3】
前記可動板検知部が、前記可動板又は前記ベース部に設けられた光センサである
ことを特徴とする請求項2に記載の眼科システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記稼働状態において、前記可動板検知部が前記可動板の収納を検知したとき、前記状態を前記スリープ状態に移行させる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の眼科システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記稼働状態において、前記可動板検知部が、前記可動板が引き出されたことを検知してから所定時間が経過したとき、前記状態を前記スリープ状態に移行させる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の眼科システム。
【請求項6】
前記眼科装置は、検査条件を調整する調整部と、前記調整部の操作以外の操作者の所定の操作を検知する操作検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記スリープ状態において、前記操作検知部が所定の操作を検知したときに、前記状態を前記稼働状態に移行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科システム。
【請求項7】
前記電源部は、前記眼科装置の通電状態に応じて点灯又は消灯する表示灯を有し、
前記制御装置は、前記稼働状態と前記スリープ状態とで、異なる態様で発光するように前記表示灯を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、眼科装置と、眼科装置が載置される光学台とを備える眼科システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この眼科システムは、左右の被検眼のうち観察される被検眼に応じて眼科装置が光学台上を左右に移動可能であり、光学台に眼科装置の左右の移動を検出する左右検出センサが設けられている。また、眼科装置を載置し、本体部に対して引き出しと収納が可能なスライドテーブルを備えた光学台が知られている(非特許文献1)。
【0003】
ところで、従来の眼科装置は、使用していない間も継続して電源ONの状態が維持されることが多く、消費電力の無駄を生じていた。このような消費電力の無駄を低減すべく、眼科装置のすべての部位に規定の電力が供給され、すべての部位が機能可能な状態である稼働状態と、一部の部位に電力が供給されて、一部のみが機能可能な状態であるスリープ状態とを有する眼科装置もある(特許文献2)。この眼科装置は、操作者が操作する携帯端末が本体部に装着されると、状態が通常電力モードに切り替わり、本体部から形態端末が取り外されると、状態が省電力モードに切り替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-138372号公報
【特許文献2】特許第4437581号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社リィツメディカル [令和5年3月22日検索] インターネット<http://ritz-med.co.jp/archives/product-cat/product3-2/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の眼科装置は、通常電力モードと省電力モードでの状態の切り替えのために、携帯端末と、その装着部が必要であるとともに、携帯端末の着脱動作も必要であった。
【0007】
本開示は、上記問題に着目してなされたもので、消費電力の低減が可能であり、稼働状態とスリープ状態の切り替えを、より簡易に行うことができる眼科システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の眼科システムは、眼科装置と、前記眼科装置が載置される光学台と、を備える。前記眼科装置は、電力を供給する電源部と、被検眼に照明光を照射する照明系と、前記被検眼を固視させる固視部と、前記被検眼の画像を取得する撮像部と、前記電源部、前記照明系、前記固視部及び前記撮像部を制御する制御装置と、を備える。前記電源部から前記照明系、前記固視部、前記撮像部及び前記制御装置の全部に電力が供給されて全部が機能する稼働状態と、全部への電力の供給が停止されて全部の機能が停止する遮断状態と、少なくとも一部に電力が供給されて一部が機能するスリープ状態とを有し、各状態において、前記状態ごとに予め決められた所定条件を満たしたときに、前記状態が遷移するように構成される。前記光学台は、ベース部と、前記ベース部の上面に配置され、前記ベース部に対して水平方向に移動することで引き出しと収納が可能に設けられた可動板と、を備える。前記制御装置は、前記スリープ状態において、前記可動板が引き出されたとき、前記状態を前記稼働状態に移行させる。
【発明の効果】
【0009】
このように構成された眼科装置は、消費電力の低減が可能であり、稼働状態とスリープ状態の切り替えを、より簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】実施例1の眼科システムの全体構成を示す斜視図である。
図1B】実施例1の眼科システムにおける細隙灯顕微鏡の主要部分の構成を示す斜視図であり、(a)は背景照明系近傍の斜視図であり、(b)は調光つまみ近傍の斜視図である。
図2】実施例1の眼科システムにおける細隙灯顕微鏡の制御ブロック図である。
図3】実施例1の眼科システムにおける細隙灯顕微鏡の状態とスライドテーブルの動作とテーブル検知部での検知結果との関係を説明するための図である。
図4】実施例1の眼科システムにおける細隙灯顕微鏡の状態とスライドテーブルの動作と確認表示灯の点灯状態との関係を説明するための図である。
図5】実施例1の眼科システムにおける細隙灯顕微鏡の3つの状態の間での遷移を説明するための図である。
図6】実施例1の眼科システムにおける細隙灯顕微鏡の稼働状態、スリープ状態及び遮断状態での各部(ユニット)の機能状態を説明するための図である。
図7】実施例1の細隙灯顕微鏡の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
本開示の一実施例である眼科システム1の構成は、図1A図2を参照して、以下のように説明される。図1A図1Bに示されるように、実施例1の眼科システム1は、眼科装置の一例である細隙灯顕微鏡100と、光学台200とを備える。
【0012】
光学台200は、ベース部201と、スライドテーブル(可動板)202と、テーブル検知部(可動板検知部)203と、昇降機構204と、スライド機構205とを主に備える。
【0013】
ベース部201は、床面等に設置され、スライドテーブル202と細隙灯顕微鏡100とを支持する支柱である。ベース部201は、昇降機構204によって上下移動(昇降)可能である。昇降機構204は、公知のものを用いることができ、例えば油圧モータを含む昇降機構等を用いることができる。
【0014】
スライドテーブル202は、ベース部201の上面に配置され、スライド機構205によってベース部201に対して水平方向(実施例1では、細隙灯顕微鏡100に対峙した被検者に対して左右方向)に移動可能となっている。スライド機構205は、公知のものを用いることができ、例えば、スライドレールとこのスライドレール上を移動するスライダ等を含む移動機構を用いることができる。
【0015】
検者等の操作者は、スライドテーブル202の一側に設けられたハンドル部206を操作することで、ベース部201に対してスライドテーブル202を移動させる。これにより、操作者は、スライドテーブル202をベース部201の側方に引き出したり、ベース部201の上面に戻して収納したりすることができる。
【0016】
また、スライド機構205は、さらに電動アクチュエータ、伝達機構、昇降スイッチ等を備え、昇降スイッチの操作に応じて、電動アクチュエータを駆動し、スライドテーブル202を自動で移動させる構成とすることもできる。
【0017】
テーブル検知部203は、スライドテーブル202の引き出し動作を検知する。テーブル検知部203は、例えば、光センサ(フォトセンサ)から構成されることが好ましい。実施例1のテーブル検知部203は、光センサの一種である反射型光センサから構成される。反射型光センサは、光を対象物に向けて出射する発光部と、対象物からの反射光を受光する受光部とが同じ方向を向いて並列に配置されたセンサである。実施例1のテーブル検知部203は、スライドテーブル202の下面に、発光部がベース部201を向くように配置されている。
【0018】
テーブル検知部203は、制御装置50とUSBケーブル等で接続され、検知結果を主制御部51に出力可能であるとともに、制御装置50(CPU電源)から電力が供給される。このため、テーブル検知部203は、スリープ状態でも電源がONされている制御装置50から電力が供給され、スライドテーブル202の動作を常時検知可能である。テーブル検知部203と制御装置50の接続及び電力の供給のための作業が、USBケーブルを制御装置50のUSBポートに接続するだけでよく、作業が容易であるとともに、複雑な配線が不要となる。
【0019】
そして、スライドテーブル202が収納されているときは、テーブル検知部203の発光部からの光がベース部201で反射され、受光部により反射光が検出される。これに対して、スライドテーブル202が引き出されると、発光部からの光がベース部201によって反射されなくなり、受光部は反射光を検知しない。反射光を受光すると、テーブル検知部203は検知信号を制御装置50の主制御部51に出力する。
【0020】
したがって、主制御部51は、テーブル検知部203から検知信号入力されている間は、スライドテーブル202が収納されていると判定でき、検知信号が入力されない間は、スライドテーブル202が引き出されていると判定できる。
【0021】
細隙灯顕微鏡100は、スリット光を用いて被検眼の角膜の光切片を切り取ることにより、角膜の断面の画像を取得する眼科装置であり、「スリットランプ顕微鏡」とも称される。細隙灯顕微鏡100は、顕微鏡本体10と、主電源部20とを主に備える。顕微鏡本体10は、照明系30と、観察系40と、制御装置50と、撮像部60と、背景照明系70とを主に備える。
【0022】
細隙灯顕微鏡100(眼科システム1)は、「稼働状態」、「スリープ状態」、及び「遮断状態」の3つの状態(モード)を有する。細隙灯顕微鏡100の状態は、所定の条件を充足することで、これら3つの状態の間で遷移する。
【0023】
「稼働状態」は、主電源部20から細隙灯顕微鏡100のすべてのユニット(部)に電力が供給され、照明系30、観察系40、制御装置50、撮像部60及び背景照明系70のすべてが稼働可能となっている状態をいう。「スリープ状態」は、主電源部20はON状態であり、顕微鏡本体10の一部のユニットは、主電源部20から電力が供給されて機能することが可能となっており、一部のユニットは、電力が供給されず、機能していない状態をいう。より具体的には、実施例1の「スリープ状態」では、制御装置50と撮像部60とに電力が供給され、機能することが可能な状態となっている。「遮断状態」は、主電源部20がOFF状態であり、顕微鏡本体10の照明系30、観察系40、制御装置50、撮像部60及び背景照明系70のすべてに電力が供給されず、機能しない状態(いわゆる電源OFF)をいう。
【0024】
顕微鏡本体10は、光学台200のスライドテーブル202上に設置され、前述したように照明系30、観察系40、制御装置50、撮像部60及び背景照明系70を備える。顕微鏡本体10は、さらに、スライドテーブル202の上面に固定された基部11と、基部11の上面に設けられた架台部12と、架台部12を左右方向に移動させる移動機構13と、架台部12の上面に設けられた支持部14と、基部11に支持された顔支持部15とを有する。
【0025】
架台部12は、架台12aと、調光つまみ(調光操作部、調整部)12bと、操作レバー(移動操作部、調整部)12cと、操作レバー12cの上面に設けられた撮影ボタン12dとを有する。架台部12は、基部11に対し、移動機構13によって被検眼から見て前後方向及び左右方向に移動可能となっている。移動機構13は、架台12aに挿通されたスライド棒13aと、スライド棒13aの両端を前後方向に移動可能に支持する一対の固定部13bとを有する。
【0026】
操作レバー12cは、架台部12の移動操作及び撮像部60に撮影指示を与えるための部材である。検者等の操作者は、操作レバー12cを握った状態で動かすことで、前後左右に架台部12全体を移動させることができる。また、操作者が操作レバー12cを傾倒操作することで、その操作量及び操作方向に応じて観察系40が焦点合わせ(フォーカス)を行う。操作者が操作レバー12cを軸周りに回転操作することで、その操作量及び操作方向に応じて基部11の上面に設けられた支持部14が上下方向に移動する。また、操作者が操作レバー12cの上面の撮影ボタン12dを押し下げることで、撮像部60は被検眼の画像の撮影を実行する。
【0027】
調光つまみ12bは、照明系30のスリット光(LED光源)の明るさを調整するための部材である。操作者が調光つまみ12bを回転操作することで、その操作量及び操作方向に応じて照明系30の照明光の明るさが、連続的かつ自在に変更される。
【0028】
支持部14は、台座14aと、第1支持アーム14bと、第2支持アーム14cと、スリット開閉ノブ(スリット開閉操作部、調整部)14dとを有する。台座14aは、架台12aの上面に設けられる。第1支持アーム14b及び第2支持アーム14cは、台座14aから起立している。第1支持アーム14b及び第2支持アーム14cは、同軸の垂直軸を中心にそれぞれ独立して回動可能である。
【0029】
第1支持アーム14bは、照明系30の光学部材を収容した照明系ハウジング31が上部に取り付けられ、照明系30を支持する。この第1支持アーム14bは、手動により回動させられる。第1支持アーム14bが回動することで、照明系ハウジング31が被検眼の周囲を旋回する。これにより、被検眼に対するスリット光の照射方向が変更される。なお、第1支持アーム14bは、上下方向にも回動してよく、この場合では被検眼に対するスリット光の仰角や俯角が変更される。
【0030】
第2支持アーム14cは、観察系40の光学部材を収容した観察系ハウジング41が上部に取り付けられ、観察系40を支持する。また、第2支持アーム14cは、観察系40の下方に、撮像部60が着脱自在に取り付けられ、撮像部60を支持する。この第2支持アーム14cは、手動により回動させられる。第2支持アーム14cが回動することで、観察系40及び撮像部60が第1支持アーム14bの周囲を旋回する。これにより、被検眼に対する観察系40及び撮像部60の観察方向が変更される。
【0031】
なお、第1支持アーム14b及び第2支持アーム14cは、電動により自動で回動する構成であってもよい。この場合、支持部14は、第1支持アーム14bと第2支持アーム14cを回動させる駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構を有する。アクチュエータは、例えばステッピングモータ(パルスモータ)が用いられる。また、伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオン等が用いられる。
【0032】
顔支持部15は、観察系40の前方に観察系40と対峙して配置されている。顔支持部15は、被検者の顎を載せる顎受部15aと、額をあてがう額当部15bとを有する。実施例1の眼科システム1では、スライドテーブル202に正対した被検者が顎受部15a及び額当部15bに顔を接触させた状態で、操作者が細隙灯顕微鏡100を操作して被検眼の観察等を行う。
【0033】
主電源部20は、照明系30、観察系40、制御装置50、撮像部60及び背景照明系70に電力を供給する装置である。主電源部20は、光学台200の上面であって、一対の固定部13bの一方(図1Aでは紙面左側の固定部13b)の筐体13c内に設けられている。主電源部20は、筐体13cに内蔵されたAC/DCコンバータ21と、筐体13cから露出する電源スイッチ22及び確認表示灯23とを主に備える。なお、主電源部20は、固定部13bの筐体13c内に設けられる構成に限定されず、操作者等が電源スイッチ22の操作や確認表示灯23の視認が可能であれば何れの箇所に設けられてもよい。
【0034】
AC/DCコンバータ21は、交流電圧を直流電圧に変換する。電源スイッチ22は、細隙灯顕微鏡100を起動させるためのスイッチである。操作者が電源スイッチ22をONすることで、主電源部20は、AC/DCコンバータ21を介して、照明系30、観察系40、制御装置50、撮像部60及び背景照明系70に電力を供給する。
【0035】
確認表示灯23は、いわゆるパイロットランプであり、例えばLEDからなる。確認表示灯23は、細隙灯顕微鏡100が通電状態(電源ON)となっているか通電されていない状態(電源OFF状態)かを知らせるためのものである。実施例1では、確認表示灯23は、細隙灯顕微鏡100の状態を操作者等に知らしめる状態表示灯としても機能する。すなわち、確認表示灯23は、主制御部51の制御の下、「遮断状態」(つまり電源OFF)のときは消灯し、「稼働状態」(つまり電源ON)では点灯し、「スリープ状態」(つまり一部が電源ON)では点滅する。なお、確認表示灯23の発光態様は、この態様に限定されず、操作者等に細隙灯顕微鏡100の状態を知らしめればよく、例えば、状態に応じて発光色を変化させる(例えば、「スリープ状態」では赤色や黄色で発光、稼働状態では白色で発光)ものであってもよい。
【0036】
照明系30は、被検眼に向けてスリット光を照射する。照明系30は、スリット光源、リレーレンズ、照明絞り、コンデンサレンズ、スリット部、視野絞り部、結像レンズ等の光学部材を有する図示しない照明光学系を備える。照明光学系は、照明系ハウジング31に収容されている。スリット光源は、例えばLED光源からなる。スリット光の明るさは、前述のように架台12aに設けられた調光つまみ12bを操作することで変更される。スリット光の幅は、支持部14に設けられたスリット開閉ノブ14dを操作することで変更される。なお、「スリット光」とは、照射領域の一部を遮ることで照射領域が帯状に形成された光であり、被検眼の角膜や眼底を観察するための照明光である。
【0037】
さらに、照明系ハウジング31の下方に、照明系30から照射されたスリット光を被検眼に向けて反射する反射ミラー32が配置されている。反射ミラー32は、第1支持アーム14bに取り付けられている。なお、この反射ミラー32は、背景照明系70から照射された背景光を被検眼に向けて反射することもできる。また、照明系ハウジング31の側方には、下方に延びる固視部33が設けられている。固視部33は、固視光を出射する外部固視灯(例えば、LED)を有し、外部固視に用いられる。固視部33は、被検眼の視線を誘導し、被検眼の向きを調整することができる。
【0038】
観察系40は、被検眼からの反射光を観察するために用いられる。ここで、「反射光」には、被検眼で反射されたスリット光や背景光だけでなく、例えば被検眼やその周辺からの散乱光などの各種の光が含まれる。実施例1では、これら各種の光を含めたものが「反射光」と呼ばれる。観察系40は、被検眼からの反射光を案内する左右一対の図示しない観察光学系を有する。観察光学系は、対物レンズ、変倍光学系、絞り、ビームスプリッタ、結像レンズ、プリズムユニット、接眼レンズ42a等の光学部材を有する観察光学系を備える。観察光学系は、観察系ハウジング41に収容されている。観察系ハウジング41の終端には、接眼レンズ42aを有する接眼部42が設けられている。操作者は、接眼部42を覗き込むことで被検眼を肉眼で観察できる。また、観察系ハウジング41の側面には、観察倍率を変更するための観察倍率調整ハンドル(観察倍率調整操作部、調整部)43が設けられている。
【0039】
撮像部60は、被検眼からの反射光を受光して、被検眼の画像を撮影する。撮像部60は、第2支持アーム14cに着脱自在に取り付けられる。撮像部60は、図示しない撮像素子、撮影レンズ等の光学部材を有する撮像光学系、撮影用照明(カメラLED)等を備える。撮像素子は、光を検出して電気信号(画像信号)を出力する光電変換素子である。撮像素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。
【0040】
撮像部60は、外部装置であるパーソナルコンピュータ(PC)80(図2参照)と有線又は無線により接続されており、画像信号をPC80に出力可能となっている。したがって、撮像部60で撮影された画像は、PC80に保存可能である。
【0041】
被検眼からの反射光は、例えば、観察系40のビームスプリッタにより反射され、結像レンズ及び反射ミラー32を介して撮像素子に導かれる。撮像素子は、この反射光を検出して電気信号(画像信号)を出力する。実施例1では、画像信号は、PC80に入力されるが、制御装置50に入力されてもよい。
【0042】
背景照明系70は、照明系30から照射されたスリット光の照射領域の周囲の領域を背景光で照明する。背景照明系70による照射領域は、少なくともこの周囲領域を含んでいればよく、照明系30による照射領域と一部が重複していてもよい。背景照明系70は、背景照明ハウジング71と、図示しない背景用光源及びレンズ等の光学部材と、照明強度調整つまみ(照明強度調整操作部、調整部)72とを有する。
【0043】
背景用光源は、肉眼観察や撮影に用いられる可視光(背景光:BG)を出射する可視光源と、マイボーム腺の観察や撮影に用いられる赤外光(IR)を出射する赤外光源とを有する。背景用光源は、例えばLED光源からなり、背景照明ハウジング71に収容されている。背景用光源から出射された可視光又は赤外光は、レンズによって集光された後、照明系30の反射ミラー32により反射されて被検眼に照射される。背景用光源が可視光源と赤外光源の双方を有する場合には、各光源が択一的に使用される。なお、背景用光源は、LED光源からなるため、1つのLED光源から択一的に可視光と赤外光を出射することができる。
【0044】
背景用光源から出射される可視光又は赤外光の強度は、照明強度調整つまみ72の操作によって調整されるが、別個に設けられた操作部によって調整されてもよい。
【0045】
制御装置50は、細隙灯顕微鏡100の各部(各ユニット)を制御する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)を有する主制御部(制御部)51と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等からなる記憶部52とを備える。制御装置50は、架台12aに内蔵されている。
【0046】
主制御部51は、必要な情報を取得し、主電源部20、照明系30、観察系40、撮像部60及び背景照明系70に対して適宜制御指令を出力する。記憶部52は、制御プログラムが予め記憶される。主制御部51からの制御指令は、この制御プログラムとハードウェアとが協働することで実現される。
【0047】
制御装置50は、操作部や表示部を有するPC、タブレット端末、専用コントローラ等に接続されてもよい。主制御部51は、PC等の操作部からの操作者による操作入力を受けて、細隙灯顕微鏡100を制御し、撮影された画像、測定結果等を出力して、表示部に表示させてもよい。
【0048】
主制御部51は、稼働状態、遮断状態及びスリープ状態の各状態において、状態ごとに予め決められた所定条件を満たしたときに、状態が遷移するように各部を制御する。また、主制御部51は、状態がスリープ状態において、条件としてスライドテーブル202が引き出されたとき、状態をスリープ状態から稼働状態に移行させる。実施例1では、前述のように、テーブル検知部203から検知信号が入力されないとき(検知信号が切れたとき)、主制御部51は、スライドテーブル202が引き出されたと判定できる。
【0049】
細隙灯顕微鏡100の状態とスライドテーブル202の動作とテーブル検知部203での検知結果との関係は、図3を参照して、以下のように説明される。図3に示されるように、スライドテーブル202が引き出され(「ST OPEN」と称する。)、かつ稼働状態において、スライドテーブル202が収納されたとき(「ST CLOSE」と称する。)、つまりテーブル検知部203が、ベース部201からの反射光を検出したとき、状態は稼働状態からスリープ状態に移行する。
【0050】
そして、スライドテーブル202が収納され、かつスリープ状態において、スライドテーブル202が引き出されたとき、つまりテーブル検知部203が、ベース部201からの反射光を検出しなくなったとき、状態はスリープ状態から稼働状態に移行する。
【0051】
また、実施例1では、スライドテーブル202が引き出されているときでも、操作者等が細隙灯顕微鏡100の操作をしない時間(無操作時間)が所定時間以上となったとき(無操作時間≧M分、Mは1以上の整数)、状態は稼働状態からスリープ状態に移行する。
【0052】
この無操作時間の閾値のM分は、特に限定されないが、10~60分が好ましく、30分程度がより好ましい。無操作時間の閾値を30分程度とすれば、一人の患者(被検者)の診察等が行われている間は稼働状態が維持され、診察等が終了した後にスリープ状態に移行する。これにより、操作者の操作性を損なうことなく、消費電力が抑制され、節電が可能となる。無操作時間は、例えば、スライドテーブル202が引き出され、調光つまみ12b、操作レバー12c、撮影ボタン12d、観察倍率調整ハンドル43、照明強度調整つまみ72、その他の操作部(調整部)の何れに対しても、操作者の操作が行われなかったことを、主制御部51が検知した時点からの経過時間である。
【0053】
そして、スライドテーブル202が引き出され、かつスリープ状態であるときに、操作レバー12c、撮影ボタン12d、その他の操作部の何れかに対して、操作者の操作が行われたことを主制御部51が検知すると、状態はスリープ状態から稼働状態に移行する。これに対して、スライドテーブル202が引き出され、かつスリープ状態であるときに、スライドテーブル202が収納されたときは、スリープ状態が維持される。
【0054】
また、図4は、実施例1の眼科システム1における細隙灯顕微鏡100の状態とスライドテーブル202の動作と確認表示灯23の点灯状態との関係を説明するための図である。この図4の紙面左図のようにスライドテーブル202が引き出され、かつ稼働状態では、確認表示灯23(図4では「PLT」と表記)が点灯している。紙面下図のようにスライドテーブル202の収納動作が行われて(ST CLOSE)、紙面右図のようにスライドテーブル202が収納されると、細隙灯顕微鏡100の状態はスリープ状態に移行する。このスリープ状態では、確認表示灯23が点滅する。
【0055】
一方、この紙面右図のスリープ状態から、紙面上図のようにスライドテーブル202の引き出し動作が行われて(ST OPEN)、紙面左図のようにスライドテーブル202が引き出されると、細隙灯顕微鏡100の状態は再び可動状態に移行する。この図4に示されるように、スライドテーブル202の引き出し動作及び収納動作に応じて、細隙灯顕微鏡100の状態は、稼働状態とスリープ状態との間で遷移する。
【0056】
実施例1の眼科システム1における細隙灯顕微鏡100の3つの状態の間での遷移は、図5及び図6を参照して、以下のように説明される。図5では、各部(ユニット)は四角又は丸で示され、これらが白抜きの場合は、点灯又は電源ONとなっていることを示し、灰色で塗りつぶされている場合は、消灯又は電源OFFとなっていることを示す。この図5に示されるように、主制御部51は、所定の条件を満たしたときに、細隙灯顕微鏡100の状態を、稼働状態、遮断状態及びスリープ状態(パワーセーブ)の間で遷移させる。
【0057】
例えば、細隙灯顕微鏡100が通電されておらず、機能していない状態、つまり遮断状態において、電源スイッチ22がONされたとき、細隙灯顕微鏡100の状態は遮断状態から稼働状態に移行する。細隙灯顕微鏡100が稼働状態となったら、操作者は、スライドテーブル202を引き出すことで、細隙灯顕微鏡100を用いた被検眼の観察や撮影を行える。
【0058】
そして、スライドテーブル202が引き出され、かつ稼働状態において、スライドテーブル202が収納されたとき、状態は稼働状態からスリープ状態に移行する。このため、細隙灯顕微鏡100は、消費電力が抑制される。次いで、このようにスライドテーブル202が収納され、かつスリープ状態において、スライドテーブル202が引き出されると、状態はスリープ状態から稼働状態に移行する。このため、操作者は、細隙灯顕微鏡100を用いた被検眼の観察や撮影を行える。
【0059】
さらには、スライドテーブル202が引き出され、かつ稼働状態において、無操作時間が所定時間以上となったときも(無操作時間≧M分、Mは1以上の整数)、状態は稼働状態からスリープ状態に移行する。このため、スライドテーブル202が引き出された状態であっても、細隙灯顕微鏡100が使用されない間は、消費電力が抑制される。
【0060】
このスライドテーブル202が引き出され、かつスリープ状態において、操作者が細隙灯顕微鏡100に対して何等かの操作をしたとき、状態はスリープ状態から稼働状態に移行する。これにより、操作者は、細隙灯顕微鏡100を用いた被検眼の観察等を行える。
【0061】
また、スライドテーブル202の動作、及び細隙灯顕微鏡100の状態(稼働状態又はスリープ状態)にかかわらず、電源スイッチ22がOFFされると、状態は稼働状態又はスリープ状態から遮断状態に移行する。「遮断状態」、「スリープ状態」及び「稼働状態」における各部の機能状態の詳細は、以下で説明される。
【0062】
図6は、実施例1の細隙灯顕微鏡100の稼働状態、スリープ状態及び遮断状態での各部(ユニット)の機能状態を説明するための図である。この図6に示されるように、主電源部20の確認表示灯23(パイロットLED)は、稼働状態では点灯し、スリープ状態では点滅し、遮断状態では消灯する。架台部12に内蔵された制御装置50の主制御部51(CPU電源)は、稼働状態及びスリープ状態では電源ONとなり、遮断状態では電源OFFとなる。撮像部60の電源(カメラ電源)は、稼働状態及びスリープ状態では電源ONとなり、遮断状態では電源OFFとなる。固視部33の外部固視灯(LED)は、稼働状態では点灯し、スリープ状態及び遮断状態では消灯する。
【0063】
これに対して、撮像部60の光源(カメラLED)、照明系30のスリット光源(LED)及び背景照明系70の背景用光源(IR/BG:LED)は、スリープ状態及び遮断状態では消灯するが、稼働状態では操作者の前回の操作に従って点灯又は消灯する。具体的には、カメラLED(例えば、撮像部60の、操作者から見える位置に配置される。)は、背景用光源の照明強度調整つまみ72と連動している。カメラLEDは、操作者が照明強度調整つまみ72を消灯位置(OFF)に設定していれば消灯し、点灯位置(赤外光又は可視光)に設定していれば点灯する。
【0064】
また、背景用光源は、操作者が照明強度調整つまみ72を消灯位置に設定していれば消灯し、照明強度調整つまみ72を点灯位置に設定していれば、操作者によって選択された赤外光又は可視光の調整量に応じた強度で点灯する。
【0065】
スリット光源は、操作者が調光つまみ12bを消灯位置に設定していれば消灯し、調光つまみ12bを点灯位置に設定していれば、調光つまみ12bの調整量に応じた明るさで点灯する。
【0066】
上述のような構成の実施例1の細隙灯顕微鏡100の動作の一例は、図7に示されるフローチャート及び図5図6を参照して、以下のように説明される。図7のフローチャートに示される動作は、例えば、操作者が電源スイッチ22をONしたタイミングで開始される。検査に際して、操作者は、被検者を椅子等に座らせて、細隙灯顕微鏡100と対峙させ、顎受部15aに顎を載せさせ、額当部15bに額を当てさせる。
【0067】
まず、ステップS1で、電源スイッチ22がONされると(電源投入)、主電源部20は、細隙灯顕微鏡100のすべてのユニットに電力を供給する。この電力の供給直後(「ST CLOSE」状態)は、検査等の開始前の準備状態であるが、各部の機能状態は「稼働状態」と同じとなる。このため、ここで「稼働状態」のときの各部の機能状態の詳細を説明する。
【0068】
「稼働状態」のときの各部の機能状態は、図5図6に示されるように、主電源部20の確認表示灯23(図5等では「PLT」と表記)が点灯し、固視部33の外部固視灯が点灯し、撮像部60の電源(図5等では「カメラ電源」と表記)がONとなって撮影可能状態となる。また、架台部12に収容された制御装置50の電源(図5等では「CPU電源」と表記)がONとなって各部を制御可能となる。
【0069】
また、撮像部60の光源(図5等では「カメラLED」と表記)は、前回の操作者の操作に従って、点灯又は消灯する。照明系30のスリット光源(図5等では「LED」と表記)は、前回の操作者の調光つまみ12bの操作に従って、消灯又は操作量に応じた明るさで点灯する。背景照明系70の赤外光源又は可視光源(図5等では「IR/BG」と表記)は、前回の操作者の照明強度調整つまみ72の操作に従って、消灯又は操作量に応じた強度で点灯する。
【0070】
また、テーブル検知部203は、制御装置50から電力が供給され、機能可能な状態となる。テーブル検知部203は、スライドテーブル202が収納されている間は、ベース部201からの反射光を検知した検知信号を主制御部51に出力する。これに対して、操作者によりスライドテーブル202が引き出されると、テーブル検知部203はベース部201からの反射光を検知しないため、主制御部51への検知信号の出力を停止する。
【0071】
次のステップS2で、主制御部51は、テーブル検知部203からの検知信号の有無に基づいて、スライドテーブル202が引き出されたかを判定する。ステップS2の判定がYES(ST OPEN)のとき、主制御部51は、処理工程をステップS3へと進める。これに対して、ステップS2の判定がNO(ST CLOSE)である間は、主制御部51は、ステップS2の判定を繰り返す。
【0072】
次のステップS3では、主制御部51は、ROM等に設定している「状態」を稼働状態に設定し、次のステップS4へと処理工程を進める。なお、後述するステップS9から、このステップS3に戻ったときは、主制御部51は、主電源部20を制御して、すべてのユニットへの電力の供給を行わせる。
【0073】
次のステップS4で、操作者に被検眼の観察や画像撮影を行わせるべく、主制御部51は、操作者の操作に従って、細隙灯顕微鏡100の各部を動作させる。具体的には、主制御部51は、調光つまみ12bの回転操作の操作量及び操作方向に応じて、スリット光源を制御して、スリット光の明るさを調整する。また、主制御部51は、スリット開閉ノブ14dの操作量及び操作方向に応じて、スリットを開閉してスリット刃の間隔を拡縮し、スリット光の幅を調整する。また、主制御部51は、操作レバー12cの傾倒操作の操作量及び操作方向に応じて観察系40を制御して、焦点合わせを行わせる。また、主制御部51は、撮影ボタン12dが押されると、撮像部60を制御して被検眼の画像を取得させる。これにより、操作者は、観察系40を用いた被検眼の観察や、撮像部60を用いた被検眼の撮影を適切かつ迅速に行うことができ、この結果、検眼や検診を円滑に行える。
【0074】
次のステップS5では、主制御部51は、電源スイッチ22がOFFされたか判定する。つまり、操作者は、検眼等を終了するときは、電源スイッチ22をOFFにし、細隙灯顕微鏡100に遮断状態への移行の指示を与える。主制御部51は、この指示入力を受けたときに、YESと判定し、処理工程をステップS11へと進める。これに対して、電源スイッチ22のOFFの操作がないときは(NO)、主制御部51は、処理工程をステップS6へと進める。
【0075】
次のステップS6で、主制御部51は、テーブル検知部203からの検知信号の有無に基づいて、スライドテーブル202が収納されたか判定する。ステップS6の判定がYES(ST CLOSE)のとき、主制御部51は、稼働状態からスリープ状態へ移行する条件を満たしたとして、処理工程をステップS8へと進める。これに対して、ステップS6の判定がNO(ST OPEN)のとき、主制御部51は、処理工程をステップS7へと進める。
【0076】
ステップS7では、主制御部51は、無操作時間が30分以上となったか判定する。つまり、稼働状態において、操作者からの細隙灯顕微鏡100への操作がなくなって、30分以上となったとき、主制御部51は、YESと判定する。そして、主制御部51は、稼働状態からスリープ状態へ移行する条件を満たしたとして、処理工程をステップS8へと進める。
【0077】
これに対して、操作者が細隙灯顕微鏡100を操作している間は、無操作時間が30分以上とならないため、判定結果がNOとなる。この場合は、スリープ状態へ移行する条件を満たしていないことから、主制御部51は、処理工程をステップS4へと戻して稼働状態を維持する。これにより、操作者は、引き続き細隙灯顕微鏡100を用いた被検眼の観察や撮影を行える。
【0078】
次のステップS8で、細隙灯顕微鏡100の状態をスリープ状態に移行させるべく、主制御部51は、主電源部20を制御して、図5等に示されるように、制御装置50及び撮像部60への電力の供給を継続させ、CPU電源及びカメラ電源のON状態を維持するが、一方でカメラLEDは消灯させる。また、主制御部51は、主電源部20を制御して、照明系30、固視部33及び背景照明系70への電力の供給を停止させ、外部固視灯、スリット光源及び背景用光源を消灯させるとともに、確認表示灯23を点滅させる。主制御部51は、「状態」をスリープ状態に設定する。
【0079】
したがって、スリープ状態の細隙灯顕微鏡100は、消費電力が最小限に抑えられる。また、操作者は、検眼等を一時的に終了するときに、調光つまみ12bを操作してスリット光源を消灯したり、スリット開閉ノブ14dを操作してスリット刃を閉じたり、照明強度調整つまみ72を操作して背景用光源を消灯させたりする必要がない。また、調光つまみ12b及び照明強度調整つまみ72は、操作者が操作した状態(操作量)、つまり検査条件が維持される。また、カメラ電源はONとなっていることから、撮像部60とPC80との接続状態が維持され、その後の稼働状態への復帰時に接続設定の時間が削減可能となる。また、スリープ状態では、確認表示灯23が点滅していることから、操作者等は、電源スイッチ22をOFFし忘れたことに気づきやすく、速やかに電源スイッチ22をOFFすることができるため、無駄な電力の消費をより適切に低減できる。また、テーブル検知部203は、制御装置50から電力が供給され続けるため、引き続きスライドテーブル202の動作を検知可能である。
【0080】
次のステップS9で、主制御部51は、テーブル検知部203からの検知信号の有無に基づいて、スライドテーブル202が引き出されたかを判定する。ステップS9の判定がYES(ST OPEN)のとき、スリープ状態から稼働状態へ移行する条件を満たしたとして、主制御部51は、処理工程をステップS3へと戻す。
【0081】
処理工程がステップS3に戻ると、状態をスリープ状態から稼働状態に移行(復帰)させるべく、主制御部51は、主電源部20を制御して、制御装置50と撮像部60への電力の供給を継続させつつ、照明系30、固視部33及び背景照明系70への電力の供給を再開させ、これらを機能可能な状態にさせる。このとき、調光つまみ12b、スリット開閉ノブ14d及び照明強度調整つまみ72等は、スリープ状態となる前の稼働状態時の操作内容が維持されている。このため、稼働状態に復帰したときに、スリット光源から、前回と同様の明るさ及び幅でスリット光が出射され、前回と同様の強度で背景用光源から可視光又は赤外光が出射される。これにより、操作者は、スリット光の明るさの再調整、背景光の再選択や強度の再調整を行う必要がなく、迅速に被検眼の観察等を再開できる。
【0082】
ところで、撮像部60は、電源OFFの遮断状態から電源ONとなって起動したときは、初期設定やPC80との接続の設定処理が行われるため、撮影やPC80とのデータの送受信が可能となるまでに時間がかかる。これに対して、実施例1では、スリープ状態でも撮像部60には電力が供給され続け、カメラ電源がONとなっている。このため、初期設定やPC80と接続の設定処理が削減され、稼働状態への復帰が迅速に行われ、直ちに撮影やPC80とのデータの送受信が可能となる。
【0083】
また、従来の細隙灯顕微鏡では、眼科装置本体の電源とは別の電源から撮像部に電力を供給し、眼科装置本体が電源OFFとなっても、撮像部が機能してPCへの画像の出力等が可能となっている。このように撮像部の電源を別個に確保するため、従来は、電源の部品点数が増え、スライドテーブル内への配線も複雑となっていた。これに対して、実施例1の眼科システム1は、撮像部60への電力の供給も、主電源部20から行われるため、電源が1つで事足り、配線等も簡易となる。
【0084】
図7のフローチャートのステップS9に戻って、スライドテーブル202が未だ収納された状態であるとき、主制御部51は、ステップS9の判定をNO(ST CLOSE)と判定し、処理工程をステップS10へと進める。
【0085】
ステップS10では、主制御部51は、電源スイッチ22がOFFされたか判定する。つまり、スリープ状態において操作者が検眼等を終了するときは、電源スイッチ22をOFFにして、細隙灯顕微鏡100に遮断状態への移行の指示を与える。主制御部51は、この指示入力を受けたときに、YESと判定し、処理工程をステップS11へと進める。
【0086】
これに対して、主制御部51は、電源スイッチ22のOFFの操作がない間は、NOと判定し、処理工程をステップS9へと戻す。これにより、スライドテーブル202が引き出されるか又は電源スイッチ22のOFF操作がされるまでスリープ状態が維持される。
【0087】
最後のステップS11では、主制御部51は、遮断状態への移行の条件を満たしたとして、「状態」を遮断状態に設定する。さらに主制御部51は、主電源部20を制御して、主電源部20を含めた細隙灯顕微鏡100のすべてのユニット及びテーブル検知部203への電力の供給を停止させる。これにより、細隙灯顕微鏡100及びテーブル検知部203は、電源OFFとなり、機能が停止する(電源OFF)。
【0088】
(実施例1の変形例)
実施例1の眼科システム1は、反射型光センサからなるテーブル検知部203を、スライドテーブル202に設けているが、これに限定されない。テーブル検知部203は、ベース部201の一側に、発光部がスライドテーブル202を向くように配置されてもよい。この場合、スライドテーブル202が収納されているときは、発光部からの光がスライドテーブル202で反射されないため、受光部は反射光を検知しない。これに対して、スライドテーブル202が引き出されると、発光部からの光がスライドテーブル202で反射され、受光部は反射光を検知する。このため、主制御部51は、テーブル検知部203から検知信号が入力されない間は、スライドテーブル202が収納されていると判定でき、テーブル検知部203から検知信号が入力されると、スライドテーブル202が引き出されたと判定できる。
【0089】
また、テーブル検知部203は、反射型光センサに限定されない。変形例として、テーブル検知部203は、発光部と受光部とが分離し、発光部からの光を直接に受光部で受光する分離型光センサから構成することもできる。この場合、例えば、発光部は、ベース部201及びスライドテーブル202の一方に取り付けられる。受光部は、ベース部201及びスライドテーブル202の他方であって、スライドテーブル202が収納状態のときに発光部からの光を受光部で受光できる位置に取り付けられる。
【0090】
この構成では、スライドテーブル202が収納されているときは、発光部からの光は受光部で検知される。これに対して、スライドテーブル202が引き出されているときは、発光部からの光は受光部で検知されない。このため、主制御部51は、テーブル検知部203から検知信号が入力されている間は、スライドテーブル202が収納されていると判定でき、検知信号が入力されないとき(信号が切れたとき)、スライドテーブル202が引き出されたと判定できる。また、テーブル検知部203は、透過型光センサ、アクチュエータ型光センサ、プリズム型光センサ等の他の光センサを用いることもできる。
【0091】
(実施例2)
本開示の眼科装置に係る実施例2の眼科システム1は、操作検知部16(図2に破線で示される操作検知部16)を備えること以外は、図1A等に示される実施例1の眼科システム1と同様の基本構成及び機能を備える。このため、実施例2の眼科システム1において、実施例1と異なる構成及び機能は、以下のように説明され、実施例1と同様の構成及び機能は、説明が省略される。
【0092】
操作検知部16は、操作者等による細隙灯顕微鏡100に対する検査条件の調整以外の所定の操作を検知する。この所定の操作は、例えば、細隙灯顕微鏡100へのタッチ操作、回転操作等が挙げられるが、これらに限定されない。操作者は、検眼等を行うときに、必ず細隙灯顕微鏡100に対するタッチ操作を行うため、操作検知部16は、タッチ操作を検知するタッチセンサが好適に用いられる。タッチセンサは、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波法方式、赤外線方式等のタッチセンサが挙げられる。
【0093】
タッチセンサからなる操作検知部16は、何れの箇所に設けられてもよいが、例えば操作者が頻繁に触る箇所に設けられるのが好ましく、顕微鏡本体10を回転操作する際に操作者が把持する第1支持アーム14bが設置場所として好適である。また、操作検知部16は、操作者が架台部12の移動時に把持する操作レバー12cの表面、照明系ハウジング31や観察系ハウジング41の表面等に設けられてもよい。また、操作者が触る箇所に限定されず、被検者が顎受部15aに顎を載せたり額当部15bに額を接触させたりしたときに検査が開始されることを鑑みて、操作検知部16は、顎受部15aや額当部15bに設けられてもよい。
【0094】
また、操作検知部16は、タッチセンサに限定されず、顕微鏡本体10への回転操作を検知する回転センサも好適に用いられる。回転センサは、例えば、回転角を認識する機械式、光の通り抜けを感知する光学式、磁界変化に関連する磁気式、電磁誘導式等のセンサが挙げられる。また、操作検知部16は、加速度センサ、ジャイロセンサ等も好適に用いられる。
【0095】
上述のような構成の実施例2の眼科システム1では、主制御部51は、図7に示されるフローチャートのステップS7において、無操作時間の経過時間を、操作者の操作を操作検知部16が検知したときを基準にカウントできる。また、主制御部51は、ステップS9において、スリープ状態のときに、スライドテーブル202の引き出しを検知したとき、又は操作検知部16が操作者による顕微鏡本体10を把持(タッチ操作)、回転操作などの操作を検知したときに、ステップS3に進んで状態をスリープ状態から稼働状態に移行させることができる。
【0096】
実施例1と同様に、実施例2の眼科システム1は、スリープ状態でも制御装置50と撮像部60には電力が供給されているため、PC80等の外部装置との接続に時間を要することがなく、より迅速に稼働状態に復帰することができる。このとき、調光つまみ12b、スリット開閉ノブ14d及び照明強度調整つまみ14d等は、スリープ状態となる前の操作状態が維持されているため、操作者は、これらを再調整する必要がなく、より迅速かつより適切に被検眼の観察等を再開できる。
【0097】
以上説明したように、上記各実施例及び変形例の眼科システム1は、状態ごとに予め決められた所定の条件を満たすことで、細隙灯顕微鏡100の状態は、遮断状態、稼働状態及びスリープ状態の間で遷移する。また、スリープ状態では、必要最小限の部位のみに電力を供給しているため、消費電力が抑えられる。また、スリープ状態では、細隙灯顕微鏡100の少なくとも一部が機能しているため、細隙灯顕微鏡100は、稼働状態へ速やかに復帰でき、被検眼の観察等を迅速に行える。また、スリープ状態から稼働状態への移行は、スリープ状態において、操作者がスライドテーブル202(可動板)を引き出すことで行われる。したがって、上記各実施例及び変形例の眼科システム1は、消費電力の低減が可能で、稼働状態とスリープ状態の切り替えを、より簡易に行うことができる。この結果、操作者は、被検眼の観察等を適切かつ効率的に行うことができる。
【0098】
また、上記各実施例及び変形例の眼科システム1では、スライドテーブル202(可動板)の引き出し動作を検知するテーブル検知部203(可動板検知部)を備える。そして、主制御部51は、スリープ状態において、テーブル検知部203がスライドテーブル202の引き出し動作を検知したとき、状態を稼働状態に移行させる。このため、眼科システム1は、テーブル検知部203での検知結果に基づいて、稼働状態とスリープ状態の切り替えを、より簡易に行うことができる。また、テーブル検知部203が、スライドテーブル202又はベース部201に設けられた光センサであることから、スライドテーブル202の動作をより精度良く、低コストに検知できる。
【0099】
また、上記各実施例及び変形例の眼科システム1では、主制御部51は、稼働状態において、テーブル検知部203がスライドテーブル202の収納を検知したとき、状態を前記スリープ状態に移行させる。さらに主制御部51は、稼働状態において、テーブル検知部203が、スライドテーブル202が引き出されたことを検知してから所定時間が経過したとき、状態をスリープ状態に移行させる。このため、眼科システム1は、テーブル検知部203での検知結果に基づいて、稼働状態とスリープ状態の切り替えを、より簡易に行うことができる。
【0100】
また、実施例2の眼科システム1は、検査条件を調整する調整部(調光つまみ12b等)と、この調整部とは別に、調整部の操作以外の操作者の所定の操作を検知する操作検知部16(例えば、タッチセンサ、回転センサ等)を備える。そして、主制御部51は、スリープ状態において、操作検知部16が所定の操作を検知したときに、状態を稼働状態に移行させる。このため、実施例2の眼科システム1は、操作検知部16での操作者は操作の検知結果に基づいて、スリープ状態から稼働状態への復帰を、より簡易かつ、より短時間で行うことができる。
【0101】
また、上記各実施例及び変形例の眼科システム1は、眼科装置の通電状態に応じて点灯又は消灯する確認表示灯23(表示灯)を有する。主制御部51は、稼働状態とスリープ状態とで、異なる態様で発光するように確認表示灯23を制御する。この結果、操作者は、眼科システム1の状態を、明確に把握できる。
【0102】
以上、本開示の眼科システム1を実施例及び変形例に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0103】
上記各実施例及び変形例の眼科システム1の主制御部51は、稼働状態において、無操作時間が所定時間を超えたときに、状態をスリープ状態に移行させている。これに対して、主制御部51は、稼働状態において、テーブル検知部203がスライドテーブル202の収納を検知してから、所定時間が経過したとき、状態をスリープ状態に移行させる構成とすることもできる。
【0104】
また、上記各実施例及び変形例の眼科システム1のテーブル検知部203は、光センサから構成されているが、これに限定されない。変形例として、テーブル検知部203は、振動センサにより構成されてもよい。このテーブル検知部203は、例えば、スライドテーブル202に取り付けられ、引き出し作や収納のためのスライドテーブル202の移動による振動を検知する。この振動を検知すると、テーブル検知部203は検知信号を主制御部51に出力する。このため、主制御部51は、例えば、検知信号を受信した回数等に応じてスライドテーブル202が引き出されたか、又は収納されたかを判定でき、この判定結果を状態遷移の条件判定に用いることができる。
【0105】
また、スライドテーブル202の動作は、テーブル検知部203で検知するものでなくてもよい。変形例として、眼科システムは、スライドテーブル202の周囲を撮影する撮像部を備え、主制御部51は、撮像部で撮影した画像を解析して、スライドテーブル202の動作を判定する構成とすることもできる。
【0106】
また、上記各実施例及び変形例の眼科システム1は、稼働状態とスリープ状態とで、異なる態様で確認表示灯23を発光させている。これに対して、変形例として、眼科システム1は、確認表示灯23とは別に状態表示灯を備え、稼働状態とスリープ状態とで、異なる態様で状態表示灯を発光させてもよい。具体的には、状態表示灯は、「スリープ状態」では点滅し、「稼働状態」では点灯したり、稼働状態とスリープ状態とで発光色を変化させたり(例えば、スリープ状態では赤色や黄色で発光、稼働状態では白色で発光)するものであってもよい。したがって、操作者等は、状態表示灯を視認することで、眼科システム1の状態を容易に把握できる。
【0107】
さらに異なる変形例として、眼科システム1は、確認表示灯23の発光態様と、状態表示灯の発光態様の組み合わせによって、状態を操作者等に知らしめてもよい。具体的には、確認表示灯23は、全部が通電状態又は一部が通電状態(電源ON)では点灯し、電源OFFでは消灯するよう制御される。状態表示灯は、「遮断状態」及び「スリープ状態」では消灯し、「稼働状態」では点灯するよう制御される。したがって、操作者等は、確認表示灯23及び状態表示灯の双方が消灯していれば「遮断状態」であることがわかり、確認表示灯23が点灯して状態表示灯が消灯していれば「スリープ状態」であることがわかる。操作者等は、確認表示灯23及び状態表示灯の双方が点灯していれば「稼働状態」であることがわかる。
【0108】
また、眼科システム1は、眼科装置又は光学台200に、調光つまみ12b等の調整部とは別に、スリープ状態から稼働状態に移行させるための操作部を操作検知部として備えていてもよい。この操作部は、例えば、上下に移動し操作者による押し下げ操作を検知するタクタイルスイッチが好適に上げられる。主制御部51は、スライドテーブル202が引き出され、かつスリープ状態において、操作検知部が操作者による押し下げ操作を検知したときに、状態を稼働状態に移行させる。これにより、眼科システム1は、より迅速に状態をスリープ状態から稼働状態に復帰させることができる。
【0109】
また、上記各実施例及び変形例の眼科システム1の眼科装置は、細隙灯顕微鏡の例を示したが、本開示が適用される眼科システムが備える眼科装置は、細隙灯顕微鏡に限定されない。例えば、眼科装置は、遠用検査、中用検査、近用検査、コントラスト検査、夜間検査、グレア検査、ピンホール検査、立体視検査等の自覚屈折測定や、視野検査等の自覚検査が可能な眼科装置でもよい。また、本開示の眼科装置は、被検眼の眼特性や、被検眼の画像(例えば前眼部画像)を他覚的に取得する眼科装置、他覚屈折測定(レフ測定)、角膜形状測定(ケラト測定)、眼圧測定、眼底撮影、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)を用いた眼底断層像撮影(OCT撮影)、OCTを用いた計測等を他覚的に行う眼科装置でもよい。また、本開示の眼科装置は、このような自覚検査及び他覚検査を実行可能な光学系が組み合された眼科装置でもよい。
【0110】
また、上記各実施例及び変形例の眼科システム1の固視部33は、外部に設けられた外部固視灯(LED)であるが、これに限定されず、近点棒に吊り下げられた視標板等でもよい。また、固視部33は、外部に設けられたものに限定されず、例えば、観察系40の観察光学系に設けられた内部固視標であってもよい。内部固視標は、例えば、液晶ディスプレイ等に表示されて、被検眼に提示される視標とすることができる。また、撮像部60や制御装置50と接続される外部装置は、PC80に限定されず、例えば、サーバであってもよいし、他の眼科装置であってもよい。第1のスリープ状態においても、撮像部60及び制御装置50は機能しているため、稼働状態への復帰のときに、これらとの接続のための時間を削減でき、眼科装置は、より迅速に稼働状態に復帰できる。
【符号の説明】
【0111】
1 :眼科システム 12b :調光つまみ(調整部)
12c :操作レバー(調整部) 14d :スリット開閉ノブ(調整部)
16 :操作検知部 20 :主電源部(電源部)
23 :確認表示灯 30 :照明系
33 :固視部 43 :観察倍率調整ハンドル(調整部)
50 :制御装置 51 :主制御部
60 :撮像部 72 :照明強度調整つまみ(調整部)
100 :細隙灯顕微鏡(眼科装置) 200 :光学台
201 :ベース部 202 :スライドテーブル(可動板)
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7