(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145618
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】給湯システム、および、当該給湯システムを制御するためにコンピュータが実行する方法
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20241004BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20241004BHJP
F24H 15/18 20220101ALI20241004BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20241004BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20241004BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20241004BHJP
【FI】
F24D17/00 B
F24H1/00 Z
F24H15/18
F24H15/395
F24H15/45 101
F24H15/281
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058054
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛英
【テーマコード(参考)】
3L073
3L122
【Fターム(参考)】
3L073AB02
3L073AC01
3L073AC08
3L073AD06
3L073AE01
3L073AE05
3L073AE08
3L073AE09
3L122AA03
3L122AA14
3L122AA34
3L122AA54
3L122AA63
3L122AA65
3L122BA12
3L122DA11
3L122EA01
3L122EA03
3L122FA03
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA24
3L122FA28
(57)【要約】
【課題】上限値を超える温度の湯が供給されることを防止する。
【解決手段】給湯システムが実行する処理は、ユーザから給湯システムにより供給される湯の温度(設定温度)の入力を受け付けるステップ(S210)と、各給湯器のプロセッサが、当該設定温度が当該給湯器によって供給可能な湯の温度の上限値を上回るか否かを判断するステップ(S230)と、当該設定温度が当該上限値を上回る場合に(ステップS230にてYES)、設定温度が上限値を上回る旨をシステムコントローラに通知するステップ(S240)と、給湯動作を禁止する信号を全ての給湯器に対して送信するステップ(S245)と、給湯できない旨をリモートコントローラに通知するステップ(S250)と、設定温度では給湯できない旨を出力するステップ(S255)とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯システムであって、
複数の給湯器と、
前記複数の給湯器による給湯動作を制御するためのシステムコントローラとを備え、
前記複数の給湯器の各々は、
前記システムコントローラと通信して当該給湯器の動作を制御する制御装置と、
当該給湯器が給湯可能な湯の温度の上限値を保持したメモリとを含み、
前記システムコントローラは、前記給湯システムによって供給される湯の設定温度を各前記給湯器に送信し、
各前記制御装置はそれぞれ、前記設定温度が前記上限値を上回るか否かを判断し、
いずれかの制御装置が、前記設定温度は前記上限値を上回ると判断したことに基づいて、当該制御装置は、前記設定温度が前記上限値を上回ることを前記システムコントローラに通知し、
前記システムコントローラは、前記複数の給湯器の各々の運転を禁止する、給湯システム。
【請求項2】
給湯システムであって、
複数の給湯器と、
前記複数の給湯器と通信して各前記給湯器による給湯動作を制御するためのシステムコントローラとを備え、
前記複数の給湯器の各々は、
前記システムコントローラと通信して当該給湯器の動作を制御する制御装置と、
当該給湯器が給湯可能な湯の温度の上限値を保持したメモリとを含み、
前記システムコントローラは、
前記給湯システムによって供給される湯の設定温度がいずれかの前記上限値を上回るか否かを判断し、
前記設定温度がいずれかの前記上限値を上回ると判断したことに基づいて、前記複数の給湯器の各々の運転を禁止する、給湯システム。
【請求項3】
前記システムコントローラは、前記設定温度が前記上限値を上回ることを前記給湯システムの外部に通知する、請求項1または2に記載の給湯システム。
【請求項4】
複数の給湯器を備える給湯システムを制御するためにコンピュータが実行する方法であって、
前記給湯システムに供給される湯の設定温度が、前記複数の給湯器のいずれかが供給可能な湯の温度の上限値を上回るか否かを判断するステップと、
前記設定温度が、前記上限値を上回ると判断したことに基づいて、前記設定温度での湯の供給を禁止するステップとを含む、方法。
【請求項5】
前記設定温度が前記上限値を上回ることを前記給湯システムの外部に通知するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の給湯器から構成される給湯システムの制御に関し、より特定的には、各給湯器の動作の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一台のシステムコントローラに接続された複数の給湯装置が連結して運転する給湯システムが知られている(たとえば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-357361号公報
【特許文献2】特開2012-117782号公報
【特許文献3】特開2017-187194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような給湯システムを構成する各給湯装置の性能は必ずしも同じとは限らない。異なる性能を有する給湯装置が給湯システムを構成する場合があり得る。たとえば、給湯装置の中には、予め指定された制限温度(例、50℃(=華氏122度))以上の湯を出さないという制限が課せられた給湯装置(50℃制限品、低温品ともいう。)が存在する。複数の制限品のみで給湯システムを構成すれば当該制限温度以上の湯が供給されないので問題は生じない。
【0005】
しかしながら、例えば、50℃以上も供給可能な通常の給湯装置と当該低温品とが混在した給湯システムが構成される場合もあり得る。この場合、制限温度以上の温度が給湯温度として設定可能となるため、当該給湯システムは、制限温度より高温の湯を出力する恐れがある。したがって、制限温度以上の湯が供給されない技術が必要とされている。
【0006】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面に従う目的の一つは、複数の給湯装置が混在しても制限温度以上の湯が供給されない給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)ある実施の形態に従う給湯システムは、複数の給湯器と、複数の給湯器による給湯動作を制御するためのシステムコントローラとを備える。複数の給湯器の各々は、システムコントローラと通信して当該給湯器の動作を制御する制御装置と、当該給湯器が給湯可能な湯の温度の上限値を保持したメモリとを含む。システムコントローラは、給湯システムによって供給される湯の設定温度を各給湯器に送信する。各制御装置はそれぞれ、設定温度が上限値を上回るか否かを判断する。いずれかの制御装置が、設定温度は上限値を上回ると判断したことに基づいて、当該制御装置は、設定温度が上限値を上回ることをシステムコントローラに通知する。システムコントローラは、複数の給湯器の各々の運転を禁止する。
【0008】
(2)他の実施の形態に従う給湯システムは、複数の給湯器と、複数の給湯器と通信して各給湯器による給湯動作を制御するためのシステムコントローラとを備える。複数の給湯器の各々は、システムコントローラと通信して当該給湯器の動作を制御する制御装置と、当該給湯器が給湯可能な湯の温度の上限値を保持したメモリとを含む。システムコントローラは、給湯システムによって供給される湯の設定温度がいずれかの上限値を上回るか否かを判断し、設定温度がいずれかの上限値を上回ると判断したことに基づいて、複数の給湯器の各々の運転を禁止する。
【0009】
(3)ある局面において、システムコントローラは、設定温度が上限値を上回ることを給湯システムの外部 に通知する。
【0010】
(4)他の実施の形態に従うと、複数の給湯器を備える給湯システムを制御するためにコンピュータが実行する方法が提供される。この方法は、給湯システムに供給される湯の設定温度が、複数の給湯器のいずれかが供給可能な湯の温度の上限値を上回るか否かを判断するステップと、設定温度が、上限値を上回ると判断したことに基づいて、設定温度での湯の供給を禁止するステップとを含む。
【0011】
(5)ある局面に従う方法は、設定温度が上限値を上回ることを給湯システムの外部に通知するステップをさらに含む。
【0012】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ある実施の形態に従う給湯システム100の構成を例示する図である。
【
図2】ある実施の形態に従う給湯システム100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図3】リモートコントローラ120が備えるタッチパネル121に、表示される画面の一例を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
[ハードウェア構成]
図1を参照して、給湯システム100の構成について説明する。
図1は、ある実施の形態に従う給湯システム100の構成を例示する図である。給湯システム100は、システムコントローラ110と、リモートコントローラ120と、複数の給湯器130,140,150とを備える。システムコントローラ110は、通信可能に給湯器130に接続されている。接続の形態は、有線および無線のいずれであってもよい。3つの給湯器130,140,150が
図1に例示されているが、システムコントローラ110に接続可能な給湯器の数は3台に限られない。4台以上の給湯器がシステムコントローラ110に接続されて、一つの給湯システムを構成し得る。
【0016】
リモートコントローラ120は、タッチパネル121を含む。タッチパネル121は、モニタ122を含む。タッチパネル121は、給湯システム100のユーザの指示を受け付けて、当該指示に応じた信号を給湯器130に送信する。モニタ122は、液晶モニタ、有機EL(Electro Luminescence)その他の表示装置である。モニタ122に表示される内容は、例えば、ユーザに設定された内容と、給湯システム100の状態を示す情報と、メッセージとを含み得るがその他の情報も表示され得る。メッセージは、操作案内、警告等を含む。リモートコントローラ120が受け付ける指示は、給湯システム100から供給される湯の温度の設定値を含む。
【0017】
図1の例示では、リモートコントローラ120は、給湯器130に接続されているが、他の給湯器140,150もそれぞれ、リモートコントローラと通信可能であってもよい。この場合、いずれかのリモートコントローラが設定温度の入力を受け付けている場合、他のリモートコントローラは設定温度の入力を受け付けなくてもよい。たとえば、設定温度の入力を受け付けたリモートコントローラは、設定温度および当該リモートコントローラの識別番号をシステムコントローラ110に送信する。システムコントローラ110は、リモートコントローラの識別番号および設定温度と、それらの受信時刻とを関連付けて、メモリ112に格納する。その後、他のリモートコントローラが別の設定温度を受け付けると、当該他のリモートコントローラは、自身の識別番号と当該別の設定温度をシステムコントローラ110に送信する。システムコントローラ110は、既に、設定温度の入力を受け付けているため、その旨を、当該他のリモートコントローラに通知する。これにより、設定温度が重複して入力されることが防止され得る。
【0018】
給湯器130は、制御装置131を含む。制御装置131は、メモリ132を有する。メモリ132は、給湯器130の識別番号と、給湯器130が供給可能な湯の温度の上限値(たとえば、70℃(=華氏158度))とを保持している。制御装置131は、メモリ132に格納されているプログラムおよびデータに基づいて給湯器130の運転を制御する。したがって、給湯器130は、単独で作動する場合には、70℃までのお湯を供給することができる。
【0019】
給湯器140は、制御装置141を含む。制御装置141は、メモリ142を有する。メモリ142は、給湯器140の識別番号と、給湯器140が供給可能な湯の温度の上限値(たとえば、50℃)とを保持している。制御装置141は、メモリ142に格納されているプログラムおよびデータに基づいて給湯器140の運転を制御する。したがって、給湯器140は、単独で作動する場合には、50℃までのお湯を供給することができる。
【0020】
給湯器150は、制御装置151を含む。制御装置151は、メモリ152を有する。メモリ152は、給湯器150の識別番号と、給湯器150が供給可能な湯の温度の上限値(たとえば、50℃)とを保持している。制御装置151は、メモリ152に格納されているプログラムおよびデータに基づいて給湯器150の運転を制御する。したがって、給湯器150は、単独で作動する場合には、50℃までのお湯を供給することができる。
【0021】
システムコントローラ110は、給湯システム100を構成する各給湯器130,140,150とそれぞれ通信可能に接続されている。システムコントローラ110は、プロセッサ111と、メモリ112とを含む。ある局面において、プロセッサ111は、各給湯器130,140,150に命令を送り、各給湯器130,140,150から、各々の上限値や状態を表わすデータを受信する。他の局面において、メモリ112は、各給湯器130,140,150においてそれぞれ設定されている給湯温度の上限値(70℃、50℃、50℃)を、当該給湯器の識別情報と関連付けて保持してもよい。
【0022】
[設定温度が上限値以下の場合]
ある局面において、給湯システム100のユーザがリモートコントローラ120のタッチパネル121を操作して給湯の設定温度を50℃に設定して給湯動作を指示すると、リモートコントローラ120は、当該設定温度を表わす情報(50℃)と、給湯動作の指示信号とを給湯器130に送信する。
【0023】
給湯器130は、当該設定温度および指示信号をシステムコントローラ110に送信する。さらに、給湯器130は、当該設定温度(50℃)と、メモリ132に保持している上限値(70℃)とを比較する。給湯器130は、設定温度が上限値を上回らないと判断すると、その判断の結果をシステムコントローラ110に通知する。
【0024】
システムコントローラ110は、給湯器130から受信した当該設定温度および指示信号を他の給湯器140,150に送信する。
【0025】
給湯器140は、当該設定温度(50℃)と、メモリ142に保持している上限値(50℃)とを比較する。給湯器140は、設定温度が上限値を上回らないと判断すると、その判断の結果をシステムコントローラ110に通知する。
【0026】
同様に、給湯器150は、当該設定温度(50℃)と、メモリ152に保持している上限値(50℃)とを比較する。給湯器150は、設定温度が上限値を上回らないと判断すると、その判断の結果をシステムコントローラ110に通知する。
【0027】
システムコントローラ110は、リモートコントローラ120に入力された設定温度が全ての給湯器130,140,150における上限値を上回らないことを確認すると、設定温度(50℃)での給湯動作を各給湯器130,140,150に指示する。たとえば、システムコントローラ110は、いずれかの給湯器に当該給湯動作を指示する。この場合は、予め指定された順序に従っていずれかの給湯器が給湯動作を指示し得る。あるいは、システムコントローラ110は、全ての給湯器130,140,150に対して給湯動作を指示してもよい。
【0028】
[設定温度が上限値を上回る場合]
他の局面において、給湯システム100のユーザは、いずれかの給湯器によって供給される湯の温度の上限値(例、50℃)を超える温度を給湯の設定温度(例、70℃)としてリモートコントローラ120に入力する場合があり得る。この場合、給湯システム100は、設定温度が上限値を超えるとして、給湯動作を開始しない。
【0029】
より具体的には、タッチパネル121は、設定温度の入力と給湯指示の入力を受け付けると、受け付けた内容をモニタ122に表示する。たとえば、ユーザが給湯システム100から70℃のお湯を得ようとするために、設定温度を70℃としてタッチパネル121に入力すると、モニタ122は、給湯器130に入力された設定温度が70℃である旨を表示する。
【0030】
その後、ユーザが運転開始を指示する操作を行うと、リモートコントローラ120は、設定温度の情報を、リモートコントローラ120に接続されている給湯器130に送信する。給湯器130は、リモートコントローラ120から設定温度の情報を受信すると、制御装置131は、当該情報をシステムコントローラ110に送信する。
【0031】
・システムコントローラによる判定
ある局面において、給湯システム100による給湯を禁止するか否かの判断は、システムコントローラ110によって行われる。より具体的には、システムコントローラ110は、設定温度の情報を給湯器130から受信すると、供給可能な湯の温度の上限値をシステムコントローラ110に送信するように、給湯器130,140,150に指示する。
【0032】
給湯器130は、当該送信命令を受信すると、システムコントローラ110に対して上限値(70℃)を示す情報を送信する。給湯器140は、当該送信命令を受信すると、システムコントローラ110に対して上限値(50℃)を示す情報を送信する。給湯器150は、当該送信命令を受信すると、システムコントローラ110に対して上限値(50℃)を示す情報を送信する。
【0033】
システムコントローラ110が給湯器130,140,150から、各上限値を受信すると、プロセッサ111は、設定値が、各給湯器130,140,150から受信した上限値を上回るか否かを判断する。プロセッサ111は、当該設定温度が上限値を上回ると判断すると、その旨を含む信号を給湯器130に送信する。給湯器130は、設定温度が給湯システム100の上限値(50℃)を超えている旨を含む信号をリモートコントローラ120に送信する。
【0034】
リモートコントローラ120は、給湯器130から当該信号を受信すると、モニタ122にその旨を表示し、あるいは、スピーカ(図示しない)から設定異常を報知する音声を出力する。さらに、リモートコントローラ120は、設定温度での運転を禁止する信号を給湯器130に送信してもよい。
【0035】
これにより、複数の給湯器130,140,150の各々に設定された上限値を上回る温度が給湯の設定温度として給湯システム100に与えられたとしても、給湯システム100は全体として給湯動作を開始しないので、高温の湯が誤って供給されることが防止される。
【0036】
・給湯器による判定
他の局面において、給湯システム100を構成する複数の給湯器130,140,150のうちいずれかの給湯器が、システムコントローラ110に代わって、設定温度による湯の供給が可能かどうかを判定してもよい。
【0037】
たとえば、給湯器130は、リモートコントローラ120から設定温度の情報を受信すると、他の給湯器140,150に対して、各々の上限値を給湯器130に送信するように指示する。給湯器130のプロセッサ111は、自らの上限値および他の給湯器140,150から受信した上限値と、当該設定温度とをそれぞれ比較する。設定温度が各上限値を上回る場合には、プロセッサ111は、システムコントローラ110およびリモートコントローラ120にその旨を通知する。システムコントローラ110は、当該通知を受信すると、給湯器130,140,150に対して燃焼指令を発出しない。リモートコントローラ120は、その旨を表わすメッセージをモニタ122に表示する。あるいは、リモートコントローラ120は、その旨を表わす音声をスピーカ(図示しない)から出力する。
【0038】
これにより、複数の給湯器130,140,150の各々に設定された上限値を上回る温度が給湯の設定温度として給湯システム100に与えられたとしても、いずれかの給湯器は、燃焼動作を開始する前に、設定温度が上限値を上回ることを検知する。給湯システム100は全体として給湯動作を開始しないので、高温の湯が誤って供給されることが防止される。
【0039】
・リモートコントローラによる判定
さらに他の局面において、リモートコントローラ120が、システムコントローラ110や、複数の給湯器130,140,150に代わって、設定温度による給湯を実行するか否かを判断してもよい。
【0040】
たとえば、リモートコントローラ120は、ユーザから設定温度の入力を受け付けると、給湯器130が供給する湯の温度の上限値をリモートコントローラ120に送信するように、給湯器130に指示する。給湯器130は、当該指示に基づいて、他の給湯器140,150が供給する湯の温度の上限値をリモートコントローラ120に送信するように、他の給湯器140,l50に指示する。他の給湯器140,l50は、当該指示に応答して、それぞれ、上限値を給湯器130に送信する。給湯器130は、自らの上限値と、給湯器140,l50の上限値とをリモートコントローラ120に送信する。
【0041】
リモートコントローラ120は、入力された設定温度が各上限値を上回るか否かを判断する。設定値がいずれかの上限値を上回ると、リモートコントローラ120は、モニタ122に、その旨を表示する。さらに、リモートコントローラ120は、当該設定温度に基づく燃焼指令を給湯器130,140,150に送信しない。これにより、高温の湯が誤って供給されることが防止される。
【0042】
[制御構造]
図2を参照して、給湯システム100の制御構造について説明する。
図2は、ある実施の形態に従う給湯システム100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0043】
ステップS210にて、リモートコントローラ120は、ユーザから給湯システム100により供給される湯の温度(設定温度)の入力を受け付ける。
【0044】
ステップS215にて、リモートコントローラ120は、設定温度を給湯器130に通知する。
【0045】
ステップS220にて、給湯器130は、設定温度をシステムコントローラ110に送信する。
【0046】
ステップS225にて、システムコントローラ110は、設定温度を他の給湯器140,l50に通知する。
【0047】
ステップS230にて、各給湯器130,140,150のプロセッサはそれぞれ、当該設定温度が当該給湯器によって供給可能な湯の温度の上限値を上回るか否かを判断する。各給湯器は他の給湯器と通信して、判断結果を共有する。いずれかのプロセッサが、当該設定温度が当該上限値を上回ると判断すると(ステップS230にてYES)、制御をステップS240に切り換える。そうでない場合、すなわち、当該設定温度が全ての上限値を上回らない場合には(ステップS230にてNO)、制御をステップS260に切り換える。
【0048】
ステップS240にて、設定温度が上限値を上回ると判断した給湯器は、設定温度が上限値を上回る旨をシステムコントローラ110に通知する。
【0049】
ステップS245にて、システムコントローラ110は、給湯動作を禁止する信号を、全ての給湯器130,140,150に対して送信する。これにより、全ての給湯器130,140,150は、例えば燃焼動作を開始しない。
【0050】
ステップS250にて、システムコントローラ110は、給湯できない旨をリモートコントローラ120に通知する。
【0051】
ステップS255にて、リモートコントローラ120は、設定温度では給湯できない旨を出力する。たとえば、リモートコントローラ120は、その旨を表わすメッセージをモニタ122に表示する。他の局面において、リモートコントローラ120は、その旨を表わす音声をスピーカ(図示しない)から出力する。さらに他の局面において、リモートコントローラ120は、給湯システム100の外部、たとえば、他のリモート制御装置として通信可能に接続されている携帯情報通信端末(たとえば、スマートフォン、タブレット端末)に、その旨を通知してもよい。
【0052】
ステップS260にて、システムコントローラ110は、通常の給湯動作を開始する。たとえば、システムコントローラ110は、全ての給湯器130,140,150に、あるいは、一つの給湯器に対して、給湯動作を指示する。この場合、一つの給湯器は、予め定められた順序に従って、あるいは、ランダムに選択され得る。
【0053】
上記の処理は、給湯器130,140,150がそれぞれ、設定温度が上限値を上回るか否かを判断する場合の処理である。他の局面において、リモートコントローラ120あるいはシステムコントローラ110が、当該設定値は、各給湯器130,140,150の上限値を上回るか否かを判断してもよい。
【0054】
さらに他の局面において、給湯システム100と通信可能な外部の通信端末(たとえば、スマートフォン)が設定温度の入力を受け付ける場合、当該外部の通信端末が上記の判断を行なってもよい。この場合、外部の通信端末は、設定温度の入力を受け付けると、たとえばリモートコントローラ120と通信して、各給湯器130,140,150の上限値の送信要求をリモートコントローラ120に送信する。リモートコントローラ120は、当該送信要求に応答して、当該上限値を各給湯器130,140,150から取得する。リモートコントローラ120は、取得した上限値を当該外部の通信端末に送信する。当該外部の通信端末は、設定温度が、受信した上限値のいずれかよりも上回るか否かを判断する。設定温度がいずれかの給湯器の上限値を上回る場合、当該外部の通信端末は、その旨をモニタ(図示しない)に表示する。
【0055】
[画面の表示態様]
図3を参照して、リモートコントローラ120における画面の表示について説明する。
図3は、リモートコントローラ120が備えるタッチパネル121に、表示される画面の一例を表わす図である。
【0056】
給湯システム100を構成する複数の給湯器130,140,150のうち給湯器140,150では、供給可能な湯の温度の上限値が50℃に設定されている。
【0057】
したがって、設定温度が70℃である場合、当該設定温度は、給湯器130,140の上限値を上回ることになる。したがって、タッチパネル121は、その旨を表わすメッセージ300を表示する。これにより、給湯システム100のユーザは、設定温度が上限値を上回っていることを認識できるので、改めて設定温度を入力する。
【0058】
以上のようにして、本実施の形態に従うと、複数の給湯器から構成される給湯システム100に対して、各給湯器について設定された湯の温度の上限値を上回る設定温度が入力されると、給湯システム100は、給湯動作を開始しない。これにより、不用意に高温の湯が供給されることが防止される。
【0059】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
開示された技術的特徴は、複数の給湯器を連結することにより構成される給湯システムに対して利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
100 給湯システム、110 システムコントローラ、111 プロセッサ、112,132,142,152 メモリ、120 リモートコントローラ、121 タッチパネル、122 モニタ、130,140,l50 給湯器、131,141,151 制御装置、300 メッセージ。