(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145622
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】台車及び台車ロックシステム
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20241004BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B62B5/00 C
E05B65/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058059
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
(72)【発明者】
【氏名】赤池 文敏
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050KK02
(57)【要約】
【課題】 台車にロック装置を設けて当該台車を壁等に固定可能な構成とした場合においては、当該ロック装置がロック状態であるか非ロック状態であるかを利用者が覚知可能とする。
【解決手段】 台車は、ロック装置13のロック状態に対応する第1ロック位置と非ロック状態に対応する第1非ロック位置との間で変位可能な連動変位部材23と、ロック状態に対応する第2ロック位置と非ロック状態に対応する第2非ロック位置との間で変位可能な操作部材24であって、連動変位部材23に当該操作力を伝達して当該連動変位部材23を第1非ロック位置に変位させる操作部材24と、操作部材24に弾性力を作用させるバネ25とを備える。これにより、利用者は、連動変位部材23と操作部材24との相対位置関係を把握することにより、ロック装置13がロック状態であるか又は非ロック状態であるかを覚知することが可能となり得る。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁状の部位に固定されたストライカーに係止可能な台車において、
前記ストライカーを咥え込むようにして当該ストライカーと係止可能なロック装置であって、当該ストライカーと係止するロック状態と当該ロック状態が解除された非ロック状態とを切替可能なロック装置と、
前記ロック装置の状態に連動して変位する連動変位部材であって、ロック状態に対応する第1ロック位置と非ロック状態に対応する第1非ロック位置との間で変位可能な連動変位部材と、
ロック状態に対応する第2ロック位置と非ロック状態に対応する第2非ロック位置との間で変位可能な操作部材であって、第2ロック位置にあるときに操作力を受けて第2非ロック位置に変位する際に、前記連動変位部材に当該操作力を伝達して当該連動変位部材を第1非ロック位置に変位させる操作部材と、
前記操作部材に弾性力を作用させるバネであって、当該操作部材が記第2ロック位置から第2非ロック位置に変位する際に弾性変形量が増大するバネと
を備える台車。
【請求項2】
前記連動変位部材は、前記操作部材に対して変位可能に連結され、
前記連動変位部材及び前記操作部材には、当該操作部材が操作力を受けて第2ロック位置から第2非ロック位置側に変位する際に、互いに接触して当該操作力を伝達する当接部が設けられており、
さらに、前記連動変位部材は、前記ロック装置に操作力を伝達する操作ケーブルが連結されている請求項1に記載の台車。
【請求項3】
物品が載置される台座を備え、
前記連動変位部材、前記操作部材及び前記バネは、前記台座の下面側に配置されており、
さらに、前記連動変位部材には、当該連動変位部材が第1非ロック位置にあるときに、利用者が目視可能な状態となるインジケータが設けられている請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記操作部材には、複数の前記連動変位部材が連結されている請求項2に記載の台車、
【請求項5】
壁状の部位に固定されたストライカーと、
前記ストライカーに係止可能な台車とを具備する台車ロックシステムにおいて、
前記台車は、
前記ストライカーを咥え込むようにして当該ストライカーと係止可能なロック装置であって、当該ストライカーと係止可能なロック状態と当該ロック状態が解除された非ロック状態とを切替可能なロック装置と、
前記ロック装置の状態に連動して変位する連動変位部材であって、ロック状態に対応する第1ロック位置と非ロック状態に対応する第1非ロック位置との間で変位可能な連動変位部材と、
ロック状態に対応する第2ロック位置と非ロック状態に対応する第2非ロック位置との間で変位可能な操作部材であって、第2ロック位置にあるときに操作力を受けて第2非ロック位置に変位する際に、前記連動変位部材に当該操作力を伝達して当該連動変位部材を第1非ロック位置に変位させる操作部材と、
前記操作部材に弾性力を作用させるバネであって、当該操作部材が記第2ロック位置から第2非ロック位置に変位する際に弾性変形量が増大するバネと
を備える台車ロックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、壁等に固定可能な台車及び台車ロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示される台車では、台車を壁等に固定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、台車にロック装置を設けて当該台車を壁等に固定可能な構成とした場合においては、当該ロック装置がロック状態であるか非ロック状態であるかを利用者が覚知可能であることが望ましい。本開示は、当該点に鑑みた台車及び台車ロックシステムの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
壁状の部位に固定されたストライカー(2)に係止可能な台車は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
すなわち、当該構成要件は、ストライカー(2)を咥え込むようにして当該ストライカー(2)と係止可能なロック装置(13)であって、当該ストライカー(2)と係止するロック状態と当該ロック状態が解除された非ロック状態とを切替可能なロック装置(13)と、ロック装置(13)の状態に連動して変位する連動変位部材(23)であって、ロック状態に対応する第1ロック位置と非ロック状態に対応する第1非ロック位置との間で変位可能な連動変位部材(23)と、ロック状態に対応する第2ロック位置と非ロック状態に対応する第2非ロック位置との間で変位可能な操作部材(24)であって、第2ロック位置にあるときに操作力を受けて第2非ロック位置に変位する際に、連動変位部材(23)に当該操作力を伝達して当該連動変位部材(23)を第1非ロック位置に変位させる操作部材(24)と、操作部材(24)に弾性力を作用させるバネ(25)であって、当該操作部材(24)が記第2ロック位置から第2非ロック位置に変位する際に弾性変形量が増大するバネ(25)とでる。
【0006】
これにより、利用者は、連動変位部材(23)と操作部材(24)との相対位置関係を把握することにより、ロック装置(13)がロック状態であるか又は非ロック状態であるかを覚知することが可能となり得る。
【0007】
なお、当該台車は、以下の構成であってもよい。
すなわち、連動変位部材(23)は、操作部材(24)に対して変位可能に連結され、連動変位部材(23)及び操作部材(24)には、当該操作部材(24)が操作力を受けて第2ロック位置から第2非ロック位置側に変位する際に、互いに接触して当該操作力を伝達する当接部(23A、24B)が設けられており、さらに、連動変位部材(23)は、ロック装置(13)に操作力を伝達する操作ケーブル(21)が連結されていることが望ましい。
【0008】
さらに、物品(3)が載置される台座(11)を備え、連動変位部材(23)、操作部材(24)及びバネ(25)は、台座(11)の下面側に配置されており、さらに、連動変位部材(23)には、当該連動変位部材(23)が第1非ロック位置にあるときに、利用者が目視可能な状態となるインジケータ(23D)が設けられていることが望ましい。これにより、利用者は、ロック装置(13)がロック状態であるか又は非ロック状態であるかを目視にて覚知でき得る。
【0009】
なお、操作部材(24)には、複数の連動変位部材(23)が連結されていてもよい。
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】第1実施形態に係るロック装置及びガイド部材等を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るロック装置等を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係るロック装置及びガイド部材等を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係るロック装置及びガイド部材等を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係るロック装置及びガイド部材等を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係るロック装置及びガイド部材等を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る解除装置を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る解除装置の分解図を示す図である。
【
図12】第1実施形態に係る解除装置を示す図である。
【
図13】第1実施形態に係る解除装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
なお、以下の各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び部材又は部位の形状等を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された台車ロックシステムは、各図に付された方向に限定されない。
【0013】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。本開示に示された台車ロックシステムは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0014】
(第1実施形態)
<1.台車ロックシステムの概要>
本実施形態に係る台車ロックシステム1は、台車10(
図1参照)をストライカー2(
図2参照)に係止可能なシステムである。ストライカー2は、車両の内壁等の壁状の部位に固定された略C字状又はコの字状の係止用ワイヤーである。
【0015】
因みに、本実施形態に係るストライカー2は、エアラインレール(登録商標)等の固定用レール(図示せず。)を介して内壁等に固定されている。台車10には、物品(例えば、冷蔵庫等の什器)3が載置可能である。
【0016】
<2.台車の詳細>
台車10は、
図1に示されるように、台座11、ポスト部12、ロック装置13、ガイド部材14及び解除装置20(
図3参照)等を少なくとも備える。台座11は、物品3が載置される部位である。当該台座11には、複数の車輪11A(
図3参照)が装着されている。
【0017】
本実施形態に係る台座11は、
図3に示されるように、略矩形板状に構成されている。そして、各車輪11Aは、台座11の四隅に対応した位置に配置されている。因みに、各車輪11Aは、いわゆる「キャスター」にて構成されている。
【0018】
ポスト部12は、
図1に示されるように、台座11から立ち上がった柱状の部材である。本実施形態では、台座11の2つの角部それぞれにポスト部12が設けられている。各ポスト部12は、後方側が開口した略コの字状又は略C字状に構成されている(
図4参照)。
【0019】
なお、本説明では、
図1に示されるように、台車10のうち2つのポスト部12が設けられた部位を後方側という。そして、台座11又は物品3を挟んで当該後方側と反対側を前方側という。
【0020】
<2.1 ロック装置>
ロック装置13は、ストライカー2を咥え込むようにして当該ストライカー2と係止可能な装置である。具体的には、
図5に示されるように、ロック装置13は、凹部13A及びラッチ13B等を有している。
【0021】
凹部13Aは、ストライカー2が嵌り込む部位である。ラッチ13Bは、凹部13Aに嵌り込んだストライカー2と係止する閂である。そして、解除装置20が操作されたときに、ラッチ13Bとストライカー2との係合が解除される。
【0022】
つまり、ロック装置13は、ストライカー2とラッチ13Bとが係止するロック状態と当該ロック状態が解除された非ロック状態とを切替可能な装置である。そして、ロック状態と非ロック状態とでは、ラッチ13Bの位置が異なる。
【0023】
ロック装置13は、
図1に示されるように、各ポスト部12に少なくとも1つ設けられている。なお、本実施形態では、各ポスト部12の上端側及び下端側それぞれにロック装置13が設けられている。
【0024】
特に、ポスト部12の下端側に配置されたロック装置13は、ポスト部12の長手方向中間部より台座11側に位置する。なお、各ロック装置13は、各ポスト部12内に収納されている(
図4参照)。
【0025】
<2.2 ガイド部材>
ガイド部材14は、
図6に示されるように、ロック装置13に近接して設けられている。当該ガイド部材14は、ストライカー2を凹部13Aのうちラッチ13Bと係止可能な部位(以下、当該部位を係止部ともいう。)に案内する部材である。
【0026】
具体的には、ガイド部材14は、
図7に示されるように、ポスト部12がストライカー2に近接する際に、ストライカー2と滑り接触して当該ストライカー2をロック装置13の係止部に誘い込む部材である。
【0027】
このため、ガイド部材14には、
図6に示されるように、ストライカー2を誘い込むための凹部14Aが設けられている。当該凹部14Aは、ガイド部材14の後端から前方側に向けて窪んだ部位である。
【0028】
そして、当該凹部14Aの開口側、つまりガイド部材14の後端側には、傾斜面14Bが設けられている。当該傾斜面14Bは、前方に向かうほど開口幅Wが小さくなるように、当接面14Cの法線方向に対して傾斜した部位である。
【0029】
ガイド部材14の後端、つまり凹部14Aの開口側には、当接面14Cが設けられている。当接面14Cは、
図9に示されるように、ストライカー2がロック装置13と係止した際に、壁状の部位4(以下、壁4と記す。)に接触する面である。
【0030】
そして、ガイド部材14は、
図7及び
図8に示されるように、ポスト部12に固定されているロック装置13に対して、当接面14Cと直交する方向(本実施形態では、前後方向)に変位可能である。
【0031】
具体的には、ガイド部材14は、
図4に示されるように、ブラケット15に変位可能に支持されている。すなわち、ブラケット15は、ポスト部12に固定されている。そして、当該ブラケット15には、長穴15Aが設けられている。
【0032】
長穴15Aの長径方向は、ガイド部材14の変位方向と一致している。当該長穴15Aには、ガイド部材14に設けられたボス部14D(
図6参照)がスライド可能に嵌り込んでいる。ボス部14Dは、ガイド部材14の壁面から突出した突起状の部位である。
【0033】
そして、ブラケット15を挟んでガイド部材14と反対側、つまりブラケット15の上面側には、
図4に示されるように、プレート15Bが配置されている。プレート15Bは、ボルト15Cによりガイド部材14に締結固定されている。
【0034】
このため、ブラケット15は、プレート15Bとガイド部材14とにより挟み込まれた状態となる。そして、ボス部14Dが長穴15A内をスライド変位することにより、ガイド部材14は、ロック装置13に対して、当接面14Cと直交する方向に変位できる。
【0035】
図7に示されるように、ガイド部材14の変位方向(
図7では、前後方向)において当接面14Cと反対側、つまりガイド部材14の前端側には、バネ16が設けられている。バネ16は、当接面14Cに作用する押圧力に対抗する弾性力をガイド部材14に作用させる弾性体である。
【0036】
なお、当接面14Cに作用する押圧力とは、利用者が台車10をストライカー2にて固定すべく、当該台車10を壁4に向けて押圧した際に、当接面14Cが壁4に衝突した際に発生する反力である。
【0037】
このため、本実施形態に係るガイド部材14は、ポスト部12がストライカー2に近接する際に、当接面14Cが最初に壁4に接触するように構成されている。具体的には、ガイド部材14の変位状態によらず、当接面14Cが最も後端に位置するように構成されている。
【0038】
<2.3 解除装置>
<解除装置の概要>
解除装置20は、ロック装置13のロック状態を非ロック状態に切り替えるための装置である。解除装置20は、
図3に示されるように、操作ケーブル21及び装置本体22等を有して構成されている。
【0039】
操作ケーブル21は、利用者が装置本体22を操作したときの操作力をロック装置13に伝達する。本実施形態に係る操作ケーブル21は、引っ張り力のみを伝達するプル型の操作ケーブルである。
【0040】
そして、本実施形態では、操作ケーブル21を介して操作力がロック装置13に伝達されると、ロック装置13は、ロック状態から非ロック状態となる。さらに、ロック装置13がストライカー2に向けて押圧されてストライカー2がラッチ13Bに係止されると、ロック装置13は、操作ケーブル21に引っ張り力を作用させる。
【0041】
なお、本実施形態では、1つのロック装置13に1本の操作ケーブル21が連結されている。さらに、本実施形態では、2つの装置本体22が設けられ、かつ、各装置本体22には、
図10に示されるように、2本の操作ケーブル21が接続されている。
【0042】
そして、装置本体に22接続された2本の操作ケーブル21のうち第1の操作ケーブル21は、下端側のロック装置13に接続され、第2の操作ケーブル21は、当該ロック装置13に配置されたポスト部12の上端側のロック装置13に接続されている。
【0043】
<装置本体の詳細>
装置本体に22は、
図11に示されるように、2つの連動変位部材23、操作部材24、バネ25及びケーブル保持部26等を少なくとも備える。各連動変位部材23は、ロック装置13の状態に連動して変位する部材である。
【0044】
<連動変位部材及びケーブル保持部>
各連動変位部材23には、操作ケーブル21のインナーケーブル21Aが連結されている。そして、各連動変位部材23は、ロック状態に対応する第1ロック位置と非ロック状態に対応する第1非ロック位置との間で変位可能である。
【0045】
つまり、連動変位部材23が第1ロック位置にある場合には、当該連動変位部材23に対応するロック装置13はロック状態になっている。連動変位部材23が第1非ロック位置にある場合には、当該連動変位部材23に対応するロック装置13は非ロック状態になっている。
【0046】
なお、第1ロック位置とは、例えば、
図12の紙面左側に配置された連動変位部材23の位置をいう。第1非ロック位置とは、例えば、
図12の紙面右側に配置された連動変位部材23の位置をいう。
【0047】
つまり、第1ロック位置は、第1非ロック位置に比べて、連動変位部材23がケーブル保持部26に近接している。ケーブル保持部26は、操作ケーブル21のアウタケーシング21Bを保持するブラケットである。当該ケーブル保持部26は、台座11に対して固定されている。
【0048】
<操作部材及びバネ>
操作部材24は、利用者により操作される部材である。当該操作部材24は、ロック状態に対応する第2ロック位置(
図10及び
図12参照)と非ロック状態に対応する第2非ロック位置(
図13参照)との間で変位可能である。
【0049】
操作部材24は、台座11に設けられたレール部材(図示せず。)に変位可能に支持されている。各連動変位部材23は、操作部材24に対して変位可能な状態で当該操作部材24に支持されている。
【0050】
具体的には、各連動変位部材23は、
図12に示されるように、ボルト23B、23Cを介して操作部材24に連結されている。ボルト23Bは、操作部材24に設けられた貫通穴24C(
図4参照)に貫通挿入されている。ボルト23Cは、操作部材24に設けられた長穴状の貫通穴24D(
図4参照)に貫通挿入されている。
【0051】
ボルト23Bは、操作部材24に対して貫通穴24Cの貫通方向にスライド可能である。ボルト23Cは、操作部材24に対して貫通穴24Dの長径方向にスライド可能である。貫通穴24Cの貫通方向は、貫通穴24Dの長径方向と平行である。したがって、連動変位部材23は、操作部材24に対して貫通穴24Dの長径方向に変位できる。
【0052】
バネ25は、操作部材24が第2ロック位置から第2非ロック位置に変位する際に弾性変形量が増大するように構成されている。つまり、当該バネ25は、操作部材24を第2ロック位置に向けて変位させる弾性力を当該操作部材24に作用させる。
【0053】
したがって、操作部材24に操作力が作用していない状態では、当該操作部材24は、第2ロック位置(
図10及び
図12参照)に位置する。なお、操作部材24には、操作ハンドル24A、バネボルト25Aが設けられている。
【0054】
操作ハンドル24Aは、利用者が把持可能な部位である。バネボルト25Aは、バネ25及び操作部材24を貫通し、ねじ部がケーブル保持部26に締結されたボルトである。このため、操作部材24がケーブル保持部26に近接すると、バネ25が弾性変形する。
【0055】
操作部材24は、第2ロック位置にあるときに操作力を受けて第2非ロック位置に変位する際に、少なくとも一方の連動変位部材23に当該操作力を伝達して当該連動変位部材23を第1非ロック位置に変位させる。
【0056】
つまり、操作部材24は、
図10に示される位置にあるときに操作力を受けると、
図13に示される位置に変位するとともに、2つの連動変位部材23を
図13に示される第1非ロック位置に変位させる。
【0057】
具体的には、連動変位部材23及び操作部材24には、当接部23A、24B(
図11参照)が設けられている。当接部23A、24Bは、操作部材24が操作力を受けて第2ロック位置から第2非ロック位置側に変位する際に、互いに接触して当該操作力を連動変位部材23に伝達する部位である。
【0058】
<インジケータ>
本実施形態に係る解除装置20は、台座11の下面側に配置されている(
図3参照)。このため、利用者は、連動変位部材23が第1ロック位置及び第1非ロック位置のいずれの位置にあるかを容易に目視確認できない。
【0059】
このため、本実施形態に係る連動変位部材23には、
図11に示されるように、インジケータ23Dが設けられている。インジケータ23Dは、連動変位部材23が第1非ロック位置にあるときに、利用者が目視可能な状態となる部位である。
【0060】
具体的には、連動変位部材23が第1非ロック位置にあると、インジケータ23Dの少なくとも一部は、台座11の外縁より外方側に位置する。このため、利用者は、連動変位部材23が第1非ロック位置にあるときに、インジケータ23Dを目視でき得る。
【0061】
<3.本実施形態に係る台車の特徴>
<3.1 ガイド部等に関して>
本実施形態に係る台車10では、ガイド部材14及びバネ16は、当該台車10を壁4に固定する際に発生する衝撃力を吸収する緩衝装置として機能する。したがって、台車10及び当該台車10に載置された物品に大きな衝撃力が作用することが抑制され得る。
【0062】
そして、ガイド部材14の当接面14Cは、ポスト部12がストライカー2に近接する際に、最初に壁4に接触する位置に設けられている。これにより、ガイド部材14及びバネ16を確実に緩衝装置として機能させることができ得る。
【0063】
また、バネ16は、台車10を壁4から離間させる向きの弾性力を当該台車10に作用させることになるので、当該弾性力は、ストライカー2に係止された台車10を容易に開放させるアシスト機能を発揮する。
【0064】
さらに、ガイド部材14は、ストライカー2をロック装置13の係止部に案内するので、確実にストライカー2をロック装置13に係止させることが可能となり得る。
<3.2 解除装置に関して>
ロック装置13がロック状態である場合には、
図11に示されるように、連動変位部材23は第1ロック位置にあり、操作部材24は第2ロック位置にある。当該ロック状態において、操作力が作用して操作部材24が第2非ロック位置に変位すると、これに連動して連動変位部材23は第1非ロック位置に変位する(
図13参照)。
【0065】
これにより、第1非ロック位置に変位した連動変位部材23に対応するロック装置13が解除される。そして、当該状態において、操作力が消失すると、バネ25の弾性力により操作部材24は第2ロック位置に戻る(
図12参照)。
【0066】
このとき、仮に、ロック装置13がロック状態となると、連動変位部材23は、
図12の左側の連動変位部材23で示されるように、第1ロック位置に変位する。また、ロック装置13が非ロック状態のままであると、連動変位部材23は、
図12の右側の連動変位部材23で示されるように、第1非ロック位置に変位する。
【0067】
これにより、利用者は、連動変位部材23と操作部材24との相対位置関係を把握することにより、ロック装置13がロック状態であるか又は非ロック状態であるかを覚知することが可能となり得る。
【0068】
また、連動変位部材23が第1非ロック位置にあるときに、利用者が目視可能な状態となるインジケータ23Dが設けられている。これにより、利用者は、連動変位部材23が第1非ロック位置にあるときに、インジケータ23Dを目視でき得る。
【0069】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る台車は、4つのロック装置13を備える構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、少なくとも1つのロック装置13を備える構成であってもよい。
【0070】
上述の実施形態に係る解除装置20は、1つの解除装置20で複数のロック装置13を解除可能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、1つの解除装置20で1つのロック装置13を解除する構成、つまり1つの連動変位部材23を備える装置本体22であってもよい。
【0071】
上述の実施形態に係る解除装置20は、インジケータ23Dを有していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、インジケータ23Dが廃止された構成であってもよい。
【0072】
上述の実施形態に係る解除装置20の連動変位部材23は、操作部材24に対して変位可能に連結されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、連動変位部材23が台座11に変位可能に連結された構成であってもよい。
【0073】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1… 台車ロックシステム 2…ストライカー 3… 物品
10… 台車 11…台座 13… ロック装置
14… ガイド部材 14B…傾斜面 14C… 当接面
16… バネ 20…解除装置 21… 操作ケーブル
22… 装置本体 23…連動変位部材 23A… 当接部
23D… インジケータ 24…操作部材 26… ケーブル保持部