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特開2024-145627仕分けシステム及びそれを用いた自動倉庫システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145627
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】仕分けシステム及びそれを用いた自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241004BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65G1/00 501B
B65G1/137 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058064
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 徳其
(72)【発明者】
【氏名】林 恭矢
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022HH13
3F022LL14
3F022MM13
3F022MM36
3F022MM37
3F522AA02
3F522BB22
3F522CC01
3F522CC02
3F522HH04
3F522HH36
3F522JJ01
3F522LL59
(57)【要約】      (修正有)
【課題】出荷件数が多いが出荷品目数の少ない商品の取り扱いの生産性向上に効果を発揮する仕分けシステムを提供する。
【解決手段】格子状の棚の両面が、所定の間口で注文商品を出入可能に開放されており、格子状の棚の所定の位置に投入指示器と作業完了表示器が備えられる仕分け棚410を有し、仕分け棚410の一方の面は、投入指示器に従って、注文商品を配送先毎に振分ける個別仕分けを実行するアソーティング機能を有し、仕分け棚410の他方の面は、作業完了表示器に従って、個別仕分けが実行された注文商品を配送先に関連付けられる出荷先毎に集める集約仕分けを実行するピッキング機能を有している仕分けシステムとした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子棚の両面が、所定の間口で物品を出入可能に開放されており、前記格子棚の両面の枡目状の棚を指定する所定の位置に、各々、倉庫を管理、運用、及び、制御するシステムで作動する投入指示器と作業完了表示器とが備えられることによって機能する仕分け棚を用いる仕分けシステムであって、
前記仕分け棚の一方の面は、前記所定の位置に配備された前記投入指示器に従って、注文商品を配送先毎に振分ける個別仕分けを実行するアソーティング機能を有し、
前記仕分け棚の他方の面は、前記所定の位置に配備された前記作業完了表示器に従って、前記個別仕分けが実行された前記注文商品を前記配送先に関連付けられる出荷先毎に集める集約仕分けを実行するピッキング機能を有していることを特徴とする仕分けシステム。
【請求項2】
前記仕分け棚が、L字状であって、前記一方の面と前記多方の面の構造的及び機能的関係を保持しており、前記L字状の緯線右側と経線上側とが前記一方の面であることを特徴とする請求項1に記載の仕分けシステム。
【請求項3】
前記仕分け棚が、前記L字状の仕分け棚の一端が通る直線を線対称の中心として連設されるコの字状仕分け棚であって、前記コの字の内側の面が前記アソーティング機能を有していることを特徴とする請求項2に記載の仕分けシステム。
【請求項4】
入庫から出荷までの一連の工程が一元的に管理、運用、及び、制御されている自動倉庫システムであって、前記自動倉庫システムの出荷工程における仕分けシステムが、請求項1に記載の仕分けシステムであることを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項5】
入庫から出荷までの一連の工程が一元的に管理、運用、及び、制御されている自動倉庫システムであって、前記自動倉庫システムの出荷工程における仕分けシステムが、請求項2に記載の仕分けシステムであることを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項6】
入庫から出荷までの一連の工程が一元的に管理、運用、及び、制御されている自動倉庫システムであって、前記自動倉庫システムの出荷工程における仕分けシステムが、請求項3に記載の仕分けシステムであることを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項7】
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器が、前記自動倉庫に連設される商品出入庫システムから前記仕分けシステムに供給されることを特徴とする請求項4に記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器が、前記自動倉庫に連設される商品出入庫システムから前記仕分けシステムに供給されることを特徴とする請求項5に記載の自動倉庫システム。
【請求項9】
前記商品出入庫システムが、
自動倉庫に商品及び/又は商品収納容器を格納する商品格納工程と、前記商品及び/又は商品収納容器の中から出荷を指示された前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を仕分けする商品仕分け工程とを結び、倉庫を管理、運用、及び、制御するシステムで作動する商品出入庫システムであって、
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を出庫させる商品出庫部と、
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を一時的に貯留させる商品貯留部と、
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を前記商品仕分け工程に供給する商品供給部と、
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を前記自動倉庫に再入庫させる商品再入庫部と、を備えていることを特徴とする請求項7に記載の自動倉庫システム。
【請求項10】
前記商品出入庫システムが、
自動倉庫に商品及び/又は商品収納容器を格納する商品格納工程と、前記商品及び/又は商品収納容器の中から出荷を指示された前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を仕分けする商品仕分け工程とを結び、倉庫を管理、運用、及び、制御するシステムで作動する商品出入庫システムであって、
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を出庫させる商品出庫部と、
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を一時的に貯留させる商品貯留部と、
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を前記商品仕分け工程に供給する商品供給部と、
前記注文商品及び/又は注文商品収納容器を前記自動倉庫に再入庫させる商品再入庫部と、を備えていることを特徴とする請求項8に記載の自動倉庫システム。
【請求項11】
前記商品出庫部、前記商品供給部、及び、前記商品再入庫部が、前記商品貯留部にコンベヤで連設されていることを特徴とする請求項9に記載の自動倉庫システム。
【請求項12】
前記商品出庫部、前記商品供給部、及び、前記商品再入庫部が、前記商品貯留部にコンベヤで連設されていることを特徴とする請求項10に記載の自動倉庫システム。
【請求項13】
前記商品貯留部が、周回式コンベヤである商品出入庫システムであることを特徴とする請求項11に記載の自動倉庫システム。
【請求項14】
前記商品貯留部が、周回式コンベヤである商品出入庫システムであることを特徴とする請求項12に記載の自動倉庫システム。
【請求項15】
前記商品出庫部、前記商品貯留部、前記商品供給部、及び、前記商品再入庫部が、無人搬送車(AGV、Automatic Guided Vehicle)及び/又は自律走行搬送ロボット(AMR、Autonomous Mobile Robot)である商品出入庫システムであることを特徴とする請求項9に記載の自動倉庫システム。
【請求項16】
前記商品出庫部、前記商品貯留部、前記商品供給部、及び、前記商品再入庫部が、無人搬送車(AGV、Automatic Guided Vehicle)及び/又は自律走行搬送ロボット(AMR、Autonomous Mobile Robot)である商品出入庫システムであることを特徴とする請求項10に記載の自動倉庫システム。
【請求項17】
前記自動倉庫システムを構成する自動倉庫が、シャトル式ケース自動倉庫、スタッカクレーン式ケース自動倉庫、及び、ロボット式ケース自動倉庫のいずれかであることを特徴とする請求項4~16に記載の自動倉庫システム。
【請求項18】
前記自動倉庫に格納することによって物流効率を低下させる大型汎用商品が格納される可動式収納棚が併設されていることを特徴とする請求項17に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種多様で数多くの商品を取り扱う物流センター等において、ピッキングの頻度は高いが品目数は多くない商品を省スペースかつ仕分けミスが生じにくい効率的な仕分けシステムに関する。また、本発明は、入庫から出荷までの一連のフローを自動化させて一元管理する自動倉庫システムに適用することによって、物流効率を向上させることができる仕分けシステム及びそれを用いた自動倉庫システムである。
【背景技術】
【0002】
近年、グローバルインターネットの更なる広域化及び高速化により、市場の需要動向の変化は短周期的になり、スーパーマーケット、ホームセンター、生活協同組合、及び、EC(電子商取引、Electronic Commerce)ショップ等の荷主企業のビジネスモデルや扱う商品群の変化、輸送経路及び手段の変化、並びに、商品群によって異なる物流の変化は激しく、物流施設内における商品の入庫から出荷までの一連の物流システム、及び、物流施設から着荷主までの一連の配送システムを、変化に応じて最適化することが好ましく、また、配送システムに適した荷姿があるように、これらは相互に関係性を有している。
【0003】
具体的には、例えば、2021年のスーパーマーケット年次統計調査報告書によれば、食品では、在庫管理上の最小の品目数を数える単位であるSKU(ストックキーピングユニット、Stock Keeping Unit)が増加する傾向があるのに対し、非食品では、食品とは逆に、SKUが減少し、品目数が低下する傾向にあった(非特許文献1)。このように、扱う商品によって出荷件数及び出荷品目数が全く異なることは、それぞれに適した物流システム及び配送システムを構築する必要性があることを示している。スーパーマーケットが荷主企業であれば、物流業者及び配送業者は、スーパーマーケットからそれぞれに対応し得る物流システム及び配送システムの構築が要望され、それに応える必要性がある。このことは、更に、荷主企業にとって極めて重要な着荷主の要望に応えることにもなる。
【0004】
ところが、ECの急速な市場拡大に伴い、出荷件数及び出荷品目数が急激に増加したため、大型物流センター等では、作業効率向上及び人員削減を図ることを目的として、入庫から出荷までの一連のフローを自動化させて一元管理する自動倉庫システムに着手し、その商品仕分け工程にDPS(デジタル・ピッキング・システム、Digital Picking System)及びGTP(Goods To Person System)が導入される傾向にあった(非特許文献2及び3)。従って、このような自動倉庫システムでは、これらのピッキング・システムに適合するように、自動倉庫や自動倉庫から商品仕分け工程への注文商品及び/又は注文商品収納容器の出入庫部が構成され、物流効率の向上が図られてきた。
【0005】
このような自動倉庫システムの一例を、図1図3を用いて説明する。図1は、DPS300を備えた、従来の代表的な自動倉庫システム10の概要を示す模式図である。自動倉庫100には、格納棚101が並列して設置され、格納棚101には、商品入庫ライン102と商品及び商品収納容器搬出ラインが連設されている。更に、各格納棚101に連設されている、商品収納容器出庫コンベヤ211、商品収納容器提示コンベヤ212、及び、商品収納容器再入庫コンベヤ213から構成される連続式商品収納容器供給ライン210が、出荷容器搬入コンベヤ310、出荷容器提示コンベヤ320、及び、出荷容器搬出コンベヤ330を備えている各ピッキング・ステーション300-1~3(その他のピッキング・ステーションの符号省略)に注文商品を収納した通常商品収納容器710を供給している。このように構成されている自動倉庫システムでは、各ピッキング・ステーション300-1~3において、GTPにより、ピッキング・オペレーター810が、通常商品収納容器710から出荷容器340に所定の数量の注文商品を投入して個別配送先へのピッキングが完了する。その後、個別配送先に関連付けられる、例えば、地域毎に出荷容器が集約されて発送される。
【0006】
特に、この自動倉庫システムを構成する自動倉庫には、図2に示すシャトル式ケース自動倉庫110が好ましく(特許文献1)、図3には、出荷するための仕分けシステムとしてDPS300を採用し、自動倉庫としてシャトル式ケース自動倉庫110を採用した自動倉庫システムの物流の概要を示す平面模式図を示した(特許文献1~3)。
【0007】
図2及び3から分かるように、シャトル式ケース自動倉庫110は、水平方向X及び垂直方向Yに所定の間口を有する棚が碁盤目状に配列する商品及び/又は商品収納容器の格納棚111e1と、この格納棚111e1と商品及び/又は商品収納容器が出入する格納面の反対面で隣接する格納棚111e2とからなる格納棚111eが、所定の空間を隔てて複数対峙しており、その空間に、例えば、格納棚111d1、111e1の水平方向Xと横断方向Zへの商品及び/又は商品収納容器の往復移動を掌る伸縮アームを備えたシャトル115deとその走行レール116deが、垂直方向Zの各段に設けられている。それと共に、垂直方向Yに商品及び/又は商品収納容器の往復移動が可能となる2台のリフターコンベヤ114deを備えたリフター113deが、格納棚111dと格納棚111eとが対峙する空間8の一端に配設されており、水平方向Xと垂直方向Yとの商品及び/又は商品収納容器の自在な往復移動を媒介するため、シャトル115deとリフターコンベヤ114deとの商品及び/又は商品収納容器の受け渡しを行う仮置きコンベヤ112d、112eが各段の格納棚の一端に設けられている。また、出庫コンベヤ117d2側に位置しているリフターコンベヤ114de1は、格納棚111d2、111e1の商品及び/又は商品収納容器119d1、119eを出庫コンベヤ117d2に払い出すことができ、再入庫コンベヤ118e1側に位置しているリフターコンベヤ114de2は、再入庫コンベヤ118e1から搬送されてきたを商品及び/又は商品収納容器を受け取り、格納棚111d2、111e1の所定の位置に収納させることができる。従って、このような機構のシャトル式ケース自動倉庫110は、多種多様な出荷品目を順序に従って効率的かつ連続的にピッキング・ステーションに搬出することができる。しかも、商品及び/又は商品収納容器の横断方向Zの格納棚間移動ができるように構成させたシャトル式ケース自動倉庫は、自動倉庫内での商品及び/又は商品収納容器の適正配置も可能であり、出荷品目数の多い場合の物流効率を一層高めることができる(特許文献2及び3)。
【0008】
しかしながら、上記統計調査報告書を用いて説明したように、例えば、スーパーマーケットや生活協同組合等が荷主企業であれば、日用品ではないが生活必需品である食品等の出荷件数も出荷品目数も多い商品を扱う頻度が高いばかりか、日用品であり生活必需品であるティッシュや洗剤等の出荷件数は多いが出荷品目数が少ない商品を扱う頻度も高い。従って、ピッキングを中核とした自動倉庫システムだけでは、出荷件数が多いが出荷品目数が少ない商品の物流効率が低下するという課題が顕在化する。また、搬送する地域も限定的で、配送システムにも特殊性がある。
【0009】
そして、このような課題は、スーパーマーケットや生活協同組合等を荷主企業とする場合だけではなく、日々変化する市場の需要動向及びビジネスモデル、並びに、荷主業種が扱う商品群が日々変化する今日、物流システム及び配送システムを流れる商品群の特徴は流動的で、荷主企業に限定されることなく、出荷件数及び出荷品目数の変化、並びに、各種商品群に対応することができる物流システム及び配送システムが要望されている。また、この課題の克服は、荷主企業にとって極めて重要な着荷主の要望を満足させることにも繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2010/026633号公報
【特許文献2】特開2017-081755号公報
【特許文献3】特開2017-088403号公報
【特許文献4】特開2012-236683号公報
【特許文献5】特開2023-010885号公報
【特許文献6】特開2018-127344号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】一般社団法人全国スーパーマーケット協会,一般社団法人日本スーパーマーケット協会,及び,オール日本スーパーマーケット協会,「2021年スーパーマーケット年次統計調査報告書」,第一版,2021年10月19日,[on line],[2023年2月6日検索],インターネット<URL:http://www.super.or.jp/wp-content/uploads/2021/10/2021nenji-tokei1.pdf>
【非特許文献2】株式会社タカハタ電子,「デジタルピッキングシステムの5つの導入効果!」,[on line],[2023年2月6日検索],インターネット<https://www.takahata-denshi.co.jp/trivia/2538/>
【非特許文献3】株式会社ナノシード,「GTP(Goods to person)」,[on line],[2023年2月6日検索],インターネット<https://nanoxeed.co.jp/Application/gtp/?gclid=CjOKCQiAieWOBhCYARIsANcOw0xitHDNHjze6JT6lap-POzK4J3QN6XDhnFTdFZ3bp6Ak6oUxg7eKWAaAvmtEALw_wcB>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
背景技術で説明したように、日々変化する市場の需要動向及びビジネスモデル、並びに、スーパーマーケット、ホームセンター、生活協同組合、及び、ECショップ等の様々な荷主企業の扱う商品群に対応することが、今後の物流システム及び配送システムに要望されている。しかし、従来の入庫から出荷までの一連のフローを自動化させて一元管理する自動倉庫システムは、出荷品目数の多い商品の取り扱いの生産性向上に効果的であった、DPSやGTPのピッキングを中核とする自動倉庫システムであった。このような状況において、本発明は、多種多様で数多くの商品を取り扱う物流センター等の物流施設において、出荷件数に関わらず、従来の出荷品目数が多く、ピッキング頻度の高い仕分けだけでなく、出荷品目数が少ない仕分け、特に、出荷件数が多く、出荷品目数の少ない仕分けにも好適な、省スペースかつ仕分けミスが生じにくい効率的な仕分けシステムを提供することを目的としている。更に、本発明は、入庫から出荷までの一連のフローを自動化させて一元管理する自動倉庫システムの仕分け工程に適用することによって、物流効率を顕著に高めることができ、従来のDPSやGTPに換わる人間工学的に好ましい自動倉庫システムとなる。仕分けシステムを提供すると共に、それを用いた自動倉庫システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を、入庫から出荷までの一連のフローを自動化させて一元管理する、ピッキングを中核とした従来の自動倉庫システムに、アソーティング(トータル・ピッキング)機能を追加することによって解決できるか否かを判定するために、自動倉庫システムを構成する自動倉庫が担う商品格納工程、自動倉庫から注文商品及び/又は注文商品収納容器(以下、「注文商品」という。)を出荷のための商品仕分け工程に搬出すると共に、その仕分けを完了した商品及び/又は商品収納容器(以下、「商品」という。)を自動倉庫に再入庫する商品出入庫工程、商品仕分け工程、商品出荷工程を見直した。その結果、商品仕分け工程において、格子棚を、両面が開放されて所定の間口で物品の出入を可能とし、両面の枡目状の棚を指定する所定の位置に、各々、倉庫を管理、運用、及び、制御するシステムで作動する、両面で機能が異なる作業指示器が配置される格子棚とすることによって、格子棚の両面でアソーティング機能とピッキング機能とを使い分ける仕分け棚として、その格子棚を機能させることが可能であり、従来のDPSやGTPに換わる仕分けシステムとなることを認めた。更に、この仕分けシステムを、入庫から出荷までの一連のフローを自動化させて一元管理する自動倉庫システムの仕分け工程に適用することによって、この自動倉庫システムの物流効率も顕著に高めることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0014】
すなわち、本発明は、格子棚の両面が、所定の間口で物品を出入可能に開放されており、その格子棚の両面の枡目状の棚を指定する所定の位置に、各々、倉庫を管理、運用、及び、制御するシステムで作動する投入指示器と作業完了表示器が備えられることによって機能する仕分け棚(Sorting Rack、SR)を用いる仕分けシステム(Sorting Rack System、SRS)であって、仕分け棚の一方の面は、所定の位置に配備された投入指示器に従って、注文商品を配送先毎に振分ける個別仕分けを実行するアソーティング機能を有し、仕分け棚の他方の面は、所定の位置に配備された作業完了表示器に従って、個別仕分けが実行された注文商品を配送先に関連付けられる出荷先毎に集める集約仕分けを実行するピッキング機能を有している仕分け棚を用いることを特徴とする仕分けシステムである。ただし、格子棚とは、棚板と仕切り板で規則正しく区切られた枡目状の棚が碁盤目状に構成されているものであるものに限定されることはなく、仕分けを効率よく行うため、棚板と仕切り板で区切られる棚の大きさを最適化し、種々変形して用いることが好ましい。
【0015】
より具体的には、本発明の仕分け棚を用いた仕分けシステムは、仕分け棚の一方の面が、その面の枡目状の棚を指定する所定の位置に配備された投入指示器の表示によって、配送先が指定されている枡目状の棚に所定の注文商品を振分ける働きをなすアソーティング機能を発現する面であり、仕分け棚の他方の面が、その面の枡目状の棚を指定する所定の位置に配備される作業完了表示器によって、配送先毎に振分けられた注文商品が載置されている枡目状の棚の出荷先を区別するように点灯することによって、配送先毎に振分けられている注文商品を出荷先毎に集める働きをなすピッキング機能を発現する面である仕分け棚を用いることを特徴とする仕分けシステムである。
【0016】
このような仕分け棚を用いる仕分けシステムは、この仕分け棚の片面で、配送先毎に、例えば、顧客毎や一軒毎に注文商品をアソーティングし、その反対面で、配送先に関連付けられる出荷先毎に、例えば、地域毎や配送経路毎に、アソーティングされた注文品をピッキングすることができ、出荷件数及び出荷品目数に関わりなく、多種多様な商品群に対して極めて効率的な仕分け処理が可能となる。特に、一括して集められた注文商品を仕分けすることができるため、出荷件数が多く出荷品目数が少ない商品群に対して効果的である。また、個別に仕分けされた注文商品が、出荷先毎に集約されるので、配送システムの負担軽減という効果を奏する。また、従来のDPSやGTPでは、出荷先毎への集約作業は、ピッキング工程を経た後の、検品等を含む出荷工程における荷合せという作業によって行われてきたが、この工程を削除することができる。
【0017】
特に、この仕分け棚は、L字状であって、一方の面と多方の面の構造的及び機能的関係を保持しており、L字状の緯線右側と経線上側とがアソーティング機能を有する一方の面であり、その反対面がピッキング機能を有する面であることが好ましい。これは、仕分け棚に対峙して仕分けするオペレーターの能率に強く関与しており、仕分けシステムの円滑な運用に影響を及ぼすことを見出した。すなわち、オペレーターの仕分け作業を軽減する人間工学的に好ましい形状であることに基づいている。L字状の緯線右側と経線上側との面に沿ってアソーティング作業を実行するオペレーターについては、その移動量及び運動量、並びに、注文商品の移載距離等が短くなり、作業負荷が軽減される。一方、その反対側でピッキング作業を実行するオペレーターについては、出荷箱への注文商品を集約するスペースが確保され、作業にゆとりができる。
【0018】
更に、仕分け処理量及び処理速度の向上が、L字状の仕分け棚2台の並列配備によって達成される。特に、L字状の仕分け棚の一端が通る直線を線対称の中心として連設されるコの字状仕分け棚となるように配置し、コの字の内側の面がアソーティング機能を有している面とすることが好ましい。
【0019】
更に、本発明は、入庫から出荷までの一連の工程が一元的に管理、運用、及び、制御されている自動倉庫システムの出荷工程における仕分けシステムが、このような仕分け棚を用いる仕分けシステムであることを特徴とする自動倉庫システムである。ここで、注文商品は、自動倉庫に連設される商品出入庫システムから仕分け棚を用いる仕分けシステムに供給されることが好ましい。仕分けシステムの処理能力の向上は、自動倉庫システム全体に波及することは言うまでもなく、上記出荷工程や配送システムの合理化以外にも、自動倉庫の運用や選択に好ましい影響を与える。また、仕分け棚を用いた仕分けシステムは、これに適した自動倉庫システムを再構築する契機となり、より能力の高い自動倉庫システムを創出する。
【0020】
自動倉庫の運用については、管理、運用、及び、制御されている自動倉庫システムに従って、自動倉庫内における出荷件数及び出荷品目数を鑑みた商品配置の適正化及び順列化が不要となり、自動倉庫を管理する負担が軽減されるという効果を奏する。また、自動倉庫の選択においては、新規自動倉庫の導入に当たって、能力が低い自動倉庫を選択することができる。
【0021】
そして、自動倉庫システムの創出については、仕分け棚を用いた仕分けシステムでは、商品仕分け工程への一括した注文商品の供給が好ましいので、自動倉庫から商品仕分け工程に繋がる商品出入庫システムを改良することによって、自動倉庫システムの能力を一層強化できることを見出した。すなわち、本発明の仕分けシステムを用いる自動倉庫システムは、商品出入庫システムが、自動倉庫に商品を格納する商品格納工程と、商品の中から出荷を指示された注文商品を仕分けする商品仕分け工程とを結び、倉庫を管理、運用、及び、制御するシステムで作動する商品出入庫システムであって、注文商品を出庫させる商品出庫部と、注文商品を一時的に貯留させる商品貯留部と、注文商品を商品仕分け工程に供給する商品供給部と、注文商品を自動倉庫に再入庫させる商品再入庫部とを備えている商品出入庫システムとすることが好ましい。
【0022】
特に、商品出庫部、商品供給部、及び、商品再入庫部が、商品貯留部にコンベヤで連設されている商品出入庫システムであることが好ましい。更に、この商品貯留部が、周回式コンベヤである商品出入庫システムとすることがより好ましい。
【0023】
また、商品出入庫システムを構成する、商品出庫部、商品貯留部、商品供給部、及び、商品再入庫部は、コンベヤに限定されるものではなく、無人搬送車(AGV、Automatic Guided Vehicle)及び/又は自律走行搬送ロボット(AMR、Autonomous Mobile Robot)に置換することが可能であり、好ましい商品出庫システムの構成である。商品貯留部において、AGV及びAMRが一時待機させればよく、それ以外は、コンベヤと全く同様に注文商品を搬送すればよく、搬送経路を自由自在に構築できる特長がある。
【0024】
このように、本発明の仕分けシステムに、上記商品出入庫システムを適用することによって、自動倉庫から搬出される注文商品が、商品貯留部で集約されるので、商品仕分け工程への一括した注文商品の供給が円滑に行われ、仕分け棚を用いた仕分けシステムが、より効率的に実行できると共に、このような商品出入庫システムの導入によって、上記同様の自動倉庫の選択や運用に好ましい影響を及ぼし、仕分けシステムとの相乗効果を奏する。
【0025】
更に、仕分けシステムと商品出入庫システムとの位置関係が、仕分けシステムで作業するオペレーターの能率に強く関与しており、その位置関係が自動倉庫システムの円滑な運用に影響を及ぼすことを見出したので説明する。仕分け棚がL字状及びコの字状であることが好ましいことを説明した。ここでは、更に具体的に、仕分け棚と商品出入庫システムの位置関係から説明する。すなわち、仕分け棚がL字状であり、商品出入庫システムから注文商品の仕分け棚への供給方向とL字状を作る一辺とが並行し、供給方向とL字状を作る他辺とが直交する位置関係で、仕分け棚と商品出入庫システムとの間に所定の空間を備えて仕分け棚が配備されている仕分けシステムであることが好ましい。この位置関係とすれば、本発明の仕分け棚の機能から、必然的に、注文商品を配送先毎に振分ける個別仕分けを実行するアソーティング機能を有する仕分け棚の一方の面を商品出入庫システム側となり、その反対面は、所定の位置に配備された作業完了表示器に従って、個別仕分けが実行された注文商品を配送先に関連付けられる出荷先毎に集める集約仕分けを実行するピッキング機能を有する面となるので、アソーティング作業を実行するオペレーターの移動量及び運動量、並びに、注文商品の移載距離等が最適となり、人間工学的に好ましい自動倉庫システムとなる。一方、その反対面でピッキング作業を実行するオペレーターは、出荷箱を扱うスペースが確保され、作業に余裕ができるという人間工学的に好ましい自動倉庫システムとなる。
【0026】
一方、本発明の自動倉庫システムでは、自動倉庫に対する負担の軽減が図られるが、幅広い出荷件数及び出荷品目数に対応するためには、自動倉庫が、シャトル式ケース自動倉庫、スタッカクレーン式ケース自動倉庫、及び、ロボット式ケース自動倉庫のいずれかであることが好ましい。また、これらの自動倉庫は、注文商品を格納する位置を、倉庫を管理、運用、及び、制御するシステムからの指示に基づいて、再配置することが可能であり、注文商品の処理能力を一層高めることができる。
【0027】
ただし、シャトル式ケース自動倉庫、スタッカクレーン式ケース自動倉庫、及び、ロボット式ケース自動倉庫に格納することによって物流効率を低下させる大型汎用商品に対しては、大型汎用商品を収納するための可動式収納棚が併設されていることが好ましい。可動式収納棚としては、カゴ車、パレット、ドーリー等が好ましく、ピッキングするための指示器を備えているものがより好ましい。これは、例えば、トイレットペーパーやティッシュペーパー等が複数包装されているような商品群の大型汎用商品の出荷頻度が極めて高く、多量の在庫を自動倉庫の中に格納する必要性があるので、これらの体積が大きいが故に自動倉庫のスペースを占拠してしまい、これらを自動倉庫に格納することによって物流効率を顕著に低下させることに起因している。
【発明の効果】
【0028】
本発明の仕分け棚を用いた仕分けシステムによれば、出荷品目数の多い商品の取り扱いの生産性向上に効果的であった、DPSやGTPのピッキングを中核とする自動倉庫システムを、出荷件数が多いが出荷品目数の少ない商品の取り扱いの生産性向上に効果を発揮する自動倉庫システムへとグレードアップできる。従って、本発明は、商品群を選択しない高い処理能力を有する自動倉庫システムに再構築することができるという効果を奏する。
【0029】
更に、本発明の仕分け棚を用いた仕分けシステムは、個別配送先アソーティングされた注文商品が、個別配送先と関連付けられる出荷先毎にピッキングされるので、出荷工程における荷合せが必要なく、配送システムの負担も軽減できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】DPSを備えた、従来の代表的な自動倉庫システムの概要を示す模式図である。
図2】自動倉庫システムを構成する自動倉庫に適しているシャトル式ケース自動倉庫の概要を示す斜視模式図である(特許文献1)。
図3】出荷するための仕分けシステムとしてDPSを採用し、自動倉庫としてシャトル式ケース自動倉庫を採用した従来の自動倉庫システムの物流の概要を示す平面模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム(Single Sorting Rack System、SSRS)を採用している自動倉庫システムの概要を示す平面模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムにおいて、注文商品の注文商品収納容器からシングル・ソーティング・ラック(Single Sorting Rack、SSR)へのアソーティング作業が実行される商品収納容器切換ライン側の概要を示す斜視模式図である。(a)は、注文商品が商品収納容器切換ラインに搬入されてきて実行される初期作業時の商品収納容器切換ライン側の概要を示しており、(b)は、注文商品を商品収納容器からシングル・ソーティング・ラックへのアソーティング作業時の商品収納容器切換ライン側の概要を示している。
図6】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムの商品収納容器切換ライン側で実行される、注文商品の注文商品収納容器からシングル・ソーティング・ラックへアソーティングする作業フロー概要図である。
図7】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムにおいて、アソーティングが完了した枡目状の棚の配送先毎の注文商品が袋詰め、及び、袋詰めされた配送先毎の注文商品が経路別出荷容器への集約作業が実行される、アソーティング作業を行うシングル・ソーティング・ラック面の反対面の概要を示す斜視模式図である。
図8】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムのアソーティング作業を実施するシングル・ソーティング・ラックの反対面で実行される、配送先毎の枡目状の棚へのアソーティングからアソーティング完了後の注文商品の袋詰めに至る作業フローの概要図である。
図9】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムのアソーティング作業を実施するシングル・ソーティング・ラックの反対面で実行される、配送先毎に個別に袋詰めされた注文商品が経路別に出荷容器に集約される作業フローの概要図である。
図10】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるダブル・ソーティング・ラック・システム(Double Sorting Rack System、DSRS)を採用している自動倉庫システムの概要を示す平面模式図である。
図11】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムにおいて、自動倉庫に格納することが非効率的である大型商品の物流効率の向上を補完するためのカゴ車及びパレットを付設した自動倉庫システムの概要を示す平面模式図である。
図12】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムにおいて、自動倉庫に格納することが非効率的である大型商品の物流効率の向上を補完するためのカゴ車及びパレットを付設した自動倉庫システムの、シングル・ソーティング・ラック側から商品収納容器切換ラインを視た要部の概要を示す斜視模式図である。
図13】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム及び/又はダブル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムにおいて、周回式商品収納容器出入庫ラインを備えた自動倉庫システムの概念図である。
図14】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムにおいて、周回式商品収納容器出入庫ラインを備えた自動倉庫システムの概要を示す平面模式図である。
図15】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるダブル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムにおいて、周回式商品収納容器出入庫ラインを備えた自動倉庫システムの概要を示す平面模式図である。
図16】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム及び/又はダブル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムに、周回式商品収納容器出入庫ラインを備えた自動倉庫システムが、トータルピック方式により効果的な物流効率の向上を発揮できることを説明する概念図である。
図17】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム及び/又はダブル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムに、周回式商品収納容器出入庫ラインを備えた自動倉庫システムが、出荷バッチのグループ化により効果的な物流効率の向上を発揮できることを説明する概念図である。
図18】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム及び/又はダブル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムに採用することができるスタッカクレーン式ケース自動倉庫の概要を示す斜視模式図である(特許文献4)。
図19】本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム及び/又はダブル・ソーティング・ラック・システムを採用している自動倉庫システムに採用することができるロボット式ケース自動倉庫の概要を示す斜視模式図である(特許文献5)。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に示した実施形態を用い、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム(Single Sorting Rack System、SSRS)400(第1~第3シングル・ソーティング・ステーション400-1~3を代表例として明示)を備える自動倉庫システム20-1の概要を示す平面模式図である。商品入庫ライン102及び商品及び/消費収納容器搬出ライン103を備え、格納棚101を複数配備している自動倉庫100と連設して、商品収納容器出入庫システム200として、商品収納容器出庫コンベヤ211、商品収納容器提示コンベヤ212、及び、商品収納容器再入庫コンベヤ213で構成される連続式商品収納容器供給ライン210が備えられ、その商品収納容器提示コンベヤ212と、L字状の仕分け棚であるソーティング・ラック410とが、所定の空間を保ち、ソーティング・ラック410の一辺が連続式商品収納容器供給ライン210からの注文商品の供給方向と並行であり、他辺がその供給方向と直交であるように対峙して配備されている。その空間で、ラック・アソーティング・オペレーター820がアソーティング作業を行い、ソーティング・ラック410の連続式商品収納容器供給ライン210の反対側に隣接する作業台416に対峙して、ラック・ピッキング・オペレーター830がピッキング作業を行う。
【0033】
このような構成の自動倉庫システム20-1が、各種商品群、特に、出荷件数が多いが出荷品目数が少ない商品群、にも対応可能な自動倉庫システムに再構築することを可能にする中核システムが、本発明のシングル・ソーティング・ラック・システム400であるので、図5~9を用い、シングル・ソーティング・ラック・システム400の機構を詳細に説明する。
【0034】
図5は、本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システムにおいて、注文商品の注文商品収納容器からシングル・ソーティング・ラック(Single Sorting Rack、SSR)へのアソーティング作業が実行される連続式商品収納容器供給ライン210側の概要を示す斜視模式図である。(a)は、通常注文商品収納容器710が連続式商品収納容器供給ライン210に搬入されてきて実行される初期作業時の連続式商品収納容器供給ライン210側の概要を示しており、(b)は、注文商品を通常注文商品収納容器710からシングル・ソーティング・ラック410へのアソーティング作業時の連続式商品収納容器供給ライン210側の概要を示している。
【0035】
シングル・ソーティング・ラック410は、棚板と仕切り板で区切られた格子棚の両面が、所定の間口で物品を出入可能に開放されており、格子棚の両面の枡目状の棚を指定する所定の位置に、各々、倉庫を管理、運用、及び、制御するシステムで作動する投入指示器と作業完了表示器が備えられている仕分け棚であり、図5のように、連続式商品収納容器供給ライン210側からシングル・ソーティング・ラック410を視た場合、数量も表示可能な投入指示器412(投入指示器412-3、15、25、及び、30を代表例として明示)が、注文商品が投入される枡目状の棚である投入間口411(投入間口411-1、6、25、30、36、42、48を代表例として明示)を指定できる位置に配備されている。なお、図5において、シングル・ソーティング・ラック410は、棚板と仕切り板で規則正し区切られた枡目状の棚が碁盤目状に構成されている格子棚を一例として示しているが、このような形状に限定されることはなく、仕分けを効率よく行うため、棚板と仕切り板で区切られる棚の大きさを最適化し、種々変形して用いることが好ましい。
【0036】
まず、連続式商品収納容器供給ライン210側では、ラック・アソーティング・オペレーター820が、図11(a)に示された出荷商品表示器415に表示される、連続式商品収納容器供給ライン210の商品収納容器提示コンベヤへ搬入されてきた通常注文商品収納容器710に収納されている注文商品の商品名とアソーティングする注文商品の数量を確認する。
【0037】
そして、通常注文商品収納容器710から注文商品を取出し、商品情報の読取り手段として、例えば、ハンディ・ターミナルで商品の情報を読み取ると同時に点灯し、投入数量が表示される投入指示器412-3、15、及び25が指定する投入間口411-3、15、及び、25に所定数の注文商品を投入した後、投入指示器412-3、15、及び、25を押下して、ある注文商品の個別配送先へのアソーティングを完了する。この一連のアソーティング作業のフローを図6に示した。なお、この商品情報の読取りは、読み取るバーコードの種類(1次元及び2次元バーコード)、並びに、読み取る手段の接続方式(USB、RS233C、及び、PS2接続等)、読取方式(CCD及びレーザー方式等)、及び、スキャナの形状(ハンディ、ガン、定置、ウェアラブル、及び、ペン式)等の違いによって、様々な方法を用いることができ、商品情報を読み取ることができれば特に限定されるものではない。
【0038】
図7は、本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム400において、アソーティングが完了した枡目状の棚の配送先毎の注文商品が袋詰め、及び、袋詰めされた配送先毎の注文商品が経路別出荷容器への集約作業が実行される、アソーティング作業を行うシングル・ソーティング・ラック410面の反対面の概要を示す斜視模式図であり、ラック・ピッキング・オペレーター830が、アソーティング作業を行うシングル・ソーティング・ラック410面の反対面で行う作業の様子を示している。なお、こちら側と連続式商品収納容器供給ライン210のシングル・ソーティング・ラック410で実行される作業が異なるため、同じ枡目状の棚ではあるが、連続式商品収納容器供給ライン210側の投入間口411に対し、出入間口413(出入間口413-1、7、13、19、25、30、及び、43を代表例として明示)と区別している。また、全ての注文品の個別配送先へのアソーティングが完了すれば点灯し、袋詰めを行って元の枡目状の棚に戻し、個別配送先に関連付けられる出荷先毎への集約が完了すれば点灯し、出荷先毎の出荷容器418に袋詰めされた個別配送先の注文商品を投入するので、この出入間口413を指定する表示器を作業完了表示器414(作業完了表示器414-2、3、4、5、6、28、32、及び、34を代表例として明示)と区別している。また、このような作業を行う作業台416、袋詰めと共に、配送先及び出荷先等が記入されたラベルを袋に貼付するため、ラベル発行機兼袋置き場417も備えている。
【0039】
アソーティング作業を行うシングル・ソーティング・ラック410面の反対面で行う、ラック・ピッキング・オペレーター830の作業は、図8及び9の作業フロー概要図に示すように、個別配送先毎の注文商品の袋詰めと配送先に関連付けられる出荷先毎への袋詰めの出荷容器への集約に大別される。全ての注文品の個別配送先へのアソーティングが完了すれば、例えば、作業完了表示器414-28が白く点灯して、その作業完了表示器414-28が指定する出入間口414-28の注文品を取り出し、袋置き場から取り出した袋に詰め込んだ後、作業完了表示器414-28を押下して袋詰め完了を通知する。この通知により発行された配送先及び出荷先等が記入されたラベルを袋に貼付し、袋を綴じて出入間口413-28に戻す。次いで、このような出入間口413-28の状態の出入間口が、配送先に関連付けられる出荷先毎に完成すると、例えば、図7の作業完了表示器414-2~5のように黒く点灯して、出入間口413-2~5に格納されている袋詰めを出荷容器418へ集約する。集約完了後、作業完了表示器414-2~5を押下すると、出荷先、例えば、出荷経路を記入したラベルが発行されるので、そのラベルを出荷容器418に貼付してドーリ等の搬送車に移載する。この作業が複数回行われると、同じ出荷経路のラベルが添付された出荷容器418がドーリ等の搬送車に積み上げられて、出荷工程に搬送される。
【0040】
このようなシングル・ソーティング・ラック・システム400で行われる作業は、図10に示すように、L字状のシングル・ソーティング・ラック410を線対称に配備したコの字状のダブル・ソーティング・ラック510を用いたダブル・ソーティング・ラック・システム(Double Sorting Rack System、DSRS)500でも同様に実行され機能し、更なる、出荷件数が多い仕分けに適している。なお、図10は、ダブル・ソーティング・ラック・システム500を備える自動倉庫システム20-2であるが、図4のシングル・ソーティング・ラック・システム400を備える自動倉庫システム20-1と同様であるため説明を省略する。
【0041】
しかし、このような仕分けシステムを、出荷件数が多く出荷品目数が少ない商品に適用したとしても、半ダース毎に包装されたトイレット・ペーパーやティッシュ・ペーパー等のように、自動倉庫のスペースを過大に占有し、物流システムを非効率化する大型商品がある。このような商品の物流効率の向上を補完するための方法を検討した結果、自動化システムに反するが、このような大型商品は、自動倉庫に格納せず、カゴ車及びパレット等に格納する方が合理的であることが分かった。
【0042】
この主意に従った自動倉庫システムが、出荷するための仕分けシステムとしてシングル・ソーティング・ラック・システム400を採用している自動倉庫システムにおいて、自動倉庫に格納することが非効率的である大型商品720の物流効率の向上を補完するためのカゴ車610及びパレット620を付設した自動倉庫システム20-3であり、その概要が図11の平面模式図に示されている。また、図12には、図11の要部について、シングル・ソーティング・ラック410側から連続式商品収納容器供給ライン210を視た概要を示す斜視模式図を示した。
【0043】
図11及び12から明らかなように、本発明の一実施形態に係る、大型商品供給システム600を備える自動倉庫システム20-3は、自動倉庫100に連続式商品収納容器供給ライン210を介し、仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム400を備え、自動倉庫100に格納することが非効率的である大型商品720の物流効率の向上を補完するための大型商品供給システム600として、出荷商品表示器611を備えたカゴ車610及び出荷商品表示器621を備えたパレット620が付設されている。カゴ車610及びパレット620から、出荷商品表示器611、621の指示に従って、大型商品610、620が、ラック・アソーティング・オペレーター820によりシングル・ソーティング・ラック410にアソーティングされていく。
【0044】
このような大型商品の弊害は、社会環境変化に伴う出荷件数の増大等で顕在化してきたものである。従来、重視されてこなかったものであるが、自動倉庫システムの自動化に反比例して生じる弊害でもあり、その対策は重要である。結果的には、簡便な解決手段であるが、カゴ車やパレットのような自動化されていない装置を、自動倉庫の補完技術として活用できることを見出せたのは有意義であったと考えられる。
【0045】
このような出荷するための新たな機能を有する仕分け棚であるシングル・ソーティング・ラック・システム400及びダブル・ソーティング・ラック・システム500等の各種ソーティング・ラック・システムを備える自動倉庫システム20において、自動倉庫が担う商品格納工程と自動倉庫から注文商品を出荷するための商品仕分け工程とに介在する商品出入庫システムを最適化することによって、更なる物流効率の向上が図れることを見出した。これは、ソーティング・ラック・システムが、一括して供給される注文商品の仕分け処理に適していることが分かり、既に説明した連続式商品収納容器供給ライン210等のような商品出入庫システムよりも好ましい商品出入庫システムを開発した結果である。
【0046】
その商品出入庫システムの代表例が、周回式商品収納容器供給ライン220である。図13に、本発明の一実施形態に係る、自動倉庫100と出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム400及び/又はダブル・ソーティング・ラック・システム500とを介在する商品出入庫システムの代表例として周回式商品収納容器供給ライン220を配備した自動倉庫システム30の概念図を示した。
【0047】
周回式商品収納容器供給ライン220は、商品収納容器出庫ライン221、商品収納容器周回ライン222、商品収納容器再入庫ライン223、及び、商品収納容器切換ライン224から構成され、商品収納容器切換ライン224は、連続式商品収納容器供給ライン210と同様に、商品収納容器搬入コンベヤ224-1、商品収納容器提示コンベヤ224-2、及び、商品収納容器搬出コンベヤ224-3から構成されており、ソーティング・ラックと周回式商品収納容器供給ライン220との注文商品の移載に関しては既に説明した様式と変わりない。
【0048】
このような周回式商品収納容器供給ライン220を代表例とするソーティング・ラック・システムに適した商品出入庫システムは、より一般的には、自動倉庫から注文商品を出庫する商品出庫部、注文商品を一時的に貯留することが可能な商品貯留部、出荷のための仕分けを行う商品仕分け工程に注文商品を供給する商品供給部、残存する注文商品を自動倉庫に返戻する商品再入庫部から構成され、自動倉庫から出庫される注文商品を一括して扱うことを可能にする商品貯留部に特長を有するシステムである。そして、周回式商品収納容器供給ライン220においては、商品出庫部、商品貯留部、商品再入庫部、及び、商品供給部が、それぞれ、商品収納容器出庫ライン221、商品収納容器周回ライン222、商品収納容器再入庫ライン223、及び、商品収納容器切換ライン224に対応しており、収納容器周回ライン222が、ソーティング・ラック・システムが高度に機能するための注文商品のソーティング・ラックへの供給を制御する。
【0049】
より具体的な、本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム400を採用している自動倉庫システムにおいて、周回式商品収納容器供給ライン220を備えた自動倉庫システム30-1、及び、本発明の一実施形態に係る、出荷するための仕分けシステムであるダブル・ソーティング・ラック・システム500を採用している自動倉庫システムにおいて、周回式商品収納容器供給ライン220を備えた自動倉庫システム30-2について、それぞれ、図14、及び、図15に、それらの概要を示す平面模式図を示した。
【0050】
そして、このような周回式商品収納容器供給ライン220を代表例とする商品出入庫システムに特徴的な、商品収納容器周回ライン222を代表例とする商品貯留部が、自動倉庫から出庫される注文商品を一括して扱うことを可能にし、注文商品のソーティング・ラックへの供給制御が可能であることが判明し、ソーティング・ラック・システムをより高度に運用するためには、ソーティング・ラック・システムを備える自動倉庫システムに、商品貯留部を備える新たな商品出入庫システムを採用することが好ましいことを見出したのである。
【0051】
そのため、自動倉庫100の代表例としてシャトル式自動倉庫110を、出荷するための仕分けシステムであるシングル・ソーティング・ラック・システム400及び/又はダブル・ソーティング・ラック・システム500を採用し、商品出入庫システムの代表例として周回式商品収納容器供給ライン220を適用した、図13に示すような自動倉庫システム30において、商品貯留部を備える商品出入庫システムに認められるソーティング・ラック・システムに相応しい特長を図16及び17の概念図で説明する。図16は、周回式商品収納容器供給ライン220が、トータルピック方式により効果的な物流効率の向上を発揮できることを説明する概念図であり、図17は、周回式商品収納容器供給ライン220が、出荷バッチのグループ化により効果的な物流効率の向上を発揮できることを説明する概念図である。
【0052】
従来は、図16(a)及び(b)、並びに、図2に示すように、水平方向X及び垂直方向Yに碁盤目状に枡目が形成された格納棚が、横断方向Zで対峙しており、格納棚間の空間を商品の出し入れができるアームを備えたシャトル115が移動して注文商品をピッキングして、出庫コンベヤ118で仕分けシステム400/500まで直接的かつ連続的に搬送されるので、オーダーピッキング方式と呼称されるべき搬送方式である。例えば、A、B、及び、Cの注文商品があると仮定すると、図16(a)の棚間移動がない場合、順列通りに仕分けシステムに商品が供給されるが、対峙する格納棚にA、B、C全ての商品を格納しておく必要があり、順列通りに連続的に出庫するが故に、出荷処理速度に大きな難がある。それに対し、周回式商品収納容器供給ライン220を備えた自動倉庫システム30では、図16(c)に示すように、A、B、及び、Cの商品を対峙する格納棚以外に分散して格納できる上、いずれの格納棚からも出庫でき、商品収納容器周回ライン222で集約された後、仕分けシステム400/500に注文品を搬送できるため、順列通りではないが故に、出荷処理速度が顕著に向上する。そのため、このシステムは、出荷件数が多く出荷品目数の少ない仕分けに適しており、商品収納容器周回ライン222への注文商品の集約から、アソーティング機能の要素を備えるトータルピック方式と呼称されるべき搬送方式である。また、自動倉庫内に格納棚の横断方向Zに商品が移動可能な棚間移動を有する図16(b)の場合、対峙する格納棚にA、B、C全ての商品を格納しておく必要がないが、棚間移動の処理速度が遅く、出庫コンベヤ118から仕分けシステム400/500には、順列通りに注文商品が搬送されるが故に、出荷処理速度は、図16(a)を上回るが、図16(c)のトータルピック方式よりも大きく劣る。ので、出荷件数が多く出荷品目数が少ない仕分けには適していない。このように、周回式商品収納容器供給ライン220の商品仕分け工程への注文商品の優れた供給能力が、片面でアソーティングを行い、仕分け処理速度が高いソーティング・ラック・システムに適した商品出入庫システムであることを示している。また、周回式商品収納容器供給ライン220の商品収納容器周回ライン222は、商品仕分け工程の状況に応じて、注文商品が周回して貯留されるので、注文商品の商品仕分け工程への供給速度制御も可能であり、扱う商品群や自動倉庫システムの状況に応じた仕分けを実行することができる。すなわち、商品貯留部を備える商品出入庫システムは、ソーティング・ラック・システムに適した商品供給システムであることが分かる。なお、図6に表記したSKUは、図(a)、(b)、及び、(c)の出荷処理速度の相対的な関係を数値で示したものであって、各種条件によって変動するものである。
【0053】
更に、本発明の商品出入庫システムの代表例として説明している周回式商品収納容器供給ライン220において、注文商品を一時的に貯留できる商品収納容器周回ライン222が存在するため、図16からも分かるように、図17(a)に示す従来のバッチ出庫から図17(b)に示すバッチを集約したグループ出庫を可能とするので、出荷処理速度の顕著な向上を実現できる。従来、例えば、高頻度品Aと低頻度品B及びCがある場合、高頻度品Aと低頻度品B、及び、高頻度品Aと低頻度品Cの2バッチでバッチ出庫せざるを得ない状況であったが、高頻度品A、低頻度品B、低頻度品Cをグループ化したグループ出庫を行うことができるようになり、バッチ出庫の場合、1バッチ188ケースの処理能力であったが、グループ出庫の場合、1グループ274ケースの処理能力となり、約30%向上する。また、2バッチ376ケースの処理能力が、2グループ548ケースの処理能力となり、約45%向上する。従って、グループ出庫という観点からも、段落0050で説明したように、商品貯留部を備える商品出入庫システムは、ソーティング・ラック・システムに適した商品供給システムであることが分かる。なお、上記処理能力の数値化は、本発明の特長を示すために、ある条件の下におけるデータの一例を示したものであり、このデータが常に達成されるものではない。
【0054】
また、本発明の商品出入庫システムの商品貯留部は、図13~15に示す周回式商品収納容器供給ライン220の商品収納容器周回ライン222に限定されるものではなく、一時的に注文商品を貯留することができればよく、商品収納容器出庫ライン221に、速度又は距離の制御による注文商品の貯留効果を発現する連続式コンベヤを並列して接続させると共に、連続式コンベヤに商品収納容器切換ライン224を並列して接続し、商品収納容器出庫ライン221の延長線上に商品収納容器再入庫ライン223が接続される構成であってもよい。ただし、商品収納容器周回ライン222は、注文商品を周回することによって注文商品を一時的に貯留できるので、仕分けシステム400/500の状況に応じた仕分けシステム400/500への注文商品の供給を行うことが可能となると共に、ライン制御が容易であり、より好ましい商品貯留部であると言える。
【0055】
このように、本発明のソーティング・ラック・システム及び商品貯留部を有する商品出入庫システムを備える自動倉庫システムは、出荷件数が多く出荷品目数が少ない物流システムに適しているが、商品貯留部の貯留時間等の制御によって、多様な出荷件数及び出荷品目数に対応することができるシステムに改変することができるので、従来の自動倉庫システムを再構築して効率的な物流システムにグレードアップする機能を有している。
【0056】
また、今日の搬送装置は、コンベヤに限定されるものではなく、AGVやAMR等を幅広く活用する傾向にあり、昨今の物流システム改革の一役を担いつつあるが、商品貯留部を有する商品出入庫システムも例外ではなく、コンベヤの役割をAGV及びAMRに担わせることが可能である。
【0057】
更に、本発明のソーティング・ラック・システムを備える自動倉庫システムは、例えば、図4、10、及び、11、並びに、図13~15に示す自動倉庫システム30の自動倉庫100として、図18及び19示すスタッカクレーン式ケース自動倉庫120及びロボット式ケース自動倉庫130を適用することができる。なお、これらの自動倉庫の格納機構は、先行技術文献から周知であるので、格納機構に関する説明は省略する。本発明の自動倉庫システム係る要点について説明する(特許文献4及び5)。
【0058】
図18のスタッカクレーン式ケース自動倉庫120については、シャトル式ケース自動倉庫110のような出入庫コンベヤ117、118が備えられていないが、スタッカクレーン式ケース自動倉庫120の場合には、アーム付きマスト移載装置124(de列格納棚間アーム付きマスト移載装置124deを代表例として明示)が、自動倉庫内に商品を格納する商品格納工程への商品の出庫及び再入庫を担うので、例えば、2台の出入庫コンベヤ129を、商品収納容器出庫コンベヤ211及び商品収納容器再入庫コンベヤ213とし、アーム付きマスト移載装置124との商品の移載が可能に隣接して設置すると共に、商品収納容器出庫コンベヤ211と商品収納容器再入庫コンベヤ213との間に商品収納容器提示コンベヤ212を連設することによって、図4、10、及び、11に示す自動倉庫システム20の自動倉庫100として使用することが可能である。また、2台の出入庫コンベヤ129を、商品収納容器出庫ライン221及び商品収納容器再入庫ライン223とし、周回式商品収納容器供給ライン220を構築すれば、図13~15に示す自動倉庫システム30の自動倉庫100として使用することが可能である。
【0059】
図19に示すロボット式ケース自動倉庫130の場合も、シャトル式ケース自動倉庫110のような出入庫コンベヤ117、118が備えられていないが、自動倉庫内に商品を格納する商品格納工程への商品の出庫及び再入庫は、ポートカラム138(第1のポートカラム138-1及び第2のポートカラム138-2を代表例として明示)で実行されるので、これらに移載装置を介して、例えば、2台の出入庫139を段落0054で説明したように適用することによって、図4、10、及び、11に示す自動倉庫システム20の自動倉庫100として、また、図13~15に示す自動倉庫システム30の自動倉庫100として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の仕分け棚は、外観上は一般的な両面格子棚であるが、物品情報と関連付けられた作業指示機能を有する表示器を両面の間口毎に設けて制御することによって、アソーティング機能とピッキング機能を有する仕分け棚に改変でき、物流施設の各種仕分け装置として利用できる。また、各種製造業の部品や仕掛品等の格納棚として利用することによって、生産効率の向上を図ることができる可能性が高く、産業上の利用可能性が極めて広く高いと考えられる。
【符号の説明】
【0061】
10 従来の自動倉庫システム
11 従来のデジタル・ピッキング・システムを備えるシャトル式ケース自動倉庫システム
20 ソーティング・ラック・システムを備える自動倉庫システム
20-1 シングル・ソーティング・ラックシステムを備える自動倉庫システム
20-2 ダブル・ソーティング・ラック・システムを備える自動倉庫システム
20-3 シングル・ソーティング・ラック・システムを備えるカゴ車/パレット付設自動倉庫システム
30 ソーティング・ラック・システムを備える周回式商品収納容器供給自動倉庫システム
30-1 シングル・ソーティング・ラックシステムを備える周回式商品収納容器供給自動倉庫システム
30-2 ダブル・ソーティング・ラックシステムを備える周回式商品収納容器供給自動倉庫システム
100 自動倉庫
101 格納棚
102 商品入庫ライン
103 商品及び/又は商品収納容器搬出ライン
110 シャトル式ケース自動倉庫(マルチシャトル[登録商標])
110-1 棚間移動レスシャトル式ケース自動倉庫
110-2 棚間移動シャトル式ケース自動倉庫
111 格納棚
111d、111e、111f d列格納棚、e列格納棚、f列格納棚
112 仮置きコンベヤ
112d、112e d列格納棚の仮置きコンベヤ、e列格納棚の仮置きコンベヤ
113 リフター
113de、113ef de列格納棚間リフター、ef列格納棚間リフター
114 リフターコンベヤ
114de、114ef de列格納棚間リフターコンベヤ、ef列格納棚間リフターコンベヤ
115 シャトル(商品収納容器搬送台車)
115de、115df de列格納棚間シャトル、df列格納棚間シャトル
116 シャトル走行レール
116de、116ef de列格納棚間シャトル用レール、ef列格納棚間シャトル用レール
117 出庫コンベヤ
117d、117e d列格納棚下出庫コンベヤ、e列格納棚下出庫コンベヤ
118 再入庫コンベヤ
118e、118f e列格納棚下再入庫コンベヤ、f列格納棚下再入庫コンベヤ
119 商品収納容器
119d、119e、119f d列格納棚保管商品収納容器、e列格納棚保管商品収納容器、f列格納棚保管商品収納容器
120 スタッカクレーン式ケース自動倉庫
121 格納棚
121d、111e d列格納棚、e列格納棚
122 スタッカクレーン
122de de列格納棚間スタッカクレーン
123 クレーンマスト(リフター)
123de de列格納棚間クレーンマスト
124 アーム付きマスト移載装置
124de de列格納棚間アーム付きマスト移載装置
125 クレーン走行台車
125de de列格納棚間クレーン走行台車
126 上部クレーン走行レール
126de de列格納棚間上部クレーン走行レール
127 下部クレーン走行レール
127de de列格納棚間下部クレーン走行レール
128 商品収納容器
128d、128e d列格納棚保管商品収納容器、e列格納棚保管商品収納容器
129 出入庫コンベヤ
130 ロボット式ケース自動倉庫(オートストア[登録商標])
131 枠組み構造
132 直立部材(支柱)
133 水平部材
134 グリッド(支柱とレールを梁とする格子状カラム)
134p~r グリッドカラムp~r
135 ロボット(商品収納容器(コンテナ)荷役車両)
136 レールシステム
137 スタック
137a~c 商品収納容器a~c
138 ポートカラム
138-1 第1のポートカラム
138-2 第2のポートカラム
139 出入庫コンベヤ
200 商品収納容器出入庫システム
210 連続式商品収納容器供給ライン
211 商品収納容器出庫コンベヤ
212 商品収納容器提示コンベヤ
213 商品収納容器再入庫コンベヤ
220 周回式商品収納容器供給ライン
221 商品収納容器出庫ライン
222 商品収納容器周回ライン
223 商品収納容器再入庫ライン
224 商品収納容器切換ライン
224-1 商品収納容器搬入コンベヤ
224-2商品収納容器提示コンベヤ
224-3 商品収納容器搬出コンベヤ
300 DPS
300-1~3 第1~第3のピッキング・ステーション
310 出荷容器搬入コンベヤ
320 出荷容器提示コンベヤ
330 出荷容器搬出コンベヤ
340 出荷容器
400 シングル・ソーティング・ラック・システム
400-1~3 第1~第3のシングル・ソーティング・ラック・ステーション
410 ソーティング・ラック
411 投入間口
411-1 No.1の投入間口
411-6 No.6の投入間口
411-25 No.25の投入間口
411-30 No.30の投入間口
411-36 No.36の投入間口
411-42 No.42の投入間口
411-48 No.48の投入間口
412 投入指示器
412-3 No.3の投入指示器
412-15 No.15の投入指示器
412-25 No.25の投入指示器
412-30 No.30の投入指示器
413 出入間口
413-1 No.1の出入間口
413-7 No.7の出入間口
413-13 No.13の出入間口
413-19 No.19の出入間口
413-25 No.25の出入間口
413-30 No.30の出入間口
413-43 No.43の出入間口
414 作業完了表示器
414-2 No.2の作業完了表示器
414-3 No.3の作業完了表示器
414-4 No.4の作業完了表示器
414-5 No.5の作業完了表示器
414-6 No.6の作業完了表示器
414-28 No.28の作業完了表示器
414-32 No.32の作業完了表示器
414-34 No.34の作業完了表示器
415 出荷商品表示器
416 作業台
417 ラベル発行機/袋置き場
418 出荷容器
500 ダブル・ソーティング・ラック・システム
500-1~3 第1~第3のダブル・ソーティング・ラック・ステーション
510 ダブル・ソーティング・ラック
510L ソーティング・ラック左
510R ソーティング・ラック右
516L 作業台左
516R 作業台右
600 大型商品供給システム
610 カゴ車
611 出荷商品表示器
620 パレット
621 出荷商品表示器
700 注文商品及び/又は注文商品収納容器
710 通常注文商品収納容器
711 通常注文商品収納容器A
712 通常注文商品収納容器B
713 通常注文商品収納容器C
720 大型商品
721 第1の大型商品
722 第2の大型商品
800 オペレーター
810 DPS・ピッキング・オペレーター
820 ラック・アソーティング・オペレーター
830 ラック・ピッキング・オペレター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19