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特開2024-145632電子部品及び電子部品内蔵基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145632
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電子部品及び電子部品内蔵基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20241004BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20241004BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20241004BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20241004BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20241004BHJP
   H01C 7/00 20060101ALI20241004BHJP
   H01C 1/01 20060101ALI20241004BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20241004BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H05K1/18 K
H01F27/32 101
H01F27/29 123
H01G4/228 A
H01G2/06 501
H01C7/00 110
H01C1/01 Z
H05K3/46 Q
H05K1/18 R
H01G4/224
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058070
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】柏 智男
【テーマコード(参考)】
5E001
5E028
5E033
5E070
5E316
5E336
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC03
5E001AC04
5E001AC08
5E001AC09
5E001AJ01
5E028CA01
5E028DA05
5E028JB03
5E028JC11
5E033BB09
5E033BC01
5E033BH01
5E070AA01
5E070AB02
5E070EA01
5E070EB04
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC09
5E316DD22
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG23
5E316HH31
5E316JJ12
5E316JJ13
5E336AA08
5E336AA09
5E336BB01
5E336BB15
5E336BC26
5E336CC31
5E336CC60
5E336GG30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部電極間に形成される絶縁膜による樹脂の流動の阻害を抑制する電子部品及び電子部品内蔵基板の製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品は、基体、内部導体25、第1外部電極21、第2外部電極22、第1外部電極21と第2外部電極22との間に設けられる絶縁部31とを備える。第1外部電極及び第2外部電極は、基体の上面10aに設けられ、第2外部電極は、第1方向において第1外部電極から離間するように設けられ、第1外部電極は、第2外部電極と対向する第1対向面21aを有し、第2外部電極は、第1外部電極の第1対向面と対向する第2対向面22aを有する。絶縁部は、第1外部電極の第1対向面と接する第1端部31aと、第2外部電極の第2対向面と接する第2端部31bとを有する。基体の上面に直交する第2方向における絶縁部の寸法は、第1端部又は第2端部において最大となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の内部に設けられる第1内部導体と、
前記基体の第1面に設けられ、前記第1内部導体と電気的に接続される第1外部電極と、
前記基体の前記第1面に、第1方向において前記第1外部電極から離間するように設けられ、前記第1内部導体と電気的に接続される第2外部電極と、
前記第1外部電極と前記第2外部電極との間に設けられる第1絶縁部と、
を備え、
前記第1外部電極は、前記第2外部電極と対向する第1対向面を有し、
前記第2外部電極は、前記第1外部電極の前記第1対向面と対向する第2対向面を有し、
前記第1絶縁部は、前記第1外部電極の前記第1対向面と接する第1端部と、前記第2外部電極の前記第2対向面と接する第2端部と、を有し、
前記第1面に直交する第2方向における前記第1絶縁部の寸法は、前記第1端部又は前記第2端部において最大となる、
電子部品。
【請求項2】
前記第1絶縁部は、前記基体の前記第1面に接する底面、前記第2方向において前記底面と対向する上面と、を有しており、
前記第1絶縁部の前記上面は、湾曲面のみで構成されている、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第2方向における前記第1絶縁部の前記第1端部の寸法は、前記第2方向における前記第1外部電極の前記第1対向面の寸法の0.8倍以上である、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1絶縁部は、前記第1対向面及び前記第2対向面から等距離にある中央部をさらに有し、
前記第2方向における前記第1絶縁部の寸法は、第1端部から前記中央部に近づくに従って単調に減少する、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第2方向における前記第1絶縁部の寸法は、前記第2端部から前記中央部に近づくに従って単調に減少する、
請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第1絶縁部は、前記第1対向面及び前記第2対向面から等距離にある中央部をさらに有し、
前記第2方向における前記中央部の寸法は、前記第2方向における前記第1外部電極の前記第1対向面の寸法の0.2倍以下である、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項7】
前記第1方向及び前記第2方向に平行な平面で切断された切断面において、前記第1絶縁部が占める面積は、前記第1対向面、前記第2対向面、及び前記基体の前記第1面により画定されるギャップ領域が占める面積の50%未満である、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第1絶縁部は、樹脂、ガラス、又は絶縁性の金属酸化物から構成される、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項9】
前記第1絶縁部の表面粗さは、前記基体の表面粗さよりも小さい、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項10】
前記第1外部電極及び前記第2外部電極はいずれも、前記第1面のみにおいて前記基体と接する、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項11】
前記第1絶縁部は、前記第1端部から前記第2外部電極に向かって延びる第1絶縁部材と、前記第2端部から前記第1外部電極に向かって延びており前記第1絶縁部材から離間している第2絶縁部材と、を有する、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項12】
前記基体の内部に前記第1内部導体から離間して設けられる第2内部導体と、
前記基体に、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向において前記第1外部電極から離間するように設けられ、前記第2内部導体と電気的に接続される第3外部電極と、
前記基体に、前記第3方向において前記第2外部電極から離間し、且つ、前記第1方向において前記第3外部電極から離間するように設けられ、前記第2内部導体と電気的に接続される第4外部電極と、
前記第1外部電極と前記第3外部電極との間に設けられた第2絶縁部と、
をさらに備え、
前記第1外部電極は、前記第3方向において前記第3外部電極と対向する第3対向面を有し、
前記第3外部電極は、前記第3方向において前記第1外部電極の前記第3対向面と対向する第4対向面を有し、
前記第2絶縁部は、前記第1外部電極の前記第3対向面と接する第3端部と、前記第3外部電極の前記第4対向面と接する第4端部と、を有し、
前記第2方向における前記第2絶縁部の寸法は、前記第3端部又は前記第4端部において最大となる、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項13】
絶縁層に形成されたキャビティに、請求項1に記載の電子部品を載置する工程と、
前記キャビティに封止樹脂を注入する工程と、
前記封止樹脂を硬化させて樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層に形成された第1ビアホールに第1ビア導体を形成し、前記樹脂層に形成された第2ビアホールに第2ビア導体を形成する工程と、
を備える、電子部品内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、主に、電子部品、及び、電子部品内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-178282号公報に記載されているように、従来の電子部品では、絶縁性の向上のために、外部電極間に絶縁材料から形成された絶縁膜が設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-178282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板内に電子部品が埋め込まれている電子部品内蔵基板が知られている。電子部品内蔵基板の製造工程においては、キャビティ内に電子部品を載置した後、未硬化の樹脂をキャビティ内に注入し、このキャビティ内に注入された樹脂を硬化させることで、電子部品が基板内に埋め込まれる。
【0005】
電子部品の表面に絶縁膜を形成すると、電子部品とキャビティの設置面との間隔が絶縁膜の分だけ狭くなるので、表面に絶縁膜を有する電子部品を基板に埋め込む際に、電子部品とキャビティの接地面との間に樹脂が流動しにくい。このため、表面に絶縁膜を有する電子部品が埋め込まれた電子部品内蔵基板においては、電子部品の外部電極間に樹脂が存在しないボイドが生じやすくなる。ボイドには水分が入り込みやすいため、この水分によって電子部品内蔵基板内の配線パターンや絶縁層が劣化しやすくなる。また、ボイドに含まれる空気が温度変化により膨張及び収縮するため、電子部品内蔵基板がボイドの周囲において破損しやすくなる。
【0006】
本明細書において開示される発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決または緩和することである。本明細書に開示される発明のより具体的な目的の一つは、外部電極間に形成される絶縁膜による樹脂の流動の阻害を抑制することである。本明細書において開示される様々な発明は、「本発明」と総称されることがある。
【0007】
本発明の前記以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。本明細書に開示される発明は、「発明を解決しようとする課題」の欄の記載以外から把握される課題を解決するものであってもよい。本明細書に、実施形態の作用効果が記載されている場合には、その作用効果から当該実施形態に対応する発明の課題を把握することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における電子部品は、基体と、基体の内部に設けられる第1内部導体と、第1内部導体と電気的に接続される第1外部電極と、第1内部導体と電気的に接続される第2外部電極と、第1外部電極と第2外部電極との間に設けられる第1絶縁部と、を備える。第1外部電極及び第2外部電極は、基体の第1面に設けられる。第2外部電極は、第1方向において第1外部電極から離間するように設けられている。第1外部電極は、第2外部電極と対向する第1対向面を有する。第2外部電極は、第1外部電極の第1対向面と対向する第2対向面を有する。第1絶縁部は、第1外部電極の第1対向面と接する第1端部と、第2外部電極の第2対向面と接する第2端部と、を有する。一態様において、第1面に直交する第2方向における第1絶縁部の寸法は、第1端部又は第2端部において最大となる。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示されている発明の一態様によれば、外部電極間に形成される絶縁膜による樹脂の流動の阻害を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る電子部品を模式的に示す斜視図である。
図2図1の電子部品をI-I線で切断した断面の一部を拡大して示す断面図である。
図3】ギャップ領域R1について説明するための拡大断面図である。
図4】絶縁部31の変形例を示す拡大断面図である。
図5】絶縁部31の製造方法を説明する模式図である。
図6a】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6b】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6c】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6d】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6e】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図6f】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
図7】別の実施形態に係る電子部品を模式的に示す斜視図である。
図8図7の電子部品をII-II線で切断した断面を示す断面図である。
図9図7の電子部品をIII-III線で切断した断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一又は類似の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。以下で説明される実施形態は、必ずしも特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。以下の実施形態で説明されている諸要素が発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
1 第1実施形態
1-1 電子部品1の基本構造
本明細書に開示される様々な実施形態は、電子部品内蔵基板に内蔵される電子部品に関する。図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る電子部品1について説明する。図1は、電子部品1を模式的に示す斜視図であり、図2は、I-I線で切断した電子部品1の断面の一部を拡大して示す模式的な断面図である。図1及び図2には、基板に内蔵される前の電子部品1が示されている。電子部品1の基板への内蔵については追って説明する。
【0013】
各図には、説明の便宜のため、互いに直交するL軸、W軸、及びT軸が記載されていることがある。本明細書において、電子部品1の各構成部材の寸法、配置、形状、及びこれら以外の特徴は、L軸、W軸、及びT軸を基準に説明されることがある。本明細書においては、各部材のT軸方向における寸法を「厚さ寸法」と呼ぶことがある。
【0014】
電子部品1は、電子部品内蔵基板に内蔵され得る任意の電子部品である。電子部品1は、インダクタ、コンデンサ、抵抗等の受動素子であってもよいし、半導体IC等の能動素子であってもよい。
【0015】
図示されているように、電子部品1は、基体10と、基体10の内部に設けられた内部導体25と、基体10の表面に設けられた第1外部電極21と、基体10の表面において第1外部電極21から離間した位置に設けられた第2外部電極22と、第1外部電極21と第2外部電極22との間に設けられた絶縁性の絶縁部31と、を備える。第1外部電極21は、内部導体25の一端と電気的に接続されており、第2外部電極22は、内部導体25の他端と電気的に接続されている。第1外部電極21は、L軸方向において、第2外部電極22から離間するように配置されている。
【0016】
電子部品1の種類に応じて、内部導体25は、様々な形状を取り得る。電子部品1がインダクタの場合、内部導体25は、インダクタンスを生じさせるコイル導体である。コイル導体は、例えば、コイル軸の周りに所定ターンだけ巻回される。コイル導体の一端及び他端は、第1外部電極21及び第2外部電極にそれぞれ接続される。電子部品1がインダクタの場合に、基体10は、互いに結合した複数の軟磁性金属粒子を含有してもよい。軟磁性金属粒子同士は、絶縁性の絶縁膜で被覆されている。軟磁性金属粒子の表面の絶縁膜が破損すると、軟磁性金属粒子を結合して構成された基体10の絶縁抵抗は低くなる。このため、軟磁性金属粒子を結合して構成された基体10においては、絶縁部31を設けることで絶縁抵抗をより高めることができる。
【0017】
電子部品1がコンデンサの場合、基体10は、BaTiO3等のセラミック材料の焼結体から構成される誘電体である。電子部品1がコンデンサの場合、内部導体25は、誘電体を構成する誘電体層を挟んで配置される第1内部電極層と第2内部電極層とを含む。第1内部電極層は、第1外部電極21と電気的に接続され、第2内部電極層は、第2外部電極22と電気的に接続される。第1外部電極21と第2外部電極との間に電圧が印加されると、第1内部電極層と第2内部電極層との間に静電容量が発生する。
【0018】
一態様において、基体10は、直方体形状を有するように構成されてもよい。本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。基体10は、上面10a、下面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fを有する。基体10は、これらの6つの面によってその外表面が画定されている。上面10aは、T軸方向と直交している。
【0019】
一態様において、第1外部電極21及び第2外部電極22は、基体10の上面10aに設けられる。第1外部電極21及び第2外部電極22はいずれも、基体10の外表面のうち、上面10aのみと接していてもよい。
【0020】
1-2 絶縁部31
次に、第1実施形態における絶縁部31について図2を参照してさらに説明する。上述したように、絶縁部31は、第1外部電極21と第2外部電極22との間に設けられる。絶縁部31は、絶縁性に優れた絶縁材料から構成される。絶縁部31は、基体10よりも高い電気抵抗率を有する。絶縁部31の材料は、例えば、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの樹脂材料、ホウ珪酸ガラスなどのガラス、及びAl酸化物などの金属酸化物である。
【0021】
図示の実施形態において、絶縁部31は、L軸方向において、第1外部電極21の外表面のうち第2外部電極22と対向する第1対向面21aから、第2外部電極22の外表面のうち第1対向面21aと対向する第2対向面22aまで延伸している。絶縁部31は、W軸方向において、基体10の上面10aの一端から他端まで延伸している。図示の実施形態においては、基体10の上面10aのうち第1外部電極21と第2外部電極22との間の領域は全て絶縁部31で覆われている。このため、絶縁部31により、第1外部電極21と第2外部電極22との間での絶縁抵抗の低下による短絡の発生を抑制することができる。
【0022】
絶縁部31は、第1外部電極21の第1対向面21aと接する第1端部31aと、第2外部電極22の第2対向面22aと接する第2端部31bと、第1対向面21a及び第2対向面22aからのL軸方向に沿う距離が等距離である中央部31cを有している。また、絶縁部31は、基体10の上面10aと接する底面31dと、T軸方向において底面31dと対向する上面31eと、を有している。
【0023】
第1端部31aは、絶縁部31の表面のうち、第1外部電極21の第1対向面21aと接する第1側面を含む領域を指す。一態様において、第1端部31aの厚さ寸法(T軸方向における寸法)t31aは、第1外部電極21の第1対向面21aの厚さ寸法t21の0.8倍以上1.0倍未満である。第1端部31aの厚さ寸法t31aを第1外部電極21の第1対向面21aの厚さ寸法t21の0.8倍以上とすることで、第1外部電極21と第2外部電極22との間の短絡をより確実に抑制することができる。第1外部電極21と第2外部電極22との間の短絡をさらに確実に抑制するために、第1端部31aの厚さ寸法t31aは、第1外部電極21の第1対向面21aの厚さ寸法t21の0.9倍以上であることが望ましい。
【0024】
第2端部31bは、絶縁部31の表面のうち、第2外部電極22の第2対向面22aと接する第2側面を含む領域を指す。一態様において、第2端部31bの厚さ寸法t31bは、第2外部電極22の第2対向面22aの厚さ寸法t22の0.8倍以上1.0倍未満である。第2端部31bの厚さ寸法t31bを第2外部電極22の第2対向面22aの厚さ寸法t22の0.8倍以上とすることで、第1外部電極21と第2外部電極22との間の絶縁抵抗の低下による短絡をより確実に抑制することができる。
【0025】
一態様において、絶縁部31は、その厚さ寸法が第1端部31a又は第2端部31bにおいて最大となるように構成される。第1端部31aの厚さ寸法t31aは、第2端部31bの厚さ寸法t31bと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0026】
一態様において、絶縁部31の上面31eは、第1端部31aから中央部31cに向かって凹み、且つ、第2端部31bから中央部31cに向かって凹む湾曲面である。一態様において、絶縁部31の上面31eは、湾曲面のみから構成される。言い換えると、一態様における絶縁部31の上面31eは、直線状の部分を含まない。この場合、上面31eは、2つの直線状の部分によって形成される角(又は段差)を含まない。絶縁部31が角を含むと、電子部品1を樹脂封止する際に、その角の部分に樹脂が流動しにくくなり、ボイド形成の原因となり得る。絶縁部31の上面31eを湾曲面のみで構成することにより、樹脂封止時のボイドの形成を抑制することができる。
【0027】
一態様において、絶縁部31は、その厚さ寸法が、L軸に沿って第1端部31aから中央部31cに近づくに従って単調に減少するように構成される。一態様において、絶縁部31は、その厚さ寸法が、L軸に沿って第2端部31bから中央部31cに近づくに従って単調に減少するように構成される。絶縁部31の厚さ寸法が第1端部31aから中央部31cに向かって単調に減少し、また、第2端部31bから中央部31cに向かって単調に減少する場合には、絶縁部31の上面31eは、第1端部31aと中央部31cとの間で一貫して下方に凸な湾曲面を呈する。絶縁部31の上面31eが、L軸方向の全領域に亘って下方に向かって凸な湾曲面を呈することで、封止樹脂が上面31eに沿って流動しやすくなる。
【0028】
一態様において、絶縁部31の中央部31cの厚さ寸法t31cは、第1外部電極21の第1対向面21aの厚さ寸法t21の0.2倍以下である。中央部31cの厚さ寸法t31cを第1外部電極21の第1対向面21aの厚さ寸法t21の0.2倍以下とすることにより、樹脂封入時に基体10と電子部品1の接地面との間に空間を大きく確保することができるので、封止樹脂が上面31eに沿って流動しやすくなる。樹脂封入時の樹脂が流動する空間をより大きく確保するために、中央部31cの厚さ寸法t31cは、第1外部電極21の第1対向面21aの厚さ寸法t21の0.1倍以下であることが望ましい。絶縁部31の中央部31cは、厚さ寸法t31cの測定が困難なほど薄くてもよい。
【0029】
図3に示されているように、電子部品1をLT面に平行な平面で切断した切断面において、第1外部電極21の第1対向面21a、第2外部電極22の第2対向面22a、及び基体10の上面10a、及び第1対向面21aの上辺と第2対向面22aの上辺とを接続する仮想平面VP1とにより画定される(囲まれる)ギャップ領域R1のうち、絶縁部31が占める面積が大きくなるほど、封止樹脂が流動できる領域が減少する。一態様では、電子部品1をLT面に平行な平面で切断した切断面におけるギャップ領域R1の面積に対する絶縁部31の面積の比を百分率で50%未満とする。ギャップ領域R1の面積に対する絶縁部31の面積の比を50%未満とすることにより、封止樹脂が流動できる領域を大きく確保することができるので、樹脂封入時のボイド形成を抑制できる。封止樹脂の流動をさらに促進するために、ギャップ領域R1の面積に対する絶縁部31の面積の比は、百分率で25%未満とすることが望ましい。
【0030】
一態様において、絶縁部31の上面31eの表面粗さは、基体10の外表面の表面粗さよりも小さい。言い換えると、絶縁部31の上面31eは、基体10の外表面よりも平滑である。絶縁部31の上面31eを平滑に形成することにより、封止樹脂の流動が促進されるので、樹脂封入時のボイド形成を抑制できる。絶縁部31の上面31eの表面粗さ及び基体10の外表面の表面粗さは、ISO25178に準拠した測定器を用いることによって算出される算術表面粗さSaで表され得る。算術表面粗さSaは、株式会社キーエンス製の形状解析レーザ顕微鏡(VK-X250)等の算術表面粗さSaを測定できる市販の機器を用いて測定することができる。
【0031】
次に、図4を参照して、絶縁部31の変形例について説明する。図4に示されているように、絶縁部31は、2つの部材に分割されていてもよい。より具体的には、絶縁部31は、第1端部31aから第2外部電極22に向かって延びる第1絶縁部材32と、第2端部31bから第1外部電極21に向かって延びており第1絶縁部材32から離間している第2絶縁部材33と、を有していてもよい。図4に示されている実施形態では、L軸方向において、第1絶縁部材32と第2絶縁部材33との間で基体10の上面10aが露出している。図4の実施形態においては、第1外部電極21と第2外部電極22との間の短絡を第1絶縁部材32及び第2絶縁部材33により抑制するとともに、第1外部電極21と第2外部電極22との間に封止樹脂が流動できる領域を大きく確保することができるので、樹脂封入時のボイド形成を抑制できる。
【0032】
1-3 絶縁部31の製造方法
次に、図5を参照して、絶縁部31の形成方法について説明する。まず、電子部品1を作製する。電子部品1がコイル部品である場合には、電子部品1は、シート積層法によって作製されてもよい。電子部品1は、任意の公知の方法に従って作製される。絶縁部31を作製するために、例えば、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの樹脂を基体10の上面10aの第1外部電極21と第2外部電極22との間の領域に塗布し、この塗布された樹脂を硬化することで、絶縁層41を形成する。絶縁層41は、エポキシ樹脂等の絶縁性の樹脂に、アルミナやガラス等の絶縁性材料を混合することで形成された絶縁性ペーストを、基体10の上面10aの第1外部電極21と第2外部電極22との間の領域に塗布し、この絶縁性ペーストの樹脂を硬化させることで形成されてもよい。
【0033】
次に、絶縁層41に表面加工を施すことで、絶縁層41の上面に中央部が凹む湾曲面を形成する。絶縁層41に表面加工を施すことにより絶縁部31が得られる。絶縁層41への表面加工は、サンドブラスト、研磨、バレル加工、及びこれら以外の公知の表面加工手段により行うことができる。バレル加工では、第1外部電極21と第2外部電極22との間の間隔よりも直径の大きいメディアを用いることにより、絶縁層41の中央部をメディアに接触させる一方で、絶縁層41の第1外部電極21の近傍にある領域及び第2外部電極22の近傍にある領域がメディアに接触しないように絶縁層41のバレル加工を行うことができる。これにより、絶縁部31の上面を、中央部31cに向かって凹む湾曲面に形成することができる。
【0034】
1-4 電子部品内蔵基板の製造方法
次に、図6aないし図6fを参照して、電子部品1を内蔵する電子部品内蔵基板の製造方法の一例について説明する。
【0035】
まず、図6aに示されているように、フィルム51の上に絶縁層52を形成し、この絶縁層52にキャビティC1を形成する。そして、第1外部電極21及び第2外部電極22がフィルム51に接するように、電子部品1をキャビティC1内に載置する。フィルム51は、電子部品内蔵基板の製造工程において、電子部品1を暫定的に取り付けるためのフィルムである。絶縁層52は、多層プリント基板の一部である。図示は省略されているが、絶縁層52の内部には複数の配線パターン及び配線パターン同士を接続するビア導体が形成されていてもよい。絶縁層52は、ガラスエポキシ等の絶縁材料から構成される。絶縁層52の材料は、ガラスエポキシには限られず、多層プリント基板の絶縁層に適した様々な材料から構成され得る。
【0036】
次に、図6bに示されているように、電子部品1が載置されたキャビティC1内に、電子部品1を覆うように第1樹脂層53を形成する。第1樹脂層53は、例えば、熱硬化性樹脂から構成される。第1樹脂層53は、キャビティC1に未硬化の熱硬化性樹脂を注入し、この注入された熱硬化性樹脂を加熱して硬化することで形成されてもよい。基体10の上面10aに中央が凹んでいる絶縁部31が設けられているため、電子部品1とフィルム51との間への樹脂の流動が促進される。よって、電子部品1を封止する第1樹脂層53におけるボイドの発生を抑制することができる。このようにして、キャビティC1内に第1樹脂層53により電子部品1が封止された中間体が作製される。
【0037】
次に、図6cに示されているように、中間体を上下反転させた後、フィルム51を取り除き、このフィルム51が取り除かれた中間体の上面に、第2樹脂層54を形成する。第2樹脂層54は、第1樹脂層53と同じ熱硬化性樹脂から構成されてもよい。第2樹脂層54は、フィルム51を取り除いた際に露出する第1外部電極21及び第2外部電極22を覆うように形成される。
【0038】
次に図6dに示されているように、第2樹脂層54に第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2を形成して、第1外部電極21の一部及び第2外部電極22の一部を露出させる。第1ビアホールVH1は、紙面の上方から第1外部電極21に向かってレーザを照射することにより形成される。同様に、第2ビアホールVH2は、紙面の上方から第2外部電極22に向かってレーザを照射することにより形成される。照射されるレーザは、例えば、炭酸ガスレーザである。2台の炭酸ガスレーザ加工機を用いることにより、第1外部電極21及び第2外部電極22に向かってレーザを同時に照射することができるので、第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2を並行して形成することができる。これにより、製造時間の短縮化を図ることができる。第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2は、
【0039】
次に、図6eに示されているように、第1ビアホールVH1を画定する底面及び壁面、第2ビアホールVH2を画定する底面及び壁面にめっき処理を施すことにより、第1ビアホールVH1内にビア導体61が形成され、第2ビアホールVH2内にビア導体62が形成される。また、第2樹脂層54の表面にめっき処理を施すことにより、第2樹脂層54の表面に導体層70が形成される。
【0040】
次に、図6fに示されているように、導体層70のうち、L軸方向において第1外部電極21と第2外部電極22との間の領域をエッチングすることにより、第1外部電極21に接続される第1配線パターン71及び第2外部電極22に接続される第2配線パターン72が形成される。
【0041】
以上により、内部に電子部品1が埋め込まれた電子部品内蔵基板81が作製される。
【0042】
電子部品内蔵基板81には、図示されている電子部品1以外に、様々な電子部品が内蔵されていてもよい。電子部品内蔵基板81に内蔵される電子部品1以外の電子部品は、インダクタ、コンデンサ、抵抗等の受動素子であってもよいし、半導体IC等の能動素子であってもよい。
【0043】
電子部品内蔵基板81は、様々な電子機器に搭載され得る。電子部品内蔵基板81が搭載され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、自動車の電装品、サーバ及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。
【0044】
2 第2実施形態
続いて、図7ないし図9を参照して、第2実施形態に係る電子部品101について説明する。図7は、第2実施形態に係る電子部品101の斜視図であり、図8は、電子部品101をII-II線に沿って切断した断面図であり、図9は、電子部品101をIII-III線に沿って切断した断面図である。電子部品101は、8つの外部電極121~128を備えている点で、2つの外部電極を備えている電子部品1と異なっている。
【0045】
電子部品101は、例えば、基体110の内部に、複数の素子がパッケージ化されたアレイ型素子である。アレイ型素子においては、複数の素子が一つの素子としてパッケージ化されているので、複数の素子を実装する際の実装スペースを小さくできる。電子部品101においては、第1実施形態で説明した電子部品1がW軸方向に4つ分並んでおり、この4つの電子部品が一つの素子としてパッケージ化されている。電子部品101には、異なる種類の素子がパッケージ化されていてもよい。例えば、電子部品101は、LCフィルタ、LCRフィルタ、及びインダクタから選択された4つの素子を基体110の内部にパッケージ化することで構成されてもよい。電子部品101は、同種の4つの素子を基体110の内部にパッケージ化することで構成されてもよい。例えば、電子部品101は、4つのインダクタ素子がパッケージ化されたアレイ型インダクタであってもよい。電子部品101には、2つより多くの外部電極に接続される素子、例えば、磁気結合型のインダクタ(例えば、コモンモードチョークコイル)を含んでもよい。
【0046】
外部電極121~128はいずれも、基体110の外表面のうち、上面110aのみと接していてもよい。
【0047】
外部電極121は、不図示の第1内部導体の一端と接続されており、外部電極122は、当該第1内部導体の他端と接続されている。電子部品101がアレイ型インダクタの場合には、第1内部導体は、第1コイル導体である。外部電極123は、不図示の第2内部導体の一端と接続されており、外部電極124は、当該第2内部導体の他端と接続されている。電子部品101がアレイ型インダクタの場合には、第2内部導体は、第2コイル導体である。外部電極125は、不図示の第3内部導体の一端と接続されており、外部電極126は、当該第3内部導体の他端と接続されている。電子部品101がアレイ型インダクタの場合には、第3内部導体は、第3コイル導体である。外部電極127は、不図示の第4内部導体の一端と接続されており、外部電極128は、当該第4内部導体の他端と接続されている。電子部品101がアレイ型インダクタの場合には、第4内部導体は、第4コイル導体である。
【0048】
基体110の上面110aのうち、外部電極121~128により覆われていない領域は、絶縁部131により覆われている。このため、外部電極121~128のうち隣接するもの同士の間には、絶縁部131の一部が介在している。よって、絶縁部131により外部電極121~128間での短絡の発生を抑制することができる。
【0049】
電子部品101をLT面又はWT面で切断した断面において、隣接する外部電極の間の領域において、絶縁部131は、下方に向かって湾曲する上面を有するように形成される。LT面又はWT面で切断した断面における、隣接する外部電極間における絶縁部131の形状は、LT面に沿って切断した絶縁部31の形状(図2参照)と同様である。
【0050】
絶縁部131の具体的な形状について、図8及び図9を参照してさらに説明する。図8に示されているように、絶縁部131は、L軸方向において、外部電極121の外表面のうち外部電極122と対向する第1対向面121aから、外部電極122の外表面のうち第1対向面121aと対向する第2対向面122aまで延伸している。外部電極121と外部電極122との間の領域において、絶縁部131は、外部電極121の第1対向面121aと接する第1端部131aと、外部電極122の第2対向面122aと接する第2端部131bと、を有している。絶縁部131は、外部電極121と外部電極122との間の領域において、その厚さ寸法が第1端部131a又は第2端部131bにおいて最大となるように構成される。
【0051】
図8を参照して説明した絶縁部131の形状は、L軸方向において対向している他の外部電極間の領域における絶縁部131の形状にも当てはまる。例えば、L軸方向において対向している外部電極123と外部電極124との間の領域における絶縁部131の形状は、図8に示されている、外部電極121と外部電極122との間の領域における絶縁部131の形状と同様である。
【0052】
図9に示されているように、絶縁部131は、W軸方向において、外部電極121の外表面のうち外部電極123と対向する第3対向面121bから、外部電極123の外表面のうち第3対向面121bと対向する第4対向面123aまで延伸している。外部電極121と外部電極123との間の領域において、絶縁部131は、外部電極121の第3対向面121bと接する第3端部131cと、外部電極123の第4対向面123aと接する第4端部131dと、を有している。絶縁部131は、外部電極121と外部電極123との間の領域において、その厚さ寸法が第3端部131c又は第4端部131dにおいて最大となるように構成される。
【0053】
図9を参照して説明した絶縁部131の形状は、W軸方向において対向している他の外部電極間の領域における絶縁部131の形状にも当てはまる。例えば、W軸方向において対向している外部電極122と外部電極124との間の領域における絶縁部131の形状は、図9に示されている、外部電極121と外部電極123との間の領域における絶縁部131の形状と同様である。
【0054】
図9においては、外部電極121の第3対向面121bと外部電極123の第4対向面123aとの間の間隔が、外部電極121のW軸方向における寸法よりも小さく図示されているが、電子部品101において隣り合う外部電極同士の間隔は、図9に示されている態様には限られない。例えば、W軸方向において隣り合う外部電極同士の間隔(例えば、外部電極121の第3対向面121bと外部電極123の第4対向面123aとの間の間隔)は、外部電極121のW軸方向における寸法より大きくてもよい。外部電極121の第3対向面121bと外部電極123の第4対向面123aとのW軸に沿った間隔が外部電極121のW軸方向における寸法よりも小さい場合でも、外部電極121の第1対向面121aと外部電極122の第2対向面122aとの間のL軸に沿った間隔は、外部電極121の第3対向面121bと外部電極123の第4対向面123aとのW軸に沿った間隔より大きい。外部電極121の第3対向面121bと外部電極123の第4対向面123aとのW軸に沿った間隔が外部電極121のW軸方向における寸法よりも大きい場合には、外部電極121の第1対向面121aと外部電極122の第2対向面122aとの間のL軸に沿った間隔は、外部電極121の第3対向面121bと外部電極123の第4対向面123aとのW軸に沿った間隔より小さくてもよい。上記のように、W軸方向に沿った外部電極の間隔とL軸方向に沿った外部電極の間隔は、一方が小さくなると他方が大きくなる関係にある。
【0055】
電子部品101は、電子部品1と同様に、図5aないし図5fに示した工程を経て電子部品内蔵基板に実装される。電子部品101の基体110の上面110aには、隣接する外部電極間の中央付近が凹んでいる絶縁部131が設けられているので、電子部品1とフィルム51との間への樹脂の流動が促進される。よって、電子部品101を封止する第1樹脂層53におけるボイドの発生を抑制することができる。
【0056】
3 注記
前述の様々な実施形態で説明された各構成要素の寸法、材料及び配置は、それぞれ、各実施形態で明示的に説明されたものに限定されず、当該各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料及び配置を有するように変形することができる。
【0057】
本明細書において明示的に説明していない構成要素を、上述の各実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0058】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0059】
本明細書において、ある構成要素を「含む」という場合は、本発明の内容と矛盾しない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0060】
4 付記
本明細書において開示される実施形態には、以下の事項も含まれる。
【0061】
[付記1]
基体と、
前記基体の内部に設けられる第1内部導体と、
前記基体の第1面に設けられ、前記第1内部導体と電気的に接続される第1外部電極と、
前記基体の前記第1面に、第1方向において前記第1外部電極から離間するように設けられ、前記第1内部導体と電気的に接続される第2外部電極と、
前記第1外部電極と前記第2外部電極との間に設けられる第1絶縁部と、
を備え、
前記第1外部電極は、前記第2外部電極と対向する第1対向面を有し、
前記第2外部電極は、前記第1外部電極の前記第1対向面と対向する第2対向面を有し、
前記第1絶縁部は、前記第1外部電極の前記第1対向面と接する第1端部と、前記第2外部電極の前記第2対向面と接する第2端部と、を有し、
前記第1面に直交する第2方向における前記第1絶縁部の寸法は、前記第1端部又は前記第2端部において最大となる、
電子部品。
[付記2]
前記第1絶縁部は、前記基体の前記第1面に接する底面と、前記第2方向において前記底面と対向する上面と、を有しており、
前記第1絶縁部の前記上面は、湾曲面のみで構成されている、
[付記1]に記載の電子部品。
[付記3]
前記第2方向における前記第1絶縁部の前記第1端部の寸法は、前記第2方向における前記第1外部電極の前記第1対向面の寸法の0.8倍以上である、
[付記1]又は[付記2]に記載の電子部品。
[付記4]
前記第1絶縁部は、前記第1対向面及び前記第2対向面から等距離にある中央部をさらに有し、
前記第2方向における前記第1絶縁部の寸法は、第1端部から前記中央部に近づくに従って単調に減少する、
[付記1]から[付記3]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記5]
前記第2方向における前記第1絶縁部の寸法は、前記第2端部から前記中央部に近づくに従って単調に減少する、
[付記4]に記載の電子部品。
[付記6]
前記第1絶縁部は、前記第1対向面及び前記第2対向面から等距離にある中央部をさらに有し、
前記第2方向における前記中央部の寸法は、前記第2方向における前記第1外部電極の前記第1対向面の寸法の0.2倍以下である、
[付記1]から[付記5]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記7]
前記第1方向及び前記第2方向に平行な平面で切断された切断面において、前記第1絶縁部が占める面積は、前記第1対向面、前記第2対向面、及び前記基体の前記第1面により画定されるギャップ領域が占める面積の50%未満である、
[付記1]から[付記6]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記8]
前記第1絶縁部は、樹脂、ガラス、又は絶縁性の金属酸化物から構成される、
[付記1]から[付記7]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記9]
前記第1絶縁部の表面粗さは、前記基体の表面粗さよりも小さい、
[付記1]から[付記8]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記10]
前記第1外部電極及び前記第2外部電極はいずれも、前記第1面のみにおいて前記基体と接する、
[付記1]から[付記9]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記11]
前記第1絶縁部は、前記第1端部から前記第2外部電極に向かって延びる第1絶縁部材と、前記第2端部から前記第1外部電極に向かって延びており前記第1絶縁部材から離間している第2絶縁部材と、を有する、
[付記1]から[付記10]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記12]
前記基体の内部に前記第1内部導体から離間して設けられる第2内部導体と、
前記基体に、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向において前記第1外部電極から離間するように設けられ、前記第2内部導体と電気的に接続される第3外部電極と、
前記基体に、前記第3方向において前記第2外部電極から離間し、且つ、前記第1方向において前記第3外部電極から離間するように設けられ、前記第2内部導体と電気的に接続される第4外部電極と、
前記第1外部電極と前記第3外部電極との間に設けられた第2絶縁部と、
をさらに備え、
前記第1外部電極は、前記第3方向において前記第3外部電極と対向する第3対向面を有し、
前記第3外部電極は、前記第3方向において前記第1外部電極の前記第3対向面と対向する第4対向面を有し、
前記第2絶縁部は、前記第1外部電極の前記第3対向面と接する第3端部と、前記第3外部電極の前記第4対向面と接する第4端部と、を有し、
前記第2方向における前記第2絶縁部の寸法は、前記第3端部又は前記第4端部において最大となる、
[付記1]から[付記11]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記13]
絶縁層に形成されたキャビティに、請求項1に記載の電子部品を載置する工程と、
前記キャビティに封止樹脂を注入する工程と、
前記封止樹脂を硬化させて樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層に形成された第1ビアホールに第1ビア導体を形成し、前記樹脂層に形成された第2ビアホールに第2ビア導体を形成する工程と、
を備える、電子部品内蔵基板の製造方法。
【符号の説明】
【0062】
1、101 電子部品
10 基体
21 第1外部電極
22 第2外部電極
25 内部導体
31、131 絶縁部
81 電子部品内蔵基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7
図8
図9