(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145644
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20241004BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20241004BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20241004BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B65D47/34 100
B05B11/00 102G
B05B11/10 102E
B05B11/10 102G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058085
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA02
3E084DB08
3E084DB09
3E084FB01
3E084GA06
3E084GB17
3E084JA20
3E084KA20
3E084LC01
(57)【要約】
【課題】トリガー部の1回の操作によるトリガー式液体噴出器の内容物の噴出量を増やすこと、途切れにくい噴出を可能にすること。
【解決手段】トリガー式液体噴出器1は、縦供給筒部10と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部21を有するトリガー機構20と、を備え、トリガー機構20は、トリガー部21の後方への移動によって、内容物を噴出孔3aに向けて流通させる第1ポンプ部30Aと、第1ポンプ部30Aより上方に配置され、トリガー部21の前方への移動によって、内容物を噴出孔3aに向けて流通させる第2ポンプ部30Bと、を備え、トリガー部21は、上下方向において、第1ポンプ部30Aとの連結部分(第1連結軸23A)と、第2ポンプ部30Bとの連結部分(第2連結軸23B)と、の間に回動軸22を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体に装着され、前記内容物を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器本体から前記内容物を吸い上げる縦供給筒部と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の移動に伴って、前記内容物を前記縦供給筒部から前記噴出孔に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記トリガー機構は、
前記トリガー部の前方への移動によって、前記縦供給筒部を介して前記容器本体から前記内容物を吸い上げ、前記トリガー部の後方への移動によって、前記内容物を前記噴出孔に向けて流通させる第1ポンプ部と、
前記第1ポンプ部より上方に配置され、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部を介して前記容器本体から前記内容物を吸い上げ、前記トリガー部の前方への移動によって、前記内容物を前記噴出孔に向けて流通させる第2ポンプ部と、を備え、
前記トリガー部は、上下方向において、前記第1ポンプ部との連結部分と、前記第2ポンプ部との連結部分と、の間に回動軸を備えている、
トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記第1ポンプ部は、第1供給流路を介して、前記噴出孔に連通する噴出流路に連通し、
前記第2ポンプ部は、前記第1供給流路と独立した第2供給流路を介して、前記噴出流路に連通している、
請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部のそれぞれは、
前記トリガー部の前後動に連係して前後動するピストンと、
前記ピストンが挿入されたシリンダと、
前記縦供給筒部を介した、前記容器本体と前記シリンダとの連通およびその遮断を切換える弁体と、を備え、
前記縦供給筒部には、
前記ピストンの後方への移動時に、前記シリンダから前記縦供給筒部に前記内容物を流出させる第1孔と、
前記ピストンの前方への移動時に、前記縦供給筒部を介して前記容器本体から前記シリンダに前記内容物を流入させるとともに、前記弁体に開閉される第2孔と、が形成され、
前記弁体は、前後動可能に設けられるとともに、後方に移動する前記ピストンに連係して後方に移動し、前記第2孔を閉塞する、
請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1記載のトリガー式液体噴出器が知られている。このトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、噴出器本体の前方側に配置され、液体を前方に向けて噴射する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備える。噴出器本体は、上下方向に延在し、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部から前方に向けて延設され、内側が縦供給筒部の内部に連通した射出筒部と、射出筒部から下方に向けて延設され、前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部と、射出筒部の下方に配設され、トリガー部の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部内から射出筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させる供給手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のトリガー式液体噴出器では、内容物を広範囲に噴出(塗布、付着)させることや、内容物の噴出時間を延ばすことについての要望がある。このため、トリガー部の1回の操作による内容物の噴出量を増やすこと、途切れにくい噴出を可能にすることが求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、トリガー部の1回の操作によるトリガー式液体噴出器の内容物の噴出量を増やすこと、途切れにくい噴出を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るトリガー式液体噴出器は、内容物が収容される容器本体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体に装着され、前記内容物を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、前記容器本体から前記内容物を吸い上げる縦供給筒部と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の移動に伴って、前記内容物を前記縦供給筒部から前記噴出孔に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記トリガー機構は、前記トリガー部の前方への移動によって、前記縦供給筒部を介して前記容器本体から前記内容物を吸い上げ、前記トリガー部の後方への移動によって、前記内容物を前記噴出孔に向けて流通させる第1ポンプ部と、前記第1ポンプ部より上方に配置され、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部を介して前記容器本体から前記内容物を吸い上げ、前記トリガー部の前方への移動によって、前記内容物を前記噴出孔に向けて流通させる第2ポンプ部と、を備え、前記トリガー部は、上下方向において、前記第1ポンプ部との連結部分と、前記第2ポンプ部との連結部分と、の間に回動軸を備えている。
【0007】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部に指をかけ、トリガー部を後方へ移動させると、トリガー部の回動軸より下方位置に連結された第1ポンプ部が内容物を噴出孔に向けて流通させるため、トリガー部を操作するときに内容物を噴出できる。
また、トリガー部が付勢によって前方に移動すると、今度は、トリガー部の回動軸より上方位置に連結された第2ポンプ部が内容物を噴出孔に向けて流通させるため、トリガー部が元の位置に復帰するときにも内容物を噴出できる。
つまり、トリガー部は、上下方向において、第1ポンプ部との連結部分と、第2ポンプ部との連結部分と、の間に回動軸を備えているため、当該回動軸を支点とするシーソーのように、第1ポンプ部及び第2ポンプ部を逆に作動させることができる。
したがって、本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部を操作するときだけでなく、トリガー部が元の位置に復帰するときにも内容物を噴出することができる。このため、トリガー部の1回の操作による内容物の噴出量を増やすこと、途切れにくい噴出を可能にすることができる。
【0008】
(2)前記第1ポンプ部は、第1供給流路を介して、前記噴出孔に連通する噴出流路に連通し、前記第2ポンプ部は、前記第1供給流路と独立した第2供給流路を介して、前記噴出流路に連通してもよい。
【0009】
この場合には、第1ポンプ部(第2ポンプ部)から噴出孔に向けて流通させるべき内容物を、第2ポンプ(第1ポンプ部)に向けて逆流させないようにすることができる。
【0010】
(3)前記第1ポンプ部及び前記第2ポンプ部のそれぞれは、前記トリガー部の前後動に連係して前後動するピストンと、前記ピストンが挿入されたシリンダと、前記縦供給筒部を介した、前記容器本体と前記シリンダとの連通およびその遮断を切換える弁体と、を備え、前記縦供給筒部には、前記ピストンの後方への移動時に、前記シリンダから前記縦供給筒部に前記内容物を流出させる第1孔と、前記ピストンの前方への移動時に、前記縦供給筒部を介して前記容器本体から前記シリンダに前記内容物を流入させるとともに、前記弁体に開閉される第2孔と、が形成され、前記弁体は、前後動可能に設けられるとともに、後方に移動する前記ピストンに連係して後方に移動し、前記第2孔を閉塞してもよい。
【0011】
この場合には、弁体が、前後動可能に設けられるとともに、後方移動するピストンに連係して後方移動し、第2孔を閉塞するので、例えばしばらく放置する等して、弁体が前後動しにくくなっていても、弁体が、ピストンの後方移動に連係することによって、強制的に後方移動させられることとなり、弁体を確実に作動させ、縦供給筒部内を通した、容器本体とシリンダとの連通を遮断することができる。その後、ピストンが前方に向けて復元移動するのに伴い、弁体が前方に移動させられ、第2孔が開放されることで、容器本体の内容物が第2孔を通してシリンダに流入する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部の1回の操作によるトリガー式液体噴出器の内容物の噴出量を増やすこと、途切れにくい噴出を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、トリガー式液体噴出器の一実施形態について説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、内容物が収容された容器本体100に装着される噴出器本体2と、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、を備えている。なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0016】
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、トリガー機構20と、を備えている。
以下、縦供給筒部10の中心軸線Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器本体100の底部側を下側、その反対側を上側という。上下方向から見て、縦供給筒部10に対してノズル部材3が位置している側を前側、その逆側を後側という。上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0017】
噴出器本体2は、その前端部を除く、上方、後方および左右をカバー部材4によって覆われている。ノズル部材3は、噴出器本体2の前端部に装着され、内容物を前方に向けて噴出する噴出孔3aを有している。
【0018】
縦供給筒部10は、上下方向に延びる筒状に形成され、容器本体100の口部101から、容器本体100の内容物を吸い上げる。縦供給筒部10の下端部には、容器本体100の底部まで延びるパイプ部材5が嵌合している。縦供給筒部10の下端部の外周面には、取付筒部11が連設されている。取付筒部11は、縦供給筒部10の下端部を囲うように配置され、口部101の内側に挿入されている。
【0019】
取付筒部11の外周面には、口部101の上端開口縁上まで延びるフランジ11aが形成されている。口部101の上端開口縁には、シール部材12が配置されている。口部101の外周面には、中央に開口部が形成された有頂筒状の装着キャップ13が装着されている。
【0020】
装着キャップ13の内周面には、口部101における外周面に形成された雄ネジに螺着する雌ネジが形成されている。フランジ11a及びシール部材12は、装着キャップ13の頂壁と口部101の上端開口縁との間に挟まれて固定されている。
【0021】
縦供給筒部10の前壁には、上下方向に間隔をあけて第1連通孔10A(第2孔)と第2連通孔10B(第2孔)とが形成されている。第1連通孔10Aは、縦供給筒部10の前壁から前方に延びる第1ポンプ装着筒14A内に連通している。一方、第2連通孔10Bは、縦供給筒部10の前壁から前方に延びる第2ポンプ装着筒14B内に連通している。第2連通孔10Bは、第1連通孔10Aよりも上方に配置されている。
【0022】
縦供給筒部10の上端部には、前方に向かって延びる射出筒部15が設けられている。射出筒部15は、縦供給筒部10内の内容物を、噴出孔3a側に向けて流通させる噴出流路15aを形成している。射出筒部15には、前方から中継筒部材17が組み付けられている。中継筒部材17の前端部には、ノズル部材3が装着されている。噴出流路15aは、噴出孔3aに連通している。
【0023】
縦供給筒部10の上端部の上面の一部は、開口しており、当該開口には、後述する弁部材50が嵌合している。縦供給筒部10の上端部は、当該開口を含む上面、左右側面、及び背面が、閉塞部材16によって覆われている。閉塞部材16は、縦供給筒部10の上端部に、後方から組み付けられている。
【0024】
トリガー機構20は、トリガー部21と、第1ポンプ部30Aと、第2ポンプ部30Bと、を備えている。トリガー部21は、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されている。第1ポンプ部30A及び第2ポンプ部30Bは、トリガー部21の移動に伴って、内容物を縦供給筒部10から噴出孔3aに向けて流通させる。
【0025】
トリガー部21は、回動軸22を備え、中継筒部材17から下方に垂設された一対の支持部材17aに軸支されている。これにより、トリガー部21は、一対の支持部材17aに対して左右方向に延びる軸回りに回動可能とされている。トリガー部21は、前板部21aと、一対の側板部21bと、天板部21cと、を有している。
【0026】
前板部21aは、天板部21cの前端縁から前方に向かうに従い漸次、下方に向けて延びている。前板部21aの下側部分は、指先を掛けるための指掛部分とされている。一対の側板部21bは、前板部21aの左右両側の側端縁から後方に向けて延在し、左右方向に向かい合っている。天板部21cは、前板部21a及び一対の側板部21bの上端縁同士を接続している。
【0027】
一対の側板部21bには、第1連結軸23A及び第2連結軸23Bが設けられている。第1連結軸23A及び第2連結軸23Bは、一対の側板部21bによって左右方向に架設されている。第1連結軸23Aは、回動軸22よりも下方に配設されている。この第1連結軸23Aは、第1ポンプ部30Aのピストン32と連結されている。一方、第2連結軸23Bは、回動軸22よりも上方に配設されている。この第2連結軸23Bは、第2ポンプ部30Bのピストン32と連結されている。
【0028】
一対の側板部21bの左右外側を向く面には、バネ受け部24が形成されている。左右のバネ受け部24は、閉塞部材16から前方に向かうに従い漸次、下方に向けて延びる一対の付勢部材18の下端に対し、前方から当接している。付勢部材18は、閉塞部材16と一体で形成されている。
【0029】
第1ポンプ部30Aは、縦供給筒部10と連通し、前後方向に延びるシリンダ31と、シリンダ31の内部を、トリガー部21の移動に伴い前後に移動するピストン32と、ピストン32が前方に移動した際に、縦供給筒部10とシリンダ31との連通を許容し、かつ、ピストン32が後方に移動した際に、縦供給筒部10とシリンダ31との連通を遮断する弁体33と、を備えている。
【0030】
シリンダ31は、前方に向けて開口する有底筒状に形成され、第1ポンプ装着筒14Aの内側に嵌合されている。シリンダ31の底部は開口しており、シリンダ31の内部は第1連通孔10Aと連通している。シリンダ31の内側には、ガイド筒31aが設けられている。ガイド筒31aは、シリンダ31の底部から前方に向けて円筒状に延びている。
【0031】
ピストン32は、シリンダ31の内側に配置され、シリンダ31の前端開口から突出可能とされている。ピストン32は、前方が閉塞されて後方が開放された有頂筒状に形成されている。ピストン32の外周面には、シリンダ31の内壁面に対して前後に摺動可能な摺動部32aが形成されている。
【0032】
ピストン32の内側には、前方を閉塞する前端壁から後方に向かって延びる棒状の摺動体32bが形成されている。摺動体32bは、後述する弁体33の内側に挿入されている。また、ピストン32の前端壁には、第1連結軸23Aが左右方向に挿入される挿入孔32cが形成されている。これにより、ピストン32は、トリガー部21の回動に連係して前後動する。
【0033】
弁体33は、シリンダ31内においてガイド筒31aの内側に配設され、ガイド筒31aに案内されて前後に移動可能とされている。弁体33は、前方が開口し、後方が閉塞された有底筒状に形成されている。弁体33の底壁は、前後方向で第1連通孔10Aと対向している。
【0034】
弁体33の底壁側の外周面には、ガイド筒31aの後端開口縁に後方から当接可能な当接部33aが突設されている。弁体33の前端開口には、摺動体32bが前方から挿入されている。弁体33は、ピストン32が後方に移動する際に、摺動体32bとの摩擦力によって摺動体32bと共に後方に移動し、第1連通孔10Aを閉塞する。
【0035】
また、弁体33は、ピストン32が前方に移動する際には、摺動体32bとの摩擦力によって摺動体32bと共に前方に移動し、第1連通孔10Aを開放する。当接部33aがガイド筒31aの後端開口縁に当接すると、弁体33の前方への移動が規制され、弁体33内を摺動体32bが摺動し、ピストン32が元の位置に復帰する。
【0036】
この第1ポンプ部30Aによれば、トリガー部21によってピストン32が後方に移動すると、弁体33が縦供給筒部10とシリンダ31との連通を遮断するため、シリンダ31の内部を加圧して、シリンダ31の外部に内容物を噴出できる。また、トリガー部21によってピストン32が前方に移動すると、シリンダ31の内部を減圧し、弁体33が縦供給筒部10とシリンダ31との連通を許容するため、容器本体100からシリンダ31に内容物を吸い込むことができる。
【0037】
第2ポンプ部30Bは、第2ポンプ装着筒14Bに嵌合し、第1ポンプ部30Aより上方に配置されている。第2ポンプ部30Bは、第1ポンプ部30Aと同様に、シリンダ31と、ピストン32と、弁体33と、を備えている。なお、シリンダ31、ピストン32、及び弁体33の説明は、第1ポンプ部30Aでの説明と重複するため割愛する。
【0038】
図2の断面図に示すように、第1ポンプ部30Aのシリンダ31は、第1供給流路10aを介して噴出流路15aに連通し、第2ポンプ部30Bのシリンダ31は、第1供給流路10aと独立した第2供給流路10bを介して、噴出流路15aに連通している。
【0039】
縦供給筒部10の内部は、第1連通孔10A及び第2連通孔10Bが形成された空間と、噴出流路15aが形成された空間とが、仕切り壁19によって仕切られている。縦供給筒部10の前壁には、噴出流路15aが形成された空間に連通する第3連通孔10C(第1孔)及び第4連通孔10D(第1孔)が形成されている。
【0040】
第3連通孔10Cは、第1ポンプ部30Aのシリンダ31内に連通している。第4連通孔10Dは、第2ポンプ部30Bのシリンダ31内に連通している。第1供給流路10aは、第3連通孔10Cから噴出流路15aが形成された空間に向かって上下方向に延びている。また、第2供給流路10bは、第4連通孔10Dから噴出流路15aが形成された空間に向かって上下方向に延びている。
【0041】
第1供給流路10a及び第2供給流路10bの上端部は、弁部材50によって開放可能に閉塞されている。弁部材50は、基部51と、第1逆止弁部52Aと、第2逆止弁部52Bと、弾性変形部53と、を備えている。基部51は、縦供給筒部10の上端部の上面に形成された開口に嵌合している。基部51の下面には、第1逆止弁部52A及び第2逆止弁部52Bが、側面視円形の弾性変形部53(
図1参照)を介して吊設されている。
【0042】
図2に示すように、第1逆止弁部52Aは、第1供給流路10aの上端部を開放可能に閉塞している。第1逆止弁部52Aは、第1供給流路10a内が加圧されると、第1供給流路10aの上端部を開放し、噴出流路15aと連通させる。また、第2逆止弁部52B第2供給流路10bの上端部を開放可能に閉塞している。第2逆止弁部52Bは、第2供給流路10b内が加圧されると、第2供給流路10bの上端部を開放し、噴出流路15aと連通させる。
【0043】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1の作用について説明する。
なお、噴出器本体2の内部には、内容物が充填されているものとする。
【0044】
トリガー部21を付勢力に抗して後方に引くと、第1ポンプ部30Aにおいては、ピストン32が後方に移動する。ピストン32が後方に移動すると、弁体33が縦供給筒部10とシリンダ31との連通を遮断するため、シリンダ31の内部を加圧することができる。シリンダ31の内部圧力が高まると、所定のタイミングで第1逆止弁部52Aが開き、シリンダ31内の内容物が、第3連通孔10Cから第1供給流路10aを介して噴出流路15aに流通し、噴出孔3aを介して外部に噴出する。
【0045】
一方、第2ポンプ部30Bにおいては、トリガー部21を付勢力に抗して後方に引くと、ピストン32が前方に移動する。ピストン32が前方に移動すると、シリンダ31の内部が減圧し、弁体33が縦供給筒部10とシリンダ31との連通を許容するため、容器本体100からシリンダ31に内容物を吸い込むことができる。つまり、トリガー部21を付勢力に抗して後方に引くと、第2ポンプ部30Bは充填状態となる。
【0046】
トリガー部21を解放すると、トリガー部21が前方に付勢されて元の位置に復帰する。このとき、第2ポンプ部30Bにおいては、ピストン32が後方に移動する。ピストン32が後方に移動すると、弁体33が縦供給筒部10とシリンダ31との連通を遮断するため、シリンダ31の内部を加圧することができる。シリンダ31の内部圧力が高まると、所定のタイミングで第2逆止弁部52Bが開き、シリンダ31内の内容物が、第4連通孔10Dから第2供給流路10bを介して噴出流路15aに流通し、噴出孔3aを介して外部に噴出する。
【0047】
一方、第1ポンプ部30Aにおいては、トリガー部21が前方に付勢されて元の位置に復帰するとき、ピストン32が前方に移動する。ピストン32が前方に移動すると、シリンダ31の内部が減圧し、弁体33が縦供給筒部10とシリンダ31との連通を許容するため、容器本体100からシリンダ31に内容物を吸い込むことができる。つまり、トリガー部21が前方に付勢されて元の位置に復帰するとき、第1ポンプ部30Aは充填状態となる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部21に指をかけ、トリガー部21を後方へ移動させると、トリガー部21の回動軸22より下方位置に連結された第1ポンプ部30Aが内容物を噴出孔3aに向けて流通させるため、トリガー部21を操作するときに内容物を噴出できる。
また、トリガー部21が付勢によって前方に移動すると、今度は、トリガー部21の回動軸22より上方位置に連結された第2ポンプ部30Bが内容物を噴出孔3aに向けて流通させるため、トリガー部21が元の位置に復帰するときにも内容物を噴出できる。
【0049】
つまり、トリガー部21は、上下方向において、第1ポンプ部30Aとの連結部分(第1連結軸23A)と、第2ポンプ部30Bとの連結部分(第2連結軸23B)と、の間に回動軸22を備えているため、当該回動軸22を支点とするシーソーのように、第1ポンプ部30A及び第2ポンプ部30Bを逆に作動させることができる。
したがって、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部21を操作するときだけでなく、トリガー部21が元の位置に復帰するときにも内容物を噴出することができる。このため、トリガー部21の1回の操作による内容物の噴出量を増やすこと、途切れにくい噴出を可能にすることができる。
【0050】
このように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1は、内容物が収容される容器本体100に装着される噴出器本体2と、噴出器本体2に装着され、内容物を噴出する噴出孔3aが形成されたノズル部材3と、を備え、噴出器本体2は、容器本体100から内容物を吸い上げる縦供給筒部10と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部21を有し、トリガー部21の移動に伴って、内容物を縦供給筒部10から噴出孔3aに向けて流通させるトリガー機構20と、を備え、トリガー機構20は、トリガー部21の前方への移動によって、縦供給筒部10を介して容器本体100から内容物を吸い上げ、トリガー部21の後方への移動によって、内容物を噴出孔3aに向けて流通させる第1ポンプ部30Aと、第1ポンプ部30Aより上方に配置され、トリガー部の後方への移動によって、縦供給筒部10を介して容器本体100から内容物を吸い上げ、トリガー部21の前方への移動によって、内容物を噴出孔3aに向けて流通させる第2ポンプ部30Bと、を備え、トリガー部21は、上下方向において、第1ポンプ部30Aとの連結部分(第1連結軸23A)と、第2ポンプ部30Bとの連結部分(第2連結軸23B)と、の間に回動軸22を備えている。この構成によれば、トリガー部21の1回の操作による内容物の噴出量を増やすこと、途切れにくい噴出を可能にすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、第1ポンプ部30Aは、第1供給流路10aを介して、噴出孔3aに連通する噴出流路15aに連通し、第2ポンプ部30Bは、第1供給流路10aと独立した第2供給流路10bを介して、噴出流路15aに連通している。この構成によれば、第1ポンプ部30A(第2ポンプ部30B)から噴出孔3aに向けて流通させるべき内容物を、第2ポンプ(第1ポンプ部30A)に向けて逆流させないようにすることができる。
【0052】
また、本実施形態では、第1ポンプ部30A及び第2ポンプ部30Bのそれぞれは、トリガー部21の前後動に連係して前後動するピストン32と、ピストン32が挿入されたシリンダ31と、縦供給筒部10を介した、容器本体100とシリンダ31との連通およびその遮断を切換える弁体33と、を備え、縦供給筒部10には、ピストン32の後方への移動時に、シリンダ31から縦供給筒部10に内容物を流出させる第1孔(第3連通孔10C、第4連通孔10D)と、ピストン32の前方への移動時に、縦供給筒部10を介して容器本体100からシリンダ31に内容物を流入させるとともに、弁体33に開閉される第2孔(第1連通孔10A、第2連通孔10B)と、が形成され、弁体33は、前後動可能に設けられるとともに、後方に移動するピストン32に連係して後方に移動し、第2孔を閉塞する。この構成によれば、弁体33が、前後動可能に設けられるとともに、後方移動するピストン32に連係して後方移動し、第2孔(第1連通孔10A、第2連通孔10B)を閉塞するので、例えばしばらく放置する等して、弁体33が前後動しにくくなっていても、弁体33が、ピストン32の後方移動に連係することによって、強制的に後方移動させられることとなり、弁体33を確実に作動させ、縦供給筒部10内を通した、容器本体100とシリンダ31との連通を遮断することができる。その後、ピストン32が前方に向けて復元移動するのに伴い、弁体33が前方に移動させられ、第2孔(第1連通孔10A、第2連通孔10B)が開放されることで、容器本体100の内容物が第2孔を通してシリンダ31に流入する。
【0053】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…トリガー式液体噴出器、2…噴出器本体、3…ノズル部材、3a…噴出孔、4…カバー部材、5…パイプ部材、10…縦供給筒部、10a…第1供給流路、10A…第1連通孔(第2孔)、10b…第2供給流路、10B…第2連通孔(第2孔)、10C…第3連通孔(第1孔)、10D…第4連通孔(第1孔)、11…取付筒部、11a…フランジ、12…シール部材、13…装着キャップ、14A…第1ポンプ装着筒、14B…第2ポンプ装着筒、15…射出筒部、15a…噴出流路、16…閉塞部材、17…中継筒部材、17a…支持部材、18…付勢部材、19…壁、20…トリガー機構、21…トリガー部、21a…前板部、21b…側板部、21c…天板部、22…回動軸、23A…第1連結軸、23B…第2連結軸、24…バネ受け部、30A…第1ポンプ部、30B…第2ポンプ部、31…シリンダ、31a…ガイド筒、32…ピストン、32a…摺動部、32b…摺動体、32c…挿入孔、33…弁体、33a…当接部、50…弁部材、51…基部、52A…第1逆止弁部、52B…第2逆止弁部、53…弾性変形部、100…容器本体、101…口部、O…中心軸線