(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145646
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】収容装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241004BHJP
H02J 9/00 20060101ALI20241004BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J7/00 301
H02J9/00
H02J7/00 302C
H01M50/249
H01M50/244 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058087
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 博史
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
5H040
【Fターム(参考)】
5G015HA02
5G015JA56
5G015JA64
5G503BA02
5G503BB02
5G503BB03
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC33
5H040CC38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容易に移動が可能なエネルギ蓄積装置の収容装置を提供する。
【解決手段】バッテリ交換機(収容装置)10は、モバイルバッテリ20を挿抜可能に収容するスロット11を有する筐体12と、筐体12を支持する車輪13と、を備える。筐体12は、スロット11を内部に有する第1筐体12Aと、車輪13を駆動するモータ(推進装置)25を内部に有する第2筐体12Bと、を有する。また、第1筐体12Aは、第2筐体12Bに載せられた第1位置と、第2筐体12Bから降ろされた第2位置と、に移動可能に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ蓄積装置を挿抜可能に収容する収容部を有する筐体と、
前記筐体を支持する車輪と、を備える、収容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の収容装置であって、
前記筐体は、
前記収容部を内部に有する第1筐体と、
前記車輪を駆動する推進装置を内部に有する第2筐体と、を有する、収容装置。
【請求項3】
請求項2に記載の収容装置であって、
前記第1筐体は、前記第2筐体に載せられた第1位置と、前記第2筐体から降ろされた第2位置と、に移動可能に設けられる、収容装置。
【請求項4】
請求項3に記載の収容装置であって、
前記第1筐体は、
前記第1位置に位置するときに、前記収容部の前記エネルギ蓄積装置を挿抜する開口が向く第1方向と、
前記第2位置に位置するときに、前記開口が向く第2方向と、が異なるように配置される、収容装置。
【請求項5】
請求項4に記載の収容装置であって、
前記第2方向は、前記第1方向よりも鉛直方向における上方を向く方向である、収容装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載の収容装置であって、
前記筐体は、
前記第2筐体に対し、前記第1筐体を相対移動可能に連結する連結機構
又は、
前記第2筐体に対し、前記第1筐体を載置する載置部を相対移動可能に連結する連結機構を有する、収容装置。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか1項に記載の収容装置であって、
前記第1位置に対する前記第2位置の方向を第3方向としたとき、
前記第1筐体は、
前記第1位置に位置するときの、該第1筐体の前記第3方向側の端部が、前記第2筐体の前記第3方向側の端部よりも、前記第3方向側となるよう配置される、収容装置。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか1項に記載の収容装置であって、
前記第2筐体は、前記エネルギ蓄積装置を挿抜可能に収容する他の収容部を有する、収容装置。
【請求項9】
請求項8に記載の収容装置であって、
前記他の収容部は、前記推進装置に対してエネルギ伝達可能に設けられる、収容装置。
【請求項10】
請求項3から9のいずれか1項に記載の収容装置であって、
前記第2筐体は、乗員が搭乗する搭乗部を有する、収容装置。
【請求項11】
請求項10に記載の収容装置であって、
前記第2位置に対する前記第1位置の方向を第4方向としたとき、
前記搭乗部は、前記第1位置に位置するときの該第1筐体よりも、前記第4方向側に位置するよう設けられる、収容装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の収容装置であって、
前記エネルギ蓄積装置は、電力を蓄積する電力蓄積装置である、収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ蓄積装置の収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会又は脱炭素社会の実現に向けた取り組みが活発化し、車両、作業機などにおいてもCO2排出量の削減やエネルギ効率の改善のために、電動化技術に関する研究開発が行われている。
【0003】
バッテリは、電力容量であるSOC(State of Charge)が低下すると充電することができるが、充電には時間がかかる。充電時間を節約するため交換式バッテリの開発が進められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数のバッテリを挿抜可能な収容トレイが設けられたバッテリ交換機が記載されている。このバッテリ交換機では、停電時など電力系統からの電力供給が途絶えても、保管中のバッテリを電源としてバッテリの交換動作を継続できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、バッテリ交換機は、利用者の利便性が高い場所に設置されることが好ましい。しかしながら、利用者の特性、設置場所の特性、交通量などにより、必ずしも利便性の高い場所に設置できるとは限らず、利用者のバッテリ利用の需要が突発的に急増することもある。また、天候起因の事象(洪水、強風など)に対応するために強固な外装や固定を施すことが必ずしも有利とはならない場合も想定し得る。
【0007】
本発明は、容易に移動が可能なエネルギ蓄積装置の収容装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の収容装置は、
エネルギ蓄積装置を挿抜可能に収容する収容部を有する筐体と、
前記筐体を支持する車輪と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、必要に応じて収容装置を自由に移動させることができるので、利用者の利便性のよい場所に収容装置を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態のバッテリ交換機10の移動状態の側面図である。
【
図2】第1実施形態のバッテリ交換機10の一時設置状態の側面図である。
【
図3】
図2のバッテリ交換機10を後方から見た図である。
【
図4】バッテリ交換機10の一時設置状態の他の例の側面図である。
【
図5】バッテリ交換機10の電気的構成の一例を示す図である。
【
図6】制御部50の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図7】本発明の第2実施形態のバッテリ交換機10Aの移動状態の側面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態のバッテリ交換機10Bの移動状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、バッテリ交換機の進行方向を前方として、前後方向、左右方向、上下方向を定義する。図中、前方をFr、後方をRr、上方をU、下方をD、左方をL、右方をRと記載する。
【0012】
以下、本発明のエネルギ蓄積装置の収容装置の一例としてのバッテリ交換機について説明する。なお、以下の説明では、エネルギ蓄積装置として、電力を貯めるモバイルバッテリを例示するが、燃料電池に用いる水素等を貯蔵する水素容器(可搬水素タンク)であってもよい。即ち、「エネルギ蓄積」は、エネルギ(例えば、電力)自体の蓄積の他に、エネルギ(例えば、電力)を生成するためのエネルギ源(例えば、燃料電池の燃料としての水素)の蓄積も含む。
【0013】
先ず、第1実施形態のバッテリ交換機について
図1~
図6を参照しながら説明する。
第1実施形態のバッテリ交換機10は、
図1及び
図2に示すように、モバイルバッテリ20を挿抜可能に収容するスロット11を有する筐体12と、筐体12を支持する車輪13と、を備える。なお、モバイルバッテリ20の挿抜とは、スロット11へのモバイルバッテリ20の挿入及びスロット11からのモバイルバッテリ20の抜去を意味する。
【0014】
筐体12は、モバイルバッテリ20を挿抜可能に収容するスロット11を有する第1筐体12Aと、車輪13を駆動するモータ25を内部に有する第2筐体12Bと、第1筐体12Aを載置する載置部44と、第2筐体12Bに対し載置部44を相対移動可能に連結する連結機構60と、を備える。
【0015】
車輪13は、第2筐体12Bを支持する。車輪13の数は、本実施形態のように、左右一対の車輪が前後に設けられていてもよく、前方に1輪且つ後方に左右一対の車輪が設けられていてもよく、4輪以上の車輪が設けられていてもよい。また、車輪13は、全部が駆動輪であってもよく、一部に非駆動輪(従動輪)を含んでもよい。モータ25は、第2筐体12Bの内部に設けられる場合に限らず、インホイールモータとして車輪13に設けられてもよい。
【0016】
車輪13を備える第2筐体12Bは、例えば、自律走行車であり、荷台40の前方に立壁41が設けられている。立壁41には、例えば、ヘッドライト等が設けられる。立壁41の後方であって且つ荷台40の第1筐体12Aよりも前方には、乗員が搭乗する搭乗部42が設けられている。
【0017】
第1筐体12Aは、略直方体の形状を有し、複数のスロット11が設けられている。
【0018】
スロット11には、
図3に示すように、開口11aが設けられ、それぞれ1つのモバイルバッテリ20が開口11aから挿入されて収容され得る。なお、モバイルバッテリ20は、全部がスロット11に完全に埋設されるように収容されてもよく、一部が露出した態様で収容されてもよい。
【0019】
スロット11の開口11aは、第1筐体12Aの後面に設けられている。第1筐体12Aの後面には、例えば、略全面に亘って14個のスロット11が設けられている。14個のスロット11は、上下に5段、左右に3列マトリクス状に配置される。即ち、スロット11は、左右に並ぶように設けられるとともに、上下に並ぶように設けられている。なお、スロット11の数が少ない場合、又は、幅や高さに制約がある場合、スロット11は、左右にのみ並ぶように設けられてもよく、上下にのみ並ぶように設けられてもよい。また、スロット11は、規則性がなく、ランダムに設けられてもよい。
【0020】
利用者は、利用済みのモバイルバッテリ20(例えば、SOCが低下したモバイルバッテリ20)を、複数のスロット11のうち、モバイルバッテリ20が収容されていないスロット11に挿入(返却)し、保管中(収容中)のモバイルバッテリ20を取り出す。即ち、バッテリ交換機10において、利用者はモバイルバッテリ20を交換する。バッテリ交換機10は、利用者から返却されたモバイルバッテリ20を受領し、保管中(収容中)のモバイルバッテリ20を代替として提供する。
【0021】
なお、本実施形態では、上段の右隅に、ディスプレイ32が配置される。ディスプレイ32には、交換を許可されたモバイルバッテリ20が収容されるスロット11の表示、料金、利用者への対話メッセージなどが表示され得る。
【0022】
スロット11に挿入されるモバイルバッテリ20は、例えば、複数の単電池を直列に接続した組電池を含む。組電池を構成する単電池は、例えば、リチウムイオン電池(Lithium-Ion Battery:LIB)や、ニッケル水素電池、全固体電池など、充電と放電とを繰り返すことができる二次電池である。組電池を構成する二次電池としては、例えば、鉛蓄電池、ナトリウムイオン電池などの他、電気二重層キャパシタなどのキャパシタ、または二次電池とキャパシタとを組み合わせた複合電池なども考えられる。組電池を構成する二次電池の構成に関しては特に限定されない。
【0023】
モバイルバッテリ20は、組電池の他にBMUや接続部等を備える。BMUは、モバイルバッテリ20の充電や放電の制御、セルバランシング、モバイルバッテリ20の異常検出、モバイルバッテリ20のSOCの推定などを行う。BMUは、各種センサの測定結果に基づいて把握したモバイルバッテリ20の状態を状態情報として記憶する不揮発性の記憶装置を含む。モバイルバッテリ20は、それぞれ固有の識別情報を有し、BMUの記憶装置は、この識別情報を記憶する。
【0024】
図1及び
図2に戻って、スロット11には、スロット11からモバイルバッテリ20を抜去されることを規制するロック機構11bが設けられる。ロック機構11bは、後述する制御部50の開閉制御部59によって制御される。モバイルバッテリ20の交換を希望する利用者は、ロック機構11bを開くことが許可されると、スロット11からモバイルバッテリ20を抜去することができる。
【0025】
載置部44は、第1筐体12Aを搭載するプレートであり、第1筐体12Aとボルト等で固定される。
【0026】
連結機構60は、荷台40に固定された連結ベース61と、連結ベース61と載置部44とを連結するアーム部62と、を備える。アーム部62は、連結ベース61に回動自在に取り付けられた第1アーム63と、第1アーム63及び載置部44に回動自在に取り付けられた第2アーム64と、を備える。なお、第1アーム63及び第2アーム64は、伸縮機構を備えるものでもよい。
【0027】
連結機構60は、
図1に示すように、第1筐体12Aが第2筐体12Bの荷台40に搭載された搭載位置と、
図2に示すように第1筐体12Aが第2筐体12Bの荷台40から降ろされた非搭載位置と、を切り替える。一般的に、バッテリ交換機10の移動状態、即ち第2筐体12Bの移動中は、連結機構60は第1筐体12Aを搭載位置で保持する。一方、バッテリ交換機10の一時設置状態、即ち、目的地において第2筐体12Bが駐車している間は、連結機構60は第1筐体12Aを非搭載位置に保持する。
【0028】
第1筐体12Aの非搭載位置において、例えば、連結機構60は載置部44を地面と水平に配置する。これにより、利用者は、第1筐体12Aのスロット11へのモバイルバッテリ20の挿抜が可能になる。
【0029】
また、
図4に示すように、第1筐体12Aの非搭載位置において、連結機構60は載置部44を地面に対し前傾するようにして第1筐体12Aを前傾状態で保持してもよい。この場合、第1筐体12Aが搭載位置に位置するときにスロット11の開口11aが向く方向と、非搭載位置に位置するときにスロット11の開口11aが向く方向とが、異なる。即ち、第1筐体12Aが搭載位置に位置するときにスロット11の開口11aは後方を向くのに対し、非搭載位置に位置するときにスロット11の開口11aは、後斜め上方を向く。これにより、利用者がモバイルバッテリ20をスロット11に挿入するときに、モバイルバッテリ20の奥側を手前側と同じ高さまで持ち上げる必要がないので、モバイルバッテリ20をスロット11に挿入し易くなる。
【0030】
なお、バッテリ交換機10の一時設置状態においても、第1筐体12Aを搭載位置のまま、利用者にモバイルバッテリ20の交換を許可してもよい。この場合、
図1に示すように、第1筐体12Aは、搭載位置に位置するときの第1筐体12Aの後端121が、第2筐体12Bの後端122よりも、後方となるよう配置されることが好ましい。これにより、第1筐体12Aを第2筐体12Bに搭載した状態でも、利用者はモバイルバッテリ20を挿抜することができる。
【0031】
また、本実施形態では、第2筐体12Bにもモバイルバッテリ20を収容するスロット11が設けられている。本実施形態では、第2筐体12Bの左側面に、2つのスロット11が設けられる。この2つのスロット11に収容されるモバイルバッテリ20は、第1筐体12Aと同様に利用者の交換対象としてもよいが、第1筐体12Aのスロット11とは異なったスロット11の利用が可能となる。以下、第2筐体12Bのスロット11及びこのスロット11に収容されるモバイルバッテリ20を、第1筐体12Aのスロット11及びモバイルバッテリ20と分けて説明する必要がある場合、スロット11P及びモバイルバッテリ20Pと称する。
【0032】
例えば、第2筐体12Bのスロット11Pに収容されたモバイルバッテリ20Pは、第2筐体12Bを駆動するモータ25の駆動電源として利用され得る。また、このモバイルバッテリ20Pは、バッテリ交換機10の制御部50の駆動電源として利用され得る。さらに、このモバイルバッテリ20Pは、連結機構60の駆動電源としても利用され得る。モータ25は、連結機構60を駆動する駆動電源を兼ねてもよく、モータ25とは別に設けられる他のモータが連結機構60を駆動する駆動電源であってもよい。これらの場合に、後述する開閉制御部59はロック機構11bを開くことを禁止することで、第2筐体12Bのスロット11Pに収容されたモバイルバッテリ20Pが抜去されることを防止できる。
【0033】
以下の説明では、モータ25が第2筐体12B及び連結機構60の駆動電源としても機能する場合、且つ、第2筐体12Bのスロット11Pに収容されたモバイルバッテリ20Pが、モータ25、制御部50、及び連結機構60の駆動電源としても機能する場合を例に説明する。
【0034】
図1及び
図2に示すように、スロット11の底部には、内部接続部16が設けられている。内部接続部16は、スロット11の内部に配置される複数のモバイルバッテリ20とそれぞれ電気的に接続される。内部接続部16は、例えば不図示のプラグ(例えば雄型コネクタ)である。雄型コネクタにはモバイルバッテリ20の雌型コネクタが嵌合する。これによりスロット11にモバイルバッテリ20を挿入することで、モバイルバッテリ20と筐体12内部の回路とが電気的に接続される。
【0035】
図5は、バッテリ交換機10の電気的構成の一例を示す図である。図中の実線は電力線(電力ケーブルなど)を示す。図中の破線は信号線(通信ケーブルなど)を示す。バッテリ交換機10は、バッテリ交換機10を制御する制御部50と、DC/DC変換器18と、複数のIF(インターフェース)基板19と、インバータ23と、モータ25と、を備える。
【0036】
DC/DC変換器18は、第2筐体12Bのスロット11Pに収容されたモバイルバッテリ20Pから供給される直流電力を、制御部50に適した電圧を持つ直流電力に変換し、変換した直流電力を、各スロット11のIF基板19、及び制御部50に供給する。
【0037】
IF基板19は、スロット11の内部接続部16を介して、スロット11に収容されたモバイルバッテリ20と接続される。IF基板19は、モバイルバッテリ20と通信を行い、モバイルバッテリ20のBMUの記憶部に記憶された情報(例えば、モバイルバッテリ20の状態情報やモバイルバッテリ20のID等)をモバイルバッテリ20から取得する。IF基板19は、モバイルバッテリ20から取得した情報を制御部50に出力する。
【0038】
インバータ23は、第2筐体12Bのスロット11Pに収容されたモバイルバッテリ20Pから供給される直流電力を、モータ25に適した電圧を持つ交流電力に変換し、変換した交流電力をモータ25に供給する。
【0039】
図6は、制御部50の内部構成の一例を概略的に示す。
制御部50は、例えばメイン基板及びIndustrial PC(IPC)を含み、通信制御部51と、バッテリ監視部53と、スロット監視部54と、交換制御部55と、位置情報取得部56と、モータ制御部80と、連結機構制御部81と、搭載状態判定部82と、を備える。交換制御部55は、払出対象決定部57と、受入判定部58と、開閉制御部59とを有する。
【0040】
通信制御部51は、制御部50と、バッテリ交換機10の各部との間の通信を制御する。例えば、通信制御部51は、スロット11のIF基板19が出力した情報をバッテリ監視部53及び/又はスロット監視部54に伝送したり、交換制御部55からの指示をスロット11のIF基板19に伝送したりする。
【0041】
通信制御部51は、制御部50と、不図示の管理サーバとの間の通信を制御してもよい。例えば、通信制御部51は、バッテリ監視部53及び/又はスロット監視部54が収集した情報を、管理サーバに送信する。通信制御部51は、バッテリ交換機10の状態を示す情報を、管理サーバに送信してもよい。バッテリ交換機10の状態としては、故障又は異常の有無、スロット11におけるモバイルバッテリ20の収容状況などが例示される。また、通信制御部51は、管理サーバから受信した指示を、交換制御部55に伝送してもよい。
【0042】
バッテリ監視部53は、スロット11に格納されている1以上のモバイルバッテリ20のそれぞれの状態を監視する。例えば、バッテリ監視部53は、スロット11がモバイルバッテリ20から取得したデータ(例えば、モバイルバッテリ20の識別情報)を収集する。
【0043】
スロット監視部54は、スロット11に格納されているモバイルバッテリ20が抜去されたこと、及び、空のスロット11にモバイルバッテリ20が挿入されたことを監視する。
【0044】
位置情報取得部56は、GPS受信機等を備え、バッテリ交換機10の位置を取得する。
【0045】
払出対象決定部57は、スロット11に収容されている1以上のモバイルバッテリ20の中から、利用者に提供するモバイルバッテリ20、又は、利用者に提供するモバイルバッテリ20の識別情報を決定する。
【0046】
受入判定部58は、スロット監視部54から、空のスロット11にモバイルバッテリ20が挿入されたことを検出する信号を受けてモバイルバッテリ20の受入完了処理をしてもよく、さらにバッテリ監視部53からのモバイルバッテリ20の識別情報に基づき正規品かどうかを確認して受入完了処理をしてもよい。
【0047】
開閉制御部59は、スロット11のロック機構11bの開閉を制御する。開閉制御部59は、払出対象決定部57により払出対象として決定されたモバイルバッテリ20を収容するスロット11に対して、ロック機構11bを開くことが許可されたことを示す信号を送信してもよい。開閉制御部59は、上記以外のスロット11に対して、ロック機構11bを開くことが禁止されていることを示す信号を送信してもよい。
【0048】
モータ制御部80は、インバータ23を制御して第2筐体12Bを駆動するモータ25を制御する。連結機構制御部81は、インバータ23を制御して連結機構60を駆動するモータ25を制御する。
【0049】
搭載状態判定部82は、連結機構制御部81からの情報に基づき、第1筐体12Aの搭載状態と非搭載状態とを判別する。
【0050】
このように構成されたバッテリ交換機10は、充電機能を有していない。そのため、軽量であることに加えて充電機能を有するものに比べて小型であり、容易に移動することができる。また、充電機能を有する場合、電力系統に接続するために強固に固定させる必要があったり、電力系統に接続するために設置場所が制限されたりするが、充電機能を持たないことで、利便性のよい場所にバッテリ交換機10を容易に配置することができる。これにより、イベントでの利用など期間限定で設置したり、通勤時間帯のみ時間限定で設置したりすることなどバッテリ交換機10の利便性を向上できる。また、バッテリ交換機10が移動することで、社会にバッテリ交換機10を認知させることができる。
【0051】
バッテリ交換機10は、交換済みのモバイルバッテリ20が溜まると、充電設備で再度充電される。利用者は、バッテリ交換機10の位置をアプリ(ソフトウェアアプリケーション)が搭載された端末装置で確認することができる。交換を希望する際には、最寄のバッテリ交換機10を検索し、モバイルバッテリ20を交換することができる。利用者は、モバイルバッテリ20の交換時にバッテリ交換機10のディスプレイ32の表示に従って支払うこともでき、定期契約(サブスクリプション契約)により定期的に契約料を支払ってもよい。
【0052】
なお、上記実施形態では、バッテリ交換機10は、利用済みのモバイルバッテリ20の返却を受けて、保管中(収容中)のモバイルバッテリ20を提供するもの(即ち、交換するもの)であったが、これに限らず、モバイルバッテリ20の返却を受けずに保管中(収容中)のモバイルバッテリ20の提供のみを行う態様であってもよい。例えば、災害発生時には、交換を前提としないモバイルバッテリ20の提供が想定され得る。
【0053】
モバイルバッテリ20及び/又はバッテリ交換機10の管理などは、バッテリ交換機10の制御部50で行ってもよく、バッテリ交換機10の制御部50と通信可能な不図示のサーバ装置で行ってもよい。この場合、制御部50の一部又は全部は、不図示の管理サーバに設けられていてもよい。
【0054】
また、モバイルバッテリ20の用途は、特に限定されず、電動車両であってもよく、除雪機、芝刈機、高圧洗浄機等の作業機であってもよく、可搬型外部給電機等であってもよい。
【0055】
続いて第2実施形態のバッテリ交換機10Aについて
図7を参照しながら説明する。
第2実施形態のバッテリ交換機10Aは、
図7に示すように、連結機構60の第2アーム64が第1筐体12Aに直接取り付けられる。これにより、連結機構60は、第2筐体12Bに対し第1筐体12Aを相対移動可能に連結する。即ち、第2実施形態のバッテリ交換機10Aは、連結機構60が第1筐体12Aに直接取り付けられることで、第1実施形態のバッテリ交換機10における載置部44が設けられていない。その他の構成は、第1実施形態のバッテリ交換機10と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0056】
続いて第3実施形態のバッテリ交換機10Bについて
図8を参照しながら説明する。
第3実施形態のバッテリ交換機10Bは、
図8に示すように、第2筐体12Bに搭乗部42として、運転者が搭乗する車室が設けられる。その他の構成は、第1実施形態のバッテリ交換機10と同様であるので、詳しい説明は省略する。なお、第2筐体12Bは、ピックアップトラック型車両、トラック型車両、ワンボックス型車両などであってもよい。車両が自律移動可能である場合、車室には運転者ではなく乗員や乗客が搭乗するものであってもよい。
【0057】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0058】
例えば、上記実施形態では、モバイルバッテリ20及びスロット11は、直方体形状であってが、これに限らず、円柱形状、多角形状などであってもよい。
【0059】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0060】
(1) エネルギ蓄積装置(モバイルバッテリ20)を挿抜可能に収容する収容部(スロット11)を有する筐体(筐体12)と、
前記筐体を支持する車輪(車輪13)と、を備える、収容装置(バッテリ交換機10)。
【0061】
(1)によれば、必要に応じて収容装置を自由に移動させることができるので、利用者の利便性のよい場所に収容装置を配置することができる。これにより、イベントでの利用など期間限定で設置したり、通勤時間帯のみ時間限定で設置したりすることなど収容装置の利便性を向上できる。また、収容装置を公道で移動させることで、社会に収容装置を認知させることができる。
【0062】
(2) (1)に記載の収容装置であって、
前記筐体は、
前記収容部を内部に有する第1筐体(第1筐体12A)と、
前記車輪を駆動する推進装置(モータ25)を内部に有する第2筐体(第2筐体12B)と、を有する、収容装置。
【0063】
(2)によれば、第1筐体と第2筐体とで機能を分けることで、収容装置の管理が容易になる。
【0064】
(3) (2)に記載の収容装置であって、
前記第1筐体は、前記第2筐体に載せられた第1位置(搭載位置)と、前記第2筐体から降ろされた第2位置(非搭載位置)と、に移動可能に設けられる、収容装置。
【0065】
(3)によれば、エネルギ蓄積装置の挿抜が容易になる。
【0066】
(4) (3)に記載の収容装置であって、
前記第1筐体は、
前記第1位置に位置するときに、前記収容部の前記エネルギ蓄積装置を挿抜する開口(開口11a)が向く第1方向(後方向)と、
前記第2位置に位置するときに、前記開口が向く第2方向(後斜め上方)と、が異なるように配置される、収容装置。
【0067】
(4)によれば、エネルギ蓄積装置の挿抜が容易になるように設定することができる。
【0068】
(5) (4)に記載の収容装置であって、
前記第2方向は、前記第1方向よりも鉛直方向における上方を向く方向である、収容装置。
【0069】
(5)によれば、第1筐体が開口側に倒れにくくなり、開口からエネルギ蓄積装置が飛び出しにくくなる。
【0070】
(6) (3)から(5)のいずれかに記載の収容装置であって、
前記筐体は、
前記第2筐体に対し、前記第1筐体を相対移動可能に連結する連結機構(連結機構60)
又は、
前記第2筐体に対し、前記第1筐体を載置する載置部を相対移動可能に連結する連結機構(連結機構60)を有する、収容装置。
【0071】
(6)によれば、第2筐体に対する第1筐体の移動を容易にできる。
【0072】
(7) (3)から(6)のいずれかに記載の収容装置であって、
前記第1位置に対する前記第2位置の方向を第3方向(後方向)としたとき、
前記第1筐体は、
前記第1位置に位置するときの、該第1筐体の前記第3方向側の端部(後端121)が、前記第2筐体の前記第3方向側の端部(後端122)よりも、前記第3方向側となるよう配置される、収容装置。
【0073】
(7)によれば、第1筐体を第2筐体に乗せた状態でも、エネルギ蓄積装置を挿抜することができる。
【0074】
(8) (3)から(7)のいずれかに記載の収容装置であって、
前記第2筐体は、前記エネルギ蓄積装置を挿抜可能に収容する他の収容部(スロット11P)を有する、収容装置。
【0075】
(8)によれば、第2筐体にもエネルギ蓄積装置を収容することができる。
【0076】
(9) (8)に記載の収容装置であって、
前記他の収容部は、前記推進装置に対してエネルギ伝達可能に設けられる、収容装置。
【0077】
(9)によれば、第2筐体のエネルギ源として他の収容部に収容されたエネルギ蓄積装置を利用することができる。
【0078】
(10) (3)から(9)のいずれかに記載の収容装置であって、
前記第2筐体は、乗員が搭乗する搭乗部(搭乗部42)を有する、収容装置。
【0079】
(10)によれば、乗員が搭乗することができる。
【0080】
(11) (10)に記載の収容装置であって、
前記第2位置に対する前記第1位置の方向を第4方向(前方向)としたとき、
前記搭乗部は、前記第1位置に位置するときの該第1筐体よりも、前記第4方向側に位置するよう設けられる、収容装置。
【0081】
(11)によれば、搭乗部によりエネルギ蓄積装置の第1筐体への挿抜が阻害されるのを防止できる。
【0082】
(12) (1)から(11)のいずれかに記載の収容装置であって、
前記エネルギ蓄積装置は、電力を蓄積する電力蓄積装置(モバイルバッテリ20)である、収容装置。
【0083】
(12)によれば、電動車両、電動バイク、電動作業機などの駆動源として電力蓄積装置を交換して使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
10 バッテリ交換機(収容装置)
11 スロット(収容部)
11P スロット(他の収容部)
11a 開口
12 筐体
12A 第1筐体
12B 第2筐体
13 車輪
20 モバイルバッテリ(電力蓄積装置、エネルギ蓄積装置)
25 モータ(推進装置)
42 搭乗部
60 連結機構
121 第1筐体の後端(端部)
122 第2筐体の後端(端部)