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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145652
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】無線局および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H03M 13/25 20060101AFI20241004BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H03M13/25
H04L27/26 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058098
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 知美
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 耕一郎
【テーマコード(参考)】
5J065
【Fターム(参考)】
5J065AB01
5J065AC02
5J065AD10
5J065AE06
5J065AG05
(57)【要約】
【課題】演算負荷を低減しながらPAPRを低減することが可能な無線局および通信方法を提供する。
【解決手段】インパルス列生成部13は、それぞれの値が0または1であって、サブキャリアと同数の要素で構成され、畳み込み符号の生成行列のサイズ以上の周期で定められるインパルス位置の少なくともいずれかの要素の値が1であって他の要素の値が0であるインパルス列を生成する。畳み込み部14は、インパルス列に生成行列を畳み込み演算することで得られるトレリスシェーピング符号を用いて畳み込み演算を行って符号データを生成する。判別部17は、符号データと非対象データのマッピングから生成される複素信号に対してIFFTを行うことで生成される時間領域信号が判別基準を満たすか否か判別する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交周波数分割多重方式の無線通信により他の機器と通信する無線局であって、
入力データを、畳み込み演算の対象である対象データと、畳み込み演算の対象でない非対象データとに分ける分割部と、
それぞれの値が0または1であって、サブキャリアと同数の要素で構成され、畳み込み符号の生成行列のサイズ以上の周期で定められるインパルス位置の少なくともいずれかの要素の値が1であって他の要素の値が0であって互いに異なる複数のインパルス列を生成するインパルス列生成部と、
前記畳み込み符号の前記生成行列に応じた転置検査行列の逆行列の生成行列を前記対象データに畳み込み演算した結果である初期符号を用いて、前記初期符号と前記インパルス列に前記畳み込み符号の前記生成行列を畳み込み演算することで得られるトレリスシェーピング符号とを合算して符号データを生成する畳み込み部と、
前記非対象データおよび前記符号データを複素平面にマッピングすることで複素信号を生成するマッピング部と、
前記複素信号を逆フーリエ変換することで時間領域信号を生成するIFFT部と、
前記時間領域信号のピーク電力を求め、前記ピーク電力に基づいて前記時間領域信号が定められた判別基準を満たすか否かを判別する判別部と、
前記判別部で前記判別基準を満たすと判別された前記時間領域信号から送信信号を生成し、前記送信信号を送信する送信部と、
を備える無線局。
【請求項2】
前記インパルス列生成部は、基準インパルス列、および、前記基準インパルス列において前記インパルス位置の少なくともいずれかの要素を反転させることで得られる反転インパルス列を含む前記複数のインパルス列を生成する、
請求項1に記載の無線局。
【請求項3】
前記判別部は、前記畳み込み部が前記初期符号と前記反転インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号とを合算して前記符号データを生成した場合の前記時間領域信号のピーク電力を、前記畳み込み部が前記初期符号と前記基準インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号とを合算して前記符号データを生成した場合の前記時間領域信号のピーク電力、および、該反転インパルス列を生成する際に要素を反転させることで生じる前記時間領域信号の差分に基づく前記ピーク電力の差分から求める、
請求項2に記載の無線局。
【請求項4】
前記判別部は、前記基準インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号に基づく前記符号データから得られる前記複素信号と、前記反転インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号に基づく前記符号データから得られる前記複素信号との信号差分、および、定められた時間領域の基底信号から、前記時間領域信号の前記差分を求める、
請求項3に記載の無線局。
【請求項5】
前記インパルス列生成部は、いずれか1つの前記インパルス位置の要素の値だけが1であって他の要素の値が0であるインパルス基底、または、要素の値が1である前記インパルス位置が互いに異なる複数の前記インパルス基底の合算を前記基準インパルス列として用いる、
請求項2から4のいずれか1項に記載の無線局。
【請求項6】
前記判別部は、前記時間領域信号のピーク対平均電力比を求め、前記ピーク対平均電力比が前記判別基準を満たすか否かを判別する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の無線局。
【請求項7】
前記判別部は、前記インパルス列のそれぞれについて、前記時間領域信号の前記ピーク対平均電力比を求め、ピーク対平均電力比が最小となる前記時間領域信号が前記判別基準を満たすと判別する、
請求項6に記載の無線局。
【請求項8】
前記インパルス列生成部は、前記畳み込み部が前記初期符号と前記基準インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号とを合算して前記符号データを生成した場合の前記時間領域信号のピーク対平均電力比と比べて、小さいピーク対平均電力比を有する前記時間領域信号に対応する前記反転インパルス列において、少なくともいずれかの前記インパルス位置の要素を反転させることで、他の前記反転インパルス列を生成する、
請求項7に記載の無線局。
【請求項9】
前記判別部は、前記インパルス列のそれぞれについて、前記時間領域信号の前記ピーク電力を求め、前記ピーク電力が最小となる前記時間領域信号が前記判別基準を満たすと判別する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の無線局。
【請求項10】
前記インパルス列生成部は、前記畳み込み部が前記初期符号と前記基準インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号とを合算して前記符号データを生成した場合の前記時間領域信号のピーク電力と比べて、小さいピーク電力を有する前記時間領域信号に対応する前記反転インパルス列において、少なくともいずれかの前記インパルス位置の要素を反転させることで、他の前記反転インパルス列を生成する、
請求項9に記載の無線局。
【請求項11】
直交周波数分割多重方式の無線通信により他の機器と通信する無線局が行う通信方法であって、
入力データを、畳み込み演算の対象である対象データと、畳み込み演算の対象でない非対象データとに分け、
それぞれの値が0または1であって、サブキャリアと同数の要素で構成され、畳み込み符号の生成行列のサイズ以上の周期で定められるインパルス位置の少なくともいずれかの要素の値が1であって他の要素の値が0であって互いに異なる複数のインパルス列を生成し、
前記畳み込み符号の前記生成行列に応じた転置検査行列の逆行列の生成行列を前記対象データに畳み込み演算した結果である初期符号を用いて、前記初期符号と前記インパルス列に前記畳み込み符号の前記生成行列を畳み込み演算することで得られるトレリスシェーピング符号とを合算して符号データを生成し、
前記非対象データおよび前記符号データを複素平面にマッピングすることで複素信号を生成し、
前記複素信号を逆フーリエ変換することで時間領域信号を生成し、
前記時間領域信号のピーク電力を求め、前記ピーク電力に基づいて前記時間領域信号が定められた判別基準を満たすか否かを判別し、
前記判別基準を満たすと判別された前記時間領域信号から送信信号を生成し、前記送信信号を送信する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線局および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の通信を行う無線局は、入力信号をサブキャリア変調し、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)を行い、ベースバンド信号を生成する。そのため、サブキャリアの数が増えてFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)サイズが大きくなると、大きなピーク電力を持つベースバンド信号が生成されるため、PAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)が高くなる確率が増加するという性質を持っている。PAPRが高くなると、信号を歪みなく伝送するために、無線局が備える送信用パワーアンプは、広いダイナミックレンジにおいて線形性を有する必要がある。送信用パワーアンプが線形性を有するダイナミックレンジが広くなるにつれて、送信用パワーアンプの消費電力、サイズ、コスト等が増大する。
【0003】
無線局には、PAPRを低減する機能を有するものがある。この種の無線局の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される無線送信装置は、PAPRを小さくするマッピングパターンを選択し、マッピングパターンを示す情報を含む送信フレームから送信信号を生成して、送信信号を送信する。
【0004】
特許文献1に開示される無線送信装置は、マッピングパターンを示す情報、換言すれば、PAPRを低減するために送信側で行った処理を示す情報である副次情報を送信フレームに含め、送信フレームから生成した送信信号を受信側に送信する。このため、副次情報を含む送信フレームをサブキャリア変調して生成される送信信号が大きなピーク電力を持ってPAPRが高くなることがある。また、パイロット信号に副次情報を重畳する際には、パイロット信号による同期処理および等化処理等の性能の低下、BER(Bit Error Rate:符号誤り率)の悪化等が生じることがある。また、伝送中に副次情報に誤りが生じることによって、受信側で復元したデータに誤りが生じることを防ぐために、副次情報に伝送中に誤りが生じることを防ぐことができる程度に強力な誤り訂正符号を付すと、ビットレートが低下してしまう。
【0005】
非特許文献1に開示される通信機は、副次情報を用いることなく、PAPRを低減させる。詳細には、該通信機は、分岐メトリックを用いるビタビアルゴリズムに基づいて、PAPRを低減させるために最適なトレリスパス生成信号を決定し、トレリスパス生成信号に基づく畳み込み演算を行うトレリスシェーピングによって、PAPRを低減させる。ビタビアルゴリズムは演算負荷が高いため、非特許文献2には、演算負荷が軽減されたsign bitシェーピングが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-199405号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Werner Henkel and Bjorn Wagner, "Another Application for Trellis Shaping: PAR Reduction for DMT (OFDM)", IEEE Transactions on Communications, vol. 48, pp. 1471-1476, September 2022.
【非特許文献2】H. Ochiai, "A new trellis shaping design for OFDM" in Proceedings of The Fifth International Symposium on Wireless Personal Multimedia Communications (WPMC'02), pp. 1019-1023, Honolulu, HI, USA, October 2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、非特許文献1に開示されるビタビアルゴリズムは、演算負荷が高いという課題がある。演算負荷を低減するために、非特許文献2に開示されるシェーピングのように、ビタビアルゴリズムで用いられる分岐メトリックを簡易化すると、PAPRを十分に低減できないことがある。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、演算負荷を低減しながらPAPRを低減することが可能な無線局および通信方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る無線局は、直交周波数分割多重方式の無線通信により他の機器と通信する無線局であって、
入力データを、畳み込み演算の対象である対象データと、畳み込み演算の対象でない非対象データとに分ける分割部と、
それぞれの値が0または1であって、サブキャリアと同数の要素で構成され、畳み込み符号の生成行列のサイズ以上の周期で定められるインパルス位置の少なくともいずれかの要素の値が1であって他の要素の値が0であって互いに異なる複数のインパルス列を生成するインパルス列生成部と、
前記畳み込み符号の前記生成行列に応じた転置検査行列の逆行列の生成行列を前記対象データに畳み込み演算した結果である初期符号を用いて、前記初期符号と前記インパルス列に前記畳み込み符号の前記生成行列を畳み込み演算することで得られるトレリスシェーピング符号とを合算して符号データを生成する畳み込み部と、
前記非対象データおよび前記符号データを複素平面にマッピングすることで複素信号を生成するマッピング部と、
前記複素信号を逆フーリエ変換することで時間領域信号を生成するIFFT部と、
前記時間領域信号のピーク電力を求め、前記ピーク電力に基づいて前記時間領域信号が定められた判別基準を満たすか否かを判別する判別部と、
前記判別部で前記判別基準を満たすと判別された前記時間領域信号から送信信号を生成し、前記送信信号を送信する送信部と、
を備える。
【0011】
好ましくは、前記インパルス列生成部は、基準インパルス列、および、前記基準インパルス列において前記インパルス位置の少なくともいずれかの要素を反転させることで得られる反転インパルス列を含む前記複数のインパルス列を生成する。
【0012】
好ましくは、前記判別部は、前記畳み込み部が前記初期符号と前記反転インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号とを合算して前記符号データを生成した場合の前記時間領域信号のピーク電力を、前記畳み込み部が前記初期符号と前記基準インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号とを合算して前記符号データを生成した場合の前記時間領域信号のピーク電力、および、該反転インパルス列を生成する際に要素を反転させることで生じる前記時間領域信号の差分に基づく前記ピーク電力の差分から求める。
【0013】
好ましくは、前記判別部は、前記基準インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号に基づく前記符号データから得られる前記複素信号と、前記反転インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号に基づく前記符号データから得られる前記複素信号との信号差分、および、定められた時間領域の基底信号から、前記時間領域信号の前記差分を求める。
【0014】
好ましくは、前記インパルス列生成部は、いずれか1つの前記インパルス位置の要素の値だけが1であって他の要素の値が0であるインパルス基底、または、要素の値が1である前記インパルス位置が互いに異なる複数の前記インパルス基底の合算を前記基準インパルス列として用いる。
【0015】
好ましくは、前記判別部は、前記時間領域信号のピーク対平均電力比を求め、前記ピーク対平均電力比が前記判別基準を満たすか否かを判別する。
【0016】
好ましくは、前記判別部は、前記インパルス列のそれぞれについて、前記時間領域信号の前記ピーク対平均電力比を求め、ピーク対平均電力比が最小となる前記時間領域信号が前記判別基準を満たすと判別する。
【0017】
好ましくは、前記インパルス列生成部は、前記畳み込み部が前記初期符号と前記基準インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号とを合算して前記符号データを生成した場合の前記時間領域信号のピーク対平均電力比と比べて、小さいピーク対平均電力比を有する前記時間領域信号に対応する前記反転インパルス列において、少なくともいずれかの前記インパルス位置の要素を反転させることで、他の前記反転インパルス列を生成する。
【0018】
好ましくは、前記判別部は、前記インパルス列のそれぞれについて、前記時間領域信号の前記ピーク電力を求め、前記ピーク電力が最小となる前記時間領域信号が前記判別基準を満たすと判別する。
【0019】
好ましくは、前記インパルス列生成部は、前記畳み込み部が前記初期符号と前記基準インパルス列に応じた前記トレリスシェーピング符号とを合算して前記符号データを生成した場合の前記時間領域信号のピーク電力と比べて、小さいピーク電力を有する前記時間領域信号に対応する前記反転インパルス列において、少なくともいずれかの前記インパルス位置の要素を反転させることで、他の前記反転インパルス列を生成する。
【0020】
本発明の第2の観点に係る通信方法は、直交周波数分割多重方式の無線通信により他の機器と通信する無線局が行う通信方法であって、
入力データを、畳み込み演算の対象である対象データと、畳み込み演算の対象でない非対象データとに分け、
それぞれの値が0または1であって、サブキャリアと同数の要素で構成され、畳み込み符号の生成行列のサイズ以上の周期で定められるインパルス位置の少なくともいずれかの要素の値が1であって他の要素の値が0であって互いに異なる複数のインパルス列を生成し、
前記畳み込み符号の前記生成行列に応じた転置検査行列の逆行列の生成行列を前記対象データに畳み込み演算した結果である初期符号を用いて、前記初期符号と前記インパルス列に前記畳み込み符号の前記生成行列を畳み込み演算することで得られるトレリスシェーピング符号とを合算して符号データを生成し、
前記非対象データおよび前記符号データを複素平面にマッピングすることで複素信号を生成し、
前記複素信号を逆フーリエ変換することで時間領域信号を生成し、
前記時間領域信号のピーク電力を求め、前記ピーク電力に基づいて前記時間領域信号が定められた判別基準を満たすか否かを判別し、
前記判別基準を満たすと判別された前記時間領域信号から送信信号を生成し、前記送信信号を送信する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る無線局は、畳み込み符号に応じた転置検査行列とインパルス列に基づく畳み込み演算を行って、ピーク電力に基づいて判別基準を満たすと判別された時間領域信号から送信信号を生成する。インパルス列は、畳み込み符号の生成行列のサイズ以上の周期で定められるインパルス位置の少なくともいずれかの要素の値が1であるデータ列であり、判別基準を満たす時間領域信号を得るために必要となるインパルス列の生成には、ビタビアルゴリズムは不要である。これにより、演算負荷を低減しながらPAPRを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る無線局の送信側の構成を示すブロック図
図2】実施の形態に係る無線局が行うシェーピング処理の動作の一例を示すフローチャート
図3】実施の形態に係る無線局の受信側の構成を示すブロック図
図4】実施の形態に係る無線局によるPAPR低減の一例を示す図
図5】実施の形態に係る無線局によるPAPR低減の他の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る無線局および通信方法について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0024】
図1に示す無線局1は、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式の無線通信により他の機器と通信する無線局である。他の機器は、他の無線局、中継装置等を含むものとする。無線局1は、S/P(Serial/Parallel:直列/並列)変換部11と、分割部12と、インパルス列生成部13と、畳み込み部14と、マッピング部15と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)部16と、判別部17と、送信部18と、を備える。無線局1は、図示しないアンテナから他の機器に信号を送信する。
【0025】
上述の各部を制御するため、無線局1はコントローラ50を備える。コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)51と、I/O(Input/Output)52と、RAM(Random Access Memory)53と、ROM(Read-Only Memory)54と、を備える。複雑化を避け、理解を容易にするために、コントローラ50から無線局1の各部への信号線が省略されている。コントローラ50は無線局1の各部にI/O52を介して接続され、各部の処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。CPU51は、ROM54に記憶されている制御プログラムを実行して、無線局1の制御を行う。またI/O52を介して入力されるコマンド、データ等は、処理され、RAM53に一時的に記憶される。CPU51は、RAM53に記憶されたコマンド、データ等を必要に応じて読み出し、無線局1の制御を行う。
【0026】
上記構成を有する無線局1は、入力データの一部に畳み込み演算を施した結果を複素信号に変換し、IFFT変換を行って、時間領域信号を生成する。無線局1は、ピーク電力に基づいて時間領域信号が判別基準を満たすか否かを判別し、判別基準を満たす時間領域信号から送信信号を生成し、送信信号を他の無線局に送信する。無線局1は、図2に示すトレリスシェーピングを行うことで時間領域信号のPAPR(Peak-to-Average Power Ratio:ピーク対平均電力比)を低減する。これにより、PAPRが低減された時間領域信号から送信信号が生成される。この結果、無線局1が備える送信パワーアンプとして、線形性を有するダイナミックレンジが狭いアンプを用いることが可能となる。
【0027】
無線局1は、1つのOFDMシンボルに相当するデータを取得するたびに図2に示すトレリスシェーピングを行う。S/P変換部11は、1つのOFDMシンボルに相当する入力データを取得し、取得した入力データをシリアルデータからパラレルデータに変換する。分割部12は、S/P変換部11でパラレルデータに変換された入力データを、畳み込み部14での畳み込み演算の対象である対象データと、畳み込み演算の対象でない非対象データとに分ける(ステップS11)。入力データは、図示しない入力装置から入力される送信用データ、例えば、音声データに対して、A/D(Analog/Digital)変換を含む信号処理を行うことで生成されたデジタルデータである。
【0028】
分割部12は、対象データを畳み込み部14に出力し、非対象データをマッピング部15に出力する。例えば、サブキャリアの数がNであって、マッピング部15で16QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)に基づくマッピングが行われるとき、分割部12は、3Nビットの入力データdを、2Nビットの非対象データxとNビットの対象データiとに分ける。入力データdは、下記(1)式で表される。
【0029】
【数1】
【0030】
インパルス列生成部13は、畳み込み部14での畳み込み演算に用いられるトレリスシェーピング符号を生成するための互いに異なる複数のインパルス列、具体的には、基準インパルス列および反転インパルス列を生成する。詳細には、インパルス列生成部13は、それぞれの値が0または1であって、サブキャリアと同数の要素で構成され、畳み込み符号の生成行列Gのサイズ以上、具体的には、生成行列Gの列数以上の周期で定められるインパルス位置の少なくともいずれかの要素の値が1であって他の要素の値が0である基準インパルス列vを生成し、畳み込み部14に出力する(ステップS12)。
【0031】
基準インパルス列vは、N個の要素で構成される。畳み込み符号の生成行列Gの行数および列数をそれぞれn,mとすると、m≧mを満たす自然数mおよび下記(2)式で表される変数jを用いて、インパルス位置はjmで表される。下記(2)式において、変数jは、0以上、かつ、Nをmで除算したときの商から1を減算した値以下の整数である。詳細には、基準インパルス列vにおいて、jm番の要素がインパルス位置の要素である。互いに隣接するインパルス位置の差はmである。実施の形態では、行数n=2であって、列数m=3である生成行列Gとm=3としたインパルス位置が用いられる。
【0032】
【数2】
【0033】
実施の形態では、インパルス列生成部13は、下記(3)式に示すように、いずれか1つのインパルス位置の要素の値だけが1であって他の要素の値が0であるインパルス基底v(j)(k)または、要素の値が1であるインパルス位置が互いに異なる複数の該インパルス基底v(j)(k)の合算を基準インパルス列vとして用いる。換言すれば、基準インパルス列vは、下記(3)式に示すように、任意の個数のインパルス基底v(j)(k)を組み合わせることで求められる。下記(3)式において、変数jは、0以上、かつ、Nをmで除算したときの商から1を減算した値以下の整数の内、1つまたは複数の値を取り得る。
【0034】
【数3】
【0035】
j番のインパルス位置の要素の値が1であるインパルス基底v(j)は、クロネッカーのデルタδk,jmvを用いて、下記(4)式で表される。クロネッカーのデルタδk,jmvは、k=jmが成り立つ要素、すなわち、番号がjmの要素が1であり、他の要素が0であることを意味する。下記(4)式において、変数kは、0以上、かつ、N-1以下の整数であり、変数jは、上記(2)式で表される。
【0036】
【数4】
【0037】
畳み込み部14は、下記(5)式に示すように、インパルス列生成部13から取得した基準インパルス列vに生成行列Gを畳み込み演算することで、トレリスシェーピング符号yを求める(ステップS13)。下記(5)式において、記号*は、畳み込み演算を示す。生成行列Gは、符号化率が1/2である畳み込み符号器に相当するため、トレリスシェーピング符号yは、2N個の要素で構成されるデータである。
【0038】
【数5】
【0039】
基準インパルス列vは、上記(3)式に示すように、任意の個数のインパルス基底v(j)(k)を組み合わせることで求められるため、トレリスシェーピング符号yは、下記(6)式で表されるように、インパルス基底v(j)(k)のそれぞれに対応するシェーピング部分符号y(j)(k)を合算することで得られる。下記(6)式において、変数jは、0以上、かつ、Nをmで除算したときの商から1を減算した値以下の整数の内、1つまたは複数の値を取り得る。クロネッカーのデルタδk,jmvと生成行列Gとの畳み込みは0または生成行列Gとなるため、シェーピング部分符号y(j)(k)は、下記(7)式および(8)式で表される。変数kが、jm以上、かつ、(j+1)m-1以下の整数であるとき、シェーピング部分符号y(j)(k)は、下記(7)式に示すように、生成行列Gで表される。変数kが、jm未満の整数、または、(j+1)m-1より大きい整数であるとき、下記(8)式に示すように、シェーピング部分符号y(j)(k)の値は0である。
【0040】
【数6】
【0041】
【数7】
【0042】
【数8】
【0043】
畳み込み部14は、下記(9)式に示すように、分割部12から取得した対象データiに畳み込み符号の生成行列Gに応じた転置検査行列Hの逆行列(H-1を乗算することで初期符号zを求める(ステップS14)。検査行列Hは、生成行列Gに応じたパリティチェック行列である。逆行列(H-1は、N×2Nサイズの行列である。下記(9)式における逆行列(H-1の乗算は、逆行列(H-1の生成行列を対象データiに畳み込み演算することで実現される。逆行列(H-1の生成行列は、行数および列数がともに2の行列である。逆行列(H-1の行列演算に代えて、逆行列(H-1の生成行列の畳み込み演算を用いることができる。
【0044】
【数9】
【0045】
畳み込み部14は、下記(10)式に示すように、初期符号zとトレリスシェーピング符号yとを合算することで、符号データzを求める(ステップS14)。
【0046】
【数10】
【0047】
マッピング部15は、非対象データxおよび符号データzを複素平面にマッピングすることで複素信号を生成する(ステップS15)。詳細には、マッピング部15は、16QAMに基づくマッピングにより、非対象データxを虚数部にマッピングすることで、虚数部aIMを得る。マッピング部15は、虚数部aIMをIFFT部16に出力する。マッピング部15は、16QAMに基づくマッピングにより、符号データzを実数部にマッピングすることで、実数部a REを得る。マッピング部15は、実数部a REをIFFT部16に出力する。複素信号である周波数領域のOFDMシンボルaは、下記(11)式で表される。
【0048】
【数11】
【0049】
IFFT部16は、マッピング部15から取得した実数部a REおよび虚数部aIMの逆フーリエ変換、具体的にはIFFTを行う(ステップS16)。サブキャリアの数がNであるときの、各サブキャリアに対応するOFDMシンボル基底O(j)は、下記(12)式で表される。O(j)(n)は、O(j)のn番目のサンプルを示す。δn,jは、クロネッカーのデルタであって、n=jのときに1であり、n=jでないときに0である。下記(12)式において、変数j,nはそれぞれ、0以上、かつN-1以下の整数である。
【0050】
【数12】
【0051】
分解能を高めるために、実施の形態では、IFFT部16は、ゼロパディングIFFTを行う。例えば、IFFT部16は、上記(12)式で表されるOFDMシンボル基底O(j)に対してゼロパディングを行ってサンプル数を4Nまで拡張した拡張OFDMシンボル基底O(j) (4N)を用いる。IFFT部16は、下記(13)式に示すように、拡張OFDMシンボル基底O(j) (4N)に対してIFFTを行って、時間領域基底信号sbas (j)を求める。下記(13)式において、変数kは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。
【0052】
【数13】
【0053】
(j) (4N)(n)は、1つの要素だけ値が1であって、他の要素の値が0であるため、上記(13)式の演算は正弦波テーブルを参照することで実現可能である。演算を高速化するために、時間領域基底信号sbas (j)は、テーブルとして記憶されていることが好ましい。
【0054】
上記(13)式で示される時間領域基底信号sbas (j)は、対称性を持つ信号であるため、変数kが0以上、かつ、2N-1以下の範囲のみが計算されればよい。換言すれば、時間領域基底信号sbas (j)に関して、下記(14)式が成り立つ。さらに、変数jが偶数であるときは、下記(15)式が成り立ち、変数jが奇数であるときは、下記(16)式が成り立つ。したがって、時間領域基底信号sbas (j)は、変数kが0以上、かつ、2N-1以下の範囲について、テーブルとして記憶されていればよい。下記(14)式において、上付き添え字の記号*は、複素共役を意味する。
【0055】
【数14】
【0056】
【数15】
【0057】
【数16】
【0058】
IFFT部16は、下記(17)式に示すように、マッピング部15から取得した虚数部aIMに対してIFFTを行うことで、非対象データxに基づく虚数部aIMに対応する時間領域のOFDMシンボル成分sを求める。下記(17)式において、変数nは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。時間領域基底信号sbas (k)の対称性から、下記(17)式については、変数nが0以上、かつ、2N以下の範囲のみが計算されればよい。
【0059】
【数17】
【0060】
IFFT部16は、下記(18)式に示すように、マッピング部15から取得した実数部a REに対してIFFTを行うことで、対象データiに基づく実数部a REに対応する時間領域のOFDMシンボル成分s REを求める。下記(18)式において、変数nは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。時間領域基底信号sbas (k)の対称性から、下記(18)式については、変数nが0以上、かつ、2N以下の範囲のみが計算されればよい。
【0061】
【数18】
【0062】
IFFT部16は、上述のように算出したOFDMシンボル成分s,s REを判別部17および送信部18に送る。
【0063】
判別部17は、時間領域信号のピーク電力を求め、ピーク電力に基づいて時間領域信号が定められた判別基準を満たすか否かを判別する。実施の形態では、判別部17は、インパルス列のそれぞれについて、時間領域信号のPAPRを求め、PAPRが判別基準を満たすか否かを判別する。判別基準は、例えば、判別対象となるデータの中で、PAPRが最小となることである。換言すれば、判別部17は、PAPRが最小となる時間領域信号が判別基準を満たすと判別する。
【0064】
判別部17は、OFDMシンボルのパワーを求める(ステップS17)。詳細には、判別部17は、下記(19)式に示すように、OFDMシンボル成分sのサンプル点ごとのパワーpを求める。下記(19)式において、変数kは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。
【0065】
【数19】
【0066】
時間領域基底信号sbas (k)の対称性から、OFDMシンボル成分sのサンプル点ごとのパワーpに関して、下記(20)式が成り立つ。したがって、上記(19)式については、変数kが0以上、かつ、2N以下の範囲のみが計算されればよい。
【0067】
【数20】
【0068】
判別部17は、下記(21)式に示すように、OFDMシンボル成分sと時間領域基底信号sbas (j)との相関パワーpxy (j)を求める。下記(21)式において、変数jは、0以上、かつ、N-1以下の整数であり、変数kは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。下記(21)式において、上付き添え字の記号*は、複素共役を意味する。
【0069】
【数21】
【0070】
時間領域基底信号sbas (j)の対称性から、相関パワーpxyに関して、下記(22)式および(23)式が成り立つ。したがって、上記(21)式については、変数kが1以上、かつ、2N-1以下の範囲のみが計算されればよい。
【0071】
【数22】
【0072】
【数23】
【0073】
判別部17は、下記(24)式に示すように、OFDMシンボル成分s REのサンプル点ごとのパワーp REを求める。下記(24)式において、変数kは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。
【0074】
【数24】
【0075】
時間領域基底信号sbas (j)の対称性から、パワーp REに関して、下記(25)式が成り立つ。したがって、上記(24)式については、変数kが0以上、かつ、2N以下の範囲のみが計算されればよい。
【0076】
【数25】
【0077】
判別部17は、下記(26)式に示すように、実数部a REと虚数部aIMとの相関で生じる時間領域の相関パワーp INTを求める。下記(26)式において、変数jは、0以上、かつ、N-1以下の整数であり、変数kは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。
【0078】
【数26】
【0079】
上記(22)式に示すように、相関パワーpxyの対称性から、下記(27)式および(28)式が成り立つ。したがって、上記(26)式については、変数kが1以上、かつ、2N-1以下の範囲のみが計算されればよい。
【0080】
【数27】
【0081】
【数28】
【0082】
判別部17は、下記(29)式に示すように、周波数領域のOFDMシンボルaに対応する時間領域のOFDMシンボルのパワーpを求める。下記(29)式において、kは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。
【0083】
【数29】
【0084】
判別部17は、下記(30)式に示すように、パワーpの最大値であるピーク値p maxとパワーpの平均値p avgから、時間領域のOFDMシンボルのPAPR値Aを求める(ステップS18)。平均値p avgは、下記(31)式で表される。
【0085】
【数30】
【0086】
【数31】
【0087】
上記(20)式および(25)式に示すように、パワーpおよびパワーp REは、対称性を有する。上記(27)式に示すように、パワーp INTは、反対称性を有する。したがって、上記(31)式は、下記(32)式で置き換えられる。下記(32)式において、変数kは、0以上、かつ、2N以下の整数である。上記(31)式を下記(32)式に置き換えることで、演算量を低減することができる。
【0088】
【数32】
【0089】
パワーpおよびパワーp REの対称性ならびにパワーp INTの反対称性によって、ピーク値p maxを求める演算量を低減することができる。具体的には、ピーク値p maxは、下記(33)式で表される。下記(33)式において、変数kは、0以上、かつ、2N以下の整数である。換言すれば、下記(33)式を用いることで、ピーク値を探索する範囲を2N+1個にまで低減することができる。
【0090】
【数33】
【0091】
判別部17は、上述のように、1つのOFDMシンボルに対して最初にPAPR値Aを算出すると、その旨をインパルス列生成部13に通知する。通知を受けたインパルス列生成部13は、基準インパルス列vにおいてインパルス位置の少なくともいずれかの要素を反転させることで反転インパルス列v’ (j)を生成し、畳み込み部14に出力する(ステップS19)。
【0092】
例えば、インパルス列生成部13は、基準インパルス列vにおいてj番のインパルス位置の要素の値を反転させて反転インパルス列を生成する。具体的には、インパルス列生成部13は、基準インパルス列vにおいて、j番のインパルス位置の要素の値が0であれば1に変更し、または、j番のインパルス位置の要素の値が1であれば0に変更することで、反転インパルス列v’ (j)を生成する。このとき、反転インパルス列v’ (j)は、下記(34)式および(35)式で示される。下記(34)式および(35)式において、上付き添え字の(j)は、j番のインパルス位置の要素を反転したことを示す。生成行列Gの列数以上の周期でインパルス位置が定められているため、反転インパルス列を生成する際に行われる要素の反転の影響を受ける部分は下記(35)式に示すように、限定的である。実施の形態では、jの初期値は0に設定されており、インパルス列生成部13は、基準インパルス列vの0番のインパルス位置、すなわち基準インパルス列vの0番の要素の値を反転させることで反転インパルス列v’ (j)を生成する。
【0093】
【数34】
【0094】
【数35】
【0095】
畳み込み部14は、インパルス列生成部13から反転インパルス列v’ (j)を取得すると、基準インパルス列vと同様に、反転インパルス列v’ (j)に生成行列Gを畳み込み演算することで、トレリスシェーピング符号y’を求める(ステップS20)。トレリスシェーピング符号y’は、上記(6)式、(7)式、(8)式、(34)式、および(35)式を見比べると、トレリスシェーピング符号yに対して、シェーピング部分符号y(j)(k)、すなわち生成行列Gを加算または減算することで得られる。畳み込み部14は、下記(36)式に示すように、初期符号zに対して反転したインパルス位置でGを加算または減算することで、符号データz’を求める(ステップS21)。
【0096】
【数36】
【0097】
マッピング部15は、16QAMに基づくマッピングにより、符号データz’を実数部にマッピングすることで、実数部a’ RE(j)を求め、実数部a’ RE(j)を判別部17に出力する(ステップS22)。
【0098】
判別部17は、マッピング部15から取得した実数部a’ REに基づいて、反転インパルス列v’ (j)を生成する際にj番の要素を反転したことによって生じる複素信号差分Δa RE(j)を求める(ステップS23)。複素信号差分Δa RE(j)は、下記(37)式および(38)式で表される。変数kが、jm以上、かつ、(j+1)m-1以下の整数であるとき、複素信号差分Δa RE(j)は、下記(37)式で表される。複素信号差分Δa RE(j)は、基準インパルス列vに応じたトレリスシェーピング符号yに基づく符号データzから得られる複素信号a REと、反転インパルス列v’ (j)に応じたトレリスシェーピング符号y’に基づく符号データz’から得られる複素信号a’ RE(j)との信号差分である。変数kが、jm未満の整数、または、(j+1)m-1より大きい整数であるとき、下記(38)式に示すように、複素信号差分Δa RE(j)の値は0である。上述のように、反転インパルス列v’ (j)を生成する際にj番の要素を反転させることで影響を受ける周波数領域信号の実数部の成分は、m個である。換言すれば、複素信号差分Δa RE(j)は、変数kに関して、m個の要素のみについて演算することで、求められる。
【0099】
【数37】
【0100】
【数38】
【0101】
判別部17は、下記(39)式に示すように、複素信号差分Δa RE(j)に対応する時間領域信号差分Δs RE(j)を求める(ステップS24)。時間領域信号差分Δs RE(j)は、上記(37)式に示す複素信号差分Δa RE(j)、および、時間領域基底信号sbas (k)から求められる。下記(39)式において、変数nは、0以上、かつ、4N-1以下の整数であり、変数kは、jm以上、かつ、(j+1)m-1以下の整数である。換言すれば、時間領域信号差分Δs RE(j)は、変数kに関して、m個の要素のみについて演算することで、求められる。時間領域基底信号sbas (k)の対称性から、下記(39)式については、変数nについては、変数nが0以上、かつ、2N以下の範囲のみが計算されればよい。
【0102】
【数39】
【0103】
このとき、実数部a’ REに対応する時間領域のOFDMシンボル成分s RE(j)は、下記(40)式で表される。時間領域基底信号sbas (k)の対称性から、下記(40)式については、変数nが0以上、かつ、2N以下の範囲のみが計算されればよい。
【0104】
【数40】
【0105】
判別部17は、下記(41)式に示すように、複素信号差分Δa RE(j)に対応するパワー差分Δp INT(j)を求める(ステップS25)。下記(41)式において、変数kは、jm以上、かつ、(j+1)m-1以下の整数である。換言すれば、パワー差分Δp INT(j)は、変数kに関して、m個の要素のみについて演算することで、求められる。上記(22)式に示すように、相関パワーpxy (j)は、反対称性を有する。このため、下記(41)式については、変数nが1以上、かつ、2N-1以下の範囲のみが計算されればよい。
【0106】
【数41】
【0107】
判別部17は、下記(42)式に示すように、実数部a’ REと虚数部aIMとの相関で生じる時間領域の相関パワーp INT(j)を求める。下記(42)式において、変数jは、0以上、かつ、N-1以下の整数であり、変数nは、0以上、かつ、4N-1以下の整数である。
【0108】
【数42】
【0109】
判別部17は、下記(43)式に示すように、時間領域のOFDMシンボルのパワーp (j)を求める(ステップS26)。下記(43)式において、OFDMシンボル成分s RE(j)のサンプル点ごとのパワーp RE(j)は、上記(24)式と同様に求められる。パワーp RE(j)も上記(25)式に示す対称性を有するため、下記(43)式については、変数kが0以上、かつ、2N以下の範囲のみが計算されればよい。
【0110】
【数43】
【0111】
上記(43)式で表されるパワーp (j)は、上記(19)式で表されるパワーp、上記(40)式で表されるOFDMシンボル成分s RE(j)の絶対値を上記(24)式に示すように二乗することで得られるパワーp RE(j)、ならびに、相関パワーp INTおよび反転インパルス列v’ (j)を生成する際に要素を反転させることで生じる時間領域信号の差分に基づくピーク電力の差分Δp INT(j)に基づいて上記(42)式で求められる相関パワーp INT(j)から求められる。
【0112】
判別部17は、時間領域のOFDMシンボルのパワーp (j)に基づいて、上記(30)式および(31)式を用いて、PAPR値A (j)を求める(ステップS27)。ステップS27において、上記(32)式および(33)式を用いることで演算量を低減することができる。
【0113】
判別部17は、PAPR値A (j)がPAPR値A未満であるか否かを判別する。PAPR値A (j)がPAPR値A未満であれば(ステップS28;Yes)、判別部17は、基準インパルス列vおよび演算結果を更新する(ステップS29)。詳細には、判別部17は、PAPR値A (j)がPAPR値A未満となるときの反転インパルス列v’ (j)を基準インパルス列vとする。判別部17は、PAPR値AをPAPR値A (j)で更新する。判別部17は、OFDMシンボルの実数部s REおよび相関パワーp INTをそれぞれ、OFDMシンボルの実数部s RE(j)および相関パワーp INT(j)で更新する。判別部17は、時間領域信号差分Δs RE(j)およびパワー差分Δp INT(j)をそれぞれ、時間領域信号差分Δs RE(j)の正負を反転した-Δs RE(j)およびパワー差分Δp INT(j)の正負を反転した-Δp INT(j)で更新する。つまり次回以降の計算で再びj番目のインパルス位置の要素の反転が必要になったときは、時間領域信号差分Δs RE(j)およびパワー差分Δp INT(j)の再計算を行う必要はない。
【0114】
その後、ステップS29で更新された基準インパルス列vを基準として、ステップS19からの処理が行われる。具体的には、基準インパルス列vが更新された後、jの値はリセットされ、ステップS19において、判別部17は、更新された基準インパルス列vにおける0番のインパルス位置の要素を反転させることで、反転インパルス列v’を生成する。繰り返し処理において、対応する時間領域のOFDMシンボルのPAPRがすでに求められている反転インパルス列v’ (j)については、再度演算を行う必要はない。同じ反転インパルス列v’ (j)についてステップS20以降の処理が繰り返されるときは、ステップS20からステップS25までの処理はすでに行われているため、実行されない。
【0115】
PAPR値A (j)がPAPR値A以上であって(ステップS28;No)、対象データ、具体的には、対象となるインパルス列について上述のPAPRを判定する処理が完了していなければ(ステップS30;No)、ステップS19からの処理が繰り返される。例えば、基準インパルス列vのいずれか1つの要素の値を反転させて反転インパルス列v’を生成する1パルス探索においては、jをj+1に更新し、j=N-1になるまで、上述の処理が繰り返される。同じ反転インパルス列v’ (j)についてステップS20以降の処理が繰り返されるときは、ステップS20からステップS25までの処理はすでに行われているため、実行されない。
【0116】
1パルス探索が終わった後に、基準インパルス列vにおける複数のインパルス位置の要素の値を反転させて反転インパルス列v’を生成する複数パルス探索が行われるときは、反転の対象となるインパルス位置の組合せのそれぞれについて上述の処理が行われる。反転の対象となるインパルス位置の個数は、任意に定められる。
【0117】
例えば、複数パルス探索の一例である2パルス探索において、インパルス列生成部13は、基準インパルス列vのj番とl番のインパルス位置の要素の値を反転させることで反転インパルス列v’ (j,l)を生成する(ステップS19)。なおj<l≦N-1が成り立つものとする。例えば、jの初期値は0であり、lの初期値は1である。このとき、2パルス探索が開始されると、インパルス列生成部13は、基準インパルス列vの0番と1番のインパルス位置、すなわち基準インパルス列vの0番およびm番の要素の値を反転させることで反転インパルス列v’ (j,l)を生成する。
【0118】
反転インパルス列v’ (j,l)に対応する時間領域のOFDMシンボル成分s RE(j,l)は、下記(44)式で表される。OFDMシンボル成分s REの対称性から、下記(44)式については、変数nが0以上、かつ、2N以下の範囲のみが計算されればよい。反転インパルス列v’ (j,l)に対応する時間領域の相関パワーp INT(j,l)は、下記(45)式で表される。パワーp INTの反対称性から、下記(45)式については、変数nが1以上、かつ、2N-1以下の範囲のみが計算されればよい。下記(44)式および(45)式の演算に必要な値は、1パルス探索においてすでに求められているため、2パルス探索時には、ステップS20からステップS25までの処理は行われない。
【0119】
【数44】
【0120】
【数45】
【0121】
判別部17は、下記(46)式に示すように、OFDMシンボルのパワーp (j,l)を求める(ステップS26)。下記(46)式において、OFDMシンボル成分s RE(j,l)のサンプル点ごとのパワーp RE(j,l)は、上記(24)式と同様に求められる。
【0122】
【数46】
【0123】
判別部17は、時間領域のOFDMシンボルのパワーp (j,l)に基づいて、上記(30)式および(31)式を用いて、PAPR値A (j,l)を求める(ステップS27)。PAPR値A (j,l)の演算において、上記(32)式および(33)式を用いることで演算量を低減することができる。PAPR値A (j,l)がPAPR値A未満であれば、判別部17は、基準インパルス列vおよび演算結果を更新する。詳細には、判別部17は、PAPR値A (j,l)がPAPR値A未満となるときの反転インパルス列v’ (j,l)を基準インパルス列vとする。判別部17は、PAPR値AをPAPR値A (j,l)で更新する。判別部17は、OFDMシンボルの実数部s REおよび相関パワーp INTをそれぞれ、OFDMシンボルの実数部s RE(j,l)および相関パワーp INT(j,l)で更新する。判別部17は、時間領域信号差分Δs RE(j),Δs RE(l)およびパワー差分Δp INT(j),Δp INT(l)をそれぞれ、時間領域信号差分Δs RE(j),Δs RE(l)の正負を反転した-Δs RE(j),-Δs RE(l)およびパワー差分Δp INT(j),Δp INT(l)の正負を反転した-Δp INT(j),-Δp INT(l)で更新する。
【0124】
上述の処理を繰り返した結果、PAPR値A (j,l)がPAPR値A以上であって(ステップS28;No)、対象データについて上述のPAPRを判定する処理が完了すれば(ステップS30;Yes)、無線局1はトレリスシェーピングの処理を終了する。
【0125】
上述のように処理を行うことで、PAPR値が最小となるときの反転インパルス列v’、およびPAPR値が最小となる時間領域のOFDMシンボルの実数部s REが求められる。実数部s REは、送信部18に送られる。
【0126】
送信部18は、PAPRが最小となるときの時間領域のOFDMシンボルの実数部s REと非対象データxに基づく虚数部aIMに対応するOFDMシンボル成分sから送信信号を生成し、送信信号を送信する。
【0127】
無線局1で生成され、無線局1から送信される送信信号は、図3に示す無線局2で受信される。無線局2は、受信部21と、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部22と、デマッピング部23と、復号部24と、を備える。
【0128】
上述の各部を制御するため、無線局2はコントローラ60を備える。コントローラ60は、CPU61と、I/O62と、RAM63と、ROM64と、を備える。複雑化を避け、理解を容易にするために、コントローラ60から無線局2の各部への信号線が省略されている。コントローラ60は無線局2の各部にI/O62を介して接続され、各部の処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。CPU61は、ROM64に記憶されている制御プログラムを実行して、無線局2の制御を行う。またI/O62を介して入力されるコマンド、データ等は、処理され、RAM63に一時的に記憶される。CPU61は、RAM63に記憶されたコマンド、データ等を必要に応じて読み出し、無線局2の制御を行う。
【0129】
受信部21は、図示しないアンテナで受信した電波に対して信号処理を行って受信信号を生成し、FFT部22に出力する。
【0130】
FFT部22は、受信信号に対してFFTを行うことで、受信側の複素信号を生成し、複素信号をデマッピング部23に出力する。受信側では送信時のPAPR発生確率が既知であるため、複素信号のPAPRを計算し、そのPAPR発生確率が予め定められた閾値より低いときには、該当するOFDM信号が誤っていると判別することも可能である。
【0131】
デマッピング部23は、FFT部22で生成された複素信号に対して、QAMデマッピングを行う。詳細には、デマッピング部23は、FFT部22で生成された複素信号の実数部に対してQAMデマッピングを行うことで、符号化済みデータを生成する。デマッピング部23は、FFT部22で生成された複素信号の虚数部に対してQAMデマッピングを行うことで、非対象データを生成する。デマッピング部23は、符号化済みデータおよび非対象データを復号部24に出力する。
【0132】
復号部24は、符号化済みデータに無線局1で用いられた転置検査行列を乗算することで、復号データを生成する。トレリスシェーピング符号yは、下記(47)式を満たすので、転置検査行列Hを乗算することで、下記(48)式に示すように、対象データiを復元することが可能となる。下記(48)式における転置検査行列Hの乗算は、転置検査行列Hの生成行列を符号化済みデータに畳み込み演算することで実現される。転置検査行列Hの生成行列は、行数が2であって、列数が3である行列である。
【0133】
【数47】
【0134】
【数48】
【0135】
復号部24は、非対象データおよび復号データから出力信号を生成し、例えば、データ処理部に出力信号を送る。無線局2は、無線局1で用いられる転置検査行列についての情報を予め保持している。
【0136】
無線局1から無線局2に、PAPRを低減するために送信側で行った処理を示す情報である副次情報を送る必要はなく、無線局2は、転置検査行列を用いることで無線局1への入力データを復元することができる。
【0137】
図4に無線局1によるPAPR低減の一例を示す。詳細には、図4は、サブキャリア数を64、生成行列Gの行数および列数をそれぞれ2,3とし、QAMマッピングを16QAM信号へのマッピングとして、無線局1によるトレリスシェーピングを行うシミュレーションを10回行った結果である。図4の横軸はPAPR(単位:dB)を示し、縦軸はPAPRのCCDF(Complementary Cumulative Distribution Function:相補累積分布補関数)を示す。なお縦軸は、対数軸である。
【0138】
図4において、細い実線は、トレリスシェーピングを行わなかったときのPAPRを示し、太い実線は、複数パルス探索を3パルス探索まで行ったときのPAPRを示し、破線は、複数パルス探索を2パルス探索まで行ったときのPAPRを示す。
【0139】
図4の例では、3パルス探索まで行うトレリスシェーピングによって、出現確率10-3の点において、トレリスシェーピングを行わなかったときと比べて、PAPRが4.5dB以上低減されている。上述のように、無線局1のトレリスシェーピングでは、ビタビアルゴリズムは不要であるため、演算負荷が低減されている。
【0140】
3パルス探索よりも演算負荷が低い2パルス探索まで行うトレリスシェーピングでは、出現確率10-3の点において、3パルス探索まで行うトレリスシェーピングに比べて、0.5dB程度PAPRが悪化する。しかしながら、2パルス探索まで行うトレリスシェーピングを行ったときのPAPRは、出現確率10-3の点において、トレリスシェーピングを行わなかったときと比べて、4dB以上低減されている。
【0141】
以上説明した通り、実施の形態に係る無線局1によれば、PAPRが最小となるときのインパルス列である最適インパルス列に畳み込み演算を施すことで生成されるトレリスシェーピング符号を用いてトレリスシェーピングを行ってPAPRを低減するため、ビタビアルゴリズムは不要であり、演算負荷が低減される。
【0142】
PAPRが低減されることで、パワーアンプの線形性が求められるダイナミックレンジが狭くなり、パワーアンプの消費電力、サイズ、コスト等が低減される。消費電力が低減されると、無線局1のバッテリー駆動時間の長時間化が可能となる。
【0143】
本発明は、上述の実施の形態の例に限られない。マッピング部15は、16QAMに基づくマッピングに限られず、64QAM、256QAM等に基づくマッピングを行ってもよい。マッピング部15は、QAMに限られず、変調入力と変調出力とが線形写像関係にあって、変調出力シンボルが二次元直交基底で表されるものであれば、任意の変調方式に基づいて、マッピングを行うことができる。一例として、マッピングはM-PSK(Phase Shift Keying:位相偏位変調)に基づいて行われてもよい。
【0144】
判別部17は、PAPRの代わりに、ピーク電力に基づいて、時間領域信号が基準を満たすか否かを判別してもよい。詳細には、判別部17は、図2のステップS27の処理を行う際に、p avg=1とすればよい。これにより、上記(31)式の演算が省略され、上記(30)式の演算の内、p avgでの除算が省略される。この結果、PAPR値Aを求めるためには、上記(33)式で表されるピーク値p maxの探索のみ行えばよく、演算量が低減される。
【0145】
図5にピーク電力に基づいて時間領域信号が判別基準を満たすか否かを判別するときの無線局1によるPAPR低減の一例を示す。詳細には、図5は、サブキャリア数を64、生成行列Gの行数および列数をそれぞれ2,3とし、QAMマッピングを16QAM信号へのマッピングとして、無線局1によるトレリスシェーピングを行うシミュレーションを10回行った結果である。図5の横軸はPAPR(単位:dB)を示し、縦軸はPAPRのCCDFを示す。なお縦軸は、対数軸である。
【0146】
図5において、細い実線は、トレリスシェーピングを行わなかったときのPAPRを示し、太い実線は、図4に示す太い実線と同様に、最小のPAPRを3パルス探索により求めたときのPAPRを示し、一点鎖線は、ピーク電力に基づく複数パルス探索を3パルス探索まで行ったときのPAPRを示す。
【0147】
PAPRを求めずにピーク電力に基づいて時間領域信号が判別基準を満たすか否かを判定する場合は、図4に示す3パルス探索まで行うトレリスシェーピングに比べて0.3dB程度PAPRが悪化する。しかしながら、トレリスシェーピングを行ってピーク電力に基づいて時間領域信号が判別基準を満たすか否かを判定したときのPAPRは、出現確率10-3の点において、トレリスシェーピングを行わなかったときと比べて、4dB以上低減されている。したがって、ピーク電力に基づいて時間領域信号が判別基準を満たすか否かを判定するときでも、PAPRを十分に低減することができる。ピーク電力に基づいて時間領域信号が判別基準を満たすか否かを判定することで、PAPRに基づいて時間領域信号が判別基準を満たすか否かを判定するときよりも演算負荷を低減することができる。
【0148】
無線局1が行うトレリスシェーピングの処理は、図2の例に限られない。一例として、インパルス列生成部13は、ステップS12において基準インパルス列を生成した直後に、ステップS19の反転インパルス列の生成を予め行ってもよい。この場合、判別部17は、ステップS20以降の処理を繰り返す際に、予め生成された反転インパルス列のいずれかを選択して、選択した反転インパルス列についてステップS20以降の処理を行えばよい。
【0149】
判別部17による判定方法は、上述の例に限られない。一例として、判別部17は、1パルス探索のみを行って、複数パルス探索を行わなくてもよい。パルス探索は、予めテーブルとして用意されたインパルス位置の組合せについて行われてもよい。これにより、演算負荷をさらに低減することが可能となる。
【0150】
他の一例として、判別部17は、PAPR値AまたはPAPR値A (j)が予め定められたPAPR基準値を下回れば、PAPR基準値を下回るときのOFDMシンボル成分s REまたは時間領域信号差分Δs REを送信部18に送る。これにより、演算負荷をさらに低減することが可能となる。
【0151】
IFFT部16は、ゼロパディングIFFTに限られず、3次スプライン補間、ラグランジュ補間等の任意の補間方法による補間をIFFT結果に施してもよい。
【0152】
その他、上述のハードウェア構成および回路構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0153】
1,2 無線局
11 S/P変換部
12 分割部
13 インパルス列生成部
14 畳み込み部
15 マッピング部
16 IFFT部
17 判別部
18 送信部
21 受信部
22 FFT部
23 デマッピング部
24 復号部
50,60 コントローラ
51,61 CPU
52,62 I/O
53,63 RAM
54,64 ROM
図1
図2
図3
図4
図5