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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145654
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058103
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 樹
(72)【発明者】
【氏名】国領 おさむ
(72)【発明者】
【氏名】島田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 直紀
(72)【発明者】
【氏名】前田 規晶
(72)【発明者】
【氏名】臼井 正典
(72)【発明者】
【氏名】金井 博
(72)【発明者】
【氏名】中村 宗央
(72)【発明者】
【氏名】木村 ヨシオ
(72)【発明者】
【氏名】中嶌 和也
(72)【発明者】
【氏名】大石 憲吾
(57)【要約】
【課題】走行時における上部旋回体の前方への良好な照射と掘削作業時における掘削位置への良好な照射との両立を図れる建設機械を提供する。
【解決手段】下部走行体10と、上部旋回体20と、上部旋回体20に俯仰動可能に設けられたブーム61と、ブーム61に支持機構140を介して取り付けられ、上部旋回体20の周囲を照明するための作業灯110とを備える油圧ショベル1において、支持機構140は、作業灯110をブーム61の下方に位置させる0°姿勢と、作業灯110をブーム61の側方に位置させる左180°姿勢又は右180°姿勢に切り替え可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、前記走行体の上部に旋回可能に設けられた旋回体と、前記旋回体に俯仰動可能に設けられたブームと、
前記ブームに支持機構を介して取り付けられ、前記旋回体の周囲を照明するための作業灯と、
を備える建設機械において、
前記支持機構は、
前記作業灯を前記ブームの下方に位置させる第1姿勢と前記作業灯を前記ブームの側方に位置させる第2姿勢に切り替え可能に構成されていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械において、
前記第2姿勢は、
前記作業灯を前記ブームの左側方に位置させる左側第2姿勢と、前記作業灯を前記ブームの右側方に位置させる右側第2姿勢とを含み、
前記支持機構は、
前記左側第2姿勢に切り替えられた状態を保持する第2左側保持機構と、
前記右側第2姿勢に切り替えられた状態を保持する第2右側保持機構と、
を有している
ことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項2記載の建設機械において、
前記支持機構は、
前記ブームの下縁部にそれぞれ位置する左側回動軸及び右側回動軸を有し、
前記左側回動軸を回動中心とする回動により前記第1姿勢と前記左側第2姿勢とに切り替えられ、前記右側回動軸を回動中心とする回動により前記第1姿勢と前記右側第2姿勢とに切り替えられることを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項2記載の建設機械において、
前記第1姿勢は、
前記作業灯を前記ブームの直下に位置させる直下第1姿勢と、前記作業灯を前記ブームの左下方に位置させる左側第1姿勢と、前記作業灯を前記ブームの右下方に位置させる右側第1姿勢とを含み、
前記左側第1姿勢に切り替えられた状態を保持する第1左側保持機構と、
前記右側第1姿勢に切り替えられた状態を保持する第1右側保持機構と、
を有することを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項4記載の建設機械において、
前記支持機構は、
前記作業灯が取り付けられる中間アームと、
前記ブームの一方の側面に設けられ、前記中間アームの一端が回動可能に連結される左アームと、
前記ブームの他方の側面に設けられ、前記中間アームの他端が回動可能に連結される右アームと、
前記左アームに固定され、前記中間アーム及び前記左アームの連結状態と解放状態とを切り替え可能な左連結機構と、
前記右アームに固定され、前記中間アーム及び前記右アームの連結状態と解放状態とを切り替え可能な右連結機構と
を備えており、
前記左連結機構は、
前記左アームに設けた左アーム貫通孔と前記中間アームの左端に設けた中間アーム左貫通孔とに挿抜可能に貫通する左側引き抜きピンを備えており、
前記右連結機構は、
前記右アームに設けた右アーム貫通孔と前記中間アームの右端に設けた中間アーム右貫通孔とに挿抜可能に貫通する右側引き抜きピンを備える
ことを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項5記載の建設機械において、
前記第1左側保持機構は、
前記支持機構が前記左側第1姿勢である場合に、前記中間アームに面接触するプレート部を備えた左側ストッパであり、
前記第1右側保持機構は、
前記支持機構が前記右側第1姿勢である場合に、前記中間アームに面接触するプレート部を備えた右側ストッパである
ことを特徴とする建設機械。
【請求項7】
請求項2記載の建設機械において、
前記作業灯は、
作業灯本体と、
作業灯本体を前記支持機構に固定するための筐体と
を備えており、
前記第2左側保持機構は、
前記ブームの左側面に設けられた左側ボス
を備え、
前記第2右側保持機構は、
前記ブームの右側面に設けられた右側ボス
を備え、
前記筐体は、
ボルトを挿通可能な第1貫通孔が形成され、前記支持機構が前記左側第2姿勢の状態で前記第1貫通孔に挿通されたボルトによって前記左側ボスに固定される第1固定片部と、
ボルトを挿通可能な第2貫通孔が形成され、前記支持機構が前記右側第2姿勢の状態で前記第2貫通孔に挿通されたボルトによって前記右側ボスに固定される第2固定片部と、
を有する
ことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲を照明する作業灯を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体を備え、上部旋回体の前部に設けられたブームとブーム用油圧シリンダのロッドとの連結部の近傍位置に作業灯を支持させて設ける、建設機械の作業灯の取付構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-64998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のように作業灯をブームの下方となる位置に取り付ける場合、掘削作業時にブームが下方を向くのに応じて作業灯の照射範囲も下方となるため、掘削場所を良好に照らすことができる。しかしながら、走行時の姿勢ではブームやアームが作業灯の光を遮ってしまうため、前進方向(上部旋回体の前方)にブームやアームの影が生じてしまう。
【0005】
一方、上記のようにブームの下方に作業灯を取り付ける構成のほか、従来、ブームの横に作業灯を取り付ける構成も既に知られている。この場合、走行姿勢では上部旋回体の前方に対してブームが照射の障害物とはならず、照射される光は遮られることはなく上部旋回体の前方を良好に照らすことができる。しかしながら、ブームを基準として、作業灯が設置される側の反対側に対してブームが作業灯の光を遮ってしまい、該反対側にブームの影が生じてしまう。
【0006】
以上のように、従来技術においては、作業灯をブームの下方又はブームの横のいずれに取り付けた場合でも、走行時における上部旋回体の前方への良好な照射と掘削作業時における掘削位置への良好な照射との、両立を図ることはできなかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、走行時における上部旋回体の前方への良好な照射と掘削作業時における掘削位置への良好な照射との両立を図れる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、走行体と、前記走行体の上部に旋回可能に設けられた旋回体と、前記旋回体に俯仰動可能に設けられたブームと、前記ブームに支持機構を介して取り付けられ、前記旋回体の周囲を照明するための作業灯と、を備える建設機械において、前記支持機構は、前記作業灯を前記ブームの下方に位置させる第1姿勢と前記作業灯を前記ブームの側方に位置させる第2姿勢に切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走行時における上部旋回体の前方への良好な照射と掘削作業時における掘削位置への良好な照射との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による建設機械の一例としての油圧ショベルの全体外観構造を表す側面図である。
図2】作業灯装置を含む図1中の要部拡大図である。
図3図2中の作業灯装置を抽出して表す斜視図及びその部分拡大図である。
図4】中間アームが左90°姿勢及び左180°姿勢へ回動する挙動の例を表す、ブームの左前方から見た外観説明図である。
図5】中間アームが左90°姿勢及び左180°姿勢へ回動する挙動の例を表す、ブームの左後方から見た外観説明図である。
図6】中間アームが右90°姿勢及び右180°姿勢へ回動する挙動の例を表す、ブームの右前方から見た外観説明図である。
図7】中間アームが右90°姿勢及び右180°姿勢へ回動する挙動の例を表す、ブームの右後方から見た外観説明図である。
図8】左連結機構のブーム及びブラケットとの位置関係を明らかにするための、左側からの側面図、及び、左前方からの斜視図である。
図9図8(a)中の要部抽出拡大図である。
図10図9の連結状態からリングが引かれて移行する解放状態を表す図である。
図11】左90°姿勢のときの詳細を表す、図4(a)の部分拡大図、及び、図11(a)の要部拡大図である。
図12】左90°姿勢におけるスライドレール、内側ストッパ及びその周囲構造を表す図、及び、図12(a)の要部拡大図である。
図13】左180°姿勢のときの詳細を表す、図4(b)の部分拡大図、及び、図13(a)の要部拡大図である。
図14図13(a)中の要部構造をブーム側から見た斜視図、及び、図14(a)の要部拡大図である。
図15】中間アーム及び作業灯の回動による各姿勢をまとめて一覧して示す概念図である。
図16】右180°姿勢を右後方から見た、図7(b)の要部拡大図相当の外観図である。
図17図16に示した構造を反対側の左前方から見た、図6(b)の要部拡大図相当の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<油圧ショベルの概略構成>
本実施形態による建設機械の一例である油圧ショベル1の全体外観構造を図1に示す。図1において、油圧ショベル1は、例えば掘削作業に用いられる建設機械である。なお、建設機械として、油圧ショベル1以外に、後述の作業装置を備えた他の機械に本発明を適用してもよい。以下、本願明細書においては、油圧ショベル1に適用した場合を例にとって説明する。
【0013】
油圧ショベル1は、この例では、例えば市街地等の比較的狭隘な作業現場で用いられる小型油圧ショベル(ミニショベル)である。油圧ショベル1の車体は、走行モータ70が駆動されることで自走可能な下部走行体10(走行体の一例)と、下部走行体10上に旋回輪21を介して搭載され旋回モータ(図示せず)が駆動されることで旋回可能な上部旋回体20(旋回体の一例)とにより主として構成されている。この例では、上部旋回体20の旋回半径が、下部走行体10の車幅内にほぼ収まるように構成されている。
【0014】
上部旋回体20の前部側には、スイングポスト54を介して左・右方向に揺動可能かつ上・下方向俯仰動可能に支持された作業装置55が設けられている。作業装置55は多関節型の構造であり、ブームシリンダ71により駆動されるブーム61と、アームシリンダ72により駆動されるアーム62と、バケットシリンダ73により駆動されるバケット63とを備えている。
【0015】
ブームシリンダ71のボトム側はスイングポスト54に連結され、ロッド側は、ブーム61の下部に取り付けられたブラケット61Aに連結されている。ブーム61の下部、この例ではブラケット61Aの近傍に、作業灯装置100が設けられている。アームシリンダ72のボトム側はブーム61の上部に取り付けられたブラケット61Bに連結され、ロッド側は、アーム62の基端部に取り付けられたブラケット62Aに連結されている。バケットシリンダ73のボトム側は上記ブラケット62Aに連結され、ロッド側は、バケット63の基端部63Aに連結されている。
【0016】
上部旋回体20には、この上部旋回体20のフレームとなる旋回フレーム56と、キャブ51と、カウンタウェイト60とが備えられている。カウンタウェイト60は、旋回フレーム56の後端部に設けられている。カウンタウェイトは、作業装置55との重量バランスをとる重量物として構築されている。キャブ51は、旋回フレーム56の左側に搭載されており、油圧ショベル1を操縦するオペレータの運転室を画成するために旋回フレーム56上に設けられている。キャブ51内には、オペレータが着席する運転席59Aと、下部走行体10を走行操作するための操作レバー(図示せず)と、作業装置55を操作するための操作レバー59Bとが配設されている。なお、以下の説明において、上下方向、前後方向、左右方向は、図1等の各図中に適宜示す矢印方向に対応している。すなわち、図示の「上」「下」「前」「後」「左」「右」は、運転席59Aに着座したオペレータから見た上下左右前後方向に相当している。また、油圧ショベル1は、通常、走行時には、図1に示す姿勢をとった状態で走行を行う。
【0017】
<作業灯装置>
作業灯装置100を含む図1中の要部拡大図を図2に示し、図2中の作業灯装置100を抽出して表す斜視図及びその部分拡大図を図3(a)及び図3(b)にそれぞれ示す。
【0018】
図2及び図3において、作業灯装置100は、油圧ショベル1の上部旋回体20の周囲を照明するための作業灯110と、ブーム61に対して作業灯110を支持する支持機構140とを有している。作業灯110は、作業灯本体120と、作業灯本体120を支持機構140に固定するための筐体130とを備えている。
【0019】
<支持機構>
支持機構140は、略U字型のリンク部材150を有している。リンク部材150は、図1図2図3に示す姿勢において略水平方向に延設される中間アーム170と、中間アーム170の左端に回動可能に連結される左アーム180と、中間アーム170の右端に回動可能に連結される右アーム190とを備えている。このときの左端が中間アーム170の一端の一例であり、右端が中間アーム170の他端の一例である。中間アーム170には上記筐体130が固定されており、この結果、後述のように作業灯110は中間アーム170と一体になって回動可能となっている。なお、図1図2図3に示す姿勢を、後述の左90°姿勢、左180°姿勢、右90°姿勢、右180°姿勢との対比として、以下適宜、「0°姿勢」と称する。この0°姿勢では、作業灯110がブーム61の下方、詳細にはブーム61の直下に位置する。したがって、0°姿勢は直下第1姿勢の一例であり、第1姿勢の一例でもある。
【0020】
<中間アーム>
中間アーム170は、略プレート状のアーム本体170Aと、アーム本体170Aの左端部に連設された穴あきブラケット170Lと、アーム本体170Aの右端部に連設された穴あきブラケット170R(後述の図4(b)等参照)とを備えている。後述の図4(b)及び図6(b)等に示すように、穴あきブラケット170L,170Rには、それぞれ貫通孔170La,170Raが孔設されている。また穴あきブラケット170L,170Rは、外形形状が略直線状をなす直線部170Lb,170Rbと、直線部170Lb,170Rbよりも中間アーム170の末端側にそれぞれ位置する、外形形状が略半円状をなす円弧部170Lc,170Rcとをそれぞれ備えている。
【0021】
中間アーム170の左端には、上記0°姿勢において、略水平な中間アーム170に対し略直角をなしかつ前側に斜め下方となるように左アーム180を連結する連結状態と上記連結を解いて左アーム180を中間アーム170から解放する解放状態とを、切り替え可能な左連結機構185が係合している。
【0022】
同様に、中間アーム170の右端には、上記0°姿勢において、略水平な中間アーム170に対し略直角をなしかつ前側に斜め下方となるように右アーム190を連結する連結状態と上記連結を解いて右アーム190を中間アーム170から解放する解放状態とを、切り替え可能な右連結機構195が係合している(詳細は後述)。左連結機構185は左アーム180に固定され、右連結機構195は右アーム190に固定されている。
【0023】
<左90°姿勢>
左連結機構185が上記連結状態を維持したまま右連結機構195が上記解放状態となると、中間アーム170が左連結機構185の軸心kL(図3(a)参照。左側回動軸の一例)を回動中心として回動可能となる。軸心kLは、ブーム61の左側の下縁部に位置している。なお、「下縁部」とは、ブーム61の下縁部位のほか、当該下縁部位から所定距離範囲内の近傍部分も含む。図4(a)及び図4(b)はこのときの回動挙動の例を表すブーム61の左前方から見た外観説明図であり、図5(a)及び図5(b)は当該回動挙動をブーム61の左後方から見た外観説明図である。上記の回動の結果、例えばオペレータが適宜の手動操作を行うことで、図4(a)及び図5(a)に示すように、中間アーム170と左アーム180とのなす角度を上記0°姿勢のときから90°増大させて(図4(a)中の破線矢印ア参照)、中間アーム170の軸線と左アーム180の軸線とが略一直線上となった姿勢とすることができる。なお、この図4(a)及び図5(a)に示す姿勢を、以下適宜、「左90°姿勢」と称する。この左90°姿勢では、作業灯110がブーム61の左下方に位置する。したがって左90°姿勢が左側第1姿勢の一例であり、第1姿勢の一例でもある。
【0024】
<左180°姿勢>
また、上記左90°姿勢から、例えばオペレータの適宜の手動操作により中間アーム170をさらに上記軸心kLまわりに90°回動させることで(図4(b)中の破線矢印イ参照)、図4(b)及び図5(b)に示すように、中間アーム170と左アーム180とのなす角度を上記0°姿勢のときから180°増大させて、中間アーム170の軸線と左アーム180の軸線とが上記0°姿勢とは逆側に直角となった姿勢とすることができる。なお、この図4(b)及び図5(b)に示す姿勢を、以下適宜、「左180°姿勢」と称する。この左180°姿勢では、作業灯110がブーム61の左側方に位置する。したがって左180°姿勢が左側第2姿勢の一例であり、第2姿勢の一例でもある。
【0025】
<右90°姿勢>
一方、右連結機構195が上記連結状態を維持したまま左連結機構185が上記解放状態となると、中間アーム170が右連結機構195の軸心kR(図3(a)参照。右側回動軸の一例)を回動中心として回動可能となる。軸心kRは、ブーム61の右側の下縁部に位置している。なお、前述したように、「下縁部」とは、ブーム61の下縁部位のほか、当該下縁部位から所定距離範囲内の近傍部分も含む。この結果、例えばオペレータが適宜の手動操作を行うことで、図4(a)及び図5(a)にそれぞれ対応する図6(a)及び図7(a)に示すように、中間アーム170と右アーム190とのなす角度を上記0°姿勢のときから90°増大させて(図6(a)中の破線矢印ウ参照)、中間アーム170の軸線と右アーム190の軸線とが略一直線上となった姿勢とすることができる。なお、この図6(a)及び図7(a)に示す姿勢を、以下適宜、「右90°姿勢」と称する。この右90°姿勢では、作業灯110がブーム61の右下方に位置する。したがって右90°姿勢が右側第1姿勢の一例であり、第1姿勢の一例でもある。
【0026】
<右180°姿勢>
また、上記右90°姿勢から、例えばオペレータの適宜の手動操作により中間アーム170をさらに上記軸心kRまわりに90°回動させることで(図6(b)中の破線矢印エ参照)、図6(b)及び図7(b)に示すように、中間アーム170と右アーム190とのなす角度を上記0°姿勢のときから180°増大させて、中間アーム170の軸線と右アーム190の軸線とが上記0°姿勢とは逆側に直角となった姿勢とすることができる。なお、この図6(b)及び図7(b)に示す姿勢を、以下適宜、「右180°姿勢」と称する。この右180°姿勢では、作業灯110がブーム61の右側方に位置する。したがって右180°姿勢が右側第2姿勢の一例であり、第2姿勢の一例でもある。
【0027】
<左・右連結機構>
左連結機構185及び右連結機構195の詳細構造、及び、それらの連結状態・解放状態の切り替えを、図8図10により説明する。図8(a)及び図8(b)は、図2(a)に示した構造において、左連結機構185のブーム61及びブラケット61Aとの位置関係を明らかにするための、左側からの側面図、及び、左前方からの斜視図である。また図9図8(a)中の要部抽出拡大図である。
【0028】
<左アーム>
図8(a)、図8(b)、及び図9において、左アーム180は、図中における上下方向に延設されるアーム本体180Aと、アーム本体180Aの図示上側端部近傍に孔設される貫通孔180Bと、アーム本体180Aの図示下側端部近傍に二股状に分かれてそれぞれ設けられる2つのフランジ部180C,180Cとを有している。貫通孔180Bにはボルト181が挿通されており、このボルト181がブーム61の左側面に設けられたボス61CLに螺合することで、左アーム180はブーム61の左側面に固定されている。このときの左側面がブーム61の一方の側面の一例である。フランジ部180C,180Cには、図中左右方向に貫通孔180Dがそれぞれ孔設されている。
【0029】
<左連結機構>
左連結機構185は、上記アーム本体180Aに固定された側面視が略コの字状の取付ブラケット160と、引き抜きピン161と、スプリング162と、スプリングピン163と、ワッシャ164と、リング165とを備えている。取付ブラケット160は、前下方側及び後上方側のプレート部160a,160bをそれぞれ備えており、それらプレート部160a,160bには貫通孔160c,160dがそれぞれ設けられている。プレート部160bが上記アーム本体180Aに固定されている。
【0030】
上記取付ブラケット160のプレート部160a,160bの貫通孔160c,160dと、上記左アーム180のフランジ部180C,180Cの貫通孔180Dと、前述した中間アーム170の穴あきブラケット170Lの貫通孔170Laとが同軸にて配設されている。そして、これら貫通孔160c,160d、貫通孔180D、貫通孔170Laに対し、引き抜きピン161が挿入されている。このときの貫通孔180Dが左アーム貫通孔の一例であり、貫通孔170Laが中間アーム左貫通孔の一例であり、引き抜きピン161が左側引き抜きピン161の一例である。
【0031】
<中間アームの連結状態>
このとき、引き抜きピン161のうちプレート部160a,160bの間に位置する中間部に上記スプリングピン163が径方向に突出しつつ固定されている。スプリングピン163のプレート部160a側において上記ワッシャ164が引き抜きピン161に係装されており、このワッシャ164と上記プレート部160aとの間にスプリング162が配設され、図9中における左右方向へ伸長する方向への付勢力を常時作用させている。これにより、常には左連結機構185の中間アーム170に対する係合状態が維持され、その結果、左連結機構185を介した左アーム180と中間アーム170との上記連結状態が実現されている。
【0032】
<中間アームの解放状態>
図9等に示した上記連結状態から、例えばオペレータがリング165に指をかけて前下方側(図9中の左側)へ引くと、図10に示すように、スプリングピン163に係止されているワッシャ164の移動によりスプリング162を縮ませつつ、引き抜きピン161を上記前下方側へ徐々に移動させることができる。この移動により、引き抜きピン161が中間アーム170の穴あきブラケット170Lの貫通孔170Laから引き抜かれると、左連結機構185の中間アーム170に対する上記係合状態が解消され、左アーム180と中間アーム170との上記解放状態が実現される。この結果、前述の図6及び図7を用いて説明したような、上記0°姿勢から右90°姿勢への回動、さらに右90°姿勢から右180°姿勢への回動が可能となる。
【0033】
<右アーム及び右連結機構>
なお、詳細な説明及び図示を省略するが、上記右アーム190及び右連結機構195の構成及び係合挙動も、上記左アーム180及び左連結機構185と同様である。すなわち、右アーム190は、上記図6(a)及び図7(a)等に示すように、アーム本体190A、貫通孔190B、フランジ部190C,190Cとを有している。貫通孔190Bに挿通されたボルト191がブーム61の右側面に設けられたボス61CRに螺合することで、右アーム190はブーム61の右側面に固定されている。このときの右側面がブーム61の他方の側面の一例である。フランジ部190C,190Cには貫通孔190D(図7(a)参照)がそれぞれ孔設されている。
【0034】
右連結機構195は、上記左連結機構185と同様、前下方側及び後上方側のプレート部160a,160b及び貫通孔160c,160dをそれぞれ備えた略コの字状の取付ブラケット160と、引き抜きピン161と、スプリング162と、スプリングピン163と、ワッシャ164と、リング165とを備えている。プレート部160bが上記アーム本体190Aに固定されている。前述の0°姿勢では、右連結機構195のプレート部160a,160bの貫通孔160c,160dと、上記右アーム190のフランジ部190C,190Cの貫通孔190Dと、前述した中間アーム170の穴あきブラケット170Rの貫通孔170Ra(前述の図4(b)等参照)とが同軸にて配設される。そして、それら貫通孔160c,160d、貫通孔190D、貫通孔170Raに対し、引き抜きピン161が挿入されている。このときの貫通孔190Dが右アーム貫通孔の一例であり、貫通孔170Raが中間アーム右貫通孔の一例であり、引き抜きピン161が右側引き抜きピン161の一例である。
【0035】
<中間アームの連結状態>
上記構成の右連結機構195においても、左連結機構185と同様、ワッシャ164と上記プレート部160aとの間に配設されたスプリング162の付勢力により、常には右連結機構195の中間アーム170に対する係合状態が維持される。その結果、右連結機構195を介した右アーム190と中間アーム170との上記連結状態が実現されている。そして、上記連結状態から、前述と同様に、例えばオペレータによる引き抜きピン161の移動が行われることで、引き抜きピン161が中間アーム170の穴あきブラケット170Rの貫通孔170Ra(図4(b)等参照)から引き抜かれ、右連結機構195の中間アーム170に対する上記係合状態が解消され、右アーム190と中間アーム170との上記解放状態が実現される。この結果、前述の図4及び図5を用いて説明したような、上記0°姿勢から左90°姿勢への回動、さらに左90°姿勢から左180°姿勢への回動が可能となる。
【0036】
<左・右90°姿勢及び左・右180°姿勢を保持する機構>
本実施形態では、前述のような適宜の操作により左90°姿勢、左180°姿勢、右90°姿勢、右180°姿勢等に切り替えられた時、当該姿勢を保持するための機構が設けられる。以下、それらについて具体的に説明する。
【0037】
<左90°姿勢の保持>
右アーム190が中間アーム170から解放された前述の左90°姿勢のときの詳細を表す、図4(a)の部分拡大図を図11(a)に示し、図11(a)の要部拡大図を図11(b)に示す。本実施形態では、この左90°姿勢を保持するために、左アーム180の左側面及び右側面に沿って外側ストッパ209及び内側ストッパ207がそれぞれ設けられる。
【0038】
<左アームの外側ストッパ>
図11(a)、図11(b)、及び、図4等において、外側ストッパ209は、全体的に略T字板状の形状を備えており、T字の下方部分となる略平板状のプレート部209Aと、T字の水平方向両端部分となる耳部209B,209Bとを有している。このとき、左アーム180のアーム本体180Aの左側面の両縁部にはスライドレール189,189が設けられ、上記外側ストッパ209の耳部209B,209Bがそれぞれスライド可能に係合している。これにより、外側ストッパ209は、左アーム180の軸線方向に沿って斜め上下方向にスライド可能である。なおスライドレール189,189の下方端は閉止され、外側ストッパ209の下方への脱落を防止するようになっている。
【0039】
そして、外側ストッパ209は、下方にスライドし耳部209Bがスライドレール189の下端近傍にあるアーム拘束位置(図11(a)及び図11(b)等参照)となると、プレート部209Aの下端近傍が、中間アーム170の穴あきブラケット170Lの一方側の直線部170Lbに面接触する。これにより、例えば前述のように中間アーム170が回動して左アーム180とのなす角度が増大することで上記0°姿勢から左90°姿勢になったとき、それよりもさらに上記角度が増大するのを抑制することができる。
【0040】
一方、外側ストッパ209は、上方にスライドした状態のアーム解放位置(後述の図13(b)等参照)では、プレート部209Aは、中間アーム170の穴あきブラケット170Lの直線部170Lbには面接触しない。この結果、中間アーム170を上記のような回動抑制状態から解放し、その自由な回動を許容することができる。なおその際、プレート部209Aは、円弧部170Lcには接触していても接触していなくてもどちらでも構わない。仮にプレート部209Aが円弧部170Lcに接触した状態であっても、円弧部170Lcの当該略半円状の外形上をプレート部209Aが滑ることとなる結果、外側ストッパ209のプレート部209Aは中間アーム170の上記回動を阻害しないからである。
【0041】
<左アームの内側ストッパ>
一方、左アーム180のうち上記スライドレール189,189のちょうど裏側にあたる左アーム180のアーム本体180Aの右側面の両縁部にはスライドレール187,187が設けられ、それらスライドレール187,187に上記内側ストッパ207が係合される。なお上記同様、スライドレール187,187の下方端は閉止され、内側ストッパ207の下方への脱落を防止するようになっている。左90°姿勢におけるスライドレール187、内側ストッパ207及びその周囲構造を図12(a)に示し、図12(a)の要部拡大図を図12(b)に示す。
【0042】
図12(a)及び図12(b)等において、内側ストッパ207は、上記外側ストッパ209と同様、全体的に略T字板状の形状を備えており、T字の下方部分となる略平板状のプレート部207Aと、T字の水平方向両端部分となる耳部207B,207Bとを有している。そして、左アーム180のアーム本体180Aの右側面の両縁部の上記スライドレール187,187に、上記内側ストッパ207の耳部207B,207Bがそれぞれスライド可能に係合している。これにより、内側ストッパ207は、上記外側ストッパ209と同様、左アーム180の軸線方向に沿って斜め上下方向にスライド可能である。
【0043】
そして、内側ストッパ207は、下方にスライドし耳部207Bがスライドレール187の下端近傍にあるアーム拘束位置(図12(a)及び図12(b)等参照)となると、上記外側ストッパ209と同様、プレート部207Aの下端近傍が、中間アーム170の穴あきブラケット170Lの他方側の直線部170Lb(上記外側ストッパ209が面接触する側と反対側の直線部170Lb)に面接触する。これにより、例えば前述のように中間アーム170が回動して左アーム180とのなす角度が増大することで上記0°姿勢から左90°姿勢になったとき、その状態から角度が減少するのを抑制することができる。
【0044】
すなわち、図11(a)、図11(b)、図12(a)、図12(b)に示す左90°姿勢では、前述したように外側ストッパ209のプレート部209Aが上記一方側の直線部170Lbに面接触するとともに、内側ストッパ207のプレート部207Aが上記他方側の直線部170Lbに面接触する。これらの結果、中間アーム170が左90°に保持される。すなわちこの場合、外側ストッパ209及び内側ストッパ207が、左側ストッパの一例であり、第1左側保持機構の一例でもある。
【0045】
一方、内側ストッパ207は、上記外側ストッパ209と同様、上方にスライドした状態のアーム解放位置では、プレート部207Aは、中間アーム170の穴あきブラケット170Lの直線部170Lbには面接触しない(図示省略。但し、後述する右アーム190側の類似構造を表す上記図3(a)参照)。この結果、中間アーム170を上記のような回動抑制状態から解放し、自由な回動を許容する。上記プレート部209Aと同様、その際、プレート部207Aは、円弧部170Lcには接触していても接触していなくてもどちらでも構わない。仮にプレート部207Aが円弧部170Lcに接触した状態であっても、円弧部170Lcの当該略半円状の外形上をプレート部207Aが滑ることとなる結果、内側ストッパ207のプレート部207Aは中間アーム170の上記回動を阻害しないからである。
【0046】
<0°姿勢から左90°姿勢への移行>
以上の構成により、上記0°姿勢から左90°姿勢とされるときの、左アーム180の外側ストッパ209及び内側ストッパ207の挙動は以下の通りとなる。すなわち、0°姿勢では、図3等に示すように、外側ストッパ209はその自重により上記アーム拘束位置へと下がった状態にある一方、内側ストッパ207は略水平となった中間アーム170のアーム本体170Aが下端部207Cを持ち上げることで上記アーム解放位置へと上昇している。
【0047】
この状態から前述のようにオペレータの適宜の操作で右連結機構15による係合状態が解消されて上記解放状態となると、自重により中間アーム170が上記左90°姿勢へ向かって徐々に回動する。この回動中は、左アーム180に係わる外側ストッパ209のプレート部209Aが上記アーム拘束位置において前述の円弧部170Lcと接触しているが、当該略半円状の外形上をプレート部209Aが滑ることとなる結果、当該回動を阻害しない。また左アーム180に係わる内側ストッパ207は、上記回動が進展しアーム本体170Aの位置が下がるにつれて自重によりアーム解放位置からアーム拘束位置へと徐々に下がってくるが、後述のように上記左90°姿勢となりアーム拘束位置においてプレート部207Aが中間アーム170の上記直線部170Lbに面接触するようになるまでは、上記同様に回動を阻害しない。
【0048】
そして、中間アーム170が上記左90°姿勢となるまで回動し左アーム180と略一直線上となると、外側ストッパ209のプレート部209Aが上記アーム拘束位置において前述の一方側の直線部170Lbと面接触するとともに、内側ストッパ207のプレート部207Aも上記アーム拘束位置となって前述の他方側の直線部170Lbと面接触する。すなわち、外側ストッパ209と内側ストッパ207とがともにアーム拘束位置となって左アーム180のアーム本体180Aを左・右両側から挟み込む形となる。この結果、中間アーム170は当該左90°姿勢から上記角度の増大方向にも減少方向にも回動が抑制され、左90°姿勢において保持されることとなる(図11図12参照)。
【0049】
なお、この左90°姿勢から上記0°姿勢に戻したい場合は、例えばオペレータが手動で左アーム180に係わる内側ストッパ207及び外側ストッパ209を上記アーム拘束位置から上記アーム解放位置へと持ち上げ、内側ストッパ207及び外側ストッパ209による前述の中間アーム170への接触による拘束を解消させる必要がある。この持ち上げ操作を行うことで、上述したのと逆向きへ中間アーム170を回動させ、0°姿勢へと戻すことができる。
【0050】
<左180°姿勢への移行及び保持>
左アーム180が上記左90°姿勢からさらに回動された前述の左180°姿勢のときの詳細を表す、図4(b)の部分拡大図を図13(a)に示し、図13(a)の要部拡大図を図13(b)に示す。また、図13(a)中の要部である左アーム180、左連結機構185、中間アーム170、及び作業灯装置100の構造を、それらの右側すなわちブーム61側から見た斜視図を図14(a)に示し、図14(a)の要部拡大図を図14(b)に示す。
【0051】
これら図13及び図14において、上記左90°姿勢から上記左180°姿勢としたい場合は、例えばオペレータが手動で左アーム180に係わる内側ストッパ207及び外側ストッパ209をアーム拘束位置からアーム解放位置へと持ち上げ、それらによる前述の中間アーム170への接触による拘束を解消させる。これにより、例えばオペレータが適宜の手動操作を行うことで、上述した0°姿勢から左90°姿勢へのときと同じ回転方向へと中間アーム170を回動させ、左180°姿勢へと移行させることができる。なお、左90°姿勢からある程度回動させた後は、外側ストッパ209の上記持ち上げは行わなくても、中間アーム170を左180°姿勢まで回動させることができる。
【0052】
すなわち、左90°姿勢から左180°姿勢までの回動中は、内側ストッパ207のプレート部207Aが上記アーム拘束位置において前述の円弧部170Lcと接触するが、当該略半円状の外形上をプレート部207Aが滑ることとなる結果、当該回動を阻害しない。また外側ストッパ209は、上記回動が進展するにつれて下端部209Cが中間アーム170のアーム本体170Aに当接されて持ち上げられることによりアーム拘束位置からアーム解放位置へと徐々に上がってくるが、この間プレート部209Aが上記円弧部170Lcに面接触するように適宜に操作してやることで、上記回動を阻害しないようにすることができる。
【0053】
そして、この左180°姿勢を保持するために、図2図4(a)、図8(b)、図13(a)、及び図5(b)等に示すように、ブーム61の左側面にはボス61DLが設けられており、このボス61DLにはボルト131が螺合可能となっている。一方、上記0°姿勢における作業灯110の筐体130の左・右両側には、図2図3(a)、図4(a)、図4(b)、及び図11(a)等に示すように、貫通孔130Laを備えた固定片部130L及び貫通孔130Raを備えた固定片部130Rがそれぞれ設けられている。前述のように作業灯装置100が回動し左180°姿勢となった状態で、筐体130の固定片部130Lの貫通孔130Laにボルト131が貫通された後、そのボルト131がブーム61の上記ボス61DLに螺合される。これにより、筐体130の固定片部130Lがブーム61の左側面に固定される結果、上記左180°姿勢が保持される(図4(b)、図13(a)参照)。すなわちこの場合、固定片部130Lが第1固定片部の一例であり、貫通孔130Laが第1貫通孔の一例であり、ボス61DLが左側ボスの一例であり、ボス61DL及びボルト131が、第2左側保持機構の一例である。
【0054】
なお、この左180°姿勢から上記0°姿勢に戻したい場合は、前述のボルト131によるボス61DLへの螺合を解除した後、以下のような挙動となる。すなわち、左180°姿勢では、図13及び図14等に示すように、左アーム180に係わる内側ストッパ207はその自重により上記アーム拘束位置へと下がった状態にある一方、外側ストッパ209は略水平となった中間アーム170のアーム本体170Aが下端部209Cを持ち上げることで上記アーム解放位置へと上昇している。
【0055】
この状態から、上記ボルト131の解除の結果、自重により中間アーム170が上記左90°姿勢へ向かって徐々に回動する。この回動中は、左アーム180に係わる内側ストッパ207のプレート部207Aが上記アーム拘束位置において前述の円弧部170Lcと接触しているが、当該略半円状の外形上をプレート部207Aが滑ることとなる結果、当該回動を阻害しない。また左アーム180に係わる外側ストッパ209は、上記回動が進展しアーム本体170Aの位置が下がるにつれて自重によりアーム解放位置からアーム拘束位置へと徐々に下がってくるが、後述のように上記左90°姿勢となりアーム拘束位置においてプレート部209Aが中間アーム170の上記直線部170Lbに面接触するようになるまでは、上記同様に回動を阻害しない。
【0056】
そして、中間アーム170が上記左90°姿勢となるまで回動し左アーム180と略一直線上となると、外側ストッパ209のプレート部209A及び内側ストッパ207のプレート部207Aがそれぞれ直線部170Lbと面接触し、左90°姿勢となる。
【0057】
<右90°姿勢の保持>
本実施形態では、上述した、0°姿勢から左90°姿勢への移行及び左90°姿勢の保持、及び、左90°姿勢から左180°姿勢への移行及び左180°姿勢の保持、と同等の構成が右側にも設けられている。そして、上記同様の手法で、0°姿勢から右90°姿勢への移行及び右90°姿勢の保持、及び、右90°姿勢から右180°姿勢への移行及び右180°姿勢の保持が行われる。左アーム180が中間アーム170から解放された前述の右90°姿勢を保持するために、本実施形態では、右アーム190の右側面及び左側面に沿って、前述と同様の形状の外側ストッパ209及び内側ストッパ207がそれぞれ設けられる。
【0058】
<右アームの外側ストッパ>
すなわち、図6(a)に示すように、右アーム190のアーム本体190Aの右側面の両縁部には上記スライドレール189と同様のスライドレール199が設けられ、前述と同様のプレート部209Aを備えた外側ストッパ209の耳部209Bがそれぞれスライド可能に係合している。これにより、外側ストッパ209は、右アーム190の軸線方向に沿って斜め上下方向にスライド可能である。なお前述同様、スライドレール199の下方端は閉止されている。
【0059】
そして、外側ストッパ209は、前述のアーム拘束位置(図6(a))等参照)となると、プレート部209Aの下端近傍が、中間アーム170の穴あきブラケット170Lの一方側の直線部170Lbに面接触する。これにより、前述と同様、上記0°姿勢から右90°姿勢になったとき、さらに上記角度が増大するのを抑制することができる。 一方、外側ストッパ209は、前述のアーム解放位置では、プレート部209Aは、中間アーム170の穴あきブラケット170Lの直線部170Lbには面接触しない。この結果、前述同様、中間アーム170の自由な回動を許容できる。なおその際、プレート部209Aは、円弧部170Lcには接触していても接触していなくてもどちらでも構わない。
【0060】
<右アームの内側ストッパ>
一方、右アーム190のうち上記スライドレール199の裏側の左側面の両縁部には上記スライドレール187と同様のスライドレール197が設けられ、前述と同様のプレート部207Aを備えた内側ストッパ207の耳部207Bがそれぞれスライド可能に係合している(図7(a)参照)。なお上記同様、スライドレール197の下方端は閉止されている。
【0061】
そして、内側ストッパ207は、前述のアーム拘束位置(図7(a)等参照)となると、上記同様、プレート部207Aの下端近傍が、中間アーム170の穴あきブラケット170Lの他方側の直線部170Lbに面接触する。これにより、前述と同様、上記0°姿勢から右90°姿勢になったとき、その状態から角度が減少するのを抑制することができる。
【0062】
すなわち、図6(a)及び図7(a)に示す右90°姿勢では、前述したように外側ストッパ209のプレート部209Aが上記一方側の直線部170Lbに面接触するとともに、内側ストッパ207のプレート部207Aが上記他方側の直線部170Lbに面接触する。これらの結果、中間アーム170が右90°に保持される。すなわちこの場合、外側ストッパ209及び内側ストッパ207が、右側ストッパの一例であり、第1右側保持機構の一例でもある。
【0063】
一方、内側ストッパ207は、前述同様、アーム解放位置では、プレート部207Aは、中間アーム170の穴あきブラケット170Lの直線部170Lbには面接触しない(前述の図3(a)及び図3(b)参照)。この結果、中間アーム170の自由な回動を許容する。前述と同様、その際、プレート部207Aは、円弧部170Lcには接触していても接触していなくてもどちらでも構わない。
【0064】
<0°姿勢から右90°姿勢への移行>
以上の構成により、上記0°姿勢から右90°姿勢とされるときの右アーム190の外側ストッパ209及び内側ストッパ207の挙動は以下の通りとなる。すなわち、0°姿勢では、図3等に示すように、外側ストッパ209はその自重により上記アーム拘束位置へと下がった状態にある一方、内側ストッパ207は略水平となった中間アーム170のアーム本体170Aが下端部207Cを持ち上げる(上記図3(a)参照)ことで上記アーム解放位置へと上昇している。
【0065】
この状態から前述のようにオペレータの適宜の操作で左連結機構185による係合状態が解消されて上記解放状態となると、自重により中間アーム170が上記右90°姿勢へ向かって徐々に回動する。この回動中は、右アーム190に係わる外側ストッパ209のプレート部209Aが上記アーム拘束位置において前述の円弧部170Lcと接触しているが、当該略半円状の外形上をプレート部209Aが滑ることとなる結果、当該回動を阻害しない。また右アーム190に係わる内側ストッパ207は、上記回動が進展しアーム本体170Aの位置が下がるにつれて自重によりアーム解放位置からアーム拘束位置へと徐々に下がってくるが、後述のように上記右90°姿勢となりアーム拘束位置においてプレート部207Aが中間アーム170の上記直線部170Lbに面接触するようになるまでは、上記同様に回動を阻害しない。
【0066】
そして、中間アーム170が上記右90°姿勢となるまで回動し右アーム190と略一直線上となると、右アーム190に係わる外側ストッパ209のプレート部209Aが上記アーム拘束位置において前述の一方側の直線部170Lbと面接触するとともに、右アーム190に係わる内側ストッパ207のプレート部207Aも上記アーム拘束位置となって前述の他方側の直線部170Lbと面接触する。すなわち、外側ストッパ209と内側ストッパ207とがともにアーム拘束位置となって右アーム190のアーム本体190Aを左・右両側から挟み込む形となる。この結果、中間アーム170は当該右90°姿勢から上記角度の増大方向にも減少方向にも回動が抑制され、右90°姿勢において保持されることとなる(図6(a)及び図7(a)参照)。
【0067】
なお、この右90°姿勢から上記0°姿勢に戻したい場合は、前述の左90°姿勢のときと同様、例えばオペレータが手動で右アーム190に係わる内側ストッパ207及び外側ストッパ209を上記アーム拘束位置から上記アーム解放位置へと持ち上げる操作を行うことで、上述したのと逆向きへ中間アーム170を回動させ、0°姿勢へと戻すことができる。
【0068】
<右180°姿勢への移行及び保持>
前述の図6(a)及び図7(a)において、右アーム190を上記右90°姿勢からさらに回動させて前述の右180°姿勢としたい場合は、前述と同様、例えばオペレータが手動で右アーム190に係わる内側ストッパ207及び外側ストッパ209を持ち上げ、それらによる前述の中間アーム170への拘束を解消させる。これにより、例えばオペレータが適宜の手動操作を行うことで、上述した0°姿勢から右90°姿勢へのときと同じ回転方向へと中間アーム170を回動させ、右180°姿勢へと移行させることができる。なお、右90°姿勢からある程度回動させた後は、外側ストッパ209の上記持ち上げは行わなくてもよい。すなわち、前述と同様、右90°姿勢から右180°姿勢までの回動中は、内側ストッパ207のプレート部207Aが円弧部170Lcの外形上を滑って回動を阻害しないからである。また外側ストッパ209は、上記回動の進展につれて下端部209Cが中間アーム170に持ち上げられている間、プレート部209Aが上記円弧部170Lcに面接触するように適宜に操作してやることで、上記回動を阻害しないようにすることができる。
【0069】
そして、この右180°姿勢を保持するために、図7(b)等に示すように、ブーム61の右側面にはボス61DRが設けられており、このボス61DRに前述と同様のボルト131が螺合可能となっている。前述のように作業灯装置100が回動し右180°姿勢となった状態で、前述した筐体130の固定片部130Rの貫通孔130Raにボルト131が貫通された後、そのボルト131がブーム61の上記ボス61DRに螺合される。これにより、筐体130の固定片部130Rがブーム61の右側面に固定される結果、上記右180°姿勢が保持される(図6(b)、図7(b)参照)。すなわちこの場合、固定片部130Rが第2固定片部の一例であり、貫通孔130Raが第2貫通孔の一例であり、ボス61DRが右側ボスの一例であり、ボス61DR及びボルト131が、第2右側保持機構の一例である。
【0070】
なお、この右180°姿勢から上記0°姿勢に戻したい場合は、前述と同様、ボルト131によるボス61DRへの螺合を解除した後、以下のような挙動となる。すなわち、右180°姿勢では、前述したように、右アーム190に係わる内側ストッパ207は自重により上記アーム拘束位置へと下がった状態にある一方、右アーム190に係わる外側ストッパ209は中間アーム170に下端部209Cが持ち上げられ上記アーム解放位置へと上昇している。
【0071】
この状態から、自重により中間アーム170が上記右90°姿勢へ向かって徐々に回動する。この回動中は、内側ストッパ207のプレート部207Aが前述の円弧部170Lcと接触して当該略半円状の外形上を滑るため、当該回動を阻害しない。また外側ストッパ209は、アーム本体170Aの位置が下がるにつれて自重により徐々に下がり、上記右90°姿勢となりプレート部209Aが中間アーム170の上記直線部170Lbに面接触するようになるまで上記同様に回動を阻害しない。そして、中間アーム170が上記右90°姿勢となるまで回動しると、外側ストッパ209のプレート部209A及び内側ストッパ207のプレート部207Aがそれぞれ直線部170Lbと面接触し、右90°姿勢となる。
【0072】
<姿勢変更挙動のまとめ>
以上説明した、中間アーム170及び作業灯110の回動による各姿勢を図15(a)~(e)にまとめて一覧して示す。図示は、上記各姿勢におけるブーム61、左アーム180、中間アーム170、右アーム190、及び作業灯110の位置関係を、後方側(言い換えればキャブ51のオペレータ側)から見た概念図である。
【0073】
図15(c)に示す0°姿勢から、前述のように右連結機構195を解放状態として左連結機構185の上記軸心kLを回動中心として中間アーム170及び作業灯110を図示時計回りに略90°回動させることで、図15(b)に示すように、作業灯110をブーム61の左下方に位置させる上記左90°姿勢とすることができる。これにより、例えば油圧ショベル1の左側のいわゆる側溝掘りを行う場合等において、掘削対象箇所及び周辺に対し良好な照明を行うことができる。
【0074】
図15(b)の左90°姿勢から、さらに上記軸心kLを回動中心として中間アーム170及び作業灯110を図示時計回りに略90°回動させることで、図15(a)に示すように、作業灯110をブームの左側方に位置させる上記左180°姿勢とすることができる。これにより、図1に示した走行時の姿勢において、ブーム61が作業灯110による照射の障害物とならず、油圧ショベル1の前方を良好に照らすことができる。
【0075】
また、図15(c)に示す0°姿勢から、前述のように左連結機構185を解放状態として右連結機構195の上記軸心kRを回動中心として中間アーム170及び作業灯110を図示反時計回りに略90°回動させることで、図15(d)に示すように、作業灯110をブーム61の右下方に位置させる上記右90°姿勢とすることができる。これにより、例えば油圧ショベル1の右側のいわゆる側溝掘りを行う場合等において、掘削対象箇所及び周辺に対し良好な照明を行うことができる。
【0076】
図15(d)の右90°姿勢から、さらに上記軸心kRを回動中心として中間アーム170及び作業灯110を図示反時計回りに略90°回動させることで、図15(e)に示すように、作業灯110をブームの右側方に位置させる上記右180°姿勢とすることができる。これにより、図1に示した走行時の姿勢において、ブーム61が作業灯110による照射の障害物とならず、油圧ショベル1の前方を良好に照らすことができる。
【0077】
<作業灯内における照射角度調整>
本実施形態においては、上記のように切り替えられる各姿勢において、照射光の照射角度を作業灯110の内部において微調整することができる。その調整手法の詳細を、図16及び図17により説明する。図16は、前述の右180°姿勢を右後方から見た、上記図7(b)の要部拡大図相当の外観図であり、図17(a)~(c)は図16に示した構造を反対側の左前方から見た、上記図6(b)の要部拡大図相当の外観図である。
【0078】
これら図16及び図17(a)~(c)において、前述したように、作業灯110は、作業灯本体120と、筐体130とを備えている。作業灯本体120は、内部に電球を収容した公知の箱状構造を備えており、所定方向に光を照射する。電球としては、例えばHIDランプ、LEDランプ等を用いることができるが、これ以外の種類であってもよい。作業灯本体120は、例えばケーブルを通じて図示しないバッテリから給電されて上記電球が発光し、夜間における作業時において照明を行うことができる。
【0079】
筐体130は、互いに略対向する第1面130A及び第2面130Bと互いに略対向する第3面130C及び第4面130Dとを有する、略四角筒形状を備えている。そして、それら4つの面130A~130Dのうち1つの面、この例では第1面130Aに、貫通孔301が設けられている。本実施形態では、上記作業灯本体120を筐体130に取り付けるために略Ω状のブラケット302が設けられる。ブラケット302は、上記Ω状の二股先端部分に相当する把持部302a,302aと、上記Ω状の根元部分に相当する基部302bとを備えており、基部302bには貫通孔(図示せず)が設けられている。そして、当該基部302bの貫通孔と上記筐体130の第1面130Aの貫通孔301とを位置合わせした状態で、固定ボルト303が(この例ではブラケット302側から)それら2つの貫通孔を貫通した後、反対側においてナット304が螺合されることで、ブラケット302が第1面130Aに固定されている。
【0080】
一方、作業灯本体120の裏面(照射面と反対側の面)には、上記ブラケット302の把持部302a,302a同士の間隔に対応した距離で離間された、2つの取付タブ120A,120Aが設けられている。各取付タブ120Aは、取付ボルト310を挿通するための貫通孔(図示せず)を備えている。このとき、ブラケット302の各把持部302aにも、上記取付ボルト310を挿通するための貫通孔(図示せず)が備えられている。そして、取付タブ120A,120Aの貫通孔とブラケット302の把持部302a,302aの貫通孔とを位置合わせした状態で、上記取付ボルト310がそれら4つの貫通孔を貫通した後、反対側においてナット311が螺合されることで、取付タブ120A,120Aがブラケット302の把持部302aによって把持されている。なおこの例では、上記の取付ボルト310をナット311で締結する際、取付ボルト310を挿通可能な貫通孔を備えたスペーサ312を取付タブ120A,120Aの間に介在配置し、把持部302a,302aによる取付タブ120A,120Aの把持強度の増大が図られている。
【0081】
ここで、上記のような取付ボルト310を介したブラケット302と作業灯本体120との接続構造において、本実施形態では、取付ボルト310を適宜に緩めて締め直すことによって、上記図17(a)、図17(b)、図17(c)に一例を示すように、筐体130に対する作業灯本体120の取付角度、言い換えれば照射光の照射方向を可変調整可能となっている。図示の例では、図17(b)における作業灯本体120の筐体130に対する取付角度は、図17(a)における取付角度よりも、図中の下向きに傾斜した態様となっている。同様に図17(c)における作業灯本体120の筐体130に対する取付角度は、図17(a)における取付角度よりも、図中の上向きに傾斜した態様となっている。
【0082】
<実施形態の効果>
以上のように構成された本実施形態の油圧ショベル1においては、作業灯110及び中間アーム170が、0°姿勢(又は、左90°姿勢、右90°姿勢)と、左180°姿勢又は右180°姿勢とに、回動して切替可能である。
【0083】
例えば掘削作業時には、0°姿勢(側溝堀りの場合は左90°姿勢又は右90°姿勢)に切り替えて作業灯110をブーム61の下方に位置させる。このように0°姿勢(又は左90°姿勢又は右90°姿勢)とすることにより、ブーム61が下方を向くのに応じて作業灯110の照射範囲を下方とし、掘削場所を良好に照らすことができる。また作業灯110をブーム61の下方に位置させることで、掘削作業時に作業灯110が油圧ショベル1周囲の構造物・物品等に接触する可能性を低減できる。
【0084】
一方、例えば走行時には、左180°姿勢又は右180°姿勢に切り替えて作業灯110をブーム61の側方に位置させる。このように左180°姿勢又は右180°姿勢とすることにより、走行姿勢において上部旋回体20の前方に対してブーム61が照射の障害物とはならなくなり、油圧ショベル1の前方を良好に照らすことができる。また、バケット63に代えてアーム62にブレーカー等の長尺なアタッチメントを取り付けて使用する場合に、作業灯110をブーム61の下方に位置させていると、姿勢によっては当該アタッチメントが作業灯110に接触するおそれがあるが、作業灯110をブーム61の側方に位置させることで、当該アタッチメントを作業灯110から遠ざけ作業灯110に接触するおそれを低減できる。さらに、作業灯110をブーム61の側方に位置させることで、掘削作業時及び走行時以外において手軽な投光器として活用することもできる。
【0085】
以上の結果、本実施形態によれば、走行時における前方への良好な照射と掘削作業時における掘削位置への良好な照射との両立を図ることができる。
【0086】
また、本実施形態では特に、作業灯110及び中間アーム170は、0°姿勢(又は左90°姿勢、右90°姿勢)と、左180°姿勢と、右180°姿勢との、3つの姿勢に切り替え可能である。
掘削作業時には、0°姿勢(側溝堀りの場合は左90°姿勢、右90°姿勢)に切り替えることにより、上述のように掘削場所を良好に照らすことができる。
走行時には、左180°姿勢又は右180°姿勢に切り替えることにより、上述のように油圧ショベル1の前方を良好に照らすことができる。走行時に左180°姿勢とすることで特に前方左側の視認性を向上することができ、走行時に右180°姿勢とすることで特に前方右側の視認性を向上することができる。
そして上記の際、作業灯110及び中間アーム170は、ボス61DL及びボルト131によって左180°姿勢に保持され、ボス61DR及びボルト131によって右180°姿勢に保持される。これにより、作業灯110及び中間アーム170が対応する各姿勢に切り替えられたとき、その姿勢を安定的に維持することができる。
【0087】
また、本実施形態では特に、作業灯110及び中間アーム170は、ブーム61の下縁部に位置する軸心kLを中心とした回動動作によって0°姿勢と左180°姿勢とを円滑に切り替えることができ、ブーム61の下縁部に位置する軸心kRを中心とした回動動作によって0°姿勢と右180°姿勢とを円滑に切り替えることができる。
【0088】
また、本実施形態では特に、作業灯110及び中間アーム170は、0°姿勢と左90°姿勢と右90°姿勢との3つに切り替え可能である。
側溝堀りのような特殊な掘削時に左側(例えば左側の側溝)を掘削する際には左90°姿勢とし、右側(例えば右側の側溝)を掘削する際には右90°姿勢とすることで、それら側溝掘りを円滑に行うことができる。さらに、側溝近くの地面に埋め込まれている周囲配管を良好に照らし、それら配管の破損リスクを低減できる効果もある。
そして上記の際、作業灯110及び中間アーム170は、左アーム180及び右アーム190の外側ストッパ209及び内側ストッパ207によって左90°姿勢及び右90°姿勢にそれぞれ保持される。これにより、作業灯110及び中間アーム170が対応する各姿勢に切り替えられたとき、その姿勢を安定的に維持することができる。
【0089】
また、本実施形態では特に、左連結機構185が、左側の引き抜きピン161を備え、右連結機構195が、右側の引き抜きピン161を備える。
これにより、オペレータの引き抜きピン161の挿抜によって、中間アーム170と左アーム180又は右アーム190との、連結状態及び解放状態を円滑に切り替えることができる。
【0090】
また、本実施形態では特に、左90°姿勢及び右90°姿勢である場合に、外側ストッパ209及び内側ストッパ207のプレート部209A,207Aが、中間アーム170の左側の直線部170Lb,170Rb及び右側の直線部170Lb,170Rbにそれぞれ面接触する。これにより、作業灯110及び中間アーム170の左90°姿勢及び右90°姿勢を安定的に維持する構成を、確実に実現することができる。
【0091】
また、本実施形態では特に、筐体130の固定片部130Lが、貫通孔130Laに貫通される左側のボルト131によって、ブーム61の左側面に設けた左側ボス61DLに対して固定され、筐体130の固定片部130Rが、貫通孔130Raに貫通される右側のボルト131によって、ブーム61の右側面に設けた右側ボス61DRに対して固定される。これにより、作業灯110及び中間アーム170の左180°姿勢及び右180°姿勢を安定的に維持する構成を、確実に実現することができる。
【0092】
<解決しようとする課題や発明の効果について>
発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではない。すなわち、本発明によって、上述されていない課題を解決したり、上述されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
<形状、数値、構造、時系列について>
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0093】
<直角>
なお、以上の説明における「直角」とは、厳密な意味での直角ではない。すなわち、「直角」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に直角」という意味である。
【0094】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0095】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0096】
1 油圧ショベル(建設機械)
10 下部走行体(走行体)
20 上部旋回体(旋回体)
61 ブーム
61DL ボス(左側ボス、第2左側保持機構)
61DR ボス(右側ボス、第2右側保持機構)
100 作業灯装置
110 作業灯
120 作業灯本体
130 筐体
130L 固定片部(第1固定片部)
130La 貫通孔(第1貫通孔)
130R 固定片部(第2固定片部)
130Ra 貫通孔(第2貫通孔)
131 ボルト(第2左側保持機構、第2右側保持機構)
140 支持機構
161 引き抜きピン(左側引き抜きピン、右側引き抜きピン)
170 中間アーム
170La 貫通孔(中間アーム左貫通孔)
170Ra 貫通孔(中間アーム右貫通孔)
180 左アーム
180D 貫通孔(左アーム貫通孔)
185 左連結機構
190 右アーム
190D 貫通孔(右アーム貫通孔)
195 右連結機構
207 内側ストッパ(左側ストッパ、第1左側保持機構、右側ストッパ、第1右側保持機構)
207A プレート部
209 外側ストッパ(左側ストッパ、第1左側保持機構、右側ストッパ、第1右側保持機構)
209A プレート部
kL 軸心(左側回動軸)
kR 軸心(右側回動軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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