(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145656
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】エレベータの制御システム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20241004BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20241004BHJP
B66B 3/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B66B1/18 L
B66B3/00 K
B66B3/00 P
B66B3/02 N
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058105
(22)【出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303AA05
3F303CA14
3F303CB31
3F502HB02
3F502JA07
3F502JA19
3F502JA20
3F502JA26
3F502JA31
3F502JA52
3F502JA59
3F502JA72
3F502KA05
3F502KA19
3F502MA03
3F502MA48
3F502MA49
(57)【要約】
【課題】エレベータにおいて、各利用者が、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できる、といった環境を作り出す。
【解決手段】第1エレベータ及び第2エレベータのそれぞれにおいて、呼び登録処理部は、選択処理部によって対象利用者についての登録担当部として選択されて、その対象利用者の第1顔情報及び行先階を送信処理部から受信した場合に、それらの情報を、互いに対応付けた情報で情報管理データに記録する。その後、呼び登録処理部は、第2顔情報取得部から各利用者の第2顔情報を受信した場合に、情報管理データ内に記録済みの第1顔情報のうちの当該第2顔情報と合致する対象顔情報を探し、その対象顔情報を探し出すことができた場合、情報管理データにて当該対象顔情報に対応付けられている行先階を用いて、その対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エレベータ及び第2エレベータを含み、特定階において、これらの乗場へ行くために利用者が通る入場地点が設けられており、且つ、前記第1エレベータの乗場が、当該入場地点から前記第2エレベータの乗場までの経路の途中に設けられているエレベータの構成、に適用可能な制御システムであり、
前記第1エレベータ及び前記第2エレベータに1組ずつ含まれる情報管理データ及び呼び登録処理部と、
前記入場地点を通った各利用者の顔情報を第1顔情報として取得する第1顔情報取得部と、
前記入場地点を通った各利用者の行先階を取得する行先階取得部と、
前記入場地点から前記第1エレベータの乗場までの経路の途中にある通過地点を通った各利用者の顔情報を取得して、それを第2顔情報として前記第1エレベータに含まれる呼び登録処理部に送信し、また、前記第1エレベータの乗場から前記第2エレベータの乗場までの経路の途中にある通過地点を通った各利用者の顔情報を取得して、それを第2顔情報として前記第2エレベータに含まれる呼び登録処理部に送信する第2顔情報取得部と、
前記入場地点を通った各利用者を対象利用者として、前記行先階取得部が取得した当該対象利用者の行先階に基づいて、前記第1エレベータ及び前記第2エレベータの何れか一方に含まれる呼び登録処理部を、その対象利用者についての呼び登録の実行を担当する登録担当部として選択する選択処理部と、
前記対象利用者についての呼び登録を担当する前記登録担当部へ、その対象利用者の前記第1顔情報及び前記行先階を送信する送信処理部と、
を備え、
前記第1エレベータ及び前記第2エレベータのそれぞれにおいて、前記呼び登録処理部は、
前記選択処理部によって前記対象利用者についての前記登録担当部として選択されて、その対象利用者の前記第1顔情報及び前記行先階を前記送信処理部から受信した場合に、それらの情報を、互いに対応付けた情報で前記情報管理データに記録し、
その後、前記第2顔情報取得部から各利用者の前記第2顔情報を受信した場合に、前記情報管理データ内に記録済みの前記第1顔情報のうちの当該第2顔情報と合致する対象顔情報を探し、その対象顔情報を探し出すことができた場合、前記情報管理データにて当該対象顔情報に対応付けられている前記行先階を用いて、その対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う、エレベータの制御システム。
【請求項2】
前記呼び登録処理部は、前記対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う場合、そのときに当該利用者が通過した前記通過地点までの前記入場地点からの歩行時間の実測値を取得し、その実測値に基づいて、当該通過地点から前記乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定した上で、その予測値を考慮して前記呼び登録を行う、請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項3】
前記呼び登録処理部は、前記対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う場合、そのときに当該利用者が通過した前記通過地点までの前記入場地点からの歩行時間の実測値を取得し、その実測値に基づいて、当該通過地点から前記乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定した上で、その予測値の時間が経過するのを待って前記呼び登録を行う、請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータにおいて利用者ごとに呼び登録を行う制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御技術として、特許文献1には、各利用者がセキュリティゲートを通過したときに、その利用者についての呼び登録を、当該利用者に予め対応付けられている行先階を用いて行う技術が開示されている。この技術では、セキュリティゲートの通過時に、呼び登録で各利用者に割り当てられた乗りかごの情報が、当該セキュリティゲートの表示部に表示される。このため、各利用者は、表示部に表示された情報を確認することにより、自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識した上で乗場へ向かうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、乗場に近い場所にセキュリティゲートが設置されている。このため、利用者は、セキュリティゲートの通過後、短時間で乗場に到達することができる。従って、殆どの利用者は、自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できる。
【0005】
一方、フロア面積が大きい建物においては、乗場から離れた場所にセキュリティゲートが設置されることがある。また、セキュリティゲートから見えない場所に乗場が設けられていることもある。そのような建物では、利用者は、セキュリティゲートの通過後、乗場に到達するまでに時間を要することになる。このため、何れの利用者においても、自身に割り当てられた乗りかごの出発に間に合わずに乗り遅れてしまうといった状況が生じやすくなる。
【0006】
そこで本発明の目的は、エレベータにおいて、セキュリティゲートなどが設置された入場地点が乗場から離れていて利用者が移動に時間を要する場合であっても、各利用者が、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できる、といった環境を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御システムは、次のようなエレベータの構成に適用可能である。そのエレベータの構成とは、第1エレベータ及び第2エレベータを含み、特定階において、これらの乗場へ行くために利用者が通る入場地点が設けられており、且つ、第1エレベータの乗場が、当該入場地点から第2エレベータの乗場までの経路の途中に設けられているといった構成である。
【0008】
上記制御システムは、情報管理データ及び呼び登録処理部と、第1顔情報取得部と、行先階取得部と、第2顔情報取得部と、選択処理部と、送信処理部と、を備える。情報管理データ及び呼び登録処理部は、第1エレベータ及び第2エレベータに1組ずつ含まれている。第1顔情報取得部は、入場地点を通った各利用者の顔情報を第1顔情報として取得する。行先階取得部は、入場地点を通った各利用者の行先階を取得する。第2顔情報取得部は、入場地点から第1エレベータの乗場までの経路の途中にある通過地点を通った各利用者の顔情報を取得して、それを第2顔情報として第1エレベータに含まれる呼び登録処理部に送信する。また、第2顔情報取得部は、第1エレベータの乗場から第2エレベータの乗場までの経路の途中にある通過地点を通った各利用者の顔情報を取得して、それを第2顔情報として第2エレベータに含まれる呼び登録処理部に送信する。選択処理部は、入場地点を通った各利用者を対象利用者として、行先階取得部が取得した当該対象利用者の行先階に基づいて、第1エレベータ及び第2エレベータの何れか一方に含まれる呼び登録処理部を、その対象利用者についての呼び登録の実行を担当する登録担当部として選択する。送信処理部は、対象利用者についての呼び登録を担当する登録担当部へ、その対象利用者の第1顔情報及び行先階を送信する。
【0009】
そして、第1エレベータ及び第2エレベータのそれぞれにおいて、呼び登録処理部は、選択処理部によって対象利用者についての登録担当部として選択されて、その対象利用者の第1顔情報及び行先階を送信処理部から受信した場合に、それらの情報を、互いに対応付けた情報で情報管理データに記録する。その後、呼び登録処理部は、第2顔情報取得部から各利用者の第2顔情報を受信した場合に、情報管理データ内に記録済みの第1顔情報のうちの当該第2顔情報と合致する対象顔情報を探し、その対象顔情報を探し出すことができた場合、情報管理データにて当該対象顔情報に対応付けられている行先階を用いて、その対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う。
【0010】
上記制御システムによれば、入場地点を各利用者が通ったときに、その利用者の行先階の情報が得られるため、当該利用者についての呼び登録を行うことが可能になるが、その利用者が第1エレベータ及び第2エレベータのどちらを利用する利用者であっても、そのときには呼び登録を行うことはせず、その利用者が利用するエレベータの乗場に近い通過地点を当該利用者が通過したときに初めて呼び登録を行う、といった処理が可能になる。具体的には、第1エレベータの利用者についての呼び登録を、入場地点から第1エレベータの乗場までの経路の途中にある通過地点を当該利用者が通過したときに実行し、第2エレベータの利用者についての呼び登録を、第1エレベータの乗場から第2エレベータの乗場までの経路の途中にある通過地点を当該利用者が通過したときに実行する、といった処理が可能になる。換言すれば、各利用者が利用するエレベータの乗場に当該利用者が近づいてから呼び登録を行うことが可能になる。
【0011】
上記制御システムにおいて、呼び登録処理部は、対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う場合、そのときに当該利用者が通過した通過地点までの入場地点からの歩行時間の実測値を取得し、その実測値に基づいて、当該通過地点から乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定した上で、その予測値を考慮して呼び登録を行ってもよい。
【0012】
具体的には、入場地点と通過地点の各地点で各利用者の顔情報を取得するときに、当該利用者が各地点を通った時刻も一緒に取得してもよい。そして、各利用者について取得した入場地点及び通過地点での時刻を用いることにより、入場地点から通過地点までの移動に要した歩行時間を求め、その歩行時間を、入場地点から通過地点までの当該利用者の歩行時間の実測値として取得してもよい。
【0013】
上記構成によれば、利用者ごとに、通過地点から乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定することが可能になる。また、各利用者についての予測値を推定するときに、その利用者について直前に得られた歩行時間の実測値が使用されるため、予測値として、そのときの当該利用者の状態が反映された適切な値を精度良く得ることが可能になる。その結果として、各利用者にとって最適な乗りかごを割り当てることが可能になる。
【0014】
上記制御システムにおいて、呼び登録処理部は、対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う場合、そのときに当該利用者が通過した通過地点までの入場地点からの歩行時間の実測値を取得し、その実測値に基づいて、当該通過地点から乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定した上で、その予測値の時間が経過するのを待って呼び登録を行ってもよい。
【0015】
上記構成によれば、各利用者についての呼び登録が、当該利用者が乗場にできるだけ近づいてから実行されやすくなる。よって、各利用者の乗遅れを、より効率良く防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入場地点が乗場から離れていて利用者が移動に時間を要する場合であっても、各利用者は、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
【
図1B】セキュリティ管理装置の構成を示した概念図である。
【
図2】実施形態における特定階でのエレベータの構成を例示した概念図である。
【
図3】実施形態で用いられる(A)第1対応管理データ、(B)第2対応管理データ、(C)第1装置管理データをそれぞれ例示した概念図である。
【
図4】実施形態においてセキュリティ管理装置が実行する制御処理を示したフローチャートである。
【
図5】実施形態で用いられる(A)情報管理データ及び(B)第2装置管理データをそれぞれ例示した概念図である。
【
図6】実施形態において群管理制御装置が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
【
図7】実施形態で用いられる第2表示部での表示方法をそれぞれ例示した概念図である。
【
図8】第1変形例で用いられる情報管理データを例示した概念図である。
【
図9】第1変形例において群管理制御装置が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
【
図10】第2変形例で用いられる(A)情報管理データ及び(B)第2表示部での表示方法をそれぞれ例示した概念図である。
【
図11】第3変形例における特定階でのエレベータの構成の一例を示した概念図である。
【
図12】第3変形例における特定階でのエレベータの構成の他の例を示した概念図である。
【
図13】第3変形例で用いられる第2装置管理データを例示した概念図である。
【
図14】第5変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
【
図15】第5変形例で用いられる第1装置管理データを例示した概念図である。
【
図16】第6変形例で用いられる情報管理データを例示した概念図である。
【
図17】第7変形例において群管理制御装置が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
【
図18】第7変形例で用いられる情報管理データを例示した概念図である。
【
図19】第8変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
【
図20】第8変形例で用いられる(A)第1対応管理データ及び(B)第3装置管理データを例示した概念図である。
【
図21】第8変形例において第1登録方法での登録を可能するためにセキュリティ管理装置4が実行する制御処理を示したフローチャートである。
【
図22】第8変形例において第2登録方法での登録を可能するためにセキュリティ管理装置4が実行する制御処理を示したフローチャートである。
【
図23】第8変形例において第3登録方法での登録を可能するためにセキュリティ管理装置4が実行する制御処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1]実施形態
図1Aは、実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。この図に示されるように、本実施形態では、規制装置1(セキュリティゲートなど)と、情報取得装置2と、表示装置3と、セキュリティ管理装置4と、第1エレベータEvAと、第2エレベータEvBと、がエレベータの構成に含まれている。そして、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBは何れも、複数の乗りかご(
図2参照)と、それらを一元的に管理する群管理制御装置5と、を備える。尚、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBはそれぞれ、エレベータの技術分野では「バンク」と呼ばれることがある。
【0019】
図2は、建物の特定階(ロビー階など)におけるエレベータの構成を示した概念図である。この図に示されるように、特定階には、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのそれぞれの乗場へ行くために利用者が必ず通る入場地点Xsが設けられている。本実施形態では、そのような入場地点Xsが特定階に1つだけ設けられており、第1エレベータEvAの乗場が、当該入場地点Xsから第2エレベータEvBの乗場までの経路の途中に設けられている。換言すれば、第1エレベータEvAの乗場は入場地点Xsに近く、第2エレベータEvBの乗場は入場地点Xsから遠い、といった位置関係になっている。
【0020】
そして、入場地点Xsに規制装置1が設置されることにより、入場地点Xsの通行が制限されている。
図2の例では、入場地点Xsに規制装置1が3台設置されている。尚、入場地点Xsに設置される規制装置1の台数は、3台に限定されない複数台であってもよいし、1台であってもよい。また、特定階には入場地点Xsが複数設けられていてもよく、その場合の詳細については後述の「第3変形例」で説明する。
【0021】
ここで、フロア面積が大きい建物においては、入場地点Xsが乗場から離れた場所に設けられ、そこに規制装置1が設置されることがある。また、規制装置1から見えない場所に乗場が設けられていることもある。そのような建物では、利用者は、規制装置1の通過後、乗場に到達するまでに時間を要することになる。このため、入場地点Xsにて各利用者が規制装置1を通過したときに、その利用者についての呼び登録を行ったとすると(換言すれば、従来の技術をそのまま用いたとすると)、何れの利用者においても、自身に割り当てられた乗りかごの出発に間に合わずに乗り遅れてしまうといった状況が生じやすくなる。
【0022】
そこで、このようなエレベータの構成において、入場地点Xsが乗場から離れていて利用者が移動に時間を要する場合であっても、各利用者が、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できる、といった環境を作り出すべく、それを可能にするための制御システムが、以下に詳述する構成の一部又は全部によって構築される。
【0023】
本実施形態では、特に、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れの乗場へも入場地点Xsからの移動に時間を要する場合について考える。
【0024】
尚、以下では、説明を簡潔にするために、第1エレベータEvAと第2エレベータEvBには、それぞれが案内する特定階以外の停止階として、互いに異なる停止階が設定されているものとする。換言すれば、第1エレベータEvAと第2エレベータEvBには、特定階を除いた停止階が重複することがないように設定されているものとする。具体例として、第1エレベータEvAには、特定階以外の停止階として高層階(例えば、11階~20階)が設定され、第2エレベータEvBには、特定階以外の停止階として低層階(例えば、2階~10階)が設定された場合が考えられる。
【0025】
[1-1]規制装置
規制装置1は、利用者が所持する記録媒体Q(ICカードや磁気カードなど)から情報を読み取る読取部11と、ゲートの開閉を制御する開閉制御部12と、を備える(
図1A参照)。読取部11は、カードリーダなどの読取デバイスで構成され、開閉制御部12は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成される。また、読取部11及び開閉制御部12には、それぞれを他の装置と識別するためのリーダ情報Pxg及びゲート情報Pwgが設定されている。
【0026】
記録媒体Qには、それを所持する利用者を他の利用者と識別するための識別情報Pi(利用者IDなど)が記録されており、読取部11は、記録媒体Qがかざされたときに、当該記録媒体Qから識別情報Piを読み取る。開閉制御部12は、セキュリティ管理装置4から指令に応じてゲートの開閉を制御する。
【0027】
読取部11による記録媒体Qの読取方法は、接触式のものであってもよいし、NFC(Near Field Communication)等の近距離通信で情報を読み取る非接触式のものであってもよく、特に限定されるものではない。また、記録媒体Qは、カード状のものに限らず、スティック状やチップ状のものであってもよい。更に、記録媒体Qとして、読取部11との近距離通信(NFC等)が可能なスマートフォン等の端末装置が用いられてもよい。
【0028】
読取部11が読み取った識別情報Piは、後述するセキュリティ管理装置4が行う制御処理(認証処理や取得処理など)に用いられる。そのため、読取部11は、識別情報Piを読み取った場合、その識別情報Piをセキュリティ管理装置4へ送信する(
図1A参照)。このとき、読取部11は、当該識別情報Piの送信元がどの装置であるのかをセキュリティ管理装置4に認識させるべく、その識別情報Piと共に、自身のリーダ情報Pxgもセキュリティ管理装置4へ送信する。
【0029】
[1-2]情報取得装置
情報取得装置2は、エレベータの各利用者から顔情報(顔特徴量など)を取得する装置である。本実施形態では、情報取得装置2は、第1顔情報取得部21と、第2顔情報取得部22A及び22Bと、を含む(
図1A参照)。これらの取得部は、カメラなどの撮像デバイスによって構成される。そして、第1顔情報取得部21には、他の装置と識別するためのカメラ情報Py1が設定され、第2顔情報取得部22A及び22Bには、それぞれを他の装置と識別するためのカメラ情報Py2が設定されている。
【0030】
<第1顔情報取得部>
第1顔情報取得部21は、入場地点Xs(
図2参照)を通った各利用者の顔情報を第1顔情報Pf1として取得する。具体的には、第1顔情報取得部21は、規制装置1を通過した各利用者の顔を撮影することにより、その利用者の顔が写った画像を取得する。そして、第1顔情報取得部21は、取得した各利用者の画像(顔画像)に画像処理を施すことにより、その利用者の顔情報(顔特徴量など)を第1顔情報Pf1として抽出する。本実施形態では、入場地点Xsに設置された3台の規制装置1に、1つずつ対応付けて第1顔情報取得部21が設けられており(
図2参照)、各第1顔情報取得部21は、それに対応する規制装置1を通過した各利用者の顔情報を第1顔情報Pf1として取得する。尚、
図1Aでは、第1顔情報取得部21が規制装置1と1対1の対応関係にあることが、それらを囲む一点鎖線の枠で示されている。
【0031】
以下では、説明を簡潔にするために、第1顔情報取得部21が取得する画像には、入場地点Xsを通った各利用者の顔が必ず写るものとし、且つ、当該画像からは必ずその利用者の第1顔情報Pf1が抽出されるものとする。
【0032】
第1顔情報取得部21が各利用者の画像(顔画像)から抽出した第1顔情報Pf1は、後述する群管理制御装置5が行う情報記録処理及び呼び登録処理に用いられる。本実施形態では、第1顔情報取得部21が取得した第1顔情報Pf1は、一旦、セキュリティ管理装置4へ送信され、当該セキュリティ管理装置4を介して第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れか一方の群管理制御装置5へ選択的に送信される。そのため、第1顔情報取得部21は、各利用者の第1顔情報Pf1を取得した場合、その第1顔情報Pf1をセキュリティ管理装置4へ送信する(
図1A参照)。このとき、第1顔情報取得部21は、当該第1顔情報Pf1の送信元がどの装置であるのかをセキュリティ管理装置4に認識させるべく、その第1顔情報Pf1と共に、自身のカメラ情報Py1もセキュリティ管理装置4へ送信する。
【0033】
尚、画像からの第1顔情報Pf1の抽出は、セキュリティ管理装置4で実行されてもよいし、群管理制御装置5で実行されてもよい。その場合、第1顔情報取得部21は、入場地点Xsでの撮影によって画像(顔画像)を取得するごとに、当該画像を、自身のカメラ情報Py1と共にセキュリティ管理装置4へ送信することになる。
【0034】
<第2顔情報取得部>
第2顔情報取得部22Aは、入場地点Xsから第1エレベータEvAの乗場までの経路の途中にある通過地点XtA(
図2参照)において、当該通過地点XtAを通った各利用者の顔情報を第2顔情報Pf2として取得し、その第2顔情報Pf2を第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する。具体的には、第2顔情報取得部22Aは、通過地点XtAを撮影することにより、その通過地点XtAを通過する利用者の顔が写った画像を取得する。そして、第2顔情報取得部22Aは、取得した画像に画像処理を施すことにより、その画像に写っている各利用者の顔情報(顔特徴量など)を第2顔情報Pf2として抽出し、それを第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する。
【0035】
第2顔情報取得部22Bは、第1エレベータEvAの乗場から第2エレベータEvBの乗場までの経路の途中にある通過地点XtB(
図2参照)において、当該通過地点XtBを通った各利用者の顔情報を第2顔情報Pf2として取得し、その第2顔情報Pf2を第2エレベータEvBの群管理制御装置5へ送信する。具体的には、第2顔情報取得部22Bは、通過地点XtBを撮影することにより、その通過地点XtBを通過する利用者の顔が写った画像を取得する。そして、第2顔情報取得部22Bは、取得した画像に画像処理を施すことにより、その画像に写っている各利用者の顔情報(顔特徴量など)を第2顔情報Pf2として抽出し、それを第2エレベータEvBの群管理制御装置5へ送信する。
【0036】
以下では、説明を簡潔にするために、第2顔情報取得部22A及び22Bが取得する画像には、入場地点Xs側から通過地点XtA及びXtBをそれぞれ通った各利用者の顔が必ず写るものとし、且つ、当該画像からは必ずその利用者の第2顔情報Pf2が抽出されるものとする。
【0037】
ここで、通過地点XtAは、第1エレベータEvAの乗場までの距離Leが次のような距離となるように設定された地点である。その距離とは、通過地点XtAから第1エレベータEvAの乗場までの移動に要する歩行時間の予測値Teを考慮して第1エレベータEvAでの呼び登録を行う場合において、実際に利用者が移動したときの歩行時間が予測値Teから大きくずれて乗遅れが生じてしまうといったようなことにはなりにくい距離である。また、通過地点XtBは、第2エレベータEvBの乗場までの距離Leが次のような距離となるように設定された地点である。その距離とは、通過地点XtBから第2エレベータEvBの乗場までの移動に要する歩行時間の予測値Teを考慮して第2エレベータEvBでの呼び登録を行う場合において、実際に利用者が移動したときの歩行時間が予測値Teから大きくずれて乗遅れが生じてしまうといったようなことにはなりにくい距離である。本実施形態では、これらの予測値Teとして、歩行時間の平均値など、全ての利用者に共通の1つの固定値が用いられる。
【0038】
第2顔情報取得部22Aが画像から抽出した各利用者の第2顔情報Pf2は、上述した第1顔情報Pf1と共に、第1エレベータEvAの群管理制御装置5が行う呼び登録処理に用いられる。また、第2顔情報取得部22Bが画像から抽出した各利用者の第2顔情報Pf2は、上述した第1顔情報Pf1と共に、第2エレベータEvBの群管理制御装置5が行う呼び登録処理に用いられる。そして本実施形態では、これらの第2顔情報Pf2については、セキュリティ管理装置4を介さずに、直接、群管理制御装置5へ送信される。
【0039】
そのため、第2顔情報取得部22Aは、各利用者の第2顔情報Pf2を取得した場合、その第2顔情報Pf2を第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する(
図1A参照)。このとき、第2顔情報取得部22Aは、当該第2顔情報Pf2の送信元がどの装置であるのかを第1エレベータEvAの群管理制御装置5に認識させるべく、その第2顔情報Pf2と共に、自身のカメラ情報Py2も第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する。また、第2顔情報取得部22Bは、各利用者の第2顔情報Pf2を取得した場合、その第2顔情報Pf2を第2エレベータEvBの群管理制御装置5へ送信する(
図1A参照)。このとき、第2顔情報取得部22Bは、当該第2顔情報Pf2の送信元がどの装置であるのかを第2エレベータEvBの群管理制御装置5に認識させるべく、その第2顔情報Pf2と共に、自身のカメラ情報Py2も第2エレベータEvBの群管理制御装置5へ送信する。
【0040】
尚、画像からの第2顔情報Pf2の抽出は、群管理制御装置5で実行されてもよい。その場合、第2顔情報取得部22A及び22Bは、それぞれ通過地点XtA及びXtBでの撮影によって画像を取得するごとに、当該画像を、自身のカメラ情報Py2と共に群管理制御装置5へ送信することになる。
【0041】
[1-3]表示装置
表示装置3は、利用者に情報を提供する装置である。本実施形態では、表示装置3は、第1表示部31と、第2表示部32A及び32Bと、を含む(
図1A参照)。これらの表示部は、液晶モニタなどの表示デバイスで構成される。そして、第1表示部31には、他の装置と識別するためのモニタ情報Pz1が設定され、第2表示部32A及び32Bには、それぞれを他の装置と識別するためのモニタ情報Pz2が設定されている。
【0042】
<第1表示部>
第1表示部31は、入場地点Xsにて各利用者に情報を提供する。本実施形態では、入場地点Xsに設置された3台の規制装置1に1つずつ搭載されており(
図2参照)、各第1表示部31には、それが搭載された規制装置1にて読取部11に記録媒体Qをかざした各利用者についての認証結果などの情報が表示される。尚、
図1Aでは、第1表示部31が規制装置1と1対1の対応関係にあることが、それらを囲む一点鎖線の枠で示されている。
【0043】
<第2表示部>
第2表示部32Aは、通過地点XtAから第1エレベータEvAの乗場へ行く途中で利用者が必ず通る場所に設置されており(
図2参照)、当該乗場へ行く各利用者に情報を提供する。また、第2表示部32Bは、通過地点XtBから第2エレベータEvBの乗場へ行く途中で利用者が必ず通る場所に設置されており(
図2参照)、当該乗場へ行く各利用者に情報を提供する。本実施形態では、第2表示部32Aには、第1エレベータEvAの利用者についての呼び登録の情報(呼び登録で割り当てられた乗りかごの情報など)が表示され、第2表示部32Bには、第2エレベータEvBの利用者についての呼び登録の情報が表示される。
【0044】
[1-4]セキュリティ管理装置
[1-4-1]セキュリティ管理装置の構成
セキュリティ管理装置4は、建物内のセキュリティを管理する装置であり、制御処理の1つとして、入場地点Xsから入場した利用者を把握することによって建物内のセキュリティを維持しつつ、入場地点Xsを通った利用者ごとに、その利用者が利用する第1エレベータEvA又は第2エレベータEvBの群管理制御装置5へ、呼び登録に必要な情報を送信する。このとき、セキュリティ管理装置4は、呼び登録に必要な情報の1つとして、入場地点Xsを通った各利用者の行先階Ftを取得する。
【0045】
本実施形態では、セキュリティ管理装置4は、規制装置1を通過しようとする利用者ごとに、読取部11が取得した当該利用者の識別情報Piに対する認証を行い(認証処理)、認証に成功した場合にのみ、その利用者に対して規制装置1の通過を許可する。また、セキュリティ管理装置4は、入場地点Xsを通った利用者(本実施形態では、入場地点Xsに設置された規制装置1を通過した利用者)ごとに、その利用者(以下、「対象利用者」と称す)の行先階Ftに基づいて、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れか一方の群管理制御装置5を、当該対象利用者についての呼び登録の実行を担当する登録担当部Jtとして選択する(選択処理)。そして、セキュリティ管理装置4は、対象利用者についての呼び登録に必要な情報を取得し(取得処理)、当該情報を、選択処理で選択した登録担当部Jtへ送信する(送信処理)。尚、セキュリティ管理装置4が実行する制御処理の詳細については後述する。
【0046】
図1Bは、セキュリティ管理装置4の構成を示した概念図である。具体的な構成として、セキュリティ管理装置4は、記憶部41と制御部42とを備える。
【0047】
記憶部41は、セキュリティ管理装置4が行う制御処理(認証処理など)に必要な情報が保存される部分である。本実施形態では、記憶部41は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成され、当該記憶部41には、第1対応管理データDp1と、第2対応管理データDp2と、第1装置管理データDq1と、が保存されている。
【0048】
ここで、第1対応管理データDp1は、エレベータの利用を許可できる各利用者の行先階Ftを管理するためのデータである。第2対応管理データDp2は、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのそれぞれが特定階以外で案内できる停止階を管理するためのデータであり、登録担当部Jtの選択に用いられる。第1装置管理データDq1は、規制装置1ごとに、当該規制装置1に関連する複数の情報を互いに紐付けて管理するためのデータである。
【0049】
図3(A)は、本実施形態で用いられる第1対応管理データDp1を例示した概念図である。この図に示されるように、第1対応管理データDp1には、各利用者の識別情報Piが、当該利用者のデフォルト階Ftd(その利用者の降車階として初期設定された行先階Ft)と対応付けられた状態で記録されている。
【0050】
図3(B)は、本実施形態で用いられる第2対応管理データDp2を例示した概念図である。この図に示されるように、第2対応管理データDp2には、利用者の行先階Ftごとに、担当情報Pmが対応付けられている。ここで、担当情報Pmは、行先階Ftごとに、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのうちの当該行先階Ftへの案内を担当できる何れか一方のエレベータを特定するための情報である。
図3(B)の例では、担当情報Pmとして、第1エレベータEvAを特定する情報が「EvA」で示され、第2エレベータEvBを特定する情報が「EvB」で示されている。また、11階~20階の各行先階Ftには担当情報Pmとして「EvA」が対応付けられ、2階~10階の各行先階Ftには担当情報Pmとして群管理Bが対応付けられている。そして、第2対応管理データDp2から担当情報Pmが1つ抽出された場合に、その担当情報Pmで特定されるエレベータの群管理制御装置5が登録担当部Jtとして選択されることになる。
【0051】
図3(C)は、本実施形態で用いられる第1装置管理データDq1を例示した概念図である。この図に示されるように、第1装置管理データDq1には、規制装置1ごとに、その規制装置1が備える読取部11のリーダ情報Pxgが、当該読取部11の設置階Fgと、当該規制装置1と対応関係にある第1顔情報取得部21のカメラ情報Py1及び第1表示部31のモニタ情報Pz1と、当該規制装置1が備える開閉制御部12のゲート情報Pwgと、に対応付けられた状態で記録されている。
【0052】
ここで、設置階Fgは、リーダ情報Pxgで特定される読取部11が設置されている階であり、換言すれば、その読取部11を備えた規制装置1が設置されている階である。そして本実施形態では、利用者は、特定階からエレベータを利用する場合には、規制装置1を通過する必要がある。従って、読取部11の設置階Fg(即ち、規制装置1の設置階Fg)は、利用者が特定階からエレベータを利用するときの当該利用者の出発階Fs(乗車階)として用いられる。
【0053】
制御部42は、上述した制御処理を実行する部分である。本実施形態では、制御部42は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成され、上述した認証処理、選択処理、取得処理、及び送信処理の実行を担う。
【0054】
より具体的な構成として、これらの処理は、制御部42内に構築される認証処理部421、選択処理部422、取得処理部423、及び送信処理部424によって実行される(
図1B参照)。本実施形態では、これらの処理部は、制御部42にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものがセキュリティ管理装置4の記憶部41に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部41に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、セキュリティ管理装置4内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0055】
[1-4-2]セキュリティ管理装置が実行する制御処理
図4は、本実施形態においてセキュリティ管理装置4が実行する制御処理を示したフローチャートである。この制御処理は、次のような場合に開始される。その場合とは、セキュリティ管理装置4が、読取部11に記録媒体Qをかざした各利用者についての一組の情報として、識別情報Pi及びリーダ情報Pxgを読取部11から受信した場合である。また、この制御処理は、セキュリティ管理装置4が上記一組の情報を受信するごとに実行される。以下では、上記一組の情報(識別情報Pi、リーダ情報Pxg)を纏めて「受信情報Pr1」と称す。
【0056】
上記制御処理が開始されると、制御部42は、先ず、受信情報Pr1内の識別情報Piで特定される利用者(入場地点Xsで規制装置1を通過しようとしている利用者)がエレベータの利用を許可できる利用者であるか否かを判断するべく、当該識別情報Piに対する認証を行う(認証処理。ステップS100)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内の識別情報Piが第1対応管理データDp1に記録済みの識別情報Piの何れかと合致するか否かを判断する。
【0057】
そして、制御部42は、ステップS100にて識別情報Piに対する認証に「成功」した場合には、その識別情報Piで特定される利用者に対して規制装置1の通過を許可するべく、当該識別情報Piを送信してきた読取部11を備える規制装置1へ、ゲートを開く制御を実行させるためのゲート開指令Sg1を送信する(ステップS110)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1から、当該リーダ情報Pxgに対応付けられているゲート情報Pwgを取得する。そして、制御部42は、そのゲート情報Pwgで特定される開閉制御部12へゲート開指令Sg1を送信する。これにより、その開閉制御部12において、ゲートを開く制御が実行される。
【0058】
ステップS110の後、制御部42は、認証に成功した識別情報Piで特定される利用者(対象利用者)についての呼び登録を、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのどちらの群管理制御装置5に実行させるかを決めるべく、以下の処理を実行する。
【0059】
制御部42は、先ず、対象利用者が第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのどちらのエレベータの利用者であるのかを判断するべく、当該対象利用者の行先階Ftを取得する(取得処理。ステップS111)。具体的には、制御部42は、第1対応管理データDp1から、受信情報Pr1内の識別情報Pi(認証に成功した識別情報Pi)に対応付けられているデフォルト階Ftdを取得し、そのデフォルト階Ftdを対象利用者の行先階Ftとする(Ft=Ftd)。このとき、制御部42は、入場地点Xsを通った各利用者の行先階Ftを取得する行先階取得部として機能することになる。
【0060】
次に、制御部42は、ステップS111で取得した対象利用者の行先階Ftに基づいて、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れか一方の群管理制御装置5を、当該対象利用者についての呼び登録の実行を担当する登録担当部Jtとして選択する(選択処理。ステップS112)。換言すれば、制御部42は、対象利用者の行先階Ftに基づいて、その対象利用者についての呼び登録を、第1エレベータEvAの群管理制御装置5に実行させるか、それとも第2エレベータEvBの群管理制御装置5に実行されるか、のどちらか一方を選択する。
【0061】
具体的には、制御部42は、第2対応管理データDp2から、ステップS111で取得した行先階Ftに対応付けられている担当情報Pm(「EvA」又は「EvB」)を抽出し、その担当情報Pmで特定されるエレベータ(第1エレベータEvA又は第2エレベータEvB)の群管理制御装置5を登録担当部Jtとする。
【0062】
その後、制御部42は、ステップS112にて第1エレベータEvAの群管理制御装置5を登録担当部Jtとして選択した場合(Jt1=「群管理A」)と、ステップS112にて第2エレベータEvBの群管理制御装置5を登録担当部Jtとして選択した場合(Jt1=「群管理B」)、の何れの場合においても、対象利用者についての呼び登録に必要な情報として、ステップS111で取得した当該対象利用者の行先階Ftに加えて、その対象利用者の出発階Fs(乗車階)を取得する(ステップS113A及びS113B)。より具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1から、当該リーダ情報Pxgに対応付けられている設置階Fgを取得し、その設置階Fgを出発階Fsとする(Fs=Fg)。
【0063】
ステップS113A及びS113Bでは、制御部42は、呼び登録に必要な情報として対象利用者の第1顔情報Pf1を更に取得する。ここで、呼び登録処理では、群管理制御装置5は、対象利用者が通過地点XtA(又はXtB)を通ったことを認識するために、当該対象利用者の第1顔情報Pf1を利用する。具体的には、群管理制御装置5は、第2顔情報取得部22A(又は22B)が取得する第2顔情報Pf2が第1顔情報Pf1に合致したことを以て、対象利用者が通過地点XtA(又はXtB)を通ったことを認識する。従って、そのような認識が可能となるように、制御部42は、対象利用者の第1顔情報Pf1を、群管理制御装置5に提供するために取得する。
【0064】
具体的には、制御部42は、先ず、対象利用者の顔情報を取得した第1顔情報取得部21を特定するべく、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1にて当該リーダ情報Pxgに対応付けられているカメラ情報Py1を抽出し、そのカメラ情報Py1を対象カメラ情報Pytとする。次に、制御部42は、第1顔情報取得部21から受信した第1顔情報Pf1のうちの、当該第1顔情報Pf1と共に送信されてくるカメラ情報Py1が上記対象カメラ情報Pytと合致するものを、上記対象利用者の第1顔情報Pf1として取得する。
【0065】
ステップS113Aの後には、制御部42は、ステップS113Aで取得した情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を、互いに対応付けた状態で、登録担当部Jtである第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する(送信処理。ステップS114A)。制御部42は、ステップS114Aの実行後、制御処理を終了させる。
【0066】
ステップS113Bの後には、制御部42は、ステップS113Bで取得した情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を、互いに対応付けた状態で、登録担当部Jtである第2エレベータEvBの群管理制御装置5へ送信する(送信処理。ステップS114B)。制御部42は、ステップS114Bの実行後、制御処理を終了させる。
【0067】
一方、制御部42は、ステップS100にて識別情報Piに対する認証に「失敗」した場合には、その識別情報Piで特定される利用者に対して規制装置1の通過を規制(禁止)するべく、当該識別情報Piを送信してきた読取部11を備える規制装置1へ、ゲートを閉じる制御を実行させるためのゲート閉指令Sg2を送信する(ステップS120)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1から、当該リーダ情報Pxgに対応付けられているゲート情報Pwgを取得する。そして、制御部42は、そのゲート情報Pwgで特定される開閉制御部12へゲート閉指令Sg2をする。これにより、その開閉制御部12において、ゲートを閉じる制御が実行される。
【0068】
また、制御部42は、認証に失敗したこと(認証失敗)を上記利用者に通知するべく、当該利用者が通過しようとした規制装置1と対応関係にある第1表示部31へ、認証失敗を通知するための表示を実行させるための失敗通知指令Sxを、第1エレベータEvAの群管理制御装置5を介して送信する(ステップS121)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1から、当該リーダ情報Pxgに対応付けられているモニタ情報Pz1を取得する。そして、制御部42は、そのモニタ情報Pz1と失敗通知指令Sxとを第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する。これらの情報を当該群管理制御装置5が受信した場合、その群管理制御装置5は、受信したモニタ情報Pz1で特定される第1表示部31へ失敗通知指令Sxを転送する。これにより、その第1表示部31において、認証失敗を通知するための表示が実行される。制御部42は、ステップS121の実行後、制御処理を終了させる。尚、ステップS121では、失敗通知指令Sxは、第2エレベータEvBの群管理制御装置5を介して第1表示部31に送信されてもよい。
【0069】
[1-5]群管理制御装置
[1-5-1]群管理制御装置の構成
第1エレベータEvAの群管理制御装置5は、対象利用者についての登録担当部Jtとして選択された場合に、当該対象利用者についての第1エレベータEvAでの呼び登録を行う(呼び登録処理)。また、第2エレベータEvBの群管理制御装置5は、対象利用者についての登録担当部Jtとして選択された場合に、当該対象利用者についての当該第2エレベータEvBでの呼び登録を行う(呼び登録処理)。本実施形態では、群管理制御装置5は、対象利用者についての呼び登録を、その呼び登録に必要な情報をセキュリティ管理装置4から受信したときに即時に行うことはせずに、当該対象利用者が通過地点XtA(又はXtB)を通るのを待って行う。
【0070】
そして、そのような呼び登録処理を可能にするべく、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れにおいても、群管理制御装置5は、呼び登録処理の実行前に、前処理として情報記録処理を実行する。具体的には、群管理制御装置5は、対象利用者についての呼び登録に必要な一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)をセキュリティ管理装置4から受信した場合に、それらの情報を、互いに対応付けた状態で情報管理データDr(
図5(A)参照)に記録する。
【0071】
群管理制御装置5は、そのような前処理(情報記録処理)を行った上で、呼び登録処理を実行する。具体的には、第1エレベータEvAの群管理制御装置5は、通過地点XtAを通った各利用者の第2顔情報Pf2を第2顔情報取得部22Aが取得した場合に、自身の情報管理データDr内に記録済みの第1顔情報Pf1のうちの当該第2顔情報Pf2と合致するもの(以下、「対象顔情報Pft」と称す)を探す。また、第2エレベータEvBの群管理制御装置5は、通過地点XtBを通った各利用者の第2顔情報Pf2を第2顔情報取得部22Bが取得した場合に、自身の情報管理データDr内に記録済みの第1顔情報Pf1のうちの当該第2顔情報Pf2と合致するもの(対象顔情報Pft)を探す。そして、何れの群管理制御装置5も、対象顔情報Pftを探し出すことができた場合に、情報管理データDrにて当該対象顔情報Pftに対応付けられている出発階Fs及び行先階Ftを用いて、その対象顔情報Pftで特定される利用者についての呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0072】
尚、群管理制御装置5が実行する制御処理(情報記録処理、呼び登録処理)の詳細については後述する。
【0073】
具体的な構成として、第1エレベータEvAの群管理制御装置5及び第2エレベータEvBの群管理制御装置5には、記憶部51及び制御部52が1組ずつ含まれている(
図1A参照)。
【0074】
記憶部51は、群管理制御装置5が行う制御処理(呼び登録処理など)に必要な情報が保存される部分である。本実施形態では、記憶部51は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成され、記憶部51には、情報管理データDrと、第2装置管理データDq2と、が保存されている。
【0075】
ここで、情報管理データDrは、対象利用者についての呼び登録に必要な情報を記録しておくためのデータである。そして、当該情報管理データDrには、そのような情報の1つとして、対象利用者の第1顔情報Pf1が記録される。第2装置管理データDq2は、入場地点Xsから乗場までの経路ごとに、その同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22A(又は22B)と第2表示部32A(又は32B)とを互いに紐付けて管理するためのデータである。
【0076】
図5(A)は、本実施形態で用いられる情報管理データDrを例示した概念図である。この図に示されるように、情報管理データDrでは、対象利用者の第1顔情報Pf1が、その対象利用者の出発階Fs及び行先階Ftと対応付けられた状態で記録される。具体的には、対象利用者についての呼び登録に必要な一組の情報として、出発階Fs、行先階Ft、及び第1顔情報Pf1を群管理制御装置5がセキュリティ管理装置4から受信した場合に、それらの情報が、互いに対応付けられた状態で情報管理データDrに記録される。
【0077】
図5(B)は、本実施形態で用いられる第2装置管理データDq2を例示した概念図である。この図に示されるように、第2装置管理データDq2には、入場地点Xsから第1エレベータEvAの乗場までの同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22A及び第2表示部32Aについて、当該第2顔情報取得部22Aのカメラ情報Py2と、当該第2表示部32Aのモニタ情報Pz2と、が互いに対応付けられた状態で記録されている。更に、第2装置管理データDq2には、入場地点Xsから第2エレベータEvBの乗場までの同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22B及び第2表示部32Bについて、当該第2顔情報取得部22Bのカメラ情報Py2と、当該第2表示部32Bのモニタ情報Pz2と、が互いに対応付けられた状態で記録されている。
【0078】
制御部52は、上述した制御処理を実行する部分である。本実施形態では、制御部52は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成され、上述した情報記録処理及び呼び登録処理の実行を担う。
【0079】
より具体的な構成として、これらの処理は、制御部52内に構築される情報記録処理部521及び呼び登録処理部522によって実行される(
図1A参照)。本実施形態では、これらの処理部は、制御部52にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置5の記憶部51に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部51に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置5内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0080】
[1-5-2]群管理制御装置が実行する制御処理
本実施形態では、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れにおいても、群管理制御装置5は、制御処理として、以下に説明する情報記録処理及び呼び登録処理を実行する。
【0081】
<情報記録処理>
情報記録処理は、次のような場合で開始される。その場合とは、群管理制御装置5が、呼び登録に必要な一組の情報として、出発階Fs、行先階Ft、及び第1顔情報Pf1をセキュリティ管理装置4から受信した場合である。また、この情報記録処理は、群管理制御装置5が上記一組の情報を受信するごとに実行される。
【0082】
情報記録処理が開始されると、制御部52は、セキュリティ管理装置4から受信した一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を、互いに対応づけた状態で情報管理データDrに記録する(
図5(A)参照)。
【0083】
<呼び登録処理>
図7は、本実施形態において群管理制御装置5が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。呼び登録処理は、次のような場合で開始される。その場合とは、第1エレベータEvAの群管理制御装置5においては、当該群管理制御装置5が、通過地点XtAを通った各利用者の第2顔情報Pf2を含む一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2)を第2顔情報取得部22Aから受信した場合である。また、第2エレベータEvBの群管理制御装置5においては、当該群管理制御装置5が、通過地点XtBを通った各利用者の第2顔情報Pf2を含む一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2)を第2顔情報取得部22Bから受信した場合である。何れの群管理制御装置5においても、呼び登録処理は、当該群管理制御装置5が上記一組の情報を受信するごとに実行される。以下では、上記一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2)を纏めて「受信情報Pr2」と称す。
【0084】
呼び登録処理が開始されると、制御部52は、先ず、情報管理データDr内に記録済みの第1顔情報Pf1から、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2と合致するもの(対象顔情報Pft)を探す(ステップS201)。
【0085】
具体的には、第1エレベータEvAの群管理制御装置5においては、制御部52は、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2で特定される利用者が、第1エレベータEvAの利用者であるか否かを判断するべく、ステップS201を実行する。そして、制御部52は、ステップS201にて対象顔情報Pftを探し出すことができた場合(Yes)には、それを以て、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2で特定される利用者は第1エレベータEvAの利用者であると判断できる。一方、制御部52は、ステップS201にて対象顔情報Pftを探し出すことができなかった場合(No)には、それを以て、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2で特定される利用者は第1エレベータEvAの利用者でないと判断できる。
【0086】
また、第2エレベータEvBの群管理制御装置5においては、制御部52は、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2で特定される利用者が、第2エレベータEvBの利用者であるか否かを判断するべく、ステップS201を実行する。そして、制御部52は、ステップS201にて対象顔情報Pftを探し出すことができた場合(Yes)には、それを以て、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2で特定される利用者は第2エレベータEvBの利用者であると判断できる。一方、制御部52は、ステップS201にて対象顔情報Pftを探し出すことができなかった場合(No)には、それを以て、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2で特定される利用者は第2エレベータEvBの利用者でないと判断できる。
【0087】
そこで、制御部52は、ステップS201にて対象顔情報Pftを探し出すことができた場合(Yes)には、その対象顔情報Pftで特定される利用者についての呼び登録に必要な情報を取得するべく、情報管理データDrから、当該対象顔情報Pftに対応付けられている出発階Fs及び行先階Ftを取得する(ステップS202)。一方、制御部52は、ステップS201にて対象顔情報Pftを探し出すことができなかった場合(No)には、呼び登録処理を終了させる。
【0088】
ステップS202の後、制御部52は、ステップS202で取得した出発階Fs及び行先階Ftを用いて、上記対象顔情報Pftで特定される利用者についての呼び登録を行う(ステップS203)。具体的には、制御部52は、ステップS202で取得した出発階Fs及び行先階Ftを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う。
【0089】
より具体的には、第1エレベータEvAの群管理制御装置5においては、制御部52は、ステップS202で取得した出発階Fs及び行先階Ftを1つの乗場呼びとして、第1エレベータEvAが備える乗りかごへの割当てを行う。このとき、制御部52は、通過地点XtAから第1エレベータEvAの乗場までの移動に要する歩行時間の予測値Teを考慮して、乗りかごへの割当てを行う。
【0090】
また、第2エレベータEvBの群管理制御装置5においては、制御部52は、ステップS202で取得した出発階Fs及び行先階Ftを1つの乗場呼びとして、第2エレベータEvBが備える乗りかごへの割当てを行う。このとき、制御部52は、通過地点XtBから第2エレベータEvBの乗場までの移動に要する歩行時間の予測値Teを考慮して、乗りかごへの割当てを行う。
【0091】
本実施形態では、予測値Teとして、全ての利用者に共通の1つの固定値が用いられる。一例として、予測値Teには、実際の歩行時間を測定して得られた過去のデータの平均値が用いられる。尚、予測値Teとして、全ての利用者に共通の1つの固定値に代えて、利用者ごとに推定した値を用いることができる。その内容については、後述の「第1変形例」で具体的に説明する。
【0092】
ステップS203の後、制御部52は、ステップS203での呼び登録で割り当てた乗りかごの情報(以下、「かご情報Pk」と称す)を、上記対象顔情報Pftで特定される利用者に通知するために、先ず、当該利用者が乗場へ行く途中で通る場所に設置されている第2表示部32A(又は32B)を特定する(ステップS204)。具体的には、制御部52は、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2を用いて、第2装置管理データDq2にて当該カメラ情報Py2に対応付けられているモニタ情報Pz2を抽出し、そのモニタ情報Pz2を用いて第2表示部32A(又は32B)を特定する。換言すれば、制御部52は、第2装置管理データDq2を用いて、上記利用者の第2顔情報Pf2を取得した第2顔情報取得部22A(又は22B)に紐付けられている第2表示部32A(又は32B)を特定する。
【0093】
次に、制御部52は、ステップS204で特定した第2表示部32A(又は32B)に、ステップS203での呼び登録で割り当てた乗りかごのかご情報Pkを表示させる(ステップS205)。このとき、制御部52は、当該かご情報Pkに対応付けて、ステップS203での呼び登録に用いた行先階Ftも表示させる(
図7参照)。これにより、利用者は、第2表示部32A(又は32B)にて自身の行先階Ftと対応付けられているかご情報Pkを確認することにより、自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することができる。制御部52は、ステップS205の実行後、呼び登録処理を終了させる。
【0094】
このような制御システム及び制御処理によれば、入場地点Xsを各利用者が通ったときに、その利用者の行先階Ftの情報が得られるため、当該利用者についての呼び登録を行うことが可能になるが、その利用者が第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのどちらを利用する利用者であっても、そのときには呼び登録を行うことはせず、その利用者が利用するエレベータ(第1エレベータEvA又は第2エレベータEvB)の乗場に近い通過地点XtA又はXtBを当該利用者が通過したときに初めて呼び登録を行う、といった処理が可能になる。具体的には、第1エレベータEvAの利用者についての呼び登録を、入場地点Xsから第1エレベータEvAの乗場までの経路の途中にある通過地点XtAを当該利用者が通過したときに実行し、第2エレベータEvBの利用者についての呼び登録を、第1エレベータEvAの乗場から第2エレベータEvBの乗場までの経路の途中にある通過地点XtBを当該利用者が通過したときに実行する、といった処理が可能になる。換言すれば、各利用者が利用するエレベータの乗場に当該利用者が近づいてから呼び登録を行うことが可能になる。よって、入場地点Xsが第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのどちらの乗場からも離れていて対象利用者が移動に時間を要する場合であっても、各対象利用者は、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できるようになる。
【0095】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
上述した呼び登録処理のステップS203(
図6参照)において、呼び登録(乗りかごへの割当て)で考慮される歩行時間の予測値Teには、全ての利用者に共通の1つの固定値に代えて、利用者ごとに推定された値が用いられてもよい。
【0096】
具体的には、制御部52は、対象顔情報Pftで特定される利用者についての呼び登録を行う場合、そのときに当該利用者が通過した通過地点XtA(又はXtB)までの入場地点Xsからの歩行時間の実測値Tdを取得し、その実測値Tdに基づいて、当該通過地点XtA(又はXtB)から乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値Teを推定することができる。そして、制御部52は、各利用者についての呼び登録を行う場合には、当該利用者の歩行時間の予測値Teを推定した上で、その予測値Teを考慮して呼び登録を行うことができる。より具体的には以下のとおりである。
【0097】
第1顔情報取得部21は、各利用者の画像(顔画像)から抽出した第1顔情報Pf1をセキュリティ管理装置4へ送信する場合、自身のカメラ情報Py1と共にその画像(顔画像)の撮影時刻t1も、当該第1顔情報Pf1と対応付けた状態でセキュリティ管理装置4へ送信する。そして、セキュリティ管理装置4の制御部42は、
図4のステップS113A及びS113B(取得処理)において第1顔情報Pf1を取得する場合には、その第1顔情報Pf1に対応付けられているカメラ情報Py1及び撮影時刻t1も一緒に取得する。本変形例では、撮影時刻t1は、入場地点Xsから通過地点XtA(又はXtB)までの各利用者の歩行時間の実測値Tdを算出するときに、当該入場地点Xsを通った時刻として用いられる。また、カメラ情報Py1は、入場地点Xsから通過地点XtA(又はXtB)までの経路に沿った距離Ldを取得するときに、当該入場地点Xsがどの地点であるのかを特定するための情報として用いられる。
【0098】
その後、制御部42は、
図4のステップS114A(送信処理)において群管理制御装置5へ一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を送信する場合には、上記ステップS113Aで取得したカメラ情報Py1及び撮影時刻t1も当該一組の情報に含めて当該群管理制御装置5へ送信する。また、制御部42は、
図4のステップS114B(送信処理)において群管理制御装置5へ一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を送信する場合には、上記ステップS113Bで取得したカメラ情報Py1及び撮影時刻t1も当該一組の情報に含めて当該群管理制御装置5へ送信する。
【0099】
群管理制御装置5は、上記一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1、カメラ情報Py1、撮影時刻t1)をセキュリティ管理装置4から受信した場合、当該群管理制御装置5の制御部52は、それらの情報を互いに対応づけた状態で情報管理データDrに記録する(情報記録処理。
図8参照)。これにより、制御部52は、呼び登録に必要な情報として、カメラ情報Py1及び撮影時刻t1も得ることができる。
【0100】
第2顔情報取得部22A及び22Bは何れも、画像から抽出した各利用者の第2顔情報Pf2を群管理制御装置5へ送信する場合、自身のカメラ情報Py2と共にその画像の撮影時刻t2も、当該第2顔情報Pf2と対応付けた状態で当該群管理制御装置5へ送信する。この場合、第1エレベータEvAの群管理制御装置5は、撮影時刻t2を含んだ一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2、撮影時刻t2)を第2顔情報取得部22Aから受信し、第2エレベータEvBの群管理制御装置5は、撮影時刻t2を含んだ一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2、撮影時刻t2)を第2顔情報取得部22Bから受信することになる。本変形例では、撮影時刻t2は、入場地点Xsから通過地点XtA(又はXtB)までの各利用者の歩行時間の実測値Tdを算出するときに、当該通過地点XtA(又はXtB)を通った時刻として用いられる。また、カメラ情報Py2は、入場地点Xsから通過地点XtA(又はXtB)までの経路に沿った距離Ldを取得するとき、並びに、通過地点XtA(又はXtB)から乗場までの経路に沿った距離Leを取得するときに、当該通過地点XtA(又はXtB)がどの地点であるのか特定するための情報として用いられる。そして、上記群管理制御装置5の制御部52は、上記一組の情報を受信した場合に呼び登録処理を開始する。以下では、上述した実施形態と同様、上記一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2、撮影時刻t2)を纏めて「受信情報Pr2」と称す。
【0101】
図9は、第1変形例において群管理制御装置5が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。呼び登録処理が開始されると、制御部52は、先ず、情報管理データDr(
図8参照)内に記録済みの第1顔情報Pf1から、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2と合致するもの(対象顔情報Pft)を探す(ステップS211)。そして、制御部52は、ステップS211にて対象顔情報Pftを探し出すことができた場合(Yes)には、情報管理データDrから、当該対象顔情報Pftに対応付けられている出発階Fs及び行先階Ftを取得する(ステップS212)。このとき、制御部52は、その対象顔情報Pftに対応付けられているカメラ情報Py1及び撮影時刻t1も一緒に取得する。
【0102】
次に、制御部52は、ステップS212で取得したカメラ情報Py1及び撮影時刻t1と、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2及び撮影時刻t2とを用いて、通過地点XtA(又はXtB)から乗場までの歩行時間の予測値Teを推定する(ステップS213)。
【0103】
具体的には、制御部52は、先ず、ステップS212で取得した撮影時刻t1と、受信情報Pr2内の撮影時刻t2とを用いて、撮影時刻t1から撮影時刻t2までの経過時間を歩行時間の実測値Tdとして算出する(Td=t2-t1。ステップS213x)。
【0104】
次に、制御部52は、ステップS212で取得したカメラ情報Py1と、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2とを用いて、入場地点Xsから通過地点XtA(又はXtB)までの経路に沿った距離Ldと、通過地点XtA(又はXtB)から乗場までの経路に沿った距離Leと、を取得する(ステップS213y)。
【0105】
一例として、制御部52は、ステップS212で取得したカメラ情報Py1を用いて、利用者が通った入場地点Xsがどの地点であるのかを特定する。また、制御部52は、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2を用いて、利用者が通った通過地点XtA(又はXtB)がどの地点であるのかを特定する。更に、記憶部51には、第1エレベータEvAの乗場及び第2エレベータEvBの乗場がある地点をそれぞれ特定するための乗場情報が予め保存されており、制御部52は、その乗場情報を用いて、通過地点XtAに近い乗場がある地点(又は、通過地点XtBに近い乗場がある地点)を特定する。そして、制御部52は、特定した3つの地点に基づいて、距離Ld及びLeを、記憶部51に予め保存されているマップ情報などから取得する。
【0106】
他の例として、記憶部51には、距離データとして、カメラ情報Py1及びPy2と乗場情報の組合せごとに、それらの情報で特定される地点間の2つの距離Ld及びLeが対応付けられたものが保存されていてもよい。この場合、制御部52は、ステップS212で取得したカメラ情報Py1と、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2と、記憶部51に保存されている乗場情報とを用いて、上記距離データから、それらの情報の組合せに対応付けられている距離Ld及びLeを取得することができる。
【0107】
ステップS213x及び213yの実行後、制御部52は、ステップS213xで取得した歩行時間の実測値Tdと、ステップS213yで取得した距離Ld及びLeとを用いて、通過地点XtA(又はXtB)から乗場までの歩行時間の予測値Teを推定する(ステップS213z)。
【0108】
一例として、制御部52は、ステップS213xで取得した歩行時間の実測値Tdと、ステップS213yで取得した距離Ldとを用いて、その距離Ldを実測値Tdで割ることにより、入場地点Xsから通過地点XtA(又はXtB)までの歩行速度Vdを算出する(Vd=Ld/Td)。そして、制御部52は、ステップS213yで取得した距離Leを歩行速度Vdで割ることにより、予測値Teを算出する。
【0109】
他の例として、制御部52は、ステップS213yで取得した距離Ld及びLeを用いて、距離Ldに対する距離Leの比率Rtを求めてもよい(Rt=Le/Ld)。そして、制御部52は、ステップS213xで取得した歩行時間の実測値Tdに比率Rtを乗ずることにより、予測値Teを算出してもよい。換言すれば、制御部52は、実測値Tdに対する予測値Teの比率が比率Rtと同じになるように、予測値Teを求めることができる。
【0110】
ステップS213の後、制御部52は、ステップS213で推定した歩行時間の予測値Teを考慮して、ステップS212で取得した出発階Fs及び行先階Ftを用いた呼び登録を行う(ステップS214)。
【0111】
第1変形例によれば、利用者ごとに、通過地点XtA(又はXtB)から乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値Teを推定することが可能になる。また、各利用者についての予測値Teを推定するときに、その利用者について直前に得られた歩行時間の実測値Tdが使用されるため、予測値Teとして、そのときの当該利用者の状態が反映された適切な値を精度良く得ることが可能になる。その結果として、各利用者にとって最適な乗りかごを割り当てることが可能になる。
【0112】
[2-2]第2変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、ステップS205(
図6、
図9参照)での第2表示部32A(又は32B)への情報表示では、かご情報Pkに対応付けて、その乗りかごに乗車すべき利用者の識別情報Pi(利用者IDや利用者名などであってもよい)が表示されてもよい。この場合、セキュリティ管理装置4及び群管理制御装置5では、以下のような制御処理を実行することができる。
【0113】
具体的には、セキュリティ管理装置4の制御部42は、ステップS114A及びS114B(送信処理。
図4参照)において、呼び登録に必要な情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1など)と共に、読取部11から受信した識別情報Piも、登録担当部Jtである群管理制御装置5へ送信する。このとき、制御部42は、当該識別情報Piに対応付けられている利用者IDや利用者名などを取得し、それを当該群管理制御装置5へ送信してもよい。
【0114】
そして、群管理制御装置5の制御部52は、情報記録処理において、セキュリティ管理装置4から受信した識別情報Piを、他の情報(出発階Fs、行先階Ft)と共に情報管理データDrへ記録する(
図10(A)参照)。その後、呼び登録処理のステップS202(
図6参照)又はS212(
図9参照)において、制御部52は、情報管理データDrから、識別情報Piを、他の情報(出発階Fs、行先階Ft)と共に取得する。そして、制御部52は、ステップS205(
図6、
図9参照)にて第2表示部32A(又は32B)に情報表示を実行させる場合、かご情報Pkに対応付けて識別情報Piを表示させる(
図10(B)参照)。このとき、第2表示部32A(又は32B)には、識別情報Piと共に行先階Ftも、かご情報Pkに対応付けて表示されてもよい。
【0115】
第2変形例によれば、第2表示部32A(又は32B)において、各利用者の識別情報Piが、その利用者に割り当てられた乗りかごのかご情報Pkに対応付けて表示されるため、利用者は、第2表示部32A(又は32B)に表示されたどのかご情報Pkが自身の情報であるのかを認識しやすくなる。
【0116】
[2-3]第3変形例
実施形態及び変形例で説明した制御システムは何れも、
図2の例のように特定階に入場地点Xsが1つだけ設けられているエレベータの構成に限らず、特定階に入場地点Xsが複数設けられているエレベータの構成にも適用できる。
【0117】
図11は、第3変形例における特定階でのエレベータの構成の一例を示した概念図である。
図11の例では、特定階に入場地点Xsが2つ設けられており、それらの入場地点Xsから第2エレベータEvBの乗場までの2つの経路が、第1エレベータEvAの乗場に到達するまでの途中で1つになっており、そこから第2エレベータEvBの乗場まで1つのまま続いている。そして、このようなエレベータの構成にも、上述した制御システムをそのまま適用することができる。
【0118】
図12は、第3変形例における特定階でのエレベータの構成の他の例を示した概念図である。
図12の例では、特定階に入場地点Xsが2つ設けられている(Z1地点とZ2地点)。そして、Z1地点及びZ2地点は、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのそれぞれの乗場と次のような位置関係になる地点である。Z1地点についての位置関係とは、第1エレベータEvAの乗場が、Z1地点から第2エレベータEvBの乗場までの経路の途中に設けられる、といった位置関係である(
図2と同じ位置関係)。換言すれば、第1エレベータEvAの乗場はZ1地点に近く、第2エレベータEvBの乗場はZ1地点から遠い、といった位置関係になっている。Z2地点についての位置関係とは、第2エレベータEvBの乗場が、Z2地点から第1エレベータEvAの乗場までの経路の途中に設けられる、といった位置関係である。換言すれば、第1エレベータEvAの乗場はZ2地点から遠く、第2エレベータEvBの乗場はZ2地点に近い、といった位置関係になっている。このように、Z2地点と乗場との位置関係は、Z1地点と乗場との位置関係とは全く逆の位置関係になっている。
【0119】
この場合、Z1地点及びZ2地点から第1エレベータEvAの乗場までの各経路に、第2顔情報取得部22Aと第2表示部32Aとが設置される。また、Z1地点及びZ2地点から第2エレベータEvBの乗場までの各経路に、第2顔情報取得部22Bと第2表示部32Bとが設置される。そして、第2装置管理データDq2では、経路ごとに、第2顔情報取得部22A(又は22B)のカメラ情報Py2と、第2表示部32A(又は32B)のモニタ情報Pz2と、が互いに対応付けられた状態で記録される(
図13参照)。そして、このようなエレベータの構成にも、上述した制御システムをそのまま適用することができる。
【0120】
また、第2装置管理データDq2では、経路ごとに、その同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22A(又は22B)と第2表示部32A(又は32B)とが互いに紐付けられているため、その第2装置管理データDq2を用いた呼び登録処理によれば、利用者ごとに、その利用者の第2顔情報Pf2を取得した第2顔情報取得部22A(又は22B)が設置されている経路と同じ経路に設置されている第2表示部32A(又は32B)に、その利用者についての呼び登録の情報を表示させることができる。その結果として、各利用者に対して、その利用者が通る経路に設置されている第2表示部32A(又は32B)を通じて、当該利用者が乗車すべき乗りかごのかご情報Pkを提供することが可能になる。
【0121】
[2-4]第4変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、エレベータの全体構成を、セキュリティ管理装置4での識別情報Piの認証を必要としないものに適宜変更することができる。そのような構成では、各利用者から行先階Ft(デフォルト階Ftd)を取得するために、その利用者が所持する記録媒体Qに、識別情報Piに代えて当該行先階Ftが記録されていてもよい。この場合、読取部11は、識別情報Piに代えて、行先階Ftを記録媒体Qから読み取り、それを自身のリーダ情報Pxgと共にセキュリティ管理装置4へ送信することになる。
【0122】
また、記録媒体Qとしてスマートフォン等の端末装置が用いられてもよく、その場合には、行先階Ftの情報を含んだコード(QRコード(登録商標)や2次元バーコードなど)を端末装置の画面に表示させ、そのコードを読取部11に読み取らせることができる。
【0123】
第4変形例によれば、セキュリティ管理装置4は、第1対応管理データDp1を必要とせず、読取部11から受信した行先階Ftをそのまま、選択処理(
図4のステップS111)及び送信処理(
図4のステップS114A及び114B)に用いることが可能になる。
【0124】
[2-5]第5変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、記録媒体Qとしてスマートフォン等の端末装置が用いられる場合には、第1顔情報取得部21に代えて、当該端末装置に第1顔情報Pf1を取得させてもよい。この場合、端末装置及び読取部11では、以下のような処理を実行することができる。
【0125】
具体的には、端末装置が備えるカメラを用いて利用者の顔情報を取得できるようにするアプリケーションプログラムが、各利用者が所持する端末装置にインストールされる。そして、端末装置は、利用者から顔情報を取得した場合に、その顔情報を第1顔情報Pf1として、当該第1顔情報Pf1と他の情報(識別情報Pi又は行先階Ft)とを含んだコードを生成する。その後、そのコードが読取部11で読み取られることにより、第1顔情報Pf1が、他の情報と共にセキュリティ管理装置4へ送信される。尚、コードには、個人情報である第1顔情報Pf1が含まれることになるため、当該コードは、生成時に暗号化されてもよい。一例として、そのようなコードとして、SQRC(登録商標)を用いることができる。
【0126】
第5変形例によれば、第1顔情報取得部21を用いずに第1顔情報Pf1を取得することが可能になる。また、セキュリティ管理装置4は、読取部11から受信した第1顔情報Pf1及び他の情報(識別情報Pi又は行先階Ft)を、そのまま対応付けた状態で管理することができる。従って、第1装置管理データDq1内のカメラ情報Py1を用いなくても、各利用者の第1顔情報Pf1と行先階Ftとを互いに対応付けることができる。従って、第1顔情報取得部21が不要になり(
図14参照。
図14は、上記他の情報が識別情報Piである場合を示す)、第1装置管理データDq1からはカメラ情報Py1を省くことが可能になる(
図15参照)。
【0127】
本変形例の構成を第1変形例に適用した場合には、カメラ情報Py1及び撮影時刻t1に代えて、読取部11のリーダ情報Pxgを、入場地点Xsがどの地点であるのかを特定するための情報として用い、当該読取部11での第1顔情報Pf1の読取時刻を、入場地点Xsを通った時刻として用いることにより、実測値Tdを算出し、また、距離Ldを取得することが可能になる。
【0128】
[2-6]第6変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、記録媒体Qとしてスマートフォン等の端末装置が用いられる場合には、第2表示部32A及び32Bに代えて、端末装置にかご情報Pkが表示されてもよい。この場合、端末装置などの各部では、以下のような処理を実行することができる。
【0129】
具体的には、端末装置は、その端末装置のIPアドレス(その端末装置で受信可能なメールアドレスであってもよい)と他の情報とを含んだコードを生成する。ここで、当該他の情報には、識別情報Pi、行先階Ft、及び第1顔情報Pf1のうちの少なくとも何れか1つが含まれる。その後、そのコードが読取部11で読み取られることにより、IPアドレスが、他の情報と共にセキュリティ管理装置4へ送信される。
【0130】
セキュリティ管理装置4の制御部42は、読取部11から情報を受信して制御処理(
図4参照)を開始した場合、ステップS114A及びS114B(送信処理)において、呼び登録に必要な情報の1つとして、読取部11から受信したIPアドレスも群管理制御装置5へ送信する。
【0131】
群管理制御装置5の制御部52は、セキュリティ管理装置4から情報を受信して情報記録処理を開始した場合、セキュリティ管理装置4から受信したIPアドレスを、他の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1など)と共に情報管理データDrへ記録する(
図16参照)。その後、制御部52は、呼び登録処理(
図6、
図9参照)において、呼び登録で割り当てた乗りかごのかご情報Pkを利用者に通知する場合、ステップS205での第2表示部32A及び32Bへの情報表示に代えて、情報管理データDrに記録したIPアドレスを用いて、そのIPアドレスで特定される端末装置にかご情報Pkの表示を実行させる。
【0132】
更に、制御部52は、乗りかごのかご情報Pkの表示を端末装置に実行させた後、その乗りかごが特定階から出発したときに、当該端末装置へ出発信号を送信する。ここで、出発信号は、端末装置に、表示中のかご情報Pkで特定される乗りかごが出発したことを知らせるための信号である。そして端末装置は、出発信号を受信した場合、かご情報Pkの表示を終了させる。
【0133】
第6変形例によれば、各利用者が乗車すべき乗りかごのかご情報Pkが、その利用者の端末装置に表示されるため、利用者は、自身がどの乗りかごに乗車すべきかを容易に認識することができる。また、利用者は、自身の端末装置に表示されていたかご情報Pkが、乗りかごへの乗車前に消えた場合には、表示が消えたことを以て、自身が乗車すべき乗りかごに乗り遅れたことに気付くことが可能になる。
【0134】
[2-7]第7変形例
上述した第1変形例の呼び登録処理(
図9参照)において、群管理制御装置5の制御部52は、ステップS213で推測した歩行時間の予測値Teを考慮して呼び登録を行うことに代えて、その予測値Teが経過するのを待って呼び登録を実行し、呼び登録の情報を、利用者が所持するスマートフォンなどの端末装置に表示させてもよい。ここで、呼び登録の情報を端末装置に表示させる処理には、第6変形例を適用することができる。
【0135】
図17は、第7変形例において群管理制御装置5が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。本変形例では、制御部52は、先ず、情報管理データDr(
図18参照)内に記録済みの第1顔情報Pf1から、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2と合致するもの(対象顔情報Pft)を探す(ステップS221)。そして、制御部52は、ステップS221にて対象顔情報Pftを探し出すことができた場合(Yes)には、情報管理データDrから、当該対象顔情報Pftに対応付けられている出発階Fs及び行先階Ftを取得する(ステップS222)。このとき、制御部52は、その対象顔情報Pftに対応付けられているカメラ情報Py1、撮影時刻t1、及びIPアドレスも一緒に取得する。
【0136】
次に、制御部52は、ステップS222で取得したカメラ情報Py1及び撮影時刻t1と、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2及び撮影時刻t2とを用いて、
図9のステップS213と同様の方法で、通過地点XtA(又はXtB)から乗場までの歩行時間の予測値Teを推定する(ステップS223)。
【0137】
ステップS223の後、制御部52は、即座に呼び登録を実行することはせず、ステップS223で推定した予測値Teの時間が経過するのを待って呼び登録を行う。
【0138】
具体的には、制御部52は、ステップS223の後、受信情報Pr2内の撮影時刻t2からの現在時刻txまでの経過時間Tx(=tx-t2)が予測値Teに到達したか否かを判断する(ステップS224)。そして、制御部52は、ステップS224にて「到達した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS224を繰り返し実行する。その後、制御部52は、ステップS224にて「到達した(Yes)」と判断できた場合に、呼び登録を実行する(ステップS225)。
【0139】
ステップS225の後、制御部52は、ステップS222で取得したIPアドレスで特定される端末装置に、ステップS225での呼び登録で割り当てた乗りかごのかご情報Pkを表示させる(ステップS226)。
【0140】
第7変形例によれば、各利用者が通過地点XtA(又はXtB)を通った後、その利用者について推定された予測値Teの時間が経過してから呼び登録が実行されるため、各利用者についての呼び登録が、当該利用者が乗場にできるだけ近づいてから実行されやすくなる。よって、各利用者の乗遅れを、より効率良く防止することが可能になる。
【0141】
[2-8]第8変形例
上述したエレベータの構成には、各階の乗場に設置される行先階登録装置6が含まれていてもよい。そして、行先階登録装置6にて行先階Ftが登録された場合にも、セキュリティ管理装置4は、上述した選択処理を実行してもよい。具体的には、行先階登録装置6にて各利用者が行先階Ftを登録した場合、セキュリティ管理装置4は、その行先階Ftに基づいて、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れか一方の群管理制御装置5を、当該利用者についての呼び登録の実行を担当する登録担当部Jtとして選択してもよい(選択処理)。以下、より具体的に説明する。
【0142】
図19は、第8変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。尚、
図19では、特定階に設置される規制装置1、情報取得装置2、及び表示装置3の図示は省略されている。この図に示されるように、行先階登録装置6は、利用者が所持する記録媒体Qから情報を読み取る読取部61と、手入力での行先階Ftの登録に用いられる登録部62と、を備える。読取部61は、カードリーダなどの読取デバイスで構成され、登録部62は、タッチパネルなどの入力デバイスで構成される。また、読取部61及び登録部62には、それぞれを他の装置と識別するためのリーダ情報Pxh及びパネル情報Pwhが設定されている。
【0143】
読取部61は、各利用者の記録媒体Qから識別情報Piを読み取った場合、その識別情報Piをセキュリティ管理装置4へ送信する。このとき、読取部61は、当該識別情報Piの送信元がどの装置であるのかをセキュリティ管理装置4に認識させるべく、その識別情報Piと共に、自身のリーダ情報Pxhもセキュリティ管理装置4へ送信する。
【0144】
登録部62は、案内可能な停止階や後述する降車許可階Fteを画面に選択可能に表示し、利用者によって何れか1つの停止階が選択された場合、その停止階を当該利用者の行先階Ftとしてセキュリティ管理装置4へ送信する。このとき、登録部62は、当該行先階Ftの送信元がどの装置であるのかをセキュリティ管理装置4に認識させるべく、その行先階Ftと共に、自身のパネル情報Pwhもセキュリティ管理装置4へ送信する。
【0145】
セキュリティ管理装置4の記憶部41に保存された第1対応管理データDp1においては、各利用者の識別情報Piが、当該利用者のデフォルト階Ftdに加えて、当該利用者の降車許可階Fte(その利用者に降車が許可された行先階Ft)とも対応付けられた状態で記録されている(
図20(A)参照)。また、記憶部41には第3装置管理データDq3が更に保存されている。ここで、第3装置管理データDq3は、行先階登録装置6ごとに、当該行先階登録装置6に関連する複数の情報を互いに紐付けて管理するためのデータである。
【0146】
図20(B)は、第8変形例で用いられる第3装置管理データDq3を例示した概念図である。この図に示されるように、第3装置管理データDq3には、行先階登録装置6ごとに、その行先階登録装置6が備える読取部61のリーダ情報Pxhが、当該読取部61の設置階Fhと、当該行先階登録装置6が備える登録部62のパネル情報Pwhと、に対応付けられた状態で記録されている。
【0147】
ここで、設置階Fhは、リーダ情報Pxhで特定される読取部61が設置されている階であり、換言すれば、その読取部61を備えた行先階登録装置6が設置されている階である。そして本実施形態では、利用者は、行先階登録装置6で行先階Ftを入力してエレベータを利用する場合には、当該行先階登録装置6の設置階Fhから乗りかごに乗車することになる。従って、読取部61の設置階Fh(即ち、行先階登録装置6の設置階Fh)は、利用者が行先階登録装置6で行先階Ftを入力してエレベータを利用するときの当該利用者の出発階Fs(乗車階)として用いられる。
【0148】
このような構成においては、行先階登録装置6での行先階Ftの登録方法として、登録部62にて行先階Ftを手入力だけで登録する方法(第1登録方法)と、登録部62にて行先階Ftを入力せずに記録媒体Qを読取部61にかざすことにより、登録部62に降車許可階Fteを選択可能に表示させ、その後にそれらの何れか1つを行先階Ftとして選択して登録する方法(第2登録方法)と、登録部62にて行先階Ftを選択した後に記録媒体Qを読取部61にかざして登録する方法(第3登録方法)と、が考えられる。以下では、これらの登録方法での登録を可能にする制御処理について順に説明していく。
【0149】
図21は、第8変形例において第1登録方法での登録を可能するためにセキュリティ管理装置4が実行する制御処理を示したフローチャートである。この制御処理は、次のような場合に開始される。その場合とは、セキュリティ管理装置4が、登録部62にて行先階Ftの登録を手入力(選択を含む)だけで行った各利用者についての一組の情報として、行先階Ft及びパネル情報Pwhを行先階登録装置6から受信した場合である。また、この制御処理は、セキュリティ管理装置4が上記一組の情報を受信するごとに実行される。以下では、上記一組の情報(行先階Ft、パネル情報Pwh)を纏めて「受信情報Pr4」と称す。
【0150】
上記制御処理が開始されると、制御部42は、上記利用者が第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのどちらのエレベータの利用者であるのかを判断するべく、受信情報Pr6内の行先階Ftに基づいて、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れか一方の群管理制御装置5を、当該利用者についての呼び登録の実行を担当する登録担当部Jtとして選択する(選択処理。ステップS401)。
【0151】
具体的には、制御部42は、第2対応管理データDp2から、受信情報Pr4内の行先階Ftに対応付けられている担当情報Pm(「EvA」又は「EvB」)を抽出し、その担当情報Pmで特定されるエレベータ(第1エレベータEvA又は第2エレベータEvB)の群管理制御装置5を登録担当部Jtとする。
【0152】
その後、制御部42は、ステップS401にて第1エレベータEvAの群管理制御装置5を登録担当部Jtとして選択した場合(Jt1=「群管理A」)と、ステップS401にて第2エレベータEvBの群管理制御装置5を登録担当部Jtとして選択した場合(Jt1=「群管理B」)、の何れの場合においても、上記利用者についての呼び登録に必要な情報として、受信情報Pr4内の行先階Ft及びパネル情報Pwhに加えて、その利用者の出発階Fs(乗車階)を取得する(ステップS402A及びS402B)。より具体的には、制御部42は、受信情報Pr4内のリーダ情報Pxhを用いて、第3装置管理データDq3から、当該リーダ情報Pxhに対応付けられている設置階Fhを取得し、その設置階Fhを出発階Fsとする(Fs=Fh)。
【0153】
ステップS402Aの後には、制御部42は、ステップS402Aで取得した情報(出発階Fs、行先階Ft、パネル情報Pwh)を、互いに対応付けた状態で、登録担当部Jtである第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する(送信処理。ステップS403A)。制御部42は、ステップS403Aの実行後、制御処理を終了させる。
【0154】
ステップS402Bの後には、制御部42は、ステップS402Bで取得した情報(出発階Fs、行先階Ft、パネル情報Pwh)を、互いに対応付けた状態で、登録担当部Jtである第2エレベータEvBの群管理制御装置5へ送信する(送信処理。ステップS403B)。制御部42は、ステップS403Bの実行後、制御処理を終了させる。
【0155】
第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れにおいても、群管理制御装置5は、呼び登録に必要な上記一組の情報として、出発階Fs、行先階Ft、及びパネル情報Pwhをセキュリティ管理装置4から受信した場合、呼び登録を即時に行い、その呼び登録の情報(かご情報Pk)を、パネル情報Pwhで特定される登録部62に表示させる。これにより、利用者は、登録部62に表示されたかご情報Pkを確認することにより、自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することができる。
【0156】
図22は、第8変形例において第2登録方法での登録を可能するためにセキュリティ管理装置4が実行する制御処理を示したフローチャートである。この制御処理は、次のような場合に開始される。その場合とは、セキュリティ管理装置4が、登録部62にて行先階Ftを入力せずに記録媒体Qを読取部61にかざした各利用者についての一組の情報として、識別情報Pi及びリーダ情報Pxhを行先階登録装置6から受信した場合である。また、この制御処理は、セキュリティ管理装置4が上記一組の情報を受信するごとに実行される。以下では、上記一組の情報(識別情報Pi、リーダ情報Pxh)を纏めて「受信情報Pr5」と称す。
【0157】
上記制御処理が開始されると、制御部42は、先ず、受信情報Pr5内の識別情報Piを用いて、上記利用者に降車が許可されている降車許可階Fteを取得する(ステップS501)。具体的には、制御部42は、第1対応管理データDp1から、受信情報Pr5内の識別情報Piに対応付けられている全ての降車許可階Fteを取得する。
【0158】
その後、制御部42は、ステップS501で取得した降車許可階Fteの何れか1つを登録部62にて上記利用者に選択させるべく、当該降車許可階Fteを、その利用者が記録媒体Qをかざした読取部61を備えている行先階登録装置6の登録部62へ、第1エレベータEvAの群管理制御装置5を介して送信する(ステップS502)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr5内のリーダ情報Pxhを用いて、第3装置管理データDq3にて当該リーダ情報Pxhに対応付けられているパネル情報Pwhを抽出し、そのパネル情報Pwhを用いて登録部62を特定する。そして、制御部42は、その登録部62と、ステップS501で取得した降車許可階Fteとを、第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する。これらの情報を当該群管理制御装置5が受信した場合、その群管理制御装置5は、受信したパネル情報Pwhで特定される登録部62へ降車許可階Fteを転送する。これにより、その登録部62において降車許可階Fteが選択可能に表示され、利用者は、降車許可階Fteの中から、そのときに行きたい行先階Ftを1つ選択することが可能になる。制御部42は、ステップS502の実行後、制御処理を終了させる。尚、ステップS502では、降車許可階Fteは、第2エレベータEvBの群管理制御装置5を介して登録部62に送信されてもよい。
【0159】
その後、登録部62にて利用者が降車許可階Fteの中から行先階Ftを1つ選択した場合、その行先階Ftは、登録部62からセキュリティ管理装置4へ送信され、セキュリティ管理装置4では、
図21の制御処理が開始される。
【0160】
図23は、第8変形例において第3登録方法での登録を可能するためにセキュリティ管理装置4が実行する制御処理を示したフローチャートである。この制御処理は、次のような場合に開始される。その場合とは、セキュリティ管理装置4が、登録部62にて行先階Ftを選択した後に記録媒体Qを読取部61にかざした各利用者についての一組の情報として、行先階Ft、パネル情報Pwh、識別情報Pi、及びリーダ情報Pxhを行先階登録装置6から受信した場合である。また、この制御処理は、セキュリティ管理装置4が上記一組の情報を受信するごとに実行される。以下では、上記一組の情報(行先階Ft、パネル情報Pwh、識別情報Pi、及びリーダ情報Pxh)を纏めて「受信情報Pr6」と称す。
【0161】
上記制御処理が開始されると、制御部42は、先ず、受信情報Pr6内の行先階Ft(登録部62に上記利用者が入力した行先階Ft)が、その利用者に降車が許可された行先階Ftであるか否かを判断するべく、受信情報Pr6内の識別情報Piを用いて、第1対応管理データDp1にて当該識別情報Piに対応付けられている降車許可階Fteを参照し、当該降車許可階Fteの中から受信情報Pr6内の行先階Ftと合致するものを探す(ステップS601)。
【0162】
そして、制御部42は、ステップS601にて合致するものを探し出すことができた場合(Yes)には、上記利用者が第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBのどちらのエレベータの利用者であるのかを判断するべく、受信情報Pr6内の行先階Ftに基づいて、第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れか一方の群管理制御装置5を、当該利用者についての呼び登録の実行を担当する登録担当部Jtとして選択する(選択処理。ステップS602)。
【0163】
具体的には、制御部42は、第2対応管理データDp2から、受信情報Pr6内の行先階Ftに対応付けられている担当情報Pm(「EvA」又は「EvB」)を抽出し、その担当情報Pmで特定されるエレベータ(第1エレベータEvA又は第2エレベータEvB)の群管理制御装置5を登録担当部Jtとする。
【0164】
その後、制御部42は、ステップS602にて第1エレベータEvAの群管理制御装置5を登録担当部Jtとして選択した場合(Jt1=「群管理A」)と、ステップS602にて第2エレベータEvBの群管理制御装置5を登録担当部Jtとして選択した場合(Jt1=「群管理B」)、の何れの場合においても、上記利用者についての呼び登録に必要な情報として、受信情報Pr6内の行先階Ft及びパネル情報Pwhに加えて、その利用者の出発階Fs(乗車階)を取得する(ステップS603A及びS603B)。より具体的には、制御部42は、受信情報Pr6内のリーダ情報Pxhを用いて、第3装置管理データDq3から、当該リーダ情報Pxhに対応付けられている設置階Fhを取得し、その設置階Fhを出発階Fsとする(Fs=Fh)。
【0165】
ステップS603Aの後には、制御部42は、ステップS603Aで取得した情報(出発階Fs、行先階Ft、パネル情報Pwh)を、互いに対応付けた状態で、登録担当部Jtである第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する(送信処理。ステップS604A)。制御部42は、ステップS604Aの実行後、制御処理を終了させる。
【0166】
ステップS603Bの後には、制御部42は、ステップS603Bで取得した情報(出発階Fs、行先階Ft、パネル情報Pwh)を、互いに対応付けた状態で、登録担当部Jtである第2エレベータEvBの群管理制御装置5へ送信する(送信処理。ステップS604B)。制御部42は、ステップS604Bの実行後、制御処理を終了させる。
【0167】
第1エレベータEvA及び第2エレベータEvBの何れにおいても、群管理制御装置5は、呼び登録に必要な上記一組の情報として、出発階Fs、行先階Ft、及びパネル情報Pwhをセキュリティ管理装置4から受信した場合、呼び登録を即時に行い、その呼び登録の情報(かご情報Pk)を、パネル情報Pwhで特定される登録部62に表示させる。これにより、利用者は、登録部62に表示されたかご情報Pkを確認することにより、自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することができる。
【0168】
一方、制御部42は、ステップS601にて合致するものを探し出すことができなかった場合(No)には、行先階Ftの登録に失敗したことを上記利用者に通知するべく、当該利用者が行先階Ftの入力に用いた登録部62へ、登録失敗を通知するための表示を実行させるための失敗通知指令Syを、第1エレベータEvAの群管理制御装置5を介して送信する(ステップS610)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr6内のパネル情報Pwhを用いて、そのパネル情報Pwhと失敗通知指令Syとを第1エレベータEvAの群管理制御装置5へ送信する。これらの情報を当該群管理制御装置5が受信した場合、その群管理制御装置5は、受信したパネル情報Pwhで特定される登録部62へ失敗通知指令Syを転送する。これにより、その登録部62において、登録失敗を通知するための表示が実行される。制御部42は、ステップS610の実行後、制御処理を終了させる。尚、ステップS610では、失敗通知指令Syは、第2エレベータEvBの群管理制御装置5を介して登録部62に送信されてもよい。
【0169】
[2-9]他の変形例
上述した実施形態及び変形例のうちの第1顔情報取得部21を備えた構成においては、当該第1顔情報取得部21として、体温を測定する機能を備えたものが用いられてもよい。この構成によれば、体温を測定するために第1顔情報取得部21に顔を近づけようとする利用者が多くなる。従って、第1顔情報取得部21によって各利用者から第1顔情報Pf1を確実に取得できるようになる。
【0170】
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、入場地点Xsには、規制装置1に代えて、読取部11を備えた別の装置(行先階登録装置など。ゲートを持ったものに限らない)が設置されてもよい。この場合、第1顔情報取得部21及び第1表示部31は、当該別の装置に1組ずつ対応付けて設けられることになる。
【0171】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0172】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、エレベータの制御システムに限らず、その制御システムを構成する装置、当該制御システムで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。また、制御システムが適用されたエレベータの構成の一部又は全部が、発明の対象として抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0173】
1 規制装置
2 情報取得装置
3 表示装置
4 セキュリティ管理装置
5 群管理制御装置
6 行先階登録装置
Q 記録媒体
11 読取部
12 開閉制御部
21 第1顔情報取得部
22A、22B 第2顔情報取得部
31 第1表示部
32A、32B 第2表示部
41、51 記憶部
42、52 制御部
61 読取部
62 登録部
Dr 情報管理データ
Fg、Fh 設置階
Fs 出発階
Ft 行先階
Jt 登録担当部
Ld、Le 距離
Pi 識別情報
Pk かご情報
Pm 担当情報
Rt 比率
Sx、Sy 失敗通知指令
Td 実測値
Te 予測値
Tx 経過時間
Vd 歩行速度
Xs 入場地点
t1、t2 撮影時刻
tx 現在時刻
421 認証処理部
422 選択処理部
423 取得処理部
424 送信処理部
521 情報記録処理部
522 呼び登録処理部
Dp1 第1対応管理データ
Dp2 第2対応管理データ
Dq1 第1装置管理データ
Dq2 第2装置管理データ
Dq3 第3装置管理データ
EvA 第1エレベータ
EvB 第2エレベータ
Ftd デフォルト階
Fte 降車許可階
Pf1 第1顔情報
Pf2 第2顔情報
Pft 対象顔情報
Pr1、Pr2 受信情報
Pr4、Pr5、Pr6 受信情報
Pwg ゲート情報
Pwh パネル情報
Pxg、Pxh リーダ情報
Py1、Py2 カメラ情報
Pyt 対象カメラ情報
Pz1、Pz2 モニタ情報
Sg1 ゲート開指令
Sg2 ゲート閉指令
XtA、XtB 通過地点