(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145668
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電子部品及び電子部品内蔵基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20241004BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20241004BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20241004BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20241004BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20241004BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20241004BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01F17/00 F
H01F27/29 F
H01F27/29 123
H01F27/32 101
H01F41/04 B
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G2/06 501
H05K3/46 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058119
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】柏 智男
【テーマコード(参考)】
5E001
5E062
5E070
5E082
5E316
【Fターム(参考)】
5E001AF06
5E062FF01
5E062FG01
5E070AA01
5E070AB02
5E070EA01
5E070EB04
5E082AA01
5E082GG10
5E082GG11
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC09
5E316DD22
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG23
5E316HH31
5E316JJ12
5E316JJ13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レーザ照射により形成されるビアホールの深さの不均一さを抑制する電子部品及び電子部品内蔵基板の製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品は、基体と、基体の内部に設けられる内部素子25と、基体に設けられている第1外部電極21と、基体に第1外部電極から離間するように設けられている第2外部電極22と、を備える。第1外部電極及び第2外部電極は、内部素子と電気的に接続される。第1外部電極は、第1外側金属層21aと、第1内側金属層21bと、を有する。第1内側金属層は、第1外側金属層と第1内部素子との間に設けられている。第2外部電極は、第2外側金属層22aと、第2内側金属層22bと、を有する。第2内側金属層は、第2外側金属層と第1内部素子との間に設けられている。第1内側金属層及び第2金属層は、第1外側金属層及び第2外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の内部に設けられる第1内部素子と、
前記基体に設けられ、前記第1内部素子と電気的に接続される第1外部電極と、
前記基体に前記第1外部電極から離間するように設けられ、前記第1内部素子と電気的に接続される第2外部電極と、
を備え、
前記第1外部電極は、
第1外側金属層と、
前記第1外側金属層と前記第1内部素子との間に設けられている第1内側金属層と、
を有し、
前記第2外部電極は、
第2外側金属層と、
前記第2外側金属層と前記第1内部素子との間に設けられている第2内側金属層と、
を有し、
前記第1内側金属層は、前記第1外側金属層及び前記第2外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低く、前記第2内側金属層は、前記第1外側金属層及び前記第2外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低い、
電子部品。
【請求項2】
前記第1内側金属層は、前記第1外側金属層と直接接しており、
前記第2内側金属層は、前記第2外側金属層と直接接している、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1内側金属層の厚さは、前記第1外側金属層の厚さの0.2倍以上3.0倍以下である、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1外側金属層はCuを主成分とし、
前記第1内側金属層はAgを主成分とする、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記基体は、第1面を有しており、
前記第1内側金属層及び前記第2内側金属層はいずれも、前記第1面と接する、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項6】
前記基体の内部に前記第1内部素子から離間して設けられる第2内部素子と、
前記基体に、前記第1外部電極及び前記第2外部電極から離間するように設けられ、前記第2内部素子と電気的に接続される第3外部電極と、
前記基体に、前記第1外部電極、前記第2外部電極、及び前記第3外部電極から離間するように設けられ、前記第2内部素子と電気的に接続される第4外部電極と、
をさらに備え、
前記第3外部電極は、
第3外側金属層と、
前記第3外側金属層と前記第2内部素子との間に設けられている第3内側金属層と、
を有し、
前記第4外部電極は、
第4外側金属層と、
前記第4外側金属層と前記第2内部素子との間に設けられている第4内側金属層と、
を有し、
前記第1内側金属層は、前記第1外側金属層、前記第2外側金属層、前記第3外側金属層、及び前記第4外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低く、
前記第2内側金属層は、前記第1外側金属層、前記第2外側金属層、前記第3外側金属層、及び前記第4外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低く、
前記第3内側金属層は、前記第1外側金属層、前記第2外側金属層、前記第3外側金属層、及び前記第4外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低く、
前記第4内側金属層は、前記第1外側金属層、前記第2外側金属層、前記第3外側金属層、及び前記第4外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低い、
請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項7】
前記基体は、第1面を有しており、
前記第1外部電極、前記第2外部電極、前記第3外部電極、及び前記第4外部電極はいずれも、前記第1面のみにおいて前記基体と接する、
請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
絶縁層に形成されたキャビティに、請求項1に記載の電子部品を載置する工程と、
前記電子部品を覆うように樹脂層を形成する工程と、
前記第1外部電極に前記第1外側金属層を貫通する第1ビアホールを形成し、前記第2外部電極に前記第2外側金属層を貫通する第2ビアホールを形成するように、前記第1外部電極及び前記第2外部電極に向かってレーザを照射する工程と、
を備える、
電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1ビアホール内に第1ビア導体を形成し、前記第2ビアホール内に第2ビア導体を形成する工程をさらに備える、
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1ビア導体及び前記第2ビア導体は、めっき処理により形成される、
請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、主に、電子部品、及び、電子部品内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサ、インダクタ、抵抗などの電子部品が埋め込まれた電子部品内蔵基板が知られている。電子部品内蔵基板においては、絶縁層に配線パターンが形成されており、この絶縁層に埋め込まれた電子部品の外部電極がビア導体を介して配線パターンと接続される。従来の電子部品内蔵基板は、特開2012-019247号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
電子部品内蔵基板の製造工程においては、電子部品が埋め込まれている絶縁層にレーザを照射することにより外部電極を露出させるビアホールを形成し、このビアホールにめっき処理を施すことでビア導体が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子部品には複数の外部電極が設けられているため、電子部品内蔵基板の製造時に、絶縁層には複数のビアホールを形成する必要がある。従来の電子部品内蔵基板においては、各外部電極に向かって照射されるレーザの出力の違いや、外部電極間での表面粗さの違い、及び外部電極の密度の違い等の様々な要因に起因して、各ビアホールを深さが均一になるように形成することが難しいという問題がある。ビアホールの深さが不均一だと、深いビアホールにおいてめっき成長が不十分となり、ビア導体と外部電極との間の接続やビア導体と配線パターンとの間の接続が不良になる可能性がある。
【0006】
本明細書において開示される発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決または緩和することである。本明細書に開示される発明のより具体的な目的の一つは、レーザ照射により形成されるビアホールの深さの不均一さを抑制することである。本明細書において開示される様々な発明は、「本発明」と総称されることがある。
【0007】
本発明の前記以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。本明細書に開示される発明は、「発明を解決しようとする課題」の欄の記載以外から把握される課題を解決するものであってもよい。本明細書に、実施形態の作用効果が記載されている場合には、その作用効果から当該実施形態に対応する発明の課題を把握することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における電子部品は、基体と、基体の内部に設けられる第1内部素子と、基体に設けられている第1外部電極と、基体に前記第1外部電極から離間するように設けられている第2外部電極と、を備える。第1外部電極及び第2外部電極は、第1内部素子と電気的に接続される。第1外部電極は、第1外側金属層と、第1内側金属層と、を有する。第1内側金属層は、第1外側金属層と第1内部素子との間に設けられている。第2外部電極は、第2外側金属層と、第2内側金属層と、を有する。第2内側金属層は、第2外側金属層と第1内部素子との間に設けられている。一態様において、第1内側金属層は、第1外側金属層及び第2外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低い。一態様において、第2内側金属層は、第1外側金属層及び第2外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低い。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示されている発明の一態様によれば、レーザ照射により形成されるビアホールの深さの不均一さを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る電子部品を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の電子部品をLT面に平行な平面で切断した断面の一部を拡大して示す断面図である。
【
図3a】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
【
図3b】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
【
図3c】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
【
図3d】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
【
図3e】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
【
図3f】一実施形態に従って電子部品内蔵基板を製造する工程の一部を模式的に示す図である。
【
図4a】レーザにより穿孔された電子部品の第1外部電極を示す断面図である。
【
図4b】レーザにより穿孔された電子部品の第2外部電極を示す断面図である。
【
図5】レーザ加工開始からの深さd1と深さd2の関係を示すグラフである。
【
図6】別の実施形態に係る電子部品を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図6の電子部品をI-I線で切断した断面の一部を拡大して示す断面図である。
【
図8】
図6の電子部品をII-II線で切断した断面の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一又は類似の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。以下で説明される実施形態は、必ずしも特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。以下の実施形態で説明されている諸要素が発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
1 第1実施形態
1-1 電子部品1の基本構造
本明細書に開示される様々な実施形態は、電子部品内蔵基板に内蔵される電子部品に関する。
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る電子部品1について説明する。
図1は、電子部品1を模式的に示す斜視図であり、
図2は、LT面に沿って切断された電子部品1の断面の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
図1及び
図2には、基板に内蔵される前の電子部品1が示されている。電子部品1の基板への内蔵については追って説明する。
【0013】
電子部品1は、電子部品内蔵基板に内蔵され得る任意の電子部品である。電子部品1は、インダクタ、コンデンサ、抵抗等の受動素子であってもよいし、半導体IC等の能動素子であってもよい。
【0014】
図示されているように、電子部品1は、絶縁体10と、絶縁体10の内部に設けられた内部素子25と、絶縁体10の表面に設けられた第1外部電極21と、絶縁体10の表面において第1外部電極21から離間した位置に設けられた第2外部電極22と、を備える。第1外部電極21は、内部素子25の一端と電気的に接続されており、第2外部電極22は、内部素子25の他端と電気的に接続されている。
【0015】
電子部品1の種類に応じて、内部素子25は、様々な形状を取り得る。電子部品1がインダクタの場合、内部素子25は、インダクタンスを生じさせるコイル導体である。コイル導体は、例えば、コイル軸の周りに所定ターンだけ巻回される。コイル導体の一端及び他端は、第1外部電極21及び第2外部電極にそれぞれ接続される。電子部品1がインダクタの場合に、絶縁体10は、フェライト等の磁性材料から構成される磁性体である。絶縁体は、複数の軟磁性金属粒子を結合して構成された圧粉磁性体であってもよい。
【0016】
電子部品1がコンデンサの場合、絶縁体10は、BaTiO3等のセラミック材料の焼結体から構成される誘電体である。電子部品1がコンデンサの場合、内部素子25は、誘電体を構成する誘電体層を挟んで配置される第1内部電極層と第2内部電極層とを含む。第1内部電極層は、第1外部電極21と電気的に接続され、第2内部電極層は、第2外部電極22と電気的に接続される。第1外部電極21と第2外部電極との間に電圧が印加されると、第1内部電極層と第2内部電極層との間に静電容量が発生する。
【0017】
一態様において、絶縁体10は、直方体形状を有するように構成されてもよい。本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。絶縁体10は、上面10a、下面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fを有する。絶縁体10は、これらの6つの面によってその外表面が画定されている。上面10a、下面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fの各々は、2つ以上の面から構成されていてよい。また、上面10a、下面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fの各々は、平面でもよく、曲面でもよい。
【0018】
1-2 外部電極
一態様において、第1外部電極21及び第2外部電極22は、絶縁体10の上面10aに設けられる。第1外部電極21及び第2外部電極22はいずれも、絶縁体10の外表面のうち、上面10aのみと接していてもよい。
【0019】
第1外部電極21は、第1外側金属層21aと、第1内側金属層21bと、を有する。第1内側金属層21bは、第1外側金属層21aと内部素子25の一端との間に設けられる。一態様において、第1外側金属層21aは、第1内側金属層21bと直接接している。図示の実施形態において、内部素子25の一端は、絶縁体10の上面10aから露出している。一態様において、第1内側金属層21bは、上面10aから露出している内部素子25の一端と直接接続される。第1内側金属層21bの少なくとも一部は、絶縁体10に埋め込まれていてもよい。
【0020】
第2外部電極22は、第2外側金属層22aと、第2内側金属層22bと、を有する。第2内側金属層22bは、第2外側金属層22aと内部素子25の他端との間に設けられる。一態様において、第2外側金属層22aは、第2内側金属層22bと直接接している。図示の実施形態において、内部素子25の他端は、絶縁体10の上面10aから露出している。一態様において、第2内側金属層22bは、上面10aから露出している内部素子25の他端と直接接続される。第2内側金属層22bの少なくとも一部は、絶縁体10に埋め込まれていてもよい。
【0021】
一態様において、第1内側金属層21bのレーザ吸収率は、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aのいずれのレーザ吸収率よりも低い。一態様において、第2内側金属層22bのレーザ吸収率は、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aのいずれのレーザ吸収率よりも低い。
【0022】
金属層の主成分として、例えば、Ni、Cu、Agが挙げられる。一態様において、第1内側金属層21bの主成分は、第1外側金属層21aの主成分及び第2外側金属層22aの主成分よりもレーザ吸収率が低い金属である。一態様において、第2内側金属層22bの主成分は、第1外側金属層21aの主成分及び第2外側金属層22aの主成分よりもレーザ吸収率が低い金属である。例えば、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aの主成分は、金属加工に用いられるレーザ波長の波長に応じて選択される。レーザ波長は、例えば、0.5~15μmの範囲にある。第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aがNiを主成分として含有する場合、第1内側金属層21b及び第2内側金属層22bは、Cu又はAgを主成分として含有している。また、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aがCuを主成分として含有する場合、第1内側金属層21b及び第2内側金属層22bは、Agを主成分として含有する。本明細書においては、各層において50wt%以上含まれている成分を、当該層の主成分とすることができる。第1内側金属層21b及び第2内側金属層22bは、Agを50wt%以上含有しており、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aは、Cuを50wt%以上含有している。第1内側金属層21b及び第2内側金属層22bの少なくとも一方は、Cuよりもレーザ吸収率が低いAg以外の金属を主成分として含有してもよい。レーザ吸収率は、電子部品内蔵基板に内蔵基板の製造において常用されている波長1.064μmの炭酸ガスレーザまたは波長10.6μmのYAGレーザの吸収率を意味する。Agは、照射された電磁波を反射しやすい性質を持っているため、Agを主成分とする金属層は、炭酸ガスレーザ及びYAGレーザをいずれも吸収しにくい。なお、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aの主成分には、融点が500℃より高い金属が用いられる。第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aの主成分として融点が500℃より高い金属を用いることにより、レーザ加工時の加工速度が抑えられ、深さ方向のレーザ加工による加工精度が安定化し、また加工時の形状維持が可能となる(例えば、溶解して流出することが避けられる。)。
【0023】
一態様において、第1内側金属層21bの厚さ(T軸方向における寸法)t1bは、第1外側金属層21aの厚さt1a以下である。例えば、第1内側金属層21bの厚さt1bは、第1外側金属層21aの厚さt1aの0.2倍以上1.0倍以下である。この場合、レーザ吸収率の高い第1外側金属層21aの厚みの方が大きくなるため、第1外部電極21の厚みが大きくても、短時間で必要な深さまでレーザ加工を行うことが可能となる。同様に、一態様において、第2内側金属層22bの厚さt2bは、第2外側金属層22aの厚さt2a以下である。例えば、第2内側金属層22bの厚さt2bは、第2外側金属層22aの厚さt2aの0.2倍以上1.0倍以下である。この場合、レーザ吸収率の高い第1外側金属層21aの厚みの方が大きくなるため、第2外部電極22の厚みが大きくても、短時間で必要な深さまでレーザ加工を行うことが可能となる。
【0024】
別の態様において、第1内側金属層21bの厚さt1bは、第1外側金属層21aの厚さt1aより厚い。例えば、第1内側金属層21bの厚さt1bは、第1外側金属層21aの厚さt1aの1.0倍より大きく3.0倍以下である。この場合、レーザ吸収率の低い第1内側金属層21bの厚みの方が大きくなるため、レーザ加工による深さ方向の加工精度をより安定化することができる。同様に、一態様において、第2内側金属層22bの厚さt2bは、第2外側金属層22aの厚さt2aより厚い。例えば、第2内側金属層22bの厚さt2bは、第2外側金属層22aの厚さt2aの1.0倍より大きく3.0倍以下である。この場合、レーザ吸収率の低い第2内側金属層22bの厚みの方が大きくなるため、レーザ加工による深さ方向の加工精度をより安定化することができる。
【0025】
1-3 電子部品内蔵基板の製造方法
次に、
図3aないし
図3fを参照して、電子部品1を内蔵する電子部品内蔵基板の製造方法の一例について説明する。
【0026】
まず、
図3aに示されているように、フィルム51の上に絶縁層52を形成し、この絶縁層52にキャビティC1を形成する。そして、第1外部電極21及び第2外部電極22がフィルム51に接するように、電子部品1をキャビティC1内に載置する。フィルム51は、電子部品内蔵基板の製造工程において、電子部品1を暫定的に取り付けるためのフィルムである。絶縁層52は、多層プリント基板の一部である。図示は省略されているが、絶縁層52の内部には複数の配線パターン及び配線パターン同士を接続するビア導体が形成されていてもよい。絶縁層52は、ガラスエポキシ等の絶縁材料から構成される。絶縁層52の材料は、ガラスエポキシには限られず、多層プリント基板の絶縁層に適した様々な材料から構成され得る。
【0027】
次に、
図3bに示されているように、電子部品1が載置されたキャビティC1内に、電子部品1を覆うように第1樹脂層53を形成する。第1樹脂層53は、例えば、熱硬化性樹脂から構成される。第1樹脂層53は、キャビティC1に未硬化の熱硬化性樹脂を注入し、この注入された熱硬化性樹脂を加熱して硬化することで形成されてもよい。このようにして、キャビティC1内に第1樹脂層53により電子部品1が封止された中間体が作製される。
【0028】
次に、
図3cに示されているように、中間体を上下反転させた後、フィルム51を取り除き、このフィルム51が取り除かれた中間体の上面に、第2樹脂層54を形成する。第2樹脂層54は、第1樹脂層53と同じ熱硬化性樹脂から構成されてもよい。第2樹脂層54は、フィルム51を取り除いた際に露出する第1外部電極21及び第2外部電極22を覆うように形成される。
【0029】
次に
図3dに示されているように、第2樹脂層54に第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2を形成して、第1外部電極21の一部及び第2外部電極22の一部を露出させる。第1ビアホールVH1は、紙面の上方から第1外部電極21に向かってレーザを照射することにより形成される。同様に、第2ビアホールVH2は、紙面の上方から第2外部電極22に向かってレーザを照射することにより形成される。照射されるレーザは、例えば、炭酸ガスレーザである。2台の炭酸ガスレーザ加工機を用いることにより、第1外部電極21及び第2外部電極22に向かってレーザを同時に照射することができるので、第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2を並行して形成することができる。これにより、製造時間の短縮化を図ることができる。
【0030】
次に、
図3eに示されているように、第1ビアホールVH1を画定する底面及び壁面、第2ビアホールVH2を画定する底面及び壁面にめっき処理を施すことにより、第1ビアホールVH1内にビア導体61が形成され、第2ビアホールVH2内にビア導体62が形成される。また、第2樹脂層54の表面にめっき処理を施すことにより、第2樹脂層54の表面に導体層70が形成される。
【0031】
次に、
図3fに示されているように、導体層70のうち、L軸方向において第1外部電極21と第2外部電極22との間の領域をエッチングすることにより、第1外部電極21に接続される第1配線パターン71及び第2外部電極22に接続される第2配線パターン72が形成される。
【0032】
以上により、内部に電子部品1が埋め込まれた電子部品内蔵基板81が作製される。
【0033】
電子部品内蔵基板81には、図示されている電子部品1以外に、様々な電子部品が内蔵されていてもよい。電子部品内蔵基板81に内蔵される電子部品1以外の電子部品は、インダクタ、コンデンサ、抵抗等の受動素子であってもよいし、半導体IC等の能動素子であってもよい。
【0034】
電子部品内蔵基板81は、様々な電子機器に搭載され得る。電子部品内蔵基板81が搭載され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、自動車の電装品、サーバ及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。
【0035】
1-4 レーザにより形成されるビアホール
次に、
図3eの工程で説明したレーザによるビアホールの形成について、
図4a及び
図4bを参照してさらに説明する。部材にレーザを照射して穿孔を形成する場合、レーザによる穿孔レートは、レーザが照射される部材の密度、その表面の粗度、照射角などの様々な要因により影響を受ける。穿孔レートは、部材にレーザを照射した際に形成される穿孔の深さが増大する速度を意味する。レーザ照射により部材に複数の穿孔を形成する場合、各穿孔を形成するためのレーザの照射条件を同一に設定しても、各穿孔の穿孔レートは区々であるため、各穿孔の深さを均一にすることは難しい。よって、従来の電子部品内蔵基板の製造方法において、内蔵されている電子部品の複数の外部電極を露出させるためのビアホールの深さを均一にすることは難しい。例えば、ビアホールを形成するために、複数のレーザ加工装置の照射条件を同一にして、これらのレーザ加工装置から各外部電極へ向けてレーザの照射を同時に開始し同時に終了しても(つまり、各ビアホールを形成するためのレーザの照射時間を同じにしても)、形成されるビアホールの深さは均一にはならない。
【0036】
第1実施形態による電子部品1においては、第1外部電極21の第1外側金属層21aの下層に、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aよりもレーザ吸収率が低い第1内側金属層21bが設けられており、また、第2外部電極22の第2外側金属層22aの下層に、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aよりもレーザ吸収率が低い第2内側金属層22bが設けられている。このように構成された第1外部電極21及び第2外部電極22に向かってレーザを照射すると、第2樹脂層54、第1外側金属層21a、及び第2外側金属層22aは、レーザのエネルギーを吸収しやすいため、レーザが第1内側金属層21b又は第2内側金属層22bに到達するまでは、高速の穿孔レートでレーザ加工が進行する。以下では、説明の便宜上、第1外部電極21に向かって照射されるレーザを第1レーザと呼び、第2外部電極22に向かって照射されるレーザを第2レーザと呼ぶ。
【0037】
第1レーザが第1内側金属層21bに到達すると、第1内側金属層21bは、第2樹脂層54、第1外側金属層21a、及び第2外側金属層22aよりもレーザ吸収率が低いため、第1レーザによる穿孔レートが低速となる。同様に、第2レーザが第2内側金属層22bに到達すると、第2内側金属層22bは、第2樹脂層54、第1外側金属層21a、及び第2外側金属層22aよりもレーザ吸収率が低いため、第2レーザによる穿孔レートが低速となる。このため、第1外側金属層21aを貫通して第1内側金属層21bに到達するように第1ビアホールVH1を形成し、第2外側金属層22aを貫通して第2内側金属層22bに到達するように第2ビアホールVH2を形成することにより、第1ビアホールVH1及び第2ビアホールVH2の形成時に第1レーザの穿孔レートと第2レーザの穿孔レートとの間に差があっても、第1レーザが第1内側金属層21bに到達した後及び第2レーザが第2内側金属層22bに到達した後にはいずれの穿孔レートも低下するので、レーザ照射終了時に第1ビアホールVH1の深さd1と第2ビアホールVH2の深さd2を同程度とすることができる。例えば、第1レーザの穿孔レートが第2レーザの穿孔レートよりも速い場合には、第2レーザが第2内側金属層22bに到達するよりも前に第1レーザが第1内側金属層21bに到達する。第1レーザが第1内側金属層21bに到達した時点では、第1ビアホールVH1となる穿孔の方が第2ビアホールVH2となる穿孔よりも深く穿かれている。ところが、第1レーザが第1内側金属層21bに到達した後は、第1レーザの穿孔レートは、第1外側金属層21aのレーザ吸収率と第1内側金属層21bのレーザ吸収率との差に応じて不連続に遅くなる。第1内側金属層21bのレーザ吸収率は、第2外側金属層22aのレーザ吸収率よりも低いため、第1レーザが第1内側金属層21bに到達した後は、第1レーザの穿孔レートは、第2レーザの穿孔レートよりも遅くなる。よって、第1レーザが第1内側金属層21bに到達した後は、第1ビアホールVH1となる穿孔の深さと第2ビアホールVH2となる穿孔の深さの差は縮まっていく。
【0038】
以上のとおり、第1実施形態に係る電子部品1においては、第1内側金属層21bのレーザ吸収率及び第2内側金属層22bのレーザ吸収率がいずれも、第1外側金属層21a及び第2外側金属層22aのいずれのレーザ吸収率よりも低いため、レーザ加工により形成される第1ビアホールVH1の深さd1と第2ビアホールVH2の深さd2との差は、第1内側金属層21b及び第2内側金属層22bを備えていない従来の電子部品と比べて小さくなる。したがって、第1実施形態に係る電子部品1においては、第1ビアホールVH1の深さと第2ビアホールVH2の深さを均一化することができる。
【0039】
電子部品1において、第1外部電極21が第1内側金属層21bを備え、第2外部電極22が第2内側金属層22bを備えることにより、電子部品1を電子部品内蔵基板に内蔵する際にレーザ加工により形成される第1ビアホールVH1の深さと第2ビアホールVH2の深さの差を小さくできることを以下のようにして確認した。まず、絶縁体の表面に、厚さ1.5μmのAg膜と、このAg膜の表面に形成された厚さ7.5μmのCu膜と、を有する第1積層部を形成し、また、当該絶縁体の表面の第1積層部から離れた位置に、厚さ1.5μmのAg膜と、このAg膜の表面に形成された厚さ7.5μmのCu膜と、を有する第2積層部を形成して、サンプルを得た。このサンプルの第1積層部は、電子部品1の第1外部電極21に対応し、第1積層部のCu膜及びAg膜はそれぞれ、第1外側金属層21a及び第1内側金属層21bに対応する。また、サンプルの第2積層部は、電子部品1の第2外部電極22に対応し、第2積層部のCu膜及びAg膜はそれぞれ、第2外側金属層22a及び第2内側金属層22bに対応する。
【0040】
この第1積層部と第2積層部の各々に炭酸ガスレーザを同時に照射した。炭酸ガスレーザの照射開始からの0.05秒経過するごとに、第1積層体及び第2積層体に形成された穿孔の深さを測定し、この測定された深さを
図5のグラフにプロットした。
図5において、横軸は、レーザ照射開始からの経過時間を表し、縦軸は、穿孔の深さを表す。
【0041】
図5の結果から、第1積層体に照射されている第1レーザの穿孔レートの方が第2積層体に照射されているレーザの穿孔レートよりも速いことが分かる。この穿孔レートの差から、第1積層体に形成された穿孔の深さが7.5μmに到達するまでは(つまり、第1レーザが7.5μmのCu膜を貫通するまでは)、第1積層体に形成された穿孔の深さと第2積層体に形成された穿孔の深さとの差がレーザ照射開始からの時間の経過に伴って拡大しいる。これに対して、第1積層体に形成された穿孔の深さが7.5μmに達した後は、第1レーザがAg膜に入射するため、第1レーザによる穿孔レートが低下している。第1積層体に形成された穿孔の深さが7.5μmに達した後に穿孔レートが低下することは、穿孔の深さが7.5μm以下の範囲にあるプロットをフィッティングした直線L1の傾きよりも、穿孔の深さが7.5μmより大きい範囲にあるプロットをフィッティングした直線L2の傾きが小さくなっていることから分かる。
【0042】
第1レーザがAg膜に到達した時点では、第2積層体に照射されている第2レーザは、第2積層体のAg膜には到達していないため、第2レーザによる第2積層体の穿孔レートは変わらない。第2レーザは、照射開始後0.3125秒の時点で、第2積層体のAg膜に到達したため、
図5には、この0.3125秒経過した時点での穿孔の深さもプロットした。
図5のグラフから、第1積層体に形成された穿孔の深さが7.5μmに達した照射開始後0.25秒から第2積層体に形成された穿孔の深さが7.5μmに達した0.3125秒の間で、第1積層体における穿孔の深さと第2積層体に形成された穿孔の深さとの差が縮小していることが分かる。
【0043】
第1積層体及び第2積層体に、電子部品1の第1内側金属層21b及び第2内側金属層22bに対応するAg膜が設けられていなければ、穿孔が7.5μm以下の領域で観察されたように、第1積層体に形成される穿孔の深さと第2積層体に形成される穿孔の深さは、レーザ照射時間が長くなるほど拡大する。よって、第1積層体における穿孔の深さと第2積層体に形成された穿孔の深さとの差が縮小したのは、第1積層体及び第2積層体のそれぞれに、電子部品1の第1内側金属層21b及び第2内側金属層22bに対応するAg膜を設けたためである。
【0044】
以上のとおり、電子部品1において、第1外部電極21が第1内側金属層21bを備え、第2外部電極22が第2内側金属層22bを備えることにより、電子部品1を電子部品内蔵基板に内蔵する際にレーザ加工により形成される第1ビアホールVH1の深さと第2ビアホールVH2の深さの差を小さくできること、つまり、第1ビアホールVH1の深さと第2ビアホールVH2の深さを均一化できることが確認された。
【0045】
2 第2実施形態
続いて、
図6ないし
図8を参照して、第2実施形態に係る電子部品101について説明する。
図6は、第2実施形態に係る電子部品101の斜視図であり、
図7は、電子部品101をI-I線に沿って切断した断面図であり、
図8は、電子部品101をII-II線に沿って切断した断面図である。電子部品101は、8つの外部電極121~128を備えている点で、2つの外部電極を備えている電子部品1と異なっている。
【0046】
電子部品101は、例えば、絶縁体110の内部に、複数の素子がパッケージ化されたアレイ型素子である。アレイ型素子においては、複数の素子が一つの素子としてパッケージ化されているので、複数の素子を実装する際の実装スペースを小さくできる。電子部品101には、異なる種類の素子がパッケージ化されていてもよい。例えば、電子部品101は、LCフィルタ、LCRフィルタ、及びインダクタから選択された4つの素子を絶縁体110の内部にパッケージ化することで構成されてもよい。電子部品101は、同種の4つの素子を絶縁体110の内部にパッケージ化することで構成されてもよい。例えば、電子部品101は、4つのインダクタ素子がパッケージ化されたアレイ型インダクタであってもよい。電子部品101には、2つより多くの外部電極に接続される素子、例えば、磁気結合型のインダクタ(例えば、コモンモードチョークコイル)を含んでもよい。
【0047】
外部電極121~128はいずれも、絶縁体110の外表面のうち、上面110aのみと接していてもよい。
【0048】
外部電極121は、不図示の第1内部素子の一端と接続されており、外部電極122は、当該第1内部素子の他端と接続されている。電子部品101がアレイ型インダクタの場合には、第1内部素子は、第1コイル導体である。外部電極121は、外側金属層121aと、外側金属層121aと第1内部素子との間に配置されている内側金属層121bと、を有している。外部電極122は、外側金属層122aと、外側金属層122aと第1内部素子との間に配置されている内側金属層122bと、を有している。
【0049】
外部電極123は、不図示の第2内部素子の一端と接続されており、外部電極124は、当該第2内部素子の他端と接続されている。電子部品101がアレイ型インダクタの場合には、第2内部素子は、第2コイル導体である。外部電極123は、外側金属層123aと、外側金属層123aと第2内部素子との間に配置されている内側金属層123bと、を有している。外部電極124は、外側金属層124aと、外側金属層124aと第2内部素子との間に配置されている内側金属層124bと、を有している。
【0050】
外部電極125は、不図示の第3内部素子の一端と接続されており、外部電極126は、当該第3内部素子の他端と接続されている。電子部品101がアレイ型インダクタの場合には、第3内部素子は、第3コイル導体である。外部電極125は、外側金属層125aと、外側金属層125aと第3内部素子との間に配置されている内側金属層125bと、を有している。外部電極126は、外側金属層126aと、外側金属層126aと第3内部素子との間に配置されている内側金属層126bと、を有している。
【0051】
外部電極127は、不図示の第4内部素子の一端と接続されており、外部電極128は、当該第4内部素子の他端と接続されている。電子部品101がアレイ型インダクタの場合には、第4内部素子は、第4コイル導体である。外部電極127は、外側金属層127aと、外側金属層127aと第4内部素子との間に配置されている内側金属層127bと、を有している。外部電極128は、外側金属層128aと、外側金属層128aと第4内部素子との間に配置されている内側金属層128bと、を有している。
【0052】
外部電極121~128の各々の内側金属層121b~128bのレーザ吸収率は、外部電極121~128の各々の外側金属層121a~128aのレーザ吸収率のいずれよりも低い。
【0053】
第1実施形態の第1外側金属層21aに関する説明は、外部電極121~128の各々の外側金属層121a~128aに当てはまる。例えば、外側金属層121a~128aはそれぞれ、Cuを主成分として含有する。また、第1実施形態の第1内側金属層21bに関する説明は、外部電極121~128の各々の内側金属層121b~128bに当てはまる。例えば、内側金属層121b~128bはそれぞれ、Agを主成分として含有する。
【0054】
電子部品101は、電子部品1と同様に、
図3aないし
図3fに示した工程を経て電子部品内蔵基板に実装される。電子部品101の外部電極121~128を配線パターンと電気的に接続するためのビア導体を形成するためには、レーザ照射により外部電極121~128のそれぞれを露出させる8本のビアホールを形成する必要がある。従来、レーザ加工により形成される8本のビアホールの深さを均一にすることは困難であったが、外部電極121~128は、内側金属層121b~128bを有しており、内側金属層121b~128bの各々のレーザ吸収率は、外側金属層121a~128aのいずれのレーザ吸収率よりも低いから、電子部品101が内蔵されている電子部品内蔵基板を製造する際に、レーザ加工により形成される8本のビアホールの深さを均一にすることができる。
【0055】
3 注記
前述の様々な実施形態で説明された各構成要素の寸法、材料及び配置は、それぞれ、各実施形態で明示的に説明されたものに限定されず、当該各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料及び配置を有するように変形することができる。
【0056】
本明細書において明示的に説明していない構成要素を、上述の各実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0057】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0058】
本明細書において、ある構成要素を「含む」という場合は、本発明の内容と矛盾しない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0059】
4 付記
本明細書において開示される実施形態には、以下の事項も含まれる。
【0060】
[付記1]
基体と、
前記基体の内部に設けられる第1内部素子と、
前記基体に設けられ、前記第1内部素子と電気的に接続される第1外部電極と、
前記基体に前記第1外部電極から離間するように設けられ、前記第1内部素子と電気的に接続される第2外部電極と、
を備え、
前記第1外部電極は、
第1外側金属層と、
前記第1外側金属層と前記第1内部素子との間に設けられている第1内側金属層と、
を有し、
前記第2外部電極は、
第2外側金属層と、
前記第2外側金属層と前記第1内部素子との間に設けられている第2内側金属層と、
を有し、
前記第1内側金属層は、前記第1外側金属層及び前記第2外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低く、前記第2内側金属層は、前記第1外側金属層及び前記第2外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低い、
電子部品。
[付記2]
前記第1内側金属層は、前記第1外側金属層と直接接しており、
前記第2内側金属層は、前記第2外側金属層と直接接している、
[付記1]に記載の電子部品。
[付記3]
前記第1内側金属層の厚さは、前記第1外側金属層の厚さの0.2倍以上1.5倍以下である、
[付記1]又は[付記2]に記載の電子部品。
[付記4]
前記第1外側金属層はCuを主成分とし、
前記第1内側金属層はAgを主成分とする、
[付記1]から[付記3]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記5]
前記基体は、第1面を有しており、
前記第1内側金属層及び前記第2内側金属層はいずれも、前記第1面と接する、
[付記1]から[付記4]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記6]
前記基体の内部に前記第1内部素子から離間して設けられる第2内部素子と、
前記基体に、前記第1外部電極及び前記第2外部電極から離間するように設けられ、前記第2内部素子と電気的に接続される第3外部電極と、
前記基体に、前記第1外部電極、前記第2外部電極、及び前記第3外部電極から離間するように設けられ、前記第2内部素子と電気的に接続される第4外部電極と、
をさらに備え、
前記第3外部電極は、
第3外側金属層と、
前記第3外側金属層と前記第2内部素子との間に設けられている第3内側金属層と、
を有し、
前記第4外部電極は、
第4外側金属層と、
前記第4外側金属層と前記第2内部素子との間に設けられている第4内側金属層と、
を有し、
前記第1内側金属層は、前記第1外側金属層、前記第2外側金属層、前記第3外側金属層、及び前記第4外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低く、
前記第2内側金属層は、前記第1外側金属層、前記第2外側金属層、前記第3外側金属層、及び前記第4外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低く、
前記第3内側金属層は、前記第1外側金属層、前記第2外側金属層、前記第3外側金属層、及び前記第4外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低く、
前記第4内側金属層は、前記第1外側金属層、前記第2外側金属層、前記第3外側金属層、及び前記第4外側金属層のいずれよりもレーザ吸収率が低い、
[付記1]から[付記5]のいずれか一つに記載の電子部品。
[付記7]
前記基体は、第1面を有しており、
前記第1外部電極、前記第2外部電極、前記第3外部電極、及び前記第4外部電極はいずれも、前記第1面のみにおいて前記基体と接する、
[付記6]に記載の電子部品。
[付記8]
絶縁層に形成されたキャビティに、[付記1]から[付記7]のいずれか一つに記載の電子部品を載置する工程と、
前記電子部品を覆うように樹脂層を形成する工程と、
前記第1外部電極に前記第1外側金属層を貫通する第1ビアホールを形成し、前記第2外部電極に前記第2外側金属層を貫通する第2ビアホールを形成するように、前記第1外部電極及び前記第2外部電極に向かってレーザを照射する工程と、
を備える、
電子部品内蔵基板の製造方法。
[付記9]
前記第1ビアホール内に第1ビア導体を形成し、前記第2ビアホール内に第2ビア導体を形成する工程をさらに備える、
[付記8]に記載の製造方法。
[付記10]
前記第1ビア導体及び前記第2ビア導体は、めっき処理により形成される、
[付記9]に記載の製造方法。
【符号の説明】
【0061】
1、101 電子部品
10 絶縁体
21 第1外部電極
21a 第1外側金属層
21b 第1内側金属層
22 第2外部電極
22 a 第2外側金属層
22b 第2内側金属層
25 内部素子
81 電子部品内蔵基板