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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145695
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20241004BHJP
   H02K 7/08 20060101ALI20241004BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20241004BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K7/08 Z
F16H57/04 J
F16H57/04 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058158
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】里田 大志
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良亮
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】黒田 雄太
【テーマコード(参考)】
3J063
5H607
【Fターム(参考)】
3J063AA01
3J063AA04
3J063AB01
3J063AC01
3J063BA11
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD47
3J063XD73
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE34
5H607EE36
5H607GG01
5H607GG08
5H607GG25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数のベアリングに安定的に流体を供給できる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置は、モータと、伝達機構と、ギヤ室が設けられるハウジングと、流路90と、を備える。ハウジングは、第1ベアリングB1を保持する第1ベアリング保持部71と、を有する。第1ベアリング保持部は、第1シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる第1対向面71aと、第1対向面から軸方向他方側に延びて、第1ベアリングを支持する第1内側面71bと、を有する。流路は、第1内側面に開口する第1流入部97bと、第1流入部よりも下側に位置し第1内側面に開口する第1流出部99aと、を有する。第1対向面には、軸方向他方側に突出し、軸方向と直交する方向に延びる第1リブ76が設けられる。第1リブは、少なくとも一部が第1流入部よりも下側に位置し、少なくとも一部が第1流出部を上側から覆う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの動力を伝達する伝達機構と、
前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、
少なくとも一部が前記ハウジングに設けられる流路と、を備え、
前記伝達機構は、
第1軸線を中心に回転可能な第1シャフトと、
前記第1シャフトを支持する第1ベアリングと、を有し、
前記ハウジングは、
前記ギヤ室を軸方向一方側から覆う側壁部と、
前記側壁部に設けられ前記第1ベアリングを保持する第1ベアリング保持部と、を有し、
前記第1ベアリング保持部は、
前記第1シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる第1対向面と、
軸方向に延びて、前記第1ベアリングを、前記第1軸線を中心とする径方向外側から支持する第1内側面から構成され、
前記流路は、
前記第1内側面に開口する第1流入部と、
前記第1流入部よりも下側に位置し前記第1内側面に開口する第1流出部と、を有し、
前記第1対向面には、軸方向他方側に突出し、軸方向と直交する方向に延びる第1リブが設けられ、
前記第1リブは、少なくとも一部が前記第1流入部よりも下側に位置し、少なくとも一部が前記第1流出部を上側から覆う、
駆動装置。
【請求項2】
軸方向から見て前記第1軸線を通り鉛直方向に延びる第1区画線を想定し、
前記第1内側面は、前記第1区画線で区画される第1部分と第2部分とを有し、
前記第1流入部は、前記第1部分に開口し、
前記第1流出部は、前記第1部分に開口し、
前記第1リブは、前記第1流入部よりも下側で前記第1部分に繋がる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記流路は、
前記ギヤ室内に設けられ、流体を供給する供給部と、
前記供給部と前記第1流入部とを繋ぐ供給流路部と、を有し、
前記供給流路部は、前記第1ベアリング保持部の上端部よりも下側、かつ前記第1軸線よりも上側に位置する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1リブは、軸方向から見て、全長に亘って直線状に延びる、
請求項1~3の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記伝達機構は、
前記第1軸線と平行な第2軸線を中心に回転可能な第2シャフトと、
前記第2シャフトを支持する第2ベアリングと、を有し、
前記ハウジングは、前記側壁部に設けられ前記第2ベアリングを保持する第2ベアリング保持部を有し、
前記第2ベアリング保持部は、前記第2ベアリングを、前記第2軸線を中心とする径方向外側から支持する第2内側面を有し、
前記流路は、
前記第2内側面に開口する第2流入部と、
前記第1流出部と前記第2流入部とを繋ぐ連絡流路部と、有する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第2ベアリング保持部は、前記第2シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる第2対向面を有し、
前記流路は、前記第2流入部よりも下側に位置し前記第2内側面に開口する第2流出部を有し、
前記第2対向面には、軸方向他方側に突出し、軸方向と直交する方向に延びる第2リブが設けられ、
前記第2リブは、少なくとも一部が前記第2流入部よりも下側に位置し、少なくとも一部が前記第2流出部を上側から覆う、
請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
軸方向から見て前記第1軸線を通り鉛直方向に延びる第2区画線を想定し、
前記第2内側面は、前記第2区画線で区画される第3部分と第4部分とを有し、
前記第2流入部は、前記第3部分に開口し、
前記第2流出部は、前記第3部分に開口し、
前記第2リブは、前記第2流入部よりも下側で前記第3部分に繋がる、
請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1リブと前記第2リブとは、軸方向と直交する方向において、互いに異なる方向に延びる、
請求項6又は7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記第1リブおよび前記第2リブは、水平方向に沿って延びる、
請求項6又は7に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記伝達機構は、
前記第1軸線と平行な第3軸線を中心に回転可能な第3シャフトと、
前記第3シャフトを支持する第3ベアリングと、を有し、
前記ハウジングは、前記側壁部に設けられ前記第3ベアリングを保持する第3ベアリング保持部を有し、
前記流路は、
前記ギヤ室内に配置され、流体を供給する供給部と、
前記供給部と前記第1流入部とを繋ぐ第1供給流路部と、を有し、
前記供給部は、前記第1軸線および鉛直方向の両方に交差する第1方向において、前記第1軸線と前記第3軸線との間に位置する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記流路は、前記供給部から前記第3ベアリング保持部の内部に延びる第2供給流路部を有する、
請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記第1対向面には、複数の前記第1リブが設けられる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記第1対向面には、軸方向他方側に突出し、軸方向と直交する方向に延びる第3リブが設けられ、
軸方向から見て前記第1軸線を通り鉛直方向に延びる第1区画線を想定し、
前記第1内側面は、前記第1区画線で区画される第1部分と第2部分とを有し、
前記第1リブは、
前記第1部分に繋がる第1端部と、
前記第2部分と径方向に隙間を介して対向する第2端部と、を有し、
前記第3リブは、
前記第2部分に繋がる第3端部と、
前記第1部分と径方向に隙間を介して対向する第4端部と、を有し、
前記第2端部の上下方向の位置は、第4端部の上下方向の位置と異なる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記第1リブの軸方向他方側の端部には、軸方向一方側に窪む切欠きが設けられる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記第1リブは、軸方向他方側に向かうに従い上側に傾斜する、
請求項1に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車およびハイブリッド自動車などの車両には、駆動装置が搭載される。このような駆動装置の内部には、オイルなどの流体が貯留されており、当該流体によって、駆動装置内のギヤおよびベアリングの潤滑を行う(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-106776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベアリングは、ハウジングに設けられたベアリング保持部によって保持される。ベアリングが複数設けられる場合、それぞれのベアリングに対して安定的に流体を供給し、一部のベアリングへの供給が不足することを抑制することが求められる。
【0005】
本発明の一態様は、複数のベアリングに安定的に流体を供給できる駆動装置の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様の駆動装置は、モータと、前記モータの動力を伝達する伝達機構と、前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、少なくとも一部が前記ハウジングに設けられる流路と、を備える。前記伝達機構は、第1軸線を中心に回転可能な第1シャフトと、前記第1シャフトを支持する第1ベアリングと、を有する。前記ハウジングは、前記ギヤ室を軸方向一方側から覆う側壁部と、前記側壁部に設けられ前記第1ベアリングを保持する第1ベアリング保持部と、を有する。前記第1ベアリング保持部は、前記第1シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる第1対向面と、軸方向に延びて、前記第1ベアリングを、前記第1軸線を中心とする径方向外側から支持する第1内側面から構成される。前記流路は、前記第1内側面に開口する第1流入部と、前記第1流入部よりも下側に位置し前記第1内側面に開口する第1流出部と、を有する。前記第1対向面には、軸方向他方側に突出し、軸方向と直交する方向に延びる第1リブが設けられる。前記第1リブは、少なくとも一部が前記第1流入部よりも下側に位置し、少なくとも一部が前記第1流出部を上側から覆う。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、複数のベアリングに安定的に流体を供給できる駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の駆動装置の概念図である。
図2図2は、第1実施形態の駆動装置に係る側壁部の正面図である。
図3図3は、第1実施形態の第1ベアリング保持部の断面模式図である。
図4図4は、変形例1の第1ベアリング保持部の模式図である。
図5図5は、変形例2の第1ベアリング保持部の模式図である。
図6図6は、変形例3の第1ベアリング保持部の模式図である。
図7図7は、変形例4の第1ベアリング保持部の断面図である。
図8図8は、第2実施形態の駆動装置に係る側壁部の正面図である。
図9図9は、変形例5の第1ベアリング保持部および第2ベアリング保持部の模式図である。
図10図10は、第3実施形態の駆動装置に係る側壁部の正面図である。
図11図11は、第4実施形態の駆動装置に係る側壁部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る駆動装置について説明する。以下の説明では、本実施形態の駆動装置1が水平な路面上に位置する図示しない車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。
【0010】
図面には、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、上下方向である。上下方向とは、例えば鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。本実施形態では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、駆動装置1が搭載される車両の前後方向である。本実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。Y軸方向は、後述する第1軸線J1、第2軸線J2、および第3軸線J3の軸方向に相当する。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0011】
各図に適宜示す第1軸線J1、第2軸線J2、第3軸線J3は、互いに平行であり、Y軸方向(すなわち車両の左右方向であり、水平面に沿う方向)に延びる。本明細書では、特に断りのない限り、軸線J1、J2、J3に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、軸線J1を中心とする周方向、すなわち、軸線J1の軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。また、以下の説明において、軸方向一方側とは、Y軸に沿う方向のうち+Y側を意味し、軸方向他方側とは、Y軸に沿う方向のうち-Y側を意味する。なお、本実施形態において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。また、本明細書において、「軸方向を向く」とは、軸方向と平行な方向、又は軸方向成分を有する方向を向くことを意味する。
【0012】
以下の説明において、X軸と平行な方向である車両前後方向を単に「第1方向」と呼ぶ。また、車両の前側(+X側)を単に第1方向の一方側と呼び、車両の後側(-X側)を、単に第1方向の他方側と呼ぶ。第1方向は、鉛直方向および軸方向の両方と交差する方向である。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の駆動装置1の概念図である。
本実施形態の駆動装置1は、電気自動車(EV)に搭載され、その動力源として使用される。なお、駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等、モータを動力源とする車両に搭載されていてもよい。
【0014】
図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、伝達機構3と、インバータ7と、ハウジング6と、流体Oと、ポンプ8と、クーラ9と、を備える。モータ2、伝達機構3、およびインバータ7は、ハウジング6内に収容される。流体Oは、ハウジング6内に貯留される。ポンプ8およびクーラ9は、ハウジング6の外側面に固定される。
【0015】
<モータ>
本実施形態のモータ2は、三相交流モータである。モータ2は、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備える。モータ2は、伝達機構3の軸方向他方側(-Y側)に位置する。モータ2は、水平方向に延びる第1軸線(モータ軸線)J1を中心として回転するロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ25と、を備える。本実施形態のモータ2は、ステータ25の内側にロータ20が配置されるインナーロータ型モータである。モータ2の構成は、本実施形態に限定されない。
【0016】
ロータ20は、水平方向に延びる第1軸線J1を中心に回転する。ロータ20は、モータシャフト21と、モータシャフト21の外周面に固定されるロータコア24と、ロータコアに固定されるロータマグネット(図示略)と、を有する。
【0017】
モータシャフト21は、第1軸線J1を中心として軸方向に沿って延びる。モータシャフト21は、第1軸線J1を中心として回転する。モータシャフト21は、軸方向一方側(+Y側)の端部は、伝達機構3の第1シャフト46が連結される。これにより、ロータ20のトルクは、伝達機構3に伝達される。モータシャフト21は、中空状のシャフトである。モータシャフト21には、中空部21hから径方向外側に延びる孔21kが設けられる。モータシャフト21は、ベアリングB5、B6を介してハウジング6に回転可能に支持される。
【0018】
ステータ25は、ハウジング6に保持される。ステータ25は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ25は、第1軸線J1を中心とする略環状のステータコア27と、ステータコア27に装着されるコイル26と、を有する。ステータコア27は、ハウジング6に固定される。
【0019】
コイル26は、図示しないインシュレータを介してステータコア27の各ティース部にそれぞれ装着される。コイル26は、複数のコイル線から構成される。また、コイル26は、棒状の導体を複数連結して構成されていてもよい。コイル26には、バスバー30が接続される。コイル26には、バスバー30を介して交流電流が供給される。
【0020】
<インバータ>
インバータ7は、図示略のバッテリから供給される直流電流を交流電流に変換する。インバータ7は、バスバー30を介して、ステータ25のコイル26に接続される。インバータ7は、バスバー30を介してモータ2に電力を供給しモータ2を制御する。
【0021】
<伝達機構>
伝達機構3は、モータ2の軸方向一方側(+Y側)に位置する。伝達機構3は、モータ2の動力を伝達し出力シャフト55から出力する。伝達機構3は、第1シャフト46と、第1ギヤ41と、第2シャフト45と、第2ギヤ42と、第3ギヤ43と、差動装置5と、出力シャフト55と、複数のベアリングB1、B2、B3、B4、B7と、を有する。
【0022】
第1シャフト46および第1ギヤ41は、第1軸線J1を中心に配置される。第1シャフト46および第1ギヤ41は、第1軸線J1を中心に回転可能である。第1シャフト46は、第1軸線J1の軸方向に延びる。第1シャフト46は、軸方向他方側(-Y側)の端部でモータシャフト21に連結される。第1シャフト46は、モータシャフト21と同期して回転する。第1ギヤ41は、第1シャフト46の外周面に設けられる。第1ギヤ41は、第1シャフト46とともに、第1軸線J1を中心に回転する。第1シャフト46は、ベアリングB1、B2を介してハウジング6に回転可能に支持される。
【0023】
第2シャフト45、第2ギヤ42、および第3ギヤ43は、第1軸線J1と平行な第2軸線J2を中心に配置される。第2シャフト45、第2ギヤ42、および第3ギヤ43は、第2軸線J2を中心に回転可能である。第2シャフト45は、第2軸線J2の軸方向に沿って延びる。第2シャフト45は、ベアリングB3、B4を介してハウジング6に回転可能に支持される。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、第2シャフト45の外周面に設けられる。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、軸方向に間隔を空けて配置される。第2ギヤ42および第3ギヤ43は、第2シャフト45とともに、第2軸線J2を中心として回転する。第2ギヤ42は、第1ギヤ41に噛み合う。第3ギヤ43は、後述する差動装置5のリングギヤ51と噛み合う。
【0024】
差動装置5は、リングギヤ51と、デフケース50と、差動機構部5aと、を有する。差動装置5は、第1軸線J1と平行な第3軸線J3を中心に配置される。差動装置5は、第3軸線J3を中心に回転可能である。リングギヤ51は、第3ギヤ43に噛み合う。リングギヤ51は、第3軸線J3周りに回転する。リングギヤ51は、デフケース50に固定される。
【0025】
デフケース50は、内部に差動機構部5aを収容するケース部50bと、第3シャフト5bおよび第4シャフト5cと、を有する。第3シャフト5bは、ケース部50bの外側面から軸方向一方側(+Y側)に突出する。第4シャフト5cは、ケース部50bの外側面から軸方向他方側(-Y側)に突出する。第3シャフト5bおよび第4シャフト5cは、第3軸線J3を中心として軸方向に沿って延びる筒状である。第3シャフト5bおよび第4シャフト5cの内部には、それぞれ出力シャフト55が配置される。第3シャフト5bおよび第4シャフト5cは、第3軸線J3を中心としてリングギヤ51とともに回転する。第3シャフト5bは、ベアリングB7を介してハウジング6に回転可能に支持される。第4シャフト5cは、図示略のベアリングを介してハウジング6に回転可能に支持される。すなわち、伝達機構3は、第3軸線J3を中心に回転可能な第3シャフト5bおよび第4シャフト5cを有する。
【0026】
差動機構部5aは、デフケース50の内部に配置される。差動機構部5aには、デフケース50を介してリングギヤ51の回転が伝わる。差動機構部5aには、一対の出力シャフト55が接続される。差動機構部5aは、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の出力シャフト55にトルクを伝える。
【0027】
一対の出力シャフト55は、第3軸線J3を中心として差動機構部5aから軸方向一方側および他方側に延びる。一対の出力シャフト55は、ハウジング6に、それぞれ第3シャフト5b又は第4シャフト5cの内周面に配置される図示略のベアリングを介して、第3軸線J3を中心として回転可能に支持される。一対の出力シャフト55には、それぞれ車輪(図示略)が接続される。
【0028】
モータ2から出力されるトルクは、モータシャフト21、第1シャフト46、第1ギヤ41、第2ギヤ42、第2シャフト45および第3ギヤ43を介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達され、さらに、差動機構部5a、および出力シャフト55を介して車輪に伝わる。このように、伝達機構3は、車両の車輪にモータ2のトルクを伝達する。
【0029】
<ベアリング>
複数のベアリングB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7は、ハウジング6に保持される。ベアリングB1、B2は、第1軸線J1を中心として配置される。ベアリングB1は、第1シャフト46の軸方向一方側(+Y側)の端部を支持し、ベアリングB2は、第1シャフト46の軸方向他方側(-Y側)の端部を支持する。ベアリングB3、B4は、第2軸線J2を中心として配置される。ベアリングB3は、第2シャフト45の軸方向一方側(+Y側)の端部を支持し、ベアリングB4は、第2シャフト45の軸方向他方側(-Y側)の端部を支持する。ベアリングB5、B6は、第1軸線J1を中心として配置される。ベアリングB5は、モータシャフト21の軸方向一方側(+Y側)の端部を支持し、ベアリングB6は、モータシャフト21の軸方向他方側(-Y側)の端部を支持する。ベアリングB7は、第3軸線J3を中心として配置される。ベアリングB7は、第3シャフト5bの軸方向一方側(+Y側)の端部を支持する。本実施形態の説明では、ベアリングB1を第1ベアリングと呼び、ベアリングB3を第2ベアリングと呼び、ベアリングB7を第3ベアリングと呼ぶ。
【0030】
<ハウジング>
ハウジング6には、モータ2を収容するモータ室6Aと、伝達機構3を収容するギヤ室6Bと、インバータ7を収容するインバータ室6Cと、が設けられる。ギヤ室6Bは、モータ室6Aの軸方向一方側(+Y側)に位置する。また、インバータ室6Cは、モータ室6Aの上側(+Z側)に位置する。
【0031】
ハウジング6内には、流体Oが貯留される。また、ハウジング6には、流体Oが流れる流路90が設けられる。すなわち、駆動装置1は、流体Oが流通可能な流路90を備える。流体Oは、流路90を通過してハウジング6内を循環する。流体Oは、モータ2の冷却用の冷媒としての機能と、伝達機構3の潤滑用としての機能と、を果たす。流体Oとしては、潤滑油および冷却油の機能を果たすために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0032】
ハウジング6の内部空間の下部領域には、流体Oが溜る。すなわち、流体Oは、ハウジング6内の下部領域に溜まる。以下、ハウジング6内の下部領域であって、流体Oが貯留される領域を貯留部Pと呼ぶ。本実施形態のハウジング6において、モータ室6Aの底面とギヤ室6Bの底面とは、上下方向位置が略一致している。このため、貯留部Pは、モータ室6Aの下部領域とハウジング6の下部領域とに跨って設けられる。
【0033】
貯留部Pの流体Oには、リングギヤ51が浸かる。リングギヤ51は、第3軸線J3周りの回転に伴い、貯留部Pの流体Oをかき上げてギヤ室6B内に飛散する。リングギヤ51にかき上げられる流体Oは、ギヤ室6B内の各ギヤに供給されてギヤの歯面などの潤滑に利用される。
【0034】
また、貯留部Pの流体Oは、流路90を通過してモータ室6Aの上部領域、およびギヤ室6Bの上部領域に送られる。モータ室6Aの上部領域に送られた流体Oは、モータ2の表面を伝ってモータ2を冷却した後に、モータ室6Aの下部領域の貯留部Pに滴下する。また、ギヤ室6Bの上部領域に送られた流体Oは、伝達機構3の各ギヤ、および伝達機構3を支持するベアリングを潤滑した後に、ギヤ室6Bの下部領域の貯留部Pに戻る。
【0035】
ハウジング6は、複数の部材を組み合わせて構成される。ハウジング6は、ハウジング本体(第1部材)61と、ハウジング本体61の軸方向他方側(-Y側)に位置するモータカバー63と、ハウジング本体61の軸方向一方側(+Y側)に位置するギヤカバー(第2部材)62と、ハウジング本体61の上側(+Z側)に位置するインバータカバー64と、を有する。
【0036】
ハウジング本体61は、隔壁65と、第1筒部61aと、第2筒部61bと、箱状部61cと、を有する。隔壁65は、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる。第1筒部61aは、隔壁65から軸方向他方側(-Y側)に突出する。第1筒部61aは、第1軸線J1を囲む筒状である。第2筒部61bは、隔壁65から軸方向一方側(+Y側)に突出する。第2筒部61bは、第1軸線J1、第2軸線J2、および第3軸線J3を囲む筒状である。箱状部61cは、第1筒部61aの外側面の一部を底面として上側に開口する箱状である。箱状部61cの開口は、インバータカバー64によって覆われる。インバータ室6Cは、箱状部61cの内側面と、インバータカバー64とによって囲まれた空間に設けられる。
【0037】
隔壁65は、モータ室6Aとギヤ室6Bとを区画する。隔壁65には、シャフト挿通孔65cと隔壁開口65bとが設けられる。シャフト挿通孔65cおよび隔壁開口65bは、隔壁65を軸方向に貫通する。シャフト挿通孔65cおよび隔壁開口65bは、モータ室6Aとギヤ室6Bとを繋ぎ、これらを互いに連通させる。シャフト挿通孔65cの内側面は、ベアリングB5、B2を介してモータシャフト21および第1シャフト46を支持する。本実施形態では、モータシャフト21と第1シャフト46とは、シャフト挿通孔65cの内部で互いに連結される。しかしながら、モータシャフト21と第1シャフト46とは、シャフト挿通孔65cの外部で連結されていてもよい。隔壁開口65bは、シャフト挿通孔65cよりも下側に位置する。隔壁開口65bは、モータ室6Aからギヤ室6Bに流れる流体Oの流路を構成する。
【0038】
モータカバー63は、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる板状である。モータカバー63は、第1筒部61aの軸方向他方側(-Y側)の開口を覆う。モータ室6Aは、第1筒部61aの径方向内側、隔壁65の軸方向他方側(-Y側)、かつモータカバー63の軸方向一方側(+Y側)の空間に設けられる。
【0039】
ギヤカバー62は、軸方向他方側(-Y側)に開口する凹形状である。ギヤカバー62は、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる板状の側壁部62wと、側壁部62wから軸方向他方側(-Y側)に突出する第3筒部62bと、を有する。ギヤカバー62は、第2筒部61bの軸方向一方側(+Y側)の開口を覆う。第3筒部62bの軸方向他方側(-Y側)の端面は、第2筒部61bの軸方向一方側(+Y側)の端面に連結される。ギヤ室6Bは、第2筒部61bおよび第3筒部62bの径方向内側、隔壁65の軸方向一方側(+Y側)、かつ側壁部62wの軸方向他方側(-Y側)の空間に設けられる。すなわち、側壁部62wは、ギヤ室6Bを軸方向一方側(+Y側)から覆う。
【0040】
図2は、本実施形態の駆動装置1に係る側壁部62wの正面図である。
側壁部62wには、第1ベアリング保持部71、第2ベアリング保持部72、および第3ベアリング保持部73が設けられる。すなわち、ハウジング6は、第1ベアリング保持部71、第2ベアリング保持部72、および第3ベアリング保持部73を有する。
【0041】
図3は、第1ベアリング保持部71の断面模式図である。
第1ベアリング保持部71は、第1筒状部(第1壁部)71sと、第1対向壁部71tと、を有する。第1筒状部71sは、第1軸線J1を中心とする略円筒状である。第1筒状部71sは、第1ベアリングB1を第1軸線J1の径方向外側から囲む。第1対向壁部71tは、第1軸線J1と直交する平面に沿って延びる。第1対向壁部71tは、側壁部62wの一部であり、軸方向から見て第1筒状部71sに囲まれる領域である。
【0042】
第1対向壁部71tは、軸方向他方側(-Y側)側を向く第1対向面71aを有する。第1対向面71aは、軸方向と直交する方向に延びる。第1対向面71aは、第1シャフト46の軸方向一方側(+Y側)の端部よりも軸方向一方側に位置する。第1対向面71aは、第1シャフト46の軸方向一方側の端面46fと軸方向に対向する。第1対向面71aには、第1リブ76が設けられる。第1リブ76は、第1対向面71aから軸方向他方側(-Y側)に突出する。第1リブ76は、軸方向と直交する方向に延びる。第1リブ76については、後段において詳細に説明する。
【0043】
第1筒状部71sは、第1内側面71bを有する。第1内側面71bは、軸方向他方側(-Y側)を向く段差面71fと、段差面71fより軸方向他方側に位置する大径部71gと、段差面71fより軸方向一方側に位置する小径部71hと、を有する。段差面71fは、軸方向から見て略円環状である。段差面71fは、第1ベアリングB1を軸方向一方側(+Y側)から支持する。段差面71fと第1ベアリングB1との軸方向の間には、略円環板状のシムSが配置される。
【0044】
大径部71gは、第1軸線J1を中心として軸方向に延びる筒状の径方向内側の面である。大径部71gは、段差面71fの外縁から軸方向他方側(-Y側)に延びる。大径部71gは、第1ベアリングB1の外側面を径方向外側から囲む。第1内側面71bは、大径部71gにおいて、第1ベアリングB1を、第1軸線J1を中心とする径方向外側から支持する。
【0045】
小径部71hは、段差面71fの内縁から軸方向一方側(+Y側)に延びる。また、小径部71hは、第1対向面71aに繋がる。すなわち、第1内側面71bは、小径部71hにおいて、第1対向面71aから軸方向他方側(-Y側)に延びる。小径部71hは、第1軸線J1を中心として軸方向に延びる円筒状の面である。小径部71hの内径は、大径部71gの内径よりも小さい。
【0046】
図2に示すように、第2ベアリング保持部72は、第2筒状部(第2壁部)72sと、第2対向壁部72tと、を有する。第2筒状部72sは、第2軸線J2を中心とする円筒状である。第2筒状部72sは、第2ベアリングB3を第2軸線J2の径方向外側から囲む。図1に示すように、第2筒状部72sは、第2内側面72bを有する。第2内側面72bは、第2ベアリングB3を、第2軸線J2を中心とする径方向外側から支持する。なお、第2筒状部72sは、上述の第1筒状部71sと略同様の構成を有する。すなわち、第2内側面72bには、第1内側面71bと同様の段差部、大径部、および小径部が設けられる。
【0047】
第2対向壁部72tは、第2軸線J2と直交する平面に沿って延びる。第2対向壁部72tは、側壁部62wの一部であり、軸方向から見て第2筒状部72sに囲まれる領域である。第2対向壁部72tは、軸方向他方側(-Y側)側を向く第2対向面72aを有する。第2対向面72aは、軸方向と直交する方向に延びる。第2対向面72aは、第2シャフト45の軸方向一方側(+Y側)の端部よりも軸方向一方側に位置する。第2対向面72aは、第2シャフト45の軸方向一方側の端面と軸方向に対向する。第2対向面72aは、第2内側面72bに繋がる。すなわち、第2内側面72bは、第2対向面72aから軸方向他方側(-Y側)に延びる。
【0048】
図2に示すように、第3ベアリング保持部73は、第3筒状部(第3壁部)73sを有する。第3筒状部73sは、第3軸線J3を中心とする略円筒状である。第3筒状部73sは、第3ベアリングB7を第3軸線J3の径方向外側から囲む。第3筒状部73sは、側壁部62wから軸方向他方側(-Y側)に延びる。第3筒状部73sは、第3内側面73bを有する。第3内側面73bは、第3ベアリングB7を、第3軸線J3を中心とする径方向外側から支持する。なお、第3筒状部73sは、上述の第1筒状部71sと略同様の構成を有する。すなわち、第3内側面73bには、第1内側面71bと同様の段差部、大径部、および小径部が設けられる。
【0049】
図2に示すように、ギヤ室6Bには、リングギヤ51の歯先に沿って湾曲して延びるガイド壁部67が設けられる。本実施形態では、ガイド壁部67は、側壁部62wから軸方向他方側(-Y側)に突出するリブである。ガイド壁部67は、第3軸線J3を中心として略円弧状に延びる。ガイド壁部67は、リングギヤ51の歯先に沿って湾曲する。ガイド壁部67は、第3軸線J3の径方向内側を向く面によって貯留部Pの流体Oを、リングギヤ51の歯先に沿って第3軸線J3周りの周方向に誘導する。ガイド壁部67が設けられることにより、リングギヤ51は効率的に流体Oをかき上げることができる。なお、ガイド壁部67は、側壁部62wと別部材であってもよい。隔壁65に軸方向一方側に突出するリブとして、設けられてもよい。側壁部62wに設けられ軸方向他方側(-Y側)に突出するリブと、隔壁65に設けられ軸方向一方側(+Y側)に突出するリブと、が組み合わされて、ガイド壁部67が構成されてよい。
【0050】
<流路>
図1に示す流路90は、流体Oが流れる循環経路である。すなわち、流体Oは、ハウジング6に設けられた流路90を流れる。流路90は、少なくとも一部がハウジング6に設けられていればよい。流路90は、貯留部Pから流体Oをモータ2および伝達機構3に供給する流体Oの経路である。なお、本明細書において「流路」とは、定常的に一方向に向かう流体Oの流動を作る経路のみならず、流体Oを一時的に滞留させる経路、および流体Oが滴り落ちる経路をも含む概念である。
【0051】
流路90中には、ポンプ8、クーラ9、第1供給管93A、および第2供給管94Aが配置される。第1供給管93Aおよび第2供給管94Aは、ハウジング6の内部に配置される。
【0052】
ポンプ8は、ギヤ室6Bの貯留部Pから流体Oを吸い込み圧送する。ポンプ8は、流体Oをモータ2、および伝達機構3に供給する。本実施形態のポンプ8は、電気により駆動する電動ポンプである。
【0053】
クーラ9は、流路90の流体Oを冷却する。クーラ9の内部には、図示略の冷媒が流れる。クーラ9は、流体Oの熱を冷媒に移動させる熱交換器である。クーラ9には、ポンプ8から圧送されてきた流体Oが流れ込む。流れ込んだ流体Oは、クーラ9において、冷媒との間で熱交換が行われて、冷却される。なお、冷媒は図示略のラジエータによって別途冷却されている。
【0054】
第1供給管93Aは、モータ室6Aに配置される。本実施形態では、第1供給管93Aは2つ設けられる。2つの第1供給管93Aは、ステータ25の径方向外側において、それぞれ軸方向に沿って延びる。第1供給管93Aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、隔壁65に支持され、軸方向他方側(-Y側)の端部は、モータカバー63に支持される。第1供給管93Aには、ステータ25に向けて開口する複数の噴出孔93kが設けられる。なお、第1供給管93Aは2つに限定されない。第1供給管93Aは、例えば1つ設けられていてもよく、3つ以上設けられていてもよい。
【0055】
第2供給管94Aは、ギヤ室6Bに配置される。第2供給管94Aは、軸方向に沿って延びる。第2供給管94Aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ギヤカバー62に支持され、軸方向他方側(-Y側)の端部は、隔壁65に支持される。本実施形態の第2供給管94Aは、第1供給管93Aと軸方向に並んで配置される。第2供給管94Aには、伝達機構3に向けて開口する複数の噴出孔94kが設けられる。なお、第1供給管93Aと第2供給管94Aとは軸方向に並んで配置されていなくてもよい。
【0056】
本実施形態の流路90は、吸入流路部91と、第1圧送流路部91Aと、第2圧送流路部92と、第3圧送流路部93と、第4圧送流路部94と、供給流路部96と、連絡流路部97と、末端流路部99と、を有する。第3圧送流路部93および第4圧送流路部94は、それぞれ第1供給管93Aおよび第2供給管94Aの内部を通る流路である。
【0057】
吸入流路部91は、貯留部Pとポンプ8とを繋ぐ流路である。第1圧送流路部91Aは、ポンプ8からモータカバー63まで延びる。第1圧送流路部91Aの経路中には、クーラ9が配置される。第2圧送流路部92は、モータカバー63に設けられる。第2圧送流路部92は、上流側の端部で第1圧送流路部91Aに繋がる。第2圧送流路部92は、途中で2つに分岐し、1つ目の分岐流路でモータシャフト21の中空部21hに繋がり、2つ目の分岐流路で第1供給管93Aに繋がる。第2圧送流路部92内に流入した流体Oの一部は、中空部21hと第1供給管93Aとにそれぞれ流入する。中空部21hに供給される流体Oの一部は、モータシャフト21を支持するベアリングB5、B6に供給されて、ベアリングB5、B6を潤滑する。中空部21hに供給される流体Oの他の一部は、遠心力によって孔21kを通過しロータ20から径方向外側に飛散してステータ25に供給される。
【0058】
第1供給管93Aに供給される流体Oは、第1供給管93Aの内部に設けられる第3圧送流路部93を流れる。第3圧送流路部93を流れる流体Oの一部は、噴出孔93kを介してモータ2に供給される。第3圧送流路部93の下流側の端部は、第4圧送流路部94に繋がる。第4圧送流路部94は、第2供給管94Aの内部に設けられる。第4圧送流路部94に流入した流体Oの一部は、噴出孔94kを介して伝達機構3に供給される。
【0059】
図2に示すように、ギヤカバー62の側壁部62wには、第2供給管94Aの軸方向一方側(+Y側)の端部が挿入される支持凹部62hが設けられる。第2供給管94Aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ギヤ室6Bに流体Oを供給する供給部95として機能する。すなわち、流路90は、ギヤ室6Bに流体Oを供給する供給部95を有する。
【0060】
供給流路部96は、側壁部62wの軸方向他方側(-Y側)を向く面に設けられる溝である。供給流路部96は、軸方向から見て直線状に延びる。供給流路部96は、支持凹部62hから第2ベアリング保持部72の内側まで延びる。第2供給管94Aの端部から流出する流体Oは、供給流路部96を通って第2ベアリング保持部72の内側に達し第2ベアリングB3を潤滑する。供給流路部96は、側壁部62wの内部に設けられる孔であってもよい。
【0061】
連絡流路部97は、第2ベアリング保持部72の内側と第1ベアリング保持部71の内側とを繋ぐ孔部である。本実施形態では、連絡流路部97は、全長に亘って直線状に延びる。第2ベアリング保持部72の内側の流体Oは、連絡流路部97を通って第1ベアリング保持部71の内側に達しベアリングB1を潤滑する。なお、連絡流路部97は、全長に亘って直線状に延びていなくてもよい。例えば、屈曲していてもよく、湾曲していてもよい。
【0062】
本実施形態によれば、流路90が第2ベアリング保持部72と第1ベアリング保持部71とを繋ぐ連絡流路部97を有する。これにより、流体Oの一部は、第2ベアリング保持部72に供給されて第2ベアリングB3を潤滑し、他の一部は、第1ベアリング保持部71に移動して第1ベアリングB1を潤滑することができる。本実施形態の流路90によれば、複数のベアリングB1、B3に流体Oを供給することができ、これらのベアリングB1、B3の焼き付きを抑制できる。
【0063】
末端流路部99は、側壁部62wに設けられる孔部である。本実施形態では、末端流路部99は、全長に亘って直線状に延びる。末端流路部99は、第1内側面71bとギヤ室6Bの下部領域に開口する開口端99bとを繋ぐ。すなわち、末端流路部99は、ギヤ室6Bに開口する開口端99bを有する。開口端99bは、末端流路部99の下端に位置する。開口端99bは、第1方向(X軸方向)において、ガイド壁部67よりもリングギヤ51側に配置される。本実施形態の開口端99bは、軸方向から見てリングギヤ51に重なる。なお、末端流路部99は、全長に亘って直線状に延びていなくてもよい。例えば、屈曲していてもよく、湾曲していてもよい。
【0064】
駆動装置1が駆動すると、リングギヤ51による流体Oのかき上げによって、リングギヤ51の周囲であって、ガイド壁部67よりも第2方向の他方側(-X側)の領域で流体Oの液位が低下する場合がある。この場合、リングギヤ51による流体Oのかき上げ量が低下し、ギヤ室6B内の各ギヤへの流体Oの供給量が不足する虞がある。本実施形態によれば、末端流路部99を介して、流体Oがリングギヤ51の周囲に供給されることで、リングギヤ51の周囲における流体Oの液位の低下を抑制できる。これにより、リングギヤ51のかき上げ量を確保し、各ギヤへの流体Oの供給量が不足することを抑制できる。
【0065】
本実施形態の末端流路部99の上流側には第1ベアリング保持部71、および第2ベアリング保持部72が配置される。したがって、末端流路部99を流れる流体Oは、ベアリングB1、B3を潤滑した流体Oである。末端流路部99を流れる流体Oは、第1ベアリング保持部71から第2ベアリング保持部72へと流れてきたものである。本実施形態の流路90によれば、流体Oが末端流路99を介してリングギヤ51の周囲に供給される前に、ベアリングB1、B3に供給することができる。よって、ベアリングB1、B3の焼き付きを効果的に抑制できる。
【0066】
第2内側面72bには、流入部96bと流出部97aとが開口する。すなわち、流路90は、流入部96bおよび流出部97aを有する。流入部96bは、供給流路部96の下端部に位置する。流出部97aは、流入部96bよりも下側に位置する。流出部97aは、連絡流路部97の上端に位置する。流体Oは、流入部96bから第2ベアリング保持部72の内部に流入する。また、流体Oは、流出部97aを介して第2ベアリング保持部72から流出する。
【0067】
第1内側面71bには、第1流入部97bと第1流出部99aとが開口する。すなわち、流路90は、第1流入部97bおよび第1流出部99aを有する。第1流入部97bは、連絡流路部97の下端に位置する。第1流出部99aは、第1流入部97bよりも下側に位置する。第1流出部99aは、末端流路部99の上端に位置する。流体Oは、第1流入部97bから第1ベアリング保持部71の内部に流入する。また、流体Oは、第1流出部99aを介して第1ベアリング保持部71から流出する。
【0068】
第1ベアリング保持部71の内部には、第1リブ76が配置される。第1リブ76は、軸方向から見て、全長に亘って直線状に延びる。第1リブ76は、第1端部76aと第2端部76bとを有する。第1端部76aは、第2端部76bよりも上側に位置する。第1端部76aは、第1内側面71bに繋がる。第1端部76aは、第1流入部97bの近傍であって第1流入部97bよりも下側に位置する。また、第1端部76aは、第1流出部99aよりも上側に位置する。第1リブ76は、第1端部76aにおいて第1内側面71bから流れてくる流体Oを第2端部76bに向けて導く。
【0069】
本実施形態によれば、第1ベアリング保持部71に第1流出部99aが設けられることで、第1ベアリング保持部71に供給した流体Oの一部を、第1流出部99aを介して、他の部分(例えば、リングギヤ51の周囲)に供給できる。
【0070】
本実施形態の第1リブ76は、少なくとも一部が第1流入部97bよりも下側に位置する。また、本実施形態の第1リブ76は、少なくとも一部が、第1流出部99aを上側から覆う。第1リブ76の少なくとも一部が第1流入部97bよりも下側に位置することで、第1流入部97bから第1ベアリング保持部71に流入した流体Oは、第1リブ76によって受け止められる。すなわち、本実施形態によれば、第1リブ76は、流体Oが、第1流出部99aへ直接的に導かれることを抑制する。第1リブ76の少なくとも一部が、第1流出部99aを上側から覆うことで、第1ベアリング保持部71内の流体Oがすぐに第1流出部99aに達することが抑制される。すなわち、本実施形態によれば、第1リブ76を設けることによって、第1流入部97bから第1流出部99aに至る経路が長くなる。本実施形態によれば、第1リブ76は、第1ベアリング保持部71に流入した流体Oが、第1流出部99aを介し第3筒状部73s側へ即座に流出してしまうことを抑制できる。流体Oが第1ベアリング保持部71内を流れている時間が長くなることで、流体Oが第1ベアリングB1に供給され易くなる。また、第1リブ76を伝う流体Oの一部は、第1リブ76から軸方向他方側(-Y側)に流れる過程で第1ベアリングB1に供給される。このため、第1リブ76を設けることで、より多くの流体Oを第1ベアリングB1に供給できる。
【0071】
本明細書において、「上側から覆う」とは、対象の部位よりも上側に位置し、かつ鉛直方向から見て対象の部位の少なくとも一部に重なることを意味する。したがって、実施形態の第1リブ76の少なくとも一部は、第1流出部99aよりも上側に位置し、かつ鉛直方向から見て第1流出部99aの少なくとも一部に重なる。
【0072】
ここで、図2に示すように、軸方向から見て第1軸線J1を通り鉛直方向に延びる第1区画線L1を想定する。第1内側面71bは、第1区画線L1で区画される第1部分71cと第2部分71dとを有する。第1部分71cおよび第2部分71dは、それぞれ第1内側面71bの一部であり、軸方向から見て、それぞれ略半円状に延びる。第1部分71cは、第1区画線L1に対し第1方向の他方側(-X側)に位置する。第2部分71dは、第1区画線L1に対し第1方向の一方側(+X側)に位置する。第1部分71cと第2部分71dとは、第1軸線J1を挟んで互いに対向する。
【0073】
本実施形態において、第1流入部97bは、第1部分71cに開口する。また、第1流出部99aは、第1部分71cに開口する。すなわち、第1流入部97bと第1流出部99aは、第1区画線L1で区画される2つの領域のうち、同じ領域である第1部分71cに開口する。さらに、第1リブ76は、第1流入部97bよりも下側で第1部分71cに繋がる。上述したように、第1リブ76は、第1流出部99aを上側から覆う。したがって、第1リブ76の第1端部76aは、第1流入部97bと第1流出部99aとの間で、第1部分71cに繋がる。
【0074】
本実施形態では、第1流入部97bと第1流出部99aとが、ともに第1部分71cに開口する。第1流入部97bと第1流出部99aとがこのように配置される場合に、第1リブ76が設けられないと、第1流入部97bから第1ベアリング保持部71の内部に流入する流体Oは、第1部分71cを伝って下側に流れ、第1内側面71bの下端に達する経路中に第1流出部99aから流出してしまう。したがって、この場合、第1ベアリング保持部71の下端に流体Oが溜まり難い。これに対し本実施形態によれば、流体Oが伝う第1部分71cに第1リブ76が繋がる。このため、第1部分71cを伝って下側に流れる流体Oの少なくとも一部は、第1リブ76を伝って第1内側面71bの下端に溜る。結果的に、流体Oが第1ベアリング保持部71内から第1流出部99aを介し第3筒状部73s側に即座に流出することを抑制することができ、流体Oが第1ベアリングB1に供給され易くなる。
【0075】
また、本実施形態の第1リブ76は、第1区画線L1を超えて第1方向(X軸方向)に延びる。すなわち、第1端部76aが第1区画線L1に対し第1部分71c側に配置され、第2端部76bが第1区画線L1に対し第2部分71d側に配置される。本実施形態の第1リブ76は、第1部分71cで内側面71bから伝う流体Oを、第2部分71d側に迂回させることができ、より流体Oを第1内側面71bの下端に溜めやすくすることができる。よって、流体OがベアリングB1に供給されやすくなる。
【0076】
本実施形態では、第1リブ76の第1端部76aが、第1内側面71bに繋がる。これにより、第1内側面71bを伝う流体Oを第1リブ76の表面に導きやすくなる。しかしながら、第1リブ76は、必ずしも第1内側面71bに繋がっていなくてもよい。また、第1リブ76は、第1端部76aのみならず、第2端部76bにおいても第1内側面71bに繋がっていてもよい。
【0077】
本実施形態の流路90中の流体Oは、ポンプ8によって圧送される。本実施形態のポンプ8は電気的に制御される電動ポンプである。このため、ポンプ8は、伝達機構3の動作と連動して駆動するメカニカルポンプである場合と比較して、伝達機構3の駆動状態と無関係に各ベアリングB1、B3に流体Oを安定的に供給することができる。具体的には、例えば、駆動装置1を長期間駆動しなかった場合など、ベアリングB1、B3の潤滑の不足が懸念される場合に、モータ2を駆動させる前にポンプ8を先行して駆動させ、ギヤ室6Bに流体Oを供給することができる。これにより、ベアリングB1、B3、および伝達機構3を潤滑させることができる。
【0078】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の駆動装置に採用可能な変形例の第1ベアリング保持部について説明する。以下に説明する各変形例の説明において、既に説明した実施形態又は変形例と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
(変形例1)
図4は、変形例1の第1ベアリング保持部71Aの模式図である。
本変形例の第1ベアリング保持部71Aは、上述の実施形態と同様に、第1対向面71aと、第1内側面71bと、を有する。本変形例において、第1対向面71aには、複数(本変形例では2つ)の第1リブ76A、76Bが設けられる。複数の第1リブ76A、76Bは、軸方向から見て、全長に亘って直線状に延びる。複数の第1リブ76A、76Bは、それぞれ、少なくとも一部が第1流入部97bよりも下側に位置する。また、複数の第1リブ76A、76Bは、それぞれ、少なくとも一部が第1流出部99aを上側から覆う。
【0080】
本変形例によれば、第1流入部97bから第1ベアリング保持部71Aに流入した流体Oを複数の第1リブ76A、76Bによって受け止めることができ、第1ベアリング保持部71A内において流体Oが流れている時間をさらに長くすることができる。よって、流体OがベアリングB1に供給されやすくなる。また、流体Oを第1内側面71bの下端に溜めやすくすることができ、流体OがベアリングB1に供給されやすくなる。
【0081】
2つの第1リブ76A、76Bは、それぞれ第1内側面71bに繋がる。本実施形態では、2つの第1リブ76A、76Bのうち、下側に位置する第1リブ76Bの長さは、上側に位置する第1リブ76Aの長さよりも長い。下側に位置する第1リブ76Bは、上側に位置する第1リブ76Aの全長に対して下側に配置される。すなわち、鉛直方向(Z軸方向)から見て、上側の第1リブ76Aの全長は、下側の第1リブ76Bに重なる。本変形例によれば、上側の第1リブ76Aから下側に流れ落ちる流体Oを、下側の第1リブ76Bによって受けとめることができる。これにより、第1ベアリング保持部71Aを流体Oが流れる時間をさらに長くすることができる。なお、上側に位置する第1リブ76Aの長さは、下側に位置する第1リブ76Bの長さよりも長くてもよい。この場合、鉛直方向(Z軸方向)から見て、下側の第1リブ76Bの全長が、上側の第1リブ76Aに重なる。また、第1リブ76Aの長さは、第1リブ76Bの長さと同じであってもよい。
【0082】
本変形例では、第1ベアリング保持部71Aが2つの第1リブ76A、76Bを有する場合について説明したが、第1リブの数は複数であれば3つ以上であってもよい。本変形例において、複数の第1リブ76A、76Bは、第1方向(X軸方向)と平行に延びる。しかしながら、第1リブ76A、76Bは、互いに異なる方向に延びていてもよい。また、第1リブ76Aの形状は、第2リブ76Bと異なっていてもよい。第1リブ76Aの軸方向の高さは、第2リブ76Bの軸方向の高さと異なっていてもよく、同じであってもよい。第1リブ76AのZ軸方向における幅は、第2リブ76BのZ軸方向における幅と異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0083】
(変形例2)
図5は、変形例2の第1ベアリング保持部71Cの模式図である。
本変形例の第1ベアリング保持部71Cは、上述の実施形態と同様に、第1対向面71aと、第1内側面71bと、を有する。本変形例において、第1対向面71aには、第1リブ76Cと、第3リブ78と、が設けられる。第1リブ76Cおよび第3リブ78は、第1対向面71aから軸方向他方側(-Y側)に突出し、軸方向と直交する方向に延びる。第1リブ76Cおよび第3リブ78は、軸方向から見て、全長に亘って直線状に延びる。上述の実施形態と同様に、第1リブ76Cは、少なくとも一部が第1流入部97bよりも下側に位置し、少なくとも一部が第1流出部99aを上側から覆う。
【0084】
第1リブ76Cは、第1部分71cに繋がる第1端部76aと、第2部分71dと径方向に隙間を介して対向する第2端部76bと、を有する。第2端部76bは、第1端部76aよりも下側に位置する。第1リブ76Cは、第1流入部97bから流入した流体Oを、第1端部76aで受け止めて第2端部76bに向けて導く。
【0085】
第3リブ78は、第2部分71dに繋がる第3端部78aと、第1部分71cと径方向に隙間を介して対向する第4端部78bと、を有する。第4端部78bは、第1リブ76Cの直下に配置される。すなわち、第4端部78bは、第1リブ76Cよりも下側に位置し、鉛直方向(Z軸方向)から見て第1リブ76Cに重なる。第4端部78bは、第3端部78aよりも下側に位置する。
【0086】
第1リブ76Cの第2端部76bの上下方向の位置は、第4端部78bの上下方向の位置と異なる。第3リブ78は、第1リブ76Cから下側に流れる流体Oを受け止めて第2端部76bに向けて導く。本変形例によれば、流体Oを第1リブ76Cおよび第3リブ78の表面に流すことで、流体Oが第1ベアリング保持部71A内を流れている時間をさらに長くすることができる。よって、流体OがベアリングB1に供給されやすくなる。なお、本変形例では、第2端部76bが第4端部78bよりも上側に位置する場合について説明した。しかしながら、第2端部76bは、第4端部78bよりも下側に位置していてもよい。この場合、第1リブ76Cは、第3リブ78から下側に流れた流体Oを受け止める。また、第1リブ76Cの形状は、第3リブ78の形状と異なっていてもよい。第1リブ76Cの軸方向の高さは、第3リブ78の軸方向の高さと異なっていてもよく、同じであってもよい。第1リブ76CのZ軸方向における幅は、第3リブ78のZ軸方向における幅と異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0087】
(変形例3)
図6は、変形例3の第1ベアリング保持部71Dの模式図である。
本変形例の第1ベアリング保持部71Dは、上述の実施形態と同様に、第1対向面71aと、第1内側面71bと、を有する。また、第1対向面71aには、第1リブ76Dが設けられる。上述の実施形態と同様に、第1リブ76Dは、少なくとも一部が第1流入部97bよりも下側に位置し、少なくとも一部が第1流出部99aを上側から覆う。
【0088】
本変形例の第1リブ76Dには、軸方向他方側(-Y側)の端部から軸方向一方側(+Y側)に窪む切欠き76gが設けられる。本変形例によれば、第1リブ76Dを伝う流体Oの一部は、切欠き76gから下側に流れ落ちる。本変形例によれば、第1リブ76Dから第1流出部99aに適度に流体Oを送ることができ、流体Oを第1流出部99aの下流側に安定的に供給できる。なお、切欠き76gのX軸方向の幅は、上下方向において一定であってもよく、徐々に広くなる、あるいは、徐々に狭くなってもよい。切欠き76gの軸方向の深さは、上下方向において一定であってもよく、異なっていてもよい。
【0089】
(変形例4)
図7は、変形例4の第1ベアリング保持部71Eの断面図である。
本変形例の第1ベアリング保持部71Eは、上述の実施形態と同様に、第1対向面71aと、第1内側面71bと、を有する。また、第1対向面71aには、第1リブ76Eが設けられる。上述の実施形態と同様に、第1リブ76Eは、少なくとも一部が第1流入部97bよりも下側に位置し、少なくとも一部が第1流出部99aを上側から覆う。
【0090】
第1リブ76Eは、第1対向面71aから軸方向他方側(-Y側)に突出する。本変形例の第1リブ76Eは、軸方向他方側(-Y側)に向かうに従い上側に傾斜する。したがって第1リブ76Eと第1対向面71aとの軸方向の間には、流体Oが溜まる。本変形例の第1リブ76Eによれば、第1流入部97bから流入した流体Oを保持することができ第1ベアリング保持部71E内を流体Oが流れる時間を長くすることができる。よって、流体OがベアリングB1に供給されやすくなる。なお、第1リブ76Eは、軸方向他方側(-Y側)に向かうに従い、まっすぐに延びてもよく、湾曲して延びてもよい。また、第1リブ76EのX軸方向の長さは、第1対向壁部71tの内径よりも短い。
【0091】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の駆動装置に係る側壁部162wの正面図である。本実施形態の側壁部162wは、上述の実施形態と比較して、第1ベアリング保持部172および第2ベアリング保持部71の何れにもリブが設けられる点が主に異なる。
【0092】
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の第1シャフト45は、第1実施形態の第2シャフト45と同様の構成を有する。本実施形態の第2シャフト46は、第1実施形態の第1シャフト46と同様の構成を有する。本実施形態の第1ベアリングB3は、第1実施形態の第2ベアリングB3と同様の構成を有する。本実施形態の第2ベアリングB1は、第1実施形態の第1ベアリングB1と同様の構成を有する。本実施形態の第2ベアリング保持部71は、第1実施形態の第1ベアリング保持部71と同様の構成を有する。また、本実施形態の第1ベアリング保持部172は、第1実施形態の第2ベアリング保持部72と比較して、第1リブ177を有する点を除いて同様の構成を有する。
【0093】
側壁部162wには、第1ベアリング保持部172、第2ベアリング保持部71および第3ベアリング保持部73が設けられる。また、側壁部162wには、流路90の供給部95、供給流路部96、連絡流路部97、および末端流路部99が設けられる。
【0094】
第1ベアリング保持部172は、上述の実施形態と同様に、第1対向面72aと第1内側面72bとを有する。第1内側面72bには、第1流入部96bと第1流出部97aとが開口する。すなわち、流路90は、第1流入部96bおよび第1流出部97aを有する。流体Oは、第1流入部96bから第1ベアリング保持部172の内部に流入する。また、流体Oは、第1流出部97aを介して第1ベアリング保持部172から流出する。
【0095】
第1対向面72aには、第1リブ177が設けられる。第1リブ177は、第1対向面72aから軸方向他方側(-Y側)に突出する。第1リブ177は、軸方向と直交する方向に延びる。第1リブ177は、軸方向から見て、全長に亘って直線状に延びる。第1リブ177は、第1端部177aと第2端部177bとを有する。第1端部177aは、第2端部177bよりも上側に位置する。第1端部177aは、第1内側面72bに繋がる。第1端部177aは、第1流入部96bの近傍であって第1流入部96bよりも下側に位置する。第1端部177aは、第1流出部97aよりも上側に位置する。第1リブ177は、第1端部177aにおいて第1内側面72bから流れてくる流体Oを第2端部177bに向けて導く。
【0096】
本実施形態の第1リブ177は、少なくとも一部が第1流入部96bよりも下側に位置し、少なくとも一部が、第1流出部97aを上側から覆う。本実施形態によれば、第1リブ177によって第1流入部96bから第1流出部97aに至る経路が長くなる。これにより、第1リブ177は、第1ベアリング保持部172に流入した流体Oが、第1流出部97aを介し外部に、即座に流出してしまうことを抑制できる。より流体Oを第1内側面72bの下端に溜めやすくなり、流体Oが第1ベアリングB3に供給され易くなる。また、流体Oが第1リブ177を伝う際に、第1ベアリングB3に供給されるため、より多くの流体を第1ベアリングB3に供給できる。
【0097】
図8に示すように、軸方向から見て第1軸線J2(第1実施形態の第2軸線)を通り鉛直方向に延びる第1区画線L2を想定する。
第1内側面72bは、第1区画線L2で区画される第1部分72cと第2部分72dとを有する。第1部分72cおよび第2部分72dは、それぞれ第1内側面72bの一部であり、軸方向から見て、それぞれ略半円状に延びる。第1部分72cは、第1区画線L2に対し第2方向の一方側(+X側)に位置する。第2部分72dは、第1区画線L2に対し第2方向の他方側(-X側)に位置する。本実施形態において、第1流入部96bおよび第1流出部97aは、第1部分72cに開口する。また、第1リブ177は、第1流入部96bよりも下側で第1部分72cに繋がる。
【0098】
本実施形態では、第1流入部96bと第1流出部97aが、ともに第1部分72cに開口する。本実施形態によれば、第1内側面72bに第1リブ177が繋がるため、第1内側面72bを伝って下側に流れる流体Oの少なくとも一部は、第1リブ177を伝った後に第1流出部97aに達する。結果的に、流体Oが第1ベアリング保持部172内から第1流出部97aを介し外部に即座に流出することを抑制することができ、流体Oが第1ベアリングB3に供給され易くなる。
【0099】
第2ベアリング保持部71は、上述の実施形態と同様に、第2対向面71aと第2内側面71bとを有する。第2内側面71bには、第2流入部97bと第2流出部99aとが開口する。すなわち、流路90は、第2流入部97bおよび第2流出部99aを有する。第2対向面71aには、第2リブ76が設けられる。第2内側面71bは、第2区画線L1(第1実施形態の第1区画線)で区画される第3部分71c(第1実施形態の第1部分)と第4部分71d(第1実施形態の第2部分)とを有する。本実施形態において、第2流入部97bおよび第2流出部99aは、第3部分71cに開口する。また、第2リブ76は、第2流入部97bよりも下側で第3部分71cに繋がる。第1実施形態と同様に、第2ベアリング保持部71に第2リブ76が設けられることで、流体Oが第2ベアリング保持部71内から第2流出部99aを介し第3ベアリング保持部に即座に流出することを抑制することができ、流体Oが第2ベアリングB1に供給され易くなる。
【0100】
供給部95は、ギヤ室6B内に設けられ、ギヤ室6B内に流体Oを供給する。供給流路部96は、供給部95と第1流入部96bとを繋ぐ。本実施形態の供給流路部96は、第1ベアリング保持部172の上端部172pよりも下側、かつ第1軸線J2よりも上側に位置する。本実施形態の供給流路部96は、第1ベアリング保持部172に対し上側に延び出るように配置されないことで、ハウジング106の鉛直方向の寸法を小型化できる。
【0101】
連絡流路部97は、第1流出部97aと第2流入部97bとを繋ぐ。本実施形態によれば、第1ベアリング保持部172に流入した流体Oの一部を第1ベアリングB3の潤滑に利用し、他の一部を第2ベアリング保持部71に供給して第2ベアリングB1の潤滑に利用できる。また、本実施形態によれば、第1ベアリング保持部172および第2ベアリング保持部71は、それぞれ第1リブ177又は第2リブ76を有する。このため、第1ベアリング保持部172および第2ベアリング保持部71は、内部に流入した流体OをベアリングB3、B1の潤滑に十分に利用しつつ、それぞれの流出部から下流側に供給することができる。
【0102】
本実施形態において、第1リブ177と第2リブ76とは、軸方向と直交する方向において、互いに異なる方向に延びる。本実施形態によれば、第1ベアリング保持部172に開口する第1流入部96bおよび第1流出部97a、並びに、第2ベアリング保持部71に開口する第2流入部97bおよび第2流出部99aの配置に応じて、第1リブ177および第2リブ76の形状を最適化できる。
【0103】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の駆動装置に採用可能な変形例5の第1リブ177Fおよび第2リブ76Fについて説明する。本変形例の説明において、既に説明した実施形態又は変形例と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0104】
図9は、変形例5の第1ベアリング保持部172Fおよび第2ベアリング保持部71Fの模式図である。本変形例の第1ベアリング保持部172Fは、上述の実施形態と同様に、第1対向面72aと、第1内側面72bと、を有する。本変形例において、第1対向面72aには、第1リブ177Fが設けられる。第1リブ177Fは、少なくとも一部が第1流入部96bよりも下側に位置し、少なくとも一部が第1流出部97aを上側から覆う。同様に、本変形例の第2ベアリング保持部71Fは、第2対向面71aと、第2内側面71bと、を有する。本変形例において、第2対向面71aには、第2リブ76Fが設けられる。第2リブ76Fは、少なくとも一部が第2流入部97bよりも下側に位置し、少なくとも一部が第2流出部99aを上側から覆う。
【0105】
本変形例において、第1リブ177Fおよび第2リブ76Fは、水平方向に沿って延びる。本変形例によれば、車両が傾いた場合であっても、第1リブ177Fおよび第2リブ76Fの傾斜角度は、第1実施形態のようにリブが傾斜して配置される場合と比較して、小さくなる。このため、第1リブ177Fおよび第2リブ76Fは、それぞれ第1ベアリング保持部172F又は第2ベアリング保持部71Fの内部でベアリングB3、B1に安定的に流体Oを供給できる。
【0106】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態の駆動装置に係る側壁部262wの正面図である。本実施形態の側壁部262wは、上述の実施形態と比較して、流路290の構成が主に異なる。
【0107】
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の第2シャフト5bは、第1実施形態の第3シャフト5bと同様の構成を有する。本実施形態の第2ベアリングB7は、第1実施形態の第3ベアリングB7と同様の構成を有する。本実施形態の第1ベアリング保持部271は、第1実施形態の第1ベアリング保持部71と比較して、第1流入部296bおよび第2流出部297aの配置等が異なる点を除いて同様の構成を有する。また、本実施形態の第2ベアリング保持部273は、第1実施形態の第3ベアリング保持部73と比較して、第2流入部297bが設けられる点を除いて同様の構成を有する。本実施形態の第3ベアリング保持部72は、第1実施形態の第2ベアリング保持部72と比較して、流入部および流出部が設けられない点を除いて、同様の構成を有する。
【0108】
側壁部262wには、第1ベアリング保持部271、第2ベアリング保持部273、および第3ベアリング保持部72が設けられる。また、側壁部262wには、流路290の供給部95、供給流路部296、および連絡流路部297が設けられる。
【0109】
第1ベアリング保持部271は、上述の実施形態と同様に、第1対向面71aと第1内側面71bとを有する。第1内側面71bには、第1流入部296bと第1流出部297aとが開口する。すなわち、流路290は、第1流入部296bおよび第1流出部297aを有する。第1対向面71aには、第1リブ276が設けられる。第1リブ276は、第1対向面71aから軸方向他方側(-Y側)に突出する。第1リブ276は、軸方向と直交する方向に延びる。第1リブ276は、軸方向から見て、全長に亘って直線状に延びる。第1リブ276は、少なくとも一部が第1流入部296bよりも下側に位置する。このため、第1流入部296bから第1ベアリング保持部271に流入した流体Oは、第1リブ276によって受け止められて少なくとも一部が第1リブ276を伝って流れる。第1リブ276の少なくとも一部は、第1流出部297aを上側から覆う。このため、第1ベアリング保持部271内の流体Oがすぐに第1流出部297aに達することを抑制できる。本実施形態によれば、流体Oの第1ベアリング保持部271内に流れる時間が長くなることで、流体Oが第1ベアリングB1に供給され易くなる。また、流体Oが第1リブ276を伝う際に、第1ベアリングB1に供給され、より多くの流体を第1ベアリングB1に供給できる。
【0110】
第2ベアリング保持部273は、第2内側面73bを有する。第2内側面73bには、第2流入部297bが開口する。すなわち、流路290は、第2流入部297bを有する。流体Oは、第2流入部297bから第2ベアリング保持部273の内部に流入し、第2ベアリングB7を潤滑する。
【0111】
供給部95は、ギヤ室6B内に設けられ、ギヤ室6B内に流体Oを供給する。供給流路部296は、供給部95と第1流入部296bとを繋ぐ。連絡流路部297は、第1流出部297aと第2流入部297bとを繋ぐ。本実施形態によれば、第1ベアリング保持部271に流入する流体の一部を第1ベアリングB1の潤滑に利用し、流体Oの他の一部を第2ベアリング保持部273に移動させ第2ベアリングB7の潤滑に利用できる。
【0112】
本実施形態の第2ベアリングB7は、差動装置5を回転可能に支持する。このため、第2ベアリングB7には、他のベアリングB1、B3と比較し大きな力が加わり易く焼き付きなどが起こり易い。本実施形態によれば、第2ベアリングB7に流体Oを供給することで焼き付きを防止し、駆動装置1の信頼性を高めることができる。
【0113】
(第4実施形態)
図11は、第4実施形態の駆動装置に係る側壁部362wの正面図である。本実施形態の側壁部362wは、上述の実施形態と比較して、流路390の構成が主に異なる。
【0114】
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の第1シャフト45は、第1実施形態の第2シャフト45と同様の構成を有する。本実施形態の第2シャフト46は、第1実施形態の第1シャフト46と同様の構成を有する。本実施形態の第1ベアリングB3は、第1実施形態の第2ベアリングB3と同様の構成を有する。本実施形態の第2ベアリングB1は、第1実施形態の第1ベアリングB1と同様の構成を有する。本実施形態の第2ベアリング保持部71は、第1実施形態の第1ベアリング保持部71と同様の構成を有する。また、本実施形態の第1ベアリング保持部372は、第1実施形態の第2ベアリング保持部72と比較して、第1リブ377を有する点、第1流入部396bの配置等が異なる点を除いて同様の構成を有する。
【0115】
側壁部362wには、第1ベアリング保持部372、第2ベアリング保持部71および第3ベアリング保持部373が設けられる。また、側壁部362wには、流路390の供給部395、第1供給流路部396、第2供給流路部398、連絡流路部97、および末端流路部99が設けられる。
【0116】
第1ベアリング保持部372は、上述の実施形態と同様に、第1対向面72aと第2内側面72bとを有する。第2内側面72bには、第1流入部396bと第1流出部97aとが開口する。第1対向面72aには、第1リブ377が設けられる。第1リブ377は、第1対向面72aから軸方向他方側(-Y側)に突出する。第1リブ377は、軸方向と直交する方向に延びる。第1リブ377は、軸方向から見て、全長に亘って直線状に延びる。第1リブ377は、少なくとも一部が第1流入部396bよりも下側に位置する。第1リブ377の少なくとも一部は、第1流出部97aを上側から覆う。
【0117】
第3ベアリング保持部373は、第3ベアリングB7を保持する。第3ベアリング保持部373は、第3内側面73bを有する。第3内側面73bには、第3流入部398bが開口する。すなわち、流路390は、第3流入部398bを有する。流体Oは、第3流入部398bから第3ベアリング保持部373の内部に流入し、第3ベアリングB7を潤滑する。
【0118】
供給部395は、ギヤ室6B内に設けられ、ギヤ室6B内に流体Oを供給する。第1供給流路部396は、供給部395と第1流入部396bとを繋ぐ。第2供給流路部398は、供給部395と第3流入部398bとを繋ぐ。すなわち、第2供給流路部398は、供給部395から第3ベアリング保持部373の内部に延びる。供給部395からギヤ室6Bに供給される流体Oは、第1供給流路部396と第2供給流路部398とに分岐して流れる。本実施形態によれば、流体Oを供給部395から第1ベアリング保持部372および第3ベアリング保持部373にそれぞれ供給できる。また、第1ベアリング保持部372に供給される流体Oの一部は、連絡流路部97を介して第2ベアリング保持部71に供給される。本実施形態によれば、側壁部362wに保持される3つのベアリングB1、B3、B7に流体Oを供給して、これらのベアリングB1、B3、B7の焼き付きを抑制できる。
【0119】
本実施形態において、第2供給流路部398に繋がる第3ベアリング保持部373は、第3ベアリングB7を介して差動装置5を支持する。本実施形態によれば、供給部395から第3ベアリング保持部373に流体Oを安定的に供給することができ、第3ベアリングB7の焼き付きを抑制して、駆動装置1の信頼性を高めることができる。
【0120】
本実施形態の供給部395は、第1軸線J2(第1実施形態の第2軸線)および鉛直方向の両方に交差する第1方向(X軸方向)において、第1軸線J2と第3軸線J3との間に位置する。本実施形態の供給部395は、第1方向(X軸方向)において、第1ベアリング保持部372と第3ベアリング保持部373の間の空間に配置することができ、ギヤ室6Bの内部空間を有効利用することで、ハウジング306の小型化を図ることができる。
【0121】
本実施形態の供給部395は、第1ベアリング保持部372の上端部372pよりも下側、かつ第1軸線J2よりも上側に位置する。本実施形態の供給部395は、第1ベアリング保持部372に対し上側に延び出るように配置されないことで(すなわち、第1ベアリング保持部372に対して下側に配置される)ことで、ハウジング306の鉛直方向の寸法を小型化できる。
【0122】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0123】
例えば、上述の各実施形態では、軸方向から見て直線状に延びる第1リブ、第2リブ、および第3リブを例示したが、これらのリブは、軸方向から見て湾曲していてもよい。また、上述の各実施形態では、側壁部と一体的に対向面から突出するリブを例示したが、リブと側壁部とは別部材であってもよい。
【0124】
また、上述の実施形態では、第1筒状部、第2筒状部、および第3筒状部が、それぞれ側壁部と一体に設けられる場合について説明したが、これらは側壁部に固定される別部材で構成されていてもよい。さらに、第1筒状部、第2筒状部、および第3筒状部の各部は、複数の部材から構成されていてもよい。例えば、第1対向面と第1内側面とは別部材の各部であってもよく、第2対向面と第2内側面とは別部材の各部であってもよく、第3対向面と第3内側面とは、別部材の各部であってもよい。
【0125】
上述の各実施形態では、第1ベアリング保持部、第2ベアリング保持部および第3ベアリング保持部が、モータ室の軸方向一方側に位置する側壁部に設けられる場合について説明した。しかしながら、第1ベアリング保持部、第2ベアリング保持部および第3ベアリング保持部が設けられる側壁部は、ギヤ室とモータ室とを区画される隔壁であってもよい。
【0126】
上述の各実施形態の伝達機構の各軸の構成は一例である。伝達機構を構成するシャフトは、3本に限定されない。また、複数のシャフトのうち2つは、一方が他方の中空部を通過するように同軸上に配置されていてもよい。ハウジング6に貯留される流体Oは、特に限定されず、オイル以外の流体であってもよい。流体供給部によってモータに供給される流体は、例えば、水であってもよい。
【0127】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータと、前記モータの動力を伝達する伝達機構と、前記伝達機構を収容するギヤ室が設けられるハウジングと、少なくとも一部が前記ハウジングに設けられる流路と、を備え、前記伝達機構は、第1軸線を中心に回転可能な第1シャフトと、前記第1シャフトを支持する第1ベアリングと、を有し、前記ハウジングは、前記ギヤ室を軸方向一方側から覆う側壁部と、前記側壁部に設けられ前記第1ベアリングを保持する第1ベアリング保持部と、を有し、前記第1ベアリング保持部は、前記第1シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる第1対向面と、軸方向に延びて、前記第1ベアリングを、前記第1軸線を中心とする径方向外側から支持する第1内側面から構成され、前記流路は、前記第1内側面に開口する第1流入部と、前記第1流入部よりも下側に位置し前記第1内側面に開口する第1流出部と、を有し、前記第1対向面には、軸方向他方側に突出し、軸方向と直交する方向に延びる第1リブが設けられ、前記第1リブは、少なくとも一部が前記第1流入部よりも下側に位置し、少なくとも一部が前記第1流出部を上側から覆う、駆動装置。
(2) 軸方向から見て前記第1軸線を通り鉛直方向に延びる第1区画線を想定し、前記第1内側面は、前記第1区画線で区画される第1部分と第2部分とを有し、前記第1流入部は、前記第1部分に開口し、前記第1流出部は、前記第1部分に開口し、前記第1リブは、前記第1流入部よりも下側で前記第1部分に繋がる、(1)に記載の駆動装置。
(3) 前記流路は、前記ギヤ室内に設けられ、流体を供給する供給部と、前記供給部と前記第1流入部とを繋ぐ供給流路部と、を有し、前記供給流路部は、前記第1ベアリング保持部の上端部よりも下側、かつ前記第1軸線よりも上側に位置する、(1)又は(2)に記載の駆動装置。
(4) 前記第1リブは、軸方向から見て、全長に亘って直線状に延びる、(1)~(3)の何れか一項に記載の駆動装置。
(5) 前記伝達機構は、前記第1軸線と平行な第2軸線を中心に回転可能な第2シャフトと、前記第2シャフトを支持する第2ベアリングと、を有し、前記ハウジングは、前記側壁部に設けられ前記第2ベアリングを保持する第2ベアリング保持部を有し、前記第2ベアリング保持部は、前記第2ベアリングを、前記第2軸線を中心とする径方向外側から支持する第2内側面を有し、前記流路は、前記第2内側面に開口する第2流入部と、前記第1流出部と前記第2流入部とを繋ぐ連絡流路部と、有する、(1)~(4)の何れか一項に記載の駆動装置。
(6) 前記第2ベアリング保持部は、前記第2シャフトの軸方向一方側の端部よりも軸方向一方側に位置し、軸方向と直交する方向に延びる第2対向面を有し、前記流路は、前記第2流入部よりも下側に位置し前記第2内側面に開口する第2流出部を有し、前記第2対向面には、軸方向他方側に突出し、軸方向と直交する方向に延びる第2リブが設けられ、前記第2リブは、少なくとも一部が前記第2流入部よりも下側に位置し、少なくとも一部が前記第2流出部を上側から覆う、(5)に記載の駆動装置。
(7) 軸方向から見て前記第1軸線を通り鉛直方向に延びる第2区画線を想定し、前記第2内側面は、前記第2区画線で区画される第3部分と第4部分とを有し、前記第2流入部は、前記第3部分に開口し、前記第2流出部は、前記第3部分に開口し、前記第2リブは、前記第2流入部よりも下側で前記第3部分に繋がる、(6)に記載の駆動装置。
(8) 前記第1リブと前記第2リブとは、軸方向と直交する方向において、互いに異なる方向に延びる、(6)又は(7)に記載の駆動装置。
(9) 前記第1リブおよび前記第2リブは、水平方向に沿って延びる、(6)又は(7)に記載の駆動装置。
(10) 前記伝達機構は、前記第1軸線と平行な第3軸線を中心に回転可能な第3シャフトと、前記第3シャフトを支持する第3ベアリングと、を有し、前記ハウジングは、前記側壁部に設けられ前記第3ベアリングを保持する第3ベアリング保持部を有し、前記流路は、前記ギヤ室内に配置され、流体を供給する供給部と、前記供給部と前記第1流入部とを繋ぐ第1供給流路部と、を有し、前記供給部は、前記第1軸線および鉛直方向の両方に交差する第1方向において、前記第1軸線と前記第3軸線との間に位置する、(1)~(9)の何れか一項に記載の駆動装置。
(11) 前記流路は、前記供給部から前記第3ベアリング保持部の内部に延びる第2供給流路部を有する、(10)に記載の駆動装置。
(12) 前記第1対向面には、複数の前記第1リブが設けられる、(1)~(11)の何れか一項に記載の駆動装置。
(13) 前記第1対向面には、軸方向他方側に突出し、軸方向と直交する方向に延びる第3リブが設けられ、軸方向から見て前記第1軸線を通り鉛直方向に延びる第1区画線を想定し、前記第1内側面は、前記第1区画線で区画される第1部分と第2部分とを有し、前記第1リブは、前記第1部分に繋がる第1端部と、前記第2部分と径方向に隙間を介して対向する第2端部と、を有し、前記第3リブは、前記第2部分に繋がる第3端部と、前記第1部分と径方向に隙間を介して対向する第4端部と、を有し、前記第2端部の上下方向の位置は、第4端部の上下方向の位置と異なる、(1)~(12)の何れか一項に記載の駆動装置。
(14) 前記第1リブの軸方向他方側の端部には、軸方向一方側に窪む切欠きが設けられる、(1)~(13)の何れか一項に記載の駆動装置。
(15) 前記第1リブは、軸方向他方側に向かうに従い上側に傾斜する、(1)~(14)の何れか一項に記載の駆動装置。
【符号の説明】
【0128】
1…駆動装置、2…モータ、3…伝達機構、5b,45,46…シャフト、6,106,306…ハウジング、6B…ギヤ室、…第1シャフト、第2シャフト、62w,162w,262w,362w…側壁部、71,71A,71C,71D,71E,71F,72,73,172,172F,271,273,372,373…第1、第2、第3ベアリング保持部、71a,72a…第1、第2対向面、71b,72b,73b…第1、第2、第3内側面、71c,72c…第1、第3部分、71d,72d…第2、第4部分、76,76A,76B,76C,76D,76E,76F,177,177F,276,377…第1、第2リブ、76a,177a…第1端部、76b,177b…第2端部、76g…切欠き、78…第3リブ、78a…第3端部、78b…第4端部、90,290,390…流路、95,395…供給部、96,296…供給流路部、96b,97b,296b,297b,396b…第1、第2流入部、97,297…連絡流路部、97a,99a,297a…第1、第2流出部、172p,372p…上端部、396…第1供給流路部、398…第2供給流路部、B1,B3,B7…第1、第2、第3ベアリング、B7…第3ベアリング、J1,J2,J3…第1、第2、第3軸線、L1,L2…第1、第2区画線、O…流体
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