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  • 特開-積層フィルム、及び、粘着テープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145702
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】積層フィルム、及び、粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/022 20190101AFI20241004BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241004BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20241004BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20241004BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241004BHJP
【FI】
B32B7/022
B32B27/00 M
B32B27/32 E
C09J7/29
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058170
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】勝野 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】太田 基泰
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AK05A
4F100AK05B
4F100AK05C
4F100AK06A
4F100AK06B
4F100AK06C
4F100AK63A
4F100AK63B
4F100AK63C
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA04
4F100CB05D
4F100EC18
4F100JK03B
4F100JK13
4F100JL13D
4F100YY00A
4F100YY00C
4J004AB01
4J004CA04
4J004CB03
4J004CC03
(57)【要約】
【課題】 引き裂き容易性を有しつつも、カールの発生が抑制されたフィルム材料を提供する。
【解決手段】 本発明のある形態は、内部層と、前記内部層の一方の主面側に設けられた第1の外部層と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層と、を有し、前記第1の外部層の厚みT11に対する前記第2の外部層の厚みT12の比率(T12/T11)が、0.85~1.20であり、前記内部層は少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されている、又は、前記第1の外部層及び前記第2の外部層は少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されていることを特徴とする、積層フィルムである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部層と、前記内部層の一方の主面側に設けられた第1の外部層と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層と、を有し、
前記第1の外部層の厚みT11に対する前記第2の外部層の厚みT12の比率(T12/T11)が、0.85~1.20であり、
前記内部層は少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されている、又は、前記第1の外部層及び前記第2の外部層は少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されている
ことを特徴とする、積層フィルム。
【請求項2】
総厚が140μm以下である、請求項1記載の積層フィルム。
【請求項3】
以下の測定方法に基づいて測定される軟質性が120mm以下である、請求項2記載の積層フィルム。
(測定方法)
積層フィルムをJIS L 1096 剛軟性 A法(45°カンチレバー法)に準拠して、軟質性を測定する。ただし、値は積層フィルムの表(n=5)と裏(n=5)の値を平均したものとする。
【請求項4】
前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に高密度ポリエチレンである、又は、前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に低密度ポリエチレンである、請求項3記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に高密度ポリエチレンであり、且つ、前記内部層が低密度ポリエチレンである、又は、
前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に低密度ポリエチレンであり、且つ、前記内部層が高密度ポリエチレンである
請求項3記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記内部層、前記第1の外部層及び前記第2の外部層の3層のみからなる積層構造を有する、請求項5記載の積層フィルム。
【請求項7】
内部層と、前記内部層の一方の主面側に設けられた第1の外部層と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層と、を有し、
前記第1の外部層の厚みT11に対する前記第2の外部層の厚みT12の比率(T12/T11)が、0.85~1.20であり、
前記内部層が低密度ポリエチレンで構成されており、且つ、前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に高密度ポリエチレンで構成されているか、又は、
前記内部層が高密度ポリエチレンで構成されており、且つ、前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に低密度ポリエチレンで構成されている
ことを特徴とする、積層フィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の積層フィルムと、前記積層フィルムの少なくとも一方の主面に積層された粘着層と、を有する粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム、及び、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハサミ等の道具が不要であり、手の力のみで切断可能な、手切れ性を有する粘着テープが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、無延伸合成樹脂フィルムと、二軸延伸合成樹脂フィルムとを積層させた積層体を基材とした粘着テープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05-287243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る粘着テープは、2層を積層させて製造することからカールが発生する場合があった。また、このようなカールを抑制させようとすると、引き裂き容易性が悪化する場合があった。
【0006】
そこで本発明は、引き裂き容易性を有しつつも、カールの発生が抑制されたフィルム材料の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、層構造を有する積層フィルムによって前記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
【0008】
本発明の形態(1)は、
内部層と、前記内部層の一方の主面側に設けられた第1の外部層と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層と、を有し、
前記第1の外部層の厚みT11に対する前記第2の外部層の厚みT12の比率(T12/T11)が、0.85~1.20であり、
前記内部層は少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されている、又は、前記第1の外部層及び前記第2の外部層は少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されている
ことを特徴とする、積層フィルムである。
【0009】
積層フィルムは、総厚が140μm以下であることが好ましい。
積層フィルムは、以下の測定方法に基づいて測定される軟質性が120mm以下であることが好ましい。
(測定方法)
積層フィルムをJIS L 1096 剛軟性 A法(45°カンチレバー法)に準拠して、軟質性を測定した。ただし、値は積層フィルムの表(n=5)と裏(n=5)の値を平均したものとする。
前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に高密度ポリエチレンであること、又は、前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に低密度ポリエチレンであることが好ましい。
前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に高密度ポリエチレンであり、且つ、前記内部層が低密度ポリエチレンであること、又は、前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に低密度ポリエチレンであり、且つ、前記内部層が高密度ポリエチレンであることが好ましい。
積層フィルムは、前記内部層、前記第1の外部層及び前記第2の外部層の3層のみからなる積層構造を有することが好ましい。
【0010】
本発明の形態(2)は、
内部層と、前記内部層の一方の主面側に設けられた第1の外部層と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層と、を有し、
前記第1の外部層の厚みT11に対する前記第2の外部層の厚みT12の比率(T12/T11)が、0.85~1.20であり、
前記内部層が低密度ポリエチレンで構成されており、且つ、前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に高密度ポリエチレンで構成されているか、又は、
前記内部層が高密度ポリエチレンで構成されており、且つ、前記第1の外部層及び前記第2の外部層が共に低密度ポリエチレンで構成されている
ことを特徴とする、積層フィルムである。
【0011】
本発明の形態(3)は、形態(1)又は形態(2)の積層フィルムと、前記積層フィルムの少なくとも一方の主面に積層された粘着層と、を有する粘着テープである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、引き裂き容易性を有しつつも、カールの発生が抑制されたフィルム材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の積層フィルムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、数値範囲の上限値と下限値とが別々に記載されている場合、矛盾しない範囲で、各下限値と各上限値との全ての組み合わせが実質的に記載されているものとする。
【0015】
本明細書において、特に断らない限り、各種測定は、環境温度を室温(25℃)として実施する。
【0016】
以下、本開示の積層フィルム、及び、本開示の積層フィルムを含む粘着テープについて説明するが、本発明は以下には何ら限定されない。
【0017】
<<<積層フィルム100>>>
図1に示されるように、積層フィルム100は、内部層10と、内部層10の一方の主面側に設けられた第1の外部層11と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層12と、を有する。
【0018】
積層フィルム100は、内部層10が少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されているか、又は、第1の外部層11及び第2の外部層12が共に、少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されていることが好ましい。
【0019】
例えば、単層(又は、層を構成するフィルム単体)の引裂強度が、100N以下、80N以下、50N以下、40N以下、35N以下、又は、30N以下である場合に、引き裂き容易であると判断できる。
(測定方法)
フィルムをJIS Z 0237 剛軟性 A法(45°カンチレバー法)に準拠して、引裂強度を測定する。ただし、ふりこに付属する約2500gのおもりは測定に用いず、値は積層フィルム1枚を測定した結果とする。
【0020】
このようなフィルムは、材質を変更する他、その平面方向において異方性を付与する(例えば、軸延伸させる)ことで、少なくとも一方向に対して引き裂きが容易となるように調整することができる。
【0021】
以下、少なくとも一方向への引き裂きが容易となるように構成されているフィルムを、単に引き裂き容易フィルムと称する場合がある。
【0022】
第1の外部層11及び第2の外部層12が、共に、異方性を有する引き裂き容易フィルムである場合、引き裂き容易となる方向が一致するように、第1の外部層11及び第2の外部層12を積層することが好ましい。
【0023】
一方で、このような引き裂き容易フィルムに対して、相対的に引き裂き強度が高いフィルムを、引き裂き困難フィルムとする場合がある。また、引き裂き容易フィルムの引き裂き強度をTAとし、引き裂き困難フィルムの引き裂き強度をTBとした場合に、TB/TAが、1超、2以上、5以上、又は、15以上であることが好ましい。TB/TAの上限値は特に限定されないが、例えば、100、80、70、又は、60である。
【0024】
第1の外部層11の厚みT11に対する第2の外部層12の厚みT12の比率(T12/T11)が、0.85~1.20、0.90~1.11、0.95~1.05、又は、0.97~1.03であることが好ましい。このように、同様の厚みを有する引き裂き容易フィルムを外部層として配置し内部層を挟み込む、又は、同様の厚みを有するフィルムを外部層として配置し引き裂き容易フィルムを挟みこむことで、引き裂き容易フィルム由来の引き裂き容易性を維持しながら、積層フィルム100の厚み方向において対称性が生じ、カールの発生が抑制される。
【0025】
各層(内部層10、第1の外部層11、第2の外部層12)を構成する樹脂材料としては特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性材料であることが好ましい。また、各層を構成する樹脂材料は、ポリオレフィンであることが好ましく、ポリエチレンであることがより好ましい。また、ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(密度範囲は、例えば、930kg/m以下)、中密度ポリエチレン、及び、高密度ポリエチレン(密度範囲は、例えば、940kg/m以上)等が挙げられる。高密度ポリエチレンは引き裂き容易フィルムを構成しやすい。また、低密度ポリエチレンは引き裂き困難フィルムを構成しやすい。
【0026】
具体的には、第1の外部層11及び第2の外部層12が共に高密度ポリエチレンであり、且つ、内部層10が低密度ポリエチレンであること、又は、第1の外部層11及び第2の外部層12が共に低密度ポリエチレンであり、且つ、内部層10が高密度ポリエチレンであることが好ましい。このような組み合わせとすることで、引き裂き容易性を向上させつつ、カールの発生を抑制しやすい。また、積層フィルム100全体の透明性を向上させることができる。
【0027】
積層フィルム100の厚み方向における対称性を高め、カール抑制効果を更に高めるという観点から、第1の外部層11及び第2の外部層12は、同一の樹脂材料によって構成されることが好ましい。第1の外部層11及び第2の外部層12が同一の樹脂材料で構成されるとは、(条件1)第1の外部層11及び第2の外部層12を構成する樹脂材料の構成モノマーが同一であり(例えば、樹脂材料が共にポリエチレンであり)、且つ、(条件2)第1の外部層11を構成する樹脂材料のガラス転移温度に対する第2の外部層12を構成する樹脂材料のガラス転移温度の比率(第2外部層/第1外部層)が、0.8~1.2、又は、0.9~1.1の範囲内である、ことを示す。なお、ここで示すガラス転移温度は、DSCによって測定されたものである。この場合、内部層10を構成する樹脂材料は、第1の外部層11及び第2の外部層12を構成する樹脂材料とは異なる樹脂材料で構成されている(上記条件1、条件2の少なくともいずれか一方を充足しない)ことが好ましい。なお、第1の外部層11、第2の外部層12及び内部層10は、各々、厚みを所望の範囲とするために同一の樹脂材料で構成されたフィルムを複数積層させて一層化させた多層フィルムであってもよい。
【0028】
フィルムに異方性を付与する方法としては、延伸したフィルムを用いる方法や、所定間隔でフィルムに孔や切れ込みを設ける方法等が挙げられる。
【0029】
積層フィルム100は、厚み方向の対称性を向上させるために、内部層10、第1の外部層11及び第2の外部層12の3層のみからなることが好ましい。
【0030】
積層フィルムの総厚は、140μm以下、又は、120μm以下であることが好ましい。積層フィルムの総厚の下限値は、特に限定されないが、例えば、50μm、又は75μmである。積層フィルムの厚さをこのような範囲とすることで、引き裂き容易性を向上させつつ、カールの発生を抑制しやすい。
【0031】
各層(内部層10、第1の外部層11、第2の外部層12)の具体的な厚みは、特に限定されず、材質等に応じて適宜設定すればよい。例えば、各層の厚みは、5~100μm、又は、10~90μmであることが好ましい。
【0032】
積層フィルムは、以下の測定方法に基づいて測定される軟質性が120mm以下であることが好ましい。このようにすることで、引き裂き容易性を向上させつつ、カールの発生を抑制しやすい。
(測定方法)
積層フィルムを、JIS L 1096 剛軟性 A法(45°カンチレバー法)に準拠して、軟質性を測定した。ただし、値は積層フィルムの表(n=5)と裏(n=5)の値を平均したものとする。
【0033】
積層フィルム100は、各層を積層させた状態で加圧及び加熱圧着して製造することができる。このように、各層を積層させ加熱して積層フィルムを形成する場合、熱による歪み、或いは、冷却時や保存時などによる復元力により、カールが発生する場合がある。また、同様に、積層フィルム100の保存環境(光、熱、湿度等)によって、カールが発生する場合がある。本開示の積層フィルム100は、特定の積層構造を有することで、このようなカールの発生が抑制される。
【0034】
積層フィルムの幅及び長さは、用途に応じて適宜変更可能である。
【0035】
積層フィルムは、前述した性質に影響のない層として、粘着層や印刷層等を含んでいてもよい。例えば、積層フィルムを構成するフィルムの材質をポリエチレンである場合に、各フィルムの間に軟化温度の低いポリエチレンを介在させた状態で各フィルム同士をラミネートして接着強度を高めてもよい。
【0036】
<積層フィルム100の好ましい形態1及び形態2>
ここで、本開示の積層フィルム100の好ましい形態として、下記形態1又は形態2が挙げられる。
【0037】
形態1の積層フィルム100は、内部層10と、内部層10の一方の主面側に設けられた第1の外部層11と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層12と、を有し、内部層10が低密度ポリエチレンで構成された層であり、且つ、第1の外部層11及び第2の外部層12が共に高密度ポリエチレンで構成された層で構成されている。
【0038】
形態2の積層フィルム100は、内部層10と、内部層10の一方の主面側に設けられた第1の外部層11と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層12と、を有し、内部層10が高密度ポリエチレンで構成された層であり、且つ、第1の外部層11及び第2の外部層12が共に低密度ポリエチレンで構成された層である。
【0039】
形態1及び形態2において、高密度ポリエチレンで構成された層の厚みは、5μm以上、10μm以上、又は、15μm以上であることが好ましく、また、30μm以下、25μm以下、又は、20μm以下であることが好ましい。
【0040】
形態1及び形態2において、低密度ポリエチレンで構成された層の厚みは、30μm超、35μm以上、又は、40μm以上であることが好ましく、また、150μm以下、100μm以下、又は、75μm以下であることが好ましい。
【0041】
形態1及び形態2において、低密度ポリエチレンで構成された層(1層)の厚みに対する高密度ポリエチレンで構成された層(1層)の厚み(高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン)は、全ての層について、1.20以下、1.00以下、0.90以下、又は、0.80以下を満たすことが好ましく、また、0.10以上、0.20以上、0.30以上、又は、0.35以上を満たすことが好ましい。
【0042】
形態1において、高密度ポリエチレンで構成された層(第1の外部層11及び第2の外部層12)及び低密度ポリエチレンで構成された層(内部層10)の3層の合計厚み(総厚み)に対する、高密度ポリエチレンで構成された層の合計厚みの割合(高密度ポリエチレンで構成された層の合計厚み/総厚)は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、又は、30%以上であることが好ましく、また、70%以下、65%以下、又は、60%以下であることが好ましい。
【0043】
形態2において、高密度ポリエチレンで構成された層(内部層10)及び低密度ポリエチレンで構成された層(第1の外部層11及び第2の外部層12)の3層の合計厚み(総厚み)に対する、高密度ポリエチレンで構成された層の合計厚みの割合(高密度ポリエチレンで構成された層の合計厚み/総厚)は、8%以上、10%以上、又は、12%以上であることが好ましく、また、70%以下、65%以下、50%以下、40%以下、30%以下、又は、20%以下であることが好ましい。
【0044】
前述したように、第1の外部層11の厚みT11に対する第2の外部層12の厚みT12の比率(T12/T11)が、0.85~1.20、0.90~1.11、0.95~1.05、又は、0.97~1.03であることが好ましい。また、前述したように、第1の外部層11及び第2の外部層12は、同一の樹脂材料によって構成されることが好ましい。
【0045】
このように、低密度ポリエチレンで構成された層と高密度ポリエチレンで構成された層とを組み合わせ、且つ、厚み方向で対称となるように積層させることで、カールの発生を抑制しやすい。
【0046】
<積層フィルム100の好ましい形態3及び形態4>
また別の観点から、本開示の積層フィルム100の好ましい形態として、下記形態3又は形態4が挙げられる。
【0047】
形態3の積層フィルム100は、内部層10と、内部層10の一方の主面側に設けられた第1の外部層11と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層12と、を有し、内部層10が引き裂き困難フィルムで構成されており、且つ、第1の外部層11及び第2の外部層12が共に引き裂き容易フィルムで構成されている。
【0048】
形態4の積層フィルム100は、内部層10と、内部層10の一方の主面側に設けられた第1の外部層11と、前記内部層の他方の主面側に設けられた第2の外部層12と、を有し、内部層10が引き裂き容易フィルムで構成されており、且つ、第1の外部層11及び第2の外部層12が共に引き裂き困難フィルムで構成されている。
【0049】
形態3及び形態4において、引き裂き容易フィルムの厚みは、5μm以上、10μm以上、又は、15μm以上であることが好ましく、また、30μm以下、25μm以下、又は、20μm以下であることが好ましい。
【0050】
形態3及び形態4において、引き裂き困難フィルムの厚みは、30μm超、35μm以上、又は、40μm以上であることが好ましく、また、150μm以下、100μm以下、又は、75μm以下であることが好ましい。
【0051】
形態3及び形態4において、引き裂き困難フィルムの厚みに対する引き裂き容易フィルムの厚み(引き裂き容易フィルム/引き裂き困難フィルム)は、全てのフィルムについて、1.20以下、1.00以下、0.90以下、又は、0.80以下を満たすことが好ましく、また、0.10以上、0.20以上、0.30以上、又は、0.35以上を満たすことが好ましい。
【0052】
形態3において、引き裂き容易フィルム(第1の外部層11及び第2の外部層12)及び引き裂き困難フィルム(内部層10)の3層の合計厚み(総厚み)に対する、引き裂き容易フィルムの合計厚みの割合(引き裂き容易フィルムの合計厚み/総厚)は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、又は、30%以上であることが好ましく、また、70%以下、65%以下、又は、60%以下であることが好ましい。
【0053】
形態4において、引き裂き容易フィルム(内部層10)及び引き裂き困難フィルムで構成された層(第1の外部層11及び第2の外部層12)の3層の合計厚み(総厚み)に対する、引き裂き容易フィルムの合計厚みの割合(引き裂き容易フィルム層の合計厚み/総厚)は、8%以上、10%以上、又は、12%以上であることが好ましく、また、70%以下、65%以下、50%以下、40%以下、30%以下、又は、20%以下であることが好ましい。
【0054】
前述したように、第1の外部層11の厚みT11に対する第2の外部層12の厚みT12の比率(T12/T11)が、0.85~1.20、0.90~1.11、0.95~1.05、又は、0.97~1.03であることが好ましい。また、前述したように、第1の外部層11及び第2の外部層12は、同一の樹脂材料によって構成されることが好ましい。
【0055】
このように、引き裂き容易フィルムと引き裂き困難フィルムとを組み合わせ、且つ、厚み方向で対称となるように積層させることで、カールの発生を抑制しやすい。
【0056】
<<<粘着テープ>>>
次に、本開示の積層フィルム100を用いて得られる粘着テープについて説明する。
【0057】
粘着テープは、積層フィルム100の少なくとも一方の主面に積層された粘着層と、を有する。粘着テープは、積層フィルム100の片面のみに粘着層が積層された片面粘着テープであってもよいし、積層フィルム100の両方の主面に粘着層が積層された両面粘着テープであってもよい。
【0058】
粘着層を形成する粘着剤は特に限定されず、公知の粘着剤を用いることができる。粘着層を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤、その他の合成樹脂を含有する粘着剤などが挙げられる。
【0059】
粘着剤層は、粘着剤、剥離セパレーターの各層に対し、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、難燃剤、導電剤、発泡剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0060】
粘着層の厚みは、特に限定されず、粘着テープの用途に応じて適宜調整可能である。
【0061】
粘着テープの製造方法は、特に限定されず、公知の粘着層の形成方法を利用して形成することができる。粘着テープは、例えば、積層フィルム100の外部層上(第1の外部層11上及び/又は第2の外部層12上)に、粘着剤組成物を塗布及び乾燥させ、粘着剤層を形成する方法や、剥離フィルム上に粘着剤層を設け、その粘着剤層を、積層フィルム100の外部層(第1の外部層11及び/又は第2の外部層12)にラミネートする方法等によって製造することができる。
【0062】
粘着テープは、粘着層上に保護フィルム等が積層されていてもよい。
【0063】
本開示の積層フィルム100を用いて得られた粘着テープは、表面保護用、包装用、装飾用、電気絶縁用、結束用、医療用、付箋用等の種々の用途に適用することができる。
【0064】
また、本開示の積層フィルム100は、引き裂きが容易であり、且つ、カールが抑制されており、手切れ性粘着テープとして好ましく使用可能である。
【実施例0065】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明は以下には限定されない。
【0066】
<<原料>>
<低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)>
AJ-1(タマポリ株式会社)を使用した。
<高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)>
カラリヤンYA-2(デンカ株式会社)を使用した。
なお、低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)は、相対的に引き裂きが困難な引き裂き困難フィルムであり、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)は、相対的に引き裂きが容易な引き裂き容易フィルムである。
【0067】
<<積層フィルムの製造方法>>
<実施例1>
RU-80/H-1を酢酸エチルにより固形分20%に希釈し、メーヤーバー塗工方式によりdry4g/mでフィルムの1面に塗工を行った。100℃3分の乾燥工程によりドライラミネート層を形成し、上記1面にフィルムを重ね合わせることにより積層フィルムを作製した。
【0068】
<実施例2-6、比較例1-2>
外部層1、外部層2、内部層の材質及び厚みを表1、2に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に、実施例2-6、比較例1-2に係る積層フィルムを製造した。なお、比較例1については、外部層2を設けなかった。
【0069】
<<評価>>
各積層フィルムについて、前述した測定方法に基づいて軟質性を評価した。また、各積層フィルムについて、以下の測定方法に基づいて手切れ性、カール抑制を評価した。評価結果を表1、2に示す。
【0070】
<手切れ性>
各実施例及び各比較例の積層フィルムについて、幅18mm、長さ80mmに切り出して試験片とし、幅方向に手で引裂き、以下の評価基準に則り手切れ性を評価した。
◎:引っ掛かりがなく容易に引裂ける
○:一部のみ引っ掛かりがあるが引裂ける
△:引っ掛かりがあるが引裂ける
×:引裂けずフィルムが伸びる
【0071】
<カール抑制>
各実施例及び各比較例の積層フィルムについて、幅50mm、長さ50mmに打ち抜いて試験片とし、試験片をステンレス製角バットに静置させ、試験片の各辺の中央部4箇所を粘着テープで固定し、100℃に設定した乾燥オーブン中に投入し3分間加熱処理を行い、以下の評価基準に則りカール抑制を評価した。
○:加熱後でも変化がないもの
×:試験片の角が垂直方向に浮き上がるもの
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
図1