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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145705
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】環状部材の取り外し方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/28 20060101AFI20241004BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20241004BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20241004BHJP
   F01D 11/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F01D25/28 E
F01D25/00 X
F01D25/24 R
F01D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058175
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】518131296
【氏名又は名称】三菱重工マリンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江原 隆
(72)【発明者】
【氏名】高尾 直幸
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202KK06
3G202KK23
(57)【要約】
【課題】上下分割可能なタービンの車室を分割せずに該車室に収容された環状部材を交換でき、環状部材の交換に要する労力や工期を低減できる環状部材の交換方法を提供する。
【解決手段】環状部材の交換方法は、タービンから軸受台の上半部を取り外す上半部取り外しステップと、上半部取り外しステップの後に、車室にロータを吊り上げ支持する第1支持装置を取り付けてロータを支持する第1ロータ支持ステップと、第1ロータ支持ステップの後に、タービンから軸受台の下半部を取り外す下半部取り外しステップと、下半部取り外しステップの後にタービンから軸受を取り外す軸受取り外しステップと、軸受取り外しステップの後に、車室にロータを下側から支持する第2支持装置を取り付けてロータを支持する第2ロータ支持ステップと、環状部材を車室の内部から軸方向の一方側に取り出す環状部材取り出しステップと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンの車室に収容された環状部材の取り外し方法であって、
前記タービンは、
ロータと、
前記ロータを収容するための上下分割可能に構成された前記車室と、
前記車室に対して前記ロータの軸方向における一方側に隣接して配置され、前記車室に取り付けられる軸受台であって、前記ロータを支持する軸受を収容するための上下分割可能に構成された軸受台と、を含み、
前記環状部材の取り外し方法は、
前記タービンから前記軸受台の上半部を取り外す上半部取り外しステップと、
前記上半部取り外しステップの後に、前記車室に前記ロータを吊り上げ支持する第1支持装置を取り付けることで、前記ロータを支持する第1ロータ支持ステップと、
前記第1ロータ支持ステップの後に、前記タービンから前記軸受台の下半部を取り外す下半部取り外しステップと、
前記下半部取り外しステップの後に前記タービンから前記軸受を取り外す軸受取り外しステップと、
前記軸受取り外しステップの後に、前記車室に前記ロータを下側から支持する第2支持装置を取り付けることで、前記ロータを支持するとともに、前記車室から前記第1支持装置を取り外す第2ロータ支持ステップと、
前記環状部材を前記車室の内部から前記軸方向の前記一方側に取り出す環状部材取り出しステップと、
を備える、
環状部材の取り外し方法。
【請求項2】
前記第1支持装置は、前記車室に前記軸受台の前記上半部を取り付けるための締結部材が締結される第1締結孔に取り付けられる第1ブラケットと、
前記第1ブラケットに支持されて前記ロータを支持する第1支持部材と、を含む、
請求項1に記載の環状部材の取り外し方法。
【請求項3】
前記第2支持装置は、前記車室に前記軸受台の前記下半部を取り付けるための締結部材が締結される第2締結孔に取り付けられる第2ブラケットと、
前記第2ブラケットに載置されて前記ロータを下側から支持する第1支持構造体と、を含む、
請求項1又は2に記載の環状部材の取り外し方法。
【請求項4】
前記ロータは、
前記環状部材を挿通する大径部と、
前記大径部よりも前記軸方向の前記一方側に形成される前記大径部よりも外径が小さい小径部と、を含み、
前記環状部材取り出しステップは、前記ロータの前記小径部に前記大径部と外径が等しくなるようなスリーブを取り付けるスリーブ取り付けステップを含む、
請求項1又は2に記載の環状部材の取り外し方法。
【請求項5】
前記スリーブは、周方向における一端と他端との間に形成される開口であって、前記ロータの前記小径部に前記スリーブが取り付けられた際に前記スリーブの下方に位置する開口を有する、
請求項4に記載の環状部材の取り外し方法。
【請求項6】
前記環状部材取り出しステップの後に、前記ロータを前記環状部材よりも前記軸方向の他方側の軸方向位置において下側から支持する第3支持装置を前記タービンに取り付けることで、前記ロータを支持するとともに、前記タービンから前記第2支持装置の少なくとも一部を取り外す第3ロータ支持ステップと、
前記第3ロータ支持ステップの後に、前記環状部材を前記軸方向の前記一方側に移動して前記タービンから取り外す環状部材取り外しステップと、をさらに備える、
請求項1又は2に記載の環状部材の取り外し方法。
【請求項7】
前記環状部材は、前記車室に着脱可能に取り付けられるメカニカルシールであって、前記車室と前記ロータとの間をシールするように構成されたメカニカルシールを含む、
請求項1又は2に記載の環状部材の取り外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タービンの車室に収容された環状部材の取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンには、水平面で上下分割される車室を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。上記車室の内部に車室とタービンロータとの間をシールする環状のメカニカルシールが取り付けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6971924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタービンでは、メンテナンス等において上記メカニカルシールを交換する際に、車室の上半部を車室の下半部から取り外し、タービンロータをクレーン等により吊り上げ、車室から取り出す工程(特許文献1参照)が必要となり、上記環状部材の取り外しに多大な労力や工期が必要となる虞がある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、上下分割可能なタービンの車室を分割せずに該車室に収容された環状部材を取り外すことができ、環状部材の取り外しに要する労力や工期を低減できる環状部材の取り外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る環状部材の取り外し方法は、
タービンの車室に収容された環状部材の取り外し方法であって、
前記タービンは、
ロータと、
前記ロータを収容するための上下分割可能に構成された前記車室と、
前記車室に対して前記ロータの軸方向における一方側に隣接して配置され、前記車室に取り付けられる軸受台であって、前記ロータを支持する軸受を収容するための上下分割可能に構成された軸受台と、を含み、
前記環状部材の取り外し方法は、
前記タービンから前記軸受台の上半部を取り外す上半部取り外しステップと、
前記上半部取り外しステップの後に、前記車室に前記ロータを吊り上げ支持する第1支持装置を取り付けることで、前記ロータを支持する第1ロータ支持ステップと、
前記第1ロータ支持ステップの後に、前記タービンから前記軸受台の下半部を取り外す下半部取り外しステップと、
前記下半部取り外しステップの後に前記タービンから前記軸受を取り外す軸受取り外しステップと、
前記軸受取り外しステップの後に、前記車室に前記ロータを下側から支持する第2支持装置を取り付けることで、前記ロータを支持するとともに、前記車室から前記第1支持装置を取り外す第2ロータ支持ステップと、
前記環状部材を前記車室の内部から前記軸方向の前記一方側に取り出す環状部材取り出しステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、上下分割可能なタービンの車室を分割せずに該車室に収容された環状部材を取り外すことができ、環状部材の取り外しに要する労力や工期を低減できる環状部材の取り外し方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法における取り外し対象である環状部材を備えるタービンの軸方向に沿った概略断面図である。
図2】本開示の一実施形態に係るタービンの車室及び軸受台の軸方向に沿った概略断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法の一例を示すフロー図である。
図4】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法を説明するための説明図である。
図5】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法を説明するための説明図である。
図6図5に示される第1支持装置を軸方向の一方側から視た状態を示す模式図である。
図7】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法を説明するための説明図である。
図8】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法を説明するための説明図である。
図9】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法を説明するための説明図である。
図10】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法を説明するための説明図である。
図11図10に示されるスリーブの軸方向に直交する概略断面図である。
図12】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法を説明するための説明図である。
図13】本開示の一実施形態に係る環状部材の取り外し方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0010】
(タービン)
図1は、本開示の一実施形態に係る環状部材3の取り外し方法における取り外し対象である環状部材3を備えるタービン1の軸方向に沿った概略断面図である。図2は、本開示の一実施形態に係るタービン1の車室2及び軸受台5の軸方向に沿った概略断面図である。本開示の幾つかの実施形態に係るタービン1は、図1及び図2に示されるように、車室2と、車室2に収容される環状部材3と、ロータ4と、軸受台5と、軸受台5に収容される軸受6と、を備える。環状部材3は、車室2に支持される。軸受6は、軸受台5に支持される。ロータ4は、車室2及び軸受台5に収容され、軸受6に回転可能に支持される。
【0011】
以下、ロータ4の中心軸線LAが延在する方向をロータ4(タービン1)の軸方向と定義し、中心軸線LAに直交する方向をロータ4(タービン1)の径方向と定義し、中心軸線LA回りの周方向をロータ4(タービン1)の周方向と定義する。
【0012】
(車室、ロータ)
車室2は、図1及び図2に示されるように、ロータ4の上方を覆う上半部21と、ロータ4の下方を覆う下半部22とに上下分割可能に構成されている。上半部21及び下半部22の各々は、ロータ4の周方向に沿って延在する円弧状に形成されている。上半部21は、下半部22とは別体に構成されており、下半部22の上に載せられてボルト等の締結装置(不図示)により下半部22に着脱可能に連結されている。図示される実施形態に係るタービン1では、車室2は、ロータ4の中心軸線LAを含む水平面よりも上側の上半部21と、該水平面よりも下側の下半部22とに、該水平面で2分割されている。
【0013】
ロータ4は、図1及び図2に示されるように、環状部材3を挿通する比較的外径が大きい大径部41と、大径部41よりもロータ4の軸方向における一方側(図1中左側)に形成される、大径部41よりも外径が小さい小径部42と、を含む。小径部42の最大外径は、大径部41よりも小さい。ロータ4は、車室2の内面23との間に形成される隙間230により、車室2に干渉せずに中心軸線LA回りに回転できるようになっている。ロータ4は、大径部41からロータ4の径方向に沿って突出する少なくとも1つ(図示例では、複数)のタービン動翼43(43A、43B、43C)をさらに含む。複数のタービン動翼43は、ロータ4の軸方向に互いに間隔をあけて配置されている。
【0014】
車室2の内部には、複数のタービン動翼43に作動流体を導入するための作動流体導入路24と、複数のタービン動翼43を通過した作動流体を車室2の外部に排出するための作動流体排出路25と、が形成されている。タービン1は、複数のタービン動翼43に導入される作動流体のエネルギによりロータ4を回転させるように構成されている。作動流体としては、例えば、水よりも蒸発温度の低い有機作動媒体が挙げられる。
【0015】
(環状部材)
環状部材3は、複数のタービン動翼43のうち最もロータ4の軸方向における一方側(図1中左側)に配置されたタービン動翼43Aよりも、上記軸方向における上記一方側に配置されている。図示例では、環状部材3がメカニカルシール31である場合について説明するが、環状部材3は、車室2に収容されてロータ4の大径部41を挿通するものであればよく、メカニカルシール31に限定されるものではない。
【0016】
(メカニカルシール)
メカニカルシール31は、上述した隙間230に配置され、車室2に取り付けられることで、車室2の内面23とロータ4の大径部41の外面との間をシールするように構成されている。メカニカルシール31は、上記軸方向における上記一方側の端面32と、上記軸方向における他方側の端面33と、端面32から端面33まで貫通し、ロータ4の大径部41を挿通させる第1挿通孔34と、を有する環状に形成されている。
【0017】
図示される実施形態では、車室2の上半部21は、メカニカルシール31の端面33に当接する当接面211と、上半部21にメカニカルシール31を取り付けるための締結部材(例えば、ボルト)11が締結される締結孔(第1締結孔)212と、を有する。締結孔212は、当接面211に形成されている。メカニカルシール31は、端面32から端面33まで貫通し、締結部材11を挿通させる少なくとも1つの第2挿通孔35をさらに有する。第2挿通孔35は、第1挿通孔34よりもロータ4の径方向における外側に形成される。第2挿通孔35を挿通した締結部材11を締結孔212に螺合させることで、メカニカルシール31が上半部21に取り付けられる。
【0018】
図示される実施形態では、車室2の下半部22は、メカニカルシール31の端面33に当接する当接面221と、下半部22にメカニカルシール31を取り付けるための締結部材(例えば、ボルト)12が締結される締結孔(第2締結孔)222と、を有する。締結孔222は、当接面221に形成されている。メカニカルシール31は、端面32から端面33まで貫通し、締結部材12を挿通させる少なくとも1つの第3挿通孔36をさらに有する。第3挿通孔36は、第1挿通孔34よりもロータ4の径方向における外側に形成される。第3挿通孔36を挿通した締結部材12を締結孔222に螺合させることで、メカニカルシール31が下半部22に取り付けられる。
【0019】
図示される実施形態では、図1及び図2に示されるように、ロータ4は、ロータ4の軸方向における小径部42と大径部41との間に、大径部41に隣接して形成される螺合部45と、大径部41の螺合部45に隣接する側とは反対側の端部からロータ4の径方向における外側に突出する段差面46と、をさらに含む。螺合部45は、大径部41よりも外径が小さく、小径部42よりも外径が大きくなっている。タービン1は、ロータ4の螺合部45に取り付けられる環状のナット部材37と、ナット部材37とメカニカルシール31との間に配置される環状のワッシャ38と、をさらに備えていてもよい。ナット部材37及びワッシャ38は、螺合部45に挿通され、ナット部材37の内周面に形成されたネジ部が、螺合部45の外周面に形成されたネジ部に螺合するようになっている。ナット部材37及びワッシャ38は、ナット部材37が螺合部45に螺合することで、ロータ4の段差面46との間にメカニカルシール31を挟持するようになっている。
【0020】
(軸受台、軸受)
軸受台5は、図1及び図2に示されるように、車室2よりもロータ4の軸方向における上記一方側に配置され、ロータ4の小径部42を収容するようになっている。軸受台5は、ロータ4の上方を覆う上半部51と、ロータ4の下方を覆う下半部52とに上下分割可能に構成されている。上半部51及び下半部52の各々は、ロータ4の周方向に沿って延在する円弧状に形成されている。上半部51は、下半部52とは別体に構成されており、下半部52の上に載せられてボルト等の締結装置(不図示)により下半部52に着脱可能に連結されている。図示される実施形態に係るタービン1では、軸受台5は、ロータ4の中心軸線LAを含む水平面よりも上側の上半部51と、該水平面よりも下側の下半部52とに、該水平面で2分割されている。
【0021】
軸受6は、図1及び図2に示されるように、ロータ4の小径部42を回転可能に支持するようになっている。ロータ4は、ロータ4の小径部42からロータ4の径方向に沿って突出する突出部422を有する。軸受6は、突出部422のスラスト荷重を受けるように構成されたスラスト軸受61を含む。図示されるように、軸受6は、ロータ4の小径部42のラジアル荷重を受けるように構成されたジャーナル軸受62をさらに含んでいてもよい。図示される実施形態では、ジャーナル軸受62は、ロータ4の螺合部45と突出部422との間に配置されている。スラスト軸受61及びジャーナル軸受62の各々は、ロータ4から取り外すことができるように、ロータ4の周方向において複数(図示例では、2つ)に分割可能に構成されている。
【0022】
図示される実施形態では、車室2の上半部21は、軸受台5の上半部51の上記軸方向の上記他方側の端面511に当接する端面213と、上半部21に上半部51を取り付けるための締結部材(例えば、ボルト)13が締結される少なくとも1つの締結孔214と、を有する。締結孔214は、端面213に形成されている。
【0023】
軸受台5の上半部51は、上記軸方向の上記他方側の端部から上記径方向に沿って径方向における外側に突出するフランジ部512を含む。フランジ部512は、上述した端面511と、フランジ部512を貫通し、締結部材13を挿通させる少なくとも1つの挿通孔513と、を有する。各挿通孔513を挿通した締結部材13を各締結孔214に螺合させることで、軸受台5の上半部51が車室2の上半部21に取り付けられる。
【0024】
図示される実施形態では、車室2の下半部22は、軸受台5の下半部52の上記軸方向の上記他方側の端面521に当接する端面223と、下半部22に下半部52を取り付けるための締結部材(例えば、ボルト)14が締結される少なくとも1つの締結孔224と、を有する。締結孔224は、端面223に形成されている。
【0025】
軸受台5の下半部52は、上記軸方向の上記他方側の端部から上記径方向に沿って径方向における外側に突出するフランジ部522を含む。フランジ部522は、上述した端面521と、フランジ部522を貫通し、締結部材14を挿通させる少なくとも1つの挿通孔523と、を有する。各挿通孔523を挿通した締結部材14を各締結孔224に螺合させることで、下半部52が車室2の下半部22に取り付けられる。
【0026】
(環状部材の取り外し方法)
図3は、本開示の一実施形態に係る環状部材3の取り外し方法の一例を示すフロー図である。図4図5図7図10図12及び図13の各々は、本開示の一実施形態に係る環状部材3の取り外し方法を説明するための説明図である。図4図5図7図10図12及び図13には、タービン1の軸方向に沿った概略断面図が示されている。図6は、図5に示される第1支持装置7を上記軸方向の上記一方側から視た状態を示す模式図である。図11は、図10に示されるスリーブ110の上記軸方向に直交する概略断面図である。幾つかの実施形態に係る環状部材3の取り外し方法は、図3に示されるように、上半部取り外しステップS1と、第1ロータ支持ステップS2と、下半部取り外しステップS3と、軸受取り外しステップS4と、第2ロータ支持ステップS5と、環状部材取り出しステップS6と、を備える。
【0027】
(上半部取り外しステップ)
上半部取り外しステップS1では、図4に示されるように、タービン1から軸受台5の上半部51を取り外すことが行われる。具体的には、図2に示されるような、締結部材13を介した軸受台5の上半部51と車室2の上半部21との間の締結を解除することが行われる。
【0028】
図示される実施形態では、軸受台5の上半部51及び下半部52の上記軸方向の上記一方側の端部514、524は、他部材101に締結部材(例えば、ボルト)を介して締結されている。この場合には、上半部取り外しステップS1において、上半部51の端部514と他部材101との間の締結を解除することも行われる。
【0029】
(第1ロータ支持ステップ)
第1ロータ支持ステップS2は、上半部取り外しステップS1の後に行われる。第1ロータ支持ステップS2では、図5に示されるように、車室2にロータ4を吊り下げ支持する第1支持装置7を取り付けることで、ロータ4を支持することが行われる。第1支持装置7がロータ4を支持することで、軸受台5の下半部52及び軸受6がロータ4を下側から支持しなくても良くなるため、タービン1から軸受台5の下半部52及び軸受6を取り外すことが可能になる。
【0030】
(下半部取り外しステップ)
下半部取り外しステップS3は、第1ロータ支持ステップS2の後に行われる。下半部取り外しステップS3では、図5に示されるような、締結部材14を介した軸受台5の下半部52と車室2の下半部22との間の締結を解除することが行われる。図示される実施形態では、下半部取り外しステップS3において、下半部52の端部524と他部材101との間の締結(図2参照)を解除することも行われる。
【0031】
(軸受取り外しステップ)
軸受取り外しステップS4は、下半部取り外しステップS3の後に少なくとも一部の工程が行われる。軸受取り外しステップS4では、タービン1から軸受6を取り外すことが行われる。具体的には、ロータ4からスラスト軸受61及びジャーナル軸受62を取り外すことが行われる。
【0032】
図示される実施形態では、図4に示されるように、スラスト軸受61及びジャーナル軸受62の各々は、ロータ4の上方を覆う上半部63、65と、ロータ4の下方を覆う下半部64、66とに上下分割可能に構成されている。図示される実施形態では、各軸受61、62の上半部63、65は、軸受台5の上半部取り外しステップS1の後、第1ロータ支持ステップS2の前にロータ4から取り外される。各軸受61、62の下半部64、66は、軸受取り外しステップS4にロータ4から取り外される。
【0033】
図示される実施形態では、図2、4に示されるように、スラスト軸受61の下半部64は、ボルト等の締結装置(不図示)により軸受台5の下半部52に固定されるようになっており、スラスト軸受61の上半部63は、ボルト等の締結装置(不図示)により下半部64に固定されるようになっている。各締結装置による締結を解除することで、上半部63を下半部64から取り外すことができ、下半部64を軸受台5の下半部52から取り外すことができるようになっている。
【0034】
図示される実施形態では、図2、4に示されるように、タービン1は、ジャーナル軸受62を軸受台5の下半部52に支持させる一対の軸受押え67、68をさらに備える。一対の軸受押え67、68は、ジャーナル軸受62の上半部65を覆う上方側軸受押え67と、ジャーナル軸受62の下半部66を覆う下方側軸受押え68と、を含む。下方側軸受押え68は、ボルト等の締結装置(不図示)により軸受台5の下半部52に固定されるようになっており、上方側軸受押え67は、ボルト等の締結装置(不図示)により下方側軸受押え68に固定されるようになっている。各締結装置による締結を解除することで、上方側軸受押え67を下方側軸受押え68から取り外すことができ、下方側軸受押え68を軸受台5の下半部52から取り外すことができるようになっている。
【0035】
ジャーナル軸受62の上半部65をロータ4から取り外す前に、上方側軸受押え67を下方側軸受押え68から取り外すことが行われる。ジャーナル軸受62の下半部66をロータ4から取り外す前に、下方側軸受押え68を軸受台5の下半部52から取り外すことが行われる。
【0036】
(第2ロータ支持ステップ)
第2ロータ支持ステップS5は、軸受取り外しステップS4の後に行われる。第2ロータ支持ステップS5では、図10に示されるように、車室2にロータ4を下側から支持する第2支持装置8を取り付けることで、ロータ4を支持することが行われる。第2支持装置8がロータ4を支持することで、ロータ4の軸方向の上記一方側が垂れ下がるのを抑制できるため、車室2の内部からメカニカルシール31(環状部材3)を取り外すことが可能になる。また、第2ロータ支持ステップS5では、車室2から第1支持装置7を取り外すことも行われる。
【0037】
(環状部材取り出しステップ)
環状部材取り出しステップS6は、第2ロータ支持ステップS5の後に行われる。環状部材取り出しステップS6では、締結部材11を介したメカニカルシール31(環状部材3)と車室2の上半部21との間の締結を解除することと、締結部材12を介したメカニカルシール31と車室2の下半部22との間の締結を解除することが行われる。そして、車室2との間の締結が解除されたメカニカルシール31を車室2の内部から上記軸方向の上記一方側に取り出すことが行われる。メカニカルシール31(環状部材3)を車室2の内部から取り出すことで、メカニカルシール31の取り外しが可能となる。上記の方法によれば、車室2を上半部21と下半部22に分割する工程やロータ4を車室2から取り出す工程を行わずに、車室2に収容された環状部材3を取り外すことができるため、環状部材3の取り外しに要する労力や工期を低減できる。
【0038】
幾つかの実施形態に係る環状部材3の取り外し方法では、図5及び図6に示されるように、上述した第1支持装置7は、車室2(図示例では、車室2の上半部21)に軸受台5の上半部51を取り付けるための締結部材13(図2参照)が締結される上述した締結孔214に取り付けられる第1ブラケット71と、第1ブラケット71に支持されてロータ4を支持する第1支持部材72と、を含む。
【0039】
図示される実施形態では、図6に示されるように、車室2の上半部21には、ロータ4の周方向に沿って互いに間隔をあけて上述の締結孔214が複数形成されている。第1ブラケット71は、水平方向における一方側(図6中左側)に形成された複数の締結孔214のうち、少なくとも最も下方に位置する締結孔214に連通する貫通孔711が形成された一方側ブラケット71Aと、水平方向における他方側(図6中右側)に形成された複数の締結孔214のうち、少なくとも最も下方に位置する締結孔214に連通する貫通孔711が形成された他方側ブラケット71Bと、を含む。
【0040】
図6に示されるように、一方側ブラケット71A及び他方側ブラケット71Bの各々は、上述した最も下方に位置する締結孔214に隣接する締結孔214に連通する貫通孔711が形成されていてもよい。一方側ブラケット71A及び他方側ブラケット71Bの貫通孔711を挿通した締結部材(例えば、ボルト)15が、上述した締結孔214に締結されることで、一方側ブラケット71A及び他方側ブラケット71Bが車室2の上半部21に支持される。
【0041】
図示される実施形態では、図6に示されるように、一方側ブラケット71A及び他方側ブラケット71Bの各々には、上述した貫通孔711よりもロータ4の径方向における内側に、鉛直方向に沿って延びる貫通孔712が形成されている。
【0042】
第1支持部材72は、ロータ4の周方向に沿って延在する円弧板であり、ロータ4の下方を覆うように配置される。第1支持部材72の一対の円弧端721の各々には、一方側ブラケット71A及び他方側ブラケット71Bの貫通孔712を挿通した締結部材(例えば、ボルト)16が締結される締結孔722が形成されている。締結部材16が、上述した締結孔722に締結されることで、第1支持部材72が一方側ブラケット71A及び他方側ブラケット71Bに支持される。締結部材16による締結により、第1ブラケット71と第1支持部材72との間の間隔を小さくすることで、第1支持部材72がロータ4に下側から当接し、ロータ4を上方に押し上げるようになっている。
【0043】
上記の方法によれば、車室2には、軸受台5の上半部51を取り付けるための締結孔214が形成されており、第1ブラケット71を締結孔214に取り付けることで、第1ブラケット71を車室2に支持させることができる。この場合には、第1ブラケット71を支持するための支持構造を別途設ける必要がないため、第1支持装置7の構造を簡単なものとすることができる。
【0044】
幾つかの実施形態に係る環状部材3の取り外し方法では、上述した第2支持装置8は、図7に示されるように、車室2(図示例では、車室2の下半部22)に軸受台5の下半部52を取り付けるための締結部材14(図2参照)が締結される上述した締結孔224に取り付けられる第2ブラケット81と、第2ブラケット81に載置されてロータ4を下側から支持する第1支持構造体82と、を含む。
【0045】
図示される実施形態では、図7に示されるように、第2ブラケット81は、端面223に当接する第1板部811を含む。第1板部811には、上述した締結孔224に連通する貫通孔812が形成されている。第1板部811の貫通孔812を挿通した締結部材(例えば、ボルト)17が、上述した締結孔224に締結されることで、第2ブラケット81が車室2の下半部22に支持される。
【0046】
図示される実施形態では、図7に示されるように、第2ブラケット81は、第1板部811の端面223に当接する面とは反対側(図中左側)の面から上記軸方向に沿って上記軸方向の上記一方側に延在する第2板部813をさらに含む。第2板部813は、第1支持構造体82が載置される載置面814と、第3支持装置(図9参照)が載置される載置面815を有する。載置面815は、載置面814よりも上記軸方向の上記他方側に形成される。
【0047】
図示される実施形態では、図7に示されるように、第1支持構造体82は、載置面814に載置され、ロータ4を下側から支持する第1油圧ジャッキ821を少なくとも含む。図7に示されるように、第1支持構造体82は、ロータ4と第1油圧ジャッキ821との間に配置されるロータ支持板822をさらに含んでいてもよい。ロータ支持板822は、ロータ4の損傷防止のため樹脂素材等のロータ4よりも柔らかい素材で形成されている。ロータ4と第1油圧ジャッキ821との間にロータ支持板822を配置することで、第1油圧ジャッキ821によりロータ4を下側から支持するときのロータ4の損傷を抑制できる。
【0048】
上記の方法によれば、車室2には、軸受台5の下半部52を取り付けるための第2締結孔224が形成されており、第2ブラケット81を第2締結孔224に取り付けることで、第2ブラケット81を車室2に支持させることができる。この場合には、第2ブラケット81を支持するための支持構造を別途設ける必要がないため、第2支持装置8の構造を簡単なものとすることができる。
【0049】
(ナット部材及びワッシャの取り出し方法)
幾つかの実施形態に係る環状部材3の取り外し方法では、図7図9に示されるように、上述したナット部材37及びワッシャ38をタービン1から取り外す取り外しステップをさらに備える。上記取り外しステップは、上述した第2ロータ支持ステップS5の後、且つ上述した環状部材取り出しステップS6の前に行われる。
【0050】
上記取り外しステップでは、図8に示されるように、第1に、ロータ4の螺合部45からナット部材37及びワッシャ38を取り外し、ナット部材37及びワッシャ38を、第3支持装置9がロータ4を支持する軸方向位置よりも上記軸方向の上記一方側まで移動させることが行われる。第2に、ロータ4をナット部材37及びワッシャ38よりも上記軸方向の他方側の軸方向位置において下側から支持する第3支持装置9をタービン1に取り付けることが行われる。
【0051】
図示される実施形態では、図8に示されるように、第3支持装置9は、載置面815に載置され、ロータ4を下側から支持する第2油圧ジャッキ91を少なくとも含む。図8に示されるように、第3支持装置9は、ロータ4と第2油圧ジャッキ91との間に配置されるロータ支持板92をさらに含んでいてもよい。ロータ支持板92は、ロータ4の損傷防止のため樹脂素材等のロータ4よりも柔らかい素材で形成されている。ロータ4と第2油圧ジャッキ91との間にロータ支持板92を配置することで、第2油圧ジャッキ91によりロータ4を下側から支持するときのロータ4の損傷を抑制できる。
【0052】
上記取り外しステップでは、図9に示されるように、第3に、タービン1から第2支持装置8の少なくとも一部(図示例では、ロータ支持板822)を取り外すことが行われ、第4に、ロータ4からナット部材37及びワッシャ38を取り外すことが行われる。第2支持装置8によるロータ4の支持を解除することで、ロータ4の上記軸方向の上記一方側の端部からナット部材37及びワッシャ38を取り外すことが可能となる。ナット部材37及びワッシャ38をロータ4から取り外した後に、タービン1から取り外した第2支持装置8の上記少なくとも一部を再度タービン1に取り付け、第2支持装置8にロータ4を支持させることが行われる。
【0053】
幾つかの実施形態に係る環状部材3の取り外し方法では、図10に示されるように、上述したロータ4は、上述した大径部41と、上述した小径部42と、を含む。上述した環状部材取り出しステップS6は、ロータ4の小径部42に大径部41と外径が等しくなるようなスリーブ110を取り付けるスリーブ取り付けステップを含む。スリーブ取り付けステップは、上述したナット部材37及びワッシャ38をタービン1から取り外す取り外しステップよりも後に行われる。
【0054】
図示される実施形態では、スリーブ110は、図10に示されるように、ロータ4の軸方向に沿って延在する筒状部111を含む。筒状部111は、外径が大径部41と等しく、内径がロータ4の小径部42及び螺合部45の最大外径よりも大きくなっている。ここで、筒状部111の外径と大径部41の外径が等しいには、筒状部111の外径と大径部41の外径との間に製作誤差等の許容し得る微差がある場合が含まれる。
【0055】
図示される実施形態では、筒状部111は、図11に示されるように、筒状部111の周方向における一端115と他端116との間に形成される開口112を有する。上記スリーブ取り付けステップでは、開口112がスリーブ110の下方に位置した状態で、スリーブ110内にロータ4の小径部42及び螺合部45を挿入させることが行われる。スリーブ110は、ロータ4の小径部42及び螺合部45に取り付けられた際に、開口112がスリーブ110の下方に位置する。開口112は、中心軸線LAの鉛直下方を含む位置に形成されている。筒状部111に開口112を形成することで、スリーブ110が上述した第2支持装置8や第3支持装置9に干渉することを抑制できる。開口112は、第2支持装置8や第3支持装置9に干渉しない程度の大きさを有する。
【0056】
図示される実施形態では、スリーブ110は、図10に示されるように、筒状部111の上記軸方向の上記一方側を閉塞する閉塞板部113をさらに含む。ロータ4の軸方向の上記一方側の端部には締結孔44が形成されている。閉塞板部113には、締結孔44に連通する貫通孔114が形成されている。貫通孔114を挿通した締結部材(例えば、ボルト)18を締結孔44に螺合させることで、スリーブ110がロータ4に取り付けられる。
【0057】
上記の方法によれば、小径部42にスリーブ110を取り付けることで、環状部材3を上記軸方向の上記一方側に取り出す際に、環状部材3をスリーブ110の外面上を滑動させることができるため、環状部材3を上記軸方向の上記一方側に取り出す作業を簡単なものにすることができる。
【0058】
幾つかの実施形態に係る環状部材3の取り外し方法は、図3に示されるように、第3ロータ支持ステップS7と、環状部材取り外しステップS8と、をさらに備える。
【0059】
(第3ロータ支持ステップ)
第3ロータ支持ステップS7は、環状部材取り出しステップS6の後に行われる。第3ロータ支持ステップS7では、図13に示されるように、ロータ4を環状部材3よりも上記軸方向の上記他方側の軸方向位置において下側から支持する上述した第3支持装置9をタービン1に取り付けることで、ロータ4を支持することが行われる。また、第3ロータ支持ステップS7では、図13に示されるように、タービン1から第2支持装置8の少なくとも一部を取り外すことが行われる。なお、図13に示される実施形態では、第3ロータ支持ステップS7及び環状部材取り外しステップS8において、上述したスリーブ110が用いられているが、スリーブ110を用いなくてもよい。
【0060】
第3ロータ支持ステップS7では、図12に示されるように、第1に、車室2からメカニカルシール31(環状部材3)を取り外し、メカニカルシール31を、第3支持装置9がロータ4を支持する軸方向位置よりも上記軸方向の上記一方側まで移動させることが行われる。第2に、ロータ4をメカニカルシール31よりも上記軸方向の他方側の軸方向位置において下側から支持する第3支持装置9をタービン1に取り付けることが行われる。
【0061】
第3ロータ支持ステップS7では、図13に示されるように、第3に、タービン1から第2支持装置8の少なくとも一部(図示例では、第1油圧ジャッキ821及びロータ支持板822)を取り外すことが行われる。
【0062】
(環状部材取り外しステップ)
環状部材取り外しステップS8は、第3ロータ支持ステップS7の後に行われる。環状部材取り外しステップS8では、メカニカルシール31(環状部材3)を上記軸方向の上記一方側に移動してタービン1から取り外すことが行われる。具体的には、ロータ4の軸方向の上記一方側の端部からメカニカルシール31を取り外すことが行われる。第3ロータ支持ステップS7において、第2支持装置8によるロータ4の支持を解除することで、ロータ4の上記軸方向の上記一方側の端部からメカニカルシール31を取り外すことが可能となる。
【0063】
上記の方法によれば、第2支持装置8又は第3支持装置9の少なくとも一方にロータ4を支持させた状態を維持しつつ、第2支持装置8がロータ4を支持する位置よりも上記軸方向の上記一方側に環状部材3を移動させることができる。この場合には、環状部材3を上記軸方向の上記一方側に移動させて、タービン1から取り外す作業を簡単なものにすることができる。
【0064】
なお、幾つかの実施形態に係る環状部材3の取り外し方法では、車室2から環状部材3を取り外すステップS1~S8について主に説明したが、これらのステップS1~S8を逆順に行うことで、車室2に新たな環状部材3を取り付けることができる。
【0065】
幾つかの実施形態に係る環状部材3の取り外し方法では、上述した環状部材3は、車室2に着脱可能に取り付けられる上述した環状のメカニカルシール31を含む。メカニカルシール31は、車室2とロータ4との間をシールするように構成されている。この場合には、上下分割可能なタービン1の車室2を分割せずに該車室2に収容されたメカニカルシール31を取り外すことができ、メカニカルシール31の取り外しに要する労力や工期を低減できる。
【0066】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0067】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0068】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0069】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る環状部材(3)の取り外し方法は、
タービン(1)の車室(2)に収容された環状部材(3)の取り外し方法であって、
前記タービン(1)は、
ロータ(4)と、
前記ロータ(4)を収容するための上下分割可能に構成された前記車室(2)と、
前記車室(2)に対して前記ロータ(4)の軸方向における一方側に隣接して配置され、前記車室(2)に取り付けられる軸受台(5)であって、前記ロータ(4)を支持する軸受(6)を収容するための上下分割可能に構成された軸受台(5)と、を含み、
前記環状部材(3)の取り外し方法は、
前記タービン(1)から前記軸受台(5)の上半部(51)を取り外す上半部取り外しステップ(S1)と、
前記上半部取り外しステップ(S1)の後に、前記車室(2)に前記ロータ(4)を吊り上げ支持する第1支持装置(7)を取り付けることで、前記ロータ(4)を支持する第1ロータ支持ステップ(S2)と、
前記第1ロータ支持ステップ(S2)の後に、前記タービン(1)から前記軸受台(5)の下半部(52)を取り外す下半部取り外しステップ(S3)と、
前記下半部取り外しステップ(S3)の後に前記タービン(1)から前記軸受(6)を取り外す軸受取り外しステップ(S4)と、
前記軸受取り外しステップ(S4)の後に、前記車室(2)に前記ロータ(4)を下側から支持する第2支持装置(8)を取り付けることで、前記ロータ(4)を支持するとともに、前記車室(2)から前記第1支持装置(7)を取り外す第2ロータ支持ステップ(S5)と、
前記環状部材(3)を前記車室(2)の内部から前記軸方向の前記一方側に取り出す環状部材取り出しステップ(S6)と、を備える。
【0070】
上記1)の方法によれば、上下分割可能なタービン(1)の車室(2)を分割せずに該車室(2)に収容された環状部材(3)を取り外すことができ、環状部材(3)の取り外しに要する労力や工期を低減できる。
【0071】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の環状部材(3)の取り外し方法であって、
前記第1支持装置(7)は、前記車室(2)に前記軸受台(5)の前記上半部(51)を取り付けるための締結部材が締結される第1締結孔(214)に取り付けられる第1ブラケット(71)と、
前記第1ブラケット(71)に支持されて前記ロータ(4)を支持する第1支持部材(72)と、を含む。
【0072】
上記2)の方法によれば、車室(2)には、軸受台(5)の上半部(51)を取り付けるための第1締結孔(214)が形成されており、第1ブラケット(71)を第1締結孔(214)に取り付けることで、第1ブラケット(71)を車室(2)に支持させることができる。この場合には、第1ブラケット(71)を支持するための支持構造を別途設ける必要がないため、第1支持装置(7)の構造を簡単なものとすることができる。
【0073】
3)幾つかの実施形態では、上記1)又は2)に記載の環状部材(3)の取り外し方法であって、
前記第2支持装置(8)は、前記車室(2)に前記軸受台(5)の前記下半部(52)を取り付けるための締結部材が締結される第2締結孔(224)に取り付けられる第2ブラケット(81)と、
前記第2ブラケット(81)に載置されて前記ロータ(4)を下側から支持する第1支持構造体(82)と、を含む。
【0074】
上記3)の方法によれば、車室(2)には、軸受台(5)の下半部(52)を取り付けるための第2締結孔(224)が形成されており、第2ブラケット(81)を第2締結孔(224)に取り付けることで、第2ブラケット(81)を車室(2)に支持させることができる。この場合には、第2ブラケット(81)を支持するための支持構造を別途設ける必要がないため、第2支持装置(8)の構造を簡単なものとすることができる。
【0075】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から3)までの何れかに記載の環状部材(3)の取り外し方法であって、
前記ロータ(4)は、
前記環状部材(3)を挿通する大径部(41)と、
前記大径部(41)よりも前記軸方向の前記一方側に形成される前記大径部(41)よりも外径が小さい小径部(42)と、を含み、
前記環状部材取り出しステップ(S6)は、前記ロータ(4)の前記小径部(42)に前記大径部(41)と外径が等しくなるようなスリーブ(110)を取り付けるスリーブ取り付けステップを含む。
【0076】
上記4)の方法によれば、小径部(42)にスリーブ(110)を取り付けることで、環状部材(3)を上記軸方向の上記一方側に取り出す際に、環状部材(3)をスリーブ(110)の外面上を滑動させることができるため、環状部材(3)を上記軸方向の上記一方側に取り出す作業を簡単なものにすることができる。
【0077】
5)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の環状部材(3)の取り外し方法であって、
前記スリーブ(110)は、周方向における一端と他端との間に形成される開口(112)であって、前記ロータ(4)の前記小径部(42)に前記スリーブ(110)が取り付けられた際に前記スリーブ(110)の下方に位置する開口(112)を有する。
【0078】
上記5)の方法によれば、スリーブ(110)に開口(112)を設けることで、スリーブ(110)をロータ(4)の小径部(42)に取り付け、取り外しをする際に、スリーブ(110)に第2支持装置(8)や第3支持装置(9)が干渉することを抑制できる。
【0079】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)までの何れかに記載の環状部材(3)の取り外し方法であって、
前記環状部材取り出しステップ(S6)の後に、前記ロータ(4)を前記環状部材(3)よりも前記軸方向の他方側の軸方向位置において下側から支持する第3支持装置(9)を前記タービン(1)に取り付けることで、前記ロータ(4)を支持するとともに、前記タービン(1)から前記第2支持装置(8)の少なくとも一部を取り外す第3ロータ支持ステップ(S7)と、
前記第3ロータ支持ステップ(S7)の後に、前記環状部材(3)を前記軸方向の前記一方側に移動して前記タービン(1)から取り外す環状部材取り外しステップ(S8)と、をさらに備える。
【0080】
上記6)の方法によれば、第2支持装置(8)又は第3支持装置(9)の少なくとも一方にロータ(4)を支持させた状態を維持しつつ、第2支持装置(8)がロータ(4)を支持する位置よりも上記軸方向の上記一方側に環状部材(3)を移動させることができる。この場合には、環状部材(3)を上記軸方向の上記一方側に移動させて、タービン(1)から取り外す作業を簡単なものにすることができる。
【0081】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から6)までの何れかに記載の環状部材(3)の取り外し方法であって、
前記環状部材(3)は、前記車室(2)に着脱可能に取り付けられるメカニカルシール(31)であって、前記車室(2)と前記ロータ(4)との間をシールするように構成されたメカニカルシール(31)を含む。
【0082】
上記7)の方法によれば、上下分割可能なタービン(1)の車室(2)を分割せずに該車室(2)に収容されたメカニカルシール(31)を取り外すことができ、メカニカルシール(31)の取り外しに要する労力や工期を低減できる。
【符号の説明】
【0083】
1 タービン
2 車室
3 環状部材
4 ロータ
5 軸受台
6 軸受
7 第1支持装置
8 第2支持装置
9 第3支持装置
11~18 締結部材
21 上半部
22 下半部
31 メカニカルシール
37 ナット部材
38 ワッシャ
41 大径部
42 小径部
43 タービン動翼
51 上半部
52 下半部
61 スラスト軸受
62 ジャーナル軸受
71 第1ブラケット
72 第1支持部材
81 第2ブラケット
82 第1支持構造体
101 他部材
110 スリーブ
S1 上半部取り外しステップ
S2 第1ロータ支持ステップ
S3 下半部取り外しステップ
S4 軸受取り外しステップ
S5 第2ロータ支持ステップ
S6 環状部材取り出しステップ
S7 第3ロータ支持ステップ
S8 環状部材取り外しステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13