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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145710
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ヒートパイプ及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20241004BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241004BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F28D15/02 102H
F28D15/02 M
F28D15/02 102C
H05K7/20 R
H01L23/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058181
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 成
(72)【発明者】
【氏名】久保木 秀幸
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB01
5E322AB06
5E322AB11
5E322DB09
5E322DB10
5E322EA10
5E322FA01
5E322FA06
5F136CC14
5F136CC17
5F136FA01
(57)【要約】
【課題】対象物の熱を効率的に放熱することができるヒートパイプ及び電気機器を提供する。
【解決手段】ヒートパイプ10は、電気機器1の内部に配され、対象物に取り付けられるヒートパイプ10であって、対象物に接触する接触面13を有する底部11と、接触面13に交差する方向に底部11から延びる周壁部12と、底部11及び周壁部12の内部に形成される密封空間14と、密封空間14の一部を占めるように配される作動液15と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の内部に配され、対象物に取り付けられるヒートパイプであって、
前記対象物に接触する接触面を有する底部と、
前記接触面に交差する方向に前記底部から延びる周壁部と、
前記底部及び前記周壁部の内部に形成される密封空間と、
前記密封空間の一部を占めるように配される作動液と、を有する、ヒートパイプ。
【請求項2】
前記周壁部から延びる複数のフィンをさらに有する、請求項1に記載のヒートパイプ。
【請求項3】
前記底部は円形をなし、
前記周壁部は前記底部の外縁部から延びている、請求項1または請求項2に記載のヒートパイプ。
【請求項4】
前記底部には、前記ヒートパイプを前記対象物にボルト締結するための挿通孔が形成されている、請求項1または請求項2に記載のヒートパイプ。
【請求項5】
前記電気機器が水平面に配置された状態では、前記周壁部は前記底部に対して上方に配されるようになっている、請求項1または請求項2に記載のヒートパイプ。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のヒートパイプと、
発熱部品と、
前記発熱部品に接続され、前記ヒートパイプが取り付けられるバスバーと、を備える、電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートパイプ及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載される電気機器には、発熱しやすい部品が含まれ、この部品を放熱するための構成が設けられている。このような構成として、従来、特開2016-18924号公報(下記特許文献1)に記載の半導体遮断器の放熱構造が知られている。この半導体遮断器の放熱構造は、オンオフにより所定の対象同士を遮断及び導通させる半導体遮断器にて発生する熱を放出する構造であって、半導体遮断器が搭載される金属製のバスバと、バスバに接触状態で設けられる金属製のヒートパイプと、を備えている。ヒートパイプは、バスバと接触する側の端部と反対側の端部側が放熱部材に接続されている。放熱部材の例としては、電池パックのカバーや車体ボディ等が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-18924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の半導体遮断器の放熱構造が車両に設けられた場合、坂等で車両が傾いた場合に、ヒートパイプ内部の作動液がヒートパイプの放熱部材側の端部に偏って配され、ヒートパイプにおけるバスバ側の部分には作動液がほとんど配されない場合がありうる。このような場合、半導体遮断器で発生した熱を、作動液が気化することによって効率的に吸熱することが困難であることが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のヒートパイプは、電気機器の内部に配され、対象物に取り付けられるヒートパイプであって、前記対象物に接触する接触面を有する底部と、前記接触面に交差する方向に前記底部から延びる周壁部と、前記底部及び前記周壁部の内部に形成される密封空間と、前記密封空間の一部を占めるように配される作動液と、を有する、ヒートパイプである。
【0006】
また、本開示の電気機器は、上記のヒートパイプと、発熱部品と、前記発熱部品に接続され、前記ヒートパイプが取り付けられるバスバーと、を備える、電気機器である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、対象物の熱を効率的に放熱することができるヒートパイプ及び電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1にかかる電気機器の要部を示す斜視図である。
図2図2は、ヒートパイプの斜視図である。
図3図3は、導入管部を封止する前のヒートパイプの斜視図である。
図4図4は、図2のA-A断面図である。
図5図5は、図4のB-B断面図である。
図6図6は、図4のC-C断面図である。
図7図7は、図4のD-D断面図である。
図8図8は、電気機器が水平面に配置された状態における作動液の配置を示す断面図である。
図9図9は、電気機器が傾いた状態における作動液の配置を示す断面図である。
図10図10は、実施形態2にかかるヒートパイプの斜視図である。
図11図11は、図10の断面図であって、実施形態1の図4に対応する図である。
図12図12は、図10の断面図であって、実施形態1の図7に対応する図である。
図13図13は、ヒートパイプをバスバーに取り付けた状態を示す断面図である。
図14図14は、実施形態3にかかるヒートパイプの斜視図である。
図15図15は、ヒートパイプを第1方向の一方側から見た図である。
図16図16は、ヒートパイプの断面図であって、実施形態1の図4に対応する図である。
図17図17は、実施形態4にかかるヒートパイプの斜視図である。
図18図18は、ヒートパイプの断面図であって、実施形態1の図4に対応する図である。
図19図19は、実施形態5にかかるヒートパイプの斜視図である。
図20図20は、ヒートパイプの断面図であって、実施形態1の図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
[1]本開示のヒートパイプは、電気機器の内部に配され、対象物に取り付けられるヒートパイプであって、前記対象物に接触する接触面を有する底部と、前記接触面に交差する方向に前記底部から延びる周壁部と、前記底部及び前記周壁部の内部に形成される密封空間と、前記密封空間の一部を占めるように配される作動液と、を有する。
【0010】
このような構成によると、電気機器が傾いた場合でも、作動液の少なくとも一部が底部に接触するように配置されやすいため、対象物から作動液に熱を伝えやすくなる。よって、作動液が気化することにより、対象物の熱を効率的に放熱することができる。
【0011】
[2]上記[1]のヒートパイプは、前記周壁部から延びる複数のフィンをさらに有することが好ましい。
【0012】
このような構成によると、フィンを設けることによりヒートパイプの熱を外気へと放熱しやすくなる。
【0013】
[3]上記[1]または[2]において、前記底部は円形をなし、前記周壁部は前記底部の外縁部から延びていることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、電気機器が傾く方向に依存せず、作動液の少なくとも一部が底部に接触するように配置されやすくなる。よって、対象物の熱をより一層効率的に放熱することができる。
【0015】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つにおいて、前記底部には、前記ヒートパイプを前記対象物にボルト締結するための挿通孔が形成されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、ボルト締結によりヒートパイプを対象物に取り付けることができる。
【0017】
[5]上記[1]から[4]のいずれか1つにおいて、前記電気機器が水平面に配置された状態では、前記周壁部は前記底部に対して上方に配されるようになっていることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、電気機器が傾いていない場合に底部に接触するように配置される作動液の体積を最大化することができる。よって、対象物の熱をより一層効率的に放熱することができる。
【0019】
[6]本開示の電気機器は、上記[1]から[5]のいずれか1つのヒートパイプと、発熱部品と、前記発熱部品に接続され、前記ヒートパイプが取り付けられるバスバーと、を備える。
【0020】
このような構成によると、発熱部品からバスバーに伝わる熱を効率的に放熱することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。本明細書における「直交」、「平行」は、厳密に直交、平行の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね直交、平行の場合も含まれる。
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図9を参照しつつ説明する。本実施形態のヒートパイプ10を備えた電気機器1は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車などの車両に搭載され、バッテリ等の電源とモータ等の負荷とを接続する電力供給経路に配される。以下の説明においては、ヒートパイプ10の接触面13に直交する方向を第1方向D1(図4参照)、第1方向D1に直交する任意の方向を面内方向として説明する。
【0023】
(電気機器1)
図1に示すように、電気機器1は、リレー2(発熱部材の一例)と、リレー2に接続されるバスバー3(対象物の一例)と、バスバー3に取り付けられるヒートパイプ10と、を備えている。また、電気機器1は、リレー2、バスバー3、及びヒートパイプ10を収容するケース(図示せず)を備えている。
【0024】
(リレー2、バスバー3)
リレー2は、ブロック状の本体部2Aと、端子部2Bと、を備えている。端子部2Bは、例えば、バスバー3をボルト締結するための締結孔を有している。バスバー3は、導電性の金属板材から構成されている。バスバー3はリレー2に電気的に接続される接続部3Aと、ヒートパイプ10が取り付けられる取付部3Bと、を備えている。接続部3Aは、例えばボルト締結により端子部2Bに接続される。取付部3Bは第1方向D1に扁平となっている。取付部3Bはヒートパイプ10に接触する外面3B1を有する。外面3B1は取付部3Bの第1方向D1における一方側に配される面であり、第1方向D1に直交している。リレー2で発生する熱を効率よく放熱するために、取付部3Bは接続部3Aの近傍に配置されることが好ましい。
【0025】
(ヒートパイプ10)
ヒートパイプ10は金属から構成されている。図2に示すように、ヒートパイプ10は、底部11と、底部11の外縁部から第1方向D1の一方側に延びる周壁部12と、を備えている。
【0026】
(底部11、周壁部12、接触面13)
底部11は、第1方向D1から見て、円形をなしている(図5から図7参照)。図4に示すように、底部11は、第1壁11Aと、第1壁11Aに対して第1方向D1における一方側(図4の図示上方)に配される第2壁11Bと、を備えている。周壁部12は、第1壁11Aの面内方向における端部に連なる外壁12Aと、第2壁11Bの面内方向における端部に連なる内壁12Bと、外壁12Aから延びる筒状の筒部12Cと、を備えている。外壁12A及び内壁12Bの第1方向D1における一方側の端部は、接続端部12Dによって接続されている。また、筒部12Cの面内方向における内壁12Bから離間する方向の端部は、封止部12C1によって封止されている。図8に示すように、第1壁11Aはバスバー3の取付部3Bの外面3B1に接触する接触面13を有する。接触面13は、例えば、接着剤による接着や溶接等により、外面3B1に固定されている。
【0027】
(密封空間14)
図4に示すように、底部11及び周壁部12の内部には密封空間14が形成されている。詳細には、密封空間14は、底部11の内部に形成される第1空間14Aと、第1空間14Aに連通して、周壁部12の内部に形成される第2空間14Bと、から構成されている。密封空間14は減圧されている。第1空間14Aは第1壁11Aと第2壁11Bとの間に形成される空間である。図7に示すように、第1空間14Aは面内方向に広がっている。図5及び図6に示すように、第2空間14Bは、外壁12A、内壁12B、及び筒部12Cにより構成される空間である。第2空間14Bは第1方向から見て略円環状をなしている。
【0028】
(作動液15)
図8及び図9に示すように、密封空間14には作動液15(図4から図7では不図示)が封入されている。作動液15としては、例えば水や不凍液等を使用することができる。液体状態の作動液15は密封空間14の一部を占めている。以下、特に言及しない限り、「作動液15」は液体状態であることを意図する。
【0029】
ヒートパイプ10は、例えば3Dプリンタを用いて製造することができる。まず、図3に示すような非密閉体10Aが形成される。非密閉体10Aは、密封空間14を形成する前、すなわち筒部12Cを封止する前の状態のヒートパイプ10である。非密閉体10Aの筒部12Cの開口部12C2が、例えばホース等を介して減圧ポンプに接続され、非密閉体10Aの内部空間(後の密封空間14に対応)が減圧される。そして、作動液15がホース等を介して筒部12Cから非密閉体10Aの内部空間に注入される。最後に、筒部12Cをかしめることにより、封止部12C1が形成され、ヒートパイプ10の製造が完了する(図8参照)。
【0030】
図8に示すように、電気機器1が水平面(鉛直方向に直交する面)に配置された状態では、接触面13は水平面に平行に配される。そして、第1方向D1は上下方向(鉛直方向)、第1方向D1の一方側は上方、第1方向D1の他方側は下方とされる。よって、周壁部12は底部11に対して上方に配されている。液体状態の作動液15は重力により、第1空間14Aの第1壁11A側に偏って配される。一方で、第2空間14Bの大半の部分は、気体状態の作動液15を含む減圧状態のガスにより占められている。
【0031】
電気機器1の使用によりリレー2が発熱すると、リレー2から発生した熱がバスバー3に伝わる。すると、取付部3Bの外面3B1に接触する接触面13から熱がヒートパイプ10へと伝わる。ここで、作動液15は接触面13を有する第1壁11A側に偏って配されているから、作動液15が気化しやすくなっている。したがって、作動液15の気化によって、バスバー3を介してリレー2の熱を放熱しやすくなっている。作動液15は気化すると、第1空間14Aから上昇して第2空間14Bへと移動する。そして、気化した作動液15は、第2空間14Bにおいて周壁部12を介して外気と熱交換することにより冷却され、凝縮(液化)される。再び液体となった作動液15は、重力により第1空間14Aへと下降する。このように作動液15の気化、凝縮が繰り返されることで、バスバー3ひいてはリレー2を冷却することができる。
【0032】
図9に示すように、電気機器1が水平面(図9の一点鎖線)に対して傾斜角度A1をなす平面に配置された場合(例えば電気機器1が搭載される車両が坂等において傾いた姿勢となった場合)、接触面13は水平面と傾斜角度A1をなして配され、液体状態の作動液15の一部は第2空間14Bへと移動する。しかし、依然として、液体状態の作動液15の一部は第1空間14Aに残るようになっている。したがって、電気機器1が水平面に対して傾斜角度A1だけ傾いている場合でも、作動液15の気化によりリレー2を効率的に冷却することができる。
【0033】
また、底部11は、第1方向D1から見て円形であり、底部11の外縁部から周壁部12が第1方向D1に延びている。このため、傾斜角度A1が同じであれば、電気機器1が水平面に対してどの向きに傾いても、略同一の量の作動液15(筒部12C内部の体積の分だけ異なる場合がある)が第1空間14Aの少なくとも一部に配されるようになっている。
【0034】
傾斜角度A1に対して、作動液15が第1空間14Aのどの程度の割合を占めるかという関係性は、例えば、第1空間14Aと第2空間14Bとの体積の比率や、密封空間14に対して作動液15が占める体積の比率等を調整することにより、設定することができる。例えば、傾斜角度A1が45°以下である場合には、第1空間14Aの少なくとも一部(例えば3分の1)が作動液15によって満たされるように設定してもよい。
【0035】
(実施形態1の作用効果)
(1-1)実施形態1にかかるヒートパイプ10は、電気機器1の内部に配され、対象物(バスバー3)に取り付けられるヒートパイプ10であって、対象物に接触する接触面13を有する底部11と、接触面13に交差する方向(第1方向D1)に底部11から延びる周壁部12と、底部11及び周壁部12の内部に形成される密封空間14と、密封空間14の一部を占めるように配される作動液15と、を有する。
【0036】
このような構成によると、電気機器1が傾いた場合でも、作動液15の少なくとも一部が底部11に接触するように配置されやすいため、対象物から作動液15に熱を伝えやすくなる。よって、作動液15が気化することにより、対象物の熱を効率的に放熱することができる。
【0037】
(1-2)実施形態1では、底部11は円形をなし、周壁部12は底部11の外縁部から延びている。
【0038】
このような構成によると、電気機器1が傾く方向に依存せず、作動液15の少なくとも一部が底部11に接触するように配置されやすくなる。よって、対象物の熱をより一層効率的に放熱することができる。
【0039】
(1-3)実施形態1では、電気機器1が水平面に配置された状態では、周壁部12は底部11に対して上方に配されるようになっている。
【0040】
このような構成によると、電気機器1が傾いていない場合に底部11に接触するように配置される作動液15の体積を最大化することができる。よって、対象物の熱をより一層効率的に放熱することができる。
【0041】
(1-4)実施形態1にかかる電気機器1は、ヒートパイプ10と、発熱部品(リレー2)と、発熱部品に接続され、ヒートパイプ10が取り付けられるバスバー3と、を備える。
【0042】
このような構成によると、発熱部品からバスバー3に伝わる熱を効率的に放熱することができる。
【0043】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、図10から図13を参照しつつ説明する。実施形態2にかかるヒートパイプ110及び電気機器101は、底部111の構成を除いて、実施形態1と同様に構成されているため、実施形態1と同一の部材、作用効果については、説明を省略する。
【0044】
(挿通孔116)
図10に示すように、ヒートパイプ110の底部111の中心部には挿通孔116が形成されている。挿通孔116は、底部111を第1方向D1に貫通している。図11に示すように、挿通孔116を構成する内壁部116Aは、底部111の第1壁11Aと第2壁11Bとを接続している。図12に示すように、内壁部116Aは、第1方向D1から見て円環状をなしている。
【0045】
図13に示すように、挿通孔116には、ヒートパイプ110をバスバー3に取り付けるためのボルト4が挿通される。ボルト4は、バスバー3に形成される貫通孔3Cに挿通され、ナット5に締結される。ナット5は、ケース6のナット収容部6Aに収容されている。
【0046】
(実施形態2の作用効果)
(2-1)実施形態2では、底部111には、ヒートパイプ110を対象物にボルト締結するための挿通孔116が形成されている。
【0047】
このような構成によると、ボルト締結によりヒートパイプ110を対象物に取り付けることができる。
【0048】
<実施形態3>
本開示の実施形態3について、図14から図16を参照しつつ説明する。実施形態3にかかるヒートパイプ210はフィン220を有する点を除いて、実施形態2と同様に構成されているため、実施形態2と同一の部材、作用効果については、説明を省略する。
【0049】
(フィン220)
図14に示すように、ヒートパイプ210は、周壁部12の外壁12Aから延びる複数のフィン220を備えている。フィン220は板状をなしている。図15に示すように、フィン220は、面内方向における内壁12Bから離間する方向に延びている。図16に示すように、フィン220の内部には、第2空間14Bと連通する空間は設けられていない。フィン220が設けられることにより、ヒートパイプ210が外気と接触する表面積を増大させることができる。したがって、ヒートパイプ210と外気との熱交換の効率を向上させ、熱を外気へと放出しやすくなっている。
【0050】
(実施形態3の作用効果)
(3-1)実施形態3にかかるヒートパイプ210は、周壁部12から延びる複数のフィン220をさらに有する。
【0051】
このような構成によると、フィン220を設けることによりヒートパイプ210の熱を外気へと放熱しやすくなる。
【0052】
<実施形態4>
本開示の実施形態4について、図17及び図18を参照しつつ説明する。実施形態4にかかるヒートパイプ310は実施形態3のフィン220と異なる形状を有するフィン320を備えている。フィン320の形状を除いて、ヒートパイプ310の構成は、実施形態3と同様に構成されているため、実施形態3と同一の部材、作用効果については、説明を省略する。
【0053】
(フィン320)
図17に示すように、ヒートパイプ310は、周壁部12から延びる複数のフィン320を備えている。フィン320は板状をなしている。図18に示すように、フィン320は、外壁12Aから延びる第1部分320Aと、内壁12Bから延びる第2部分320Bと、接続端部12Dから延びて第1部分320Aと第2部分320Bとを連結する第3部分320Cと、を備えている。
【0054】
<実施形態5>
本開示の実施形態5について、図19及び図20を参照しつつ説明する。実施形態5にかかるヒートパイプ410は、実施形態3のフィン220に加えて、さらにフィン420を備えている。フィン420の形状を除いて、ヒートパイプ410の構成は、実施形態3と同様に構成されているため、実施形態3と同一の部材、作用効果については、説明を省略する。
【0055】
(フィン420)
図19に示すように、ヒートパイプ410は、周壁部12の内側に形成される複数のフィン420を備えている。フィン420は板状をなしている。図20に示すように、フィン420は、周壁部12の内壁12B及び底部111の第2壁11Bから延びている。フィン420は、面内方向において周壁部12から挿通孔116へと向かうにつれて第1方向D1における寸法が減少するように形成されている。フィン420の第1方向D1における一方側(図20の図示上方)の端面は、すり鉢状をなす曲面の一部となっている。換言すると、フィン420の第1方向D1における一方側の端面は、断面視において周壁部12及び底部111に近づく方向に湾曲した円弧状となっている。
【0056】
(他の実施形態)
上記実施形態1~5は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態1~5及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
・上記実施形態1では、発熱部品としてリレー2が例示されていたが、発熱部材は、例えば抵抗、コイル、コンデンサ、ヒューズ、ダイオード、IC(Integrated Circuit)や、FET(Field Effect Transistor)等のスイッチング素子等であってもよい。
【0058】
・上記実施形態1では、ヒートパイプ10が取り付けられる対象物として、発熱部材(リレー2)に接続されたバスバー3が例示されていたが、ヒートパイプは例えば発熱部材に直接取り付けられていてもよい。
【0059】
・上記実施形態1~5では、底部11,111は円形をなしていたが、底部は例えば多角形や楕円形をなしていてもよい。
【0060】
・上記実施形態1~5では、周壁部12は底部11,111の外縁部から延びていたが、周壁部は底部の外縁部より内側の部分から延びていてもよい。また、周壁部は筒状でなくてもよい。
【0061】
・上記実施形態1~5では、周壁部12は底部11,111の接触面13と直交する方向(第1方向D1)に延びていたが、周壁部が延びる方向は接触面と直交していなくてもよく、接触面と交差していればよい。
【0062】
・本開示のフィンは、上記実施形態3~5のフィン220,320,420と異なる態様であってもよい。例えば、フィンの形状や数、周壁部に対する配置等は適宜変更してもよい。
【0063】
1,101: 電気機器
2: リレー
2A: 本体部
2B: 端子部
3: バスバー
3A: 接続部
3B1: 外面
3B: 取付部
3C: 貫通孔
4: ボルト
5: ナット
6: ケース
6A: ナット収容部
10,110,210,310,410: ヒートパイプ
10A: 非密閉体
11,111: 底部
11A: 第1壁
11B: 第2壁
12: 周壁部
12A: 外壁
12B: 内壁
12C1: 封止部
12C2: 開口部
12C: 筒部
12D: 接続端部
13: 接触面
14: 密封空間
14A: 第1空間
14B: 第2空間
15: 作動液
116: 挿通孔
116A: 内壁部
220,320,420: フィン
320A: 第1部分
320B: 第2部分
320C: 第3部分
A1: 傾斜角度
D1: 第1方向
図1
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