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<図1>
  • 特開-流量調整バルブ 図1
  • 特開-流量調整バルブ 図2
  • 特開-流量調整バルブ 図3
  • 特開-流量調整バルブ 図4
  • 特開-流量調整バルブ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145711
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】流量調整バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/68 20060101AFI20241004BHJP
   F16K 7/04 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16K31/68 B
F16K7/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058183
(22)【出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】503041339
【氏名又は名称】小柴 和夫
(71)【出願人】
【識別番号】503040354
【氏名又は名称】小柴 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】小柴 和夫
【テーマコード(参考)】
3H057
【Fターム(参考)】
3H057CC07
3H057DD03
3H057EE01
3H057FA18
3H057FD06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】弁本体を容易に開閉できるのはもとより、長期間安定して弁本体の開閉が可能であり、経済的に量産することが可能な流量調整バルブを提供する。
【解決手段】内部に軸方向へ延びる通流路16aが設けられ、且つ内周及び外周ががストレートな円筒状に形成されたゴム弾性を有する材料からなる弁本体16と、弁本体の外周面を囲繞して該外周面との間に隙間Sが生じるように形成され、且つ常に流体と接する筒状の外囲器18と、加熱時に膨張し冷却時に収縮する材料からなり隙間に充填された熱反応部材20とを備え、前記流体の温度変化に応じて通流路を通過する流体の流量が変化する流量調整バルブであって、弁本体には、熱反応部材によって拡縮される外周面の一部に、当該弁本体の軸方向の断面形状が略円弧状に凹設された左右一組の肉抜き部16bが設けられていることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に軸方向へ延びる通流路が設けられ、且つ内周及び外周ががストレートな円筒状に形成されたゴム弾性を有する材料からなる弁本体と、前記弁本体の外周面を囲繞して該外周面との間に隙間が生じるように形成され、且つ常に流体と接する筒状の外囲器と、加熱時に膨張し冷却時に収縮する材料からなり前記隙間に充填された熱反応部材とを備え、前記流体の温度変化に応じて前記通流路を通過する流体の流量が変化する流量調整バルブであって、
前記弁本体には、前記熱反応部材によって拡縮される前記外周面の一部に、当該弁本体の軸方向の断面形状が略円弧状に凹設された左右一組の肉抜き部が設けられている、ことを特徴とする流量調整バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載の流量調整バルブにおいて、
前記通流路の軸方向両端部には短管状の係止部材が挿入され、前記係止部材と前記外囲器の両端部とで前記弁本体の軸方向両端部が押圧挟持されてなることを特徴とする、流量調整バルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の温度変化に応じてその流量を自動的に調整する流量調整バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
配管内を流れる流体の流量をその温度変化に応じて自動的に調整するバルブとして、従来では、下記の特許文献1(米国特許第6409147号明細書)に記載されたものがある。その従来技術は、フッ素ゴムからなり、その中心軸上に通流路が設けられた弁本体と、前記弁本体の外周面を囲繞して当該外周面との間に隙間が生じるように形成された円筒状の外囲器と、加熱時に膨張し冷却時に収縮する材料からなり、前記弁本体の外周面と前記外囲器との間の隙間に充填された熱反応部材とを備えたバルブ機構を、ハウジングに収納した流量調整バルブである。かかるバルブによれば、ハウジングの内部キャビティにおける流体の温度変化に応じて熱反応部材が膨張・収縮を行い、これにより通流路の内径が拡縮して通流路を通過する流体の流量を自動的に調整することができる。
【0003】
しかしながら、上記従来の流量調整バルブでは、通流路の内径および弁本体の肉厚が周方向全体において均一であることから、熱反応部材が最大限膨張した際に通流路を隙間なく閉塞させるのが困難であるのに加え、弁本体を弾性変形させて通流路を隙間なく閉塞させるためには熱反応部材の量を増やしてその押圧力を高くしなければならず、バルブ全体の大きさに対して通流可能な流体の流量が極めて少なくなるという問題があった。
【0004】
そこで、上記の問題を解決し得る技術として、下記の特許文献2(日本国・特開2008-89087号公報)では、内部に軸方向へ延びる通流路が設けられ、且つ外周がストレートな円筒状に形成されたゴム弾性を有する材料からなる弁本体と、弁本体の外周面を囲繞して該外周面との間に隙間が生じるように形成され、且つ常に流体と接する筒状の外囲器と、加熱時に膨張し冷却時に収縮する材料からなり隙間に充填された熱反応部材とを備え、流体の温度変化に応じて通流路を通過する流体の流量が変化する流量調整バルブであって、通流路には、熱反応部材によって拡縮される内径の一部に、通流路の軸方向と直交する断面が略楕円形状に拡径された拡径部が設けられていることを特徴とする流量調整バルブが開示されている。かかるバルブによれば、弁本体の開閉を容易にすることができ、しかも大型化が可能であると共に、長期間使用しても内部に充填した熱反応部材漏出の心配のない流量調整バルブが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6409147号明細書
【特許文献2】特開2008-89087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記後段の流量調整バルブでは、次のような問題が懸念される。すなわち、その流量調整バルブを通流する流体の種類によっては、弁本体内部の拡径部に固形物などが滞留するようになり、その拡径部に滞留した固形物などによって弁本体を全閉するのが困難になる可能性がある。また、ゴム弾性を有する材料からなる弁本体の内部に通流路の軸方向と直交する断面が略楕円形状に拡径された拡径部を設けるのは、非常に高い加工技術を要する作業であり、経済的に量産するのが難しいと言った問題も生じ得る。
【0007】
それゆえに、本発明の主たる課題は、弁本体を容易に開閉できるのはもとより、長期間安定して弁本体の開閉が可能であり、経済的に量産することが可能な流量調整バルブを提供することである。また、本発明の従たる課題は、長期間使用しても内部に充填した熱反応部材の漏出の心配がない流量調整バルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明は、例えば、図1~5に示すように、流量調整バルブ10を次のように構成した。
すなわち、内部に軸方向へ延びる通流路16aが設けられ、且つ内周及び外周がストレートな円筒状に形成されたゴム弾性を有する材料からなる弁本体16と、弁本体16の外周面を囲繞して該外周面との間に隙間Sが生じるように形成され、且つ常に流体と接する筒状の外囲器18と、加熱時に膨張し冷却時に収縮する材料からなり隙間Sに充填された熱反応部材20とを備え、流体の温度変化に応じて通流路16aを通過する流体の流量が変化する。上記の弁本体16には、熱反応部材20によって拡縮される外周面の一部に、当該弁本体16の軸方向の断面形状が略円弧状に凹設された左右一組の肉抜き部16bが設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明では、熱反応部材20によって拡縮される弁本体16の外周面の一部に、軸方向の断面が略円弧状に凹設された左右一組の肉抜き部16bが設けられている。このため、肉抜き部16bが設けられた弁本体16の部分は、その肉厚が薄くなっており、弁本体16の外部から応力が与えられた場合、肉抜き部16bが設けられた弁本体16の部分が選択的に弾性変形するようになる。然も肉抜き部16bは、弁本体16の軸方向断面が略円弧状にて凹設されているので、通流路16aを閉塞させるべく弁本体16の外部から均一に応力を加えた場合、この肉抜き部16bは弁本体16の水平断面の外形における長径D2が減少する方向に変形し易くなっている。
【0010】
このため、流体の温度上昇に伴い熱反応部材20が熱膨張して弁本体16に押圧力が作用すると、弁本体16は、左右一組の肉抜き部16bの箇所が、略角丸長方形状乃至略小判形状に形成されている水平断面の外形における長径D2を減少させるよう容易に変形し、これに伴い通流路16aの断面積が漸減する。そして、熱反応部材20の熱膨張が最大になった際には、通流路16aが閉塞して弁本体16に設けられた通流路16aにおける流体の通流がほぼストップする。
【0011】
一方、流体の温度低下に伴い熱反応部材20が収縮して弁本体16に与えられた押圧力が解除された場合には、肉抜き部16bが設けられた弁本体16の薄肉部分は、その周辺に連接する肉厚部分の弾性回復力に引っ張られるようになるため、迅速に元の形状に復旧することができる。
【0012】
また、本発明の流量調整バルブ10では、弁本体16の内周、すなわち通流路16aの内壁が凹凸のないストレートな形状で形成されているので、どのような種類の流体であっても通流路16aの内部に弁本体16の開閉を阻害するような固形物などが滞留するおそれはない。
さらに、弁本体16の外周面に肉抜き部16bを形成するようにしているので、弁本体16の加工も非常に容易である。
【0013】
本発明において、通流路16aの軸方向両端部には短管状の係止部材(22,24b)を挿入し、その係止部材と外囲器18の両端部とで弁本体16の軸方向両端部を押圧挟持するのが好ましい。このように弁本体16の軸方向両端部を広い範囲で押圧・挟持することにより、弁本体16が長期間繰り返して伸縮を行なうことによって弁本体16の軸方向両端部に亀裂が生じたとしても、弁本体16の外周面と外囲器18との隙間に充填した熱反応部材20が外囲器18内部から直ちに漏出するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弁本体を容易に開閉できるのはもとより、長期間安定して弁本体の開閉が可能であり、経済的に量産することが可能な流量調整バルブを提供することができる。また、長期間使用しても内部に充填した熱反応部材の漏出の心配がない流量調整バルブを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における一実施例の流量調整バルブの常態を示す断面図である。
図2図1におけるA-A線の要部拡大断面図(常態)である。
図3図1におけるB-B線の要部拡大断面図(常態)である。
図4図1におけるC-C線断面図(常態)である。
図5図1におけるA-A線の要部拡大断面図(通流路閉塞時)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面に従って詳述する。図1は、本発明における一実施形態の流量調整バルブ10を示す断面図であり、図2は、図1におけるA-A線断面図である。また、図3は、図1におけるB-B線断面図であり、図4は、図1におけるC-C線断面図である。これらの図が示すように、本実施形態の流量調整バルブ10は、主としてハウジング12と、前記ハウジングの内部に収容されるバルブ機構14とで構成されている。
【0017】
ハウジング12は、耐圧性や耐蝕性に優れる金属(例えばステンレスや真鍮等)などで形成された管状の容器体である。このハウジング12の軸方向一方端部には、その外径が縮径されると共に、配管接続用の雄ネジが螺設された配管接続部12aが形成されている。また、ハウジング12の軸方向他方端部には、後述する雄ネジ部材24を螺着させてハウジング12内部の所定位置にバルブ機構14を配設するための雌ネジ部12bが形成されている。
【0018】
ここで、このハウジング12は、その内面をセラミックやPTFE(4フッ化エチレン樹脂)などでコーティングするようにしてもよい。このようなコーティングを行なうことによってハウジング12に耐薬品性や防汚性などを付与することができるからである。
【0019】
バルブ機構14は、大略、弁本体16,外囲器18および熱反応部材20などで構成されている。
【0020】
弁本体16は、耐熱性や耐薬品性などを備えたフッ素ゴムやシリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料からなり、その内部に軸方向へ延びる通流路16aが設けられた内周及び外周がストレートな円筒状の部材である。
【0021】
本実施例の流量調整バルブ10では、図1乃至図4に示すように、弁本体16の外周の一部に、軸方向の断面が略円弧状に凹設された左右一組の肉抜き部16bが設けられる。ここで、左右一組の「左右」とは、流量調整バルブ10を図4のように配置した場合の正面視における左右を言う。上記の肉抜き部16bは、弁本体16の軸方向と直交する水平断面が、弁本体16の肉抜き部16b以外の箇所の外径より小さな短径D1と、これに直交する弁本体16の肉抜き部16b以外の箇所の外径に等しい長径D2とを有する略角丸長方形状乃至略小判形状にて形成されている。また、本実施例では、弁本体16の内周、すなわち通流路16aの内壁がストレートな円筒状にて形成されている。
【0022】
外囲器18は、耐圧性,耐蝕性および熱伝導性に優れる金属(例えばステンレス等)などの材料からなり、弁本体16の外周面を囲繞して該外周面との間に隙間Sが生じるように形成された筒状の部材である。
【0023】
ここで、この外囲器18は、上述したハウジング12と同様に、その表面をセラミックやPTFE(4フッ化エチレン樹脂)などでコーティングするようにしてもよい。このようなコーティングを行なうことによって外囲器18に耐薬品性や防汚性などを付与することができるからである。
【0024】
熱反応部材20は、加熱時に膨張し冷却時に収縮する材料からなり、弁本体16の外周面と外囲器18との間に生じた隙間Sに充填されることによって、加熱時には弁本体16に対して押圧力を作用させて通流路16aの内径を狭め、冷却時には弁本体16への押圧力を減じて通流路16aの内径を拡げる部材である。この熱反応部材20の具体例として、例えば、本実施例の流量調整バルブ10を蒸気配管のスチームトラップとして使用する場合には、常温では固体であるが、80℃~90℃で液体に変化するワックスを用いるのが好適であるが、ハウジング12内部の温度上昇に応じて段階的に液相に変化する(つまり、体積が変化する)ように設計されたものであれば、如何なるものであってもよい。
【0025】
以上のような各部材を用いてバルブ機構14を構成する際には、まず、初めに、弁本体16に設けられた通流路16aの軸方向一方端部に、金属などの剛性材料からなり、一端がフランジ状に形成され、当該フランジ状の部分が弁本体16の軸方向端面に係止される短管状のリング部材22を挿入すると共に、通流路16aの軸方向他方端部に雄ネジ部材24の係止部24bを挿入する。
【0026】
ここで、雄ネジ部材24とは、ハウジング12の軸方向他方端部を閉塞するためのものであり、その外周にハウジング12の雌ネジ部12bと螺合する雄ネジが形成された金属製の本体24aを有する。この本体24aの軸方向一方端部には、その外径が縮径され、弁本体16の通流路16aに挿入される係止部24bが形成されており、軸方向他方端部には、その外径が縮径され、配管接続用の雄ネジが螺設された配管接続部24cが形成されている。また、本体24a、係止部24bおよび配管接続部24cを貫く軸線上には、係止部24bを通流路16aに挿入した際、該通流路16aと連通するオリフィス24dが設けられている。
【0027】
なお、上述したリング部材22及び雄ネジ部材24の係止部24bは共に「短管状の係止部材」として機能するものであり、これらの部材を統一的に上位概念で表す場合には「短管状の係止部材」という。
【0028】
続いて、リング部材22及び雄ネジ部材24の係止部24bが挿入された弁本体16に外囲器18を被せると共に、係止部24bが挿入された弁本体16の部分を外囲器18の外側から押圧してこれらが気密的且つ一体的となるようにかしめる。
【0029】
そして、弁本体16の外面と外囲器18との間の隙間Sに熱反応部材20を充填した後、リング部材22が挿入された弁本体16の部分を外囲器18の外側から押圧してこれらが気密的且つ一体的となるようにかしめることによって、バルブ機構14が完成する。
【0030】
また、以上のように構成されたバルブ機構14をハウジング12の内部キャビティ12cに挿入し、雄ネジ部材24の本体24aに設けられた雄ネジをハウジング12の雌ネジ部12bに螺合させることによって本発明の流量調整バルブ10が完成する。
【0031】
この流量調整バルブ10を使用する際には、ハウジング12および雄ネジ部材24の配管接続部12a,24cに配管Pを接合して、該配管Pに流体を通流させる。すると、配管P内を通流する流体の温度変化によって熱反応部材20が膨張或いは収縮を行い、これに伴って弁本体16に設けられた通流路16aが縮径或いは拡径して配管P内を通流する流体の流量が調整される。
【0032】
本実施形態の流量調整バルブ10では、熱反応部材20によって拡縮される弁本体16の外周面の一部に、軸方向の断面が略円弧上に凹設された左右一組の肉抜き部16bが設けられている。このため、肉抜き部16bが設けられた弁本体16の部分は、その肉厚が薄くなっており、弁本体16の外部から応力が与えられた場合、肉抜き部16bが設けられた弁本体16の部分が選択的に弾性変形するようになる。然も肉抜き部16bは、弁本体16の軸方向断面が略円弧状にて凹設されているので、通流路16aを閉塞させるべく弁本体16の外部から均一に応力を加えた場合、この肉抜き部16bは弁本体16の水平断面の外形における長径D2が減少する方向に変形し易くなっている。
【0033】
このため、流体の温度上昇に伴い熱反応部材20が熱膨張して弁本体16に押圧力が作用すると、弁本体16は、左右一組の肉抜き部16bの箇所が、略角丸長方形状乃至略小判形状に形成されている水平断面の外形における長径D2を減少させるよう容易に変形し、これに伴い通流路16aの断面積が漸減する。そして、熱反応部材20の熱膨張が最大になった際には、通流路16aが閉塞して弁本体16に設けられた通流路16aにおける流体の通流がほぼストップする。
【0034】
一方、流体の温度低下に伴い熱反応部材20が収縮して弁本体16に与えられた押圧力が解除された場合には、肉抜き部16bが設けられた弁本体16の薄肉部分は、その周辺に連接する肉厚部分の弾性回復力に引っ張られるようになるため、迅速に元の形状に復旧することができる。
【0035】
また、本実施形態の流量調整バルブ10では、弁本体16の内周、すなわち通流路16aの内壁が凹凸のないストレートな形状で形成されているので、どのような種類の流体であっても通流路16aの内部に弁本体16の開閉を阻害するような固形物などが滞留するおそれはない。
さらに、弁本体16の外周面に肉抜き部16bを形成するようにしているので、弁本体16の加工も非常に容易である。
【0036】
そして、本実施形態の流量調整バルブ10では、通流路16aの軸方向両端部に、短管状の係止部材(具体的には、リング部材22及び雄ネジ部材24の係止部24b)が挿入されており、この係止部材と外囲器18の両端部とで弁本体16の軸方向両端部を広い範囲で押圧・挟持して外囲器18内部の隙間に充填した熱反応部材20が漏出しないようにしている。このため、弁本体16が長期間繰り返して伸縮を行なうことによって弁本体16の軸方向両端部に多少亀裂が生じたとしても、弁本体16の外周面と外囲器18との隙間に充填した熱反応部材20が直ちに外囲器18内部から漏出するのを防止することができる。
【0037】
なお、上述の実施形態では、通流路16aに挿入する短管状の係止部材の1つとして、雄ネジ部材24の端部に一体的に形成された係止部24bを示したが、当該係止部24bに替えて雄ネジ部材24とは別体で構成した短管状の係止部材を用いるようにしてもよい。
【0038】
また、上述の実施形態では、配管Pの端部に雌ネジを形成し、これに流量調整バルブ10の端部に設けた雄ネジを螺合することによって両者を接続する場合を示したが、配管Pの端部に雄ネジを形成し、これに流量調整バルブ10の端部に設けた雌ネジを螺合して両者を接続するようにしてもよいし、このようなネジ構造に替えてフランジ継手などを設けて両者を接続するようにしてもよい。つまり、配管Pと流量調整バルブ10とを気密的或いは水密的に接続できる構造であれば、配管Pと流量調整バルブ10との接続構造は如何なるものであってもよい。
【0039】
さらに、上述の例では、流量調整バルブ10としてハウジング12とこれに収納される
バルブ機構14とで構成される場合を示したが、流量調整バルブ10としてバルブ機構14のみを配管に直接取り付けるようにしてもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
10:流量調整バルブ,12:ハウジング,14:バルブ機構,16:弁本体,16a:通流路,16b:肉抜き部,18:外囲器,20:熱反応部材,P:配管,S:隙間.

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に軸方向へ延びる通流路が設けられ、且つ内周及び外周ストレートな円筒状に形成されたゴム弾性を有する材料からなる弁本体と、前記弁本体の外周面を囲繞して該外周面との間に隙間が生じるように形成され、且つ常に流体と接する筒状の外囲器と、加熱時に膨張し冷却時に収縮する材料からなり前記隙間に充填された熱反応部材とを備え、前記流体の温度変化に応じて前記通流路を通過する流体の流量が変化する流量調整バルブであって、
前記弁本体には、前記熱反応部材によって拡縮される前記外周面の一部に、当該弁本体の軸方向の断面形状が略円弧状に凹設された左右一組の肉抜き部が設けられている、ことを特徴とする流量調整バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載の流量調整バルブにおいて、
前記通流路の軸方向両端部には短管状の係止部材が挿入され、前記係止部材と前記外囲器の両端部とで前記弁本体の軸方向両端部が押圧挟持されてなることを特徴とする、流量調整バルブ。