(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145713
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、情報処理方法、情報処理装置、訓練データの生成方法、及び予測モデルの生成方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20241004BHJP
A61B 5/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G16H10/00
A61B5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058186
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】谷垣 信行
(72)【発明者】
【氏名】郷間 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 和広
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038DD00
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】患者による体液の累積量を測定した累積値に対し配賦割合を用いて、累積量を測定する際の経過時間における測定単位時間毎の推定値を効率的に算出することができるコンピュータプログラム等を提供する。
【解決手段】コンピュータプログラムは、コンピュータに、同一の患者による体液の累積量を測定した累積値を取得し、前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得し、取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出し、導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出する処理を実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
同一の患者による体液の累積量を測定した累積値を取得し、
前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得し、
取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出し、
導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出する
処理を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記累積値が大きくなるにつれ、今回の測定時点に近接する測定単位時間での配賦割合を大きくする
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記患者の身体情報を取得し、
前記身体情報、前記累積値の大きさ、及び前記経過時間とに基づき、所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記患者のバイタルサインに関する情報を取得し、
前記バイタルサインに関する情報、前記累積値の大きさ、及び前記経過時間とに基づき、所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
累積値の範囲に応じて、取得した前記累積値を分類し、
累積値の分類それぞれに対応した配賦割合が定義されている配賦テーブルを参照することにより、所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記配賦テーブルは、参照用測定データを用いて生成されており、
前記参照用測定データは、所定の測定期間内における測定単位時間毎での測定値を全て含む
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記配賦テーブルにて定義される配賦割合は、前記参照用測定データにおける測定単位時間毎での測定値において、時系列に並ぶ複数の測定値に基づき算出される
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記配賦テーブルにて定義される配賦割合は、累積値の分類に応じて、時系列に並ぶ複数の測定値から成る測定値セットを複数抽出し、抽出した複数の前記測定値セットに基づき算出された複数の配賦割合における代表値が用いられる
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記患者における体液の累積量は、前記患者が排出した尿の累積量である
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
同一の患者による体液の累積量を測定した累積値を取得し、
前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得し、
取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出し、
導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項11】
同一の患者による体液の累積量を測定した累積値と、前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得する取得部と、
取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出する導出部と、
導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出する算出と
を備える情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータを用いた訓練データの生成方法であって、
患者における体液の累積量を測定した累積値を取得し、
前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得し、
取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を、配賦テーブルを参照して導出し、
導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出し、
算出した前記推定値、及び前記配賦テーブルの元データとなる測定値に基づき、測定値を入力した場合に所定の経過時間先における予想値を出力する予測モデルを学習させる訓練データを生成する
訓練データの生成方法。
【請求項13】
コンピュータを用いた予測モデルの生成方法であって、
患者における体液の累積量を測定した累積値を取得し、
前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得し、
取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を、配賦テーブルを参照して導出し、
導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出し、
算出した前記推定値、及び前記配賦テーブルの元データとなる測定値に基づき、測定値を入力した場合に所定の経過時間先における予想値を出力する予測モデルを学習させる訓練データを生成し、
前記訓練データを用いて学習させることにより、前記予測モデルを生成する
予測モデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラム、情報処理方法、情報処理装置、訓練データの生成方法、及び予測モデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの身体の状態を推定することができる身体状態推定システムが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載されている身体状態推定システムは、バイタルサインに関する情報の推移の予測に係る予測用データベースを用いて身体の状態を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の身体状態推定システムにおいては、バイタルサインに関する情報の推移の予測に係る予測用データベースを構築するにあたり、例えば欠損値を含む計測データに対し、当該欠損値を効率的に補間する点については、考慮されていない。
【0005】
本開示の目的は、患者による体液の累積量を測定した累積値に対し配賦割合を用いて、累積量を測定する際の経過時間における測定単位時間毎の推定値を効率的に算出することができるコンピュータプログラム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、同一の患者による体液の累積量を測定した累積値を取得し、前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得し、取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出し、導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出する処理を実行させる。
【0007】
本態様に係る情報処理方法は、コンピュータに、同一の患者による体液の累積量を測定した累積値を取得し、前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得し、取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出し、導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出する処理を実行させる。
【0008】
本態様に係る情報処理装置は、同一の患者による体液の累積量を測定した累積値と、前記累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得する取得部と、取得した前記累積値の大きさと前記経過時間とに基づき、前記累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出する導出部と、導出した配賦割合を用いて、前記経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出する算出とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、患者による体液の累積量を測定した累積値に対し配賦割合を用いて、累積量を測定する際の経過時間における測定単位時間毎の推定値を効率的に算出するコンピュータプログラム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る情報処理装置を含む情報処理システムの概要を示す模式図である。
【
図2】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】参照用測定データ(尿量の経時変化)の一例を示す説明図である。
【
図5】情報処理装置の制御部の処理手順(配賦テーブルの生成)の一例を示すフローチャートである。
【
図6】情報処理装置の制御部の処理手順(推定値の算出)の一例を示すフローチャートである。
【
図8】情報処理装置の制御部の処理手順(訓練データの生成及び学習)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る情報処理装置1等を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0012】
(実施形態1)
以下、本開示に関し、実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
図1は、実施形態1に係る情報処理装置1を含む情報処理システムSの概要を示す模式図である。
図2は、情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。情報処理システムSは、情報処理装置1を主たる装置として構成され、当該情報処理装置1には、一つ以上の医療機器S1が通信可能に接続されている。当該医療機器S1は、例えば、尿量測定用の医療機器S1、及びバイタルサインに関する情報測定用の医療機器S1を含む。なお、本願における「バイタルサイン」とは、尿量を除くバイタルサインを指す。また、「バイタルサインに関する情報」としては、バイタルサインの測定値だけでなく、所定時間内における血圧値の変化率などバイタルサインの測定値から算出される算出値を含む。
【0013】
情報処理装置1は、これら医療機器S1又は医療情報管理装置S2から、患者の尿量値及び心拍数等のバイタルサインに関する情報(生体データ)を周期的に取得する。情報処理装置1は、更に医療機関にて運用管理されている電子カルテシステム等の医療情報管理装置S2と通信可能に接続されており、当該医療情報管理装置S2から、患者の体重等の身体属性情報を取得する。体重は、体重測定機能が供えられたベッド(スケールベッド)から取得するものであってもよい。更に情報処理装置1は、医療情報管理装置S2から、患者に投与された薬剤の種類、投与量及び投薬時点、又は薬効情報を取得するものであってもよい。当該薬剤は、例えば中枢性尿崩症に対する抗利尿ホルモン剤を含む。
【0014】
情報処理装置1は、医療機器S1及び医療情報管理装置S2から取得した各種情報に基づき、情報処理装置1の記憶部3に記憶されている予測モデル200を用いて、所定の経過時間先における予測尿量に関する情報を導出する。情報処理装置1は、導出(予測)した予測尿量に関する情報(予測尿量の尿量レベル)と、過去から現在までの実測尿量に関する情報(実測尿量の尿量レベル)とに基づき、これら尿量レベルの過去から将来までの変化推移を導出し、当該変化推移に基づき排尿タイプを特定する。情報処理装置1は、将来の予測尿量を加味して特定した排尿タイプに応じて、アラート及び介入手段を出力するため、患者毎に時間経過の中で、どのパターンの多尿(排尿タイプ)がいつ発生するかを事前に予測し、多尿のパターン(排尿タイプ)に応じた早期の介入手段の検討を支援するための情報を、医師等の医療関係者に提示することができる。
【0015】
情報処理装置1は、このような予測モデル200を生成、すなわち学習させるにあたり、訓練データを生成する。訓練データは、例えば1時間等、所定の測定単位時間毎に測定された測定値を含むデータであり、欠損値を含まないことが望ましい。すなわち、訓練データに含まれる測定値は、所定の計測期間において、測定単位時間毎の全ての測定時点における測定値を含むことが望まれる。しかしながら、例えば3時間等の所定の計測期間において、測定単位時間を1時間とした際、個々の測定単位時間(例えば1時間毎)による測定時点での測定が行われず、3時間分での尿量等の体液の累積値(堆積量、総量)のみが、計測結果として記録されることが想定される。この場合、当該3時間分での尿量等の体積の累積値は、所定の測定単位時間にて定められる測定時点における欠損値を含むものとなる。このように欠損値を含む累積値は、予測モデル200を学習されるための訓練データを生成するために用いるに適さない値(測定データ)ともいえる。
【0016】
これに対し、情報処理装置1は、当該欠損値を含む累積値に対し、測定した累積値の大きさと経過時間(累積値の測定期間)とに基づき、累積値に対する、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出する。情報処理装置1は、導出した配賦割合を用いて、経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出し、累積値における欠損値を、算出した推定値に置き換えることにより、欠損値を含む累積値を補完して、訓練データを生成するに資する測定データに変換する。
【0017】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能なコンピュータであり、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。サーバ装置は、単体のサーバ装置のみならず、複数台のコンピュータによって構成されるクラウドサーバ装置、又は仮想サーバ装置を含む。情報処理装置1が例えばクラウドサーバ装置にて構成される場合、情報処理装置1は、医療機器S1と同様に患者が居する医療施設に設置されている必要はなく、インターネット等の外部ネットワークを介して、これら医療機器S1と通信可能に接続されるものであってもよい。情報処理装置1は、制御部2、通信部5、記憶部3及び入出力I/F4を含む。
【0018】
制御部2は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の計時機能を備えた演算処理装置を有し、記憶部3に記憶されたプログラムP(プログラム製品)を読み出して実行することにより、情報処理装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0019】
記憶部3は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性記憶領域及び、EEPROM又はハードディスク等の不揮発性記憶領域を含む。記憶部3には、プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部3に記憶されたプログラムP(プログラム製品)は、情報処理装置1が読み取り可能な記録媒体Mから読み出されたプログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部3に記憶させたものであってもよい。記憶部3には、後述する配賦テーブルが記憶されている。記憶部3には、更に、予測モデル200を構成する実体ファイルが保存されている。当該実体ファイルは、プログラムP(プログラム製品)の一部位として構成されるものであってもよい。
【0020】
通信部5は、有線又は無線により、医療情報管理装置S2、又は医療関係者が保持するスマートホン等の情報端末と通信するための通信モジュール又は通信インターフェイスであり、例えばイーサネット(登録商標)用コネクタ等の有線通信モジュール、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の狭域無線通信モジュール、又は4G、5G等の広域無線通信モジュールである。制御部2は、通信部5を介し、例えば、医療機関内のローカルネット又はインターネット等の外部ネットワークを介して、医療情報管理装置S2又は、医療関係者が保持するスマートホン等の情報端末と通信する。
【0021】
入出力I/F4は、例えばRS232C又はUSB等の通信規格に準拠した通信インターフェイスである。入出力I/F4には、キーボード等の入力装置、又は液晶ディスプレイ等の表示装置が接続される。更に、入出力I/F4には、医療機器S1が接続されるものであってもよい。
【0022】
図3は、配賦テーブルの一例を示す説明図である。情報処理装置1の記憶部3には、補間対象となる累積値の大きさの範囲による分類に対し、測定単位時間あたりの配賦割合が定義された配賦テーブルが記憶されている。配賦テーブルは、補間対象となる累積量を測定する際の経過時間に応じて生成されており、本実施形態における図示においては、一例として、当該経過時間が3時間である場合の配賦テーブルを示す。配賦テーブルは、例えば、マトリックス表形式にて形成され、縦の管理項目となる累積値の大きさ[ml]の範囲に応じた分類と、横の管理項目となる測定単位時間毎の割合[%]とを含む。
【0023】
累積値の大きさ[ml]の範囲に応じた分類は、例えば、4つの分類を含み、これら分類は、累積値の大きさの範囲にて定義される。一例として、これら4つの分類は、分類1(0から500以下)、分類2(501から800以下)、分類3(801から1000以下)及び分類4(1001以上)にて構成される。測定単位時間毎の割合[%]に応じた分類は、例えば、測定単位時間が1時間であり、補間対象である累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間が3時間である場合、当該経過時間を測定単位時間にて除算した値となる3つの3つの時間帯を含む。一例として、これら3つの時間帯は、直近から1時間前(0時間前の割合)、1時間前から2時間前(1時間前の割合)、及び2時間前から3時間前(2時間前の割合)を含む。
【0024】
このように縦の管理項目となる累積値の大きさ[ml]の範囲に応じた分類と、横の管理項目となる測定単位時間毎の割合[%]にて定められる時間帯との組み合わせに応じて、個々の配賦割合が決定される。情報処理装置1の制御部2は、補間対象である累積量を測定する際の経過時間に対応する配賦テーブルを用いて、補間対象となる累積値の大きさの分類に基づき、測定単位時間毎の配賦割合それぞれを取得することができる。配賦テーブルは、所定期間において欠損値を含まない参照用測定データに基づき、生成される。配賦割合の算出処理等を含め、配賦テーブルの生成処理については、後述する。
【0025】
配賦テーブルは、補間対象となる累積量を測定する際の経過時間に応じて、複数、記憶されているものであってもよく、例えば、経過時間が3時間用の配賦テーブル、及び経過時間が2時間用の配賦テーブル等を含むものであってもよい。配賦テーブルは、更に患者の身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)、薬効情報、又はこれらの組み合わせによる状態分類に応じて、より細分化された複数の配賦テーブルを含むものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、このように複数の配賦テーブルのうち、補間対象となる累積量に対応する経過時間、又は当該累積量の測定元となる患者の状態分類に応じて、いずれかの配賦テーブルを選択し、当該選択した配賦テーブルを用いて、補間対象となる累積量における欠損値の補間を行う。
【0026】
図4は、参照用測定データ(尿量の経時変化)の一例を示す説明図である。参照用測定データは、同一の患者において、所定の期間にて欠損値がなく、連続する複数の測定単位時間毎の全ての測定時点での測定値を含む測定データであり、複数の患者それぞれの測定データそれぞれを含む。本実施形態の図示では、同一の患者において、測定単位時間を1時間として、4つの測定時点での測定値が示されている。各測定値は、測定単位時間である1時間における尿量の総量(堆積値)を示している。その上で、3時間総量は、4つの測定時点のうち、連続する3つの測定時点での測定値の合計値を示している。この場合、連続する3つの測定時点にて定義される期間(3時間)が、補間対象となる累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間に相当する。このように同一の患者における連続する3つの測定時点での測定値により、測定値セットが構成される。
【0027】
連続する3つの測定時点にて定義される期間(3時間)において、これら測定時点それぞれの測定値の合計値(合算値)の大きさが、配賦テーブルにて定義される配賦割合を導出する際に用いる分類の決定基準(分類基準)となる。個々の測定値セットにおける配賦割合は、当該合計値に対し、最も新たらしい測定値となる直近から1時間前の測定値(尿量)、1時間前から2時間前の測定値(尿量)、及び2時間前から3時間前の測定値(尿量)による百分率の換算結果にて算出される。詳細は後述するが、同一の分類には、複数の測定値セットが属するものとなる。情報処理装置1の制御部2は、これら複数の測定値セットそれぞれの配賦割合それぞれを算出し、算出した複数の配賦割合における平均値、中央値又は最頻値等の代表値を用いて、配賦テーブルにて定義する配賦割合を導出(決定)する。
なお、参照用測定データにおいて、最新の測定時点より1つ前の測定時点の測定値が閾値を超える場合、当該連続する測定時点にて定義される期間は、配賦テーブルにて定義される配賦割合を導出する際に用いる分類の決定基準(分類基準)からは除外する。仮に、閾値を1200mLとした場合、
図4で示される「2010-03-15 16:00」から「2010-03-15 18:00」の期間の測定値は、配賦テーブルにて定義される配賦割合を導出する際に用いる分類の決定基準(分類基準)からは除外する。これは、実際の臨床現場において、急激な尿量の増加を医療従事者が見落とす可能性は低く、閾値を越える尿量があった時点で実測が行われると考えられるためである。すなわち、補間対象である累積値において、最新の測定時点より1つ前の測定時点の欠損値が閾値を越えている可能性は極めて低いと考えられる。このため、参照用測定データにおいても、同様の場合を分類基準から除外することにより、訓練データに含まれる欠損値に対応する推定値の妥当性を担保することが出来ると考えられる。
【0028】
図5は、情報処理装置1の制御部2の処理手順(配賦テーブルの生成)の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば入出力I/F4に接続されるキーボード等による操作者の操作を受付け、当該受け付けた操作に基づき、以下の処理を行う。
【0029】
情報処理装置1の制御部2は、参照用測定データを取得する(S101)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、病院等の医療機関にて運用管理されている電子カルテシステム又は医療DBシステム等の医療情報管理装置S2から、配賦テーブルを生成するための参照用測定データを取得する。当該電子カルテシステム等の医療情報管理装置S2は、単一の医療機関によるものに限定されず、複数の医療機関それぞれにて運用管理されている複数の医療情報管理装置S2を含むものであってもよい。これら医療情報管理装置S2には、多数の患者における測定データが保存されており、情報処理装置1の制御部2は、当該医療情報管理装置S2にアクセスすることにより、多量の測定データを参照用測定データとして取得することができる。参照用測定データは、所定の測定期間内における測定単位時間毎での測定値を全て含む測定データであり、すなわち当該所定の測定期間内における測定単位時間それぞれの測定時点において、欠損値を含まない測定データである。
【0030】
情報処理装置1の制御部2は、参照用測定データを取得するにあたり、患者の身体情報(身体属性情報)にて定められる分類毎に、当該参照用測定データを取得するものであってもよい。当該身体情報(身体属性情報)は、例えば、のBMI、体重、年齢又は性別等を含む。これにより、患者における身体属性情報の分類毎での参照用測定データを生成することができる。又は、情報処理装置1の制御部2は、参照用測定データを取得するにあたり、患者のバイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報にて定められる分類毎に、当該参照用測定データを取得するものであってもよい。当該バイタルサインに関する情報(生体データ)は、例えば心拍数、血糖値、血圧又は血清ナトリム値等を含む。これにより、患者におけるバイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報にて示される状態の分類毎での参照用測定データを生成することができる。
【0031】
情報処理装置1の制御部2は、補間対象である累積値の測定間隔に基づき、参照用測定データに含まれている測定値セットを抽出する(S102)。補間対象である累積値の測定間隔を示す値は、本処理を実行するにあたり、例えば、設定パラメータとして予め記憶部3に記憶されている、情報処理装置1の制御部2は、例えば記憶部3を参照することにより、例えば3時間等、補間対象である累積値の測定間隔を示す値を取得する。
【0032】
情報処理装置1の制御部2は、取得した補間対象である累積値の測定間隔(例えば3時間)に基づき、参照用測定データに含まれている測定データであって、同一の患者による尿量等の体液の測定値であり、当該補間対象である累積値の測定間隔(例えば3時間)において時系列に連続して測定されている複数の測定値を、測定値セットとして抽出する。例えば、測定単位時間を1時間とし、補間対象である累積値の測定間隔が3時間として場合、測定値セットは、時系列に並ぶ3つの測定時点の測定値を含む。この際、これら測定値において、最も新しい測定値を直近から1時間前の測定値とした場合、測定値セットは、当該直近から1時間前の測定値、1時間前から2時間前の測定値、及び2時間前から3時間前の測定値を含む。
【0033】
測定値が、同一の患者が排出した尿量である場合、例えば、直近から1時間前の測定値は、直近から1時間前までの間に当該患者が排出した尿量の総和であることを示す。このように測定値は、測定単位時間(例えば1時間)の期間において、尿などの累積(堆積)する体液を対象として測定した値を意図する。例えば、参照用測定データが、患者100人分の測定値を有し、各患者それぞれにおける測定時点が5つ(測定単位時間が1時間の場合、5時間分の測定データ)である際、補間対象である累積値の測定間隔が3時間として場合は、300(100×3)個の測定値セットを抽出するものであってもよい。すなわち、同一の患者において、測定時点が5つ(新しい順に時点0、時点1、時点2、時点3、時点4)の場合、補間対象である累積値の測定間隔である3時間に対し、3つの測定値セット{(時点0、時点1、時点2)、(時点1、時点2、時点3)、(時点2、時点3、時点4)}を抽出することができる。情報処理装置1の制御部2は、この測定値セットの個数(3)に対し、患者人数(例えば100)を乗算した個数(300)となる複数の測定値セットを抽出するものであってもよい。なお、補間対象である累積値の測定間隔が3時間であるのは一例であり、これに限定されることはなく、補間対象である累積値の測定間隔は、例えば2時間、又は4時間以上であってもよい。又、測定単位時間が1時間であるのは一例であり、これに限定されることはなく、測定単位時間は、例えば30分又は2時間等、1時間よりも短い又は長い時間であってもよい。
【0034】
情報処理装置1の制御部2は、抽出した複数の測定値セットを分類する(S103)。情報処理装置1の制御部2は、抽出した複数の測定値セットに対し、個々の測定値セットに含まれる測定値の合計値の大きさに基づき、抽出した全ての測定値セットを分類する。個々の測定値セットに含まれる測定値の合計値の大きさによる分類は、例えば4分類であってもよい。このように4つの分類は、例えば、配賦テーブルにて定義されている累積値の大きさ[ml]の範囲に応じた分類によるものであってもよい。個々の測定値セットは、同一の患者による時系列に連続した3つの測定時点における尿量(体液)を含む。従って、測定単位時間を1時間とした場合、測定値セットに含まれる測定値の合計値は、同一の患者における3時間分の尿量(体液)の総量(累積量)を示す値となる。
【0035】
情報処理装置1の制御部2は、抽出した全ての測定値セットそれぞれに対し、当該測定値セットが含む測定値の合計値を算出し、算出結果に基づき、個々の測定値セットが、どの分類(尿量値の大きさの範囲)に属するかを決定する。情報処理装置1の制御部2は、例えば配列変数等を用いることにより、個々の測定値セットと、当該測定値セットにおける測定値の合計値と、当該測定値セットが属する分類(尿量値の大きさの範囲)とを関連付けて記憶部3に記憶する。
【0036】
情報処理装置1の制御部2は、分類毎の測定値セットそれぞれに基づき、分類毎の配賦割合それぞれを導出する(S104)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、4つの分類がある場合、分類毎に処理を順次、実行する。本実施形態においては、情報処理装置1の制御部2は、例えば配賦テーブルにて定義されている分類に応じて、個々の分類に対する処理を順次に実行するものとし、まずは、分類1(0から500以下)に対する処理を実行する。当該分類1(0から500以下)に属する測定値セットは、複数個存在する。情報処理装置1の制御部2は、これら複数の測定値セットそれぞれにおいて、配賦割合それぞれを導出する。
【0037】
配賦割合は、測定値セットに含まれる時系列に並ぶ複数(例えば3つ)の測定値(時点0測定値[x0]、時点1測定値[x1]、時点2測定値[x2])の大きさの比率(x0*100/(x0+x1+x2)[%],x1*100/(x0+x1+x2)[%],x2*100/(x0+x1+x2)[%])に基づき、決定される。情報処理装置1の制御部2は、複数の測定値セットそれぞれにおいて算出した配賦割合それぞれを、例えば配列変数等を用いて、算出元となる測定値セットと関連付けて、記憶部3に記憶する。
【0038】
情報処理装置1の制御部2は、導出した複数の配賦割合における代表値に基づき、配賦テーブルにて定義する配賦割合を決定する(S105)。情報処理装置1の制御部2は、例えば代表値として平均値を用いた場合、算出した配賦割合それぞれにおいて、同一の測定時点(例えば、時点0)に対応する配賦割合の平均値を算出する。当該同一の測定時点は、時系列に連続する複数の測定時点(例えば3つの測定時点)において、直近の測定時点を基準とした場合、時系列での順番が同一であることを意味する。
【0039】
本実施形態にて例示するように時系列に連続する複数の測定時点が3つ(直近:時点0、1時間前:時点1、2時間前:時点2)の場合、情報処理装置1の制御部2は、これら測定時点それぞれに対応する配賦割合の平均値それぞれを算出し、算出した平均値を用いて、測定単位時間あたりの配賦割合(配賦テーブルにて定義する配賦割合)を導出する。又は、情報処理装置1の制御部2は、例えば代表値として中央値又は最頻値を用いて、配賦テーブルにて定義する配賦割合を導出するものであってもよい。この場合、情報処理装置1の制御部2は、中央値又は最頻値を用いて導出した3つ(直近:時点0、1時間前:時点1、2時間前:時点2)の値に対し、百分率の換算処理を行った値を、配賦テーブルにて定義する配賦割合として導出するものであってもよい。
【0040】
当該計算を行うことにより、特定の分類(例えば、分類1(0から500以下))に属する複数の測定値セットに対し、統計的処理を施した配賦割合を導出することができる。更に、臨床上の観点で、ある程度高い値が観察された場合に、電子カルテ等に記録が残る傾向にあり、当該傾向を鑑みた配賦割合が定義された配賦テーブルを生成することができる。このように臨床上の傾向を鑑みて生成された配賦テーブルにおいて、累積値(尿量の総和)が大きくなるほど、最も新たらしい測定値(直近から1時間前の測定値:時点0)に対する配賦割合が多くなる傾向となる。すなわち、配賦テーブルは、累積値(尿量の総和)が大きくなるほど、最も新たらしい測定値(直近から1時間前の測定値)に対する配賦割合が多くなるように定義されている。
【0041】
情報処理装置1の制御部2は、全ての分類に対し処理を実行したか否かを判定する(S106)。全ての分類に対し、配賦割合を特定する処理を実行していない場合(S106:NO)、情報処理装置1の制御部2は、再度S104からの処理を実行すべくループ処理を行う。本実施形態においては、情報処理装置1の制御部2は、例えば配賦テーブルにて定義されている分類に応じて、まずは、分類1(0から500以下)に対する処理を実行した場合、以降、分類2(501から800以下)、分類3(801から1000以下)及び分類4(1001以上)に対する処理を順次、実行する。
【0042】
情報処理装置1の制御部2は、各分類(分類に含まれる全ての測定値セット)に対する処理を行う都度、処理結果となる配賦割合を記憶部3に記憶しており、記憶部3を参照することにより、個々の分類に対する処理の進捗を把握し、全ての分類に対し処理を実行したか否かを判定することができる。これにより、情報処理装置1の制御部2は、全ての分類において、時系列に連続する複数の測定時点それぞれ(測定単位時間それぞれ)における配賦割合それぞれを導出することができる。
【0043】
全ての分類に対し、配賦割合を特定する処理を実行した場合(S106:YES)、情報処理装置1の制御部2は、全ての分類に対し決定した配賦割合にて配賦テーブルを生成する(S107)。情報処理装置1の制御部2は、全ての分類に対し決定した配賦割合にて配賦テーブルを生成し、生成した配賦テーブルを記憶部3に記憶する。以降、情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶した配賦テーブルを用いることにより、欠損値を含む測定データに対し、当該欠損値に対応する推定値を算出し、当該推定値を用いて、欠損値を含む測定データ(累積量)を補完することができる。欠損値を含む測定データとは、同一の患者による尿量等の体液の累積量を測定した累積値であって、累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間が、所定の測定単位時間を超過している測定データである。測定データの補完については、後述する。
【0044】
情報処理装置1の制御部2は、配賦テーブルを生成するにあたり、患者の身体情報(身体属性情報)に応じて、当該身体属性情報の分類毎での参照用測定データを生成するものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部2は、配賦テーブルを生成するにあたり、患者のバイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報にて定められる分類毎に、当該参照用測定データを取得するものであってもよい。このように配賦テーブルを、患者の身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)、薬効情報、又はこれらの組み合わせに応じて、より細分化することにより、患者の状態における総合的な観点から適切な配賦割合(配賦テーブル)を用いることができ、欠損値に対する推定値の算出精度を更に向上させることができる。
【0045】
情報処理装置1の制御部2は、配賦テーブルを生成するにあたり、補間対象である累積値の測定間隔毎の別個の配賦テーブルを生成するものであってもよい。例えば、情報処理装置1の制御部2は、例えば測定単位時間が1時間である場合、補間対象である累積値の測定間隔が2時間の配賦テーブルと、補間対象である累積値の測定間隔が3時間の配賦テーブルとを、別個のテーブルとして生成し記憶するものであってもよい。
【0046】
図6は、情報処理装置1の制御部2の処理手順(推定値の算出)の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば入出力I/F4に接続されるキーボード等による操作者の操作を受付け、当該受け付けた操作に基づき、以下の処理を行う。
【0047】
情報処理装置1の制御部2は、補間対象となる累積値を含む測定データを取得する(T101)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、医療機器S1又は医療情報管理装置S2等から、補間対象となる累積値を含む測定データを取得する。又は、情報処理装置1の制御部2は、情報処理装置1の入出力I/F4に接続されるキーボード等の入力デバイスから、医療関係者等の操作者による入力操作を受け付けることにより、補間対象となる累積値を含む測定データを取得するものであってもよい。
【0048】
情報処理装置1の制御部2は、配賦テーブルを参照し、補間対象となる累積値を含む測定データを補間する(T102)。情報処理装置1の制御部2は、補間対象である累積値の測定間隔に対応する配賦テーブルを参照し、補間対象となる累積値を含む測定データを補間する。補間対象である累積値の測定間隔は、例えば3時間等、本処理を実行するにあたり、予め設定されており、当該設定値(補間対象である累積値の測定間隔の値)は、記憶部3に記憶されている。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3を参照することにより、補間対象である累積値の測定間隔の値(例えば3時間)を取得する。又は、補間対象である累積値の測定間隔は、補間対象となる累積値を含む測定データの測定時点を参照することにより、当該累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得(算出)するものであってもよい。この場合、累積量は、前回の測定時点の尿量等の体積の総量と、今回の測定時点の尿量等の体積の総量との差分に相当するものであり、今回の測定時点の尿量等の体積の総量から、前回の測定時点の尿量等の体積の総量を減算することにより算出される。情報処理装置1の制御部2は、今回の測定時点から、前回の測定時点を減算することにより、累積量を測定する際における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間を取得(算出)することができる。
【0049】
情報処理装置1の制御部2は、補間対象となる累積値が、配賦テーブルにて定義されているどの分類に属するかを特定する。情報処理装置1の制御部2は、特定した分類における配賦割合を用いて、累積値に対する測定単位時間毎での推定値を算出する。
例えば、経過時間が3時間、測定単位時が1時間であり、本実施形態にて例示する配賦テーブルを適用した際、補間対象となる累積値が1005mlの場合は、分類4(1001以上)に属し、配賦割合は70%(直近から1時間前)、20%(1時間前から2時間前)、及び10%(2時間前から3時間前)として導出される。情報処理装置1の制御部2は、当該累積値(1005ml)に対し、測定単位時間毎での配賦割合それぞれを乗算することにより、測定単位時間毎での推定値(直近から1時間前:1005*0.7、1時間前から2時間前:1005*0.2、2時間前から3時間前:1005*0.1)を算出する。
【0050】
配賦テーブルは、情報処理装置1の記憶部3、又は情報処理装置1がアクセス可能なクラウドサーバ等の外部サーバに記憶されており、情報処理装置1の制御部2は、当該記憶部3を参照、又は外部サーバにアクセスすることにより、配賦テーブルを取得する。このように配賦テーブルをクラウドサーバ等の外部サーバに記憶させ一元的に管理することにより、地域的に異なる複数の医療機関の情報処理装置1から、当該外部サーバが保有する配賦テーブルに対し効率的にアクセスさせることができる。これにより、外部サーバにて一元的に管理された配賦テーブルを複数の医療機関にて共用することができ、補間対象となる累積値を含む測定データ、すなわち欠損値を含む測定データに対する補間サービスを効率的に提供することができる。情報処理装置1の制御部2は、補間対象となる累積値を含む測定データの測定元となる患者の身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)、又は薬効情報を取得した場合、当該取得した情報に応じて、より細分化された配賦テーブルを用いて、測定データを補間するものであってもよい。
【0051】
情報処理装置1の制御部2は、補間対象となる累積値が補間された測定データを記憶する(T103)。情報処理装置1の制御部2は、補間対象となる累積値が補間された測定データ、すなわち測定データに含まれていた欠損値が、配賦テーブルを用いて推測された推定値に置き換えられた測定データを、記憶部3に記憶する。このように配賦テーブルを用いて欠損値が補間された測定データ(補間対象となる累積値が補間された測定データ)を用いることにより、後述する予測モデル200を学習されるための訓練データを効率的に生成することができる。
【0052】
図7は、予測モデル200の一例を示す説明図である。情報処理装置1の制御部2は、予測モデル200用の訓練データを用いて、ニューラルネットワークを学習させ、複数の体液量(尿量)に関する情報、所定の経過時間先における予測体液量(予測尿量)に関する情報を出力とする予測モデル200を生成する。予測モデル200が出力する予測尿量に関する情報は、当該予測尿量の尿量値に応じて定義される尿量レベルであってもよい。
【0053】
訓練データを用いて学習されたニューラルネットワーク(予測モデル200)は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用が想定される。予測モデル200は、上述のごとく制御部2(CPU等)及び記憶部3を備える情報処理装置1にて用いられるものであり、このように演算処理能力を有する情報処理装置1にて実行されることにより、ニューラルネットワークシステムが構成される。すなわち、情報処理装置1の制御部2が、記憶部3に記憶された予測モデル200からの指令に従って入力層に入力された複数の体液量(尿量)に関する情報等の特徴量を抽出する演算を行い、出力層から予測体液量(予測尿量)に関する情報を出力するように動作する。
【0054】
予測モデル200は、例えば、DNN(Deep Neural Network)にて構成され、複数の尿量に関する情報を受け付ける入力層と、当該複数の尿量に関する情報等の特徴量を抽出する中間層と、予測尿量に関する情報を出力とする出力層とを有する。入力層は、これら複数の尿量に関する情報に加え、薬効情報、バイタルサインに関する情報、体液情報及び血清ナトリウムに関する情報を受け付けるものであってもよい。入力層は、複数の尿量に関する情報等の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力された値を中間層に受け渡す。中間層は、ReLu関数又はシグモイド関数等の活性化関数を用いて定義され、入力されたそれぞれの値の特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、抽出した特徴量を出力層に受け渡す。当該活性化関数の重みづけ係数及びバイアス値等のパラメータは、誤差逆伝播法を用いて最適化される。出力層は、例えば全結合層により構成され、中間層から出力された特徴量に基づいて予測尿量に関する情報(予測尿量の尿量レベル)を出力する。出力層は、予測尿量に関する情報として、予測尿量の値(予測尿量値)を出力するものであってもよい。
【0055】
本実施形態では、予測モデル200は、DNNであるとしたがこれに限定されず、DNN以外のニューラルネットワーク、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long-short term model)、CNN、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、線形回帰、重回帰、回帰木、分類木、LightGBM(Light Gradient Boosting Machine)、ランダムフォレスト、アンサンブルなど、他の学習アルゴリズムで構築された学習モデルであってよい。なお、予測モデル200を学習するための訓練データに含まれる問題データ及び回答データのデータセットと、当該予測モデル200を用いた際の入力データ及び出力データのデータセットとは同義であり、いずれかのデータセットにて定義されていれば、他方のデータセットにおいても、当然に適用される。
【0056】
例えば、予測モデル200を回帰モデルを用いて生成する場合、当該予測モデル200に対する入力及び出力は、共に尿量値を用いるものであってもよい。この場合、回帰モデルにて生成された予測モデル200は、時系列に並ぶ複数の実測尿量値が入力された場合、予測尿量値を出力(推定)する。
【0057】
図8は、情報処理装置1の制御部2の処理手順(訓練データの生成及び学習)の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、例えば入出力I/F4に接続されるキーボード等による操作者の操作を受付け、当該受け付けた操作に基づき、以下の処理を行う。
【0058】
情報処理装置1の制御部2は、補間対象となる累積値が補間された測定データを取得する(U101)。情報処理装置1の制御部2は、配賦テーブルを用いることにより、補間対象となる累積値が補間された測定データ、すなわち累積値に対応する欠損値が、配賦テーブルに基づき推定された測定値にて補間された測定データを取得する。当該補間された測定データは、上述した推定値の算出処理の結果として、記憶部3に記憶されており、情報処理装置1の制御部2は、記憶部3を参照することにより、累積値が補間された測定データを取得する。
【0059】
情報処理装置1の制御部2は、参照用測定データを取得する(U102)。情報処理装置1の制御部2は、配賦テーブルを生成する際に用いた参照用測定データを取得する。当該参照用測定データは、例えば記憶部3等に記憶されており、情報処理装置1の制御部2は、記憶部3を参照することにより、参照用測定データを取得する。情報処理装置1の制御部2は、配賦テーブルを生成する際に用いた参照用測定データ以外の測定データであって、欠損値を含まない測定データについても取得するものであってもよい。当該欠損値を含まない測定データは、補間対象となる累積量を測定する際の経過時間に対し、当該経過時間を測定単位時間で除算した際の個数分に対応する、時系列に連続する複数の測定時点での測定値を含む測定データである。
【0060】
情報処理装置1の制御部2は、補間された測定データと参照用測定データとを統合する(U103)。情報処理装置1の制御部2は、補間された測定データと参照用測定データとを統合することにより、欠損値を含まない統合データを生成することができる。情報処理装置1の制御部2は、配賦テーブルを生成する際に用いた参照用測定データ以外の測定データであって、欠損値を含まない測定データについても取得した場合、当該損値を含まない測定データも含めて、統合データを生成するものであってもよい。
【0061】
情報処理装置1の制御部2は、統合したデータに基づき、予測モデル200を学習するための訓練データを生成する(U104)。情報処理装置1の制御部2は、補間された測定データと参照用測定データとを統合したデータを用いて、予測モデル200を学習するための訓練データを生成する。情報処理装置1の制御部2は、取得した時系列に並ぶ複数の尿量等の体液に関する情報、すなわち計測単位時間にて時系列に並ぶ複数の尿量値において、最後の計測時点となる尿量値を回答データとし、当該最後の計測時点よりも前の計測時点の複数の尿量値を問題データとするものであってもよい。当該回答データは、尿量値に応じて定義される尿量レベルにて示されるものであってよい。更に、問題データには複数の尿量値の統計量(合計値、平均、最大値、最小値、変化量、変化率等)が含まれても良い。更に、問題データに含まれる複数の尿量値は、当該尿量値に応じて定義される尿量レベルにて示されるものであってよい。
【0062】
更に、情報処理装置1の制御部2は、当該問題データに、最後の計測時点の直前の計測時点(回答データに含まれる複数の尿量値のうち、最後に計測された尿量値の計測時点)と同時点における薬効情報に関する情報(残効を示す薬効指数)及びバイタルサインに関する情報を含めるものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、多数の患者の測定データ(補間された測定データと参照用測定データ)を取得することにより、大容量となる訓練データを生成することができる。このように欠損値を含まない統合データを用いることにより、比較的にサンプル数が多い良質な訓練データを効率的に生成することができる。
【0063】
情報処理装置1の制御部2は、生成した訓練データを用いて、予測モデル200を生成する(U105)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、DNN等のニューラルネットワークに対し生成した訓練データを用いて、当該DNNを学習させることにより、複数の尿量等の体液に関する情報を入力した場合、所定の経過時間先(計測単位時間後)における予測体液(予測尿量)を出力する予測モデル200を生成する。
【0064】
本実施形態において、予測モデル200を学習するための訓練データは、補間対象となる累積値が補間された測定データと、参照用測定データとを統合した統合データに基づき生成するとしたが、これに限定されない。情報処理装置1の制御部2は、統合データに加え、更に、例えば薬効情報に関する情報、及びバイタルサインに関する情報を取得し、これら情報を用いて、訓練データを生成するものであってもよい。この場合、情報処理装置1の制御部2は、複数の尿量等の体液に関する情報に加え、薬効情報に関する情報及びバイタルサインに関する情報を入力した場合、所定の経過時間先(計測単位時間後)における予測体液(予測尿量)を出力する予測モデル200を生成するものであってもよい。配賦テーブルの生成処理、推定値の算出処理(補間処理)、訓練データの生成処理、及び当該訓練データを用いた予測モデル200の生成(学習)処理は、同一の情報処理装置1によって実行されるものであってもよく、又は、別個の情報処理装置1それぞれにて実行されるものであってもよい。
【0065】
本実施形態によれば、情報処理装置1は、前回の測定時点から今回の測定時点まで期間(経過時間)における、同一の患者における体液の累積量を測定した累積値を取得する。当該体液は、例えば、同一の患者が排出した尿、汗及び便のいずれか1つ以上を含むものであり、体液の累積量は、尿の排出量であってもよい。又は、患者における体液の累積量は、体液の摂取量(体液IN)及び体液の排出量(体液OUT)から算出(減算)される体液収支(体液IN-体液OUT)に関する情報であってもよい。情報処理装置1は、測定した累積値の大きさと、前回の測定時点から今回の測定時点まで経過時間とに基づき、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出し、当該出した配賦割合を用いて、経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出する。すなわち、情報処理装置1は、取得した累積値(R)に対し、パーセンテージ等にて定義されている配賦割合(W%)を乗算し、更に100で除算することにより、測定単位時間毎の推定値(S)それぞれを算出(S=R*W/100)することができる。この際、前回の測定時点から今回の測定時点までにおける所定の測定単位時間あたりの各配賦割合の合算値は、100(100%)となる。
【0066】
医療の現場において、例えば1時間毎など、所定の測定単位時間毎にて、患者における体液(患者が排出した尿等の体液)を測定することが定められている場合であっても、医療関係者の業務負荷によっては、測定単位時間毎での測定が困難となることが想定される。この場合、同じ患者に対し、前回の測定時点から今回の測定時点まで期間(経過時間)が、1時間等の測定単位時間を超過するものとなり、当該期間(経過時間)において、体液の累積量が測定されなかった欠損値が発生するものとなる。情報処理装置1は、測定した累積値の大きさと経過時間とに基づき導出した配賦割合を用いて、経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出するため、当該推定値を用いて、前回の測定時点から今回の測定時点まで期間(経過時間)における欠損値を補間することができる。
【0067】
更に、このように推定値によって、欠損値が補間された累積量、すなわち測定単位時間毎での測定値が補間された情報を用いることにより、測定値を入力した場合に所定の経過時間先における予想値を出力する予測モデル200を学習させる訓練データを効率的に生成することができる。例えば、現時点における患者の尿量(例えば1時間前から現時点までの尿量の総量)を入力した場合、所定の経過時間先(例えば現時点から1時間後までの尿量の総量)における予想値を出力する予測モデル200を生成する(学習させる)ためには、1時間毎となる測定単位時間毎での患者の尿量の測定値が含まれる訓練データが必要となる。これに対し、時系列に連続する2つの測定時点の間隔が、測定単位時間を超えた場合、当該2つの測定時点による期間(経過時間)において、1つ以上の欠損値が発生するものとなる。このような場合であっても、配賦割合を用いて経過時間における測定単位時間毎の推定値を算出し、算出した推定値を用いて、欠損値を補完することにより、測定単位時間毎での尿量の測定値又は推定値が含まれる訓練データ、すなわち欠損値を含まない訓練データを効率的に生成することができる。このように生成した訓練データを用いることにより、比較的に推定精度が高い予測モデル200を生成することができる。
【0068】
本実施形態によれば、情報処理装置1は、例えば、電子カルテシステム等の医療情報管理装置S2から、患者のBMI、体重、年齢又は性別等を含む身体情報(身体属性情報)を取得する。又は、情報処理装置1は、例えば、心拍数、血糖値、血圧又は血清ナトリム値等のバイタルサインに関する情報(生体データ)の測定を行う医療機器S1から出力されるバイタルサインに関する情報を取得する。更に情報処理装置1は、医療情報管理装置S2から、患者の現時点における薬効情報を取得するものであってもよい。情報処理装置1は、これら取得した身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報と、累積値の大きさ及び経過時間とに基づき、所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出する。情報処理装置1は、身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)及び薬効情報の内のいずれか1つ以上の組み合わせと、積値の大きさ及び経過時間とに基づき、所定の測定単位時間あたりの配賦割合を導出するものであってもよい。
【0069】
このように、欠損値の補間対象となる累積量が測定された患者に対し、当該患者の身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報のいずれか1つ以上を加味させることにより、当該欠損値に対応する推定値を算出する際に用いる配賦割合の導出精度を向上させることができる。情報処理装置1は、このように患者の身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報を加味して配賦割合を導出するにあたり、例えば、これら身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報に応じて別個に定義された配賦テーブルを参照するものであってもよい。すなわち、情報処理装置1の記憶部3には、身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報に応じて、複数の異なる配賦テーブルが記憶されており、取得した身体情報(身体属性情報)等に基づき、対応する配賦テーブルを選択するものであってもよい。又は、情報処理装置1の記憶部3には、身体情報(身体属性情報)、バイタルサインに関する情報(生体データ)又は薬効情報に応じた補正係数が記憶されており、取得した身体情報(身体属性情報)等に応じた補正係数を用いて、基本となる配賦テーブルにて定義されている配賦割合を補正するものであってもよい。
【0070】
本実施形態によれば、情報処理装置1の記憶部3には、配賦割合が定義されている配賦テーブルが記憶されている。当該配賦テーブルにおいて、配賦割合は、累積値の大きさの範囲に応じた分類毎に定義されている。当該累積値の大きさの範囲に応じた分類は、例えば、3時間における累積値[ml]が0から500以下、501から800以下、801から1000以下、及び1001以上から成る4つの分類を含むものであってもよい。これら分類それぞれに対し、測定単位時間が例えば1時間である場合、連続する2つの測定時点(前回及び今回の測定時点)において、今回の測定時点から1時間前までの尿量、1時間前から2時間前までの尿量、及び2時間前から前回の測定時点までの3つの測定単位時間に対する配賦割合が、配賦テーブルに定義されている、情報処理装置1は、このように累積値の大きさの範囲に応じた分類毎に配賦割合が定義されている配賦テーブルを参照することにより、累積値の大きさの分類に応じて、測定単位時間あたりの配賦割合を効率的に導出することができる。
【0071】
本実施形態によれば、配賦テーブルは、参照用測定データを用いて生成されており、当該参照用測定データは、所定の測定期間内における測定単位時間毎での測定値を全て含むデータである。すなわち、参照用測定データは、同一の患者における、時系列に連続する複数の測定時点(測定単位時間毎の測定時点)において、全ての測定値を含むものであり、すなわち欠損値を含まない測定データである。測定単位時間が例えば1時間である場合、同一の患者に対し、連続して3回、尿量の測定を行った場合、3時間という期間において、時系列に連続する複数の測定単位時間での全ての測定値を含む測定データを取得することができる。情報処理装置1は、これら時系列に連続する複数の測定値の比率に基づき配賦割合を算出するため、臨床に基づいた精度の高い配賦割合が定義された配賦テーブルを生成することができる。
【0072】
本実施形態によれば、情報処理装置1は、参照用測定データにおいて、連続する複数の測定単位時間毎の測定値の合計値(合算値)の大きさの範囲に応じた分類毎に、配賦割合を算出する。すなわち、情報処理装置1は、参照用測定データにおいて、時系列に連続する複数の測定値から成る測定値セットを抽出し、当該測定値セットに含まれる複数の測定値の合計値が、どの範囲に属するかにより、当該測定値セットの分類を決定する。参照用測定データにおける連続する複数の測定単位時間の合計値(合算値)は、補間対象となる欠損値を含む累積値における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間に相当(対応)するものである。すなわち、補間対象となる欠損値を含む累積値における前回の測定時点から今回の測定時点までの経過時間が3時間の場合、参照用測定データにおける連続する複数の測定単位時間の合計値(合算値)も3時間となる。
【0073】
情報処理装置1が取得した参照用測定データは、複数の患者それぞれによる測定値(測定値セット)を含んでいる。従って、連続する複数の測定単位時間毎の測定値(測定値セット)の合計値の大きさの範囲によって、当該参照用測定データに含まれる測定値セットを、例えば4つに分類した場合、同一の分類に属する測定値セットが、複数存在するものとなる。このように同一の分類に属する測定値セットが複数存在する場合であっても、情報処理装置1は、これら複数存在する測定値セットの測定値それぞれに基づき、配賦割合それぞれを導出する。情報処理装置1は、導出した複数の配賦割合における中央値、平均値又は最頻値等の代表値を、参照用測定データにて定義される配賦割合として用いる。同一の分類に属する複数の測定値セットそれぞれから導出された配賦割合それぞれは、時系列に連続する測定単位時間毎の配賦割合を含むものであってもよい。このように同一の分類に属する測定値セットが複数存在する場合であっても、情報処理装置1は、当該測定値セットそれぞれから導出された配賦割合それぞれにおいて、例えば中央値等の代表値に該当するいずれかの配賦割合を特定し、当該特定した配賦割合を用いて配賦テーブルを定義する。これにより、収取した参照用測定データに対し統計的処理が施された結果を用いた配賦割合を含む配賦テーブルを生成することができ、当該配賦テーブルを用いた推定値の算出精度を向上させることができる。
【0074】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0075】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【符号の説明】
【0076】
S 情報処理システム
S1 医療機器
S2 医療情報管理装置
1 情報処理装置
2 制御部
200 予測モデル
3 記憶部
M 記録媒体
P プログラム(プログラム製品)
4 入出力I/F
5 通信部