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特開2024-145718プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145718
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/27 20200101AFI20241004BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20241004BHJP
【FI】
G06F30/27
G06F30/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058196
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】523120948
【氏名又は名称】株式会社Malme
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】高取 佑
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC03
5B146DJ15
5B146DL03
(57)【要約】
【課題】建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データを特定することが可能なプログラム等を提供すること。
【解決手段】一つの側面に係るプログラムは、建築材の複数の設計データを取得し、構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータにより、取得した複数の設計データに基づき、前記建築材における異常箇所を特定し、前記複数の設計データに基づき構築された前記建築材の3Dモデル中に前記異常箇所を表示し、設計データを入力した場合に、建築材における異常箇所を出力する学習済みの学習モデルに、取得した複数の設計データを入力して、前記建築材における異常箇所を出力し、前記学習モデルによる異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築材の複数の設計データを取得し、
構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータにより、取得した複数の設計データに基づき、前記建築材における異常箇所を特定し、
前記複数の設計データに基づき構築された前記建築材の3Dモデル中に前記異常箇所を表示し、
設計データを入力した場合に、建築材における異常箇所を出力する学習済みの学習モデルに、取得した複数の設計データを入力して、前記建築材における異常箇所を出力し、
前記学習モデルによる異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
特定した設計データと、該設計データの寄与度とを出力する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度の順に、特定した各設計データと、各設計データの寄与度とを表示する
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記異常箇所の設計データに対する修正を受け付け、
修正された異常箇所の設計データに基づき、前記シミュレータにより前記建築材における異常箇所を再特定する
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記寄与度の選択を受け付けた場合に、受け付けた寄与度に対応する設計データを表示し、
前記設計データに対する修正を受け付ける
請求項2に記載のプログラム。
【請求項6】
前記異常箇所に対する修正履歴を複数取得し、
取得した修正履歴毎に前記建築材の3Dモデルを表示し、
各修正履歴に対応する設計データを比較した比較結果を表示する
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項7】
建築材の複数の設計データを取得し、
構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータにより、取得した複数の設計データに基づき、前記建築材における異常箇所を特定し、
前記複数の設計データに基づき構築された前記建築材の3Dモデル中に前記異常箇所を表示し、
設計データを入力した場合に、建築材における異常箇所を出力する学習済みの学習モデルに、取得した複数の設計データを入力して、前記建築材における異常箇所を出力し、
前記学習モデルによる異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する
情報処理方法。
【請求項8】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
建築材の複数の設計データを取得し、
構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータにより、取得した複数の設計データに基づき、前記建築材における異常箇所を特定し、
前記複数の設計データに基づき構築された前記建築材の3Dモデル中に前記異常箇所を表示し、
設計データを入力した場合に、建築材における異常箇所を出力する学習済みの学習モデルに、取得した複数の設計データを入力して、前記建築材における異常箇所を出力し、
前記学習モデルによる異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築材(建築パーツ等)の設計データに基づき、シミュレーション等の技術を用いて、当該建築材を評価する技術の開発が盛んに進められている。例えば特許文献1には、入力された建築モデルデータに含まれる建築モデルパーツが正規であるか否かを判定し、判定結果に基づいて行う建築モデルデータの評価結果をクライアント端末に送信する建築モデルデータ評価サーバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-194381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データを特定することができないという問題がある。
【0005】
一つの側面では、建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データを特定することが可能なプログラム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係るプログラムは、建築材の複数の設計データを取得し、構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータにより、取得した複数の設計データに基づき、前記建築材における異常箇所を特定し、前記複数の設計データに基づき構築された前記建築材の3Dモデル中に前記異常箇所を表示し、設計データを入力した場合に、建築材における異常箇所を出力する学習済みの学習モデルに、取得した複数の設計データを入力して、前記建築材における異常箇所を出力し、前記学習モデルによる異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データを特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
図2】設計データDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図3】異常箇所DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図4】シミュレータによる設計データの受付画面の一例を示す説明図である。
図5】設計データの寄与度を表示する画面の一例を示す説明図である。
図6】建築材における異常箇所を特定する際の処理手順を示すフローチャートである。
図7】設計データの寄与度を算出する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
図8】実施形態2における設計データDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図9】設計データに対する修正を受け付ける際の処理手順を示すフローチャートである。
図10】修正履歴の表示画面の一例を示す説明図である。
図11】修正履歴及び比較結果を表示する際の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1は、建築材の複数の設計データに基づき、当該建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する形態に関する。建築材は、床材、内装材、家具材、防音壁、窓・ドア等のインテリア材、欄干、フェンス、ルーバー、橋、橋脚等の造園材、建物の外壁に使用される外装材、建築物の屋根面を支持する支柱または横架材(梁)等を含む。
【0011】
本実施形態では、情報処理装置1を含む。情報処理装置1は、種々の情報に対する処理、記憶及び送受信を行う情報処理装置である。情報処理装置1は、建築材の複数の設計データの取得、複数の設計データに基づく異常箇所の特定及び表示等の処理を行う。情報処理装置1は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータまたは汎用のタブレットPC(パソコン)等である。本実施形態において、情報処理装置1は、パーソナルコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためコンピュータ1と読み替える。
【0012】
本実施形態に係るコンピュータ1は、建築材の複数の設計データを取得する。コンピュータ1は、構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータ174により、取得した複数の設計データに基づき、当該建築材における異常箇所を特定する。なお、シミュレータ174に関しては後述する。コンピュータ1は、複数の設計データに基づき構築された建築材の3Dモデル中に、特定した異常箇所を表示する。
【0013】
コンピュータ1は、設計データを入力した場合、建築材における異常箇所を出力する学習済みの異常出力モデル173に、取得した複数の設計データを入力し、当該建築材における異常箇所を出力する。なお、異常出力モデル173に関しては後述する。コンピュータ1は、異常出力モデル173による異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する。コンピュータ1は、特定した設計データと、当該設計データの寄与度とを出力する。
【0014】
なお、シミュレータ174による異常箇所の特定処理、または、異常出力モデル173による異常箇所の出力処理は、サーバまたはクラウドサーバ上で実行されても良い。
【0015】
図1は、コンピュータ1の構成例を示すブロック図である。コンピュータ1は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読取部16及び大容量記憶部17を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0016】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、または量子プロセッサ等の演算処理装置を含む。制御部11は、記憶部12に記憶された制御プログラム1P(プログラム製品)を読み出して実行することにより、コンピュータ1に係る種々の情報処理または制御処理等を行う。
【0017】
なお、制御プログラム1Pは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。なお、図1では制御部11を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0018】
記憶部12はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pまたはデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部13は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワーク等を介して、外部の情報処理装置等との間で情報の送受信を行う。
【0019】
入力部14は、マウス、キーボード、タッチパネルまたはボタン等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報を制御部11へ出力する。表示部15は、液晶ディスプレイまたは有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、制御部11の指示に従い各種情報を表示する。なお、入力部14は、キーボード、マウスまたは表示部15と一体化したタッチパネルでも良い。
【0020】
読取部16は、CD(Compact Disc)-ROMまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読取部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、大容量記憶部17に記憶しても良い。また、ネットワーク等を介して他のコンピュータから制御部11が制御プログラム1Pをダウンロードし、大容量記憶部17に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでも良い。
【0021】
大容量記憶部17は、例えばHDD(Hard disk drive)、またはSSD(Solid State Drive)等の記録媒体を備える。大容量記憶部17は、設計データDB(database)171、異常箇所DB172、異常出力モデル173及びシミュレータ174を含む。
【0022】
設計データDB171は、建築材の複数の設計データを記憶している。異常箇所DB172は、複数の設計データに基づき特定された建築材の異常箇所に関する情報を記憶している。異常出力モデル173は、複数の設計データに基づき、建築材における異常箇所を出力する出力器(推定器)であり、機械学習により生成された学習済みモデルである。
【0023】
シミュレータ174は、コンピュータ1にインストールされ、建築材に対する立体骨組解析または断面性能照査等の構造解析を行うことにより、当該建築材における異常箇所を特定するソフトウェアである。なお、シミュレータ174は、クラウドサーバ上で提供されても良い。この場合、コンピュータ1はクラウドサーバを通じて、当該シミュレータ174を利用しても良い。シミュレータ174は、例えばStructural Engine、WinFRAME-G、UC-FRAME、またはSkyCiv Structural 3D等であっても良い。
【0024】
なお、本実施形態において記憶部12及び大容量記憶部17は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部17は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部17はコンピュータ1に接続された外部記憶装置であっても良い。
【0025】
コンピュータ1は、種々の情報処理及び制御処理等をコンピュータ単体で実行しても良いし、複数のコンピュータで分散して実行しても良い。また、コンピュータ1は、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されても良いし、クラウドサーバを用いて実現されても良い。
【0026】
図2は、設計データDB171のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。設計データDB171は、建築材ID列、種類列及び設計データ列を含む。建築材ID列は、各建築材を識別するために、一意に特定される建築材のIDを記憶している。
【0027】
種類列は、建築材の種類を記憶している。例えば、建築材が橋梁の部材である場合、種類は、共通、床版、主桁、中間対傾構(対傾構及びガセットプレート等)、舗装(表層、上層路盤及び下層路盤等)、横構(上横構、下横構及びガセットプレート等)、荷重分配横桁または端横桁等を含む。なお、種類列には、実際の建築材に応じた種類が記憶されても良い。
【0028】
設計データは、名称及び値(パラメータまたは数値等)を含む。設計データ列は、名称列及び値列を含む。名称列は、設計データの名称を記憶している。値列は、設計データの値を記憶している。
【0029】
例えば、建築材が橋梁の部材である場合、設計データの名称は、種類が「共通」である建築材に対し、橋長、桁長または支間長等を含む。また、設計データの名称は、種類が「床版」である建築材に対し、左幅員、右幅員、地覆幅、壁高、床版上面勾配(左)、床版上面勾配(右)、床版底面勾配(左)、床版底面勾配(右)、床版厚、ハンチ高、ハンチ勾配または床版端部から主桁までの離隔等を含む。更にまた、設計データの名称は、種類が「主桁」である建築材に対し、主桁本数、フランジ幅、フランジ厚、ウェブ幅またはウェブ厚等を含む。
【0030】
図3は、異常箇所DB172のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。異常箇所DB172は、建築材ID列、異常箇所列、種類列及び設計データ列を含む。
【0031】
建築材ID列は、建築材を特定する建築材IDを記憶している。異常箇所列は、建築材における異常箇所の場所(例えば、座標)を記憶している。種類列は、建築材の種類を記憶している。設計データ列は、名称列及び寄与度列を含む。名称列は、異常箇所の出力に寄与した寄与度に対応する設計データの名称を記憶している。寄与度列は、異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度を記憶している。なお、寄与度に関しては後述する。
【0032】
なお、上述した各DBの記憶形態は一例であり、データ間の関係が維持されていれば、他の記憶形態であっても良い。
【0033】
続けて、建築材の複数の設計データに基づき、当該建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する処理を説明する。以下では、建築材が橋梁の部材である例を説明するが、他の種類の建築材にも同様に適用することができる。
【0034】
まず、コンピュータ1は、建築材の複数の設計データ(橋長、桁長、支間長、主桁本数、床版の左幅員、右幅員または地覆幅等)を取得する。例えば、コンピュータ1は、設計者による建築材の複数の設計データの入力を受け付け、受け付けた設計データを取得する。
【0035】
コンピュータ1は、取得した設計データを設計データDB171に記憶する。具体的には、コンピュータ1は、設計データに対し建築材IDを割り振る。コンピュータ1は、割り振った建築材IDに対応付けて、建築材の種類(床版または主桁等)、設計データの名称及び値を設計データDB171に記憶する。
【0036】
コンピュータ1は、構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータ174により、取得した複数の設計データに基づき、当該建築材における異常箇所を特定する。具体的には、コンピュータ1は、取得した複数の設計データをシミュレータ174に入力する。コンピュータ1は、当該シミュレータ174を通じて、複数の設計データに基づき当該建築材の3Dモデルを構築する。
【0037】
シミュレータ174は、公知の3Dモデルの構築技術を用いて、建築材の3Dモデルを構築する。具体的には、シミュレータ174は、複数の設計データに基づき、当該建築材の3Dモデルを生成する。例えば、シミュレータ174は、複数の設計データに基づき、当該建築材の3D形状を示す3D点群データを生成する。シミュレータ174は、生成した3D点群データからメッシュデータを生成することにより、当該建築材の3Dモデルを生成しても良い。メッシュデータは、点群データに含まれる点を頂点とし、各頂点を組み合わせた三角形面もしくは四角形面によって建築材の表面の立体的形状を示すデータである。
【0038】
コンピュータ1は、シミュレータ174により構築された当該建築材の3Dモデルを画面に表示する。コンピュータ1は、当該シミュレータ174を通じて、取得した複数の設計データに基づき当該建築材における異常箇所を特定する。
【0039】
シミュレータ174は、例えば、建築材における公知の異常特定技術により当該建築材の異常箇所を特定する。一例とし、シミュレータ174は、複数の設計データに基づき、当該建築材に対する強度と重量とのバランスが最適化の範囲内であるか否かを判定する。シミュレータ174は、強度と重量とのバランスが最適化の範囲外である場合、該当する異常箇所を特定しても良い。
【0040】
具体的には、シミュレータ174は、複数の設計データの値のそれぞれを用いて、当該建築材に対して線形有限要素解析を行い、解析した当該建築材における座屈発生荷重及び座屈崩壊荷重の少なくともいずれか一方と、当該建築材の重量とを演算する。シミュレータ174は、当該建築材における荷重状態を演算し、線形有限要素解析結果に基づく情報を用いて、当該建築材の複数の箇所のうち、各箇所の所定強度を満たし、かつ重量が所定の重量閾値以下であるか否かを判定する。
【0041】
シミュレータ174は、判定対象となる箇所の強度が所定強度を満たし、かつ重量が所定の重量閾値以下である場合、当該箇所が異常箇所でないと判定する。シミュレータ174は、判定対象となる箇所の強度が所定強度を満たしていない、または、重量が所定の重量閾値を超えた場合、当該箇所が異常箇所として特定する。
【0042】
なお、上述したシミュレータ174の各種処理(動作)は、コンピュータ1の制御部11により実行される。
【0043】
コンピュータ1は、シミュレータ174により特定された異常箇所を建築材の3Dモデル中に表示する。具体的には、コンピュータ1は、シミュレータ174により特定された異常箇所の座標等に基づき、建築材の3Dモデルの中に、異常箇所をカラー(例えば、赤色)、パターン(例えば、斜線)またはハイライト等で強調表示する。
【0044】
次に、コンピュータ1は、異常出力モデル173を用いて、建築材における異常箇所を出力(特定)する。異常出力モデル173は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用される。異常出力モデル173は、建築材の複数の設計データ(名称及び値)を入力とし、当該建築材における異常箇所を出力とするニューラルネットワークを構築済みの出力器(推定器)である。
【0045】
異常出力モデル173は、訓練データに基づき、建築材の複数の設計データの特徴量を学習するディープラーニングを行うことで生成される。訓練データは、建築材の複数の設計データの名称及び値と、当該建築材における異常箇所を示す情報(確率値及び位置等)とが対応付けられた組み合わせのデータである。訓練データは、例えば、上述したシミュレータ174による異常箇所の特定処理から収集された大量の経験データに基づいて生成される。なお、訓練データは、例えば、実際の建築材に対する試験記録等の試験データを利用して別途人手で作成されたデータであっても良い。
【0046】
異常出力モデル173は、例えば、DNN(Deep Neural Network(s))、CNN(Convolution Neural Network)、RCNN(Regions with Convolutional Neural Network)、Fast RCNN、Faster RCNN、SSD(Single Shot Multibook Detector)、YOLO(You Only Look Once)、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、トランスフォーマー(Transformer)ネットワーク、または回帰木等の任意の物体検出アルゴリズムを利用して構築されても良い。
【0047】
続いて、コンピュータ1は、建築材に対し、シミュレータ174により特定した異常箇所と、異常出力モデル173により出力した異常箇所とが一致するか否かを判定する。コンピュータ1は、両者が一致する場合、建築材の複数の設計データに基づき、当該建築材の異常箇所に対し、シャープレイ値(Shapley Value)を算出(出力)する。
【0048】
シャープレイ(SHAP;SHapley Additive exPlanations)は、予測根拠の妥当性を評価する手法とし、推定器である異常出力モデル173への各入力値(特徴量)が予測結果へ与えた影響の度合いを可視化する手法である。本実施形態では、入力値は建築材の複数の設計データ(名称及び値)であり、予測結果へ与えた影響の度合いは異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度(貢献度)である。
【0049】
異常出力モデル173への応用には、例えば、特徴量X=(X1,X2,X3)の予測値への寄与度をシャープレイ値で求めるものである。X1、X2及びX3は、建築材の設計データを示す。例えば、X1が橋長であり、X2が桁長であり、X3が支間長である。なお、ここで、3つの設計データの例を説明したが、設計データの数が任意であり、3つの設計データに限定されるものではない。
【0050】
モデルをf(X)とし、平均的な予測値をE[f(X)]とする。1つのインスタンスにおいてそれぞれ(x1,x2,x3)=xという特徴量をとっているものとし、このときの予測値をf(x)とする。平均的な予測値のE[f(X)]と各インスタンスの予測値f(x)との乖離に各特徴量がどのくらい影響しているかを求めることができる。
【0051】
具体的には、各インスタンスの予測値f(x)は、E[f(X|X1=x1,X2=x2,X3=x3)]=f(x1,x2,x3)=f(x)であるから、平均的な予測値をE[f(X)]からX1,X2,X3を条件付けてゆくことで、その特徴量を知ることが、各インスタンスの予測に対してどのように影響するかを求めることになる。なお、X1,X2,X3という順で条件付けしているが、これに限るものではない。
【0052】
X1,X2,X3が順に加わって、X1,X2,X3の組み合わせ、及び、X1,X2,X3の全ての並び順で条件付けし、それぞれにおいて得られる各特徴量が予測値に与える限界的な効果(貢献)の平均を求めることにより、建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度を算出することができる。
【0053】
なお、シャープレイに限定されるものではない。例えば、異常出力モデル173にLIME(Local Interpretable Model-agnostic Explanations)等の線形回帰の手法を適用することにより、建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度を算出しても良い。
【0054】
このように、コンピュータ1は、取得した建築材の複数の設計データを異常出力モデル173に入力し、当該建築材における異常箇所を出力する。コンピュータ1は、入力データである複数の設計データに基づき、シャープレイのライブラリ等を用いて、異常出力モデル173による異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する。コンピュータ1は、特定した設計データと、当該設計データの寄与度とを出力する。
【0055】
コンピュータ1は、特定した異常箇所、及び当該異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度を異常箇所DB172に記憶する。具体的には、コンピュータ1は、建築材IDに対応付けて、異常箇所(例えば、座標情報)、建築材の種類、当該異常箇所の出力に寄与した設計データの名称及び寄与度を異常箇所DB172に記憶する。
【0056】
図4は、シミュレータ174による設計データの受付画面の一例を示す説明図である。当該画面は、3Dモデル表示欄11a、設計データ受付欄11b及び異常箇所表示欄11cを含む。
【0057】
3Dモデル表示欄11aは、複数の設計データに基づき構築された建築材の3Dモデルを表示する表示欄である。設計データ受付欄11bは、建築材の複数の設計データの入力を受け付ける欄である。異常箇所表示欄11cは、建築材における異常箇所を表示する表示欄である。なお、異常箇所表示欄11cの表示位置は、特定された異常箇所により変動される。なお、複数の異常箇所が特定された場合、該当する表示位置にそれぞれの異常箇所表示欄11cが表示される。
【0058】
コンピュータ1は、シミュレータ174を通じて、設計データ受付欄11bの入力操作を受け付けた場合、入力された建築材の複数の設計データを取得する。図示のように、設計データ受付欄11bを通じて、橋長、桁長及び支間長を含む共通の設計データ、左幅員、右幅員、地覆幅、壁高、床版上面勾配(左)、床版上面勾配(右)、床版底面勾配(左)、床版底面勾配(右)、床版厚、ハンチ高、ハンチ勾配及び床版端部から主桁までの離隔を含む床版の設計データ、並びに、主桁本数、フランジ幅、フランジ厚、ウェブ幅及びウェブ厚を含む主桁の設計データの入力が受け付けられる。なお、設計データは、上述した設計データに限らず、実際の建築材の種類によって設けられても良い。
【0059】
コンピュータ1は、当該シミュレータ174を通じて、設計データ受付欄11bにより取得した複数の設計データに基づき、建築材の3Dモデルを構築する。コンピュータ1は、構築した建築材の3Dモデルを3Dモデル表示欄11aに表示する。コンピュータ1は、当該シミュレータ174を通じて、取得した複数の設計データに基づき当該建築材における異常箇所を特定する。
【0060】
コンピュータ1は、特定した異常箇所を建築材の3Dモデル中に表示する。例えば、コンピュータ1は、特定した異常箇所の座標に基づき、異常箇所表示欄11cに当該異常箇所をカラー(例えば、赤色)またはパターン(例えば、斜線)等で表示する。
【0061】
図5は、設計データの寄与度を表示する画面の一例を示す説明図である。なお、図4と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。当該画面は、寄与度表示欄11dを含む。寄与度表示欄11dは、異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度の順に、各設計データと各設計データの寄与度とを表示する表示欄である。
【0062】
コンピュータ1は、設計データ受付欄11bにより取得された複数の設計データを異常出力モデル173に入力し、当該建築材における異常箇所を出力する。コンピュータ1は、複数の設計データに基づき、シャープレイのライブラリ等を用いて、異常出力モデル173による異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する。
【0063】
コンピュータ1は、異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度の順(例えば、高→低)に、特定した設計データをソートする。コンピュータ1は、シャープレイのライブラリ等を用いて、設計データの寄与度の可視化処理を行う。コンピュータ1は、設計データの寄与度の順に、各設計データと、各設計データの寄与度とを寄与度表示欄11dに表示する。
【0064】
図示のように、設計データの寄与度の順に、設計データは並んで表示されている。それぞれの設計データについて、寄与度(シャープレイ値)の散布図11eが示される。散布図11eの横軸は、寄与度(シャープレイ値)を示し、縦軸は、設計データの名称を示す。寄与度の大きさは、色(例えば、赤色←→青色)またはパータン(例えば、斜め線←→格子)等で示される。
【0065】
散布図11eでは、設計データの寄与度の降順(高→低)に、異常箇所の出力に寄与した設計データが並んで表示される。図示のように、建築材における異常箇所の出力に寄与した設計データは、フランジ幅(主桁)、フランジ厚(主桁)、ウェブ厚(主桁)、本数(主桁)、ウェブ幅(主桁)、ハンチ高(床版)、ハンチ勾配(床版)、支間長(共通)、離隔(床版)、右側床版幅(床版)、左側底面勾配(床版)、左側上面勾配(床版)、右側底面勾配(床版)、右側上面勾配(床版)、左側床版幅(床版)、地覆幅(床版)、壁高(床版)、桁長(共通)、配置列数(荷重分配横桁)及び中間対傾構(構成)を含む。なお、寄与度に対応する設計データの名称は、理解を容易にするために、入力データとした設計データの名称とは完全に一致しなくても良い。
【0066】
また、図示のように、寄与度の一番高い設計データが「フランジ幅(主桁)」であり、寄与度の一番低い設計データが「中間対傾構(構成)」である。なお、寄与度の可視化は、散布図に限らず、例えば、棒グラフまたは曲線グラフ等が利用されても良い。
【0067】
なお、図5では、寄与度の順に設計データの寄与度を表示した例を説明したが、これに限るものではない。例えば、設計データの名称順に設計データの寄与度を表示しても良く、または、ランダムに設計データの寄与度を表示しても良い。
【0068】
図6は、建築材における異常箇所を特定する際の処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ1の制御部11は、建築材の複数の設計データ(橋長、桁長、支間長または主桁本数等)の入力(設定)を入力部14により受け付ける(ステップS101)。
【0069】
制御部11は、取得した設計データを大容量記憶部17の設計データDB171に記憶する(ステップS102)。具体的には、制御部11は、設計データに対し建築材IDを割り振る。制御部11は、割り振った建築材IDに対応付けて、建築材の種類(床版または主桁等)、設計データの名称及び値を設計データDB171に記憶する。
【0070】
制御部11は、構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータ174を通じて、受け付けた複数の設計データに基づき、当該建築材の3Dモデルを構築する(ステップS103)。制御部11は、構築した当該建築材の3Dモデルを表示部15により表示する(ステップS104)。
【0071】
制御部11は、当該シミュレータ174を通じて、受け付けた複数の設計データに基づき、建築材における異常箇所を特定したか否かを判定する(ステップS105)。制御部11は、当該建築材における異常箇所を特定していない場合(ステップS105でNO)、ステップS104の処理に戻る。
【0072】
制御部11は、当該建築材における異常箇所を特定した場合(ステップS105でYES)、構築した建築材の3Dモデル中に、特定した異常箇所を表示部15により表示する(ステップS106)。具体的には、制御部11は表示部15を介して、特定した異常箇所の座標等に基づき、建築材の3Dモデルの中に、異常箇所をカラー(例えば、赤色)等で表示する。
【0073】
制御部11は、受け付けた建築材の複数の設計データを異常出力モデル173に入力し(ステップS107)、当該建築材における異常箇所を出力する(ステップS108)。制御部11は、ステップS105の処理により特定した異常箇所と、ステップS108の処理により出力した異常箇所とが一致するか否かを判定する(ステップS109)。
【0074】
制御部11は、両者が一致する場合(ステップS109でYES)、当該異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度を算出する処理のサブルーチンを実行する(ステップS110)。なお、寄与度の算出処理のサブルーチンに関しては後述する。制御部11は、両者が一致していない場合(ステップS109でNO)、処理を終了する。
【0075】
図7は、設計データの寄与度を算出する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ1の制御部11は、建築材の複数の設計データ(名称及び値)に基づき、シャープレイのライブラリ等を用いて、異常出力モデル173による建築材の異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する(ステップS01)。制御部11は、異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度の順(例えば、高→低)に、特定した設計データをソートする(ステップS02)。
【0076】
制御部11は、ソートした設計データの項目及び寄与度を表示部15により表示する(ステップS03)。制御部11は、特定した異常箇所、及び当該異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度を大容量記憶部17の異常箇所DB172に記憶する(ステップS04)。具体的には、制御部11は、建築材IDに対応付けて、異常箇所(例えば、座標情報)、建築材の種類、当該異常箇所の出力に寄与した設計データの名称及び寄与度を異常箇所DB172に記憶する。制御部11は、寄与度の算出処理のサブルーチンを終了してリターンする。
【0077】
本実施形態によると、建築材の複数の設計データに基づき特定された異常箇所を、当該建築材の3Dモデル中に表示することが可能となる。
【0078】
本実施形態によると、異常出力モデル173による異常箇所の出力に寄与した設計データを特定することが可能となる。
【0079】
本実施形態によると、異常箇所の出力に寄与した設計データの寄与度の順に、特定した各設計データと各設計データの寄与度とを表示することが可能となる。
【0080】
(実施形態2)
実施形態2は、異常箇所の設計データに対する修正を受け付ける形態に関する。なお、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。
【0081】
図8は、実施形態2における設計データDB171のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。なお、図2と重複する内容については説明を省略する。設計データDB171は、第1案列、第2案列及び第3案列を含む。第1案列、第2案列及び第3案列のそれぞれは、建築材における異常箇所の設計データに対し、修正日付の古い順に修正後の設計データの値を記憶している。なお、図8では、3回の修正履歴の例を説明したが、修正回数は特に限定されるものではない。
【0082】
コンピュータ1は、建築材における異常箇所の設計データの値に対する修正を受け付ける。具体的には、コンピュータ1は、設計データの受付画面(図4)を通じて、異常箇所の設計データの値に対する修正を受け付ける。
【0083】
または、コンピュータ1は、設計データの寄与度表示画面(図5)を通じて、寄与度の選択を受け付ける。コンピュータ1は、選択された寄与度に対応する設計データの名称を取得する。コンピュータ1は、取得した設計データの名称に基づき、当該設計データの値を設計データDB171から取得する。コンピュータ1は、取得した設計データの値を設計データの受付画面(図4)に表示する。
【0084】
例えば、コンピュータ1は、設計データの寄与度表示画面(図5)を通じて、「フランジ幅(主桁)」である設計データの寄与度のタッチ操作を受け付けた場合、「フランジ幅(主桁)」の寄与度の選択を受け付ける。コンピュータ1は、選択された「フランジ幅(主桁)」の寄与度に対応する「フランジ幅(主桁)」の値を設計データDB171から取得する。コンピュータ1は、取得した「フランジ幅(主桁)」の値を設計データの受付画面(図4)に表示する。コンピュータ1は、「フランジ幅(主桁)」の値に対する修正を受け付ける。
【0085】
コンピュータ1は、構造解析を行うことで建築材における異常箇所を特定するシミュレータ174を通じて、受け付けた修正後の異常箇所の設計データの値に基づき異常箇所を再特定する。コンピュータ1は、異常箇所を再特定した場合、修正された異常箇所の設計データを異常出力モデル173に入力し、当該建築材における異常箇所を出力する。コンピュータ1は、シミュレータ174より特定した異常箇所と、異常出力モデル173により出力した異常箇所とが一致するか否かを判定する。
【0086】
コンピュータ1は、両者が一致する場合、入力データである複数の設計データに基づき、シャープレイのライブラリ等を用いて、異常出力モデル173による異常箇所の出力に寄与した設計データを特定する。コンピュータ1は、特定した設計データと、当該設計データの寄与度とを出力する。
【0087】
図9は、設計データに対する修正を受け付ける際の処理手順を示すフローチャートである。なお、図6と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
コンピュータ1の制御部11は、寄与度の選択を入力部14により受け付ける(ステップS121)。制御部11は、受け付けた寄与度に対応する設計データの名称に基づき、当該設計データの値を大容量記憶部17の設計データDB171から取得する(ステップS122)。制御部11は、取得した設計データの値を表示部15により表示する(ステップS123)。制御部11は、設計データの値に対する修正を入力部14により受け付ける(ステップS124)。
【0089】
制御部11は、ステップS103~S105の処理を実行する。制御部11は、建築材における異常箇所を特定した場合(ステップS105でYES)、ステップS106の処理を実行する。
【0090】
制御部11は、建築材における異常箇所を特定していない場合(ステップS105でNO)、建築材IDに対応付けて、修正後の設計データの値を大容量記憶部17の設計データDB171に記憶する(ステップS125)。具体的には、制御部11は、建築材IDに対応付けて、修正後の設計データの値を設計データDB171の該当する列(第1案列、第2案列または第3案列等)に記憶する。制御部11は、ステップS104の処理に戻る。
【0091】
なお、制御部11は、修正履歴の記憶処理を実行した後に、修正履歴の表示画面(後述する図10)に遷移し、当該修正履歴の表示画面を表示しても良い。
【0092】
なお、図9では、修正後の設計データに基づき異常箇所を特定していない場合、修正履歴を記憶した例を説明したが、これに限るものではない。修正後の設計データに基づき異常箇所を特定した場合でも、修正履歴を記憶することができる。または、制御部11は、設計者による修正後の設計データに対する保存要求を受け付けた場合、異常箇所を特定したか否かにかかわらず、修正後の設計データの値を設計データDB171に記憶する。この場合、修正履歴の表示画面(後述する図10)には、異常箇所のある修正履歴と、異常箇所のない修正履歴との両方が表示される。
【0093】
続いて、異常箇所に対する修正履歴、及び各修正履歴に対応する設計データを比較した比較結果を表示する処理を説明する。
【0094】
図10は、修正履歴の表示画面の一例を示す説明図である。当該画面は、修正履歴表示欄12a及び比較結果表示欄12bを含む。修正履歴表示欄12aは、修正履歴毎に建築材の3Dモデルを表示する表示欄である。比較結果表示欄12bは、各修正履歴に対応する設計データの値を比較した比較結果を表示する表示欄である。
【0095】
コンピュータ1は、建築材IDに基づき、建築材における異常箇所に対する修正履歴を設計データDB171から複数取得する。修正履歴には、設計データの名称及び値等を含まれる。図示のように、コンピュータ1は、第1案、第2案及び第3案のそれぞれの修正履歴を設計データDB171から取得する。
【0096】
コンピュータ1は、上述したシミュレータ174を通じて、取得した各修正履歴に含まれる複数の設計データに基づき、各修正履歴に対応する建築材の3Dモデルを構築する。コンピュータ1は、修正履歴毎に構築した建築材の3Dモデルを修正履歴表示欄12aに表示する。
【0097】
コンピュータ1は、各修正履歴に対応する設計データを比較した比較結果を生成する。コンピュータ1は、生成した比較結果を比較結果表示欄12bに表示する。図示のように、比較結果は比較表の形式で示されている。比較表には、建築材の各設計データの名称、及び、各設計データの第1案、第2案及び第3案の値が一覧で表示される。なお、図10では、比較結果が表の形式で示されているが、これに限るものではない。比較結果の表示形式は、テキストまたはグラフ等であっても良い。
【0098】
図11は、修正履歴及び比較結果を表示する際の処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ1の制御部11は、建築材IDに基づき、建築材における異常箇所に対する修正履歴を大容量記憶部17の設計データDB171から複数取得する(ステップS131)。修正履歴には、設計データの名称及び値等を含まれる。制御部11は、上述したシミュレータ174を通じて、取得した各修正履歴に含まれる複数の設計データに基づき、修正履歴毎に建築材の3Dモデルを構築する(ステップS132)。
【0099】
制御部11は、修正履歴毎に構築した建築材の3Dモデルを表示部15により表示する(ステップS133)。制御部11は、各修正履歴に対応する設計データの値を比較した比較結果を生成する(ステップS134)。制御部11は、生成した比較結果を表示部15により表示する(ステップS135)。制御部11は、処理を終了する。
【0100】
本実施形態によると、異常箇所の設計データの値に対する修正を受け付けることが可能となる。
【0101】
本実施形態によると、修正された異常箇所の設計データの値に基づき、建築材における異常箇所を再特定することが可能となる。
【0102】
本実施形態によると、寄与度の選択を受け付けた場合、受け付けた寄与度に対応する設計データの値に対する修正を受け付けることが可能となる。
【0103】
本実施形態によると、修正履歴毎に建築材の3Dモデル、及び、各修正履歴に対応する設計データを比較した比較結果を表示することが可能となる。
【0104】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0105】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。
【符号の説明】
【0106】
1 情報処理装置(コンピュータ)
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
1P 制御プログラム
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 表示部
16 読取部
17 大容量記憶部
171 設計データDB
172 異常箇所DB
173 異常出力モデル
174 シミュレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11