(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145727
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】空気調和機の室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
F24F1/0007 401C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058207
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】林 祐介
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BH04
(57)【要約】
【課題】吹出口から風向板ユニットの脱着が可能であり、吹出口に風向板ユニットが装着された場合に、確実にファンへの駆動電力を供給することができる空気調和機の室内機を提供する。
【解決手段】内部にファンを格納する筐体と、筐体の内部で冷媒と熱交換が行われた空気をファンの回転により室内へ吹き出す吹出口と、を有する空気調和機の室内機であって、吹出口から吹き出される空気の方向を偏向させ、吹出口に着脱可能な風向板ユニットと、ファンへの駆動電力の供給、遮断を切り替える切替スイッチと、風向板ユニットの脱着に応じて切替スイッチを操作するスイッチ操作部材とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にファンを格納する筐体と、前記ファンの回転により空気を吹き出す吹出口と、を有する空気調和機の室内機であって、
前記吹出口から吹き出される前記空気の方向を偏向させ、前記吹出口に着脱可能な風向板ユニットと、
前記ファンへの駆動電力の供給と遮断を切り替える切替スイッチと、
前記風向板ユニットの脱着に応じて前記切替スイッチを操作するスイッチ操作部材と、
を備えることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記切替スイッチは、前記ファンへの前記駆動電力が供給されるスイッチ部を有し、
前記スイッチ操作部材は、前記スイッチ部に接触する接触部を有し、
前記スイッチ部の移動方向を第1の方向とし、前記風向板ユニットの着脱方向を第2の方向とした場合に、前記第1の方向と前記第2の方向とは異なる方向であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記風向板ユニットには、前記スイッチ操作部材を回動させる回動軸が設けられ、
前記スイッチ操作部材は、前記回動軸に回動自在に嵌合する回動軸受けを有し、
前記風向板ユニットが前記第2の方向に着脱されることに応じて前記スイッチ操作部材が回動することで、前記スイッチ部が前記第1の方向、或いは、前記第1の方向とは反対の方向に操作されることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記回動軸は、前記回動軸受けが挿入される側を一端側とし、前記一端側の反対側を他端側とした場合に、前記他端側は円で形成されており、前記円の中心から一端側へ伸びる垂線に対して直交する面の半径は、前記他端側から前記一端側に向けて徐々に小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
前記風向板ユニットは、前記スイッチ操作部材に接触する作用部を有し、
前記スイッチ操作部材は、回動軸受けより所定寸法離れた位置に設けられ前記作用部が接触する受け部を有し、
前記スイッチ操作部材は、前記風向板ユニットの前記吹出口への脱着に応じて前記作用部が前記受け部を移動させることによって前記切替スイッチを操作することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項6】
前記受け部は傾斜部を有し、
前記傾斜部は前記作用部に接し、前記作用部は、前記風向板ユニットの移動に伴って前記傾斜部との接触位置を移動させながら前記受け部を移動させることで前記スイッチ操作部材を前記第1の方向、或いは、前記第1の方向とは反対の方向に移動させることを特徴とする請求項5に記載の空気調和機の室内機。
【請求項7】
前記スイッチ部に接触する接触部は、前記回動軸受けと前記受け部との間に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の空気調和機の室内機。
【請求項8】
前記スイッチ操作部材は、前記受け部と前記回動軸受けを挟んで反対側に配置されるアーム部を有し、
前記風向板は、その一端が前記アーム部に固定される弾性体を有し、
前記弾性体は、前記風向板ユニットが前記吹出口から取り外された際に、前記スイッチ操作部材を前記切替スイッチから遠ざける方向へ回動させるように付勢していることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の室内機。
【請求項9】
前記吹出口は、一方の面に左右風向板が配置され、他方の面に前記スイッチ操作部材、前記切り替えスイッチ、及び、前記弾性体が配置される基底部を有し、
前記基底部は、前記一方の面と前記他方の面とを貫通して設けられ、スイッチ操作部材を回動させる作用部と前記受け部とが接触する貫通穴を有し、
前記スイッチ操作部材は、前記受け部近傍に配置される閉塞部を有し、
前記弾性体は、前記風向板ユニットが前記吹出口から取り外された際に、前記閉塞部が前記貫通穴を塞ぐ位置まで前記スイッチ操作部材を回動させることを特徴とする請求項8に記載の空気調和機の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、一般的に室内に設置される室内機と室外に設置される室外機とから構成され、これら室内機及び室外機を冷媒配管で連結して形成される冷媒回路内を冷媒が循環することによって室内の温度や湿度を調整している。
【0003】
すなわち、室内機の内部に設けられる室内熱交換器により冷媒と空気との熱交換が行われ、熱交換が行われた空気がファンによって吹出口から室内へと吹き出される。
【0004】
室内機の中には、吹き出される空気が通過する送風路の清掃を行いやすくするために、吹出口に設けられている風向板を取り外すことができるようにされているものがある。このような室内機の場合、風向板を取り外した場合、ファンを駆動する電力の供給を遮断するスイッチが設けられている。
【0005】
これは、送風路の清掃の際に作業者がファンの近くまで手を入れることが考えられるからであり、作業者が回転するファンに接触することによる怪我等を防止するとともに、ファンが損傷することを回避するためである。
【0006】
例えば、以下に示す特許文献1に示されている送風装置の場合、左右・上下方向の風向きを制御するルーバやルーバを駆動するルーバモータを備える吹出口部材が筐体から取り外された場合に、室内機のファンへ供給する電力をOFF状態とするようにされている。つまり当該電力のON,OFFは、吹出口部材の着脱を検出する電源回路側スイッチによって行われ、電源回路側スイッチが吹出口部材が取り外されたことを検出すると、ファンに供給される駆動電力等、電源部から室内機の各機器への電源の供給が停止する。
【0007】
すなわちこの送風装置の場合、電源回路側スイッチは吹出口部材の一部(スイッチ押圧壁)と接触するように配置されており、吹出口部材の着脱の際に両者が接触するか否かによって、室内機の各機器への電源の供給を行う、或いは、室内機の各機器への電源の供給を停止する構造である。
【0008】
つまり、スイッチ押圧壁が電源回路側スイッチに接触している時は室内機の各機器への電源の供給を行い、非接触となると室内機の各機器への電源の供給を停止する。すなわち当該送風装置の場合、吹出口部材を取り外す場合、まず吹出口である嵌合部から吹出口部材が抜け出る方向に移動させて嵌合部から前側へと吹出口部材をせり出させる。そして、せり出した吹出口部材を嵌合部から外側へ回転させることで、室内機の本体下に垂れ下がったような状態にして吹出口部材を嵌合部から取り外す。このようにして吹出口部材を取り外すとスイッチ押圧壁が電源回路側スイッチに接触しなくなるため室内機の各機器への電源の供給が停止されるので、ファンは回転しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の送風装置のように、吹出口部材の一部がスイッチに直に接触するか否かをもってファンを駆動する駆動電力を供給する/供給しないを切り換える構造の場合、以下のような不都合が生ずる可能性が考えられる。
【0011】
すなわち、吹出口部材と電源回路側スイッチそれぞれの部材における寸法のばらつきや、室内機に吹出口部材や電源回路側スイッチを組み付ける際の組み立てのばらつきによる吹出口部材と電源回路側スイッチとの位置ずれが生じることは、工業製品である以上、避けられない。また、何度も吹出口部材の脱着を行うと、着脱回数が多くなるにつれて吹出口部材と吹出口とが嵌合する部分が緩んで、製品出荷時の吹出口部材と電源回路側スイッチとの相対的な位置関係が異なってくる場合も考えられる。
【0012】
上記のような部品の寸法ばらつきや組立ばらつきが積み重なって位置ずれが生じる、あるいは、吹出口部材の複数回の着脱操作により電源回路側スイッチとの位置関係が初期の状態から変化すると、例えば送風路の清掃が終了し吹出口部材を吹出口に組み付けた場合に、吹出口部材の一部が電源回路側スイッチに接触しないことが起こり得る。このような状態では、吹出口部材を吹出口に組み付けてもファンへ駆動電力が供給されず、空気調和機を運転することができない。
【0013】
本発明は、吹出口から風向板ユニットの脱着が可能であり、吹出口に風向板ユニットが装着された場合に確実にファンへの駆動電力を供給することができる空気調和機の室内機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る空気調和機の室内機は、内部にファンを格納する筐体と、ファンの回転により空気を吹き出す吹出口と、を有する空気調和機の室内機であって、吹出口から吹き出される空気の方向を偏向させ、吹出口に着脱可能な風向板ユニットと、ファンへの駆動電力の供給と遮断を切り替える切替スイッチと、風向板ユニットの脱着に応じて切替スイッチを操作するスイッチ操作部材とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吹出口から風向板ユニットの脱着が可能な室内機において、吹出口に風向板ユニットが装着されたとき、確実にファンへの駆動電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の内部構造を模式的に示した断面図である。
【
図3A】本発明の実施の形態に係る室内機における風向板ユニットを示す斜視図である。
【
図3B】本発明の実施の形態に係る室内機における風向板ユニットを、
図3Aとは異なる向きから示す斜視図である。
【
図4】
図3Aの破線で示す領域を拡大して示しており、本発明の実施の形態に係る風向板ユニットに設けられるスイッチ機構の全体を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図3Aの破線で示す領域を拡大して示しており、本発明の実施の形態に係る風向板ユニットに設けられるスイッチ機構の全体を示す拡大平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る本発明の実施の形態におけるスイッチ操作部材と回動軸とが嵌め合わされた状態について、
図5に示すM-M線で切断して示す端面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るスイッチ機構を構成するスイッチ操作部材の全体をZ方向上側から示す斜視図である。
【
図8】
図3Aの破線で示す領域を拡大して示しており、本発明の実施の形態に係る風向板ユニットに設けられるスイッチ機構の別の形態に係る全体を示す拡大平面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るスイッチ機構を構成するスイッチ操作部材の全体をZ方向下側から示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るスイッチ操作部材の動きを説明するために用いる図であり、スイッチ機構の周辺を風向板ユニットを一方の面側からみた部分拡大説明図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るスイッチ操作部材の動きを説明するために用いる図であり、スイッチ機構の周辺を風向板ユニットを一方の面側からみた部分拡大説明図である。
【
図12】
図3Aの破線で示す領域を拡大して示しており、本発明の実施の形態に係るスイッチ操作部材の動きを説明するために用いる拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機1の全体を示す斜視図である。また、
図2は、本発明の実施の形態に係る空気調和機1の室内機の内部構造を模式的に示した断面図である。
【0018】
なお、
図1には室内機1しか図示していないが、室内機1は図示しない室外機と接続されることで、室内機1と室外機との間で冷媒回路が構成されて、全体として空気調和機を構成する。また
図1に示す室内機1は、室内の高所壁面に室内機1の背面が固定されて取り付けられる壁掛け式の室内機であるが、例えば、このような方式に限らず、どのような方式で壁面に取り付けられても、或いは、天井に取り付けられる室内機であっても良い。
【0019】
また本発明の実施の形態では、壁面に取り付けられた室内機1を正面から見た場合にその左右方向をX方向とし、室内機1の正面から背面に向けての奥行き方向をY方向とする。また、X方向とY方向とのいずれにも直交する方向をZ方向とする。従って、Z方向は室内機1を正面から見た場合における高さ方向である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る室内機1はX方向に横長であって、正面が曲面で形成されているものの概ね直方体形状である。室内機1は、正面側に配置された正面パネル2と、上面側に配置された上面パネル3と、正面から見てX方向両端部に配置されたサイドパネル4,4と、底面側に配置される底面パネル5と、で形成される筐体6を備えている。また、筐体6の背面には、筐体6に取付けられるとともに室内の壁面に取付けられる据付板6aが設けられている。
【0021】
例えば
図2に示すように、上面パネル3には、室内空気を筐体6の内部に吸い込む吸込口7が設けられている。吸込口7から見て、筐体6の内部には、室内熱交換器8、ファン9の順に配置されている。室内熱交換器8は、略逆Vの字の形状に形成されている。またファン9は、これらの室内熱交換器8に囲まれるように設けられている。さらにY方向における筐体6の背面側に配置される室内熱交換器8の下方、及び、筐体6の前面側に配置される室内熱交換器8の下方には、それぞれドレンパン10が設けられている。
【0022】
室内熱交換器8は、吸込口7から筐体6の内部に取り込まれた室内の空気と室内熱交換器8を流れる冷媒との間で熱交換を行う。例えば、空気調和機が冷房運転を行っている場合には、冷媒は筐体6の内部に取り込まれて室内熱交換器8を通過する空気から吸熱し、反対に空気調和機が暖房運転を行っている場合には、冷媒は筐体6の内部に取り込まれて室内熱交換器8を通過する空気に放熱する。
【0023】
ファン9は、筐体6の内部に格納され、筐体6内において回転自在となるように、図示しないファンモータの回転軸に取り付けられている。ファン9には、例えば、クロスフローファンが用いられる。ドレンパン10には、室内熱交換器8において結露した凝縮水が集められる。集められた凝縮水は、図示しないドレンホースを介して室内機1の外に排水される。
【0024】
一方、筐体6の下部には、底面パネル5のY方向中央部においてファン9の回転によって空気を吹き出す吹出口11が設けられている。また当該吹出口11は、室内機1のX方向全域に渡って開口している。従って、吸込口7と吹出口11とを連通し室内熱交換器8やファン9が配置される空間を空気が通って室内に供給される。以下、このような空間を適宜「送風路W」と表す。
【0025】
吹出口11には、吹出口11の幅(X方向の長さ)と略同一である横長の矩形状である、上下風向板11aが設けられている。当該上下風向板11aは、室内機1のX方向と平行な回転軸線周りに回動することができるように取り付けられている。なお、
図1及び
図2においては、上下風向板11aは閉じた状態で示されている。
【0026】
すなわち、上下風向板11aは回動することで、室内機1の運転時には吹出口11を開き、角度を変えることによって室内熱交換器8で冷媒と熱交換を行って吹出口11から吹き出される空気のZ方向(上下方向)の向きを変える(偏向させる)。一方、室内機1の運転停止時には吹出口11を閉じる蓋としての機能を有している。
【0027】
また、吹出口11には左右風向板12が回動可能に取付けられている。左右風向板12は、室内機1の運転時には、左右風向板12が備える複数の羽(フラップ)を回動させることによって室内熱交換器8で冷媒と熱交換を行って吹出口11から吹き出される空気のX方向(左右方向)の向きを変える。なお、左右風向板12については、後ほど詳細に説明する。
【0028】
このような構造を備える室内機1では、ファン9の回転に応じて、吸込口7から筐体6内に取り込まれた空気が室内熱交換器8を通過する。その結果、吸込口7から室内機1の内部に入った室内の空気は、室内熱交換器8を通って冷媒と熱交換される。室内熱交換器8による熱交換によって、空気は冷却或いは加熱されてファン9の回転によって筐体6の送風路Wを通過し、吹出口11から室内に送り出される。その際上下風向板11aや後述する風向板ユニット20の一部である左右風向板12を動かすことによって室内に供給される空気の向きを変えることができる。
【0029】
次に風向板ユニット20について説明する。
図3Aは、本発明の実施の形態に係る室内機1における風向板ユニット20を示す斜視図である。風向板ユニット20には、左右風向板12や当該左右風向板12を駆動する図示しない駆動ユニット、後述するスイッチ機構30が設けられている。
【0030】
なお、
図3Aに示す風向板ユニット20は、例えば、送風路Wの清掃のために筐体6(吹出口11)から取り外すことができるようにされているわけではない。あくまでも本発明の実施の形態におけるスイッチ機構30を説明するために風向板ユニット20の全体が見えるように描画したものである。
【0031】
筐体6(吹出口11)から取り外すことができるのは、風向板ユニット20の一部である左右風向板12等であり、スイッチ機構30等は取り外すことはできない。送風路Wの下流に配置される左右風向板12を取り外すことができるようにされているのは、当該左右風向板12を取り外すことによって、容易に送風路Wの清掃をすることができるからである。なお、左右風向板12は室内機1において、X方向の左右にそれぞれ別個に設けられていることから、左右別々に着脱可能である。
【0032】
風向板ユニット20は、
図2の断面図に示されているように、筐体6の下部であって吹出口11より内側(ファン9側)に配置されている。本発明の実施の形態における室内機1では、風向板ユニット20は、ファン9の近傍(Y方向奥側)に風上側端部20aが配置され、吹出口11の近傍(Y方向手前側)に風下側端部20bが配置される。
【0033】
左右風向板12は、風向板ユニット20の風上側端部20aに着脱可能に取り付けられている。風向板ユニット20が室内機1に上述した向きに配置されているため、左右風向板12は、ファン9の概ね直下に配置される。左右風向板12は、風向板ユニット20に保持される部分が回転軸となって駆動ユニットにより左右方向に回動する。
【0034】
ここで
図3Aは、上述したように、風向板ユニット20を示す斜視図であり、
図3Bは、本発明の実施の形態に係る室内機における風向板ユニット20を、
図3Aとは異なる向きから示す斜視図である。
【0035】
図3Aでは
図2の断面図とは異なり、風向板ユニット20の全体が分かるようにZ方向上側から見下ろすように描画するとともに、その周囲に配置される各部の描画を省略して示している。一方
図3Bは、風向板ユニット20をZ方向下側から見上げるように描画している。
【0036】
以下、
図3Aや
図3Bに示すように、風向板ユニット20の基底部21において、左右風向板12が連結されている側を一方の面22とし、その反対側の面を他方の面23と表す。
図3Aでは、風向板ユニット20を見下ろすように描画されているので、他方の面23が見えている。一方
図3Bでは、風向板ユニット20を見上げるように描画されているので、一方の面22が見えている。従って左右風向板12は、
図3Aではその一部が隠れて見えないが、
図3Bではその全体が見えている。
【0037】
風向板ユニット20は基底部21を備えており、
図3Bに示されているように、基底部21の一方の面22にはに上述した左右風向板12が着脱可能に配置されている。そして
図3Aに示されているように、基底部21の他方の面23には、筐体6からの左右風向板12の着脱に応じてファン9への駆動電力の供給、遮断を切り替えるスイッチ機構30が配置されている。
【0038】
なお、
図3A、及び、
図3BにおけるX方向、Y方向、及び、Z方向については、風向板ユニット20を平面上に載置した際の方向を基に定める。すなわち、本来風向板ユニット20が室内機1に装着される場合には、
図2に示すように風向板ユニット20の風上側端部20aがファン9の近傍に配置され、風下側端部20bは吹出口11近傍に配置される。
【0039】
このように
図2に示すような室内機1に風向板ユニット20が装着された状態の向きを以下の説明でも踏襲すると、スイッチ機構30等の各方向も
図2に示すような風向板ユニット20の方向を前提に方向が定まることになる。そこで説明の都合上、
図3A、及び、
図3Bに示すように、風向板ユニット20単体を基準に三方向を定めることとした。なお、以下の各図においても同様である。
【0040】
上述したように、清掃のために左右風向板12を吹出口11から取り外す場合に、ファン9が回転していると作業者が接触して怪我等をする可能性があり、また、ファン9も損傷するおそれがある。そこで、スイッチ機構30を用いて、左右風向板12の吹出口11からの着脱に応じてファン9への駆動電力の供給、遮断を行う。
【0041】
すなわち、左右別体である左右風向板12のいずれか一方を吹出口11から取り外すとファン9への駆動電力の供給が遮断される一方、左右風向板12のいずれもが吹出口11に取り付けられると、ファン9への駆動電力の供給が可能となる。本発明の実施の形態における風向板ユニット20では、スイッチ機構30は、
図3Aの破線で示すように、X方向の略中央に設けられている。
【0042】
図4は、
図3Aの破線で示す領域を拡大して示しており、本発明の実施の形態に係る風向板ユニット20に設けられるスイッチ機構30の全体を示す拡大斜視図である。また、
図5は、
図3Aの破線で示す領域を拡大して示しており、本発明の実施の形態に係る風向板ユニット20に設けられるスイッチ機構30の全体を示す拡大平面図である。
【0043】
図4、或いは、
図5に示されているように、スイッチ機構30は左右一対に設けられている。これは、上述した左右風向板12は左右別々に着脱可能なことに対応するためであり、左右風向板12の左側および右側の各々の着脱に応じてファン9への駆動電力の供給、或いは、遮断を行うようになっている。
【0044】
具体的には、左側の左右風向板12、右側の左右風向板12の両方、或いは、いずれか一方が室内機1から取り外されている場合に、スイッチ機構30はファン9への駆動電力を遮断する。一方、左側の左右風向板12、右側の左右風向板12の両方が室内機1に取り付けられた場合に、ファン9への駆動電力が供給される。
【0045】
左右のスイッチ機構30の構造及び機能は同じである。このように左側のスイッチ機構30L、右側のスイッチ機構30Rのいずれも同じ構成であることから、ここでは、左側、すなわち、
図5の平面図においてX方向左側に示されているスイッチ機構30Lを例に挙げて説明し、以下、X方向右側に示されているスイッチ機構30Rに関する説明は省略する。
【0046】
なお、左右のスイッチ機構30やそれぞれのスイッチ機構30を構成する部材についてまとめて説明する場合には、必要に応じて、例えば左側のスイッチ機構30Lを表す「L」や右側のスイッチ機構30Rを表す「R」といった、左右を示す「L」及び「R」の記載を省略して示す。
【0047】
スイッチ機構30は、切替スイッチ31と、レバー部32と、スイッチ操作部材33とを備えている。切替スイッチ31は、スイッチ部31aを備えており、スイッチ部31aが切替スイッチ31の内部に押し込まれることによってファン9へ駆動電力が供給される。また、スイッチ部31aが押し込まれた状態から元に戻るように切替スイッチ31の内部から外側へ移動することでファン9への駆動電力の供給が遮断される。
【0048】
なお、本発明の実施の形態におけるスイッチ部31aは、いわゆる物理的なスイッチであり、スイッチ部31aが切替スイッチ31の内部に押し込まれることによって切替スイッチ31がONの状態となる。一方、切替スイッチ31の内部から外側へスイッチ部31aが移動することによって切替スイッチ31がOFFの状態となる。
【0049】
すなわち、スイッチ部31aが押されることによってファン9へ駆動電力の供給が行われ、スイッチ部31aが切替スイッチ31に押し込まれた状態から元に戻る方向に動くことによってファン9への駆動電力が遮断される。
【0050】
本発明の実施の形態におけるスイッチ機構30では、このようなスイッチ部31aを用いることによって、左右風向板12が吹出口11に装着された際に確実にスイッチ部31aを切替スイッチ31の内部に押し込み、切替スイッチ31をONの状態として、ファン9へ駆動電力の供給を行うことができる。
【0051】
なお、上述したようにスイッチ機構30の構造や機能は左右で異なることはないが、
図4及び
図5では、左右のスイッチ操作部材33L,33Rの位置が異なっている。各図において左側のスイッチ機構30Lはレバー部32Lを押していない状態を示しており、スイッチ部31Laが切替スイッチ31Lの内部に押し込まれていない状態、すなわち切替スイッチ31LがOFFの状態を示している。
【0052】
一方、右側のスイッチ機構30Rはレバー部32Rを押している状態を示しており、レバー部32Rによりスイッチ部31Raが切替スイッチ31Rの内部に押し込まれた状態、すなわち切替スイッチ31RがONの状態を示している。
【0053】
なお、各切替スイッチ31におけるスイッチ部31aの操作方向を、以下、適宜「第1の方向A」と表す。そして、スイッチ部31aが切替スイッチ31の内部に押し込まれる方向を、「第1の方向A1」と表す。一方、スイッチ部31aを切替スイッチ31から外側へと移動させる方向を、適宜「第1の方向A2」と表す。また、特に両者を区別する必要がない場合には、「第1の方向A」と表す。
【0054】
レバー部32は、スイッチ操作部材33の動きをスイッチ部31aに伝える役割を果たす。従ってレバー部32の形状については、当該役割を果たすことができるのであれば、例えば板状等、どのような形状であっても良い。
【0055】
ここで、本発明の実施の形態におけるスイッチ機構30におけるレバー部32は、金属の板材で形成されており、その両端部は折り曲げられている。具体的には、レバー部32のスイッチ操作部材33に近接する側を一端32aとし、当該一端32aの反対側を他端32bとすると、
図4、或いは、
図5に示されているように、一端32aには屈曲部32cが設けられている、すなわち、一端32aは切替スイッチ31側に折り曲げられている。また、レバー部32の他端32bは、切替スイッチ31に固定されており、一端32aと他端32bとの間の中央部は平板状に形成されている。後述するように、レバー部32はスイッチ操作部材33によって一端32a側が
図5の第1の方向A1あるいは第2の方向A2に弾性変形する。
【0056】
レバー部32はこのような形状に形成されており、一端32aの曲折部32cの近傍がスイッチ操作部材33に接触可能とされている。一方、他端32bは上述したように切替スイッチ31に固定され、本実施形態では、
図5に示されているように、スイッチ部31aが設けられる側面においてスイッチ部31aの反対側に固定されている。このように他端32bが固定されていることから、レバー部32はスイッチ操作部材33に接触することで弾性変形する。
【0057】
ここで左側のスイッチ機構30Lを例に挙げて各部の動きを説明すると以下の通りである。左右風向板12を室内機1に取り付ける際は、スイッチ操作部材33Lの後述する傾斜部33Lgcが左右風向板12の作用部21Leaによって上方へと押されることでスイッチ操作部材33Lが回動して第1の方向A1に移動する。このようにスイッチ操作部材33Lが移動すると、スイッチ操作部材33Lがレバー部32Lの一端32Laから曲折部32Lcにかけての領域に接触する。接触後さらにスイッチ操作部材33Lが第1の方向A1に移動すると、レバー部32Lの他端32Lbは上述したように切替スイッチ31に固定されているので、曲折部32Lcから一端32Laにかけての領域がスイッチ操作部材33Lに押されて弾性変形し、レバー部32Lが切替スイッチ31Lに向かって移動する。そしてレバー部32Lがスイッチ部31Laに接触し、さらなるスイッチ操作部材33Lの第1の方向A1への移動によって、レバー部32Lがスイッチ部31Laを押し込み切替スイッチ31LがONとなる。
【0058】
一方、左右風向板12を室内機1から取り外す場合、左右風向板12の移動に伴ってスイッチ操作部材33Lが第1の方向A2に移動し、当該移動に伴ってレバー部32L及びスイッチ部31Laも同様に第1の方向A2へと移動する。但し、この状態においてはレバー部32Lは依然としてスイッチ操作部材33L及びスイッチ部31Laに接触したままである。そして引き続きスイッチ操作部材33Lが第1の方向A2に移動することによって、スイッチ部31Laが切替スイッチ31Lの内部に押し込まれていた状態が解除され切替スイッチ31LがOFFとなる。その後、レバー部32Lはスイッチ部31Laに接触しなくなるとともに、スイッチ部31Laから徐々に離れる。さらにスイッチ操作部材33Lが第1の方向A2に移動すると、レバー部32Lはこれまで弾性変形していたものがもとの形状に戻り、スイッチ操作部材33Lとの接触が解消される。
【0059】
以下、スイッチ操作部材33について、
図4ないし
図9を用いて説明する。まずスイッチ操作部材33Lは、全体として細長い形状であり、
図5の平面図に示されているスイッチ機構30において、概ねY方向に延びるように配置されている。スイッチ操作部材33は、
図3Aに示すように、風上側端部20a及び風下側端部20bの概ね中央の位置において風向板ユニット20の基底部21に配置されている。
【0060】
具体的には、基底部21からZ方向に突出するように形成される回動軸21aにスイッチ操作部材33Lの回動軸受け33Laが回動自在に嵌め込まれることで、スイッチ操作部材33Lが基底部21に装着される。そしてスイッチ操作部材33Lは、当該回動軸21Laを軸として回動可能とされ、第1の方向A1、或いは、第1の方向A2に移動することができる。そのため、スイッチ操作部材33Lが回転して第1の方向A1に移動することによって、後述する接触部33Leがレバー部32Lに接触して切替スイッチ31L方向にレバー部32Lを回動させる。このように、レバー部32Lがスイッチ部31Laを切替スイッチ31Lに押し込むことによって、切替スイッチ31LがONの状態となり、ファン9への駆動電力が供給される。
【0061】
次に、回動軸21Laに関して、
図6を用いて説明する。
図6は、本発明の実施の形態におけるスイッチ操作部材33Lと回動軸21Laとが嵌め合わされた状態について、
図5に示すM-M線で切断して示す端面図である。
【0062】
図6に示すように、基底部21において、回動軸受け33Laが挿入される側を一端側21Laaとし、一端側21Laaの反対側を他端側21Labとする。この場合に、他端側21LabはXY面における断面形状が円形に形成されており、円の中心からZ方向へ伸びる垂線(
図6において一点鎖線で示す)に対して直交する面の面積が、他端側21Labから一端側21Laaに向けて徐々に小さくなるように形成されている。
【0063】
一方
図6に示すように、回動軸21Laに嵌め合わせる回動軸受け33Laは、上述した回動軸21Laの形状に合わせて、回動軸受け33Laの他端側21Labに当たる面積、回動軸受け33Laの一端側21Laaに当たる面積が、回動軸21La同様、他端側21Labから一端側21Laaに向けて徐々に小さくなるように形成されている。
【0064】
回動軸21Laがこのような形状に形成され、当該回動軸21Laに嵌め合わせることができるように回動軸受け33Laが形成されることによって、両者に大きな隙間が生ずることなく回動軸受け33Laが嵌め合わされてスイッチ操作部材33Lが回動する際にがたつきが発生しない。従って、よりスムーズに動作することになり、スイッチ部31Laを確実に操作することが可能となる。
【0065】
図4、或いは、
図5に示されているように、スイッチ操作部材33Lにおいて、当該回動軸受け33LaよりもY方向奥側には、アーム部33Lbが設けられている。アーム部33Lbには、基底部21においてZ方向に突出するように形成されている固定部21Lbに配置される弾性体21Lcの一端が引っ掛けられている。
【0066】
弾性体21Lcは、例えば、
図4に示すようにバネ状に形成されており、弾性体21Lcは、風向板ユニット20の左右風向板12が吹出口11から取り外された際に、スイッチ部31Laを切替スイッチ31Lから遠ざける方向、すなわち、第1の方向A2へ回動させるように付勢している。
【0067】
すなわち、弾性体21Lcがスイッチ操作部材33Lを付勢する方向(第1の方向A2)は、スイッチ部31Laが切替スイッチ31を押し込んで切替スイッチ31LをONの状態にする方向(第1の方向A1)とは反対の方向になる。
【0068】
そのため、例えば、左右風向板12が吹出口11に取り付けられてスイッチ操作部材33Lが第1の方向A1に動作する場合には、第1の方向A1及び第1の方向A2の両方の向きに力が掛かることになり、両者の向きに対する力が概ね等しい状態となる。そのため、スイッチ操作部材33Lが動作した場合であってもスイッチ操作部材33Lががたつくことがない。また、スイッチ操作部材33Lの動作が安定することによって、異音が生ずることも抑制される。
【0069】
このように、本発明の実施の形態におけるスイッチ機構30においては、上述したように弾性体21cとしてバネを採用した。但し、左右風向板12が吹出口11から取り外された場合にスイッチ操作部材33を第1の方向A2の向きに付勢させることができるのであれば良い。従って例えば、ゴム状の部材がアーム部33bの外側(アーム部33bから見て回転軸受け33a側)に配置されて、スイッチ操作部材33を第1の方向A2の向きに付勢されるようにしても良い。
【0070】
次に、スイッチ操作部材33について
図7を用いて説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係るスイッチ機構30を構成するスイッチ操作部材33の全体をZ方向上側から示す斜視図である。
図7では左側のスイッチ機構30Lにおけるスイッチ操作部材33Lを示しており、上述したように右側のスイッチ機構30Rにおけるスイッチ操作部材33Rと左右対称に構成されていることから、ここではスイッチ操作部材33Lを例に挙げて説明する。
【0071】
なお以下においては、
図7に示すように、スイッチ操作部材33Lにおいて、回転軸受け33Laを基点として上記アーム部33Lbが設けられている側を第1の端部M、当該第1の端部Mと反対側を第2の端部Nと表す。
【0072】
スイッチ操作部材33Lにおいて、回転軸受け33Laから第2の端部N側に向けて連続するようにY方向にL字状に床部33Lcと壁部33Ldとが形成されている。床部33Lcは、スイッチ操作部材33Lが基底部21に装着された際にX方向であって切替スイッチ31L側にせり出すように形成される。また壁部33Ldは、当該床部33LcにZ方向に形成される。
【0073】
そして、回転軸受け33Laから第2の端部N側へと延びるスイッチ操作部材33Lの略中央部に接触部33Leが形成されている。本発明の実施の形態における接触部33Leは、壁部33Ldに設けられてその一端が床部33Lcに連続し、切替スイッチ31L側に突出するように、例えば、XY面の断面形状が多角形状に形成されている。
【0074】
図7に示すように、本発明の実施の形態における接触部33Leの場合、その形状は略五角柱である。このように接触部33Leは略五角柱であることから、壁部33LdからX方向であって切替スイッチ31側に向けて1本の突出した線が形成される。以下、この線のことを説明の便宜上「稜線33Leb」と表す。
【0075】
接触部33Leは、スイッチ部31Laを第1の方向Aに移動させるためにスイッチ操作部材33Lが回動軸21Laを軸として回動するに伴ってレバー部32Lに接触する部分である。本発明の実施の形態における接触部33Leでは、レバー部の形状に合わせて作用部分が設けられている。接触部33Leには、以下の通り2つの作用部分が設けられている。
【0076】
1つ目の作用部分は、接触面33Leaである。例えばレバー部が本発明の実施の形態において説明したレバー部32Lのように両端部が切替スイッチ31L側に向けて折り曲げられた形状である場合には(
図5参照)、レバー部32Lの一端32Laから中央部にかけての領域(曲折部32Lc)が当該接触面33Leaに接する。
【0077】
すなわち、スイッチ操作部材33Lの移動に伴って接触面33Leaに接するレバー部32Lの位置がレバー部32Lの弾性変形によって変化し、レバー部32Lに接するスイッチ部31Laが切替スイッチ31Lの内部に押し込まれる。
【0078】
そして2つ目の作用部分は、上述した稜線33Lebである。ここで
図8は、
図3Aの破線で示す領域を拡大して示しており、本発明の実施の形態に係る風向板ユニット20に設けられるスイッチ機構30の別の形態に係る全体を示す拡大平面図である。
図5に示すスイッチ機構30において配置されているレバー部とはその形状が異なる。そこで、
図8に示すレバー部をここではレバー部32A(レバー部32LA)と表す。
【0079】
図8に示すレバー部32LAは、板状の部材で形成されており、その一端32LAaは切替スイッチ31Lに回動可能に配置されている。従ってレバー部32LAが
図8に示すような形状である場合には、当該稜線33Lebがレバー部32LAに接触することでスイッチ操作部材33Lの回動に伴ってレバー部32LAは切替スイッチ31L側の他端32LAbを基端として回動する。そのため、スイッチ操作部材33Lが動作することによって、稜線32Leaはレバー部32Lとの接触位置を変化させながらレバー部32LAをスイッチ部31Laに近接させ、或いは、遠ざける。
【0080】
このように接触部33Leにおいて複数の作用部分(接触面33Leaと稜線33Leb)を設けることによって、どのような形状のレバー部が採用されたとしても、レバー部32の形状に拘わらずスイッチ操作部材33Lの回動によって確実にスイッチ部31Laを押し込むことができる。
【0081】
当該接触部33Leの近傍であって、第2の端部Nの近傍には、閉塞部33Lfが形成されている。具体的には、
図4ないし
図9に示されているように、閉塞部33Lfはスイッチ操作部材33Lの壁部33Ldを挟んで床部33LcとはZ方向に反対側であって、X方向において接触部33Leとは反対方向に突出するように形成されている。また、閉塞部33Lfは、接触部33Leから連続してY方向に伸びるように形成される。
【0082】
このように、X方向において接触部33Leとは反対方向に突出するように閉塞部33Lfが形成されていることによって、閉塞部33fは、
図3Aや
図3Bに示す、基底部21の一方の面22と他方の面23とを貫通するように形成されている貫通穴21d(貫通穴21Rd)(
図4、
図5を参照)を塞ぐことが可能となる。
【0083】
すなわち
図5を用いて説明すると、左側のスイッチ機構30Lにおける閉塞部33Lfが後述する貫通穴21Ldを塞ぐことによって(
図5においては貫通穴21Ldは閉塞部33Lfによって塞がれており見えていない)、例えば、清掃の際に室内機1の室内熱交換器8に噴霧した洗浄液が、他方の面23から貫通穴21Ldを介して一方の面22へと流れて室内に滴下することを防止することができる。
【0084】
一方、清掃が終了した場合には、閉塞部33fによる貫通穴21dの閉塞は不要である。そこで清掃が終了して左右風向板12が室内機1に嵌め込まれると、スイッチ操作部材33が第1の方向A1に移動し、
図5に示される右側のスイッチ機構30Rのスイッチ操作部材33Rの位置に配置される。そのため、貫通穴21Rdは閉塞部33Rfによって閉塞されない。
【0085】
また、スイッチ操作部材33には、
図7に破線で示すような受け部33gが設けられている。ここで
図9は、本発明の実施の形態に係る左側のスイッチ機構30Lを構成するスイッチ操作部材33Lの全体をZ方向下側から示す斜視図である。
【0086】
受け部33Lgは、
図9に示すように、閉塞部33Lfに連なりY方向から見て四角形状の第1の部分33Lgaと、当該第1の部分33Lgaに連続しY方向から見て三角形状の第2の部分33Lgbとを備えている。第1の部分33Lgaは矩形の板状に形成されており、Z方向の上端が閉塞部33Lfに接するとともに、Z方向の下端は第2の部分33Lgbに連続する。また、第1の部分33Lgaにおいて、Z方向の上端と下端とをつなぐ面のうち、X方向の切替スイッチ31L側の一方の面は壁部33Ldに接している。
【0087】
図9に示すように、第2の部分33Lgbは、第1の部分33Lgaから連続するZ方向の上端とその上端と比べてX方向に短い下端とを備え、略台形に形成されている。そして第2の部分33LgbのZ方向の上端と下端とをつなぐ面のうち、X方向の切替スイッチ31L側の一方の面は壁部33Ldから連続して設けられている。一方、X方向で壁部33Ldに接する側と反対側は、壁部33d側に向けて斜めにZ方向下向きに延びるように傾斜する傾斜部33Lgcを有する。
【0088】
なお、第1の部分33Lgaと第2の部分33Lgbとに分けて説明したが、あくまでも両者は受け部33Lgとして一体に形成されている。そして、受け部33Lg(第1の部分33Lga及び第2の部分33Lgb)は、壁部33Ldから閉塞部33LfとX方向において同じ方向に起立している。
【0089】
そして例えば
図7に破線で示されているように、スイッチ操作部材33L全体で見ると、当該受け部33Lgは、回動軸受け33Laからの距離を見ると、接触部33Leよりも離れた位置に設けられている。換言すれば、接触部33Leの方が受け部33Lgよりも回動軸受け33Laに近い位置に配置されている。
【0090】
このように受け部33Lgが回動軸受け33Laより所定寸法離れた位置に設けられていることによって、受け部33Lgが後述する作用部21Leaの貫通穴21Ldへの進入/離脱によってスイッチ操作部材33Lが切替スイッチ31Lに近づく、或いは、遠ざかる場合に、接触部33Leの回動は受け部33Lgの回動よりも小さな回転半径で済むことになる。
【0091】
なお、ここで所定寸法とは、回動軸21aに回動軸受け33aを組み付ける場合の組み付け誤差や寸法誤差を吸収することができる寸法のことである。そして当該所定寸法は、例えば、設計時に試験等を行って決定される。
【0092】
[動作]
次に、本発明の実施の形態におけるスイッチ機構30の動作の流れについて、新たに
図10ないし
図12を用いて、以下説明する。
図10及び
図11は、本発明の実施の形態に係るスイッチ操作部材33の動きを説明するために用いる図であり、スイッチ機構30の周辺を風向板ユニット20を一方の面22側からみた部分拡大説明図である。また
図12は、
図3Aの破線で示す領域を拡大して示しており、本発明の実施の形態に係るスイッチ操作部材33の動きを説明するために用いる拡大平面図である。
【0093】
なお、
図10及び
図11においてもこれまでの
図4や
図5と同様、スイッチ機構30のうち、X方向左側に示されているスイッチ機構30Lの各部の配置位置が、切替スイッチ31LがOFFの状態を示している。そしてX方向右側に示されているスイッチ機構30Rの各部の配置位置が、切替スイッチ31RがONの状態を示している。
【0094】
すなわち、
図10には切替スイッチ31がOFFの場合、或いは、ONの場合が示されており、
図11及び
図12では、切替スイッチ31がOFFからONに、或いは、ONからOFFに切り替わる途中の状態を示している。また、
図12では左右のスイッチ機構30を示しているが、
図11では、左右のスイッチ機構30のうち、左側のスイッチ機構30Lのみを拡大して示している。
【0095】
さらに、
図10及び
図11では、各部の動きを説明するために、基底部21、及び、スイッチ機構30の動作を説明する上で不要な部分についてはその描画を省略している。
図10及び
図11においてスイッチ機構30を構成する各部が浮いたような状態に見えているのはそのためである。
【0096】
図10においては左右風向板12が示されており、そのY方向手前側にはドレンパンスペーサ21eが示されている。
図10において、左側のドレンパンスペーサ21Leは開いた状態に、右側のドレンパンスペーサ21Reは閉じた状態に示されている。
【0097】
すなわち、左右風向板12が吹出口11から取り外された場合には、ドレンパンスペーサ21eはZ方向下向きに開き、反対に左右風向板12が吹出口11に取り付けられた場合には、ドレンパンスペーサ21eは閉じた状態となる。そして、当該ドレンパンスペーサ21eに形成されている作用部21eaがドレンパンスペーサ21eの開閉に伴って、スイッチ操作部材33の受け部33gの傾斜部33gcに接触、或いは、非接触となることによってスイッチ操作部材33を移動させる。
【0098】
なお、このような風向板ユニット20の吹出口11への着脱によるドレンパンスペーサ21eの開閉に伴う作用部21eaの動きは、
図10の矢印に示すような向きとなる。このような作用部21eaの動作の方向(風向板ユニット20の着脱方向)を、以下、「第2の方向B」と表す。そして、ドレンパンスペーサ21eの開閉方向によってその向きを区別する必要がある場合には、ドレンパンスペーサ21eが閉まる方向を「第2の方向B1」とし、ドレンパンスペーサ21eが開く方向を「第2の方向B2」と表す。
【0099】
ドレンパンスペーサ21eは、基底部21の一方の面22側に設けられている一方、スイッチ機構30は基底部21の他方の面23側に設けられている。そしてスイッチ操作部材33の移動は、ドレンパンスペーサ21eの作用部21eaがスイッチ操作部材33の受け部33gに接触することによって行われる。
【0100】
そのため、作用部21eaが基底部21の他方の面23側から一方の面22側に配置される受け部33gに接触することができるように、基底部21には、
図4や
図5に示すような一方の面22と他方の面23とを貫通する貫通穴21dが形成されている。
【0101】
ここで、例えば、
図4、或いは、
図5に示される右側のスイッチ機構30Rには上述したように、右側の左右風向板12が吹出口11に取り付けられて、切替スイッチ31RがONの状態であることが示されている。また、左側のスイッチ機構30Lには上述したように、左側の左右風向板12が吹出口11から取り外されて、切替スイッチ31LがOFFの状態であることが示されている。
【0102】
そこでまず、スイッチ操作部材33が第1の方向A1に移動してスイッチ部31aを切替スイッチ31に押し込む動作について、以下説明する。すなわち切替スイッチ31がOFFからONとなるまでの各部の動きについて、
図10および
図11を用いて説明する。なお、
図10において右側がドレンパンスペーサ21Reが閉じた状態すなわち右側の左右風向板12が吹出口11に取り付けられた状態を示し、左側がドレンパンスペーサ21Leが開かれた状態すなわち左側の左右風向板12が吹出口11から取り外された状態を示している。
【0103】
図10に示すようにドレンパンスペーサ21Leは開いた状態となっている。すなわちこの状態は、作業者が吹出口11に左右風向板12を装着する作業の途中の状態を示している。このときはまだスイッチ部31aはスイッチ操作部材33によって押されてはいない。
【0104】
この状態で作業者が左右風向板12を吹出口11に装着すると、左右風向板12の移動により
図10の左側に示されているような、開いた状態にあるドレンパンスペーサ21Leが第2の方向B1に移動して、
図10の右側に示されているようにドレンパンスペーサ21Reが閉じた状態となる。
【0105】
図11はドレンパンスペーサ21Leが第2の方向B1の方向に移動する途中の状態を示している。なお、
図11では、ドレンパンスペーサ21Leの作用部21Leaがスイッチ操作部材33Lの傾斜部33Lgcに接した状態を示している。
【0106】
ここで
図10の左側に示されているように、ドレンパンスペーサ21Leでは、Z方向上側に立ち上がるように立上部21Lebが形成されている。この立上部21Lebは、Y方向後端側においてX方向に伸び、その後連続してY方向先端側に向けて伸びるように形成され、そのY方向先端側に上述した作用部21Leaが設けられている。
【0107】
ドレンパンスペーサ21Leの第2の方向B1,B2への移動に伴って当該立上部21Lebも移動するが、スイッチ操作部材33Lの傾斜部33Lgcに接触するのはあくまでも作用部21Leaだけであることから、作用部21Lea以外の立上部21Lebは貫通穴21Ldを貫通することはない。ドレンパンスペーサ21eが閉じた状態となった場合には、立上部21Rebは、
図5の右側に破線で示すような位置に配置される。
【0108】
図10や
図11に示されているように、ドレンパンスペーサ21Leの左側のスイッチ機構30Lに近接する部分には、作用部21Leaが形成されている。そして当該作用部21Leaがスイッチ操作部材33Lの受け部33Lgに接触することでスイッチ操作部材33Lを移動させる。
【0109】
すなわち、ドレンパンスペーサ21Leが第2の方向B1へと移動するに伴って、作用部21Leaも同じように第2の方向B1へと移動し、貫通穴21Ldを通過して基底部21の一方の面22から他方の面23へと移動する。
【0110】
作用部21Leaは、ドレンパンスペーサ21Legが
図10の左側に示すような開いた状態から移動を開始して
図10の右側に示すような閉じた状態となるまで第2の方向B1に移動する際に、その途中から傾斜部33Lgcに接触する。
【0111】
そして、上述したようにその第2の部分33Lgbは、壁部33Ldから閉塞部33LfとX方向において同じ方向に起立する。そして傾斜部33Lgcは、起立した状態にある第2の部分33Lgbにおいて壁部33d側に向けて斜めにZ方向下向きに延びるように傾斜する。
【0112】
従って、作用部21Leaが傾斜部33Lgcに接した状態でドレンパンスペーサ21Leが第2の方向B1に向けて移動すると、スイッチ操作部材33Lを第1の方向A1へと移動させることになる。
【0113】
このようにドレンパンスペーサ21Leの第2の方向B1への移動に合わせて作用部21Leaが接触しつつ傾斜部33Lgcに沿って移動すると、スイッチ操作部材33Lは回動軸21Laを中心に回動し、第1の方向A1の方向に移動する。
【0114】
この時、スイッチ操作部材33Lの接触部33Leがレバー部32Lに接触する。そしてレバー部32Lは接触部33Leに接触したままスイッチ部31Laに徐々に近づく。さらにスイッチ操作部材33Lが切替スイッチ31Lに接近する方向に移動することでレバー部32Lがスイッチ部31Laに接触してスイッチ部31Laを第1の方向A1へと押して移動させる。
【0115】
この状態を平面的に示したのが
図12である。
図12における左側のスイッチ機構30Lにおけるスイッチ操作部材33Lは、回動軸21Laを中心に回動し、第1の方向A1へ移動する。そのため、上述したように、接触面33Lea及びレバー部32L、レバー部32L及びスイッチ部31Laがそれぞれ接触している。
【0116】
また、スイッチ操作部材33Lが第1の方向A1に移動したことによって、例えば、
図5に示す左側のスイッチ機構30Lにおいては見えていなかった貫通穴21Ldの一部が見えている。上述したように、作用部21Leaはドレンパンスペーサ21Leの移動に伴って当該貫通穴21Ldを通過して基底部21の一方の面22から他方の面23へと移動する。
【0117】
そしてこの状態からドレンパンスペーサ21Leがさらに第2の方向B1に移動すると、
図10の右側に示されているように、最終的にドレンパンスペーサ21Reが完全に閉じられた状態となる。この状態において、ドレンパンスペーサ21Reの立上部21Rebは、
図12の右側において破線で示す位置に配置される。
【0118】
この状態になると、スイッチ操作部材33Rは最も切替スイッチ31Rに近接した位置まで移動するとともに、スイッチ部31Raは切替スイッチ31Rの内部へと最も押し込まれる。これにより切替スイッチ31RはONとなる。
【0119】
上述したように、スイッチ操作部材33は、弾性体21cによってスイッチ部31aが切替スイッチ31から離れる方向、すなわち第1の方向A2に付勢されている。しかし、左右風向板12が吹出口11に取り付けられた状態ではドレンパンスペーサ21eの作用部21eaがスイッチ操作部材33の受け部33gに接触してスイッチ操作部材33を回動させるため、スイッチ部31aを切替スイッチ31の内部に押し込む第1の方向A1へ移動させる。
【0120】
そのため、スイッチ操作部材33は元々弾性体21cによって第1の方向A2に付勢されているものの、左右風向板12が吹出口11に装着されドレンパンスペーサ21eが第2の方向B1に移動して閉じた場合には、スイッチ操作部材33の移動が停止する。すなわち、当該弾性体21cによる付勢の向きに抗って第1の方向A1の向きに移動したままの状態で維持される。
【0121】
一方、作業者が送風路Wの清掃を行う際に、吹出口11から左右風向板12を取り外すときは、ファン9への駆動電力を遮断してファン9の回転を停止させなければならない。そのためには、左右風向板12の取り外しに応じて切替スイッチ31がOFFになるようにしている。
【0122】
図4、
図5、或いは、
図10の左側には、切替スイッチ31LがOFFの状態となっている左側のスイッチ機構30Lが示されている。すなわち、右側のスイッチ機構30Rの状態から当該左側のスイッチ機構30Lに示される状態になる。そこで、以下、吹出口11から左右風向板12を取り外す場合におけるスイッチ機構30の各部の動きについて、説明する。
【0123】
吹出口11から左右風向板12を取り外すと、
図10の右側に示されている閉じた状態のドレンパンスペーサ21Reが第2の方向B2へと移動する。ドレンパンスペーサ21Reが移動することに伴って、作用部21Reaは受け部33Rgの傾斜部33Rgcを移動する。そして、スイッチ操作部材33Rは弾性体21Rcの付勢力により第1の方向A2へと付勢されていることから、徐々にスイッチ操作部材33Rを切替スイッチ31から離れる方向へと移動させる。
【0124】
この第2の方向B2への移動の途中の状態を示しているのが、
図11及び
図12である。ドレンパンスペーサ21Leが第2の方向B2に移動すると、受け部33Lgの傾斜部33Lgcに接している作用部21Leaも傾斜部33Lgcに沿って第2の方向B2に移動する。
【0125】
作用部21Leaが第2の方向B2に移動することによって、スイッチ操作部材33Lは第1の方向A2に移動する。また、スイッチ操作部材33Lがこのような方向に移動することによって、レバー部32Lも接触部33Leに接触したままの状態でスイッチ操作部材33Lの移動に合わせて第1の方向A2に移動する。そしてレバー部32Lの移動に伴い、レバー部32Lと接しているスイッチ部31Laが切替スイッチ31Lから第1の方向A2の向きに移動する。スイッチ部31Laが切替スイッチ31Lの内部から外部へと第1の方向A2の向きに移動すると、切替スイッチ31LはOFFとなる。
【0126】
この状態を示しているのが
図12である。
図12の左側のスイッチ機構30Lにおいて示されているように、左側のスイッチ機構30Lは右側のスイッチ機構30Rにおいて示されるスイッチ部31RaをONとする位置からドレンパンスペーサ21Reが第2の方向B2への移動に伴って、第1の方向A2へと移動する。ただ、
図12ではまだ
図11に示すように作用部21Leaが傾斜部33Lgcに接した状態にあることから、閉塞部33Lfが貫通穴21Ldを完全に閉鎖するところまでスイッチ操作部材33Lは移動していない。
【0127】
そしてドレンパンスペーサ21Leが第2の方向B2へと移動するのに伴って、さらに作用部21Leaが傾斜部33Lgcを移動し、最終的に受け部33Lgから離れると、スイッチ操作部材33Lは弾性体21Lcの付勢によって切替スイッチ31Lから離れる方向へと、壁部33Ldが基底部21Lと接触して停止するまで移動し、その位置で固定される。
【0128】
この状態が、
図4や
図5の左側のスイッチ機構30Lに示されているが、貫通穴23Ldは閉塞部33Lfによって塞がれる。従って、清掃の際に室内熱交換器8に噴霧した洗浄液が、他方の面23から貫通穴23dを介して一方の面22へと流れて室内に滴下することを防止することができる。
【0129】
また、切替スイッチ31がOFFの状態にある間は、スイッチ操作部材33は、弾性体21cによって切替スイッチ31から離れる方向へ付勢されていることから、スイッチ操作部材33の接触部33eがレバー部32に接触することはない。そのため、偶発的にスイッチ操作部材33が回動して切替スイッチ31がONとされることを防止することができる。
【0130】
以上説明した空気調和機の室内機であれば、吹出口から左右風向板の脱着が可能であり、吹出口に左右風向板が装着された場合に、確実にファンへの駆動電力を供給することができる。すなわち、吹出口から左右風向板を取り外す際、或いは、反対に吹出口に左右風向板を取り付ける際におけるドレンパンスペーサ21eの作用部21eaの動きに基づき、スイッチ操作部材33が動作し、スイッチ部31aが操作されることで切替スイッチ31のON,OFFが行われる。
【0131】
本発明の実施の形態においては、スイッチ部31aの移動方向である第1の方向は、例えば
図5に示すようなX方向である。一方、スイッチ操作部材33の受け部33gを動作させる作用部21eaの移動方向である第2の方向は、X方向とは垂直な方向となる、
図10に示すようなZ方向である。そのため、スイッチ操作部材33が第2の方向の動きを第1の方向の動きへと変換してスイッチ部31aを移動させることによって、例えば第2の方向だけでスイッチ操作部材33を操作してスイッチ部31aを押す場合に比べて、切替スイッチ31のON,OFFをより確実に行うことができる。
【0132】
また、このようにスイッチ操作部材を動作させるためのドレンパンスペーサの動作方向と、スイッチ操作部材によるスイッチ部の動作方向とを異ならせることによって、スイッチ部を確実に操作させるだけではなく、スイッチ機構全体をコンパクトに構成することができる。
【0133】
例えば、ドレンパンスペーサの移動方向とスイッチ部の動作方向を同じとするために
図3に示すY方向に切替スイッチ32とスイッチ操作部材33を並べて配置すると、両者の配置スペースならびにスイッチ部31aの押下スペースを確保する必要があり、Y方向に筐体の寸法が大きくなる。しかし本実施形態のように、ドレンパンスペーサの移動方向とスイッチ部の動作方向を異ならせることによって、動作スペースを小さくすることができる。そのため、本発明の実施の形態におけるスイッチ機構のように左右に配置することも可能となり、ひいては風向板ユニット、室内機の筐体自体のコンパクト化にも資する。
【0134】
また、スイッチ操作部材の移動が回動軸を中心とした回動であるのに対して、切替スイッチをON、OFFさせるスイッチ部の移動方向は直線的な移動である。従って、このような構成も上述した各効果を発揮させることに寄与する。
【0135】
さらに、上述したようなスイッチ機構30の各部の構造、配置により、各部の寸法誤差や組み付け誤差が生じた場合であっても、その影響を軽減し、確実に切替スイッチを操作することができる。
【0136】
すなわち、例えば、接触部33Leの方が受け部33Lgよりも回動軸受け33Laに近い位置に配置されている。そのため、スイッチ操作部材33等の各部材の寸法誤差やスイッチ操作部材33を基底部21に組み付ける際の組み付け誤差があったとしても、回転半径の小さな接触部33eの回動において現れる誤差の影響は小さくなる。また上述したような回転半径に関して、スイッチ操作部材33はより小さな動作でレバー部32を介してスイッチ部31aを動作させることができることになるため、上述した誤差の影響を軽減し確実に切替スイッチ31を動作させることができる。
【0137】
また、作用部が傾斜部に接触することでスイッチ操作部材を動作させることになるが、当該傾斜部は、
図9に示されているように、壁部から離れた位置から壁部側に向けて斜めにZ方向下向きに延びるように形成されている。そのため、作用部が傾斜部に接触しつつ当該傾斜部に沿って移動することによって、ドレンパンスペーサの移動方向である第2の方向を、スイッチ操作部材の移動方向である第1の方向へと変換させることができるため、風向板ユニット等のスペースを効率よく使用することができるとともに省スペースで済み、さらにはスムーズにスイッチ操作部材を回動させることができる。
【0138】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0139】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0140】
上述したように、本発明の実施の形態における切替スイッチでは、そのON,OFFを行うスイッチ部は物理的なスイッチであるとした。但しこのような構造ではなく、例えば、電気的なスイッチやリレースイッチ等の各種スイッチを用いることも可能である。
【0141】
また、スイッチ操作部材における接触部の形状については、略五角柱であることを前提に説明したが、多角形であればその他の形状であっても良い。さらに回動軸の形状についても
図4等に示すような形状ではなく、例えば円錐形状であっても良い。
【符号の説明】
【0142】
1・・・室内機、2・・・正面パネル、3・・・上面パネル、4・・・サイドパネル、5・・・底面パネル、6・・・筐体、6a・・・取付板、7・・・吸込口、8・・・室内熱交換器、9・・・ファン、10・・・ドレンパン、11・・・吹出口、12・・・膨張弁、10・・・電装品箱、11・・・収容箱、11a・・・上下風向板、12・・・左右20・・・風向板ユニット、20a・・・風上側端部、20b・・・風下側端部、21・・・基底部、21a・・・回動軸、21b・・・固定部、21c・・・弾性体、21d・・・貫通穴、21e・・・ドレンパンスペーサ、21ea・・・作用部、21eb・・・立上部、22・・・一方の面、23・・・他方の面、30・・・スイッチ機構、31・・・切替スイッチ、31a・・・スイッチ部、32・・・レバー部、33・・・スイッチ操作部材、33a・・・回動軸受け、33b・・・アーム部、33c・・・床部、33d・・・壁部、33e・・・接触部、33ea・・・接触面、33eb・・・稜線、33f・・・閉塞部、33g・・・受け部、33ga・・・傾斜部、A・・・第1の方向、B・・・第2の方向、M・・・第1の端部、N・・・第2の端部、W・・・送風路