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  • 特開-電源システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145735
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241004BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241004BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J3/32
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058217
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 康浩
(72)【発明者】
【氏名】泉 純太
(72)【発明者】
【氏名】三木 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】伴 尊行
(72)【発明者】
【氏名】川原 直久
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 史久
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 靖樹
(72)【発明者】
【氏名】泉 喜久夫
(72)【発明者】
【氏名】川井 由宇
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H770
【Fターム(参考)】
5G066HB09
5G066JB03
5G503BA03
5G503BB01
5G503DA02
5H770BA11
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA23
5H770DA44
5H770GA13
5H770GA17
5H770HA02Y
5H770HA03X
5H770HA03Y
5H770LA03Y
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】複数の電池ストリングを備える三相交流電源において、過電流発生時に電池ストリングを保護しつつ三相交流電源の出力を継続しやすくする。
【解決手段】電源システム1が、電池ストリングSt1,St2,St3と、制御装置(ゲート信号生成部100)とを備える。各電池ストリングは、直流電力を出力可能な複数の電池を含む。電池ストリングSt1~St3は三相交流電流波形を出力可能に構成される。制御装置は、三相交流電流波形を出力中の電池ストリングSt1~St3のいずれかの電池ストリングで過電流が生じた場合に、過電流が生じた電池ストリングの出力を停止するとともに、過電流が生じた電池ストリング以外の電池ストリングを、三相交流電流波形の歪みが抑制されるように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池ストリングと、制御装置とを備える電源システムであって、
前記複数の電池ストリングの各々は、直流電力を出力可能な複数の電池を含み、
前記複数の電池ストリングは三相交流電流波形を出力可能に構成され、
前記制御装置は、前記三相交流電流波形を出力中の前記複数の電池ストリングのいずれかの電池ストリングで過電流が生じた場合に、過電流が生じた前記電池ストリングの出力を停止するとともに、過電流が生じた前記電池ストリング以外の電池ストリングを、前記三相交流電流波形の歪みが抑制されるように制御する、電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-120255号公報(特許文献1)には、第1~第3電池ストリングを用いた三相交流電源が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-120255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように第1~第3電池ストリングをY結線することで、三相交流電源を実現することができる。ただし、第1~第3電池ストリングのいずれかの電池ストリングで過電流が生じると、第1~第3電池ストリングから出力される三相交流電流波形が歪むことによって保護機能が作動し、三相交流電源の出力が停止(例えば、過電流トリップ)することがある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の電池ストリングを備える三相交流電源において、過電流発生時に電池ストリングを保護しつつ三相交流電源の出力を継続しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一形態に従うと、以下に示す構成を有する電源システムが提供される。この電源システムは、複数の電池ストリングと、制御装置とを備える。複数の電池ストリングの各々は、直流電力を出力可能な複数の電池を含む。複数の電池ストリングは三相交流電流波形を出力可能に構成される。制御装置は、三相交流電流波形を出力中の複数の電池ストリングのいずれかの電池ストリングで過電流が生じた場合に、過電流が生じた電池ストリングの出力を停止するとともに、過電流が生じた電池ストリング以外の電池ストリングを、三相交流電流波形の歪みが抑制されるように制御する。
【0007】
上記構成によれば、過電流が生じた電池ストリングについては、その出力が停止されることで、当該電池ストリングにおける過電流が抑制される。これにより、電池ストリングは保護される。一方、過電流が生じなかった電池ストリングは、三相交流電流波形の歪みを抑制するように制御される。これにより、過電流が生じた電池ストリングの出力停止に起因した三相交流電流波形の歪みが抑制される。さらには、三相交流電流波形が歪むことに起因した電源システムの出力停止(例えば、保護機能の作動)が抑制される。このため、複数の電池ストリングのいずれかで過電流が生じた場合にも、電源システムの出力は継続されやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数の電池ストリングを備える三相交流電源において過電流発生時に電池ストリングを保護しつつ三相交流電源の出力を継続しやすくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態に係る電源システムの概略的な構成を示す図である。
図2図1に示した各電池ストリングの構成について説明するための図である。
図3】本開示の実施の形態に係る電源システムの動作波形例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0011】
図1は、この実施の形態に係る電源システムの概略的な構成を示す図である。図1を参照して、電源システム1は、電池ストリングSt1,St2,St3と、インダクタ110,120,130と、交流出力端子Tu,Tv,Twと、ゲート信号生成部100と、各種回路(絶対値回路51、52、53、コンパレータ61,62,63、減算回路71,72,73、PIコントローラ81,82,83、オフセット回路90、および加算回路91、92、93)とを備える。以下では、交流出力端子Tu,Tv,Twの3つをまとめて「三相出力端子Tuvw」と称することがある。
【0012】
この実施の形態では、三相出力端子Tuvwが、図示しない電力系統(商用電源)と電気的に接続されている。電力系統は、例えば電気事業者と契約した各需要家に電力を供給する電力網である。電池ストリングSt1~St3は、電力系統との間で電力をやり取りするように構成される。
【0013】
電池ストリングSt1、St2、St3は、交流出力端子Tu、Tv、TwにそれぞれU相、V相、W相の電力波形を出力するように、Y結線されている。電池ストリングSt1~St3の各々の負極端子は中性点NTに接続されている。電池ストリングSt1、St2、St3の正極端子は、それぞれインダクタ110、120、130を介して交流出力端子Tu、Tv、Twと電気的に接続されている。インダクタ110,120,130の各々は、図示しないコンデンサおよびインダクタとともにLCLフィルタを構成してもよい。電池ストリングSt1、St2、St3は、電流Iu、Iv、Iwおよび電圧Vsu、Vsv、Vswを出力する交流電源として機能する。
【0014】
電池ストリングSt1、St2、St3からの電流Iu、Iv、Iwは、それぞれ交流出力端子Tu、Tv、Twから絶対値回路51、52、53を通じてコンパレータ61、62、63の-入力端子に入力される。電流Iu、Iv、Iwは、それぞれ絶対値回路51、52、53によって絶対値に変換される。コンパレータ61,62,63の各々の+入力端子には、所定の閾値(以下、「Im*」と表記する)が入力される。Im*は、過電流を検出するための閾値である。電流Iu、Iv、Iwの絶対値がIm*よりも大きくなると、過電流が発生したことを示すHighレベルが、それぞれコンパレータ61、62、63からゲート信号生成部100へ出力される。
【0015】
電流Iu、Iv、Iwは、それぞれ交流出力端子Tu、Tv、Twから減算回路71、72、73にも入力される。減算回路71、72、73は、それぞれ目標交流電流値Iu*、Iv*、Iw*から電流Iu、Iv、Iw(交流出力端子Tu、Tv、Twに出力される電流値)を減算し、その演算値(すなわち、目標電力と出力電流値との偏差)をPIコントローラ81、82、83へ出力する。目標交流電流値Iu*、Iv*、Iw*は、予め定められた交流電流値(例えば、電力系統から供給される交流電力波形に対応する電流値)であってもよいし、状況に応じて可変であってもよい。
【0016】
PIコントローラ81、82、83には、それぞれ目標交流電流値Iu*、Iv*、Iw*と電流Iu、Iv、Iwとの偏差(減算回路71、72、73の出力)が入力される。PIコントローラ81、82、83は、PI制御(比例積分制御)を実行することによって、上記偏差を0に近づけるための操作量Vu*、Vv*、Vw*(交流電圧指令値)をそれぞれ加算回路91、92、93へ出力する。また、オフセット回路90は、ゲート信号生成部100からの指令に従って直流成分の操作量V0*(直流電圧指令値)を加算回路91、92、93へ出力する。加算回路91、92、93は、PIコントローラ81、82、83が出力する操作量Vu*、Vv*、Vw*の各々に直流成分の操作量V0*を加えることによって、電池ストリングSt1、St2、St3に対する電圧指令値Vsu*、Vsv*、Vsw*を生成する。
【0017】
上記のように生成された電圧指令値Vsu*、Vsv*、Vsw*(交流電圧指令値と直流電圧指令値との加算値)は、ゲート信号生成部100に入力される。ゲート信号生成部100は、電圧指令値Vsu*、Vsv*、Vsw*に従ってそれぞれ電池ストリングSt1、St2、St3を制御する。これにより、交流出力端子Tu、Tv、Twに出力される電流Iu、Iv、Iwは目標電流にフィードバック制御される。ゲート信号生成部100は、本開示に係る「制御装置」の一例として機能する。ゲート信号生成部100は、例えばプロセッサおよび記憶装置を備えるコンピュータを含んでもよい。記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、各種の処理が実行されてもよい。ただし、これらの各種処理は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
【0018】
図2は、電池ストリングSt1~St3の各々の構成について説明するための図である。この実施の形態では、図1に示した電池ストリングSt1~St3が同じ構成を有するため、以下では、これらを区別しない場合は「電池ストリングSt」と称する。
【0019】
図2を参照して、電池ストリングStは、出力電流Ist(図1に示した電流Iu,Iv,Iw)を検出する電流センサ31と、出力電圧Vst(図1に示した電圧Vsu,Vsv,Vsw)を検出する電圧センサ32とを備える。各センサによる検出結果はゲート信号生成部100へ出力される。
【0020】
電池ストリングStは、n個の電池回路10-1~10-nを備える。この実施の形態では、電池回路10-1~10-nが同じ構成を有するため、以下では、これらを区別しない場合は「電池回路10」と称する。電線PLは、電池ストリングStの出力端子OTと中性点NTとをつなぐ電線である。直列に接続された電池回路10-1~10-nが、電線PL上に配置されている。電池回路10は出力端子T1,T2を有する。ある電池回路(例えば、電池回路10-2)の出力端子T1は、電線PL(ストリング線)を介して、隣り合う電池回路(例えば、電池回路10-1)の出力端子T2とつながっている。出力電圧Vstは、電線PLに出力される各電池回路10の電圧の合計値に相当する。出力電流Istは、出力電圧Vstによって電線PLに流れる電流値に相当する。
【0021】
電池回路10は、直流電力を出力可能な電池11と、電池11と並列に接続されたスイッチ回路12およびコンデンサ13と、電池11と直列に接続されたスイッチ回路14およびチョークコイル15と、電池11の電圧を検出する電圧センサ16とを含む。電池11は、充放電可能な二次電池である。電圧センサ16は、検出結果をゲート信号生成部100へ出力する。
【0022】
スイッチ回路12,14は、電池11と電線PLとの接続/切離しを切り替えるように構成される。スイッチ回路14が導通状態(ON状態)、かつ、スイッチ回路12が遮断状態(OFF状態)であるときには、電池11の電圧が電線PLに印加される。スイッチ回路14が遮断状態であるときには、電池11の電圧が電線PLに印加されない。ゲート信号生成部100は、印加期間と非印加期間との比を示すデューティ比に従ってスイッチ回路12,14を制御することにより、ストリング電圧を制御してもよい。
【0023】
電池回路10は、遅延回路21と、AND回路22と、OR回路23と、NOT回路24と、AND回路25とをさらに備える。ゲート信号生成部100は、スイッチ回路12,14に対するゲート駆動信号を電池ストリングStへ送信する。遅延回路21はゲート駆動信号を所定時間だけ遅延させる回路である。ゲート信号生成部100からのゲート駆動信号は、各電池回路の遅延回路21で遅延させられながら電池回路10-1~10-nに順次入力される。
【0024】
さらに、ゲート信号生成部100は、AND回路22,25およびOR回路23の各々に制御信号を送信することにより、通常制御モードと印加モードと非印加モードとGB(ゲートブロック)モードとを切り替えるように構成される。各電池回路が異なるモードで制御されてもよい。ゲート信号生成部100は、AND回路22、OR回路23、AND回路25に対する制御信号を、通常制御モードでは「High、Low、High」、印加モードでは「High、High、High」、非印加モードでは「Low、Low、High」、GBモードでは「Low、Low、Low」とする。通常制御モードでは、スイッチ回路12,14が上記ゲート駆動信号(例えば、デューティ信号)に従って制御される。印加モードでは、スイッチ回路12、14がそれぞれ遮断状態、導通状態になる。非印加モードでは、スイッチ回路12、14がそれぞれ導通状態、遮断状態になる。GBモードでは、スイッチ回路12、14がそれぞれ遮断状態、遮断状態になる。
【0025】
この実施の形態に係る電源システム1(電池ストリングSt1~St3)は、電力系統とともに図示しない電力負荷に対して給電を行う。電源システム1は、2つの電池ストリングの線間電圧による電力を供給する。詳しくは、電池ストリングSt1~St3の各々の電圧は、オフセットを持った0V以上の電圧波形(電圧の向きが同じ波形)になる。一方、各線間電圧は、周期的に極性が変わる交流電圧波形(電圧の向きが変わる波形)になる。交流出力端子Tv,Tw間には線間電圧Vvw、交流出力端子Tw,Tu間には線間電圧Vwu、交流出力端子Tu,Tv間には線間電圧Vuvが印加される。こうした線間電圧(ストリング間の電位差)によって三相交流電力を生成することができる。
【0026】
電源システム1および電力系統による給電中は、電力系統による電圧と電源システム1による電圧とが一致する。しかし、電力系統が停電状態になると、両者の電圧バランスが崩れ、電池ストリングSt1~St3のいずれかで過電流が生じることがある。この際、ゲート信号生成部100は、過電流が生じた電池ストリングの全ての電池回路10をGBモードで制御する。これにより、当該電池ストリングの出力が停止されるとともに、全ての電池回路10が電線PLから切り離されることで、当該電池ストリングにおける過電流が抑制される。
【0027】
しかしながら、例えばFRT(Fault Ride Through)のような事故時運転継続要件では、瞬時の電圧変動に対して電源システム1が運転(出力)を継続することが要求される。上記のような電池ストリングの出力停止により三相が不平衡になると、零相電圧(V0:中性点NTとの対地電圧)が生じ得る。電源システム1は、零相電圧の変動量が所定量を超えると作動する保護機能を有する。保護機能が作動すると、電源システム1の出力(全ての電池ストリングの出力)が停止する。
【0028】
図1に示したインダクタ110,120,130の各々のインダクタンスを大きくすることで、瞬間停電などの電圧急変時に電流変化を抑制でき、過電流による装置停止を防ぎやすくなる。しかし、コスト面では不利になる。そこで、この実施の形態に係る電源システム1では、以下に説明するような制御によって過電流発生時に電源システム1(三相交流電源)の出力を継続しやすくしている。こうした制御によれば、回路部品(例えば、インダクタ110,120,130を含むLCLフィルタ)を小型化しやすくなる。
【0029】
図3は、この実施の形態に係る電源システム1の動作波形例を示すタイムチャートである。波形L11、L12、L13は、それぞれ電力系統が出力するU相、V相、W相の電圧波形(系統電圧)を示す。波形L10は、波形L11~L13の合成波形を示す。波形L21、L22、L23は、電池ストリングSt1~St3が出力する三相交流電圧波形、すなわち線間電圧Vvw、Vwu、Vuvの波形をそれぞれ示す。また、波形L31、L32、L33は、電池ストリングSt1~St3が出力する三相交流電流波形、すなわち線間電圧Vvw、Vwu、Vuvに対応する電流Ivw、Iwu、Iuvの波形をそれぞれ示す。タイムチャート中の「t」はタイミングを意味する。
【0030】
図1図2とともに図3を参照して、ゲート信号生成部100は、コンパレータ61~63のいずれからHighレベルが入力されたかを識別可能に構成される。ゲート信号生成部100は、電池ストリングSt1~St3が三相交流波形(電圧波形および電流波形)を出力している期間(例えばt1~t3の期間)において、コンパレータごとの入力信号(High/Low)に基づいて、電池ストリングSt1~St3の各々における過電流の有無を検出する。そして、ゲート信号生成部100は、電池ストリングSt1~St3のいずれかの電池ストリングで過電流が生じた場合には、過電流が生じた電池ストリングの出力を停止するとともに、過電流が生じた電池ストリング以外の電池ストリングを、三相交流電流波形の歪みが抑制されるように制御する。
【0031】
図3に示す例では、t2で、電力系統が停電状態になり、電池ストリングSt2(V相)に過電流が発生している。ゲート信号生成部100は、t2で、電池ストリングSt2の全ての電池回路10をGBモードで制御することにより、電池ストリングSt2の出力を停止する。ただし、電池ストリングSt2の出力停止は一時的であり、ゲート信号生成部100は、すぐに電池ストリングSt2を復帰させる。電池ストリングSt2を一時的にGBモードにすることで、電力系統の停電に起因して電池ストリングSt2に瞬間的に過電流が流れることが抑制される。出力停止(GBモード)の期間は、過電流が抑制される程度の長さに設定される。ゲート信号生成部100は、電池ストリングSt2の出力が再開されるまでの間、電池ストリングSt2の出力停止に起因した三相交流電流波形の歪みが抑制されるように、電池ストリングSt1,St3を通常モードで制御する。すなわち、ゲート信号生成部100は、電池ストリングSt2の出力が停止していないときの波形に三相交流電流波形を近づけるように、電池ストリングSt1、St3に対する指令値(Vsu*、Vsw*)を決定する。ゲート信号生成部100は、直流成分の操作量V0*によって三相交流電流波形の歪みを抑制してもよい。これにより、保護機能が作動しない程度まで三相交流電流波形の歪みが抑制される。
【0032】
電力系統の停電中は、電源システム1が単独で電力負荷に対して給電を行う。電池ストリングSt2が復帰した後、ゲート信号生成部100は、電池ストリングSt1~St3から停電前と同様の三相交流電流波形が出力されるように各電池ストリングを制御する。停電中は、系統電圧がなくなるため、各電池ストリングの電圧値が小さくなる。
【0033】
以上説明したように、上述の電源システム1(複数の電池ストリングを備える三相交流電源)によれば、過電流発生時に電池ストリングを保護しつつ三相交流電源の出力を継続しやすくなる。
【0034】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0035】
1 電源システム、10 電池回路、11 電池、12,14 スイッチ回路、100 ゲート信号生成部、NT 中性点、PL 電線、St,St1,St2,St3 電池ストリング、Tu,Tv,Tw 交流出力端子。
図1
図2
図3