(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145743
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】内視鏡用処置具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20241004BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B1/018 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058226
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522305391
【氏名又は名称】岡村 卓真
(71)【出願人】
【識別番号】522304822
【氏名又は名称】本田 徹郎
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 竜朗
(72)【発明者】
【氏名】岡村 卓真
(72)【発明者】
【氏名】本田 徹郎
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK06
4C160KK15
4C160KK37
4C160MM43
4C161GG15
4C161HH57
(57)【要約】
【課題】切開用処置具と止血用処置具とを交換する手間をなくして、利便性に優れた内視鏡用処置具を提供する。
【解決手段】内視鏡用処置具1は、外力が作用しない状態でアーム先端部122、132に向かって相互の離間距離が大きくなるように配置される一対のアーム部120、130と、一対のアーム部120、130のアーム基端部121、131を連結するとともにワイヤの遠位端部に取り付けられており、シース2の軸方向に沿ったワイヤ9の進退に連動してシース2の遠位端2aから突没する連結部110と、を備えている。連結部110がシース2の遠位端2aに収容された場合には、一対のアーム部120、130が閉脚して一対のアーム部120、130が互いに当接した状態となり、連結部110がシース2の遠位端2aから突出した場合には、一対のアーム部120、130が開脚して一対のアーム部120、130が互いに離隔した状態となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を用いて体内に挿入される内視鏡用処置具であって、
チューブ状のシースと、
前記シース内にスライド可能に挿通されているワイヤと、
外力が作用しない状態でアーム先端部に向かって相互の離間距離が大きくなるように配置される一対のアーム部と、
前記一対のアーム部のアーム基端部を連結するとともに前記ワイヤの遠位端部に取り付けられており、前記シースの軸方向に沿った前記ワイヤの進退に連動して前記シースの遠位端から突没する連結部と、を備えており、
前記連結部が前記シースの遠位端に収容された場合には、前記一対のアーム部が閉脚して前記一対のアーム部が互いに当接した状態となり、前記連結部が前記シースの遠位端から突出した場合には、前記一対のアーム部が開脚して前記一対のアーム部が互いに離隔した状態となり、
前記一対のアーム部が閉脚および開脚する動作によって体内組織を把持するとともに、把持した体内組織に対して高周波電流を印加するように構成されており、
前記一対のアーム部が閉脚した状態で、閉脚した前記一対のアーム部の遠位端近傍の体内組織に対して高周波電流を印加するように構成されていることを特徴とする内視鏡用処置具。
【請求項2】
閉脚した前記一対のアーム部が重なり合って棒状となることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
前記一対のアーム部および前記連結部が、板状部材により一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
前記連結部が、前記シースの径方向に突出するように湾曲した湾曲部を有しており、
前記連結部が前記シースの遠位端に収容された場合に、当該湾曲部が前記シースの内周面に当接して径方向内側に向かって弾性変形することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
前記連結部が前記シースの遠位端に収容された場合に、前記一対のアーム部同士が長手方向全体にわたって当接することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
前記一対のアーム部が、アーム先端部の互いに対向する内面に歯部をそれぞれ有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を用いて体内に挿入される内視鏡用処置具に関し、特に、体内組織に対して高周波電流を印加する内視鏡用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大腸、食道、胃等の消化管壁に生じた病変部を切除する手技として、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)が知られている。
【0003】
ESDでは、様々な処置段階に応じて各種の処置具が用いられている。例えば、病変部周辺の粘膜層および粘膜下層を切開する場合には切開用処置具が用いられ、切開時の出血を止血する場合には止血用処置具が用いられる。下記の特許文献1には、切開用処置具の一例である棒型高周波ナイフが記載されており、下記の特許文献2には、止血用処置具の一例である鋏型止血鉗子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-261372号公報
【特許文献2】特開2008-272393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ESDの手技において、切開用処置具による切開時に出血が生じて止血を行う必要がある場合には、切開用処置具をいったん体外に取り出してから止血用処置具を体内に挿入し、止血用処置具で出血部位を把持して焼灼する。そして、止血処置が完了すると止血用処置具を体外に取り出し、再び切開用処置具を体内に挿入して粘膜層や粘膜下層の切開を行う。
【0006】
このように、手技の最中に止血が必要となる場合、出血のたびに切開用処置具と止血用処置具との交換が必要となり、処置具の交換作業が煩雑であるとともに、手技に要する時間が長くなって施術者および患者の負担が増加するという課題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、切開用処置具と止血用処置具とを交換する手間をなくして、利便性に優れた内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る内視鏡用処置具は、内視鏡を用いて体内に挿入される内視鏡用処置具であって、チューブ状のシースと、前記シース内にスライド可能に挿通されているワイヤと、外力が作用しない状態でアーム先端部に向かって相互の離間距離が大きくなるように配置される一対のアーム部と、前記一対のアーム部のアーム基端部を連結するとともに前記ワイヤの遠位端部に取り付けられており、前記シースの軸方向に沿った前記ワイヤの進退に連動して前記シースの遠位端から突没する連結部と、を備えており、前記連結部が前記シースの遠位端に収容された場合には、前記一対のアーム部が閉脚して前記一対のアーム部が互いに当接した状態となり、前記連結部が前記シースの遠位端から突出した場合には、前記一対のアーム部が開脚して前記一対のアーム部が互いに離隔した状態となり、前記一対のアーム部が閉脚および開脚する動作によって体内組織を把持するとともに、把持した体内組織に対して高周波電流を印加するように構成されており、前記一対のアーム部が閉脚した状態で、閉脚した前記一対のアーム部の遠位端近傍の体内組織に対して高周波電流を印加するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、一対のアーム部を閉脚および開脚させることで止血用処置具として機能し、一対のアーム部を閉脚して互いに当接した状態とすることで切開用処置具として機能するので、止血用処置具および切開用処置具の両方の機能を兼ね備えた内視鏡用処置具を実現することができ、切開用処置具と止血用処置具とを交換する手間をなくして、利便性に優れた内視鏡用処置具を提供することができる。
【0010】
本発明に係る内視鏡用処置具は、上記の構成において、閉脚した前記一対のアーム部が重なり合って棒状となってもよい。
【0011】
上記の構成によれば、一対のアーム部が重なり合って棒状となるので、切開用の棒状部材を構成することができる。
【0012】
本発明に係る内視鏡用処置具は、上記の構成において、前記一対のアーム部および前記連結部が、板状部材により一体的に形成されていてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、板状部材により一対のアーム部および連結部を形成することができるので、簡素な構成で止血用処置具および切開用処置具の両方の機能を兼ね備えた内視鏡用処置具を実現することができる。
【0014】
本発明に係る内視鏡用処置具は、上記の構成において、前記連結部が、前記シースの径方向に突出するように湾曲した湾曲部を有しており、前記連結部が前記シースの遠位端に収容された場合に、当該湾曲部が前記シースの内周面に当接して径方向内側に向かって弾性変形してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、一対のアーム部を連結する連結部をシースから突没させることによって、湾曲部がシースの内周面から受ける力を一対のアーム部の開閉動作に変換することができるので、簡素な構成で止血用処置具および切開用処置具の両方の機能を兼ね備えた内視鏡用処置具を実現することができる。
【0016】
本発明に係る内視鏡用処置具は、上記の構成において、前記連結部が前記シースの遠位端に収容された場合に、前記一対のアーム部同士が長手方向全体にわたって当接してもよい。
【0017】
上記の構成によれば、閉脚時に一対のアーム部全体を確実に当接させて、一対のアーム部によって体内組織を確実に把持することができるようになる。
【0018】
本発明に係る内視鏡用処置具は、上記の構成において、前記一対のアーム部が、アーム先端部の互いに対向する内面に歯部をそれぞれ有してもよい。
【0019】
上記の構成によれば、アーム先端部の歯部によって体内組織を確実に把持することができるので、一対のアーム部による体内組織の把持を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態における内視鏡用処置具全体の概略構成を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態における内視鏡用処置具を構成するシースの遠位端部および操作部を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態において、先端可動部材がシースから突出した様子を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態において、先端可動部材がシースから突出した様子を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施形態において、先端可動部材がシースに収容された様子を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態において、先端可動部材がシースに収容された様子を示す側面図である。
【
図7】本発明の実施形態において、先端可動部材がシースに収容されて、一対のアーム部が閉脚した状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施形態において、先端可動部材の湾曲部の側突部がシースの遠位端近傍に位置して、一対のアーム部が閉脚した状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の実施形態において、先端可動部材がシースから突出して一対のアーム部が開脚した状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施形態における内視鏡用処置具の使用方法を説明するための図であり、(a)は病変部の周辺の粘膜を切開する際の第1の状態を模式的に示す図、(b)は病変部Lの周辺の粘膜を切開する際の第2の状態を模式的に示す図である。
【
図11】本発明の実施形態における内視鏡用処置具の使用方法を説明するための図であり、(a)は止血を行う際の第1の状態を模式的に示す図、(b)は止血を行う際の第2の状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態における内視鏡用処置具について説明する。本明細書では、内視鏡用処置具の使用者を基準として、患者の体内側を遠位側とし、使用者の手元側を近位側とする。本明細書において参照する図面は、実際の寸法に対して必ずしも正確な縮尺を有するものではなく、本発明に係る構成を模式的に示すために一部を誇張または簡略化したものである。
【0022】
まず、
図1および
図2を参照しながら、本発明の実施形態における内視鏡用処置具1全体の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態における内視鏡用処置具1全体の概略構成を示す正面図である。
図2は、本発明の実施形態における内視鏡用処置具1を構成するシース2の遠位端部および操作部3を示す断面図である。なお、
図2では、シース2の遠位端部は拡大して図示している。
【0023】
内視鏡用処置具1は、
図1および
図2に示すように、内視鏡のチャンネル内に挿通可能な可撓性を有するシース2と、シース2の近位端部に設けられた操作部3と、シース2の遠位端部に配置された先端可動部材100と、操作部3と先端可動部材100とを連結するワイヤ9と、を概略備えて構成されている。
【0024】
シース2は、その内部に軸方向に沿って管腔が形成されたチューブ状の長尺部材であり、一例として
図2に示すように、密巻きコイル4と、この密巻きコイル4の外周面を被覆する絶縁チューブ5と、によって形成されている。
【0025】
絶縁チューブ5の遠位端は、密巻きコイル4の遠位端よりも遠位側に配置されており、シース2の遠位端2aを構成している。一方、密巻きコイル4の遠位端は、絶縁チューブ5の内部に収容されている。密巻きコイル4の遠位端には、リング状の絶縁チップ8が連結されている。絶縁チップ8の外径は密巻きコイル4の外径と略同一となるように設定されており、密巻きコイル4の外周面および絶縁チップ8の外周面は、シース2の軸方向に段差なく連続して絶縁チューブ5により被覆されている。
【0026】
絶縁チップ8は、シース2の遠位端2aよりも近位側において、絶縁チューブ5の内部に収容された状態で絶縁チューブ5の内周面に固定されている。絶縁チップ8の遠位端とシース2の遠位端2aとの間には、絶縁チューブ5に囲まれた空間が形成されている。この空間は、先端可動部材100を収容するための収容空間30を構成している。
【0027】
シース2の管腔には、導電性のワイヤ9がシース2の軸方向に沿ってスライド可能に挿通されている。ワイヤ9の遠位端には、先端可動部材100に接続する導電性の接続部材20が取り付けられている。接続部材20は、リング状の絶縁チップ8の内腔を通じて、絶縁チップ8を軸方向に貫通している。
【0028】
ワイヤ9および接続部材20には導電性の管状部材10が外嵌されている。管状部材10は、ワイヤ9および接続部材20を連結している。これにより、ワイヤ9がシース2の管腔内で軸方向に進退した場合に、管状部材10および接続部材20、さらには接続部材20に接続されている先端可動部材100が連動して進退できるようになっている。導電性のワイヤ9および接続部材20は、管状部材10を介して電気的に接続されており、接続部材20を通じて先端可動部材100も電気的に接続されている。
【0029】
後述するように、先端可動部材100は、シース2の遠位端2aに突没可能となるように配置されており、先端可動部材100をシース2の収容空間30に収容した際には、先端可動部材100の連結部110の最も側方に膨らんだ部分(側突部111s、112s)がシース2の遠位端2aよりも近位側に収容されるようになっている(
図7および
図8参照)。
【0030】
絶縁チップ8は、収容空間30に収容された先端可動部材100の近位側に配置されており、絶縁チップ8よりも近位側への先端可動部材100の移動を規制するストッパ部材としての役割を有している。また、絶縁チップ8は、ワイヤ9および接続部材20を連結する管状部材10の遠位側に配置されており、絶縁チップ8よりも遠位側への管状部材10の移動を規制するストッパ部材としての役割も有している。すなわち、ワイヤ9に取り付けられた先端可動部材100は、先端可動部材100が絶縁チップ8に当接する最も近位側の位置と、管状部材10が絶縁チップ8に当接する最も遠位側の位置との間で、ワイヤ9の進退動作に連動して軸方向に進退可能となっている。なお、ここでは、絶縁チップ8をストッパ部材として用いることで、先端可動部材100が軸方向に進退する範囲を制限しているが、例えば操作部3においてワイヤ9の引っ張り/押し出し量を制限することで、先端可動部材100が軸方向に進退する範囲を制限してもよい。
【0031】
シース2の近位端部に設けられた操作部3は、略軸状の操作部本体12と、この操作部本体12に対して軸方向にスライド可能な操作用スライダ13と、を備えている。操作部本体12には操作用スライダ13のガイド溝12aが軸方向に延設されている。操作用スライダ13は、ガイド溝12aに沿って軸方向にスライド可能に装着されている。
【0032】
操作部本体12の近位端には1つのリング状部材12pが設けられている。操作用スライダ13の近位端には2つのリング状部材13p、13qが設けられている。例えば、操作者は、操作部本体12のリング状部材12pに親指を通し、操作用スライダ13のリング状部材13p、13qに人差し指および中指をそれぞれ通して操作することで、操作部本体12に対する操作用スライダ13のスライド操作を片手で行うことができるようになっている。
【0033】
図2に示すように、操作部本体12の遠位端部には通孔12bが形成されている。シース2の近位端部は通孔12bに挿入されており、シース2の近位端には回転子14が設けられている。回転子14は、操作部本体12の遠位端部に回転可能に接続されている。回転子14の軸心部にはワイヤ9を挿通するワイヤ挿通孔14aが形成されている。
【0034】
ワイヤ9は、シース2の近位端から回転子14のワイヤ挿通孔14aを通って近位側に延出し、操作用スライダ13に連結されている。操作用スライダ13を軸方向にスライド操作した場合には、ワイヤ9がシース2の管腔内で軸方向に進退し、このワイヤ9の進退動作により、管状部材10および接続部材20を介してワイヤ9の遠位端部に取り付けられている先端可動部材100を連動して進退させることができるようになっている。
【0035】
具体的には、操作用スライダ13を遠位側に移動させる操作が行われた場合に、ワイヤ9が軸方向に沿って遠位側にスライドし、ワイヤ9によって押し出される力が先端可動部材100に伝達して、先端可動部材100をシース2の遠位端2aから突出する方向に移動させることができる。一方、操作用スライダ13を近位側に移動させる操作が行われた場合には、ワイヤ9が軸方向に沿って近位側にスライドし、ワイヤ9によって引き込まれる力が先端可動部材100に伝達して、先端可動部材100をシース2の遠位端2aから収容空間30に収容する方向に移動させることができるようになっている。
【0036】
また、シース2を固定した状態で操作部3を軸回り方向に回転させると、ワイヤ9が軸回り方向に回転し、ワイヤ9の回転力が先端可動部材100に伝達して、先端可動部材100を軸回り方向に回転させることができるようになっている。なお、先端可動部材100を任意の進退位置で固定する進退抑制機構、および任意の回転位置で固定する回転抑制機構を設けて、先端可動部材100を任意の姿勢で維持できるようにしてもよい。
【0037】
さらに、操作用スライダ13には電気コネクタ部16が設けられている。電気コネクタ部16には、高周波電流を発生する高周波発生装置(不図示)に通じる導電性コードを接続することができる。電気コネクタ部16はワイヤ9と電気的に接続されている。導電性のワイヤ9は、管状部材10および接続部材20を通じて先端可動部材100に電気的に接続されており、高周波発生装置で発生した高周波電流を先端可動部材100に供給することができるようになっている。
【0038】
次に、
図3~
図6を参照しながら、内視鏡用処置具1が備える先端可動部材100の構成について説明する。
図3および
図4は、本発明の実施形態において、先端可動部材100がシース2から突出した様子を示す斜視図および側面図である。
図5および
図6は、本発明の実施形態において、先端可動部材100がシース2に収容された様子を示す斜視図および側面図である。
【0039】
先端可動部材100は、
図3および
図4に示すように、連結部110および一対のアーム部120、130を備えて構成されている。
【0040】
連結部110は、略U字状に湾曲した形状を有している。連結部110は、側方に向かって凸となるようにそれぞれ湾曲した湾曲部111、112により構成されており、連結部110の近位端113(先端可動部材100の基端)で連結して一体に形成されている。なお、後述するように、連結部110は、一対のアーム部120、130が閉脚した状態において、連結部110の最も側方に膨らんだ部分(側突部111s、112s)がシース2の内周面に当接する大きさに設定されている(
図7および
図8参照)。
【0041】
連結部110は弾性力を有しており、湾曲部111、112同士を近接させる方向に外力を作用させると連結部110の遠位端111d、112dが互いに近接するようになっている。また、この外力から解放されると連結部110の遠位端111d、112dは互いに離隔するようになっている。
【0042】
連結部110の近位端113には、接続部材20が接続されている。接続部材20は、
図2に示すように、リング状の絶縁チップ8を軸方向に貫通してシース2の略軸心に配置されており、連結部110の近位端113もシース2の略軸心に配置されている。連結部110と接続部材20との接続方法は特に限定されず、連結部110と接続部材20とが一体に形成されていてもよく、溶接等によって接合されていてもよい。
【0043】
連結部110の遠位端111d、112dには、一対のアーム部120、130がそれぞれ接続されている。より詳細には、連結部110を構成する湾曲部111の遠位端111dには、アーム部120の近位端121pが接続されており、連結部110を構成する湾曲部112の遠位端112dには、アーム部130の近位端131pが接続されている。
【0044】
一対のアーム部120、130はそれぞれ、
図4に示すように側面視で略直線状に延在する細長い部材であり、近位側に位置するアーム基端部121、131と遠位側に位置するアーム先端部122、132とが一体に形成されている。
【0045】
上述したように、先端可動部材100は、管状部材10および接続部材20を介してワイヤ9に取り付けられており、ワイヤ9の軸方向に沿った進退動作に連動して、先端可動部材100も軸方向に沿って進退できるようになっている。
【0046】
先端可動部材100をシース2の遠位端2aから突出させた状態では、
図3および
図4に示すように、一対のアーム部120、130は、外力が作用しない状態では略V字状に開脚し、アーム先端部122、132に向かって相互の離間距離が大きくなるように配置されている。
【0047】
一方、先端可動部材100をシース2の遠位端2aからシース2内に収容した状態では、
図5および
図6に示すように、一対のアーム部120、130は、アーム部120、130同士が互いに当接するように閉脚して棒状になる。なお、ここでいう棒状とは、対向するアーム部120、130同士が互いに重なり合って、軸方向に延在する単一の部材のような状態になることを意味する。本実施形態における内視鏡用処置具1では、一対のアーム部120、130は、そのアーム基端部121、131からアーム先端部122、132までの長手方向全体が当接するようになっている。
【0048】
先端可動部材100を構成する連結部110および一対のアーム部120、130は、全体として長手方向軸を対称軸として略対称な形状となっており、いずれも導電性の材料からなる。上述したように、高周波発生装置で発生した高周波電流は、導電性のワイヤ9、管状部材10および接続部材20を通じて、導電性の連結部110および一対のアーム部120、130により構成される先端可動部材100に通電される。
【0049】
先端可動部材100の製造方法は特に限定されないが、例えば弾性体からなる1つの薄く細長い金属の板状部材を折り曲げて塑性変形させることによって、連結部110および一対のアーム部120、130が一体に形成された簡素な構成の先端可動部材100を容易に製造することができる。この場合、連結部110は板バネ構造となり、連結部110に対して、一対のアーム部120、130を閉脚および開脚させるための弾性力を付与することができる。
【0050】
また、一対のアーム部120、130のアーム先端部122、132には、互いに対向する内面に歯部125、135が形成されている。歯部125、135では、長手方向に沿ってアーム先端部122、132の内面が山谷状(ジグザグ状)に形成されている。歯部125、135は、アーム先端部122、132において略同一形状であり、アーム部120、130同士が互いに当接するように閉脚した場合には、山部と山部が互いに当接するように形成されていてもよく、ピッチを半周期ずらして山部と谷部とが噛合するように形成されていてもよい。
【0051】
以下、
図7~
図9を参照しながら、内視鏡用処置具1が備える先端可動部材100の開閉動作について説明する。
図7は、本発明の実施形態において、先端可動部材100がシース2に収容されて、一対のアーム部120、130が閉脚した状態を示す断面図である。
図8は、本発明の実施形態において、先端可動部材100の湾曲部111、112の側突部111s、112sがシース2の遠位端2a近傍に位置して、一対のアーム部120、130が閉脚した状態を示す断面図である。
図9は、本発明の実施形態において、先端可動部材100がシース2から突出して一対のアーム部120、130が開脚した状態を示す断面図である。
【0052】
図7には、先端可動部材100が最も近位側に位置する状態が図示されている。操作部3を操作してワイヤ9を近位側に引き込むと、先端可動部材100は、
図7に示すように、シース2の遠位端2aからシース2内の収容空間30に収容された状態となる。このとき、側方に凸となるように湾曲した連結部110の最も側方に膨らんだ部分(側突部111s、112s)がシース2の内周面に当接し、連結部110の湾曲部111、112には、径方向内側に向かう力(互いに近接する方向の力)が作用して、連結部110は弾性変形する。その結果、連結部110の遠位側に一体に形成されている一対のアーム部120、130は閉脚して互いに当接した状態となり、一対のアーム部120、130は重なり合って棒状となる。
【0053】
ここでは、絶縁チップ8がストッパ部材として機能しており、先端可動部材100の連結部110が絶縁チップ8に当接することで、先端可動部材100が絶縁チップ8よりも近位側へ移動しないようにしている。このとき、閉脚して棒状となった一対のアーム部120、130のアーム先端部122、132は、シース2の遠位端2aよりも遠位側に飛び出すように配置される。ただし、先端可動部材100が最も近位側に引き込まれた場合に、アーム先端部122、132が完全にシース2の遠位端2aよりも近位側に収容されるようにしてもよい。
【0054】
図7に示す状態から、操作部3を操作してワイヤ9を遠位側に押し出すと、ワイヤ9の進退動作と連動して進退する先端可動部材100も遠位側に徐々に押し出される。このとき、連結部110の側突部111s、112sは、シース2の内周面に当接しながら遠位側に押し出される。その結果、
図8に示すように連結部110の側突部111s、112sがシース2の遠位端2aに到達するまでの間は、一対のアーム部120は閉脚して棒状となったまま遠位側に押し出される。
【0055】
図8に示す状態から、操作部3を操作してワイヤ9をさらに遠位側に押し出して、連結部110の側突部111s、112sがシース2の遠位端2aよりも遠位側に移動した場合、シース2の内周面に当接する湾曲部111、112の位置が側突部111s、112sよりも近位側に移動する。その結果、連結部110の弾性力によって連結部110の遠位端111d、112dは徐々に離隔し、これに伴って、
図9に示すように一対のアーム部120も徐々に開脚して互いに離隔した状態となる。
【0056】
このように、本実施形態における内視鏡用処置具1は、連結部110をシース2の遠位端2aから突没させることによって、湾曲部111、112がシース2の内周面から受ける力を一対のアーム部120、130の開閉動作に変換することができるようになっている。連結部110の側突部111s、112sがシース2の遠位端2aに位置する場合を境界として、側突部111s、112sがシース2の遠位端2aよりも近位側に位置する場合には、一対のアーム部120が閉脚した状態となる。一方、側突部111s、112sがシース2の遠位端2aよりも遠位側に位置する場合には、一対のアーム部120は開脚した状態となり、連結部110がより遠位側に位置するほど一対のアーム部120の開脚角度α(
図9参照)はより大きくなる。
【0057】
ここでは、絶縁チップ8がストッパ部材として機能しており、管状部材10が絶縁チップ8に当接することで、先端可動部材100がさらに遠位側へ移動しないようにしている。管状部材10が絶縁チップ8に当接して先端可動部材100が最も遠位側に位置するとき、一対のアーム部120、130は最も開脚した状態となり、その開脚角度αは最大となる。開脚角度αの最大値は特に限定されないが、
図9では開脚角度αの最大値が約45°となるように設定されている。
【0058】
以上、操作部3を操作してワイヤ9を遠位側に押し出すことで、一対のアーム部120、130を閉脚した状態から開脚した状態に遷移させる動作について説明したが、操作部3を操作してワイヤ9を近位側に引き込むことで、一対のアーム部120、130を開脚した状態から閉脚した状態に遷移させることも可能である。
【0059】
一対のアーム部120、130が閉脚して棒状になった先端可動部材100は、切開用処置具(棒型高周波ナイフ)として用いることができる。このとき、閉脚した一対のアーム部120、130は切開用の棒状部材を構成する。また、一対のアーム部120、130を自在に閉脚および開脚させることで、先端可動部材100は、体内組織等の対象物を一対のアーム部120、130で把持することができ、止血用処置具(鋏型止血鉗子)として用いることができる。このとき、閉脚および開脚する一対のアーム部120、130は、止血用の鉗子部材を構成する。
【0060】
次に、
図10(a)、(b)および
図11(a)、(b)を参照しながら、本実施形態における内視鏡用処置具1の使用方法について説明する。以下では、一例として、大腸等の消化管壁に生じた病変部LをESDによって切除する際に、本実施形態における内視鏡用処置具1を使用する場合について説明する。
図10は、本発明の実施形態における内視鏡用処置具1の使用方法を説明するための図であり、(a)は病変部Lの周辺の粘膜を切開する際の第1の状態、(b)は病変部Lの周辺の粘膜を切開する際の第2の状態をそれぞれ模式的に示す図である。
図11は、本発明の実施形態における内視鏡用処置具1の使用方法を説明するための図であり、(a)は止血を行う際の第1の状態、(b)は止血を行う際の第2の状態をそれぞれ模式的に示す図である。
図10(a)、(b)および
図11(a)、(b)では、消化管壁に生じた病変部L、およびその周辺が図示されている。
【0061】
ESDでは、図示しない内視鏡を消化管(例えば大腸)に挿入して、病変部Lの周辺に目印を付ける(マーキング)。この目印は、病変部Lの周辺の粘膜を切開する際の目安として使用される。次いで、内視鏡を通じて局注針を挿入して、病変部Lの直下に位置する粘膜下層に局注針を穿刺して薬液または生理食塩水を注入し、病変部Lを隆起させる。
【0062】
次いで、本発明の実施形態における内視鏡用処置具1を内視鏡の処置具案内管に挿入して、先端可動部材100が取り付けられているシース2の遠位端部を病変部Lの近傍に配置する。そして、操作部3を操作してワイヤ9を近位側に引き込んで、先端可動部材100の一対のアーム部120、130を閉脚させて一対のアーム部120、130を棒状にする。このとき、
図5~
図8に示すように、先端可動部材100の近位側を構成する連結部110がシース2の収容空間30に収容されて、連結部110の側突部111s、112sがシース2の内周面に当接した状態とする。また、閉脚した一対のアーム部120、130が互いに当接して棒状になった状態で、アーム先端部122、132がシース2の遠位端2aよりも遠位側に突出した状態とする。
【0063】
このように棒状となるように重なり合ったアーム先端部122、132がシース2の遠位端2aよりも遠位側に突出した状態では、内視鏡用処置具1は切開用処置具として機能する。より詳細には、一対のアーム部120、130を閉脚して互いに当接した状態とした先端可動部材100に高周波発生装置から高周波電流を通電することで、内視鏡用処置具1は、一対のアーム部120、130の遠位端近傍の体内組織に対して高周波電流を印加しながら切開を行う高周波ナイフとして機能する。なお、患者の皮膚等に対極板を事前に貼付しておくことが好ましく、これにより、先端可動部材100から対極板に向かって高周波電流が通電され、患者の体内組織に高周波電流を効率よく印加することが可能となる。
【0064】
切開用処置具としての内視鏡用処置具1を用いて、病変部Lの周囲の粘膜を切開する。具体的には、内視鏡画像で病変部Lの周辺に付けた目印の位置を確認しながら、高周波電流が通電している棒状になった一対のアーム部120、130の遠位端を病変部Lの周辺に押し当てて粘膜に切開部Sを形成する(
図10(a)の状態)。そして、病変部Lを取り囲むように一対のアーム部120、130の遠位端を移動させることで、病変部Lの周囲の粘膜を切開することができる(
図10(b)の状態)。
【0065】
病変部Lの周囲の粘膜を切開して病変部Lを取り囲む切開部Sを形成した後、続いて、粘膜下層の剥離を行って病変部Lを消化管壁から切り取る。この粘膜下層の剥離においても、一対のアーム部120、130が閉脚して棒状になった切開用処置具としての内視鏡用処置具1を用いて、粘膜下層を剥離することができる。具体的には、病変部Lの周囲の粘膜を切開して形成した切開部Sから、高周波電流が通電している棒状になった一対のアーム部120、130の遠位端を差し込み、病変部Lの下方の粘膜下層を切り取って病変部Lを剥離する。
【0066】
上述した粘膜の切開および粘膜下層の剥離の過程で出血した場合には、止血処置を行う必要がある。本実施形態における内視鏡用処置具1は、切開用処置具および止血用処置具の両方の機能を兼ね備えており、切開用処置具の機能と止血用処置具の機能を適宜切り替えることで、デバイスを交換することなく切開または剥離と止血とを適宜行うことができるようになっている。
【0067】
例えば、病変部Lの周囲の粘膜の切開が完了した時点で切開部Sからの出血の止血が必要になった場合において、止血用処置具としての内視鏡用処置具1を用いて止血を行う場合には、操作部3を操作してワイヤ9を遠位側に押し出して、
図3、
図4および
図9に示すように先端可動部材100の一対のアーム部120、130を開脚させる(
図11(a)の状態)。
【0068】
次いで、内視鏡画像で出血部位を確認しながら、開脚させた一対のアーム部120、130を出血部位の近傍の粘膜および粘膜下層等の体内組織に押し当て、操作部3を操作してワイヤ9を近位側に引き込んで一対のアーム部120、130を閉脚させる(
図11(b)の状態)。これにより、一対のアーム部120、130によって出血部位を閉じるように体内組織を把持することができる。
【0069】
本実施形態における内視鏡用処置具1では、一対のアーム部120、130がその長手方向全体にわたって当接するようになっており、体内組織を確実に把持することができるようになっている。また、アーム先端部122、132の内面には、互いに対向するように歯部125、135がそれぞれ形成されており、当該歯部125、135の位置において体内組織を把持することで、体内組織を確実かつ安定して把持することができるようになっている。
【0070】
そして、一対のアーム部120、130で出血部位を含む体内組織を把持した状態で、先端可動部材100に対して高周波発生装置から高周波電流を通電すると、一対のアーム部120、130で把持している体内組織に高周波電流が印加される。一対のアーム部120、130で把持した体内組織は、高周波電流の印加によって発生した熱で焼灼され、出血部位を塞ぐように凝固して止血される。そして、止血が完了したら、一対のアーム部120、130が閉脚して棒状になった状態で、アーム部120、130により病変部Lの下方の粘膜下層を切り取って病変部Lを剥離すればよい。
【0071】
このように、必要に応じて止血を行いながら粘膜の切開および粘膜下層の剥離を行って、最終的に、病変部Lを消化管壁から分離するように切除し、体外に取り出す。なお、病変部Lを切除した後に消化管壁に残る切除痕に対して止血処置を行う場合も同様に、止血用処置具としての内視鏡用処置具1を用いて止血を行うことができる。
【0072】
なお、内視鏡用処置具1を切開用処置具として使用する際に高周波発生装置から供給する高周波電流と、内視鏡用処置具1を止血用処置具として使用する際に高周波発生装置から供給する高周波電流とは、同一の周波数、同一の出力電力および出力形式であってもよく、周波数、出力電力または出力形式が異なっていてもよい。例えば、内視鏡用処置具1を切開用処置具として使用する場合と止血用処置具として使用する場合とで、高周波電流の周波数または出力電力を適宜変更してもよい。また、高周波発生装置が複数の出力モード(特定の周波数および特定の出力電力の高周波電流を連続的にまたは断続的に出力するモード)を設定できるものである場合には、切開用処置具として使用する場合の切開用出力モードと、止血用処置具として使用する場合の止血(凝固)用出力モードとを適宜切り替えてもよい。
【0073】
以下、上述した実施形態における内視鏡用処置具1の作用について説明する。
【0074】
上述した実施形態における内視鏡用処置具1は、内視鏡を用いて体内に挿入される内視鏡用処置具1であって、チューブ状のシース2と、シース2内にスライド可能に挿通されているワイヤ9と、ワイヤ9の軸方向に沿った進退に連動して軸方向に進退可能な先端可動部材100とを、備えている。
【0075】
先端可動部材100は、外力が作用しない状態でアーム先端部122、132に向かって相互の離間距離が大きくなるように配置される一対のアーム部120、130と、一対のアーム部120、130のアーム基端部121、131を連結するとともにワイヤ9の遠位端部に取り付けられており、シース2の軸方向に沿ったワイヤ9の進退に連動してシース2の遠位端2aから突没する連結部110と、を備えている。
【0076】
そして、連結部110がシース2の遠位端2aに収容された場合には、一対のアーム部120、130が閉脚して一対のアーム部120、130が互いに当接した状態となり、連結部110がシース2の遠位端2aから突出した場合には、一対のアーム部120、130が開脚して一対のアーム部120、130が互いに離隔した状態となり、一対のアーム部120、130が閉脚および開脚する動作によって体内組織を把持するとともに、把持した体内組織に対して高周波電流を印加するように構成されており、一対のアーム部120、130が閉脚した状態で、閉脚した一対のアーム部120、130の遠位端近傍の体内組織に対して高周波電流を印加するように構成されている。
【0077】
上記の構成によれば、一対のアーム部120、130を閉脚および開脚させることで止血用処置具として機能し、一対のアーム部120、130を閉脚して互いに当接した状態とすることで切開用処置具として機能するので、止血用処置具および切開用処置具の両方の機能を兼ね備えた内視鏡用処置具1を実現することができ、切開用処置具と止血用処置具とを交換する手間をなくして、利便性に優れた内視鏡用処置具1を提供することができる。
【0078】
上述した実施形態における内視鏡用処置具1は、上記の構成において、閉脚した一対のアーム部120、130が重なり合って棒状となってもよい。
【0079】
上記の構成によれば、一対のアーム部120、130が重なり合って棒状となるので、切開用の棒状部材を構成することができる。
【0080】
上述した実施形態における内視鏡用処置具1は、上記の構成において、一対のアーム部120、130および連結部110が、板状部材により一体的に形成されていてもよい。
【0081】
上記の構成によれば、板状部材により一対のアーム部120、130および連結部110を形成することができるので、簡素な構成で止血用処置具および切開用処置具の両方の機能を兼ね備えた内視鏡用処置具1を実現することができる。
【0082】
上述した実施形態における内視鏡用処置具1は、上記の構成において、連結部110が、シース2の径方向に突出するように湾曲した湾曲部111、112を有しており、連結部110がシース2の遠位端2aに収容された場合に、当該湾曲部111、112がシース2の内周面に当接して径方向内側に向かって弾性変形してもよい。
【0083】
上記の構成によれば、一対のアーム部120、130を連結する連結部110をシース2から突没させることによって、湾曲部111、112がシース2の内周面から受ける力を一対のアーム部120、130の開閉動作に変換することができるので、簡素な構成で止血用処置具および切開用処置具の両方の機能を兼ね備えた内視鏡用処置具1を実現することができる。
【0084】
上述した実施形態における内視鏡用処置具1は、上記の構成において、連結部110がシース2の遠位端2aに収容された場合に、一対のアーム部120、130同士が長手方向全体にわたって当接してもよい。
【0085】
上記の構成によれば、閉脚時に一対のアーム部120、130全体を確実に当接させて、一対のアーム部120、130によって体内組織を確実に把持することができるようになる。
【0086】
上述した実施形態における内視鏡用処置具1は、上記の構成において、一対のアーム部120、130が、アーム先端部122、132の互いに対向する内面に歯部125、135をそれぞれ有してもよい。
【0087】
上記の構成によれば、アーム先端部122、132の歯部125、135によって体内組織を確実に把持することができるので、一対のアーム部120、130による体内組織の把持を安定させることができる。
【0088】
以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであり、本発明を限定するものではない。上述した実施形態に開示された各構成要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。また、各実施形態で説明した各構成要素を適宜組み合わせて得られる構成も本発明に包含される。
【符号の説明】
【0089】
1 内視鏡用処置具
2 シース
2a、111d、112d 遠位端
3 操作部
4 密巻きコイル
5 絶縁チューブ
8 絶縁チップ
9 ワイヤ
10 管状部材
12 操作部本体
12a ガイド溝
12b 通孔
12p リング状部材
13 操作用スライダ
13p、13q リング状部材
14 回転子
14a ワイヤ挿通孔
16 電気コネクタ部
20 接続部材
30 収容空間
100 先端可動部材
110 連結部
111、112 湾曲部
111s、112s 側突部
113、121p、131p 近位端
120、130 アーム部
121、131 アーム基端部
122、132 アーム先端部
125、135 歯部
L 病変部
S 切開部