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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145745
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】真空装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 37/16 20060101AFI20241004BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F04B37/16 E
F04B37/16 A
F04B49/06 341J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058229
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 駿太
【テーマコード(参考)】
3H076
3H145
【Fターム(参考)】
3H076BB21
3H076BB43
3H076CC44
3H076CC94
3H076CC95
3H145AA26
3H145AA38
3H145CA02
3H145DA13
3H145DA16
3H145EA13
(57)【要約】
【課題】簡単な構成および制御によりチャンバ内を大気圧から高速で低真空領域に安定させることが可能な真空装置を提供する。
【解決手段】ポンプ側絞り部遮断弁83は、3つのポンプ側流路81のそれぞれに設けられ、開閉作動によりポンプ側流路81における流体の流通を許容または遮断可能である。ポンプ側絞り85は、3つのポンプ側流路81のうち2つに設けられ、ポンプ側流路81における流体の流れを絞ることが可能である。供給部側絞り部遮断弁93は、2つの供給部側流路91のそれぞれに設けられ、開閉作動により供給部側流路91における流体の流通を許容または遮断可能である。供給部側絞り95は、2つの供給部側流路91のそれぞれに設けられ、供給部側流路91における流体の流れを絞ることが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体および検査対象(2)を収容可能なチャンバ(20)と、
作動により前記チャンバ内の流体を吸引可能な真空ポンプ(30)と、
前記チャンバ内に流体を供給可能な流体供給部(40)と、
開閉作動により前記チャンバと大気側との間の流体の流通を許容または遮断可能な大気側遮断弁(70)と、
前記チャンバと前記真空ポンプとの間の流体の流れを絞ることが可能なポンプ側絞り部(80)と、
前記流体供給部と前記チャンバとの間の流体の流れを絞ることが可能な供給部側絞り部(90)と、
前記チャンバ内の圧力を検出可能な真空計(17)と、を備え、
前記ポンプ側絞り部は、
前記チャンバと前記真空ポンプとの間の流体が流通可能な3つ以上のポンプ側流路(81)、
3つ以上の前記ポンプ側流路のそれぞれに設けられ、開閉作動により前記ポンプ側流路における流体の流通を許容または遮断可能なポンプ側絞り部遮断弁(83)、および、
3つ以上の前記ポンプ側流路の少なくとも2つに設けられ、前記ポンプ側流路における流体の流れを絞ることが可能なポンプ側絞り(85)を有し、
前記供給部側絞り部は、
前記流体供給部と前記チャンバとの間の流体が流通可能な2つ以上の供給部側流路(91)、
2つ以上の前記供給部側流路のそれぞれに設けられ、開閉作動により前記供給部側流路における流体の流通を許容または遮断可能な供給部側絞り部遮断弁(93)、および、
2つ以上の前記供給部側流路の少なくとも2つに設けられ、前記供給部側流路における流体の流れを絞ることが可能な供給部側絞り(95)を有する真空装置。
【請求項2】
開閉作動により前記チャンバと前記真空ポンプとの間の流体の流通を許容または遮断可能なポンプ側遮断弁(50)と、
開閉作動により前記チャンバと前記流体供給部との間の流体の流通を許容または遮断可能な供給部側遮断弁(60)と、
をさらに備える請求項1に記載の真空装置。
【請求項3】
前記ポンプ側流路は、
前記チャンバと前記真空ポンプとの間に設けられた第1ポンプ側流路(811)、
前記チャンバと前記真空ポンプとの間において前記第1ポンプ側流路と並列に設けられた第2ポンプ側流路(812)、および、
前記チャンバと前記真空ポンプとの間において前記第1ポンプ側流路および前記第2ポンプ側流路と並列に設けられた第3ポンプ側流路(813)を有し、
前記ポンプ側絞り部遮断弁は、
前記第1ポンプ側流路に設けられ、開閉作動により前記第1ポンプ側流路における流体の流通を許容または遮断可能な第1ポンプ側絞り部遮断弁(831)、
前記第2ポンプ側流路に設けられ、開閉作動により前記第2ポンプ側流路における流体の流通を許容または遮断可能な第2ポンプ側絞り部遮断弁(832)、および、
前記第3ポンプ側流路に設けられ、開閉作動により前記第3ポンプ側流路における流体の流通を許容または遮断可能な第3ポンプ側絞り部遮断弁(833)を有し、
前記ポンプ側絞りは、
前記第2ポンプ側流路に設けられ、所定の絞り径が設定され、前記第2ポンプ側流路における流体の流れを絞ることが可能な第1ポンプ側絞り(851)、および、
前記第3ポンプ側流路に設けられ、前記第1ポンプ側絞りの絞り径より小さい絞り径が設定され、前記第3ポンプ側流路における流体の流れを絞ることが可能な第2ポンプ側絞り(852)を有し、
前記供給部側流路は、
前記流体供給部と前記チャンバとの間に設けられた第1供給部側流路(911)、および、
前記流体供給部と前記チャンバとの間において前記第1供給部側流路と並列に設けられた第2供給部側流路(912)を有し、
前記供給部側絞り部遮断弁は、
前記第1供給部側流路に設けられ、開閉作動により前記第1供給部側流路における流体の流通を許容または遮断可能な第1供給部側絞り部遮断弁(931)、および、
前記第2供給部側流路に設けられ、開閉作動により前記第2供給部側流路における流体の流通を許容または遮断可能な第2供給部側絞り部遮断弁(932)を有し、
前記供給部側絞りは、
前記第1供給部側流路に設けられ、所定の絞り径が設定され、前記第1供給部側流路における流体の流れを絞ることが可能な第1供給部側絞り(951)、および、
前記第2供給部側流路に設けられ、前記第1供給部側絞りの絞り径より小さい絞り径が設定され、前記第2供給部側流路における流体の流れを絞ることが可能な第2供給部側絞り(952)を有する請求項1または2に記載の真空装置。
【請求項4】
前記真空計により検出した圧力に基づき、前記真空ポンプ、前記大気側遮断弁、前記ポンプ側絞り部遮断弁、前記供給部側絞り部遮断弁の作動を制御可能な制御部(10)、
をさらに備える請求項3に記載の真空装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記大気側遮断弁を開いた状態、かつ、前記ポンプ側絞り部遮断弁および前記供給部側絞り部遮断弁を閉じた状態で、前記真空ポンプを作動させ、
前記大気側遮断弁を閉じ、前記第1ポンプ側絞り部遮断弁を開き、
前記大気側遮断弁を閉じてから所定時間経過後の時点であるタイマ時間到達時点において、前記真空計により検出した圧力が目標圧より低い場合、前記第1ポンプ側絞り部遮断弁を閉じ、前記第2ポンプ側絞り部遮断弁を開き、前記第1供給部側絞り部遮断弁を開き、
前記タイマ時間到達時点において、前記真空計により検出した圧力が目標圧以上の場合、前記第1ポンプ側絞り部遮断弁を閉じ、前記第2ポンプ側絞り部遮断弁を開き、前記第2供給部側絞り部遮断弁を開き、
前記タイマ時間到達時点の後、前記真空計により検出した圧力が目標圧になった時点である目標圧到達時点において、前記第1供給部側絞り部遮断弁が開いていた場合、前記第2ポンプ側絞り部遮断弁を閉じ、前記第3ポンプ側絞り部遮断弁を開き、前記第1供給部側絞り部遮断弁を閉じ、前記第2供給部側絞り部遮断弁を開き、
前記目標圧到達時点において、前記第1供給部側絞り部遮断弁が閉じていた場合、前記第2ポンプ側絞り部遮断弁を閉じ、前記第3ポンプ側絞り部遮断弁を開く請求項4に記載の真空装置。
【請求項6】
前記第3ポンプ側絞り部遮断弁および前記第2供給部側絞り部遮断弁が開いた状態で前記チャンバ内の圧力が目標圧付近で安定している請求項5に記載の真空装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ製品等に用いられるコイルに対し、製造工程において高電圧を印加し、放電の有無を確認することでピンホール検査を実施することが知られている。ここで、例えば耐電圧の低いコイルに対しでは、大気圧ではなく、100~1000Pa程度の低真空領域に真空引きしたチャンバ内において、より低い電圧での検査を実施することにより、非破壊検査を達成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7013152号公報
【特許文献2】特開2021-93055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産ラインにおいて上記検査を全数実施するには、1:検査対象としての部品をチャンバ内へ投入し、2:大気圧から真空引き、3:真空度安定、4:検査(電圧印加)、5:大気開放、6:チャンバ内から部品を取り出す工程を経る。ここで、生産性を向上するためには、2:大気圧からの真空引き、3:真空度安定に掛かる時間を短縮することが効果的である。
【0005】
例えば従来技術では、目標とする真空度を達成する能力の真空ポンプを作動させ、成り行きでの真空度の安定を図るものが知られている。この場合、上記2、3に掛かる時間を短縮することは難しく、真空度の安定までに時間が掛かり、生産ラインに適するサイクルタイムの実現が難しくなるおそれがある。
【0006】
一方、例えば特許文献1、2には、チャンバ内の真空度に応じたバルブ開度制御により真空度の安定を図るものが開示されている。この場合、制御系が複雑であり、設備への投資コストが課題となるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成および制御によりチャンバ内を大気圧から高速で低真空領域に安定させることが可能な真空装置。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る真空装置は、チャンバ(20)と真空ポンプ(30)と流体供給部(40)と大気側遮断弁(70)とポンプ側絞り部(80)と供給部側絞り部(90)と真空計(17)とを備える。チャンバは、流体および検査対象を収容可能である。真空ポンプは、作動によりチャンバ内の流体を吸引可能である。流体供給部は、チャンバ内に流体を供給可能である。
【0009】
大気側遮断弁は、開閉作動によりチャンバと大気側との間の流体の流通を許容または遮断可能である。ポンプ側絞り部は、チャンバと真空ポンプとの間の流体の流れを絞ることが可能である。供給部側絞り部は、流体供給部とチャンバとの間の流体の流れを絞ることが可能である。真空計は、チャンバ内の圧力を検出可能である。
【0010】
ポンプ側絞り部は、3つ以上のポンプ側流路(81)、ポンプ側絞り部遮断弁(83)、および、ポンプ側絞り(85)を有している。ポンプ側流路は、チャンバと真空ポンプとの間の流体が流通可能である。ポンプ側絞り部遮断弁は、3つ以上の前記ポンプ側流路のそれぞれに設けられ、開閉作動によりポンプ側流路における流体の流通を許容または遮断可能である。ポンプ側絞りは、3つ以上の前記ポンプ側流路の少なくとも2つに設けられ、ポンプ側流路における流体の流れを絞ることが可能である。
【0011】
供給部側絞り部は、2つ以上の供給部側流路(91)、供給部側絞り部遮断弁(93)、および、供給部側絞り(95)を有する。供給部側流路は、流体供給部とチャンバとの間の流体が流通可能である。供給部側絞り部遮断弁は、2つ以上の前記供給部側流路のそれぞれに設けられ、開閉作動により供給部側流路における流体の流通を許容または遮断可能である。供給部側絞りは、2つ以上の前記供給部側流路の少なくとも2つに設けられ、供給部側流路における流体の流れを絞ることが可能である。
【0012】
本発明では、簡単な構成において、真空ポンプを作動させながら、大気側遮断弁、ポンプ側絞り部遮断弁、供給部側絞り部遮断弁を単に開閉作動させるという簡単な制御で、チャンバ内を大気圧から高速で低真空領域に安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の真空装置を示す模式図。
図2】一実施形態の真空装置の制御部による処理を示すフローチャート。
図3】一実施形態の真空装置の作動例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態による真空装置を図面に基づき説明する。
【0015】
(一実施形態)
一実施形態の真空装置を図1に示す。
【0016】
真空装置1は、例えばモータ製品等に用いられるコイル2に対し、製造工程において高電圧を印加し、放電の有無を確認することでピンホール検査を実施するための装置である。本実施形態では、検査対象としてのコイル2をチャンバ20内に配置し、例えば100~1000Pa程度の低真空領域に真空引きしたチャンバ20内において、一般的な高電圧より低い電圧での検査を実施する。これにより、コイル2の非破壊検査が可能である。
【0017】
次に、真空装置1の構成について説明する。
【0018】
<1>真空装置1は、チャンバ20と真空ポンプ30と流体供給部40とポンプ側遮断弁50と供給部側遮断弁60と大気側遮断弁70とポンプ側絞り部80と供給部側絞り部90と真空計17とを備える。チャンバ20は、流体および検査対象を収容可能である。真空ポンプ30は、作動によりチャンバ20内の流体を吸引可能である。流体供給部40は、チャンバ20内に流体を供給可能である。
【0019】
本実施形態は、ポンプ間流路11、供給部間流路13、大気間流路15を備えている。ポンプ間流路11は、チャンバ20内と真空ポンプ30の吸引口とを接続している。供給部間流路13は、チャンバ20内と流体供給部40の供給口とを接続している。大気間流路15は、チャンバ20内と大気側とを接続している。
【0020】
本実施形態では、チャンバ20内に収容される「流体」は「空気」であり、「検査対象」は「コイル2」である。真空ポンプ30は、例えば公知の電動ポンプであり、オン指示により作動し、吸引口から流体を吸引可能である。流体供給部40は、流体を収容可能に形成され、供給口から供給部間流路13を経由して流体をチャンバ20内に供給可能である。流体供給部40がチャンバ20内に供給する「流体」は例えば「窒素」である。
【0021】
<2>ポンプ側遮断弁50は、開閉作動によりチャンバ20と真空ポンプ30との間の流体の流通を許容または遮断可能である。供給部側遮断弁60は、開閉作動によりチャンバ20と流体供給部40との間の流体の流通を許容または遮断可能である。大気側遮断弁70は、開閉作動によりチャンバ20と大気側との間の流体の流通を許容または遮断可能である。
【0022】
本実施形態では、ポンプ側遮断弁50、供給部側遮断弁60、大気側遮断弁70は、例えば公知の電動遮断弁であり、開指示により全開状態、閉指示により全閉状態となるよう開閉作動する。ポンプ側遮断弁50は、ポンプ間流路11に設けられ、開閉作動により、ポンプ間流路11における流体の流通を許容または遮断可能である。供給部側遮断弁60は、供給部間流路13に設けられ、開閉作動により、供給部間流路13における流体の流通を許容または遮断可能である。大気側遮断弁70は、大気間流路15に設けられ、開閉作動により、大気間流路15おける流体の流通を許容または遮断可能である。
【0023】
ポンプ側絞り部80は、チャンバ20(ポンプ側遮断弁50)と真空ポンプ30との間の流体の流れを絞ることが可能である。供給部側絞り部90は、流体供給部40とチャンバ20(供給部側遮断弁60)との間の流体の流れを絞ることが可能である。真空計17は、チャンバ20内の圧力を検出可能である。
【0024】
ポンプ側絞り部80は、3つのポンプ側流路81、ポンプ側絞り部遮断弁83、および、ポンプ側絞り85を有している。ポンプ側流路81は、チャンバ20と真空ポンプ30との間の流体が流通可能である。ポンプ側絞り部遮断弁83は、3つのポンプ側流路81のそれぞれに設けられ、開閉作動によりポンプ側流路81における流体の流通を許容または遮断可能である。ポンプ側絞り85は、3つのポンプ側流路81のうち2つに設けられ、ポンプ側流路81における流体の流れを絞ることが可能である。
【0025】
本実施形態では、ポンプ側絞り部遮断弁83は、例えば公知の電動遮断弁であり、開指示により全開状態、閉指示により全閉状態となるよう開閉作動する。ポンプ側絞り85は、所定の絞り径に設定されたオリフィス流路である。
【0026】
供給部側絞り部90は、2つの供給部側流路91、供給部側絞り部遮断弁93、および、供給部側絞り95を有する。供給部側流路91は、流体供給部40とチャンバ20との間の流体が流通可能である。供給部側絞り部遮断弁93は、2つの供給部側流路91のそれぞれに設けられ、開閉作動により供給部側流路91における流体の流通を許容または遮断可能である。供給部側絞り95は、2つの供給部側流路91のそれぞれに設けられ、供給部側流路91における流体の流れを絞ることが可能である。
【0027】
本実施形態では、供給部側絞り部遮断弁93は、例えば公知の電動遮断弁であり、開指示により全開状態、閉指示により全閉状態となるよう開閉作動する。供給部側絞り95は、所定の絞り径に設定されたオリフィス流路である。
【0028】
<3>ポンプ側流路81は、チャンバ20と真空ポンプ30との間に設けられた第1ポンプ側流路811、チャンバ20と真空ポンプ30との間において第1ポンプ側流路811と並列に設けられた第2ポンプ側流路812、および、チャンバ20と真空ポンプ30との間において第1ポンプ側流路811および第2ポンプ側流路812と並列に設けられた第3ポンプ側流路813を有している。
【0029】
本実施形態では、ポンプ間流路11は、ポンプ間流路111、ポンプ間流路113を有している。ポンプ間流路111は、一端がチャンバ20内に接続している。ポンプ側遮断弁50は、ポンプ間流路111に設けられている。ポンプ間流路113は、一端が真空ポンプ30の吸引口に接続している。第1ポンプ側流路811、第2ポンプ側流路812、第3ポンプ側流路813は、それぞれがポンプ間流路111の他端とポンプ間流路113の他端とを接続するよう並列に設けられている。第1ポンプ側流路811、第2ポンプ側流路812、第3ポンプ側流路813の流路径は、同じに設定されている。
【0030】
ポンプ側絞り部遮断弁83は、第1ポンプ側絞り部遮断弁831、第2ポンプ側絞り部遮断弁、および、第3ポンプ側絞り部遮断弁を有している。第1ポンプ側絞り部遮断弁831は、第1ポンプ側流路811に設けられ、開閉作動により第1ポンプ側流路811における流体の流通を許容または遮断可能である。第2ポンプ側絞り部遮断弁832は、第2ポンプ側流路812に設けられ、開閉作動により第2ポンプ側流路812における流体の流通を許容または遮断可能である。第3ポンプ側絞り部遮断弁833は、第3ポンプ側流路813に設けられ、開閉作動により第3ポンプ側流路813における流体の流通を許容または遮断可能である。
【0031】
ポンプ側絞り85は、第1ポンプ側絞り851、および、第2ポンプ側絞り852を有している。第1ポンプ側絞り851は、第2ポンプ側流路812に設けられ、所定の絞り径が設定され、第2ポンプ側流路812における流体の流れを絞ることが可能である。第2ポンプ側絞り852は、第3ポンプ側流路813に設けられ、第1ポンプ側絞り851の絞り径より小さい絞り径が設定され、第3ポンプ側流路813における流体の流れを絞ることが可能である。
【0032】
本実施形態では、第1ポンプ側絞り851は、第2ポンプ側流路812において第2ポンプ側絞り部遮断弁832に対し真空ポンプ30側に設けられており、絞り径が第2ポンプ側流路812の流路径の約20%に設定されている。そのため、第1ポンプ側絞り851を通過する流体は、流量が約20%に絞られる。第2ポンプ側絞り852は、第3ポンプ側流路813において第3ポンプ側絞り部遮断弁833に対し真空ポンプ30側に設けられており、絞り径が第3ポンプ側流路813の流路径の約10%に設定されている。そのため、第2ポンプ側絞り852を通過する流体は、流量が約10%に絞られる。
【0033】
供給部側流路91は、流体供給部40とチャンバ20との間に設けられた第1供給部側流路911、および、流体供給部40とチャンバ20との間において第1供給部側流路911と並列に設けられた第2供給部側流路912を有している。
【0034】
本実施形態では、供給部間流路13は、供給部間流路131、供給部間流路133を有している。供給部間流路131は、一端がチャンバ20内に接続している。供給部側遮断弁60は、供給部間流路131に設けられている。供給部間流路133は、一端が流体供給部40の供給口に接続している。第1供給部側流路911、第2供給部側流路912は、それぞれが供給部間流路131の他端と供給部間流路133の他端とを接続するよう並列に設けられている。第1供給部側流路911、第2供給部側流路912の流路径は、同じに設定されている。
【0035】
供給部側絞り部遮断弁93は、第1供給部側絞り部遮断弁931、および、第2供給部側絞り部遮断弁932を有している。第1供給部側絞り部遮断弁931は、第1供給部側流路911に設けられ、開閉作動により第1供給部側流路911における流体の流通を許容または遮断可能である。第2供給部側絞り部遮断弁932は、第2供給部側流路912に設けられ、開閉作動により第2供給部側流路912における流体の流通を許容または遮断可能である。
【0036】
供給部側絞り95は、第1供給部側絞り951、および、第2供給部側絞り952を有している。第1供給部側絞り951は、第1供給部側流路911に設けられ、所定の絞り径が設定され、第1供給部側流路911における流体の流れを絞ることが可能である。第2供給部側絞り952は、第2供給部側流路912に設けられ、第1供給部側絞り951の絞り径より小さい絞り径が設定され、第2供給部側流路912における流体の流れを絞ることが可能である。
【0037】
本実施形態では、第1供給部側絞り951は、第1供給部側流路911において第1供給部側絞り部遮断弁931に対し流体供給部40側に設けられており、絞り径が第1供給部側流路911の流路径の約20%に設定されている。そのため、第1供給部側絞り951を通過する流体は、流量が約20%に絞られる。第2供給部側絞り952は、第2供給部側流路912において第2供給部側絞り部遮断弁932に対し流体供給部40側に設けられており、絞り径が第2供給部側流路912の流路径の約10%に設定されている。そのため、第2供給部側絞り952を通過する流体は、流量が約10%に絞られる。
【0038】
<4>本実施形態は、制御部10をさらに備える。制御部10は、真空計17により検出した圧力に基づき、真空ポンプ30、ポンプ側遮断弁50、供給部側遮断弁60、大気側遮断弁70、ポンプ側絞り部遮断弁83(第1ポンプ側絞り部遮断弁831、第2ポンプ側絞り部遮断弁832、第3ポンプ側絞り部遮断弁833)、供給部側絞り部遮断弁93(第1供給部側絞り部遮断弁931、第2供給部側絞り部遮断弁932)の作動を制御可能である。
【0039】
制御部10は、演算部としてのCPU、記憶部としてのROM、RAM等、入出力部としてのI/O等を有するコンピュータである。制御部10は、ROM等に格納されたプログラムに従い演算を実行し、真空ポンプ30、ポンプ側遮断弁50、供給部側遮断弁60、大気側遮断弁70、ポンプ側絞り部遮断弁83、供給部側絞り部遮断弁93の作動を制御する。このように、制御部10は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行する。このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。
【0040】
実際は、制御部10と、真空計17、真空ポンプ30、ポンプ側遮断弁50、供給部側遮断弁60、大気側遮断弁70、ポンプ側絞り部遮断弁83(第1ポンプ側絞り部遮断弁831、第2ポンプ側絞り部遮断弁832、第3ポンプ側絞り部遮断弁833)、供給部側絞り部遮断弁93(第1供給部側絞り部遮断弁931、第2供給部側絞り部遮断弁932)との間は、検出信号または指示信号を伝達するための信号線で接続されているが、図面が煩雑になることを避けるため、信号線の図示を省略している。
【0041】
次に、本実施形態の真空装置1による検査について説明する。
【0042】
本実施形態では、例えばモータ製品のコイル2の製造工程において、真空装置1を用いてコイル2のピンホール検査を行う。真空装置1の各部は、制御部10により作動が制御される。
【0043】
まず、検査の作業者は、検査対象としてのコイル2をチャンバ20内に配置し、チャンバ20の蓋を閉じる。その後、作業者は、制御部10による真空装置1の制御を開始する。
【0044】
<5>制御部10による真空装置1の制御に関する一連の処理S100を図2に示す。S100は、例えば作業者が制御部10による制御開始のスイッチを押すことにより開始される。
【0045】
S101では、制御部10は、大気側遮断弁70を開き、ポンプ側遮断弁50、供給部側遮断弁60、ポンプ側絞り部遮断弁83(第1ポンプ側絞り部遮断弁831、第2ポンプ側絞り部遮断弁832、第3ポンプ側絞り部遮断弁833)および供給部側絞り部遮断弁93(第1供給部側絞り部遮断弁931、第2供給部側絞り部遮断弁932)を閉じた状態で、真空ポンプ30を作動させる。S101の後、処理はS102に移行する。
【0046】
S102では、制御部10は、大気側遮断弁70を閉じ、ポンプ側遮断弁50および第1ポンプ側絞り部遮断弁831を開く。これにより、チャンバ20内の空気がポンプ間流路111、第1ポンプ側流路811、ポンプ間流路113を経由して真空ポンプ30に吸引される。これにより、チャンバ20内の圧力が低下する。S102の後、処理はS103に移行する。
【0047】
S103では、制御部10は、S102で大気側遮断弁70を閉じてから所定時間経過したか否かを判断する。所定時間経過したと判断した場合(S103:YES)、処理はS104に移行する。一方、所定時間経過していないと判断した場合(S103:NO)、処理はS103に戻る。
【0048】
S104では、制御部10は、真空計17によりチャンバ20内の圧力を検出する。S104の後、処理はS105に移行する。なお、制御部10は、S104以降、真空計17によるチャンバ20内の圧力の検出を継続する。
【0049】
S105では、制御部10は、S104で真空計17により検出したチャンバ20内の圧力が目標圧より低いか否か判断する。チャンバ20内の圧力は目標圧より低いと判断した場合(S105:YES)、処理はS106に移行する。一方、チャンバ20内の圧力は目標圧以上であると判断した場合(S105:NO)、処理はS107に移行する。なお、目標圧は、例えば100~1000Paの範囲内の圧力に設定されている。
【0050】
S106では、制御部10は、第1ポンプ側絞り部遮断弁831を閉じ、第2ポンプ側絞り部遮断弁832を開き、供給部側遮断弁60および第1供給部側絞り部遮断弁931を開く。これにより、チャンバ20内の空気がポンプ間流路111、第2ポンプ側流路812、第1ポンプ側絞り851、ポンプ間流路113を経由して真空ポンプ30に吸引されるとともに、流体供給部40から供給部間流路133、第1供給部側絞り951、第1供給部側流路911、供給部間流路131を経由してチャンバ20内に窒素が供給される。これにより、チャンバ20内の圧力が上昇する。S106の後、処理はS108に移行する。
【0051】
S107では、制御部10は、第1ポンプ側絞り部遮断弁831を閉じ、第2ポンプ側絞り部遮断弁832を開き、供給部側遮断弁60および第2供給部側絞り部遮断弁932を開く。これにより、チャンバ20内の空気がポンプ間流路111、第2ポンプ側流路812、第1ポンプ側絞り851、ポンプ間流路113を経由して真空ポンプ30に吸引されるとともに、流体供給部40から供給部間流路133、第2供給部側絞り952、第2供給部側流路912、供給部間流路131を経由してチャンバ20内に窒素が供給される。これにより、チャンバ20内の圧力が低下する。S107の後、処理はS108に移行する。
【0052】
S108では、制御部10は、真空計17により検出したチャンバ20内の圧力が目標圧になったか否か判断する。チャンバ20内の圧力は目標圧になったと判断した場合(S108:YES)、処理はS109に移行する。一方、チャンバ20内の圧力は目標圧になっていないと判断した場合(S108:NO)、処理はS108に戻る。
【0053】
S109では、制御部10は、第1供給部側絞り部遮断弁931が開いているか否か判断する。第1供給部側絞り部遮断弁931は開いていると判断した場合(S109:YES)、処理はS110に移行する。一方、第1供給部側絞り部遮断弁931は開いていない(閉じている)と判断した場合(S109:NO)、処理はS111に移行する。なお、S106の後にS109の処理に至った場合、第1供給部側絞り部遮断弁931は開いており、第2供給部側絞り部遮断弁932は閉じている。一方、S107の後にS109の処理に至った場合、第1供給部側絞り部遮断弁931は閉じており、第2供給部側絞り部遮断弁932は開いている。
【0054】
S110では、制御部10は、第2ポンプ側絞り部遮断弁832を閉じ、第3ポンプ側絞り部遮断弁833を開き、第1供給部側絞り部遮断弁931を閉じ、第2供給部側絞り部遮断弁932を開く。これにより、チャンバ20内の空気がポンプ間流路111、第3ポンプ側流路813、第2ポンプ側絞り852、ポンプ間流路113を経由して真空ポンプ30に吸引されるとともに、流体供給部40から供給部間流路133、第2供給部側絞り952、第2供給部側流路912、供給部間流路131を経由してチャンバ20内に窒素が供給される。これにより、チャンバ20内の圧力は、目標圧付近で安定する。S110の後、処理はS120に移行する。
【0055】
S111では、制御部10は、第2ポンプ側絞り部遮断弁832を閉じ、第3ポンプ側絞り部遮断弁833を開く。これにより、チャンバ20内の空気がポンプ間流路111、第3ポンプ側流路813、第2ポンプ側絞り852、ポンプ間流路113を経由して真空ポンプ30に吸引されるとともに、流体供給部40から供給部間流路133、第2供給部側絞り952、第2供給部側流路912、供給部間流路131を経由してチャンバ20内に窒素が供給される。これにより、チャンバ20内の圧力は、目標圧付近で安定する。S111の後、処理はS120に移行する。
【0056】
S120では、制御部10は、コイル2のピンホール検査のために待機する。ここで、検査の作業者は、コイル2に電圧を印加し、放電の有無を確認することでピンホール検査を実施する。コイル2の検査の完了後、処理はS121に移行する。
【0057】
S121では、制御部10は、ポンプ側遮断弁50および第3ポンプ側絞り部遮断弁833を閉じ、供給部側遮断弁60および第2供給部側絞り部遮断弁932を閉じ、大気側遮断弁70を開き、真空ポンプ30の作動を停止する。これにより、チャンバ20内の圧力が大気に開放される。S121の後、制御部10は、一連の処理S100を終了する。
【0058】
S100の終了後、作業者は、チャンバ20の蓋を開け、検査済のコイル2を取り出し、次の検査対象であるコイル2をチャンバ20内に配置する。以降、上記と同様にコイル2のピンホール検査を繰り返し実施する。
【0059】
本実施形態では、ポンプ側遮断弁50、供給部側遮断弁60、ポンプ側絞り部遮断弁83(第1ポンプ側絞り部遮断弁831、第2ポンプ側絞り部遮断弁832、第3ポンプ側絞り部遮断弁833)および供給部側絞り部遮断弁93(第1供給部側絞り部遮断弁931、第2供給部側絞り部遮断弁932)は、システム構成時に1度調整するのみで、制御部10により流量(開度)調整する制御機能は有していない。また、第1ポンプ側絞り851、第2ポンプ側絞り852、第1供給部側絞り951、第2供給部側絞り952は、S106においてチャンバ20内の圧力が上昇し、S107においてチャンバ20内の圧力が低下し、S110、S111においてチャンバ20内の圧力が目標圧付近で安定するよう、それぞれの絞り径が予め設定されている。
【0060】
次に、真空装置1の制御部10の制御による作動例(パターン1、パターン2)について図3に基づき説明する。
【0061】
時刻t0では、大気側遮断弁70が開き、ポンプ側遮断弁50、供給部側遮断弁60、ポンプ側絞り部遮断弁83(第1ポンプ側絞り部遮断弁831、第2ポンプ側絞り部遮断弁832、第3ポンプ側絞り部遮断弁833)および供給部側絞り部遮断弁93(第1供給部側絞り部遮断弁931、第2供給部側絞り部遮断弁932)が閉じた状態で、真空ポンプ30が作動しているため、チャンバ20内の圧力は大気圧と同じである。
【0062】
時刻t1で大気側遮断弁70が閉じ、ポンプ側遮断弁50および第1ポンプ側絞り部遮断弁831が開くと、その後、チャンバ20内の圧力は高速で低下する。
【0063】
パターン1では、時刻t1から所定時間経過後の時刻t2において、チャンバ20内の圧力が目標圧より低くなっている。時刻t2で第1ポンプ側絞り部遮断弁831が閉じ、第2ポンプ側絞り部遮断弁832が開き、第1供給部側絞り部遮断弁931が開くと、その後、チャンバ20内の圧力は徐々に上昇する。
【0064】
一方、パターン2では、時刻t1から所定時間経過後の時刻t2において、チャンバ20内の圧力が目標圧以上になっている。時刻t2で第1ポンプ側絞り部遮断弁831が閉じ、第2ポンプ側絞り部遮断弁832が開き、第2供給部側絞り部遮断弁932が開くと、その後、チャンバ20内の圧力は徐々に低下する。
【0065】
<6>時刻t3でチャンバ20内の圧力が目標圧になると、第2ポンプ側絞り部遮断弁832が閉じ、第3ポンプ側絞り部遮断弁833が開き、第1供給部側絞り部遮断弁931が閉じ、第2供給部側絞り部遮断弁932が開くと、その後、チャンバ20内の圧力は、目標圧付近で安定する。
【0066】
時刻t3以降、コイル2のピンホール検査が実施される。コイル2の検査が完了すると、時刻t4で第3ポンプ側絞り部遮断弁833および第2供給部側絞り部遮断弁932が閉じ、大気側遮断弁70が開く。その後、チャンバ20内の圧力が大気に開放される。
【0067】
図3に示すように、時刻t1において大気圧と同じであったチャンバ20内の圧力は、短時間(時刻t1~t3)で目標圧に達している。また、コイル2の検査中(時刻t3~t4)、チャンバ20内の真空度は低真空領域で安定している。
【0068】
以上説明したように、<1>本実施形態では、ポンプ側絞り部80は、3つのポンプ側流路81、ポンプ側絞り部遮断弁83、および、ポンプ側絞り85を有している。ポンプ側流路81は、チャンバ20と真空ポンプ30との間の流体が流通可能である。ポンプ側絞り部遮断弁83は、3つのポンプ側流路81のそれぞれに設けられ、開閉作動によりポンプ側流路81における流体の流通を許容または遮断可能である。ポンプ側絞り85は、3つのポンプ側流路81のうち2つに設けられ、ポンプ側流路81における流体の流れを絞ることが可能である。
【0069】
供給部側絞り部90は、2つの供給部側流路91、供給部側絞り部遮断弁93、および、供給部側絞り95を有する。供給部側流路91は、流体供給部40とチャンバ20との間の流体が流通可能である。供給部側絞り部遮断弁93は、2つの供給部側流路91のそれぞれに設けられ、開閉作動により供給部側流路91における流体の流通を許容または遮断可能である。供給部側絞り95は、2つの供給部側流路91のそれぞれに設けられ、供給部側流路91における流体の流れを絞ることが可能である。
【0070】
本実施形態では、上記の簡単な構成において、真空ポンプ30を作動させながら、大気側遮断弁70、ポンプ側絞り部遮断弁83、供給部側絞り部遮断弁93を単に開閉作動させるという簡単な制御で、チャンバ20内を大気圧から高速で低真空領域(圧)に安定させることができる。
【0071】
したがって、検査対象の検査時において、大気圧からの真空引き、および、真空度安定に掛かる時間を短縮することができ、生産性を向上できる。
【0072】
また、<2>本実施形態は、ポンプ側遮断弁50および供給部側遮断弁60をさらに備える。ポンプ側遮断弁50は、開閉作動によりチャンバ20と真空ポンプ30との間の流体の流通を許容または遮断可能である。供給部側遮断弁60は、開閉作動によりチャンバ20と流体供給部40との間の流体の流通を許容または遮断可能である。
【0073】
ポンプ側遮断弁50および供給部側遮断弁60により、チャンバ20と真空ポンプ30との間、および、チャンバ20と流体供給部40との間の流体の流通をより確実に制御できる。
【0074】
また、<3>本実施形態では、ポンプ側流路81は、チャンバ20と真空ポンプ30との間に設けられた第1ポンプ側流路811、チャンバ20と真空ポンプ30との間において第1ポンプ側流路811と並列に設けられた第2ポンプ側流路812、および、チャンバ20と真空ポンプ30との間において第1ポンプ側流路811および第2ポンプ側流路812と並列に設けられた第3ポンプ側流路813を有している。
【0075】
ポンプ側絞り部遮断弁83は、第1ポンプ側絞り部遮断弁831、第2ポンプ側絞り部遮断弁、および、第3ポンプ側絞り部遮断弁を有している。第1ポンプ側絞り部遮断弁831は、第1ポンプ側流路811に設けられ、開閉作動により第1ポンプ側流路811における流体の流通を許容または遮断可能である。第2ポンプ側絞り部遮断弁832は、第2ポンプ側流路812に設けられ、開閉作動により第2ポンプ側流路812における流体の流通を許容または遮断可能である。第3ポンプ側絞り部遮断弁833は、第3ポンプ側流路813に設けられ、開閉作動により第3ポンプ側流路813における流体の流通を許容または遮断可能である。
【0076】
ポンプ側絞り85は、第1ポンプ側絞り851、および、第2ポンプ側絞り852を有している。第1ポンプ側絞り851は、第2ポンプ側流路812に設けられ、所定の絞り径が設定され、第2ポンプ側流路812における流体の流れを絞ることが可能である。第2ポンプ側絞り852は、第3ポンプ側流路813に設けられ、第1ポンプ側絞り851の絞り径より小さい絞り径が設定され、第3ポンプ側流路813における流体の流れを絞ることが可能である。
【0077】
供給部側流路91は、流体供給部40とチャンバ20との間に設けられた第1供給部側流路911、および、流体供給部40とチャンバ20との間において第1供給部側流路911と並列に設けられた第2供給部側流路912を有している。
【0078】
供給部側絞り部遮断弁93は、第1供給部側絞り部遮断弁931、および、第2供給部側絞り部遮断弁932を有している。第1供給部側絞り部遮断弁931は、第1供給部側流路911に設けられ、開閉作動により第1供給部側流路911における流体の流通を許容または遮断可能である。第2供給部側絞り部遮断弁932は、第2供給部側流路912に設けられ、開閉作動により第2供給部側流路912における流体の流通を許容または遮断可能である。
【0079】
供給部側絞り95は、第1供給部側絞り951、および、第2供給部側絞り952を有している。第1供給部側絞り951は、第1供給部側流路911に設けられ、所定の絞り径が設定され、第1供給部側流路911における流体の流れを絞ることが可能である。第2供給部側絞り952は、第2供給部側流路912に設けられ、第1供給部側絞り951の絞り径より小さい絞り径が設定され、第2供給部側流路912における流体の流れを絞ることが可能である。
【0080】
本実施形態は、ポンプ側絞り部80および供給部側絞り部90の具体的な構成について示すものである。
【0081】
また、<4>本実施形態は、制御部10をさらに備える。制御部10は、真空計17により検出した圧力に基づき、真空ポンプ30、大気側遮断弁70、ポンプ側絞り部遮断弁83、供給部側絞り部遮断弁93の作動を制御可能である。
【0082】
制御部10により、自動で、チャンバ20内を大気圧から高速で低真空領域に安定させることができる。
【0083】
また、<5>本実施形態では、制御部10は、大気側遮断弁70を開いた状態、かつ、ポンプ側絞り部遮断弁83および供給部側絞り部遮断弁93を閉じた状態で、真空ポンプ30を作動させ、大気側遮断弁70を閉じ、第1ポンプ側絞り部遮断弁831を開く。
【0084】
制御部10は、大気側遮断弁70を閉じてから所定時間経過後の時点であるタイマ時間到達時点において、真空計17により検出した圧力が目標圧より低い場合、第1ポンプ側絞り部遮断弁831を閉じ、第2ポンプ側絞り部遮断弁832を開き、第1供給部側絞り部遮断弁931を開く。
【0085】
制御部10は、タイマ時間到達時点において、真空計17により検出した圧力が目標圧以上の場合、第1ポンプ側絞り部遮断弁831を閉じ、第2ポンプ側絞り部遮断弁832を開き、第2供給部側絞り部遮断弁932を開く。
【0086】
制御部10は、タイマ時間到達時点の後、真空計17により検出した圧力が目標圧になった時点である目標圧到達時点において、第1供給部側絞り部遮断弁931が開いていた場合、第2ポンプ側絞り部遮断弁832を閉じ、第3ポンプ側絞り部遮断弁833を開き、第1供給部側絞り部遮断弁931を閉じ、第2供給部側絞り部遮断弁932を開く。
【0087】
制御部10は、目標圧到達時点において、第1供給部側絞り部遮断弁931が閉じていた場合、第2ポンプ側絞り部遮断弁832を閉じ、第3ポンプ側絞り部遮断弁833を開く。
【0088】
制御部10による大気側遮断弁70、ポンプ側絞り部遮断弁83および供給部側絞り部遮断弁93の単純な開閉制御により、チャンバ20内を大気圧から高速で低真空領域に安定させることができる。
【0089】
また、<6>本実施形態では、第3ポンプ側絞り部遮断弁833および第2供給部側絞り部遮断弁932が開いた状態でチャンバ20内の圧力が目標圧付近で安定している。
【0090】
本実施形態では、第3ポンプ側絞り部遮断弁833および第2供給部側絞り部遮断弁932をシステム構成時に1度調整しておくことで、検査中、流量調整等の複雑な制御を行うことなく、第3ポンプ側絞り部遮断弁833および第2供給部側絞り部遮断弁932が開いた状態でチャンバ20内の圧力を目標圧付近に安定させることができる。
【0091】
(他の実施形態)
他の実施形態では、ポンプ側流路およびポンプ側絞り部遮断弁は、4つ以上設けられていてもよい。また、ポンプ側絞りは、3つ以上のポンプ側流路の少なくとも2つに設けられるのであれば、いくつ設けられていてもよい。また、供給部側流路、供給部側絞り部遮断弁および供給部側絞りは、3つ以上設けられていてもよい。
【0092】
また、他の実施形態では、ポンプ側遮断弁および供給部側遮断弁を備えていなくてもよい。この場合でも、大気側遮断弁、ポンプ側絞り部遮断弁および供給部側絞り部遮断弁を単に開閉作動させることで、チャンバ内を大気圧から高速で低真空領域に安定させることができる。
【0093】
また、他の実施形態では、制御部を備えていなくてもよい。この場合でも、例えば作業者が、真空計により検出した圧力に基づき、ポンプ側絞り部遮断弁等を単に開閉操作することにより、手動で、チャンバ内を大気圧から高速で低真空領域に安定させることができる。
【0094】
また、上述の実施形態では、流体供給部がチャンバ内に供給する「流体」が「窒素」である例を示した。これに対し、他の実施形態では、流体供給部がチャンバ内に供給する「流体」は、例えば空気等、窒素以外の流体(気体)であってもよい。
【0095】
また、真空装置による検査対象としては、モータ製品に用いられるコイルに限らず、絶縁被膜により覆われた導体等を想定できる。
【0096】
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【0097】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 真空装置、2 コイル(検査対象)、17 真空計、20 チャンバ、30 真空ポンプ、40 流体供給部、70 大気側遮断弁、80 ポンプ側絞り部、81 ポンプ側流路、83 ポンプ側絞り部遮断弁、85 ポンプ側絞り、90 供給部側絞り部、91 供給部側流路、93 供給部側絞り部遮断弁、95 供給部側絞り
図1
図2
図3