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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145752
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241004BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20241004BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 305
B41J2/175 119
B41J2/175 133
B41J2/17 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058236
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】辻村 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】田村 光
(72)【発明者】
【氏名】森本 尚央
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056HA28
2C056JC13
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】ロール収容部および液体貯留部に容易にアクセスでき、ロール収容部に収容されたロールが液体によって汚染されることを抑制できる手段を提供する。
【解決手段】複合機1は、ロール紙Rが巻かれて形成されたロールQを収容する第2給送トレイ25と、ロールQから引き出されたロール紙Rにインクを吐出して画像を記録する画像記録部30と、インクを貯留するインクタンク40と、筐体21とを備えている。筐体21は、第2給送トレイ25、画像記録部30、およびインクタンク40を収容する。第2給送トレイ25は位置P1に位置し、インクタンク40は位置P2に位置する。第2給送トレイ25およびインクタンク40は、筐体21の前方からアクセス可能で、かつ、平面視で互いに重ならない位置に位置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が巻かれて形成されたロールを収容するロール収容部と、
上記ロールから引き出された上記媒体に液体を吐出して画像を記録する画像記録部と、
液体を貯留する液体貯留部と、
上記ロール収容部、上記画像記録部、および上記液体貯留部を収容する筐体とを備え、
上記ロール収容部および上記液体貯留部は、上記筐体の前方からアクセス可能で、かつ、平面視で互いに重ならない位置に位置する画像記録装置。
【請求項2】
上記ロール収容部および上記液体貯留部は、正面視でも互いに重ならない位置に位置する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記ロール収容部の下端は、上記液体貯留部の上端より高い位置に位置する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記ロール収容部および上記液体貯留部は、側面視でも互いに重ならない位置に位置する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記筐体の前面の一部を構成する第1壁を有し、上記第1壁の下端を回動軸として、上記液体貯留部の前面を覆う第1位置と、上記液体貯留部の前面を露出させる第2位置とに回動可能なカバーをさらに備え、
上記カバーが上記第2位置に位置するときに、上記第1壁は水平方向に延在する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記カバーは、第2壁をさらに有し、
上記カバーが上記第2位置に位置するときに、上記第2壁は鉛直方向に延在し、正面視で上記第1壁と上記ロール収容部との間に位置する請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記カバーの下に位置し、上記第2位置を超えて上記カバーを回動させる力が作用したときに上記第1壁の一部に当接し、上記カバーのさらなる回動を規制する規制部材をさらに備えた請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記筐体の前後方向に挿抜可能で、内部に上記ロール収容部が位置するロール供給トレイをさらに備え、
上記ロール供給トレイの上端は、上記液体貯留部の下端より低い位置に位置し、
上記ロール供給トレイは、上記筐体の前方に突出した突出部を有し、
上記突出部の上面を含む部分が、上記規制部材である請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記ロール供給トレイ内の前方には上記ロール収容部が位置し、後方には媒体を積層した状態で収容可能な媒体収容部が位置する請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記液体貯留部は、インクの貯留室と、上記インクの注入口とを有し、上記筐体内に固定されたインクタンクを含む請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項11】
上記液体貯留部は、インクの貯留室と、上記インクの供給口とを有し、上記筐体内に着脱可能なインクカートリッジを含む請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項12】
上記液体貯留部は、廃液の貯留室と、上記廃液の受入口とを有し、上記筐体内に着脱可能な廃液ボックスを含む請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項13】
上記液体貯留部は、インクの貯留室を有するインク貯留部をさらに含み、
上記廃液ボックスの上端は、上記インク貯留部の下端より低い位置に位置する請求項12に記載の画像記録装置。
【請求項14】
上記液体貯留部は、インクの貯留室を有するインク貯留部をさらに含み、
上記インク貯留部の上端は、上記廃液ボックスの下端より低い位置に位置する請求項12に記載の画像記録装置。
【請求項15】
上記ロール収容部に収容された上記ロールの前端は、上記液体貯留部の前端より後方に位置する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項16】
上記筐体の前後方向に挿抜可能で、内部に上記ロール収容部が位置するロール供給トレイをさらに備え、
上記ロール供給トレイは、上記液体貯留部と平面視で互いに重ならない位置に位置する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項17】
上記筐体の前後方向に挿抜可能で、内部に上記ロール収容部が位置するロール排紙トレイをさらに備え、
上記ロール排紙トレイは、上記液体貯留部と平面視で互いに重ならない位置に位置する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項18】
媒体を積層した状態で収容可能な媒体トレイをさらに備え、
上記ロール供給トレイの前端は、上記媒体トレイの前端より後方に位置する請求項16に記載の画像記録装置。
【請求項19】
上記ロール供給トレイの底面には、上記ロールが直接載置される請求項16に記載の画像記録装置。
【請求項20】
上記ロール供給トレイには、上記ロールが、当該ロールの外周面が上記ロール供給トレイの底面に接触することなく収容される請求項16に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールから引き出された媒体に画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールから引き出された媒体に画像を記録する画像記録装置は、筐体内に、画像記録部、ロール収容部、液体貯留部などを備えている。液体貯留部は、筐体内に固定されたインクタンク、着脱可能なインクカートリッジ、着脱可能な廃液ボックスなどである。利用者は、ロールが消費されると、ロール収容部に新しいロールを供給する。インクタンクに貯留されたインクが少なくなると、インクタンクにインクを注ぎ足す。インクカートリッジに貯留されたインクが少なくなると、インクカートリッジを交換する。廃液ボックスに貯留された廃液が多くなると、廃液ボックスを交換する。
【0003】
特許文献1には、ロール紙を前方に収容可能で筐体に挿抜可能な給送トレイを備えた画像記録装置が記載されている。この画像記録装置は、給送ローラによる給送開始前に、給送トレイの所定位置に所定の用紙が配置されているかを検知可能な複数の検出部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-104671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像記録装置では、利用者が、ロールの供給、インクの注ぎ足し、インクカートリッジの交換、廃液ボックスの交換などを容易に行えることが好ましい。利用者がこれらの操作を容易に行うために、ロール収容部および液体貯留部は、筐体の前方からアクセス可能であることが好ましい。
【0006】
画像記録装置の筐体には、インクタンクなどを覆うカバーが設けられる。利用者は、インクタンクにインクを注ぎ足すときに、インクタンクを覆うカバーを開け、手に持ったインクボトルからインクタンクにインクを注ぐ。このときにインクがこぼれることがあり、こぼれたインクがカバー上に落ちることがある。利用者がインクの補充を完了しカバーを閉じると、カバー上に落ちたインクは重力に従い下方へ流れる。下方へ流れたインクはロール収容部に到達する可能性があり、ロール収容部に収容されたロールを汚染するおそれがある。
【0007】
カートリッジの交換時にも、取り外されたカートリッジから漏れたインクが、カートリッジを覆うカバー上に落ちることがある。廃液ボックスの交換時も、これと同様である。このため、カートリッジまたは廃液ボックスの交換時にも、ロール収容部に収容されたロールがインクまたは廃液で汚染されることがある。ロールは定形サイズなどにカットされた媒体より高価であることが多いので、上記の課題を解決する必要性は高い。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロール収容部および液体貯留部に容易にアクセスでき、ロール収容部に収容されたロールが液体によって汚染されることを抑制できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の画像記録装置は、媒体が巻かれて形成されたロールを収容するロール収容部と、上記ロールから引き出された上記媒体に液体を吐出して画像を記録する画像記録部と、液体を貯留する液体貯留部と、上記ロール収容部、上記画像記録部、および上記液体貯留部を収容する筐体とを備えている。上記ロール収容部および上記液体貯留部は、上記筐体の前方からアクセス可能で、かつ、平面視で互いに重ならない位置に位置する。
【0010】
上記画像記録装置によれば、ロール収容部および液体貯留部に筐体の前方からアクセス可能な画像記録装置において、液体貯留部に対する操作により液体がこぼれたときに、こぼれた液体は主に下方に流れる。このため、ロール収容部および液体貯留部を平面視で互いに重ならない位置に配置することにより、こぼれた液体はロール収容部に到達しにくい。したがって、ロール収容部および液体貯留部に容易にアクセスでき、ロール収容部に収容されたロールが液体によって汚染されることを抑制できる。
【0011】
(2) 好ましくは、上記ロール収容部および上記液体貯留部は、正面視でも互いに重ならない位置に位置してもよい。
【0012】
(3) 好ましくは、上記ロール収容部の下端は、上記液体貯留部の上端より高い位置に位置してもよい。
【0013】
(4) 好ましくは、上記ロール収容部および上記液体貯留部は、側面視でも互いに重ならない位置に位置してもよい。
【0014】
(5) 好ましくは、上記画像記録装置は、上記筐体の前面の一部を構成する第1壁を有し、上記第1壁の下端を回動軸として、上記液体貯留部の前面を覆う第1位置と、上記液体貯留部の前面を露出させる第2位置とに回動可能なカバーをさらに備え、上記カバーが上記第2位置に位置するときに、上記第1壁は水平方向に延在してもよい。
【0015】
(6) 好ましくは、上記カバーは、第2壁をさらに有し、上記カバーが上記第2位置に位置するときに、上記第2壁は鉛直方向に延在し、正面視で上記第1壁と上記ロール収容部との間に位置してもよい。
【0016】
(7) 好ましくは、上記画像記録装置は、上記カバーの下に位置し、上記第2位置を超えて上記カバーを回動させる力が作用したときに上記第1壁の一部に当接し、上記カバーのさらなる回動を規制する規制部材をさらに備えていてもよい。
【0017】
(8) 好ましくは、上記画像記録装置は、上記筐体の前後方向に挿抜可能で、内部に上記ロール収容部が位置するロール供給トレイをさらに備え、上記ロール供給トレイの上端は、上記液体貯留部の下端より低い位置に位置し、上記ロール供給トレイは、上記筐体の前方に突出した突出部を有し、上記突出部の上面を含む部分が、上記規制部材であってもよい。
【0018】
(9) 好ましくは、上記ロール供給トレイ内の前方には上記ロール収容部が位置し、後方には媒体を積層した状態で収容可能な媒体収容部が位置してもよい。
【0019】
(10) 好ましくは、上記液体貯留部は、インクの貯留室と、上記インクの注入口とを有し、上記筐体内に固定されたインクタンクを含んでいてもよい。
【0020】
(11) 好ましくは、上記液体貯留部は、インクの貯留室と、上記インクの供給口とを有し、上記筐体内に着脱可能なインクカートリッジを含んでいてもよい。
【0021】
(12) 好ましくは、上記液体貯留部は、廃液の貯留室と、上記廃液の受入口とを有し、上記筐体内に着脱可能な廃液ボックスを含んでいてもよい。
【0022】
(13) 好ましくは、上記液体貯留部は、インクの貯留室を有するインク貯留部をさらに含み、上記廃液ボックスの上端は、上記インク貯留部の下端より低い位置に位置してもよい。
【0023】
(14) 好ましくは、上記液体貯留部は、インクの貯留室を有するインク貯留部をさらに含み、上記インク貯留部の上端は、上記廃液ボックスの下端より低い位置に位置してもよい。
【0024】
(15) 好ましくは、上記ロール収容部に収容された上記ロールの前端は、上記液体貯留部の前端より後方に位置してもよい。
【0025】
(16) 好ましくは、上記画像記録装置は、上記筐体の前後方向に挿抜可能で、内部に上記ロール収容部が位置するロール供給トレイをさらに備え、上記ロール供給トレイは、上記液体貯留部と平面視で互いに重ならない位置に位置してもよい。
【0026】
(17) 好ましくは、上記画像記録装置は、上記筐体の前後方向に挿抜可能で、内部に上記ロール収容部が位置するロール排紙トレイをさらに備え、上記ロール排紙トレイは、上記液体貯留部と平面視で互いに重ならない位置に位置してもよい。
【0027】
(18) 好ましくは、上記画像記録装置は、媒体を積層した状態で収容可能な媒体トレイをさらに備え、上記ロール供給トレイの前端は、上記媒体トレイの前端より後方に位置してもよい。
【0028】
(19) 好ましくは、上記ロール供給トレイの底面には、上記ロールが直接載置されてもよい。
【0029】
(20) 好ましくは、上記ロール供給トレイには、上記ロールが、当該ロールの外周面が上記ロール供給トレイの底面に接触することなく収容されてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ロール収容部および液体貯留部に容易にアクセスでき、ロール収容部に収容されたロールが液体によって汚染されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の実施形態に係る複合機1の斜視図である。
図2図2(A)から図2(C)は、それぞれ、複合機1の平面図、正面図、および右側面図である。
図3図3は、複合機1の画像記録部30の構成を示す模式図である。
図4図4(A)は、複合機1の第2給送トレイ25の概略を示す平面図であり、図4(B)は、第2給送トレイ25の構成を示す模式図である。
図5図5(A)から図5(C)は、それぞれ、複合機1の第2給送トレイ25の位置P1とインクタンク40の位置P2とを示す平面図、正面図、および右側面図である。
図6図6(A)は、開放状態のカバー27を示す斜視図であり、図6(B)は、開放状態のカバー27の下に位置する前壁47を示す右側面図である。
図7図7(A)から図7(C)は、それぞれ、複合機1における第2給送トレイ25の位置P1とインクタンク40の位置P2と廃液ボックス50の位置P3とを示す平面図、正面図、および右側面図である。
図8図8(A)から図8(C)は、それぞれ、複合機1における第1給送トレイ24の位置P4と第2給送トレイ25の位置P1とを示す平面図、正面図、および右側面図である。
図9図9(A)は、変形例に係る複合機における第2給送トレイ25の位置P5とインクタンク40の位置P6とを示す正面図であり、図9(B)は、変形例に係る複合機において開放状態のカバー27の下に位置する第2給送トレイ25の突出部71を示す右側面図である。
図10図10(A)は、変形例に係る複合機における第2給送トレイ25の位置P1とインクタンク40の位置P7と廃液ボックス50の位置P8とを示す正面図であり、図10(B)は、変形例に係る複合機に着脱されるインクカートリッジ80の構成を示す断面図である。
図11図11(A)および図11(B)は、変形例に係る複合機における第2給送トレイ25の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、操作部22および表示部23が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機1を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、および左右方向9は、互いに直交している。
【0033】
[複合機1の概要]
図1および図2に示されるように、本発明の実施形態に係る複合機1は、読取ユニット10と、本体ユニット20とを備えている。本体ユニット20は、読取ユニット10の下に位置する。複合機1は、画像を読み取る機能、画像を記録する機能などを有する。複合機1は、画像記録装置の一例である。
【0034】
読取ユニット10は、給紙トレイ11と、排紙トレイ12と、ADF部(図示せず)とを有する。ADF(Automatic Document Feeder)部は、読取ユニット10の内部に位置する。本体ユニット20は、筐体21と、画像読取部(図示せず)と、画像記録部30(図3参照)と、操作部22と、表示部23と、第1給送トレイ24と、第2給送トレイ25と、排出トレイ26とを有する。
【0035】
給紙トレイ11には、画像が記録された1枚または複数のシートが載置される。ADF部は、給紙トレイ11に載置されたシートを1枚ずつ読取ユニット10内の搬送路(図示せず)に沿って搬送する。画像読取部は、ADF部によって搬送されたシートから画像を読み取る。ADF部は、画像を読み取った後のシートを排紙トレイ12まで搬送する。
【0036】
画像記録部30は、インクジェット方式またはレーザ方式などにより、複合機1に接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から受信された画像データや、読取ユニット10で読み取られた画像データに基づき、シートS、またはロールQから引き出されたロール紙Rに画像を記録する。ロール紙Rは、媒体の一種である。
【0037】
複合機1は、通信可能に接続されたファクシミリ装置(図示せず)からファクシミリデータを受信し、受信したファクシミリデータに基づき画像記録部30で画像を記録する機能(FAX受信機能)や、読取ユニット10で読み取られた画像データに基づきファクシミリデータを生成し、生成したファクシミリデータを通信可能に接続されたファクシミリ装置に送信する機能(FAX送信機能)などを有していてもよい。
【0038】
[画像記録部30]
図1および図2に示されるように、筐体21は、概ね直方体形状を有する。筐体21の内部には、画像読取部と、画像記録部30と、第1給送トレイ24と、第2給送トレイ25と、排出トレイ26とが位置する。図3に示されるように、画像記録部30は、給送ローラ31と、搬送ローラ32と、キャリッジ33と、ヘッド34と、プラテン36と、排出ローラ37と、4個のインクタンク40と、4本のチューブ38と、メンテナンス部39と、廃液ボックス50とが位置する。ヘッド34は、下面に複数のノズル35を有し、キャリッジ33に搭載されている。プラテン36は、ヘッド34に対面する。チューブ38は、インクタンク40とヘッド34とを連通させる。なお、図面の簡略化のため、図3では第1給送トレイ24は省略されており、1個のインクタンク40と1本のチューブ38のみが記載されている。
【0039】
第1給送トレイ24には、積層状態のシートSが収容される。第2給送トレイ25には、積層状態のシートS、または、ロール紙Rが巻かれて形成されたロールQが収容される。画像記録部30は、給送ローラ31および搬送ローラ32などを駆動して、第1給送トレイ24内のシートS、第2給送トレイ25内のシートS、または、第2給送トレイ25内のロールQから引き出されたロール紙Rを搬送路(図3において一点鎖線で示される経路)に沿ってプラテン36の位置まで搬送する。画像記録部30は、インクタンク40からチューブ38を経由して供給されるインクを、ヘッド34のノズル35から吐出させる。これにより、プラテン36に支持されたシートSまたはロール紙Rにインクが着弾し、シートSまたはロール紙R上に画像が記録される。画像記録部30は、排出ローラ37を駆動して、画像が記録されたシートSまたはロール紙Rを排出トレイ26に排出する。
【0040】
キャリッジ33は、左右方向9に延伸する2本のガイドレール(図示せず)によって支持されており、搬送ローラ32による搬送方向(前後方向8)と交差する左右方向9に往復移動する。画像記録部30は、キャリッジ33が左右方向9に移動する間に、ヘッド34のノズル35からインクを吐出させる。これにより、ヘッド34に対面するシートSまたはロール紙Rの一部の領域に画像が記録される。画像記録部30は、次に画像が記録されるべき領域がヘッド34に対面するように、搬送ローラ32にシートSまたはロール紙Rを搬送させる。これらの処理を交互に繰り返し実行させることにより、シートSまたはロール紙R上に画像が記録される。このように画像記録部30は、ロールQから引き出されたロール紙Rにインクを吐出して画像を記録する。
【0041】
[第1給送トレイ24、第2給送トレイ25、および排出トレイ26]
図2(B)および図2(C)に示されるように、第1給送トレイ24、第2給送トレイ25、および排出トレイ26は、筐体21の前面側に位置し、筐体21の前後方向8に挿抜可能である。第1給送トレイ24から画像記録部30には、シートSが1枚ずつ搬送路に沿って搬送される。第2給送トレイ25から画像記録部30には、シートSが1枚ずつ搬送路に沿って搬送されるか、またはロールQから引き出されたロール紙Rが搬送路に沿って搬送される。排出トレイ26には、画像記録後のシートSまたはロール紙Rが排出される。
【0042】
図4(A)に示されるように、第2給送トレイ25は、ロールQを収容する第1収容部61と、シートSを収容する第2収容部62とを有する。第1収容部61は、前後方向8において第2収容部62より前方に位置する。
【0043】
図4(B)に示されるように、第2給送トレイ25には、ロールQが直接載置される。具体的には、ロールQは、第2給送トレイの底面29のうち第1収容部61の位置に直接載置される。なお、直接載置とは、第2給送トレイ25の底面29に接触するように置かれることをいう。シートSおよびロール紙Rは、媒体の一例である。第1給送トレイ24は、媒体トレイの一例である。第2給送トレイ25は、ロール供給トレイの一例である。第2給送トレイ25および第1収容部61は、ロール収容部の一例である。第2収容部62は、媒体収容部の一例である。
【0044】
[インクタンク40]
図3に示されるように、インクタンク40は、インクの貯留室41と、インクの注入口42とを有する。貯留室41は、特定の色のインクを貯留する。注入口42にはキャップ43が嵌合しており、注入口42はキャップ43によって塞がれている。インクは、液体の一例である。インクタンク40は、液体貯留部およびインク貯留部の一例である。
【0045】
[廃液ボックス50]
図3に示されるように、廃液ボックス50は、廃液の貯留室51と、廃液の受入口52とを有する。廃液ボックス50は、筐体21内に着脱可能に構成される。廃液ボックス50は、筐体21内に装着された状態においてメンテナンス部39に接続され、メンテナンス部39から排出された廃液を貯留する。廃液は、液体の一例である。廃液ボックス50は、液体貯留部の一例である。
【0046】
画像記録部30が画像を記録するときに、ヘッド34のノズル面にインクが付着したり、ヘッド34内にインクが残ったりすることがある。メンテナンス部39は、例えば、利用者からの指示に従い、ヘッド34のノズル面に付着したインクを拭うワイプ処理や、ヘッド34内のインクをノズル35から強制的に吐出させるパージ処理などを行う。ワイプ処理で拭われたインクや、パージ処理でノズル35から吐出されたインクは、廃液として廃液ボックス50に貯留される。廃液は、画像記録で使用されなかったインクである。
【0047】
[第2給送トレイ25とインクタンク40の位置]
筐体21は、第2給送トレイ25、画像記録部30、およびインクタンク40などを収容する。上述されたように、第2給送トレイ25は、筐体21の前面側に位置し、筐体21の前後方向8に挿抜可能である。インクタンク40も、筐体21の前面側に位置する。利用者は、筐体21の前方からインクタンク40にインクを注入できる。第2給送トレイ25とインクタンク40とは、筐体21の前方からアクセス可能である。
【0048】
図5(A)から図5(C)には、第2給送トレイ25の位置P1と、インクタンク40の位置P2とが示されている。第2給送トレイ25は、図5(A)から図5(C)に示される位置P1に位置する。インクタンク40は、図5(A)から図5(C)に示される位置P2に位置する。
【0049】
図5(A)に示されるように、第2給送トレイ25とインクタンク40とは、平面視で互いに重ならない位置に位置する。図5(B)に示されるように、第2給送トレイ25とインクタンク40とは、正面視でも互いに重ならない位置に位置する。図5(C)に示されるように、第2給送トレイ25とインクタンク40とは、側面視でも互いに重ならない位置に位置する。
【0050】
インクタンク40は、左右方向9において、第2給送トレイ25より右に位置する。具体的には、インクタンク40の位置P2の左端は、第2給送トレイ25の位置P1の右端より右に位置する(図5(A)および図5(B))。インクタンク40は、上下方向7において、第2給送トレイ25より上に位置する。具体的には、インクタンク40の位置P2の下端は、第2給送トレイ25の位置P1の上端より上に位置する(図5(B)および図5(C))。
【0051】
第2給送トレイ25の位置P1の前端は、インクタンク40の位置P2の前端より後方に位置する(図5(A)および図5(C))。ロールQは第2給送トレイ25に収容されるので、第2給送トレイ25に収容されたロールQの前端は、インクタンク40の前端より後方に位置する。
【0052】
[カバー27]
図1に示されるように、筐体21の前面の右上端部にはカバー27が位置する。カバー27の位置には、図6(A)に示される開口28が形成されている。開口28の奥に広がる筐体21内部の空間には、4個のインクタンク40が位置する。4個のインクタンク40は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックのインクを貯留する。
【0053】
カバー27は、下端を回動軸として回動可能に筐体21に取り付けられる。カバー27は、インクタンク40の前面を覆う被覆位置(図1に示される位置)と、インクタンク40の前面を露出させる開放位置(図6(A)に示される位置)との間を回動可能である。被覆位置は、第1位置の一例である。開放位置は、第2位置の一例である。
【0054】
カバー27は、主壁44、主壁44と直交する仕切壁45などを有する。カバー27は、主壁44の下端を回動軸として回動する。カバー27が被覆位置に位置するとき(図1)、主壁44は上下方向7および左右方向9に延在し、筐体21の前面の一部を構成する。カバー27が開放位置に位置するとき(図6(A))、主壁44は前後方向8および左右方向9に延在する。このとき、主壁44は水平方向に延在する。
【0055】
仕切壁45は、主壁44の左端に連結されている。図2(B)に示されるように、カバー27は、左右方向9において第2給送トレイ25より右に位置する。仕切壁45は、カバー27の位置にかかわらず、上下方向7および前後方向8に延在する。カバー27が開放位置に位置するとき(図6(A))、仕切壁45は鉛直方向に延在し、正面視で主壁44と第2給送トレイ25との間に位置する。主壁44は、第1壁の一例である。仕切壁45は、第2壁の一例である。
【0056】
利用者は、インクタンク40にインクを注ぎ足すときに、カバー27を開放位置まで回動させて、インクタンク40の前面を露出させる。図6(A)に示されるように、カバー27の主壁44の裏面には、4個のキャップ43に対応して4個のキャップ置き場46が設けられている。利用者は、注入口42からキャップ43を外し、外したキャップ43をキャップ置き場46に置く。利用者は、手に持ったインクボトル(図示せず)の注ぎ口をインクタンク40の注入口42に近づけて、インクタンク40にインクを注ぎ足す。
【0057】
図6(B)に示されるように、カバー27の下には、筐体21の一部である前壁47が位置する。前壁47は、上面48を有する。利用者は、カバー27に対して、開放位置を超えてカバー27を回動させる力を作用させることがある。このとき、カバー27の下部分は、前壁47の上面48に当接し、カバー27のさらなる回動を規制する。前壁47は、規制部材の一例である。
【0058】
[廃液ボックス50の位置]
筐体21は、第2給送トレイ25、画像記録部30、およびインクタンク40に加えて、廃液ボックス50を収容する。廃液ボックス50も、筐体21の前面側に位置する。利用者は、筐体21の前方から廃液ボックス50を交換できる。廃液ボックス50も、筐体21の前方からアクセス可能である。
【0059】
図7(A)から図7(C)には、第2給送トレイ25の位置P1およびインクタンク40の位置P2に加えて、廃液ボックス50の位置P3が示されている。廃液ボックス50は、図7(A)から図7(C)に示される位置P3に位置する。第2給送トレイ25と廃液ボックス50とは、平面視、および正面視で互いに重ならない位置に位置する。図7(B)および図7(C)に示されるように、廃液ボックス50の位置P3の上端は、インクタンクの位置P2の下端より低い。廃液ボックス50の上端は、インクタンク40の下端より低い位置に位置する。
【0060】
[第1給送トレイ24の位置]
図8には、第2給送トレイ25の位置P1に加えて、第1給送トレイ24の位置P4が示されている。第1給送トレイ24は、図8に示される位置P4に位置する。図8(A)および図8(C)に示されるように、第2給送トレイ25の位置P1の前端は、第1給送トレイ24の位置P3の前端より後方に位置する。第2給送トレイ25の前端は、第1給送トレイ24の前端より後方に位置する。
【0061】
[各要素の位置]
図5(A)から図5(C)に示されるように、インクタンク40の左端は、第2給送トレイ25の右端より右に位置する。インクタンク40の下端は、第2給送トレイ25の上端より上に位置する。インクタンク40の前端は、第2給送トレイ25の前端より前方に位置する。インクタンク40の後端は、第2給送トレイ25の後端より前方に位置する。
【0062】
図7(A)から図7(C)に示されるように、廃液ボックス50の左端は、第2給送トレイ25の右端より右に位置する。廃液ボックス50は、上下方向7において、第2給送トレイ25と同じ位置に位置する。廃液ボックス50の前端は、前後方向8において、第2給送トレイ25と同じ位置に位置する。廃液ボックス50の後端は、第2給送トレイ25の後端より前に位置する。廃液ボックス50は、左右方向9において、インクタンク40と同じ位置に位置する。廃液ボックス50の上端は、インクタンク40の下端より低い位置に位置する。廃液ボックス50の前端は、インクタンク40の前端より後方に位置する。廃液ボックス50の後端は、インクタンク40の後端より後方に位置する。
【0063】
図8(A)から図8(C)に示されるように、第1給送トレイ24は、左右方向9において、第2給送トレイ25と同じ位置に位置する。第1給送トレイ24の下端は、第2給送トレイ25の上端より上に位置する。第1給送トレイ24の前端は、第2給送トレイ25の前端より前方に位置する。第1給送トレイ24の後端は、第2給送トレイ25の後端より前方に位置する。
【0064】
第1収容部61は、第2収容部62より前方に位置する。第1収容部61の前端は、インクタンク40および廃液ボックス50の前端より後方に位置する。第1収容部61の後端は、インクタンク40および廃液ボックス50の後端より後方に位置する。第1収容部61の前端は、インクタンク40および廃液ボックス50の前端より前方に位置する。第1収容部61の後端は、インクタンク40および廃液ボックス50の後端より後方に位置する(図4(B)および図5(A)から図5(C)参照)。
【0065】
なお、以上の説明では、第2給送トレイ25とインクタンク40とは、平面視、正面視、および側面視で互いに重ならない位置に位置し、第2給送トレイ25と廃液ボックス50とは、平面視および正面視で互いに重ならない位置に位置することとした。第2給送トレイ25とインクタンク40とは、少なくとも平面視で互いに重ならない位置に位置していればよく、正面視または側面視では互いに重なる位置に位置してもよい。また、第2給送トレイ25と廃液ボックス50とは、少なくとも平面視で互いに重ならない位置に位置していればよく、正面視でも互いに重なる位置に位置してもよく、側面視では互いに重ならない位置に位置してもよい。
【0066】
また、第2給送トレイ25とインクタンク40とが平面視で互いに重ならない位置に位置し、かつ、第2給送トレイ25と廃液ボックス50とが平面視で互いに重ならない位置に位置することが好ましいが、いずれか一方の組み合わせだけが平面視で互いに重ならない位置に位置してもよい。
【0067】
[実施形態の作用効果]
以上に示されるように、本実施形態に係る複合機1(画像記録装置)は、第2給送トレイ25(ロール収容部)と、画像記録部30と、インクタンク40(液体貯留部)と、筐体21とを備えている。第2給送トレイ25およびインクタンク40は、筐体21の前方からアクセス可能で、かつ、平面視で互いに重ならない位置に位置する(図5(A))。
【0068】
したがって、本実施形態に係る複合機1によれば、第2給送トレイ25およびインクタンク40に筐体21の前方からアクセス可能な複合機1において、インクタンク40に対するインクの補充操作によりインクがこぼれたときに、こぼれたインクは主に下方に流れる。このため、第2給送トレイ25およびインクタンク40を平面視で互いに重ならない位置に配置することにより、こぼれたインクは第2給送トレイ25に到達しにくい。したがって、第2給送トレイ25およびインクタンク40に容易にアクセスでき、第2給送トレイ25に収容されたロールQがインクによって汚染されることを抑制できる。
【0069】
また、第2給送トレイ25およびインクタンク40は、正面視でも互いに重ならない位置に位置し(図5(B))、側面視でも互いに重ならない位置に位置する(図5(C))。こぼれたインクは主に下方に流れるので、第2給送トレイ25およびインクタンク40を正面視で互いに重ならない位置に配置することにより、第2給送トレイ25に収容されたロールQがインクによって汚染されることを抑制できる。第2給送トレイ25およびインクタンク40を側面視で互いに重ならない位置に配置することにより、同様に、第2給送トレイ25に収容されたロールQがインクによって汚染されることを抑制できる。
【0070】
また、複合機1は、主壁44(第1壁)および仕切壁45(第2壁)を有し、被覆位置(第1位置)と開放位置(第2位置)とに回動可能なカバー27を備えている。カバー27が開放位置に位置するときに、主壁44は水平方向に延在する。仕切壁45は、鉛直方向に延在し、正面視で主壁44と第2給送トレイ25との間に位置する。利用者がカバー27を開放位置に移動してインクタンク40に対するインク補充操作を行ったときに、こぼれたインクはカバー27の主壁44上に落ちやすい。したがって、複合機1が載置された台の上などにインクが落ちることを抑制できる。また、仕切壁45によって、こぼれたインクが第2給送トレイ25に向けて水平方向に流れることを抑制できる。
【0071】
また、複合機1は、カバー27の下に位置し、開放位置を超えてカバー27を回動させる力が作用したときに主壁44の一部に当接し、カバー27のさらなる回動を規制する前壁47(規制部材)を備えている。したがって、筐体21の前壁47によって、利用者がカバー27に過剰な力をかけたときでも、カバー27を開放位置に維持できる。
【0072】
また、複合機1は、液体貯留部としてインクタンク40を含む。したがって、インクタンク40の注入口42からインクを注ぎ足すときにこぼれたインクによって、第2給送トレイ25に収容されたロールが汚染されることを抑制できる。
【0073】
また、廃液ボックス50の上端は、インクタンク40の下端より低い位置に位置する(図7(B)および図7(C))。多くの廃液を貯留する廃液ボックス50を低い位置に配置することにより、取り外した廃液ボックス50から漏れた多くの廃液によって、第2給送トレイ25に収容されたロールQが汚染されることを抑制できる。
【0074】
また、第2給送トレイ25に収容されたロールQの前端は、インクタンク40の前端より後方に位置する(図5(A)および図5(C))。インクはインクタンク40より前方でこぼれ、こぼれたインクは主に下方に流れる。したがって、ロールQの前端をインクタンク40の前端より後方に配置することにより、第2給送トレイ25に収容されたロールQがインクによって汚染されることを抑制できる。
【0075】
また、第2給送トレイ25は、筐体21の前後方向に挿抜可能で、内部に第1収容部61(ロール収容部)が位置し、インクタンク40と平面視で互いに重ならない位置に位置する。ロールQを第2給送トレイ25内に入れる複合機1において、第1収容部61およびインクタンク40を平面視で互いに重ならない位置に配置することにより、第2給送トレイ25内の第1収容部61に収容されたロールQがインクによって汚染されることを抑制できる。
【0076】
また、第2給送トレイ25の前端は、第1給送トレイ24(媒体トレイ)の前端より後方に位置する(図8(A)および図8(C))。第1給送トレイ24の前端とインクタンク40の前端とを揃える場合、第2給送トレイ25の前端を第1給送トレイ24の前端より後方に配置することにより、インクはインクタンク40および第2給送トレイ25の前端より前方でこぼれるので、第2給送トレイ25に収容されたロールQがインクによって汚染されることを抑制できる。
【0077】
また、第2給送トレイ25には、ロールQが直接載置される(図4(B))。ロールQを第2給送トレイ25内に直接入れる複合機1では、こぼれたインクが第2給送トレイ25内に到達したときに、第2給送トレイ25に収容されたロールQはインクによって汚染されやすい。このような複合機1でも、第2給送トレイ25およびインクタンク40を平面視で互いに重ならない位置に配置することにより、第2給送トレイ25に収容されたロールQがインクによって汚染されることを抑制できる。
【0078】
また、複合機1は、液体貯留部として廃液ボックス50を備えている。したがって、廃液ボックス50について、上記と同様の効果が得られる。例えば、第2給送トレイ25および廃液ボックス50が平面視で互いに重ならない位置に位置することにより、筐体21から取り外された廃液ボックス50の受入口52から漏れた廃液によって、第2給送トレイ25に収容されたロールQが汚染されることを抑制できる。
【0079】
[変形例]
本実施形態に係る複合機1については、各種の変形例を構成できる。例えば、変形例に係る複合機では、第2給送トレイ25は図9(A)に示される位置P5に位置し、インクタンク40は図9(A)に示される位置P6に位置する。第2給送トレイ25は、上下方向7において、インクタンク40より上に位置する。具体的には、第2給送トレイ25(ロール収容部)の下端は、インクタンク40(液体貯留部)の上端より高い位置に位置する。本変形例に係る複合機によれば、こぼれたインクは主に下方に流れるので、第2給送トレイ25をインクタンク40より高い位置に配置することにより、第2給送トレイ25に収容されたロールQがインクによって汚染されることを防止できる。
【0080】
複合機1は、規制部材として、カバー27の下に位置する前壁47を備えることとした。変形例に係る複合機では、図9(B)に示されるように、カバー27の下に、第2給送トレイ25が位置することとしてもよい。第2給送トレイ25は、筐体21の前方に突出する突出部71を有し、突出部71は上面72を有する。突出部71の上面72が、カバー27のさらなる回動を規制する規制部材として機能する。本変形例に係る複合機によれば、第2給送トレイ25の突出部71の上面72を含む部分を規制部材として利用できる。また、筐体21の前方に突出する突出部71の上面72にはこぼれたインクが付着しやすいが、主壁44により突出部71の上面72にインクが落下することを抑制できる。
【0081】
上記変形例に係る複合機でも、第2給送トレイ25の前方には第1収容部61(ロール収容部)が位置し、第2給送トレイ25の後方には第2収容部62(媒体収容部)が位置する。したがって、シートSを積層状態で第2給送トレイ25に収容できる。また、第2給送トレイ25は、ロールQのみを収容可能なトレイや、シートSのみを積層した状態で収容可能なトレイと比べて、前後方向に長くなりやすく、第2給送トレイ25が前方へ突出する構造となりやすいので、本発明を好適に適用できる。
【0082】
複合機1では、廃液ボックス50の上端は、インクタンク40の下端より低い位置に位置することとした(図7(B)および図7(C))。変形例に係る複合機では、図10(A)に示されるように、インクタンク40の位置P7の上端は、廃液ボックス50の位置P8の下端より低い位置にある。インクタンク40の上端は、廃液ボックス50の下端より低い位置に位置する。本変形例に係る複合機によれば、利用者が頻繁に操作を行うインクタンク40を低い位置に配置することにより、インクタンク40の付近で頻繁に発生するこぼれたインクによって、第2給送トレイ25に収容されたロールQが汚染されることを抑制できる。
【0083】
また、変形例に係る複合機では、排出トレイ26が、画像が記録されたロール紙Rが巻き取られて形成されたロールQを収容するロール収容部を有することとしてもよい。排出トレイ26は、インクタンク40と平面視で互いに重ならない位置に位置する。排出トレイ26は、ロール排紙トレイの一例である。本変形例に係る複合機によれば、ロールを排出トレイ26内に入れる複合機において、排出トレイ26およびインクタンク40を平面視で互いに重ならない位置に配置することにより、排出トレイ26内のロール収容部に収容されたロールがインクによって汚染されることを抑制できる。
【0084】
複合機1では、第2給送トレイ25の底面29には、ロールQが直接載置されることとした。変形例に係る複合機では、第2給送トレイ25には、ロールQが、ロールQの外周面が第2給送トレイ25の底面29に接触することなく収容される。
【0085】
図11(A)に示される例では、第2給送トレイ25は、第1収容部61の位置に、2個のローラ63、64を備える。ローラ63、64は、前後方向8に所定の間隔を空けて配置される。ローラ63、64の上下方向7の位置は同じである。ローラ63、64は、左右方向9に沿って延在し、左右方向9に延伸する軸を中心として回転する。ロールQは、ローラ63、64上に載置される。ローラ63、64は、ロールQの下側部分の外周面と接触し、ロールQを下から支持する。これにより、第2給送トレイ25には、ロールQが、ロールQの外周面が第2給送トレイ25の底面29に接触することなく収容される。
【0086】
図11(B)に示される例では、ロールQは、シャフト65によって、第2給送トレイ25の第1収容部61の位置に収容される。シャフト65は、左右方向9に沿って延在し、図示しない手段で第2給送トレイ25の側壁に対し、左右方向9に延伸する軸を中心として回転可能に支持されている。ロールQは中央に貫通孔を有し、シャフト65はロールQの貫通孔に挿通される。これにより、第2給送トレイ25には、ロールQが、ロールQの外周面が第2給送トレイ25の底面29に接触することなく収容される。ロールQから引き出されたロール紙Rは、ローラ66の下方を通過する。これら変形例に係る複合機でも、こぼれたインクが第2給送トレイ25内に到達したときでも、ロールQがインクによって汚染されることを抑制できる。
【0087】
複合機1では、インクタンク40の左端は、第2給送トレイ25の右端より右に位置することとした(図5(A)および図5(B))。変形例に係る複合機では、インクタンク40の右端は、第2給送トレイ25の位置の左端より左に位置していてもよい。
【0088】
複合機1では、第1給送トレイ24、第2給送トレイ25、および排出トレイ26は、筐体21の前後方向8に挿抜可能であることとした。これらのトレイは、筐体21から完全に取り外されるものであってもよく、あるいは、筐体21から完全に取り外されず、後端が筐体21内に残るものであってもよい。
【0089】
変形例に係る複合機は、液体貯留部およびインク貯留部として、インクタンク40に代えて、図10(B)に示されるインクカートリッジ80を備えていてもよい。インクカートリッジ80は、インクの貯留室81と、インクの供給口82とを有し、筐体21内に固定された装着ケース83に装着される。貯留室81に貯留されたインクは、供給口82、筐体21内に位置するサブタンク84およびチューブ85を経由してヘッド34に供給される。インクカートリッジ80は、液体貯留部およびインク貯留部の一例である。
【0090】
インクカートリッジ80は、インクタンク40と同じ位置P1(図5(A)から図5(C)参照)に位置する。第2給送トレイ25とインクカートリッジ80とは、平面視で互いに重ならない位置に位置する。第2給送トレイ25とインクカートリッジ80とは、正面視および側面視でも互いに重ならない位置に位置する。変形例に係る複合機によれば、取り外したインクカートリッジ80の供給口82から漏れたインクによって、第2給送トレイ25に収容されたロールQが汚染されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0091】
1・・・複合機(画像記録装置)
21・・・筐体
24・・・第1給送トレイ(媒体トレイ)
25・・・第2給送トレイ(ロール収容部、ロール供給トレイ)
26・・・排出トレイ(ロール排紙トレイ)
27・・・カバー
29・・・底面
30・・・画像記録部
40・・・インクタンク(液体貯留部、インク貯留部)
41・・・貯留室
42・・・注入口
44・・・主壁(第1壁)
45・・・仕切壁(第2壁)
47・・・前壁(規制部材)
48、72・・・上面
50・・・廃液ボックス(液体貯留部)
51・・・貯留室
52・・・受入口
61・・・第1収容部(ロール収容部)
62・・・第2収容部(媒体収容部)
71・・・突出部
80・・・インクカートリッジ(液体貯留部、インク貯留部)
81・・・貯留室
82・・・供給口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11