(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145760
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】慢性子宮内膜炎の診断マーカー及び診断用検査キット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20241004BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G01N33/50 Z
G01N33/68
G01N33/50 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058245
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人北海道国立大学機構
(71)【出願人】
【識別番号】523120993
【氏名又は名称】医療法人社団慶愛
(74)【代理人】
【識別番号】110002480
【氏名又は名称】弁理士法人IPアシスト
(72)【発明者】
【氏名】村西 由紀
(72)【発明者】
【氏名】米田 英里奈
(72)【発明者】
【氏名】真井 英臣
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB01
2G045DA14
2G045DA30
2G045DA36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、慢性子宮内膜炎の診断のために有用な新規バイオマーカー、及び当該バイオマーカーを指標とした慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、被験者から採取された、子宮内膜組織を含む検体中のLPSを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法を提供する。本発明はまた、被験者から採取された、子宮内膜組織を含む検体中の、LPSと、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAとを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法を提供する。本発明によれば、被験者から採取された検体中のLPSを、又はLPS及びIL-6を検出することによって、慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法。
【請求項2】
被験者から採取された子宮内膜由来検体中の、LPSと、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAとを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法。
【請求項3】
子宮内膜由来検体が、子宮内膜組織、経血、又は帯下である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
LPS検出用試薬を含む、慢性子宮内膜炎の診断のための検査キット。
【請求項5】
LPS検出用試薬と、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬とを含む、慢性子宮内膜炎の診断のための検査キット。
【請求項6】
慢性子宮内膜炎の診断のために、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬と組み合わせて使用するための、LPS検出用試薬。
【請求項7】
慢性子宮内膜炎の診断のために、LPS検出用試薬と組み合わせて使用するための、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性子宮内膜炎の診断のために用いることができるバイオマーカー及び検査キットに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性子宮内膜炎(chronic endometritis)は、粘膜浮腫、ポリープ、異常形質細胞浸潤を特徴とする炎症性疾患であり、原因不明の不妊症や着床不全を繰り返す原因の一つと考えられている。子宮内膜の慢性的な炎症は、骨盤痛、不正性器出血、性交痛などの症状を伴うことがある一方、無症状で診断が難しいことも多い。
【0003】
慢性子宮内膜炎の診断は、子宮鏡検査及び病理検査により行われることが一般的である。しかし、子宮鏡検査は主観的な情報を提供するため、臨床所見を確認できないことがある。また、病理診断では、通常、CD138の免疫染色によって子宮内膜組織中の形質細胞が検出されるが、慢性子宮内膜炎と定義するための閾値に関するコンセンサスがなく、全ての場合に使用することはできない(非特許文献1)。加えてその検出効率は子宮内膜の増殖に影響を与える月経周期のタイミングに依存する等の問題も指摘されている(非特許文献2及び3)。このような理由から、慢性子宮内膜炎の正確な診断基準はいまだ確立されていない。
【0004】
別の研究では、月経排出物中のインターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-1β及び腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor α)の濃度は、対照被験者と比較して、慢性子宮内膜炎と診断された不妊症の女性において高かったことが報告されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Li Y, et al., Journal of Reproductive Immunology. 2021;85(5):1-9.
【非特許文献2】Moreno I, et al., Am J Obstet Gynecol. 2018;218(6):602.e1-602.e16.
【非特許文献3】Ryan E, et al., Fertil Steril. 2022;118(4):787-794.
【非特許文献4】Tortorella C, et al., Fertil Steril. 2014;x 101(1):242-247.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、慢性子宮内膜炎の診断のために有用な新規バイオマーカー、及び当該バイオマーカーを指標とした慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、慢性子宮内膜炎と疑いありと診断された患者の子宮内膜組織において、リポポリサッカライド(LPS、エンドトキシンとも呼ばれる)及びIL-6が共に高濃度で検出されること、及びLPSを指標とすることによって、あるいはLPSとIL-6の両方を指標とすることによって、慢性子宮内膜炎を診断することが可能であることを見出した。
【0008】
本開示は、以下を提供する。
項1.被験者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法。
項2.被験者から採取された子宮内膜由来検体中の、LPSと、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAとを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法。
項3.子宮内膜由来検体が、子宮内膜組織、経血、又は帯下である、項1又は2に記載の方法。
項4.LPS検出用試薬を含む、慢性子宮内膜炎の診断のための検査キット。
項5.LPS検出用試薬と、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬とを含む、慢性子宮内膜炎の診断のための検査キット。
項6.慢性子宮内膜炎の診断のために、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬と組み合わせて使用するための、LPS検出用試薬。
項7.慢性子宮内膜炎の診断のために、LPS検出用試薬と組み合わせて使用するための、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被験者から採取された検体中のLPSを、又はLPS及びIL-6を検出することによって、慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】慢性子宮内膜炎の疑いありと診断された患者(CE)及び慢性子宮内膜炎の疑いがないと診断された対照者(Control)から採取された子宮内膜組織の上清におけるLPS濃度を示すグラフである。
【
図2】慢性子宮内膜炎の疑いありと診断された患者及び慢性子宮内膜炎の疑いがないと診断された対照者から採取された子宮内膜組織におけるTLR4、IL-6及びCD138のmRNA発現量を示すグラフである。
【
図3】LPS濃度とIL-6 mRNA発現量との間の相関関係を示すグラフである。
【
図4】様々な濃度のLPS存在下でのヒト子宮内膜細胞株EM-E6/E7/hTERT-2における炎症マーカー(IL-1β、IL-6)のmRNA発現量を示すグラフである。
【
図5】様々な濃度のLPS存在下でのヒト子宮内膜細胞株EM-E6/E7/hTERT-2における炎症マーカー(CD14、TLR4)及びCD138のmRNA発現量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に示す説明は、代表的な実施形態又は具体例に基づくことがあるが、本発明はそのような実施形態又は具体例に限定されるものではない。本明細書において示される各数値範囲の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。本明細書において「~」又は「-」を用いて表される数値範囲は、特に断りがない場合、その両端の数値を上限値及び下限値として含む範囲を意味する。
【0012】
本発明は、一態様において、被験者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法を提供する。本発明は、一態様において、被験者から採取された子宮内膜由来検体中の、LPSと、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAとを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法を提供する。なお、本明細書において、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するための方法を、単に評価方法とも称する。
【0013】
[バイオマーカーの検出]
本発明において、子宮内膜由来検体は、被験者から採取された、子宮内膜を含む、又は子宮内膜の分泌物を含む生物学的試料である。子宮内膜由来検体は、好ましくは、子宮内膜組織、経血、又は帯下である。子宮内膜組織は、キュレット、ブラシ、吸引チューブ、擦過布、スポンジ、綿棒等の器具を用いて、子宮内膜から採取することができる。子宮内膜組織は、好ましくは、子宮内膜掻爬術によって採取することができる子宮内膜掻爬物である。経血及び帯下は、シリンジ、カニューレ、スポンジ、綿棒等の器具を用いて被験者から採取されたもの、あるいは被験者の体外に自然排出されたものを利用することができる。
【0014】
被験者は、慢性子宮内膜炎の検査又は診断が望まれるヒトである。
【0015】
本発明において、被験者から採取された子宮内膜由来検体は、LPSの検出のために、あるいはこれに加えてIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出のために用いられる。なお、本明細書において、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価するために検出される物質(すなわち、LPS、IL-6タンパク質、IL-6 mRNA)を、総称としてバイオマーカーとも称する。
【0016】
バイオマーカーを検出する試料は、子宮内膜由来検体そのままであってもよく、子宮内膜由来検体の分画物、例えば遠心分離によって回収される上清又は沈殿であってもよい。また、採取された子宮内膜由来検体に、バイオマーカーの検出の目的で許容される液体、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水等を加え、振盪、撹拌又はホモジネート等の操作によって子宮内膜又は子宮内膜分泌物中の成分を抽出した懸濁液を試料として用いて、あるいは当該懸濁液の上清又は沈殿物を試料として用いて、バイオマーカーを検出してもよい。試料には、バイオマーカーの検出のために、バイオマーカーの種類に応じた一般的な前処理を施してもよい。
【0017】
ある実施形態において、LPSは、子宮内膜由来検体の上清、又は子宮内膜由来検体に上述の許容される液体を添加した懸濁液の上清から検出することができる。ある実施形態において、LPS及びIL-6タンパク質は、子宮内膜由来検体の上清、又は子宮内膜由来検体に上述の許容される液体を添加した懸濁液の上清から検出することができる。
【0018】
ある実施形態において、LPSは、子宮内膜由来検体の上清、又は子宮内膜由来検体に上述の許容される液体を添加した懸濁液の上清から検出することができ、IL-6 mRNAは、子宮内膜由来検体の沈殿、又は子宮内膜由来検体に上述の許容される液体を添加した懸濁液の沈殿から検出することができる。
【0019】
検体中のバイオマーカーは、バイオマーカーの種類に応じた一般的な方法によって検出することができる。LPSは、カブトガニの血球抽出成分より調製されたライセート試薬を用いる公知の方法、例えば、LPSとライセート試薬との反応によるゲル形成を検出するゲル化法、LPSとライセート試薬との反応による濁りの変化量を光学的に測定する比濁法、LPSとライセート試薬との反応による発色基質の発色を光学的に測定する比色法等によって検出することができる。
【0020】
また、検体中のバイオマーカーは、バイオマーカーに特異的に結合可能な物質を用いたイムノアッセイによって検出することができる。イムノアッセイの例としては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、イムノブロッティング、イムノクロマトグラフィー等を挙げることができる。イムノアッセイは、当業者に公知又は周知の方法によって、例えばThe Immunoassay Handbook: Theory and Applications of Ligand Binding,ELISA and Related Techniques(4TH),Elsevierの記載を参照して行うことができる。
【0021】
バイオマーカーに特異的に結合可能な物質は、非標的物質よりもバイオマーカー(すなわち、LPS又はIL-6タンパク質)に優先的に結合可能な物質であって、バイオマーカーに高い結合親和性を有する物質と表すこともできる。バイオマーカーに特異的に結合可能な物質は、例えば、非標的物質とのアフィニティーよりも少なくとも2倍強い、好ましくは少なくとも10倍強い、より好ましくは少なくとも20倍強い、最も好ましくは少なくとも100倍強いアフィニティーを有して、バイオマーカーに結合することができる。ある物質が、バイオマーカーの存在を、望まれない結果、典型的には偽陽性又は偽陰性等を生じることなく検出することができるならば、当該物質は、バイオマーカーに特異的に結合可能な物質であると考えられる。
【0022】
バイオマーカーに特異的に結合可能な物質の例としては、バイオマーカーに対する特異抗体及びその誘導体、アプタマー、受容体タンパク質等を挙げることができる。ここで特異抗体の誘導体は、抗原と特異的に結合する能力を保持した抗体の部分断片として定義される抗原結合性断片、例えばFab(fragment of antigen binding)、Fab’、F(ab’)2、一本鎖抗体(single chain Fv)、ジスルフィド安定化抗体(disulfide stabilized Fv)及びCDRを含むペプチド等であり得るが、これらには限定されない。
【0023】
バイオマーカーに特異的に結合可能な物質の標識のために用いることができる標識物質としては、例えば、蛍光物質(例えばFITC、ローダミン、GFP等)、色素タンパク質(例えばフィコエリトリン、フィコシアニン等)、放射性同位体(例えば3H、14C、32P、35S、125I、131I等)、酵素(例えばペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等)、金コロイド等の金属粒子、ビオチン、ストレプトアビジンを挙げることができる。
【0024】
イムノアッセイは、公知の試薬又はキットを用いて行うこともできる。LPS検出のためのイムノアッセイキットの例としては、EndoLISA(登録商標、J.K.International社、)、ELISA Kit for Lipopolysaccharide(LPS)(CLOUD-CLONE CORP.)等を挙げることができるが、これらには限定されない。またIL-6タンパク質検出のためのイムノアッセイキットの例としては、Quantikine IL-6 ELISA Kit(R&D Systems,Inc.)、レビス(登録商標) Human IL-6 ELISA Kit(富士フイルムワコーシバヤギ株式会社)、AuthentiKine(商標)ヒトIL6測定ELISAキット(proteintech)等を挙げることができるが、これらには限定されない。
【0025】
IL-6 mRNAの検出は、公知の塩基配列を基に設計される適当な塩基配列からなるプライマーセットを用いたPCR法、特にリアルタイムPCR法及び核酸の絶対定量が可能なデジタルPCR法、そのmRNAの塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなるプローブを用いたハイブリダイゼーション法、そのmRNAの塩基配列にハイブリダイズし得る塩基配列からなるプローブが固定化されたチップを用いたマイクロアレイ法、RNAシーケンシング法その他の、当該遺伝子の発現を検出することができる公知の方法により行うことができる。
【0026】
プライマー及びプローブは、採用される検出方法の原理及びIL-6遺伝子の塩基配列に基づいて、当業者が適宜設計し、一般的な核酸合成方法又は遺伝子工学的方法によって調製することができる。またプライマー及びプローブは、用いられる方法に応じて、蛍光物質(例えば、Cy3、Cy5、SYBR Green、FITC、Alexa Flour等)、放射性同位体(例えば3H、14C、32P、35S、125I、131I等)、酵素、ビオチン、ストレプトアビジンその他の標識物質によって標識されていてもよい。
【0027】
バイオマーカーの検出は、定性的に行われてもよく、定量的に行われてもよい。ここで定性的な検出とは、検体中にバイオマーカーが含まれているか否かを調べることを意味する。また、定量的な検出とは、検体中のバイオマーカーの存在量を数値として測定することを意味する。
【0028】
定量値は、検出方法に応じて、絶対値で表してもよく、基準物質に対する相対値で表してもよい。例えば、IL-6 mRNAの定量値は、比較Ct法(ΔΔCt法、サイクル比較法とも呼ばれる)により定量することもできる。具体的には、IL-6を発現しないことが知られている基準検体から調製したmRNA試料をキャリブレーターとして用い、これと子宮内膜由来検体由来のmRNA試料とをそれぞれリアルタイムPCRに供し、IL-6遺伝子及び内在性コントロール遺伝子(β-アクチン、GAPDH等)の増幅曲線から対応するCt値を得る。次いで、子宮内膜由来検体由来mRNA試料、キャリブレーターのそれぞれについて、IL-6遺伝子のCt値と内在性コントロール遺伝子のCt値との差としてΔCtを算出する。子宮内膜由来検体由来mRNA試料のΔCtとキャリブレーターのΔCtとの差として求められるΔΔCtから、IL-6遺伝子の相対的発現量であるFC=2-ΔΔCtを算出することで、IL-6 mRNAの定量値を得ることができる。
【0029】
[慢性子宮内膜炎への罹患可能性の評価]
LPS及びIL-6は、医師によって慢性子宮内膜炎の疑いありと診断された者(慢性子宮内膜炎患者)の子宮内膜由来検体中に多量に存在している一方、慢性子宮内膜炎の疑いなしと診断された患者(対照者)の子宮内膜由来検体中では検出されないか又はごくわずかにしか検出されない。また、慢性子宮内膜炎患者の子宮内膜由来検体中のLPSとIL-6との間には、正の相関関係がある。一方、従来、慢性子宮内膜炎の診断において指標の一つとされているCD138に関しては、慢性子宮内膜炎患者と対照者との間で定量値に有意な差は認められていない。したがって、子宮内膜由来検体におけるLPSの検出の有無又は定量値、あるいはLPS及びIL-6の検出の有無又は定量値を指標として用いることで、CD138を指標とした場合と比較して、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性をより確実に評価することができるものと期待される。
【0030】
例えば、検出用の試料を適宜希釈して、あるいは検出試薬の感度を適宜調整して、対照者の試料であればLPSが検出されないが、慢性子宮内膜炎患者の試料であればLPSが検出されるように検出条件を設定することで、LPSの検出の有無を、慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する指標として用いることができる。具体的には、このような検出条件下でLPSが検出された場合には当該検体に係る被験者は慢性子宮内膜炎に罹患している又はその可能性が高いと、LPSが検出されない場合には当該検体に係る被験者は慢性子宮内膜炎に罹患していない又はその可能性が高いと評価することができる。
【0031】
LPSの検出の有無を慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する指標として用いる一つの実施形態において、検出用の試料は、子宮内膜由来検体の懸濁液上清を1×101~1×106倍、例えば1×102~1×106倍、好ましくは1×103~1×106倍、より好ましくは1×104~1×106倍、さらに好ましくは3×104~5×105倍に希釈することで調製することができる。ここで懸濁液上清は、子宮内膜由来検体に対して、子宮内膜由来検体の質量の0.5~50倍、例えば1~20倍、好ましくは1~10倍、より好ましくは1~5倍の量の上述の許容される液体を添加して得られる懸濁液の上清である。
【0032】
同様に、例えば、対照者の試料であればIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAが検出されないが、慢性子宮内膜炎患者の試料であればIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAが検出されるように検出条件を設定することで、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出の有無を、LPSの検出の有無と合わせて、慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する指標として用いることができる。具体的には、LPSが検出され、かつIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAが検出された場合には当該検体に係る被験者は慢性子宮内膜炎に罹患している又はその可能性が高いと評価することができ、LPSが検出されず、かつIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAが検出されない場合には当該検体に係る被験者は慢性子宮内膜炎に罹患していない又はその可能性が高いと評価することができる。
【0033】
また、子宮内膜由来検体中のLPSを定量的に検出し、得られた定量値をカットオフ値と比較した結果を、慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する指標として用いることができる。具体的には、LPSの定量値がカットオフ値以上の場合には当該検体に係る被験者は慢性子宮内膜炎に罹患している又はその可能性が高いと評価することができ、カットオフ値未満の場合には当該検体にかかる被験者は慢性子宮内膜炎に罹患していない又はその可能性が高いと評価することができる。
【0034】
同様に、子宮内膜由来検体中のIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAを定量的に検出し、得られた定量値をカットオフ値と比較した結果を、LPSの定量値をカットオフ値と比較した結果と合わせて、慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する指標として用いることができる。具体的には、LPSの定量値がカットオフ値以上であり、かつIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの定量値がカットオフ値以上の場合には当該検体に係る被験者は慢性子宮内膜炎に罹患している又はその可能性が高いと評価することができ、LPSの定量値がカットオフ値未満であり、かつIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの定量値がカットオフ値未満の場合には当該検体にかかる被験者は慢性子宮内膜炎に罹患していない又はその可能性が高いと評価することができる。
【0035】
バイオマーカーのカットオフ値は、慢性子宮内膜炎患者及び対照者からそれぞれ採取された子宮内膜由来検体中のバイオマーカーの定量値に基づいて、慢性子宮内膜炎患者と対照者とを区別できるように、予め設定することができる。
【0036】
カットオフ値は、例えば、ROC解析によって設定可能である。具体的には、最初に、子宮内膜由来検体中のバイオマーカーの定量値を説明変数とし、当該検体が慢性子宮内膜炎患者のものである(陽性)か対照者のものである(陰性)かを目的変数としたROC解析を行い、横軸に1-特異度(偽陽性率)を、縦軸に感度(陽性率)を取ったROC曲線を作成する。次いで、ROC曲線を参照して、カットオフ値が設定される。カットオフ値は、一般に検査において求められるレベル以上の感度及び特異度を有する範囲で、例えば感度80%以上かつ特異度80%以上となる範囲で、好ましくは感度90%以上かつ特異度90%以上となる範囲で任意に設定することが可能である。好ましい実施形態において、カットオフ値は、ROC曲線からカットオフ値を求めるために通常用いられる方法、例えばYouden’s index(感度-(1-特異度))が最大となるポイントにカットオフ値を設定する方法、又はROC曲線の左上隅からの距離が最小となるポイントにカットオフ値を設定する方法等によって設定することができる。
【0037】
このようにカットオフ値を利用する本発明の評価方法の一つの実施形態は、被験者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSを定量的に検出する工程;得られたLPSの定量値とカットオフ値とを比較する工程であって、カットオフ値が、慢性子宮内膜炎患者及び対照者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSの定量値に基づいて予め設定された値である、前記工程;並びに被験者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSの定量値がカットオフ値を上回る場合、被験者は慢性子宮内膜炎に罹患している又はその可能性が高いと評価する工程を含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する方法である。
【0038】
また、カットオフ値を利用する本発明の評価方法の別の実施形態は、被験者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSとIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAとを定量的に検出する工程;得られたLPSの定量値とLPSカットオフ値とを比較する工程であって、LPSカットオフ値が、慢性子宮内膜炎患者及び対照者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSの定量値に基づいて予め設定された値である、前記工程;得られたIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの定量値とIL-6カットオフ値とを比較する工程であって、IL-6カットオフ値が、慢性子宮内膜炎患者及び対照者から採取された子宮内膜由来検体中のIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの定量値に基づいて予め設定された値である、前記工程;並びに被験者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSの定量値がLPSカットオフ値を上回り、かつIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの定量値がIL-6カットオフ値を上回る場合、被験者は慢性子宮内膜炎に罹患している又はその可能性が高いと評価する工程を含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価する方法である。
【0039】
本発明の評価方法の一例として上で例示した、子宮内膜由来検体におけるLPSの検出の有無とIL-6の検出の有無とを指標として用いる実施形態、及び子宮内膜由来検体におけるLPSの定量値とIL-6の定量値とを指標として用いる実施形態に加えて、子宮内膜由来検体におけるLPSの検出の有無とIL-6の定量値とを指標として用いる実施形態、及び子宮内膜由来検体におけるLPSの定量値とIL-6の検出の有無とを指標として用いる実施形態も、本発明に包含される。
【0040】
本発明は、一態様において、被験者から採取された子宮内膜由来検体中のLPSを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患しているかを診断するためのデータを収集する方法を提供する。本発明は、一態様において、被験者から採取された子宮内膜由来検体中の、LPSと、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAとを検出することを含む、被験者が慢性子宮内膜炎に罹患しているかを診断するためのデータを収集する方法を提供する。ここで、子宮内膜由来検体、LPS、IL-6、これらの検出等の各用語の説明は先に記載したとおりである。医師は、本方法により収集されたデータを利用して、慢性子宮内膜炎の診断を行うことができる。
【0041】
本発明は、一態様において、LPSを含む慢性子宮内膜炎診断用バイオマーカーを提供する。本発明は、一態様において、LPSと、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAとを含む慢性子宮内膜炎診断用バイオマーカーを提供する。本発明は、一態様において、子宮内膜由来検体に含まれるLPSの、慢性子宮内膜炎診断用バイオマーカーとしての使用であって、LPSの検出の有無又は定量値を診断の指標とする、前記使用を提供する。本発明は、一態様において、子宮内膜由来検体に含まれるLPSとIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAとの、慢性子宮内膜炎診断用バイオマーカーとしての使用であって、LPSの検出の有無又は定量値とIL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出の有無又は定量値とを診断の指標とする、前記使用を提供する。
【0042】
[検査キット]
本発明は、一態様において、LPS検出用試薬を含む、慢性子宮内膜炎の診断のための検査キットを提供する。本発明は、一態様において、LPS検出用試薬と、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬とを含む、慢性子宮内膜炎の診断のための検査キットを提供する。
【0043】
LPS検出用試薬は、その検出原理に応じて適宜選択することができ、例えば、カブトガニの血球抽出成分より調製されたライセート試薬、発色基質、LPSに特異的に結合可能な物質(例えば、LPSに対する特異抗体及びその誘導体、アプタマー、受容体タンパク質等)等を挙げることができる。
【0044】
IL-6タンパク質検出用試薬は、IL-6タンパク質のイムノアッセイに一般的に用いられる試薬であり、例えば、IL-6タンパク質に特異的に結合可能な物質(例えば、IL-6タンパク質に対する特異抗体及びその誘導体、アプタマー、受容体タンパク質等)、発色基質等を挙げることができる。また、IL-6 mRNA検出用試薬は、その検出原理に応じて適宜選択することができ、例えば、IL-6遺伝子を検出可能なプライマーセット、IL-6遺伝子を検出可能なプローブ、RNA抽出用試薬等を挙げることができる。
【0045】
検査キットは、それぞれの検出方法に応じて、ブロッキング溶液、洗浄液等のさらなる試薬;固相支持体及び反応容器等の器具;並びに取扱説明書をさらに含んでもよい。
【0046】
また、本発明は、一態様において、慢性子宮内膜炎の診断のために、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬と組み合わせて使用するためのLPS検出用試薬を提供する。加えて、本発明は、一態様において、慢性子宮内膜炎の診断のために、LPS検出用試薬と組み合わせて使用するための、IL-6タンパク質又はIL-6 mRNAの検出用試薬を提供する。
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例0048】
[材料及び方法]
(1)倫理的配慮
本臨床研究は、帯広畜産大学の許可(倫理審査書:2020-05-2)を得て、ヘルシンキ宣言の信条に則って実施した。組織サンプルを採取する前に、すべての対象者からインフォームドコンセントを得た。
【0049】
(2)試験参加者及びデザイン
医療法人社団慶愛おびひろARTクリニック(日本、北海道帯広市)において、慢性子宮内膜炎が疑われる患者(n=16、以下、慢性子宮内膜炎患者と表す)及び慢性子宮内膜炎の疑いがない患者(n=15、以下、対照者と表す)から子宮内膜掻爬組織を採取した。組織は、掻把又は吸引生検によって子宮腔から取り出した。なお、慢性子宮内膜炎が疑われる患者は、経膣超音波検査によって子宮内膜ポリープが検出された患者(子宮内膜ポリープを認めると慢性子宮内膜炎である事が比較的多いという関係から)の子宮内膜組織を掻把によって取り出し、従来の如くCD138の免疫染色による病理診断で子宮内膜間質への形質細胞浸潤を認めた症例とした。臨床基準は、表面的な間質浮腫、間質密度の増加及び形質細胞に支配された多形間質炎症性浸潤とした。
【0050】
採取した子宮内膜組織掻把物(15.5 mg~313.7 mg、平均値151 mg、標準誤差16.3 mg)をProtein LoBind Tubes(Eppendorf)に回収し、300μLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加えてボルテックスした後、3000rpm、4℃で10分間遠心分離して、上清と沈殿に分離した。沈殿(組織沈殿と呼ぶ)は、ホモジナイズした後、TRIzol試薬(Thermo Fisher Scientific)中で-80℃で保存した。
【0051】
(2)limulus amebocyte lysate(LAL)アッセイを用いたLPSの測定
(1)で得た上清を3000rpm、4℃で20分間遠心分離して上清を得て、0.02% TritonX-100(富士フィルム和光純薬株式会社)を含むエンドトキシンフリー水で10 倍希釈した後、70℃、10分間の熱不活性化処理を行った。この10倍希釈液(組織上清10倍希釈液と呼ぶ)を試料として、PYROSTER NEO(富士フィルム和光純薬株式会社、エンドトキシン定量範囲0.001~50EU/mL)を用いて、エンドトキシン濃度を測定した。96ウェル平底プレートの各ウェルに試料25μLとエンドトキシン検出試薬25μLを添加し、マイクロプレートリーダー(SH-1000、コロナ電気株式会社)を用い、37℃、測定モード:kinetic、オンセット OD:0.015、オートミックス:1回の条件で、主波長405nmの吸光度を測定した。標準曲線は、大腸菌UKT-B株試薬(富士フィルム和光純薬株式会社)を標準物質として作成した。
【0052】
(3)細胞培養
ヒト子宮内膜細胞株であるEM-E6/E7/hTERT-2(JCRB1545、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンク)を、6ウェルプレートに5.5×105 cells/wellの密度で接種し、10%牛胎児血清(FBS)と1%ペニシリン-ストレプトマイシン(富士フィルム和光純薬)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)/ Ham's F-12(富士フィルム和光純薬)中で、37℃、5%炭酸ガス含有雰囲気下でコンフルエントになるまで培養した。血清飢餓後、LPS(血清型O111:B4、 Sigma-Aldrich)10 ng/ml~104 ng/ml及び/又はβ-エストラジオール10-10 mol/ml(Sigma-Aldrich)を培養液に添加することでLPS処理を行った。処理から4時間後、TRIzol試薬を用いてマイクロチューブに細胞を回収した。
【0053】
(4)リアルタイムPCR
(1)で得た沈殿、及び(3)で得たLPS処理後の細胞から全RNAを抽出し、DNase I(Thermo Fisher Scientific)で処理した後、SuperScript II(Thermo Fisher Scientific)を製造者の指示に従って用いてcDNAを調製した。リアルタイムPCRは、表1に示すプライマーセット及びSsoAdvanced Universal SYBR Green Supermix(Bio-Rad)を用いて、LightCycler 96 system(Roche)で行った。PCR増幅反応は、95℃10秒、60℃60秒からなるサイクルを35回繰り返した。β-アクチンを参照遺伝子として用い、2
-ΔΔCt法により相対的な遺伝子発現を解析した。
【表1】
【0054】
(5)統計解析
全てのデータは、平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表示した。統計解析は、R Version 4.1.3 (https://www.r-project.org/)又はMicrosoft Excelを使用して実施した。各実験の結果は、Mann-WhitneyのU検定又はt検定を用いてコントロールの結果と比較した。ヒト組織を用いた実験では、相関係数はSpearmanの順位相関係数(rs)を用いて算出した。統計的有意性は、P < 0.05とした(*: p<0.05, **: p<0.01, ***: p<0.005)。
【0055】
[子宮内膜組織上清中のLPS濃度]
組織上清10倍希釈液中のLPS濃度を
図1、表2及び3に示す。
【表2】
【表3】
慢性子宮内膜炎患者の子宮内膜組織の上清では、対照者と比べて、LPS濃度が有意に高いことが確認された(
図1、表2)。また、使用したLPS測定試薬PYROSTER NEOの定量範囲が0.001EU/mL(0.125 pg/mL)~50EU/mL(6.25 ng/mL)であることに基づいて、定量限界であるLPS濃度6.25 ng/mLをカットオフ値とした場合、対照者15名のうち14名の検体中のLPS濃度はカットオフ値未満となり、一方、慢性子宮内膜炎患者16名のうち11名の検体中のLPS濃度はカットオフ値以上となることから、LPS濃度6.25 ng/mLをカットオフ値として利用することで、慢性子宮内膜炎に罹患している可能性を評価することが可能であると推測された。
【0056】
[子宮内膜組織中の炎症性サイトカインの遺伝子発現量]
組織沈殿物中の、既知の炎症マーカーであるTLR4及びIL-6、並びにCD138の相対的mRNA発現量を
図2に示す。TLR4 mRNAは、慢性子宮内膜炎患者の子宮内膜組織において、対照者の子宮内膜組織と比べて、平均値で約2倍、発現量が高かった。これに対し、IL-6 mRNAは、対照者では発現がほとんど認められず、慢性子宮内膜炎患者で高発現していることが確認された。CD138 mRNAは、慢性子宮内膜炎患者と対照者との間に有意な差は認められなかった。
【0057】
また、組織上清10倍希釈液中のLPS濃度と組織沈殿中のIL-6 mRNAの発現量(リアルタイムPCRでのCt値)との関係性を
図3に、LPS濃度とIL-6遺伝子発現量との相関関係の詳細を示すグラフを
図4に、LPS濃度と各種遺伝子発現量との相関係数を表4に示す。LPS濃度とIL-6遺伝子発現量との相関係数rは0.58であり、正の相関関係の存在が確認された。一方、LPS濃度とCD138遺伝子発現量には有意差は認められなかった。
【表4】
【0058】
EM-E6/E7/hTERT-2細胞を様々な濃度のLPSで刺激した際の炎症マーカー(IL-1β、IL-6、CD14、TLR4、CD138)のmRNA発現量を
図4及び5に示す。IL-1βとIL-6、特にIL-6はLPS刺激に応答して顕著に発現量が増加したのに対し、CD14、TLR4及びCD138はLPS刺激に対する応答性が弱かった。以上から、慢性子宮内膜炎の診断において子宮内膜組織由来のLPSを指標とする場合、LPSへの応答性に優れているIL-6を合わせて指標として用いることで、より確実な慢性子宮内膜炎の診断が可能になるものと期待される。