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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145787
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】見積システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q10/0631
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058284
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000233169
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新堀 紘
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】見積り精度を高める。
【解決手段】案件の見積の作成を支援する見積システム100であって、案件の区分と分野を含む案件情報と、生産性を含む人材スキルと、人材プロフィールと、人材キャリアプランとが入力される入出力装置18と、案件情報と、人材スキルと、人材プロフィールと、前記人材キャリアプランとを記録する記憶装置8と、入出力装置から入力される情報に基づいて、見積対象案件の見積の規模を算出し、前記見積対象案件で求められるスキルを有する適正人材を検索し、検索された適正人材の中から見積対象案件に人材を割り当てるデータ処理部10と、を備える見積システム
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案件の見積の作成を支援する見積システムであって、
前記案件の区分と分野を含む案件情報と、生産性を含む人材スキルと、人材プロフィールと、人材キャリアプランとが入力される入力部と、
前記案件情報と、前記人材スキルと、前記人材プロフィールと、前記人材キャリアプランとを記録する記憶部と、
前記入力部から入力される情報に基づいて、見積対象案件の見積の規模を算出する案件規模算出部と、
前記入力部から入力される情報に基づいて、前記見積対象案件で求められるスキルを有する適正人材を検索する適正人材検索部と、
前記検索された適正人材の中から前記見積対象案件に人材を割り当てる人材割り当て部と、を備える見積システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記見積対象案件の特徴を管理する案件区分と、当該案件区分毎に難易度が設定される案件区分難易度と、前記見積の最小単位を管理するスキル区分と、過去案件の案件区分および実績規模と、前記案件の案件区分を記録し、
前記案件規模算出部は、前記見積対象案件の案件区分の一致数に基づいて、前記過去案件の実績規模をスキル区分単位で検索し、前記見積対象案件の案件区分に該当する案件区分難易度に基づいて、前記見積の規模を算出する、
請求項1に記載の見積システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記人材の案件およびスキル区分毎の実績工数、実績規模、レビュー指摘件数と、前記実績規模の生産性を算出する基準となる生産性基準と、当該生産性基準単位のレビュー指摘基準と、前記人材の単価を記録し、
前記適正人材検索部は、前記実績工数と前記実績規模に基づいて前記人材毎の生産性を算出し、前記レビュー指摘件数と前記生産性基準と前記レビュー指摘基準とに基づいて前記人材の作業品質を算出し、算出された前記生産性と前記作業品質に基づいて、前記人材毎の生産性を確定させ、確定させた前記生産性と前記単価に基づいて、前記適正人材を検索する、
請求項1に記載の見積システム。
【請求項4】
前記記憶部は、従事を希望する案件区分と、従事を希望しない案件区分を前記人材毎に記録し、
前記人材割り当て部は、前記見積対象案件の案件区分と前記人材の従事希望に基づいて、従事を希望する前記人材を優先的に割り当て、従事を希望しない前記人材を割り当て対象外とする、
請求項1に記載の見積システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記人材毎の案件外予定を含む案件従事可能予定と、前記人材毎の現在の案件従事率を記録し、
前記人材割り当て部は、前記案件従事可能予定と、前記現在の案件従事率に基づいて、前記見積対象案件に人材を割り当てる、
請求項1に記載の見積システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記人材毎のコンピテンシースキルを記録し、
前記適正人材検索部は、前記人材毎のコンピテンシースキルを出力部から出力させる、
請求項1に記載の見積システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見積システムに関する。
【背景技術】
【0002】
システム開発の見積りを行う場合、案件情報、人材スキル、および人材配置予定などに基づいて、工数を算出する必要がある。このような見積りを行うシステムとしては、特許文献1に記載の作業工数見積および人材割当システムがある。
【0003】
この特許文献1には、過去に行った類似作業を検索して新規作業の工数を見積る機能と、作業者の空き工数やスキル情報を算出する機能とを有し、新規作業の作業期間内で空き工数と作業に必要なスキルとを持つ作業者を検索して割り当てることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-318331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムは、過去の類似作業における作業工数、各人材の類似作業の経験期間、および人材の空き情報(各作業への従事期間)を踏まえて、人材を割り当てる方法で見積もりを作成している。
【0006】
上記の見積結果を前提に案件を進めた場合、例えば、最新の情勢および業界動向により変化するリスクおよび案件難易度が考慮されていない為、実際の工数が増加することが懸念される。さらに、人材が従事してきた業種の違いと生産性の低さにより、作業経験の多いはずのベテラン人材の効率が上がらない可能性があり、家庭事情およびモチベーション低下により、100%の従事率で案件に従事できなくなる人材が出るという可能性もある。その結果、案件推進中に再見積りを行うということも少なくない。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、見積り精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するための発明は、案件の見積の作成を支援する見積システムであって、前記案件の区分と分野を含む案件情報と、生産性を含む人材スキルと、人材プロフィールと、人材キャリアプランとが入力される入力部と、前記案件情報と、前記人材スキルと、前記人材プロフィールと、前記人材キャリアプランとを記録する記憶部と、前記入力部から入力される情報に基づいて、見積対象案件の見積の規模を算出する案件規模算出部と、前記入力部から入力される情報に基づいて、前記見積対象案件で求められるスキルを有する適正人材を検索する適正人材検索部と、前記検索された適正人材の中から前記見積対象案件に人材を割り当てる人材割り当て部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、見積り精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】見積処理の概要例を示す図。
図2】見積システムの構成例を示す図。
図3】案件プロフィールデータベースの構成例を示す図。
図4】案件区分マスタデータベースの構成例を示す図。
図5】スキル区分マスタデータベースの構成例を示す図。
図6】人材キャリアマスタデータベースの構成例を示す図。
図7】人材情報マスタデータベースの構成例を示す図。
図8】案件実績データベースの構成例を示す図。
図9】人材基本スキル実績データベースの構成例を示す図。
図10】人材案件スキル実績データベースの構成例を示す図。
図11】人材従事予定データベースの構成例を示す図。
図12】見積処理(案件規模算出)の例を示すフローチャート。
図13】見積処理(適正人材検索)の例を示すフローチャート。
図14】見積処理(人材割り当て)の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る見積システムの実施例について説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【実施例0012】
図1は、後述する見積システムで実現される見積処理の概要例を示す図である。
【0013】
例えば、見積作成者1は、サーバ2を介して案件見積処理101を行う。見積り行うためには、見積作成を行うための管理情報および過去類似案件の実績をサーバ2を介して登録しておく必要がある。このため、例えば、管理部門3は、サーバ2を介して、見積作成を行うための管理情報である案件区分マスタ登録102、およびスキル区分マスタ登録103を行う。案件従事人材4は、サーバ2を介して、見積時に人材紐付けを行う為の管理情報である人材キャリアマスタ登録104、および人材情報マスタ登録105を行う。個々の案件リーダ5は、サーバ2を介して、見積時に類似案件検索を行うための実績情報である案件実績登録106、人材基本スキル実績登録107、および人材案件スキル実績登録108を行う。
【0014】
このように、見積作成の前段階として、管理部門3が見積用マスタ情報を、案件従事人材4が人材紐付けを行う為の管理情報を、案件リーダ5が類似案件検索を行うための案件情報をそれぞれ事前登録する。これにより、見積作成者1は、見積結果を取得することができる。
【0015】
図2は、見積システムの構成例を示す図である。
【0016】
見積システム100は、サーバ2と、端末13とを備えている。サーバ2は、演算装置6、メモリ7、「記憶部」の一例としての記憶装置8、および通信インターフェース(通信I/F)11を有する計算機である。演算装置6は、記憶装置8に格納されたプログラムをメモリ7にロードして実行し、見積処理を行う装置である。記憶装置8は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ等からなる半導体記憶装置(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記録装置によって構成されており、演算装置6が実行するプログラムおよび各種情報を格納する。
【0017】
記憶装置8は、入出力処理部9、「案件規模算出部」「適正人材検索部」「人材割り当て部」の一例としてのデータ処理部10を有している。入出力処理部9は、GUI(Graphical User Interface)を用いて、データ登録、各データベースの登録内容の表示、および見積結果の表示を行うためのプログラムである。データ処理部10は、見積作成を行うためのプログラムである。さらに、案件プロフィールDB21~人材従事予定DB29は、実際にデータが格納されるデータベースである。通信I/F11は、所定のプロトコルに従って、通信網12(ネットワーク)を介して端末13との通信を制御し、端末13との間でデータ送受信を行う通信インターフェース装置である。
【0018】
端末13は、通信インターフェース(通信I/F)14、演算装置15、記憶装置16、メモリ17、および「入力部」および「出力部」の一例としての入出力装置18を有する計算機(パーソナルコンピュータ)である。端末13では、GUIを表示するウェブブラウザおよび専用アプリケーションが動作する。
【0019】
演算装置15は、記憶装置16に格納されたプログラムをメモリ17にロードして実行し、各種情報を処理する装置である。入出力装置18は、例えばディスプレイ装置からなる。入出力装置18は、タッチパネルとして会員の操作入力を受け付け、プログラムの実行結果を視認可能な形式で出力する装置である。
【0020】
例えば、見積作成者1が案件見積処理101を行う場合、端末13の入出力装置18を用いて、見積作成を指示する。入出力装置18から入力された指示は、サーバ2の入出力処理部9に送信され、データ処理部10により見積が作成される。その後、入出力処理部9は、作成された見積結果を、端末13の入出力装置18で表示可能な形式で送信する。
【0021】
以降、見積システムで使用する各データベースについて説明する
【0022】
図3は、案件プロフィールデータベースの構成例を示す図である。
【0023】
案件プロフィールデータベース21は、見積作成者1が案件見積処理101を行う際に、入出力処理部9のGUIで登録を行うものである。本データベース21は、案件の特徴を表現するための情報を保持する。
【0024】
案件プロフィールデータベース21には、親案件No201、子案件No202、案件区分種別203、および案件区分204が含まれる。親案件No201は、案件を管理するKEYである。子案件No202は、同一案件を複数の子案件に分割する際のKEYである。案件を分割するケースについては、後述する。
【0025】
案件区分種別203、案件区分204は、案件の特徴を示すための項目である。例えば、親案件No201が00001、子案件No202が00001の案件は、業種は自動車、分野はWEBシステム開発、顧客はA社、主要使用製品はAWS、規模はコーディング量10KStep超、開発内容は新規という特徴を持つ案件である。
【0026】
図4は、案件区分マスタデータベースの構成例を示す図である。
【0027】
案件区分マスタデータベース22は、入出力処理部9のGUIで登録を行うものである。
本データベース22は、案件見積処理101を行う際に、見積対象案件の特徴(案件区分)を案件プロフィールデータベース21に登録するための管理情報を保持する。本データベース22は、案件見積処理101を行う前に登録されている必要がある。
【0028】
案件区分マスタデータベース22には、案件区分種別211、案件区分212、同一種別内複数選択213、案件区分難易度214、および難易度根拠215が含まれる。案件区分種別211と案件区分212は、案件の特徴を表現する。例えば、自動車業界の案件の場合、案件区分種別211は業種、案件区分212は自動車という情報が案件プロフィールデータベース21に登録される。
【0029】
同一種別内複数選択213は、案件区分種別211が同一である複数の案件区分212を、見積対象案件の一つの親案件No201に紐づけることができるかを管理する。例えば、案件区分種別211が業種の場合、案件区分212が自動車と物流のような複数の業種を一つの親案件No201に紐づけることはできない。自動車と物流のような複数の業種を一つの案件で管理したい場合は、案件プロフィールデータベース21を登録する際に、複数の子案件No202を作成し、子案件No202が00001の場合は自動車業種、子案件No202が00002の場合は物流業種のように登録を行う。
【0030】
このように案件を分割することで、案件プロフィールデータベース21に登録される各案件特徴の複雑化や、各登録者の特徴のばらつきを回避し、見積もりの精度を上げることが可能となる。
【0031】
案件区分難易度214は、案件区分212毎に独自の難易度を設定する項目である。本見積システム100は、案件区分212に基づいて、過去案件の類似案件を検索するものであり、過去実績を踏まえた工数を算出することができる。案件区分212毎に、過去実績をそのまま採用して良い場合には1を、過去実績に対して独自の難易度設定を追加したい場合は、0.0から2.0(小数点第一位)までの難易度が登録される。例えば、自動車業種で準拠すべき新規規格が発行され、過去実績の工数通りで作業を進めることが難しい場合、案件区分難易度214を1.2に設定する。すると、過去実績の1.2倍の工数で見積結果を算出する。難易度根拠215には、案件区分難易度214を設定した根拠を登録する。尚、本マスタデータベース22は、目的や状況に応じて随時追加されてよい。
【0032】
このようなリスク分析(難度根拠215に記載されている内容相当の分析)および難易度設定は、従来は各見積担当者が頭の中に持っており、ベテラン社員と若手社員の見積結果に差異が生まれる要因となっていた。案件区分難易度214を設けることで、最新の業界動向を踏まえた難易度を考慮し、見積もりの精度を上げことが可能となる。
【0033】
図5は、スキル区分マスタデータベースの構成例を示す図である。
【0034】
スキル区分マスタデータベース23は、入出力処理部9のGUIで登録を行うものである。本データベース23は、案件実績データベース26、人材基本スキル実績データベース27、および人材案件スキル実績データベース28を登録する際の最小単位のKEYとなる、スキル区分を保持する。本データベース23は、案件見積処理101を行う前に登録されている必要がある。
【0035】
スキル区分マスタデータベース23には、スキル区分221、実績反映フラグ222、生産性基準223およびレビュー指摘基準224が含まれる。スキル区分221は、人材スキルを判断する際の分類を設定する項目である。スキル区分221は、開発スキルおよびコンピテンシーを問わず、人材スキルを判断したい観点を設定する。例えば、WEBシステム_要件定義というスキル区分221を登録すると、案件実績データベース26には、各案件のWEBシステム_要件定義で要した実績が保管される。
【0036】
スキル区分221を分割する観点として、例えば、IT業界の業種が挙げられる。近年、IoT案件の増加に伴い、WEBシステムと組み込みシステムの双方を推進している企業が増加している。このような企業において、組み込みシステムの要件定義を行う人材を割り当てる際に、WEBシステムの要件定義経験者を割り当ててしまうと、要件定義の観点の違いにより想定していた生産性を発揮できない懸念がある。よって、WEBシステムと組み込みシステムの要件定義工程を分けて登録する。このような登録を行うことで、各業界の業種(IT業界の例:Web系、組み込み系、業務系など)に依存せず、人材が持つスキルをより細かい粒度で検索することができる。
【0037】
実績反映フラグ222は、案件実績データベース26、人材基本スキル実績データベース27、および人材案件スキル実績データベース28のうち、どのデータベース26~28にスキル区分221を登録するかを判断する項目である。例えば、リーダーシップおよびメンバーシップのようなコンピテンシースキルは、生産性で図ることが難しい。さらに、コンピテンシースキルは、案件に紐づくスキルではなく、人材そのものに紐づくスキルである。このようなスキル区分221については、実績反映フラグ222をOFFに設定する。実績反映フラグ222がOFFの場合、人材基本スキル実績データベース27のみへの登録対象となる。実績反映フラグ222がONの場合、案件実績データベース26、人材案件スキル実績データベース28への登録対象となる。案件実績データベース26、人材基本スキル実績データベース27、および人材案件スキル実績データベース28については後述する。
【0038】
生産性基準223は、スキル区分221の生産性を計測する際の計測単位を設定する項目である。レビュー指摘基準224は、生産性基準223単位のレビュー指摘基準を設定する項目である。例えば、図5のスキル区分221がWEBシステム_要件定義の場合、生産性はページで計測し、1ペ―ジあたりのレビュー指摘基準は2件ということになる。これらの項目は、各人材の生産性を判断する際に使用される。これらの項目の詳細は後述する。尚、本マスタは、目的や状況に応じて随時追加されてよい。
【0039】
図6は、人材キャリアマスタデータベースの構成例を示す図である。
【0040】
人材キャリアマスタデータベース24は、入出力処理部9のGUIで登録を行うものである。本データベース24は、自身のキャリアプランを踏まえ、今後従事を希望する案件区分と、従事を希望しない案件区分を登録することで、見積で人材を割り当てる際に、より希望と近い案件を割り当て、希望しない案件には割り当てを行わない為に使用される。本データベース24は、案件見積処理101を行う前に登録されている必要がある。
【0041】
人材キャリアマスタデータベース24には、人材No231、案件区分種別232、案件区分233および従事希望フラグ234が含まれる。人材No231は、各人材を一意に表すためのKEYである。案件従事人材4は、従事を希望する、もしくは、希望しない案件区分種別232および案件区分233を登録する。従事希望フラグ234は、従事を希望する場合はYESを、従事を希望しない場合はNOが設定される。
【0042】
このように従事希望案件に加え、従事を希望しない案件も踏まえた見積を行うことで、人材のモチベーション低下による生産性低下、および案件に従事できなくなる事象を軽減し、見積もりの精度を上げることが可能となる。
【0043】
図7は、人材情報マスタデータベースの構成例を示す図である。
【0044】
人材情報マスタデータベース25は、入出力処理部9のGUIで登録を行うものである。本データベース25は、案件従事人材4が案件に従事できる予定比率と自身の単価を登録することで、見積で人材を割り当てる際に単価を踏まえ、最も低い単価かつ高い生産性を出せる人材を割り当てる為の判断と、案件従事比率を超えた割り当てを行わない為に使用される。このような割り当てができる根拠は、図13の見積処理(適正人材検索)316の説明で後述する。本データベース25は、案件見積処理101を行う前に登録されている必要がある。
【0045】
人材情報マスタデータベース25には、人材No241、開始242、終了243、単価244、案件従事率245、および理由246が含まれる。人材No241は、各人材を一意に表すためのKEYである。開始242、終了243、単価244、案件従事率245、案件従事率の根拠となる理由246は、案件従事人材4毎に登録される。案件従事率245は、標準的な1日の稼働を1.0とし、例えば、ある期間に家族介護が必要な場合、または研修がある場合などは案件従事率を下げて登録する。
【0046】
このように案件外作業を踏まえた従事比率を踏まえた見積を行うことで、家庭事情による生産性の低下、および案件に従事できなくなる事象を軽減し、見積もりの精度を上げることが可能となる。
【0047】
図8は、案件実績データベースの構成例を示す図である。
【0048】
案件実績データベース26は、入出力処理部9のGUIで登録を行うものである。本データベース26は、各案件の実績規模を登録することで、見積で類似案件の案件規模を算出する際に使用される。本データベース26は、案件見積処理101を行う前に登録されている必要がある。
【0049】
案件実績データベース26には、親案件No251、子案件No252、スキル区分253、および実績規模254が含まれる。案件リーダ5は、親案件No251、子案件No252、およびスキル区分253毎の実績規模254を登録する。尚、スキル区分253には、スキル区分マスタデータベース23の実績反映フラグ222がONのスキル区分のみが登録される。さらに、実績規模254に登録される規模は、スキル区分マスタデータベース23の生産性基準223に沿った実績規模(ページおよびstep数)となる。
【0050】
図9は、人材基本スキル実績データベースの構成例を示す図である。
【0051】
人材基本スキル実績データベース27は、入出力処理部9のGUIで登録を行うものである。データベース27には、各人材の基本スキルが登録される。この基本スキルは、見積で要員を割り当てる際の生産性としては考慮されない。見積作成者1は、人材基本スキル実績データベース27を参照し、見積で割り当てられた人材が案件に適しているかを最終判断する。本データベース27は、案件見積処理101を行う前に登録されている必要がある。
【0052】
人材基本スキル実績データベース27には、人材No261、スキル区分262、レベル263が含まれる。案件リーダ5は、人材No261、スキル区分262毎のレベル263を登録する。尚、スキル区分262には、スキル区分マスタデータベース23の実績反映フラグ222がOFFのスキル区分のみが登録される。
【0053】
このようにコンピテンシーなどの基本スキルも踏まえて人材を判断することで、例えば、プレゼンテーションが多いような案件に割り当てられた人材が、生産性は高いものの表現力が低く、成果を上げることができないといった事象を軽減することできる。これにより、見積もりの精度を上げることが可能となる。
【0054】
図10は、人材案件スキル実績データベースの構成例を示す図である。
【0055】
人材案件スキル実績データベース28は、入出力処理部9のGUIで登録を行うものである。データベース28は、各案件、人材毎の作業実績を登録することで、見積で人材割り当てを行う際の生産性の算出に使用される。本データベース26は、案件見積処理101を行う前に登録されている必要がある。
【0056】
人材案件スキル実績データベース28には、親案件No271、子案件No272、人材No273、スキル区分274、実績工数275、実績規模276、およびレビュー指摘件数277が含まれる。案件リーダ5は、親案件No271、子案件No272、人材No273、スキル区分274毎の実績工数275、実績規模276、およびレビュー指摘件数277を登録する。見積で人材割り当て行う際は、上記で登録した内容から、人材の生産性と作業品質を算出し、割り当てを行う。
【0057】
このように人材スキルを案件に従事した期間で判断するのではなく、生産性と作業品質で判断することで、作業経験の多いはずのベテラン作業者の生産性が上がらないといった事象を軽減することができる。さらに、レビュー指摘件数を取り入れることで、生産性は高いものの品質が低く、成果を上げることができないといった事象を軽減することができ、その結果、見積の精度を上げることが可能となる。
【0058】
図11は、人材従事予定データベースの構成例を示す図である。
【0059】
人材従事予定データベース29は、見積作成時に、案件プロフィールデータベース21、および人材情報マスタデータベース25の内容から登録されるものである。人材従事予定データベース29は、見積システム100が、割り当てた人材毎の案件従事予定を登録し、見積で人材割り当てを行う際の、割り当て可否判断に使用される。本データベース29は、案件見積処理101を行う前に登録されている必要がある。
【0060】
人材従事予定データベース29には、親案件No281、子案件No282、人材No283、開始284、終了285、および従事率286が含まれる。
【0061】
図12は、見積処理(案件規模算出)の例を示すフローチャートである。
【0062】
見積作成者1がサーバ2を介して案件見積処理101を行った際の、見積処理(案件規模算出)について説明する。
【0063】
まず、データ処理部10は、案件プロフィールデータベース21内の見積対象案件の案件区分種別203、および案件区分204に基づいて、案件プロフィールデータベース21から、案件区分種別203および案件区分204が1つ以上該当する類似案件を検索し、類似案件一覧401を作成する(S301)。この類似案件一覧401には、類似親案件No、類似子案件No、類似案件区分種別、類似案件区分、および案件区分一致数が含まれる。
【0064】
次に、データ処理部10は、類似案件一覧401に対して、案件区分の一致数が最も多く、かつ、親案件Noが最も大きい類似案件を見積結果に採用する。データ処理部10は、案件実績データベース26から、類似案件のスキル区分253および実績規模254を検索し、見積結果402を作成する(S302)。この見積結果402には、案件区分402(1)および案件規模402(2)が含まれる。案件区分402(1)には、見積案件区分種別および見積案件区分、案件規模402(2)には、見積親案件No、見積子案件No、見積スキル区分、および見積規模が含まれる。
【0065】
次に、データ処理部10は、案件区分402(1)の見積案件区分種別および見積案件区分に基づいて、案件区分マスタデータベース22から、案件区分難易度214を検索する。データ処理部10は、案件規模402(2)の見積規模に対して、案件区分難易度214を乗算し、見積規模を確定する。その後、データ処理部10は、入出力処理部9のGUIを通して、現時点の見積結果402を出力する(S303)。この現時点の見積結果402の案件規模402(2)には、見積親案件No、見積子案件No、見積スキル区分、更新された見積規模、および未割り当て規模(新規の見積規模と同じ値)が含まれる。
【0066】
見積り作成者1は、GUIに出力された見積結果402を踏まえ、見積スキル区分毎の作業開始日および終了日を設定する(S304)。これにより、見積結果402の案件規模402(2)には、見積親案件No、見積子案件No、見積スキル区分、見積規模、未割り当て規模、開始日、および終了日が含まれる。
【0067】
その後、データ処理部10は、案件規模402(2)を、開始日の昇順(第一ソート昇順)および終了日の昇順(第二ソート昇順)で並び替える(S305)。
【0068】
図13は、見積処理(適正人材検索)の例を示すフローチャートである。
【0069】
見積処理(案件規模算出)の後続処理となる、見積処理(適正人材検索)について説明する。
【0070】
以降、データ処理部10は、S311~S312について、案件規模402(2)の行数だけLOOPを行う。
【0071】
まず、データ処理部10は、案件規模402(2)の見積スキル区分に基づいて人材案件スキル実績データベース28から、各人材が直近に従事した案件(親案件No271が最大の案件)の実績を検索し、人材スキル実績403を作成する(S311)。この人材スキル実績403には、人材No、スキル区分、実績工数、実績規模およびレビュー指摘件数が含まれる。
【0072】
次に、データ処理部10は、人材スキル実績403に対して、計算式404をもとに生産性/人日を求める。さらに、データ処理部10は、人材Noに基づいて人材情報マスタデータベース25から、単価を検索する(S312)。これにより、人材スキル実績403には、人材No、スキル区分、実績工数、実績規模、レビュー指摘件数、生産性/人日および単価が含まれる。
【0073】
生産性/人日は、スキル区分マスタデータベース23で定義されている生産性基準223単位の生産性/人日となる。例えば、WEBシステム_要件定義の場合、1ページ当たりの生産性である。以下に計算式404の内容を記載する。
生産性/人日=生産性(a)×作業品質係数(b)
生産性(a)=人材スキル実績403の実績規模÷人材スキル実績403の実績工数
作業品質係数(b)=1-((1実績規模あたりのレビュー指摘件数(c)-スキル区分マスタデータベース23のレビュー指摘基準224)×係数(d))
但し、作業品質係数(b)の最大値は1とする。計算結果が1以上である場合、作業品質係数(b)は1とする。
1実績規模あたりのレビュー指摘件数(c)=人材スキル実績403のレビュー指摘件数÷人材スキル実績403の実績規模
係数(d)=0.1
【0074】
以降、データ処理部10は、S313~S315について、人材スキル実績403の行数だけLOOPを行う。
【0075】
まず、データ処理部10は、人材スキル実績403の人材Noに基づいて、人材キャリアマスタデータベース24から、案件区分種別232、案件区分233および従事希望フラグ234を検索し、人材キャリア405を作成する。(S313)。この人材キャリア405には、案件区分種別、案件区分および従事希望フラグが含まれる。
【0076】
次に、データ処理部10は、人材キャリア405の案件区分種別、案件区分に基づいて、案件区分402(1)から、見積案件区分種別、見積案件区分を検索する。データ処理部10は、従事希望フラグがNOの区分が1つ以上ある場合、人材スキル実績403の該当する人材Noの情報を削除する(S314)。
【0077】
次に、データ処理部10は、人材キャリア405の案件区分種別、案件区分に基づいて、案件区分402(1)から、見積案件区分種別、見積案件区分を検索する。データ処理部10は、人材キャリア405の従事希望フラグがYESの区分が1つ以上ある場合、人材スキル実績403の従事希望をYESに設定する(S315)。これにより、人材スキル実績403には、人材No、スキル区分、実績工数、実績規模、レビュー指摘件数、生産性/人日、単価および従事希望が含まれる。
【0078】
次に、データ処理部10は、人材スキル実績403を、スキル区分の昇順(第三ソート昇順)、従事希望の降順(第四ソート昇順)、単価÷生産性/人日の昇順(第五ソート昇順)で並び替える(S316)。本並び替えを行うことで、従事希望者かつ、求める作業規模を、最も低い単価かつ高い生産性を出せる人材で割り当てることができるようになる。
【0079】
図14は、見積処理(人材割り当て)の例を示すフローチャートである。
【0080】
見積処理(適正人材検索)の後続処理となる、見積処理(人材割り当て)について説明する。
【0081】
以降、データ処理部10は、S321~S326について、案件規模402(2)の行数だけLOOP1を行う。
【0082】
まず、データ処理部10は、案件規模402(2)の見積スキル区分に基づいて、人材スキル実績403から、人材Noおよび生産性/人日を検索し、人材割り当て候補406を作成する(S321)。この人材割り当て候補406には、人材Noおよび生産性/人日が含まれる。
【0083】
以降、データ処理部10は、S322~S326は、人材割り当て候補406の行数だけLOOP2を行う。
【0084】
まず、データ処理部10は、人材割り当て候補406の人材No、案件規模402(2)の開始日、終了日に基づいて、人材従事予定データベース29の開始284、終了285および従事率286と、人材情報マスタデータベース25の開始242、終了243および理由246が「案件」となっている案件従事率245を求める。データ処理部10は、「案件従事率245-従事率286」により、期間内の割り当て可能従事率を検索し、割り当て可能従事率から割り当て可能規模を算出する(S322)。これにより、この人材割り当て候補406には、人材No、生産性/人日、割り当て可能従事率および割り当て可能規模が含まれる。
算出された割り当て可能従事率が0の場合はS326に進む。割り当て可能従事率が0より大きい場合は、S324に進む(S323)。
【0085】
次に、データ処理部10は、人材割り当て候補406の人材Noに基づいて、割り当てる従事率を人材従事予定データベース29に登録する(S324)。
【0086】
次に、データ処理部10は、見積結果402の割り当て人材402(3)に、割り当てが決まった人材のスキル区分、開始日、終了日、割り当て規模および割り当て従事率を設定し、案件規模402(2)の未割り当て規模から、割り当て規模を減算する(S325)。この案件規模402には、案件区分402(1)、案件規模402(2)および割り当て人材402(3)が含まれる。案件規模402(2)には、見積親案件No、見積子案件No、見積スキル区分、見積規模、更新された未割り当て規模、開始日および終了日が含まれる。割り当て人材402(3)には、スキル区分、開始日、終了日、割り当て規模および割り当て従事率が含まれる。
【0087】
最後に、未割り当て規模が0の場合はLOOP2を抜ける。(S326)。以上のプロセスを通して、見積が確定する。
【実施例0088】
実施例2は、案件リーダ5が入出力処理部9のGUIを通して手入力で登録する、人材案件スキル実績データベース28を、案件の成果物から自動登録するものである。図1を参照し、実施例1から変更のあるものを以下に説明する。
【0089】
例えば、実施例1では、案件リーダ5は、人材案件スキル実績登録108を行う際に、入出力処理部9のGUIを通して登録内容を全て手入力していた。
【0090】
実施例2では、各々の案件従事人材4が入出力処理部9のGUIを通して自身が作成した成果物をファイルのままGUIにアップロードする。アップロードしたファイルは、データ処理部10によりテキスト形式として読み込まれ、文字数、行数から実績規模を判断し、人材案件スキル実績データベース28の実績規模276を登録する。
【0091】
さらに、アップロードするファイルにキーワードを付与することで、レビュー指摘件数277も自動取り込みが可能になる。例えば、ファイルのレビュー指摘件数に該当する箇所に「KEY:レビュー指摘件数」といった文言を記載しアップロードし、データ処理部10がテキスト形式で読み込む際に「KEY:レビュー指摘件数」を検索し、その後に記載された件数をレビュー指摘件数277に登録する。
【0092】
このように、本実施例では、各々の案件従事人材4が自身の成果物をファイルのまま登録することで人材案件スキル実績データベース28の自動登録を行うことができる。これにより、案件リーダ5による人材案件スキル実績データベース28の登録忘れおよび登録内容の間違いを防ぎ、見積精度を上げることができる。さらに、案件リーダ5の作業負荷が下がり、更なる業務の効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0093】
8…記憶装置、10…データ処理部、18…入出力装置、100…見積システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14