(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145791
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/70 20060101AFI20241004BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241004BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241004BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B41J11/70
G03G21/00 386
B41J29/38 302
B41J29/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058291
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】辻村 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴士
(72)【発明者】
【氏名】佐宗 哲也
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C058AB09
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF51
2C058LA02
2C058LA07
2C058LA13
2C058LB10
2C058LB19
2C058LB36
2C058LC02
2C058LC10
2C058LC21
2C061AP01
2C061AQ03
2C061AS06
2C061BB10
2C061BB15
2C061CE07
2C061CK01
2C061CQ05
2C061CQ23
2C061CQ32
2C061HH03
2C061HH13
2C061HJ04
2C061HJ10
2C061HK06
2C061HV01
2C061HV13
2C061HV19
2C061HV21
2C061HV33
2C061LL04
2C061LL06
2C061LL07
2H270KA57
2H270LA98
2H270LC10
2H270LC22
2H270NE10
2H270NE14
2H270QB07
2H270QB08
2H270QB09
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】シート状媒体及び画像形成剤の無駄を抑制する。
【解決手段】プリンタは、ヘッドと、搬送部と、切断部と、用紙検出センサと、報知部と、制御部とを含む。制御部は、ロール紙への画像形成の途中に第1切断処理(S5)の切断動作を実行し、用紙検出センサによりロール紙があると判定された場合(S8:YES)、第6報知処理(S26)を実行する。また、制御部は、画像形成の途中であって第1切断処理の切断動作後に、用紙検出センサによりロール紙があると判定された場合でも、画像形成を中断せずに継続する(S6)。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成部と、
シート状媒体を前記搬送方向と交差する方向に切断する切断部と、
シート状媒体の切断の有無を示す状態信号を出力する信号出力部と、
報知部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
画像形成指令に基づいて、前記搬送部によりシート状媒体を搬送し前記画像形成部によりシート状媒体に画像を形成する画像形成処理と、
前記切断部によりシート状媒体を切断するための切断動作を行う切断処理と、を実行可能であり、
前記画像形成処理におけるシート状媒体への画像形成の途中に前記切断処理を実行したにもかかわらずシート状媒体が切断されていないときには、前記画像形成を中断せず継続し、切断失敗に関する情報を報知する報知動作を前記報知部に実行させる、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記切断処理後であって前記画像形成の途中に、シート状媒体が切断されていないことを示す前記状態信号を前記信号出力部から受信したときでも、当該画像形成処理における前記画像形成を中断せずに継続することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記情報が、シート状媒体が切断されていないことを示す情報を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記報知動作が、前記画像形成の完了後に実行され、
前記情報が、前記画像形成を継続したことを示す情報を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記情報が、シート状媒体を手動で切断することを促す情報を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送部及び前記画像形成部が搭載された装置本体と、
前記切断部よりも前記搬送方向の下流にあるシート状媒体の搬送経路を前記装置本体との間で形成する閉位置と、前記装置本体から少なくとも一部が離隔し前記搬送経路を外部に露出可能な開位置とを取り得るカバーと、をさらに備え、
前記情報が、前記カバーを開けてシート状媒体を手動で切断することを促す情報を含んでいることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記切断部が、前記搬送方向において、前記画像形成部よりも上流に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記信号出力部は、シート状媒体が搬送される搬送経路の、前記切断部と前記画像形成部との間の所定位置におけるシート状媒体の有無を示す信号を前記状態信号として出力するセンサであり、
前記制御部は、
前記切断処理を実行してから第1時間が経過するまでに、前記所定位置にシート状媒体が無いことを示す前記状態信号を前記センサから受信しないとき、前記搬送部によるシート状媒体の搬送を停止させることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記信号出力部は、シート状媒体が搬送される搬送経路の、前記切断部と前記画像形成部との間の所定位置におけるシート状媒体の有無を示す信号を前記状態信号として出力するセンサであり、
前記制御部は、
前記切断処理を実行してから第1時間が経過するまでに、前記所定位置にシート状媒体が無いことを示す前記状態信号を前記センサから受信しないとき、前記切断処理によりシート状媒体が切断されていないと判定することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記搬送部は、前記搬送方向に沿って配置された複数のローラ対を有しており、
前記制御部は、
シート状媒体が切断されているとき、シート状媒体の後端が前記搬送部の前記搬送方向の最下流にある前記ローラ対を通過し終わる手前で前記搬送部によるシート状媒体の搬送を停止することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、
シート状媒体が切断されていないとき、前記切断処理を再度実行するリトライ処理を実行可能であることを特徴とする請求項1又は7に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記リトライ処理によりシート状媒体が切断されているとき、
シート状媒体の後端部分に過剰な余白があることを示す情報を報知する前記報知動作を前記報知部に実行させることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記リトライ処理によりシート状媒体が切断されているとき、
シート状媒体の後端部分の余白を手動で切断するように促す情報を報知する前記報知動作を前記報知部に実行させることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記リトライ処理によりシート状媒体が切断されていないとき、
前記切断部の交換を促すことを示す情報を報知する前記報知動作を前記報知部に実行させることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記リトライ処理の実行回数を記憶し、当該実行回数に基づいたシート状媒体の前記切断予定位置からの余剰長さを導出する導出処理を、さらに実行可能であり、
前記リトライ処理によりシート状媒体が切断されているとき、
前記導出処理により導出された余剰長さの余白がシート状媒体の後端部分にあることを示す情報を報知する前記報知動作を前記報知部に実行させることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状媒体を切断可能な切断部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロール紙(シート状媒体)を搬送方向に搬送する搬送部と、ロール紙に画像を形成するヘッド(画像形成部)と、ヘッドよりも搬送方向上流に配置され、搬送部によって搬送される用紙を切断可能な切断部と、を含むプリンタについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のプリンタにおいて、例えば、ロール紙に画像を形成する画像形成処理が行われている途中に、当該ロール紙の切断予定位置が切断部に到達したタイミングでロール紙の切断動作が実行される。このとき、ロール紙の切断に何らかの不具合が生じてロール紙が切断されていない場合、例えば、以下の動作が実行されると考えられる。つまり、ロール紙の切断動作後に、ロール紙が切断されていない切断不良を検出した場合、ユーザにロール紙を手動で切断して除去することを報知する報知動作を実行すると考えられる。このとき、例えば、画像形成処理が途中であれば中断し、ユーザは、ハサミを用いてロール紙を適宜の位置で切断し、切断個所よりも下流にある画像形成途中の用紙(所望の画像の一部だけが形成されたロール紙の一部)を除去する。そして、切断個所よりも上流にあるロール紙に、再度、画像形成処理を実行すると考えられる。
【0005】
このようなロール紙の切断不良が生じた場合、画像形成途中のロール紙の一部であった用紙を除去すると、除去した用紙及び当該用紙の画像を形成する画像形成剤が無駄になる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、シート状媒体及び画像形成剤の無駄を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、シート状媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を形成する画像形成部と、シート状媒体を前記搬送方向と交差する方向に切断する切断部と、シート状媒体の切断の有無を示す状態信号を出力する信号出力部と、報知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、画像形成指令に基づいて、前記搬送部によりシート状媒体を搬送し前記画像形成部によりシート状媒体に画像を形成する画像形成処理と、前記切断部によりシート状媒体を切断するための切断動作を行う切断処理と、を実行可能であり、前記画像形成処理におけるシート状媒体への画像形成の途中に前記切断処理を実行したにもかかわらずシート状媒体が切断されていないときには、前記画像形成を中断せず継続し、切断失敗に関する情報を報知する報知動作を前記報知部に実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によると、画像形成の途中で切断処理が実行されたにもかかわらずシート状媒体が切断されなくても、画像形成処理における画像形成が中断されずに継続される。このため、シート状媒体及び画像形成剤の無駄を抑制することができる。また、ユーザが、シート状媒体の切断失敗に関する情報を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの概略構成を示す側面図である。
【
図2】
図1に示すプリンタの制御部のブロック図である。
【
図3】カバー及び切断部の詳細な構成を示す側断面図である。
【
図4】
図1に示す切断部の概略平面図であり、(a)は回転刃及びキャリッジが待機位置に配置されている状況を示す図であり、(b)は回転刃及びキャリッジが停止位置に配置されている状況を示す図である。
【
図5】
図1に示すプリンタがロール画像形成信号を受信したときに実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図5に示す第1切断処理のフローチャートである。
【
図7】
図5に示す第2切断処理のフローチャートである。
【
図8】本発明の変形例に係るプリンタのフラッシュメモリに記憶された各条件に応じた係数を示す図である。
【
図9】変形例に係るプリンタが画像形成信号を受信したときに実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図9に示すロール紙印刷処理のフローチャートである。
【
図11】
図9に示すカット紙印刷処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態にかかるプリンタ1について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、プリンタ1が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向が定義され、筐体11の開口13が設けられている側を手前側(正面或いは前方)、開口14が設けられている側を奥側(背面或いは後方)として前後方向が定義され、プリンタ1を手前側から見て左右方向が定義される。
【0011】
プリンタ(本発明の「画像形成装置」)1は、
図1に示すように、給送カセット2、搬送部3、切断部5、ヘッド6、排出トレイ7、制御部8、報知部9(
図2参照)、用紙検出センサ10、筐体11、カバー15、カッターセンサ16(
図4参照)、エンコーダ17,36(
図2参照)などを有する。なお、本発明の「装置本体」は、筐体11、筐体11内に収容された給送カセット2、搬送部3、ヘッド6、切断部5、排出トレイ7、制御部8、報知部9、用紙検出センサ10、カッターセンサ16及びエンコーダ17,36により構成されている。また、装置本体は、少なくとも筐体11、搬送部3及びヘッド6が含まれておればよく、これら以外が含まれていなくてもよい。
【0012】
給送カセット2は、筐体11内においてヘッド6の下方に配置されている。排出トレイ7は、筐体11内においてヘッド6の前方であって、給送カセット2の上方に配置されている。給送カセット2及び排出トレイ7は、筐体11の前面に設けられた開口13を通じて筐体11の内部へ前後方向に沿って挿入可能である。また、筐体11に装着された給送カセット2は、開口13を通じて前後方向に沿って脱抜可能である。また、筐体11に装着された排出トレイ7は、開口13を通じて前方に引き出すことが可能である。
【0013】
給送カセット2は、ロール体R及びカット紙KPのいずれかの用紙Pを選択的に搬送可能なように、ロール体R及びカット紙KPのいずれかを選択的に収容するものである。ロール体Rは、円筒状の巻き芯(紙管)RCの外周面に長尺のロール紙(本発明の「シート状媒体」)RPがロール状に巻回されたものである。給送カセット2は、
図1に示すように、上方に開口した箱形状を有するトレイ21と、ロール体Rの下側部分の外周面を支持しつつ当該ロール体Rを回転可能に支持する支持部22と、を有する。カット紙(本発明の「シート状媒体」)KPは、支持部22よりも後方側のトレイ21の底面21B1上、又は、支持部22を取り外した底面21B1全体に配置される。以降の説明において、ロール体Rから巻き解かれたロール紙RPとカット紙KPとを区別しない場合には、「用紙P」と称する場合がある。
【0014】
支持部22は、支持台23及び3つのローラ24~26を有する。ロール体Rは、その軸方向が左右方向(
図1の紙面に垂直な方向)と平行となる姿勢で支持部22に支持される。支持台23は、トレイ21の底部21Bに着脱可能に設けられている。支持台23は、左右方向に沿って延びている。ローラ24~26は、いずれもその軸方向が左右方向と平行となる姿勢で支持台23に回転可能に支持されている。これら3つのローラ24~26は、ロール体Rの下側部分の外周面と接触した状態でロール体Rを下方から支持する。
【0015】
カバー15は、筐体11の背面に設けられた開口14に配置されている。カバー15の下端部は、筐体11に支持された軸15Aに回動自在に支持されている。軸15Aは、左右方向(
図1の紙面に垂直な方向)に延びている。カバー15は、軸15Aを中心に回動することで、閉位置(
図1中実線で示す位置)と開位置(
図1中破線で示す位置)とを取り得る。閉位置にあるカバー15は、筐体11内に設けられた図示しないガイドとの間で搬送部3による用紙Pの搬送経路Wを形成する。そして、カバー15が開位置にあることで、搬送経路Wの一部が開放される。
【0016】
搬送部3は、給送部31、3つの搬送ローラ対33~35及び搬送モータ37M(
図2参照)を有している。給送部31は、給送カセット2に収容されているロール体R及びカット紙KPのいずれかの用紙Pを後方に向かって給送カセット2から送り出す。
【0017】
給送部31は、給送カセット2の上方に配置されており、給送ローラ31A、アーム31B及び給送モータ31M(
図2参照)を有する。給送ローラ31Aは、アーム31Bの先端に軸支されている。アーム31Bは、支軸31Cに回動自在に支持されている。アーム31Bは、バネなどにより給送ローラ31Aがトレイ21の底面21B1に接触する方向に付勢されている。また、アーム31Bは、トレイ21を着脱する際に上方へ退避可能に構成されている。給送ローラ31Aは、給送モータ31Mからの駆動力が伝達されることで回転する。制御部8の制御により給送モータ31Mが駆動されると給送ローラ31Aが回転し、トレイ21内に収容された用紙Pが後方に向かって送り出される。
【0018】
3つの搬送ローラ対33~35は、給送部31によって給送された用紙Pを、左右方向と直交する搬送方向に沿って筐体11内で搬送する。3つの搬送ローラ対33~35は、搬送方向の上流側からこの順で配置されている。また、筐体11に装着された給送カセット2の先端上部には、
図1に示すように、ガイドローラ対32が設けられている。ガイドローラ対32は、給送部31によって給送カセット2から送り出された用紙Pを搬送ローラ対33へと案内する。ガイドローラ対32によって案内される用紙Pは、まず一方の面が後方を向き他方の面が前方を向く姿勢で上方に向かって送られ、切断部5を通過する。
【0019】
搬送ローラ対33は、ガイドローラ対32によって案内された用紙Pを上方に向けて搬送する。搬送方向において搬送ローラ対33と搬送ローラ対34との間には、
図1に示すように、搬送ローラ対33によって搬送される用紙Pを前方に案内する外ガイド38と内ガイド39とが配置されている。外ガイド38と内ガイド39は、所定の間隔をおいて配置されており、これらガイド38,39間に用紙Pが搬送される。これらガイド38,39は、上方に向かうに連れて前方へと湾曲するように形成されている。
【0020】
搬送ローラ対34は、搬送ローラ対33によって外ガイド38及び内ガイド39間を通過して搬送された用紙Pを受け取ってヘッド6に送る。搬送ローラ対35は、搬送ローラ対34によって搬送された用紙Pを受け取って排出する。搬送ローラ対34,35によって搬送される用紙Pは、前方に向かって送られる。
【0021】
各搬送ローラ対33~35は、搬送モータ37Mから駆動力が伝達されることで回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラと、で構成されている。制御部8の制御により搬送モータ37Mが駆動されると、搬送ローラ対33~35の駆動ローラ及び従動ローラが用紙Pをニップした状態で回転し、用紙Pが搬送方向に搬送される。
【0022】
エンコーダ36は、搬送モータ37Mの回転数及び角度を示す信号を出力する。これにより、制御部8がエンコーダ36からの信号に基づいて用紙Pの搬送量を導出することが可能となる。
【0023】
切断部5は、
図1に示すように、搬送方向においてヘッド6よりも上流に配置されている。また、切断部5は、搬送方向においてガイドローラ対32と搬送ローラ対33との間であって、ガイドローラ対32の上方に配置されている。切断部5は、固定刃51、回転刃52及び移動機構53(
図4参照)を有しており、固定刃51とカバー15との間の経路WX(搬送経路Wの一部)を通過するロール紙RPを固定刃51と回転刃52とが協働して切断する。
【0024】
固定刃51は、
図3に示すように、垂直部51Aと、水平部51Bとを有し、L字断面形状に形成されている。固定刃51は、筐体11に固定されている。垂直部51Aは、水平部51Bの後端部から上方に立設されている。また、固定刃51は、
図4に示すように、左右方向に長尺に延在している。より詳細には、固定刃51は、ロール紙RPの幅(搬送方向に直交する方向の幅)よりも長く形成されている。固定刃51の垂直部51Aは、経路WXを通過するロール紙RPの前方を向く面と当接可能に配置されている。
【0025】
回転刃52は、カバー15が閉位置(
図1において実線で示す位置)にあるとき、カバー15の前方を向く面に形成された溝15B内に位置する。回転刃52は、左右方向に沿って移動可能な後述のキャリッジ54(
図4参照)に搭載されている。回転刃52は、
図3に示すように、円盤状であり、上下方向に延びる軸52Aを中心に回転可能となるようにキャリッジ54に支持されている。また、回転刃52は、左右方向に平行な状態で回転可能に軸52Aに支持されている。また、回転刃52は、経路WXを通過するロール紙RPの後方を向く面と当接可能に配置されている。また、回転刃52は、その前方端部が固定刃51の垂直部51Aの上端面と接触可能に配置されている。
【0026】
移動機構53は、
図4に示すように、キャリッジ54と、ベルト55と、一対のプーリ56,57と、ガイドレール58(
図3参照)と、移動モータ53M(
図2参照)とを有する。ガイドレール58は、
図3に示すように、その全体が閉位置にあるカバー15の溝15Bに配置されている。また、ガイドレール58は、左右方向に沿って長尺に形成されており、キャリッジ54を左右方向に移動可能に支持する。
【0027】
キャリッジ54は、
図4に示すように、回転刃52を回転可能に支持しており、ベルト55に固定されている。一対のプーリ56,57は、左右方向において、経路WXを挟むようにして互いに離隔して配置されている。プーリ56は、移動モータ53Mによって回転力が付与される駆動プーリである。ベルト55は、エンドレスの環状ベルトであり、一対のプーリ56,57に架け渡されている。プーリ57は、プーリ56が回転することで走行するベルト55によって回転する従動プーリである。
【0028】
キャリッジ54は、
図4(a)に示すように、通常、固定刃51の左側端部の待機位置に配置されている。このとき、回転刃52も待機位置に配置されている。そして、ロール紙RPを切断する際に、制御部8の制御により移動モータ53Mが正回転駆動されることで、ベルト55が走行し、キャリッジ54とともに回転刃52が右方に移動する。このとき、回転刃52は、固定刃51との摩擦により回転する。これにより、固定刃51と回転刃52とが協働して、経路WXのロール紙RPを、ロール紙RPの幅方向(搬送方向と直交する方向)の一端から他端へと幅方向に沿って切断する。こうして、切断部5による、ロール紙RPを切断するための切断動作が行われる。ロール紙RPが切断されることで、ロール紙RPの後端が形成される。右方に移動したキャリッジ54及び回転刃52は、
図4(b)に示すように、移動モータ53Mの駆動が停止されることで、固定刃51の右方端部の停止位置で一旦停止される。この後、移動モータ53Mが逆回転駆動されることで、キャリッジ54とともに回転刃52が左方に移動し、
図4(a)に示す待機位置に戻される。
【0029】
カッターセンサ16は、待機位置に配置されたキャリッジ54を検出可能な位置に配置されている。カッターセンサ16は、例えば、待機位置に配置されたキャリッジ54に向けて光を発する発光素子及び受光素子(不図示)を有する透過型又は反射型のフォトセンサである。カッターセンサ16からの出力信号の変化により、待機位置にキャリッジ54があるか否かを検知することができる。すなわち、待機位置にキャリッジ54がない状態からある状態、ある状態からない状態に変化することで、待機位置にキャリッジ54があるか否かを検出することができる。これより、キャリッジ54の有無を判定することが可能となる。なお、カッターセンサ16は、例えば、メカスイッチや近接センサなどで構成されていてもよく、特に限定するものではない。
【0030】
エンコーダ17は、移動モータ53Mからプーリ56に付与する回転力を伝達する伝達機構(不図示)に設けられている。エンコーダ17は、移動モータ53Mの回転により、回転刃52が待機位置から移動した位置を示す信号、及び、その移動における移動速度を示す信号を出力する。本実施形態においては、エンコーダ17としてロータリーエンコーダが採用されているが、リニアエンコーダを採用してもよい。
【0031】
用紙検出センサ(本発明の「信号出力部」)10は、搬送方向において、切断部5と搬送ローラ対33との間であって、切断部5のすぐ下流側に配置されている。また、用紙検出センサ10は、例えば、用紙Pの搬送経路W(経路WXのすぐ下流部分の経路)に向けて光を発する発光素子及び受光素子(不図示)を有する透過型又は反射型のフォトセンサである。用紙検出センサ10からの出力信号(本発明の「状態信号」)の変化により、検出位置(用紙検出センサ10の先端面10Aと対向する位置)に用紙Pがあるか否かを検知することができる。すなわち、搬送経路Wにおける検出位置(本発明の「所定位置」)に用紙Pがある状態からない状態に変化したとき、検出位置を用紙Pの後端(ロール紙RPが切断され形成された後端含む)が通過したことを検知することができる。これより、ロール紙RPの切断部5による切断の有無を判定することが可能となる。なお、用紙検出センサ10においても、例えば、メカスイッチや近接センサなどで構成されていてもよく、特に限定するものではない。
【0032】
ヘッド(本発明の「画像形成部」)6は、搬送ローラ対34と搬送ローラ対35との間に配置されている。ヘッド6は、下面に形成された複数のノズル(不図示)とドライバIC6A(
図2参照)とを含む。ヘッド6は、制御部8の制御によりドライバIC6Aが駆動されると、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインク(本発明の「画像形成剤」)をノズルから吐出し、搬送ローラ対34によって搬送された用紙Pに対して画像を形成する。画像が形成された用紙Pは、搬送ローラ対35によって前方(
図1中左方)に向かって搬送される。なお、ヘッド6は、位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式ヘッド、及び、左右方向(主走査方向)に移動しつつノズルからインクを吐出するシリアル式ヘッドのいずれの方式のヘッドでもよい。
【0033】
排出トレイ7は、搬送ローラ対35によって前方に搬送された用紙Pを受容する。排出トレイ7に収容される用紙Pは、切断部5で後端が形成され、且つ、ヘッド6で画像が形成されたロール紙RP、及び、ヘッド6で画像が形成されたカット紙KPである。
【0034】
報知部9は、ユーザに対して情報を報知する報知動作を行うためのものである。報知部9は、例えば、プリンタ1に設けられたディスプレイであって、ユーザに対して報知すべき情報(例えば、メッセージ)を表示することによって、ユーザに対する報知動作を実行するものである。または、報知部9は、プリンタ1に設けられたスピーカーであって、ユーザに対して報知すべき情報を音声にて発することによって、ユーザに対する報知動作を実行するものである。
【0035】
次に、
図2を参照しつつ、プリンタ1全体の制御を司る制御部8について説明する。制御部8は、バスによって互いに接続された、CPU81、ROM82及びRAM83、ASIC84、フラッシュメモリ85などを含む。そして、これらが協働して、ドライバIC6A、給送モータ31M、搬送モータ37M、移動モータ53M、報知部9などの動作を制御する。なお、制御部8には、用紙検出センサ10、カッターセンサ16及びエンコーダ17,36から信号が入力される。
【0036】
なお、制御部8は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC84のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC84とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部8は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部8は、1つのASIC84が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC84が処理を分担して行うものであってもよい。
【0037】
<ロール紙印刷の制御>
続いて、ロール紙RPに画像を形成するロール紙印刷時の制御部8による制御について説明する。プリンタ1では、ロール紙印刷を実行するためのロール画像形成信号を受信したときに、制御部8が、
図5~
図7のフローに沿って処理を行う。ロール画像形成信号は、プリンタ1でロール紙RPに画像を形成することを指示する信号であって、外部機器などから制御部8に送信される。
【0038】
図5のフローについてより詳細に説明すると、制御部8は、まず、ロール画像形成信号を受信したか否かを判定する(S1)。ロール画像形成信号を受信していない場合(S1:NO)、S1を繰り返す。ロール画像形成信号を受信した場合(S1:YES)、制御部8は、ロール紙印刷を開始する(S2:本発明の「画像形成処理」)。つまり、制御部8は、搬送部3により給送カセット2からロール紙RPを搬送方向に搬送する。そして、搬送部3によって搬送されたロール紙RPにヘッド6により、画像を形成する。
【0039】
次に、制御部8は、ロール紙RPの切断予定位置を切断部5の切断位置(固定刃51の垂直部51Aの上端)に搬送したか否かを判定する(S3)。なお、ロール紙RPの切断予定位置は、制御部8が受信したロール画像形成信号に基づいて導出される。また、ロール紙RPの切断予定位置が切断位置に搬送されたか否かはエンコーダ36からの信号に基づいて導出された用紙Pの搬送量により判定される。
【0040】
ロール紙RPの切断予定位置が切断位置に達するまで搬送されていない場合(S3:NO)、ロール紙印刷を継続し(S4)、S3に戻る。一方、ロール紙RPの切断予定位置が切断位置に達するまで搬送された場合(S3:YES)、制御部8は、ロール紙RPの搬送を一旦停止し、S5に進む。
【0041】
制御部8は、S5において、第1切断処理を実行する。ここで
図6を参照して第1切断処理について説明する。第1切断処理では、まず、制御部8が、キャリッジ54が待機位置にあるか否かを判定する(S51)。制御部8は、カッターセンサ16からの信号がキャリッジ54を検出する信号であると、キャリッジ54が待機位置にあると判定し、キャリッジ54を検出しない信号であると、キャリッジ54が待機位置にないと判定する。
【0042】
キャリッジ54が待機位置にない場合(S51:NO)、制御部8は第1報知処理を実行する(S52)。第1報知処理では、制御部8が、ユーザにキャリッジ54が待機位置に存在しないことを示す情報(例えば、回転刃52のメンテナンスなどでキャリッジ54が取り外された状態など)を報知する報知動作を報知部9に実行させる。また、第1報知処理では、制御部8が、キャリッジ54及び回転刃52を待機位置に配置させることを示す情報を報知する報知動作を報知部9に実行させる。この後、S51に戻る。
【0043】
キャリッジ54が待機位置にある場合(S51:YES)、制御部8は切断動作を実行する(S53:本発明の「切断処理」)。つまり、制御部8は、キャリッジ54とともに回転刃52を待機位置から停止位置まで移動させるように、移動モータ53Mを制御する。
【0044】
次に、制御部8は、回転刃52がロール紙RPの一端(待機位置側の端)を通過してから他端(停止位置側の端)を通過するまでの移動速度が閾値未満であるか否かを判定する(S54)。つまり、ロール紙RPの切断が開始されてから終了するまでの移動速度が閾値未満であるか否かを判定する。
【0045】
移動速度が閾値以上である場合(S54:NO)、S55へと進む。このときは、回転刃52がロール紙RPの一端から他端をスムーズに通過している。制御部8は、S55において、停止位置にて停止するキャリッジ54を待機位置に戻すように、移動モータ53Mを制御する。こうして、S6に進む。
【0046】
一方、移動速度が閾値未満である場合(S54:YES)、S56へと進む。このときは、回転刃52とロール紙RPとの間において何らかの原因により回転刃52の移動に支障が生じている。制御部8は、S56において、キャリッジ54を待機位置に戻すように、移動モータ53Mを制御する。
【0047】
次に、制御部8は、S51と同様に、キャリッジ54が待機位置にあるか否かを判定する(S57)。キャリッジ54が待機位置にない場合(S57:NO)、制御部8は第2報知処理を実行する(S58)。第2報知処理では、制御部8が、ユーザにキャリッジ54を手動で待機位置に戻すことを示す情報(例えば、切断部5でロール紙RPにジャムが生じているなど)を報知する報知動作を報知部9に実行させる。また、このとき、制御部8が、カバー15を開けてロール紙RPを手動で切断し除去することを促す旨を報知する動作を報知動作として報知部9に実行させる。
【0048】
ここでユーザが実行するジャム処理の手順について説明する。まず、
図1中破線で示すように、カバー15を閉位置から開位置へと移動させる。これにより、経路Wが外部に露出される。つまり、ロール紙RPやキャリッジ54が露出される。露出されたキャリッジ54を待機位置に手動で戻し、露出されたロール紙RPを、ハサミなどを用いて適宜の位置で切断する。この後、カバー15を閉位置に移動させ、ロール紙RPを排出トレイ7側から前方に引き出して取り除く。この後、
図5に示すフローが終了する。
【0049】
キャリッジ54が待機位置にある場合(S57:YES)、制御部8はリトライ回数Nが閾値NA以上であるか否かを判定する(S59)。リトライ回数Nは、ロール紙RPの同じ位置において切断動作を繰り返した回数である。本実施形態における閾値NAは、1回であるが適宜変更してもよい。なお、リトライ回数Nは、当該切断処理が終了する度、0にリセットされる。また、リトライ回数Nは、新たな切断処理(第1切断処理、後述の第2及び第3切断処理)が開始される度に、0にリセットしてもよい。
【0050】
リトライ回数Nが閾値NA未満である場合(S59:NO)、制御部8はリトライ回数Nを+1(S60)し、S53に戻る。一方、リトライ回数Nが閾値NA以上である場合(S59:YES)、ロール紙RPの同じ位置における切断動作が所定回数(本実施形態では2回)実行されているため、S6に進む。
【0051】
次に、制御部8は、S6において、引き続きロール紙印刷を継続する。そして、制御部8は、ロール紙RPに対して切断動作を実行した切断実行位置(ここでは切断予定位置)が検出位置を通過したか否かを判定する(S7)。切断実行位置が検出位置を通過していない場合(S7:NO)、S6に戻る。また、ロール紙RPの切断実行位置が検出位置を通過したか否かも、エンコーダ36からの信号に基づいて導出された用紙Pの搬送量により判定される。
【0052】
一方、切断実行位置が検出位置を通過した場合(S7:YES)、制御部8はロール紙RPがあるか否かを検出する(S8)。換言すると、制御部8は、S53又はS74(後述する)の切断動作が実行されてから所定時間(本発明の「第1時間」)が経過するまでに、ロール紙RPがあるか否かを検出する。ここでいう所定時間は、切断動作で切断される切断実行位置が検出位置を少し通過する位置まで搬送されるのに要する時間である。なお、当該時間は、用紙検出センサ10による検出タイミングやロール紙RPの搬送精度の誤差がある程度考慮されており、当該ロール紙RPが切断されていれば確実にロール紙RPが無いことを示す出力信号を用紙検出センサ10が出力するようになる時間でもある。S8において、ロール紙RPがない場合(S8:NO)、つまり、ロール紙RPが切断動作により切断され、ロール紙RPの後端が検出位置を通過し、検出位置にロール紙RPが無いことを示す出力信号を用紙検出センサ10から制御部8が受信したとき、制御部8はロール紙印刷によるロール紙RPに対する画像形成が完了したか否かを判定する(S9)。画像形成が完了したか否かは、制御部8が受信したロール画像形成信号に基づいて判定する。
【0053】
ロール紙RPがある場合(S8:YES)、つまり、ロール紙RPが切断動作により切断されておらず、検出位置にロール紙RPが無いことを示す出力信号を用紙検出センサ10から制御部8が受信しないとき、制御部8は、ロール紙RPの搬送を一旦停止するように、搬送部3を制御する(S10)。そして、制御部8はフラッシュメモリ85に異常切断フラグが記憶されているか否かを判定する(S11)。異常切断フラグが記憶されていない場合(S11:NO)、制御部8は、フラッシュメモリ85に異常切断フラグを記憶させる(S12)。異常切断フラグは、ロール紙RPに対して切断動作を実行したが何らかの原因によりロール紙RPが切断されていないことを示す。異常切断フラグが記憶されている場合(S11:YES)、S13に進む。なお、フラッシュメモリ85に記憶されている異常切断フラグは、
図5に示すフローが終了する度、又は、フローが開始される度にフラッシュメモリ85から消去される。
【0054】
次に、制御部8は、S13において、第2切断処理を実行する。ここで
図7を参照して第2切断処理について説明する。第2切断処理では、まず、制御部8が、リトライ回数Mが閾値MA以上であるか否かを判定する(S71)。リトライ回数(本発明の「実行回数」)Mは、ロール紙RPの切断予定位置とは異なる位置であり且つ一度も切断動作を実行していない位置において、切断動作を実行した回数である。本実施形態における閾値MAは、2回であるが、適宜変更してもよい。なお、リトライ回数Mも、
図5に示すフローが終了する度、0にリセットされる。また、リトライ回数Mは、
図5に示すフローが新たに開始される度に0にリセットしてもよい。
【0055】
リトライ回数Mが閾値MA以上である場合(S71:YES)、ロール紙RPの異なる位置における切断動作が所定回数(本実施形態では2回)実行されているため、当該切断処理を終了する。
【0056】
一方、リトライ回数Mが閾値MA未満である場合(S71:NO)、制御部8は上述のS51と同様な処理を実行する(S72)。キャリッジ54が待機位置にない場合(S72:NO)、制御部8は上述の第1報知処理と同様な第3報知処理を実行する(S73)。この後、S72に戻る。
【0057】
キャリッジ54が待機位置にある場合(S72:YES)、制御部8は上述のS53~S55と同様なS74~S76を実行する。なお、S74は、本発明の「リトライ処理」に該当する。この後、制御部8は、リトライ回数Mを+1とする(S77)。
【0058】
次に、制御部8は、上述のS56,S57と同様なS78,S79を実行する。キャリッジ54が待機位置にない場合(S79:NO)、制御部8は上述の第2報知処理と同様な第4報知処理を実行する(S80)。この後、
図5に示すフローが終了する。
【0059】
キャリッジ54が待機位置にある場合(S79:YES)、制御部8は上述のS59,S60と同様なS81,S82を実行する。
【0060】
図5に戻って、制御部8は、ロール紙RPの今回の切断実行位置(本発明の「リトライ切断予定位置」)から切断予定位置までの余剰長さをリトライ回数Mに基づいて導出し(S14)、S9へと進む。余剰長さは、搬送方向において、切断位置から検出位置までの距離にリトライ回数Mを乗じて導出される。切断実行位置は、S14が実行される直前の第2切断処理におけるS74の切断動作が実行されたロール紙RPの位置である。
【0061】
S9において、ロール紙印刷によるロール紙RPに対する画像形成が完了していない場合(S9:NO)、S6に戻る。一方、ロール紙印刷によるロール紙RPに対する画像形成が完了している場合(S9:YES)、制御部8は切断実行位置が検出位置を通過したか否かを判定する(S15)。ここでいう切断実行位置は、S13を経由していない場合は切断予定位置であり、S13を経由している場合は直前の第2切断処理におけるS74の切断動作が実行されたロール紙RPの位置である。切断実行位置が検出位置を通過していない場合(S15:NO)、制御部8はロール紙RPを搬送するように、搬送部3を制御する(S16)。そして、S15に戻る。
【0062】
一方、切断実行位置が検出位置を通過した場合(S15:YES)、制御部8は上述のS8と同様な処理を実行する(S17)。ロール紙RPがある場合(S17:YES)、制御部8は、ロール紙RPの搬送を一旦停止する(S18)。そして、制御部8は上述の第2切断処理と同様な第3切断処理を実行する(S19)。なお、第3切断処理を実行するときには、画像形成が完了している。このため、第3切断処理において実行される報知処理のうち、第2報知処理と同様な報知処理においては、画像形成を継続したことを示す情報を含んでいてもよい。
【0063】
S19の次に、制御部8は、上述のS14と同様なS20の処理を実行する。なお、S20の処理を実行した場合、S14で導出された余剰長さをS20で導出された余剰長さに更新する。
【0064】
S20の次に、制御部8は、今回の切断実行位置が検出位置を通過するまで搬送させた後、当該ロール紙RPの搬送を一旦停止するように、搬送部3を制御する(S21)。
【0065】
S21の次に、制御部8は、上述のS8と同様な処理を実行する(S22)。ロール紙RPがある場合(S22:YES)、制御部8は第5報知処理を実行する(S23)。第5報知処理では、制御部8が、切断動作をロール紙RPの異なる位置において実行したにもかかわらず、ロール紙RPが切断されていないことを示す情報を報知する報知動作を報知部9に実行させる。
【0066】
また、第5報知処理では、制御部8が、カバー15を開けてロール紙RPを手動で切断し除去することを促す情報を報知する動作を報知動作として報知部9に実行させる。なお、ユーザがロール紙RPを手動で切断し除去するときの手順は上述のジャム処理の手順とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0067】
また、第5報知処理では、制御部8が、切断部5の回転刃52などの交換を促すことを示す情報を報知する動作を報知動作として報知部9に実行させる。この後、
図5に示すフローが終了する。
【0068】
一方、S22において、ロール紙RPがない場合(S22:NO)、ロール紙RPがS19における切断動作(本発明の「リトライ処理」)で切断されたと判定し、制御部8は排出動作を実行する(S24)。排出動作では、制御部8が搬送部3を制御し、ロール紙RPを搬送方向に搬送する。このとき、制御部8は、ロール紙RPの後端(切断されることで形成された後端)が搬送ローラ対35(本発明の「最下流にあるローラ対」)を通過し終わる手前、すなわち、ロール紙RPの後端よりも搬送方向の下流側部分を搬送ローラ対35が挟持した状態でロール紙RPの搬送が停止するように、搬送部3を制御する。
【0069】
次に、制御部8は、S11と同様な処理を実行する(S25)。異常切断フラグが記憶されている場合(S25:YES)、制御部8は第6報知処理を実行する(S26)。第6報知処理では、制御部8が、ロール紙RPの切断予定位置でロール紙RPが切断されていないことを示す情報を報知する報知動作を報知部9に実行させる。また、報知動作の情報として、画像形成を継続し、画像形成が完了していることを示す情報を含む。また、当該情報として、S14又はS20を経由して余剰長さが導出されている場合、当該余剰長さの余白(過剰な余白)がロール紙RPの後端部分にあることを示す情報を含む。また、当該情報として、ユーザにロール紙RPの後端部分の余白を手動で切断することを促す情報を含む。
【0070】
一方、異常切断フラグが記憶されていない場合(S25:NO)、S5の第1切断処理でロール紙RPが正常に切断されたと判定され、フローが終了する。
【0071】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1によると、S8において、画像形成の途中でロール紙RPが切断されたと判定されていなくても、S58又はS80に進まない限り、当該画像形成が中断されずに継続される。つまり、画像形成の途中で第1切断処理の切断動作が実行されたにもかかわらずロール紙RPが切断されなくても、画像形成が完了するまで実行される。このため、切断されていないと判定された時点(S8)までの画像形成済みのロール紙RPも有効利用することができ、ロール紙RP及びインク(画像形成剤)の無駄を抑制することができる。また、S8において、ロール紙RPがあると判定した場合、すなわち、ロール紙RPが切断されていない場合、S26の第6報知処理により、ユーザが、ロール紙RPの切断失敗に関する情報を把握することができる。
【0072】
制御部8は、S8においてロール紙RPがあると判定した場合、異常切断フラグを記憶させ、S26において第6報知処理を実行する。これにより、ユーザが、ロール紙RPが切断されていないことを把握することができる。また、ユーザが、画像形成が継続されたことを把握することができる。また、S14又はS20を経由して余剰長さが導出されている場合、ユーザがカバー15を開けてロール紙RPを手動で切断すべきことを把握することができる。また、ロール紙RPの後端部分に余白があることをユーザが把握することができる。さらにロール紙RPの後端部分の余白を、ユーザに手動で切断することを促すことができる。このため、ユーザが後端部分の余白をどのように対処すればよいか、ユーザが把握しやすくなる。また、ロール紙RPの後端部分にどの程度の長さの余白があることをユーザが把握することができる。
【0073】
切断部5がヘッド6よりも搬送方向上流に配置されている。切断部5がヘッド6よりも下流に配置されている場合に比べて、画像形成の途中で切断動作が行われることが多くなる。このため、ロール紙RPが切断されていないときにロール紙RPへの画像形成を中断せずに継続することがより効果的となる。切断部5がヘッド6よりも搬送方向下流に配置されている場合、次の画像形成をロール紙RPに形成しない場合、画像形成の途中で切断動作が行われることがない。このため、次の画像形成をロール紙RPに形成するロール紙印刷の場合においては、上述と同様な効果を得ることができる。
【0074】
制御部8は、S8、S17においてロール紙RPがあると判定した場合、S10、S18においてロール紙RPの搬送を停止する。これにより、ロール紙RPにおいて、ヘッド6により形成された画像領域よりも搬送方向上流側の余白が増加するのを抑制することができる。
【0075】
制御部8は、S8においてロール紙RPがあると判定した場合、S53においてロール紙RPが切断されていないと判定する。これにより、用紙検出センサ10がヘッド6よりも搬送方向下流に配置されている場合と比べて、ロール紙RPが切断動作により切断されたか否かを比較的早いタイミングで判定できる。このため、判定後の対応も早く行うことが可能となる。
【0076】
制御部8は、S17又はS22においてロール紙RPがないと判定した場合、S24に進み、排出動作において、ロール紙RPの後端が搬送ローラ対35を通過し終わる手前でロール紙RPの搬送が停止するように、搬送部3を制御する。これにより、ロール紙RPが長尺であってもロール紙RPがプリンタ1外に排出され、床などに落ちて汚れるのを防ぐことが可能となる。
【0077】
制御部8は、S8においてロール紙RPがあると判定した場合、S13において再度切断動作(リトライ処理)を実行する。また、制御部8は、S17においてロール紙RPがあると判定した場合、S20において再度切断動作(リトライ処理)を実行する。これにより、ロール紙RPを再度、切断することが可能となる。また、S13における切断動作及びS19における切断動作を比較的早いタイミングで実行でき、ロール紙RPが無駄になる量(余白長さ)を抑制することが可能となる。
【0078】
制御部8は、S22においてロール紙RPがあると判定した場合、S23において第5報知処理を実行する。これにより、ユーザが切断部5を交換すべきことを把握しやすくなる。
【0079】
上述の実施形態においては、用紙検出センサ10からの出力信号に基づいてS8,S17,S22の判定が行われているが、各切断処理における切断動作を実行した際に、キャリッジ54が待機位置に戻らないことをカッターセンサ16が検出すると、ロール紙RPが正常に切断されていない、すなわち、ロール紙RPがあると判定し、キャリッジ54が待機位置に戻ったことをカッターセンサ16が検出すると、ロール紙RPが正常に切断されている、すなわち、ロール紙RPがないと判定してもよい。つまり、カッターセンサ16が本発明の「信号出力部」であってもよい。このような変形例においても、ロール紙RPが正常に切断されていなくても、画像形成を継続し、S24の排出動作後に、S26において第6報知処理を行えばよい。これにおいても、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、この場合、用紙検出センサ10がプリンタ1に設けられていなくてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態においては、S7がYESとなった後に画像形成が完了しているが、用紙検出センサ10の配置箇所(例えば、用紙検出センサ10がヘッド6寄りに配置されている場合)によっては、S7がYESとなる前に画像形成が完了していてもよい。この場合においても、S7の後にS8を実行し、S8がYESの場合、S26の第6報知処理を実行すればよい。なお、本実施形態における用紙検出センサ10は、搬送方向において、ヘッド6と切断部5との間であればどの位置に配置されていてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態においては、S13及びS19を実行しなくてもよい。この場合、S8においてロール紙RPがあると判定された場合、S10~S12の処理を実行し、S9へと進む。そして、S9の処理後は、S24~S26の処理を実行する。このような変形例においても、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。また、このとき、S8からS10を経由しS9に進んだときに、S9において、画像形成が完了した場合(S9:YES)、S9からS25へと進んでもよい。これにより、ロール紙RPにおいて、ヘッド6により形成された画像領域よりも搬送方向上流側の余白が増加するのをより一層抑制することができる。また、第1切断処理及び第2切断処理が実行された場合にあっても、S54及びS75の処理が実行されなくてもよい。
【0082】
また、上述の実施形態においては、S14及びS20を実行しなくてもよい。この場合、報知動作において、ロール紙RPの後端部分に過剰な余白があることを報知すればよい。
【0083】
また、上述の実施形態においては、切断部5がヘッド6よりも搬送方向上流に配置されていたが、切断部5がヘッド6よりも搬送方向下流に配置されていてもよい。切断部5がヘッド6よりも搬送方向下流に配置されている場合、次の画像形成をロール紙RPに形成している最中に、ロール紙RPが切断されていないと判定された場合、上述の実施形態と同様に、当該次の画像形成を中断せずに継続し、その後、報知処理において、その旨(第6報知処理での報知動作)を報知すればよい。これにおいても、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、この変形例においては、用紙Pの切断の有無を検出するセンサが切断部5よりも搬送方向下流に配置されていてもよい。
【0084】
また、上述の第6報知処理においては、ロール紙RPの切断予定位置でロール紙RPが切断されていないことを示す情報を報知していれば、その他の情報を報知していなくてもよい。また、ロール紙RPの切断予定位置でロール紙RPが切断されていないことを示す情報を報知するタイミングは、S8の後であってロール紙RPに対する画像形成が完了する前(S9の前)であってもよい。また、第6報知処理以外の第1~第5報知処理が実行されなくてもよい。
【0085】
また、上述の実施形態においては、ロール紙RPが切断動作により切断されていない場合、カバー15を開けて、露出したロール紙RPの適宜の位置で切断するように促しているが、ロール紙RPの先端を排出トレイ7側から前方に引っ張り出して、引っ張り出したロール紙RPの適宜の位置でロール紙RPを切断するように促してもよい。この場合、カバー15が筐体11に開閉可能に設けられていなくてもよい。
【0086】
また、上述の実施形態においては、S8の処理がロール画像形成信号に基づく画像形成中(すなわちS9よりも前)であってS5の第1切断処理の切断動作後に実行されているが、当該S8は当該画像形成が完了してから実行してもよい。つまり、S8、S10~S14をS9の後に実行してもよい。これにおいても、第1切断処理の切断動作が画像形成の途中に実行されても、当該画像形成を中断せず継続することができる。このため、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0087】
また、上述の実施形態においては、排出動作において、ロール紙RPの後端が搬送ローラ対35を通過し終わる手前でロール紙RPの搬送を停止しているが、ロール紙RPの後端が搬送ローラ対35を通過させてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態においては、印刷時の用紙搬送において、2つの搬送ローラ対33,34における用紙Pの搬送量が共に同じ量であるが、搬送ローラ対33における搬送量が搬送ローラ対34以上であってもよい。
【0089】
本変形例におけるプリンタにおいては、
図2中二点鎖線で示す搬送モータ237Mをさらに有している。本変形例においては、搬送モータ37Mからの駆動力は2つの搬送ローラ対34,35に伝達され、搬送モータ237Mからの駆動力は搬送ローラ対33に伝達される。つまり、制御部8が、搬送モータ37Mと搬送モータ237Mと個別に制御することで、搬送ローラ対33,34の搬送量を互いに異ならせることができる。
【0090】
また、フラッシュメモリ85には、
図8に示すような各条件に応じた係数K1,K2を記憶している。係数K1は、各条件において、搬送ローラ対33での用紙Pの搬送量を導出する際に乗じる値である。係数K2は、各条件において、搬送ローラ対34での用紙Pの搬送量を導出する際に乗じる値である。各条件は、
図8に示すように、印刷がロール紙印刷とカット紙印刷のいずれであるか、紙の種類が普通紙であるか光沢紙であるか、ロール紙印刷においてはロール紙印刷長(今回の印刷によるロール紙の前端から後端までの長さ)が所定量以下であるか所定量を超えるかなどである。なお、紙の種類を3以上に設定してもよい。また、ロール紙印刷長における係数の設定を3以上に設定してもよい。
【0091】
<印刷時の制御>
続いて、用紙Pに画像を形成する印刷時の制御部8による制御について説明する。プリンタ1では、印刷を実行するための画像形成信号を受信したときに、制御部8が、
図9~
図11のフローに沿って処理を行う。画像形成信号は、プリンタ1でロール紙RP及びカット紙KPのいずれかに画像を形成することを指示する信号であって、外部機器などから制御部8に送信される。また、画像形成信号は印刷時の紙の種類を指示する信号も含む。また、ロール紙印刷における画像形成信号は、ロール紙印刷長を示す信号も含む。なお、カット紙印刷における画像形成信号は、カット紙KPのサイズ(例えば、A4など)を示す信号を含む。
【0092】
図9のフローについてより詳細に説明すると、制御部8は、まず、画像形成信号を受信したか否かを判定する(S101)。画像形成信号を受信していない場合(S101:NO)、S101を繰り返す。画像形成信号を受信した場合(S101:YES)、制御部8は、当該画像形成信号が示す印刷がロール紙印刷であるか否かを判定する(S102)。
【0093】
ロール紙印刷の場合(S102:YES)、制御部8はロール紙印刷処理を実行する(S103)。一方、ロール紙印刷でない場合(S102:NO)、カット紙印刷と判定し、制御部8はカット紙印刷処理を実行する(S104)。
【0094】
ここで
図10を参照してロール紙印刷処理について説明する。ロール紙印刷処理では、まず、制御部8が、画像形成信号に基づいて紙の種類が普通紙であるか否かを判定する(S121)。普通紙である場合(S121:YES)、制御部8は画像形成信号に基づいたロール紙印刷長が所定量を超えるか否かを判定する(S122)。
【0095】
ロール紙印刷長が所定量以下の場合(S122:NO)、制御部8は第1搬送量導出処理を実行する(S123)。第1搬送量導出処理では、制御部8が、搬送ローラ対33によるロール紙RPの搬送量と、搬送ローラ対34によるロール紙RPの搬送量とを導出する。本実施形態においては、2つの搬送ローラ対34,35は同じ搬送モータ37Mにより駆動されるため、互いに同じ搬送量となる。搬送ローラ対33による搬送量は、ロール紙印刷長に当該条件を満たす係数K1(ここでは1.1)を乗じて導出する。搬送ローラ対34による搬送量は、ロール紙印刷長に当該条件を満たす係数K2(ここでは1.0)を乗じて導出する。
【0096】
このように第1搬送量導出処理では、搬送ローラ対33による搬送量の方が、搬送ローラ対33よりも搬送方向下流に配置された搬送ローラ対34による搬送量よりも大きい。このため、2つの搬送ローラ対33,34により搬送されるロール紙RPが、こられ搬送ローラ対33,34間において、内ガイド39と外ガイド38との間の中心よりも外ガイド38寄りに外へと膨らむような状態で搬送される。このため、ロール紙RPが外ガイド38に沿いながら搬送されるため、ロール紙RPの見かけの剛度が高くなり、搬送が安定する。S123の後、S128へと進む。
【0097】
一方、ロール紙印刷長が所定量を超える場合(S122:YES)、制御部8は第2搬送量導出処理を実行する(S124)。第2搬送量導出処理でも、制御部8が、搬送ローラ対33によるロール紙RPの搬送量と、搬送ローラ対34によるロール紙RPの搬送量とを導出する。搬送ローラ対33による搬送量は、ロール紙印刷長に当該条件を満たす係数K1(ここでは1.05)を乗じて導出する。搬送ローラ対34による搬送量は、ロール紙印刷長に当該条件を満たす係数K2(ここでは1.0)を乗じて導出する。
【0098】
このように第2搬送量導出処理でも、搬送ローラ対33による搬送量の方が、搬送ローラ対33よりも搬送方向下流に配置された搬送ローラ対34による搬送量よりも若干大きい。このため、上述と同様に、搬送が安定する。第2搬送量導出処理により導出された搬送ローラ対33による搬送量は、第1搬送量導出処理により導出された搬送ローラ対33による搬送量よりも小さい。このようにロール紙印刷長が所定量を超える場合、搬送ローラ対33による搬送量を小さくすることで、ロール紙印刷長が長くなることで生じやすいロール紙RPの中折れや皺の発生を抑制することができる。この結果、用紙詰まりが生じにくくなる。S124の後、S128へと進む。
【0099】
本変形例では、ロール紙印刷長が所定量を超える場合に、搬送ローラ対33による搬送量をロール紙印刷長が所定量以下のときよりも小さくしているが、ロール紙RPを所定量分搬送するまでは所定量以下のときと同様の搬送量とし、ロール紙RPの搬送が所定量分を超えてからは、所定量以下のときよりも小さい搬送量としてもよい。つまり、搬送ローラ対33によるロール紙RPの搬送量の割合を、搬送の途中(すなわち、所定量を超えてから)から変更してもよい。要するに、ロール紙印刷長が長くなるに連れて、搬送ローラ対33による搬送量の割合を段階的に小さくすればよい。なお、搬送ローラ対33による搬送量は搬送ローラ対34による搬送量以上であればよい。これにおいても上述と同様な効果を、効果的に得ることができる。
【0100】
S121において、普通紙でない場合(S121:NO)、光沢紙と判定し、制御部8は上述のS122と同様な処理を実行する(S125)。
【0101】
ロール紙印刷長が所定量以下の場合(S125:NO)、制御部8は第3搬送量導出処理を実行する(S126)。第3搬送量導出処理でも、制御部8が、搬送ローラ対33によるロール紙RPの搬送量と、搬送ローラ対34によるロール紙RPの搬送量とを導出する。搬送ローラ対33による搬送量は、ロール紙印刷長に当該条件を満たす係数K1(ここでは1.15)を乗じて導出する。搬送ローラ対34による搬送量は、ロール紙印刷長に当該条件を満たす係数K2(ここでは1.05)を乗じて導出する。
【0102】
このように第3搬送量導出処理でも、搬送ローラ対33による搬送量の方が、搬送ローラ対33よりも搬送方向下流に配置された搬送ローラ対34による搬送量よりも若干大きい。このため、上述と同様に、搬送が安定する。第3搬送量導出処理により導出された搬送ローラ対33,34による搬送量は、いずれも第1搬送量導出処理により導出された搬送ローラ対33,34による搬送量よりも大きい。このように光沢紙からなるロール紙RPを搬送するときの搬送量を、普通紙からなるロール紙RPを搬送するときの搬送量よりも大きくすることで、搬送時にロール紙RP(光沢紙)と搬送ローラ対33,34との間でスリップが生じても当該スリップ分の搬送ロスを吸収しつつロール紙RPを搬送することが可能となる。S126の後、S128へと進む。
【0103】
一方、ロール紙印刷長が所定量を超える場合(S125:YES)、制御部8は第4搬送量導出処理を実行する(S127)。第4搬送量導出処理でも、制御部8が、搬送ローラ対33によるロール紙RPの搬送量と、搬送ローラ対34によるロール紙RPの搬送量とを導出する。搬送ローラ対33による搬送量は、ロール紙印刷長に当該条件を満たす係数K1(ここでは1.1)を乗じて導出する。搬送ローラ対34による搬送量は、ロール紙印刷長に当該条件を満たす係数K2(ここでは1.05)を乗じて導出する。
【0104】
このように第4搬送量導出処理でも、第2及び第3搬送量導出処理のときと同様な関係においては、同じ効果を得ることができる。つまり、ロール紙RPの搬送が安定し、スリップ分の搬送ロスを吸収しつつロール紙RPを搬送することが可能となる。また、ロール紙印刷長が長くなることで生じやすいロール紙RPの中折れや皺の発生を抑制することができ、用紙詰まりが生じにくくなる。S127の後、S128へと進む。
【0105】
次に、制御部8は、S128において、ロール紙印刷を開始する。つまり、制御部8は、搬送部3により給送カセット2からロール紙RPを搬送方向に搬送する。そして、搬送部3によって搬送されたロール紙RPにヘッド6により、画像を形成する。このとき、制御部8は、経由してきた搬送量導出処理により導出された搬送量に基づいて3つの搬送ローラ対33~35によりロール紙RPが搬送されるように、搬送モータ37M,237Mを制御する。
【0106】
次に、制御部8は、上述のS3と同様に、ロール紙RPの切断予定位置を切断部5の切断位置に搬送したか否かを判定する(S129)。ロール紙RPの切断予定位置が切断位置に達するまで搬送されていない場合(S129:NO)、ロール紙印刷を継続し(S130)、S129に戻る。一方、ロール紙RPの切断予定位置が切断位置に達するまで搬送された場合(S129:YES)、制御部8は、ロール紙RPの搬送を一旦停止し、S131に進む。
【0107】
制御部8は、S131において、上述の切断動作を実行し、キャリッジ54を待機位置に戻す。この後、制御部8は、上述のS24と同様な排出動作を実行する(S132)。こうして、フローが終了する。
【0108】
続いて
図11を参照してカット紙印刷処理について説明する。カット紙印刷処理では、まず、制御部8が、上述のS121と同様な処理を実行する(S141)。普通紙である場合(S141:YES)、制御部8は第5搬送量導出処理を実行する(S142)。一方、普通紙でない場合(S141:NO)、光沢紙と判定し、制御部8は第6搬送量導出処理を実行する(S143)。
【0109】
第5搬送量導出処理でも、制御部8が、搬送ローラ対33によるロール紙RPの搬送量と、搬送ローラ対34によるロール紙RPの搬送量とを導出する。搬送ローラ対33による搬送量は、今回の印刷する用紙サイズ(例えば、A4サイズの用紙長)に当該条件を満たす係数K1(ここでは1.1)を乗じて導出する。搬送ローラ対34による搬送量は、今回の印刷する用紙サイズに当該条件を満たす係数K2(ここでは1.0)を乗じて導出する。
【0110】
このように第5搬送量導出処理でも、搬送ローラ対33による搬送量の方が、搬送ローラ対33よりも搬送方向下流に配置された搬送ローラ対34による搬送量よりも大きい。このため、上述と同様に、搬送が安定する。S142の後、S144へと進む。
【0111】
第6搬送量導出処理でも、制御部8が、搬送ローラ対33によるロール紙RPの搬送量と、搬送ローラ対34によるロール紙RPの搬送量とを導出する。搬送ローラ対33による搬送量は、今回の印刷する用紙サイズ(例えば、A4サイズの用紙長)に当該条件を満たす係数K1(ここでは1.1)を乗じて導出する。搬送ローラ対34による搬送量は、今回の印刷する用紙サイズに当該条件を満たす係数K2(ここでは1.05)を乗じて導出する。
【0112】
このように第6搬送量導出処理でも、搬送ローラ対33による搬送量の方が、搬送ローラ対33よりも搬送方向下流に配置された搬送ローラ対34による搬送量よりも大きい。このため、上述と同様に、搬送が安定する。第6搬送量導出処理により導出された搬送ローラ対33による搬送量は第5搬送量導出処理により導出された搬送ローラ対33による搬送量と同じであるが、第6搬送量導出処理により導出された搬送ローラ対34による搬送量は第5搬送量導出処理により導出された搬送ローラ対34による搬送量よりも大きい。このように光沢紙からなるカット紙KPを搬送するときの搬送量を、普通紙からなるカット紙KPを搬送するときの搬送量よりも大きくすることで、搬送時にカット紙KP(光沢紙)と搬送ローラ対34との間でスリップが生じても当該スリップ分の搬送ロスを吸収しつつカット紙KPを搬送することが可能となる。なお、搬送ローラ対33においては、搬送ローラ対34での搬送量よりも大きいため、当該スリップ分の搬送ロスを吸収しつつカット紙KPを搬送することが可能である。
【0113】
次に、制御部8は、S144において、カット紙印刷を開始する。つまり、制御部8は、搬送部3により給送カセット2からカット紙KPを搬送方向に搬送する。そして、搬送部3によって搬送されたカット紙KPにヘッド6により、画像を形成する。このとき、制御部8は、経由してきた搬送量導出処理により導出された搬送量に基づいて3つの搬送ローラ対33~35によりカット紙KPが搬送されるように、搬送モータ37M,237Mを制御する。
【0114】
次に、制御部8は、画像形成信号に基づくカット紙印刷が終了したか否かを判定する(S145)。カット紙印刷が終了していない場合(S145:NO)、S145を繰り返す。一方、カット紙印刷が終了した場合(S145:YES)、画像が形成されたカット紙KPを排出トレイ7に排出する。こうして、フローが終了する。
【0115】
本変形例においては、フラッシュメモリ85に各条件に応じた係数K1,K2を記憶させているが、各条件に応じた各搬送ローラ対33,34における単位搬送量を記憶させていてもよい。また、フラッシュメモリ85には、搬送ローラ対33に搬送量を導出するための係数K1を記憶させていてもよいし、各条件に応じた搬送ローラ対33における単位搬送量を記憶させていてもよい。この場合、搬送ローラ対34により搬送量が搬送ローラ対33による搬送量よりも小さくなればよい。
【0116】
以上に述べたように、本変形例におけるプリンタによると、搬送ローラ対33により搬送量が搬送ローラ対33よりも搬送方向下流にある搬送ローラ対34よりも大きいため、用紙Pを安定して搬送することが可能となる。このため、用紙Pが湾曲経路(外ガイド38と内ガイド39との間の経路)を通過させる際に、用紙Pと搬送ローラ対34との間でスリップが生じたり、斜行が生じたりするのを抑制することができる。搬送ローラ対34による搬送量が搬送ローラ対33による搬送量よりも大きくなると、用紙Pが内ガイド39に寄り、当該内ガイド39に沿った搬送となる。この場合、用紙Pと搬送ローラ対34との間でスリップが生じたり、斜行が生じたりし易くなるが、本変形例においては生じにくい。
【0117】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、カット紙KPを切断する際に(例えば、A3サイズのカット紙をA4サイズにするように切断して2枚のカット紙に画像を形成する印刷を実行する際など)、上述のロール紙印刷制御と同様な制御を行ってもよい。これにおいても同様な効果を得ることができる。
【0118】
また、上述の実施形態においては、S54において、移動速度が閾値未満であるか否かで判定していたが、移動モータ53Mに電流値出力回路を接続し、当該電流値出力回路からの移動モータ53Mの負荷の大きさ(電流値)を示す信号が閾値を超えているか否かで、同様に判定してもよい。
【0119】
また、上述の実施形態においては、切断部5が固定刃51を有しているが、固定刃51に代えて回転刃52と共に左右方向に移動可能な回転刃が設けられていてもよい。なお、回転刃は回転しない刃であってもよい。また、固定刃51と回転刃52とを、前後方向において入れ替えてもよい。つまり、固定刃51が回転刃52よりも後方に配置されていてもよい。
【0120】
本発明は、インクジェットプリンタだけでなく、レーザで感光体を露光することにより静電潜像が形成されるレーザ式の画像形成部や、LEDで感光体を露光することにより静電潜像が形成されるLED式の画像形成部を備える電子写真プリンタに適用することもできる。また、インク以外の画像形成剤を採用することが可能である。また、シート状媒体は用紙に限定されず、シート状であれば布などであってもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 プリンタ(画像形成装置)
3 搬送部
5 切断部
6 ヘッド(画像形成部)
8 制御部
9 報知部
10 用紙検出センサ(信号出力部)
16 カッターセンサ(信号出力部)
KP カット紙(シート状媒体)
RP ロール紙(シート状媒体)