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  • 特開-電動機用転がり軸受 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001458
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】電動機用転がり軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 19/16 20060101AFI20231227BHJP
   F16C 33/66 20060101ALI20231227BHJP
   F16C 33/44 20060101ALI20231227BHJP
   F02B 39/10 20060101ALI20231227BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F16C19/16
F16C33/66 A
F16C33/44
F02B39/10
H02K5/173 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100129
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一仁
【テーマコード(参考)】
3G005
3J701
5H605
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005EA20
3G005FA04
3G005FA14
3G005GB55
3G005GD02
3G005GD03
3G005KA02
3J701AA02
3J701AA12
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA81
3J701BA10
3J701BA34
3J701BA49
3J701BA50
3J701CA32
3J701CA40
3J701DA11
3J701EA02
3J701EA10
3J701EA13
3J701EA14
3J701EA41
3J701EA53
3J701EA78
3J701EA80
3J701FA06
3J701FA44
3J701FA60
3J701GA21
3J701GA24
3J701GA29
3J701XB03
3J701XB33
5H605EB10
(57)【要約】
【課題】過酷な使用環境下においても不具合が生じることのない電動機用の転がり軸受を提案する。
【解決手段】本発明の電動機用の回転軸を軸支する電動機用転がり軸受21は、互いに相対回転可能に対向配置された一対の内輪21inおよび外輪21outと、一対の内輪21inおよび外輪21outの間に転動可能に組み込まれた複数の転動体21ballと、複数の転動体21ballを一定の間隔を保持しながら回転自在に保持する保持器21rtと、を備え、保持器21rtは、非磁性の金属材料からなり、保持器21rtの硬度がロックウェル硬さHRC30乃至45である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機の回転軸を軸支する電動機用転がり軸受であって、
互いに相対回転可能に対向配置された一対の内輪および外輪と、
前記一対の内輪および外輪の間に転動可能に組み込まれた複数の転動体と、
前記複数の転動体を一定の間隔を保持しながら回転自在に保持する保持器と、
を備え、
前記保持器は、非磁性の金属材料からなり、
前記保持器の硬度がロックウェル硬さHRC30乃至45である
電動機用転がり軸受。
【請求項2】
前記保持器は、オーステナイト系非磁性鋼である
請求項1に記載の電動機用転がり軸受。
【請求項3】
前記保持器は、銀メッキが施されている
請求項2に記載の電動機用転がり軸受。
【請求項4】
前記転動体は、セラミックボールからなる
請求項1乃至3何れか1項に記載の電動機用転がり軸受。
【請求項5】
前記内輪および外輪は、耐熱鋼である
請求項1に記載の電動機用転がり軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機用転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の電動化に伴い、排気ガスを用いるのではなく、または、排気ガスと共に補助的に電動モータを用いてターボチャージャーのタービンホイールを回転させることにより過給応答性を向上させる電動ターボチャージャーが普及しつつある。
【0003】
このような電動ターボチャージャーにおいては、電動モータによってタービンホイールを回転させると共にコンプレッサホイールを回転させることにより圧縮した空気をエンジンに送り込むことができる。このため、電動ターボチャージャーにおいては、エンジンの回転数に依存することなく圧縮した空気をエンジンに供給することができるので所謂ターボラグを解消することができる。
【0004】
このような電動ターボチャージャーでは、電動モータにより発生する磁界によってコンプレッサホイールおよびタービンホイールに接続されたシャフトを軸支する軸受のリテーナ(保持器)が磁化されてしまうことがある。そのような場合、リテーナが軸受の内輪または外輪に偏った状態で接触して回転バランスが乱れ、軸受の不具合が発生する恐れがある。
【0005】
このような電動ターボチャージャーとは異なるが、一般的なサーボモータにおいてモータ軸を軸支する軸受の保持器が金属製の場合、モータ軸の加減速時などに電磁ブレーキのマグネットコイルから生じる強磁界(磁場)の影響により保持器が磁化されてしまうことがある。このようにサーボモータにおいて保持器が磁化されてしまうと、軸受の保持器が内輪または外輪に偏った状態で接触し、偏摩耗を招くおそれがあった。
【0006】
そこでサーボモータに用いられる軸受の保持器を非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼材製とすることにより、強磁場および高温下であっても保持器が偏った状態で内輪または外輪に接触することを防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-148076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のサーボモータにおける軸受を電動ターボチャージャーに用いる場合は想定されておらず、コンプレッサホイールと接続されたシャフトが例えば10万回転以上の高速回転になるような過酷な使用環境下においても不具合が生じないという保証はなかった。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、過酷な使用環境下においても不具合が生じることのない電動機用の転がり軸受を提案することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明の電動機用の回転軸を軸支する電動機用転がり軸受は、互いに相対回転可能に対向配置された一対の内輪および外輪と、前記一対の内輪および外輪の間に転動可能に組み込まれた複数の転動体と、前記複数の転動体を一定の間隔を保持しながら回転自在に保持する保持器と、を備え、前記保持器は、非磁性の金属材料からなり、前記保持器の硬度がロックウェル硬さHRC30乃至45である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態にかかる電動機用転がり軸受を用いた電動ターボチャージャーユニットの全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態にかかる電動機用転がり軸受を用いた電動ターボチャージャーユニットのタービンホイール側の部分拡大断面図である。
図3】本発明の他の実施の形態にかかる電動機用転がり軸受を用いた電動ターボチャージャーユニットの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本実施の形態>
なお、本実施の形態の説明において、以下の説明では、便宜上、電動ターボチャージャーユニット10のシャフト17が回転する際の軸線Xが延びる方向を回転軸X方向または軸線X方向とする。また、以下の説明では、便宜上、回転軸X方向において矢印a方向をコンプレッサー側すなわち吸気側、矢印b方向をタービン側すなわち排気側とする。また、軸線Xに垂直な径方向において、軸線Xから遠ざかる矢印c方向を外側とし、軸線Xに近づく矢印d方向を内側とする。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる電動機用転がり軸受を用いた電動ターボチャージャーユニットの全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施の形態にかかる電動機用転がり軸受を用いた電動ターボチャージャーユニットのタービンホイール側の部分拡大断面図である。なお、図2ではタービンホイール側の部分拡大断面図のみを示し、コンプレッサホイール側の部分拡大図については省略する。以下、タービンホイール側の部分拡大断面図において図中右側をタービンホイール側とし、図中左側をコンプレッサホイール側として以下説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、電動ターボチャージャーユニット10は、排気ガスの排出流路中にタービンホイール(以下、「タービンインペラ」と呼ぶ場合があるものとする。)13が配置され、空気の吸入流路中にコンプレッサホイール(以下、「コンプレッサインペラ」と呼ぶ場合があるものとする。)15が配置された状態でエンジン近傍に設けられている。
【0015】
この種の電動ターボチャージャーユニット10は、エンジンの回転数が低回転であってタービンホイール13の回転数が上がらないときに、電動モータ30のアシストによりタービンホイール13を回転させることによってターボラグを解消するものである。
【0016】
なお、この電動ターボチャージャーユニット10は、自動車のエンジン近傍に取り付けられ、タービンホイール13の回転数が例えば最大12万回転乃至15万回転以上のような高速回転下で使用されることを前提としている。
【0017】
電動ターボチャージャーユニット10は、軸受ハウジング11を軸線X方向に沿って貫通するシャフト17を有している。シャフト17の一端および他端は、軸受ハウジング11から外方に突出している。
【0018】
シャフト17のコンプレッサホイール側(矢印a方向)に突出した一端に対してコンプレッサホイール15が一体に固定され、シャフト17のタービンホイール側(矢印b方向)に突出した他端に対してタービンホイール13が一体に固定されている。
【0019】
すなわち、電動モータ30によってタービンホイール13が回転すると、当該タービンホイール13と一体に固定されたシャフト17を介してコンプレッサホイール15が回転する。
【0020】
軸受ハウジング11は、その内部にシャフト17の一端側および他端側を軸支する軸受21、23を固定する円筒形状のボス部12a、12bを有している。軸受ハウジング11は、オイル等の潤滑油を供給するための流路11rを有し、ボス部12a、12bと後述する内側支持部材14との間の隙間に潤滑油(オイルフィルム)を供給する。また軸受ハウジング11は、そのほぼ中央に電動モータ30を収容可能な円柱状の内側空間Sを有している。
【0021】
電動モータ30は、ステータ31およびロータ33を有している。ステータ31は、ステータコア311、インシュレータ(図示せず)、および、コイル312によって構成されている。ステータコア311の外周面には、インシュレータを介してコイル312の巻線が巻回されている。
【0022】
ロータ33は、ロータヨーク331および当該ロータヨーク331の周囲に固定されたマグネット333によって構成されている。ロータヨーク331は、シャフト17とスぺーサ18を介して一体に固定されている。ロータ33のマグネット333とステータ31のステータコア311との間は僅かな隙間が形成されている。
【0023】
ステータ31のコイル312とロータ33のマグネット333との電磁気的作用によってロータ33がシャフト17と一体となって軸線Xを中心に回転すると、シャフト17と一体化されたタービンホイール13およびコンプレッサホイール15が同時に回転することになる。
【0024】
軸受ハウジング11のボス部12a、12bの内側(矢印d方向)には、円筒形状の内側支持部材14がそれぞれ固定されている。ボス部12aおよび12bの内側支持部材14は同一構成であるため、ここでは、ボス部12aの内側支持部材14について説明する。内側支持部材14は、軸受21を支持する部材であり、ボス部12a、12bの内周面とは僅かな隙間を介して配置されている。
【0025】
内側支持部材14は、タービンホイール側(矢印b方向)の一端に対して、互いに近接するように突出した突出部14tと、コンプレッサホイール側(矢印a方向)の他端に対して互いに背向するようにフランジ状に突出したストッパ部14sと、突出部14tとストッパ部14sとの間を繋ぐ円筒形状の円筒部14cとを有している。
【0026】
内側支持部材14の突出部14tは、側面視円環状の部分であって、後述する軸受21の外輪21outの側面に当接する外輪当接面14tgと、後述する予圧バネ16と当接する予圧受面14tpとを有している。
【0027】
内側支持部材14のストッパ部14sは、軸受ハウジング11のボス部12aにおける先端側のショルダー部分12asの端面と接触することが可能な程度に外側(矢印c方向)へ延びており、軸線X方向において内側支持部材14のタービンホイール側(矢印b向)への移動を規制している。
【0028】
内側支持部材14の円筒部14cは、軸線Xと同心円状に形成された円筒状部分であって、その内周面に軸受21の外輪21outが嵌入されて一体に固定されている。なお、円筒部14cには、外輪21outよりもコンプレッサホイール側(矢印a方向)に軸線Xとは直交する方向に貫通した貫通孔14chが形成されており、この貫通孔14chを流路として潤滑油が軸受21に対して供給される。なお、軸受21、23は同一構造であり、以後、軸受21について説明し、軸受23については省略する。
【0029】
軸受21は、互いに相対回転可能に対向配置された一対の内輪(インナーレース)21inおよび外輪(アウターレース)21outと、一対の内輪21inおよび外輪21outの間に転動可能に組み込まれた例えばセラミックボールからなる複数の転動体21ballと、複数の転動体21ballを一定の間隔を保持しながら回転自在に保持する保持器(リテーナ)21rtとを有するアンギュラ玉軸受である。
【0030】
この軸受21は、アンギュラ玉軸受であるので、ラジアル荷重およびスラスト荷重の両方を支持することができる。なお軸受21は、アンギュラ玉軸受に限るものではなく、通常の転がり軸受、ローラを用いたころ軸受等のその他種々の保持器(リテーナ)を必要とする軸受を用いることができる。
【0031】
軸受21の外輪21outは、オーステナイト系の耐熱鋼からなり、例えばAMS6490、AMS6491(M50材)規格等の高速度鋼である。外輪21outは、内側支持部材14の円筒部14cの内周面に圧入されて一体化すると共に、外輪21outのタービンホイール側(矢印b方向)の側面と内側支持部材14の突出部14tとが当接している。
【0032】
軸受21の内輪21inについても、外輪21outと同様にオーステナイト系の耐熱鋼からなり、例えばAMS6490、AMS6491(M50材)規格等の高速度鋼である。内輪21inは、シャフト17の外周面に圧入されて一体化すると共に、当該内輪21inのタービンホイール側(矢印b方向)の側面とシャフト17の段部17dとが当接している。
【0033】
また、内輪21inのコンプレッサホイール側の側面はシャフト17の外周面に固定された円筒形状のスペーサ18におけるタービンホイール側(矢印b方向)の端面18tと当接している。
【0034】
因みに、内輪21inおよび外輪21outは、オーステナイト系の耐熱鋼に限らず、フェライト系の耐熱鋼やマルテンサイト系の耐熱鋼等のその他種々の耐熱鋼であってもよい。すなわち、タービンホイール13の回転数が例えば最大12万回転乃至15万回転以上のような高速回転下で使用可能な素材であればよい。
【0035】
内側支持部材14の突出部14tとボス部12aを形成している軸受ハウジング11の底面との間の空間には予圧バネ16が配置されている。したがって、予圧バネ16は内側支持部材14を介して軸線X方向の電動モータ10側へ向かって軸受21に予圧を付与している。
【0036】
また、内側支持部材14の円筒部14cの内周面には軸受21を覆うと共に、軸受21の潤滑油を収容して保持する蓋19が取り付けられている。蓋19は、略U字の皿形状を有しており、その底面にシャフト17の外径よりも僅かに大きい内径からなる貫通孔を有している。
【0037】
かかる構成に加えて、電動ターボチャージャーユニット10に用いられる軸受21は、保持器21rtの素材として非磁性体金属が用いられている。非磁性体金属の具体例としては、オーステナイト系ステンレス鋼、高マンガン鋼、アルミニウム、銅などを用いることができる。
【0038】
これにより、電動ターボチャージャーユニット10の軸受21は、非磁性体金属からなる保持器21rtを用いたことにより、電動モータ30の磁場の影響を受けることが無く、保持器21rtが内輪21inまたは外輪21outに偏って回転不良を起こし、不具合が発生することを未然に防止することができる。
【0039】
また、保持器21rtは、タービンホイール13の最大12万回転乃至15万回転以上のような高速回転下であっても破損に耐えられる程度の硬度として、そのロックウェル硬さHRC30乃至45を有している。したがって、軸受21は、電動ターボチャージャーユニット10のシャフト17が高速に回転する過酷な使用環境下であっても破損することを未然に防止することができる。
【0040】
<実施例>
電動ターボチャージャーユニット10の軸受21は、実際上、タービンホイール13と一体化されたシャフト17の最大回転数が120000rpm~150000rpm程度で用いられ、排気ガスが850℃および軸受温度が300℃程度の条件下で用いられる。
【0041】
軸受21の内輪21inおよび外輪21outは、オーステナイト系の耐熱鋼である所謂M-50(AMS6490,AMS6491)が素材として用いられている。具体的には、保持器21rtは、HPM75(日立金属株式会社)が用いられている。HPM75は、時効処理等の調質により使用硬さをHRC35~45とすることができる高硬度非磁性快削鋼である。
【0042】
また保持器21rtに用いられるHPM75は、非磁性鋼であり、主に、炭素(C)0.60%、ケイ素(Si)0.3%、マンガン(Mn)6.5%、ニッケル(Ni)7.5%、Cr(クロム)10.0%、モリブデン(Mo)2.0%、バナジウム(V)1.3%を含有し、その他として硫黄(S)0.1%、Cu(銅)2.5%、アルミニウム(Al)1.0%を快削物質として含有している。
【0043】
このようにHPM75は、切削の容易さのために快削物質として硫黄(S)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)が含まれているため切削速度に優れている。ただし、これに限らず、保持器21rtの素材としては、メッキ不良を低減するために快削物質を含まない非磁性鋼を用いることができる。この場合、保持器21rtの表面には銀メッキなどの固体潤滑膜が形成される。これにより保持器21rtは、耐食性、耐摩耗性を向上することができる。
【0044】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態の電動ターボチャージャーユニット10は、排気ガスの排出流路中にタービンホイール13が配置され、空気の吸入流路中にコンプレッサホイール15が配置された状態でエンジン近傍に取り付けられている場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、従来のターボチャージャーのコンプレッサホイールとエンジンのインテークマニホールドとの間の吸入流路中にコンプレッサホイール15だけが配置された電動ターボチャージャーユニットに適用するようにしてもよい。
【0045】
また、本実施の形態においては、図2に示したように、軸受21を内側支持部材14の円筒部14cの内周面に嵌入されて一体に固定されているようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、図3に示すように、アンギュラ玉軸受からなる軸受210を用いるようにしてもよい。この場合、軸受210においては、内側支持部材140の円筒部140cが当該軸受210の外輪となっている。つまり、内側支持部材140と軸受210とは、互いの中心軸が一致した状態で予め一体化されているため、軸ブレが生じることを未然に防止している。
【0046】
なお、内側支持部材140のストッパ部140sにおいては、一部に切欠部140scが形成されている。したがって内側部材140は、ストッパ部140sの切欠部140scが軸受ハウジング11のボス部12aにおけるショルダー部分12asと部分的に係止されているため、ボス部12aに対して内側部材140の回転が規制されている。
【0047】
また、本実施の形態における軸受21は、電動ターボチャージャーユニット10に用いられる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、バッテリー冷却ファンモータ等のその他種々の電動機に用いられるようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明の電動機用転がり軸受について、好ましい実施の形態を挙げて説明したが、本発明の電動機用転がり軸受は上記実施の形態の構成に限定されるものではない。その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の電動機用転がり軸受を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
10…電動ターボチャージャーユニット、11…軸受ハウジング、12a、12b…ボス部、13…タービンホイール、14,140…内側支持部材、15…コンプレッサホイール、16…予圧バネ、17…シャフト、18…スペーサ、19…蓋、21,23,210…軸受、21in…内輪、21out…外輪、21ball…転動体、21rt…保持器、30…電動モータ、31…ステータ、33…ロータ、311…ステータコア、312…コイル、331…ロータヨーク、333…マグネット。
図1
図2
図3