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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145806
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/133 20060101AFI20241004BHJP
   G02F 1/141 20060101ALI20241004BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20241004BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G02F1/133 560
G02F1/141
G09G3/36
G09G3/20 641E
G09G3/20 623Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058318
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】重藤 泰大
(72)【発明者】
【氏名】中村 学
【テーマコード(参考)】
2H088
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H088HA06
2H088HA18
2H088HA28
2H088JA17
2H088MA02
2H193ZD34
2H193ZE16
2H193ZG02
2H193ZG05
2H193ZG14
2H193ZG16
2H193ZG34
2H193ZP15
2H193ZQ22
5C006AA22
5C006AC15
5C006AC21
5C006BA12
5C006FA54
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画像のコントラストを高めることが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】強誘電性液晶表示素子と、複数の波長の光を出射する光源と、を備え、光源から出射された光を用いて、フィールドシーケンシャル駆動により、強誘電性液晶表示素子に画像を表示させる液晶表示装置であって、強誘電性液晶表示素子の液晶分子を第一の安定位置と第二の安定状態との間で切り替える駆動電圧が設定され、駆動電圧は、複数の波長のうち第1波長の光に対して液晶分子を第1消光位へ移動させる第1駆動電圧と、複数の波長のうち第2波長の光に対して液晶分子を第2消光位へ移動させる第2駆動電圧と、を含み、強誘電性液晶表示素子は、第1波長の光に基づく単色の画像を表示する際には、第1駆動電圧により駆動され、強誘電性液晶表示素子は、第2波長の光に基づく単色の画像を表示する際には、第2駆動電圧により駆動される、液晶表示装置である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強誘電性液晶表示素子と、複数の波長の光を出射する光源と、を備え、前記光源から出射された前記光を用いて、フィールドシーケンシャル駆動により、前記強誘電性液晶表示素子に画像を表示させる液晶表示装置であって、
前記強誘電性液晶表示素子の液晶分子を第一の安定位置と第二の安定状態との間で切り替える駆動電圧が設定され、前記駆動電圧は、前記複数の波長のうち第1波長の光に対して前記液晶分子を第1消光位へ移動させる第1駆動電圧と、前記複数の波長のうち第2波長の光に対して前記液晶分子を第2消光位へ移動させる第2駆動電圧と、を含み、
前記強誘電性液晶表示素子は、前記第1波長の光に基づく単色の画像を表示する際には、前記第1駆動電圧により駆動され、
前記強誘電性液晶表示素子は、前記第2波長の光に基づく単色の画像を表示する際には、前記第2駆動電圧により駆動される、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記駆動電圧は、前記複数の波長のうち第3波長の光に対して前記液晶分子を第3消光位へ移動させる第3駆動電圧を含み、前記強誘電性液晶表示素子は、前記第3波長の光に基づく単色の画像を表示する際には、前記第3駆動電圧により駆動される、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1波長の光は、赤の光であり、前記第2波長の光は、緑の光であり、前記第3波長の光は、青の光である、ことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、強誘電性液晶の安定状態を示した図である。強誘電性液晶層の厚みが2.0μm程度以下になるように形成された液晶表示素子内の強誘電性液晶は、双安定性を示し、図1に示すように印加電圧の極性によって第1又は第2の安定状態にスイッチングする。なお、双安定性を示す強誘電性液晶は、双安定強誘電性液晶と呼ばれることがある。
【0003】
図2は、強誘電性液晶表示素子を用いる場合の偏光板の配置の例を示す図である。強誘電性液晶表示素子を用いる場合には、図2に示すように、クロスニコルに合わせた偏光板1a、1bの間に、偏光板1aの偏光軸aと偏光板1bの偏光軸bのどちらか一方と、強誘電性液晶分子の第1の安定状態もしくは第2の安定状態のときの分子長軸方向のどちらかがほぼ平行になるように強誘電性液晶表示素子2を置く。
【0004】
図2のように偏光板を設置すると、第1の安定状態で黒状態(非透過状態)、第2の安定状態で白状態(透過状態)とすることができる。なお、偏光板の配置を変えることにより、第1の安定状態で白状態(透過状態)、第2の安定状態で黒状態(非透過状態)とすることができる。
【0005】
従来技術による強誘電性液晶表示素子は、2.0μm程度以下の厚さの強誘電性液晶層を持つ一対のガラス基板から構成されている。ガラス基板の対向面には電極が形成されており、その上に配向膜が形成されている。さらに一方のガラス基板の外側に偏光板が設置されており、他方のガラス基板の外側には上述の偏光板に対して偏光軸が90°異なるようにして偏光板が設置されている。(特許文献1参照)
【0006】
従来技術による強誘電性液晶表示素子を用いた液晶表示装置は、入射した光を反射させる、反射型の液晶表示装置の場合もある。この場合、液晶表示装置は、強誘電性液晶表示素子に入射した光が、強誘電性液晶層を通過した後、反射電極や反射板によって反射され、もう一度強誘電性液晶層を通過した後、入射時の偏光軸とは90°異なる偏光軸をもつ偏光板を通過するように構成されている。
【0007】
図3は、電圧により強誘電性液晶分子のなす角であるコーン角(チルトアングル)が変化するのを説明するための模式図である。強誘電性液晶分子の長軸方向は、第1の安定状態と第2の安定状態でダイレクタを挟んでチルトアングルRとチルトアングルLの和「θR+θL」のコーン角で変化する。強誘電性液晶分子が前述の一方の印加電圧の極性でPL1、もう一方の極性でPR1に位置する時、強誘電性液晶に印加される電圧を上げるとコーン角は広がりPL2-PR2、PL3-PR3と広がっていく。仮にPL1を消光位に合わせると、電圧が上昇すると第1の安定状態はPL2やPL3に変化する。
【0008】
強誘電性液晶表示素子を用いた液晶表示装置の一例としては、フィールドシーケンシャル駆動により画像を表示する液晶表示装置が知られている。フィールドシーケンシャル駆動では、例えば、1フレーム期間を3つのサブフレーム期間で構成し、これら3つのサブフレーム期間のそれぞれに対応した赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる波長の光を照射し、これら3つのサブフレーム期間で赤(R)、緑(G)、青(B)の画像を表示して三色の画像が視覚的に重なることで1フレーム期間全体として1つのカラー画像を表示する。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3830170号公報
【特許文献2】特開2015-025927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
強誘電性液晶表示素子を用いた液晶表示装置において黒表示を実現する場合には、図2における第1の安定状態のように、入射する光の偏光方向(振動方向)と液晶分子の光軸方向(長軸方向)を一致させる事が一般的である。これは、両者の軸が一致することによって、入射した偏光に与える位相差がゼロとなり、クロスニコルに配置された出射側の偏光板1bによって消光されるからである。これは光の波長に関係なく「入射した偏光の振動方向と液晶の長軸を揃える」という物理的な角度条件のみによって決定されると考えられてきた。上記からすれば、強誘電性液晶表示素子を用いた液晶表示装置では、基準となる単色光(白色或いは緑色が代表的である)において液晶が最も黒表示を示す角度となる駆動電圧さえ求めればよいはずである。
【0011】
しかしながら、現実に液晶表示装置を製造する過程では、第1の安定状態において波長の異なる光においてそれぞれ消光位を求めた場合に、波長毎に異なる角度の消光位が得られる事がある。これは強誘電性液晶の持つ螺旋構造及び液晶分子の配向のムラ、偏光板自身の有する複屈折の波長分散、液晶パネルと偏光板の角度配置の誤差など複数の要因によって、光の波長によっては位相差がゼロとならず、偏光の振動方向にズレが生じてしまっていると考えられる。これにより、基準となる、ある単色光で消光位を定めた液晶表示装置においては、それ以外の他の色光(例えば赤色若しくは青色)では最適な消光位のズレから最適な黒表示となっておらず、画像のコントラストが低くなってしまっていた可能性が考えられる。
【0012】
本発明は、以上のことに鑑みてなされたものであり、画像のコントラストを高めることが可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
強誘電性液晶表示素子と、複数の波長の光を出射する光源と、を備え、前記光源から出射された前記光を用いて、フィールドシーケンシャル駆動により、前記強誘電性液晶表示素子に画像を表示させる液晶表示装置であって、前記強誘電性液晶表示素子の液晶分子を第一の安定位置と第二の安定状態との間で切り替える駆動電圧が設定され、前記駆動電圧は、前記複数の波長のうち第1波長の光に対して前記液晶分子を第1消光位へ移動させる第1駆動電圧と、前記複数の波長のうち第2波長の光に対して前記液晶分子を第2消光位へ移動させる第2駆動電圧と、を含み、前記強誘電性液晶表示素子は、前記第1波長の光に基づく単色の画像を表示する際には、前記第1駆動電圧により駆動され、前記強誘電性液晶表示素子は、前記第2波長の光に基づく単色の画像を表示する際には、前記第2駆動電圧により駆動される、液晶表示装置である。
【0014】
前記駆動電圧は、前記複数の波長のうち第3波長の光に対して前記液晶分子を第3消光位へ移動させる第3駆動電圧を含み、前記強誘電性液晶表示素子は、前記第3波長の光に基づく単色の画像を表示する際には、前記第3駆動電圧により駆動される、液晶表示装置であってもよい。
【0015】
前記第1波長の光は、赤の光であり、前記第2波長の光は、緑の光であり、前記第3波長の光は、青の光である、液晶表示装置であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、画像のコントラストを高めることが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】強誘電性液晶分子の安定状態を示した図
図2】強誘電性液晶表示素子と偏光板の配置を示す図
図3】電圧によりコーン角(チルトアングル)が変化する事を説明するための模式図
図4】光の波長により消光位が異なる事を説明するための模式図
図5】本発明の実施例における液晶表示装置の回路構成を概念的に示すブロック図
図6】フィールドシーケンシャル駆動における駆動電圧を説明するための模式図(a)従来例、(b)本発明の実施例
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例における液晶表示装置は、図2に示すように、強誘電性液晶表示素子2と、偏光板1a及び1bと、光源(不図示)とを備えており、フィールドシーケンシャル駆動によりカラー画像を表示する機能を有している。光源から出射される光の波長は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3波長である。なお、強誘電性液晶表示素子2は、一対のガラス基板の間に強誘電性液晶層が形成された透過型の強誘電性液晶表示素子ではなく、例えば、ガラス基板とシリコン基板との間に強誘電性液晶層が形成された反射型の強誘電性液晶表示素子であってもよい。この場合、液晶表示装置は、反射型の液晶表示装置として構成され、偏光板1aは、強誘電性液晶表示素子2の裏面側ではなく、例えば、強誘電性液晶表示素子2の側面側に、光源と共にフロントライトの一部として配置される。
【0019】
本発明の実施例における液晶表示装置では、強誘電性液晶分子の二つの安定位置を切り替える(スイッチング)する駆動電圧として、強誘電性液晶分子に入射する光源からの光の種々の波長(赤、緑、青)に対し、強誘電性液晶分子の位置が消光位になる駆動電圧の値(大きさ)が光の波長毎にそれぞれ設定されている。これらの駆動電圧の値は、予め測定等の手段を利用して、強誘電性液晶の波長-電圧特性を得ることにより適宜決定され、液晶表示装置内の記憶装置にデータとして保存されている。液晶表示装置の駆動時には、記憶装置から各波長に対応する駆動電圧の値が読み出され、その駆動電圧の値に応じた駆動電圧により強誘電性液晶表示素子が駆動される。詳しくは、以下の通りである。
【0020】
図4は、強誘電性液晶分子が図2における第1の安定状態にある場合に、光の波長により消光位が異なる事を説明するための模式図である。
【0021】
通常、消光位を実現する駆動電圧は、基準光となる例えば、緑(G)の光を入射した際に最も漏れ光が最小となるように決定される。そして、基準光以外の赤(R)或いは青(B)が単独で入射された場合、この状態で漏れ光が最も少なくなるように駆動電圧を調整していくと、図4に示すように、基準光で得られたPL4の位置ではなくPL5乃至PL6の位置で消光位が得られる事となる。即ち、基準光に対して消光位が得られる駆動電圧で動作を行っている場合、基準光以外の波長の光では偏光板1aの光学軸aと消光位が僅かにズレてしまう。これにより、出射側の偏光板1bを透過する漏れ光が増加し、最適な黒表示が阻害されてしまう。
【0022】
これに対し、本発明の実施例では、基準光である緑(G)の光に対して消光位が得られる駆動電圧とは別に、赤(R)及び青(B)の光のそれぞれに対して消光位が得られる2種類の駆動電圧を別途設定し、入射する光の波長に合わせて3種類の駆動電圧を切り替えることで、液晶表示装置の最適な黒表示を実現することができる。
【0023】
図5は、本発明の実施例における液晶表示装置の回路構成を概念的に示すブロック図である。このブロック図において、本発明の実施例における液晶表示装置は、強誘電性液晶表示素子10と、複数の波長の光を出力可能な光源10と、強誘電性液晶分子の消光位が得られる駆動電圧の値と光の波長との相関を示す特性データを記憶する記憶装置12と、それらの構成の駆動を統括的に制御する制御装置(CPU等)13と、を備えている。
【0024】
本発明の実施例における液晶表示装置を駆動するためには、予め、光源11から出力される複数の光の波長(赤、緑、青)のそれぞれに対し、強誘電性液晶分子の第1の安定状態において漏れ光が最も少なくなる波長-電圧特性を測定し、その波長-電圧特性を特性データとして記憶装置12に保存しておく。制御装置13は、フィールドシーケンシャル駆動の各サブフレーム期間において、記憶装置12から特性データを読み出し、その特性データに基づく駆動電圧により強誘電性液晶表示素子10を駆動する。
【0025】
なお、記憶装置12に記憶されている波長-電圧特性の特性データは、自由に書き換え可能であっても良く、この場合には、液晶表示装置の構成(光源の色等)が変わったとしても、記憶装置12に記憶されている特性データを書き換えるだけでそれに対応することができる。記憶装置12や制御装置13は、強誘電性液晶表示素子10とは別に設けられていてもよいが、強誘電性液晶表示素子10に一体的に形成されていてもよい。
【0026】
図6は、フィールドシーケンシャル駆動における駆動電圧を説明するための模式図で(a)従来例、(b)本発明の実施例を示す。フィールドシーケンシャル駆動において、1つのフレーム期間は、例えば、図6に示すように、サブフレームR(赤)、G(緑)、B(青)の3つのサブフレーム期間で構成される。なお、各サブフレーム期間は、さらに、フィールド期間R(赤)、フィールドG(緑)、フィールドB(青)の3つのフィールド期間で構成される場合がある。フィールドシーケンシャル駆動では、R(赤)、G(緑)、B(青)の各サブフレーム期間又は各フィールド期間において、それぞれの期間に対応する色の光を強誘電性液晶表示素子に照射するとともに強誘電性液晶表示素子に所定の駆動電圧を印加することで1つのフレーム期間で1つのカラー画像を表示する。
【0027】
図6(a)に示す従来例において、赤(R)、緑(G)、青(B)の各サブフレーム期間で強誘電性液晶表示素子に印加される駆動電圧は、基準光である例えば緑(G)の光に対して消光位が得られる駆動電圧であったため、強誘電性液晶表示素子には、光の波長に関係なく常に一定の値(大きさ)の駆動電圧が印加されていた。しかし、この場合には、上述したように、基準光以外の光である赤(R)及び青(B)の光に対しては消光位が僅かにズレてしまっていたため、コントラストの高い黒表示が得られなかった。これに対し、図6(b)に示す本発明の実施例において、赤(R)、緑(G)、青(B)の各サブフレーム期間で強誘電性液晶表示素子に印加される駆動電圧は、例えば、サブフレーム期間Rでは、赤(R)の光に対して消光位が得られる第1駆動電圧、サブフレーム期間Gでは、緑(G)の光に対して消光位が得られる第2駆動電圧、サブフレーム期間Bでは、青(B)の光に対して消光位が得られる第3駆動電圧に設定されている。つまり、本発明の実施例において、赤(R)、緑(G)、青(B)の各サブフレーム期間では、それぞれの期間に対応する色の光に対して消光位が得られるように互いに異なる駆動電圧が印加される。これにより、コントラストの高い黒表示が得られる。
【0028】
なお、上述の第1~第3駆動電圧は、例えば、以下のようにして決定することができる。1つのフレーム期間が赤(R)、緑(G)、青(B)の3つのサブフィールド期間で構成されている場合には、まず、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれか1つを基準色として決定し、その基準色の光に対して消光位が得られる駆動電圧の値を測定等により決定し、その駆動電圧の値に対して駆動電圧の値を適宜増減させることにより、他の2色の光のそれぞれに対して消光位が得られる駆動電圧の値を決定する。図6(b)に示す実施例では、緑(G)を基準色として定めており、緑(G)の光に対して消光位が得られる駆動電圧を基準として、赤(R)及び青(B)の光のそれぞれに対して消光位が得られる駆動電圧を適宜決定している。
【0029】
光源の波長に対する最適な消光位となる第1の安定状態は、強誘電性液晶の持つ螺旋構造の状態、強誘電性液晶分子の配向のムラ、偏光板自身の有する複屈折の波長分散、液晶表示素子と偏光板の角度配置の誤差などの非常に多岐に渡る複数の要因によって左右されると考えられ、液晶表示装置個々の組み立てばらつきはそれぞれ異なる事から、各波長に対する最適な駆動電圧は、液晶表示装置個々において測定し記憶させる事が望ましい。一方で、波長-電圧特性の特性データの作成には非常に時間が掛かるので、液晶表示装置間にばらつきが少ないと結論付けられる場合は、幾つかの特性データから平均値を算出してその平均値を波長-電圧特性の特性データとしてもよい。
【0030】
本実施例では、1つのフレーム期間が赤(R)、緑(G)、青(B)の3つのサブフレーム期間で構成されたフィールドシーケンシャル駆動を例示したが、本発明は、例えば、1つのフレーム期間が赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれか2つのサブフレーム期間で構成されたフィールドシーケンシャル駆動に適用することも可能である。また、単色の画像を表示する順序は、R→G→Bに限らずその他の順序であってもよい。また、光源の波長(色)は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つに限定されるものではなく、その他の波長(色)であってもよい。また、光源は、LEDやLD(レーザーダイオード)のような単波長(単色)の光を出射する光源を複数組み合わせたものであってもよいが、ハロゲンランプなどの広帯域な波長の光を出射する光源にカラーフィルターなどを設けて単色光を出射するようにしたものでもよい。
【符号の説明】
【0031】
1a 偏光板
1b 偏光板
2 強誘電性液晶表示素子
10 強誘電性液晶表示素子
11 光源
12 記憶装置
13 制御装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6