(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145809
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】端材管理方法及び端材管理装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4093 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G05B19/4093 J
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058322
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】土井 彦忠
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB09
3C269AB11
3C269BB01
3C269QA06
(57)【要約】
【課題】素材から製品を加工したときに発生する端材を再利用するときに生じる不都合を防止する。
【解決手段】端材管理装置21は、素材に製品を割り付けて板取を決定する板取決定部21aと、板取に基づいて、製品が割り付けられた領域と製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を素材に設定し、切断線によって素材を複数の切断領域に分割する切断領域設定部21bと、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、素材に識別マークを配置する識別マーク設定部21cと、製品が割り付けられていない切断領域を端材として登録する端材登録部21dとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理方法であって、
前記素材に前記製品を割り付けて板取を決定し、
前記板取に基づいて、前記製品が割り付けられた領域と前記製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を前記素材に設定し、前記切断線によって前記素材を複数の切断領域に分割し、
前記製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、前記素材に前記識別マークを配置し、
前記製品が割り付けられていない切断領域を前記端材として登録する
端材管理方法。
【請求項2】
前記素材の予め設定された位置に前記識別マークを配置し、前記製品が割り付けられていない切断領域に前記識別マークが配置されている場合には、前記製品が割り付けられていない切断領域に配置された前記識別マークを削除する請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項3】
前記製品が割り付けられた切断領域に前記識別マークを配置する請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項4】
前記素材が、前記識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない材質である場合には、前記素材に前記識別マークを配置しない請求項1~3のいずれか1項に記載の端材管理方法。
【請求項5】
前記識別マークを前記素材の四隅に配置する請求項2に記載の端材管理方法。
【請求項6】
前記識別マークを前記素材の四隅の中から選択して配置する請求項5に記載の端材管理方法。
【請求項7】
前記素材が、前記製品を切り出した後の素材である場合には、前記素材に前記識別マークを配置しない請求項1~3のいずれか1項に記載の端材管理方法。
【請求項8】
素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理装置であって、
前記素材に前記製品を割り付けて板取を決定する板取決定部と、
前記板取決定部で決定された前記板取に基づいて、前記製品が割り付けられた領域と前記製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を前記素材に設定し、前記切断線によって前記素材を複数の切断領域に分割する切断領域設定部と、
前記製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、前記素材に前記識別マークを配置する識別マーク設定部と、
前記製品が割り付けられていない切断領域を前記端材として登録する端材登録部と
を備えた端材管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端材管理方法及び端材管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、加工により生じる端材についての端材名称をNC装置に入力し、この端材名称に対して端材の板厚、材質、形状等の特性を関連付けてメモリに記憶して管理する手法が記載されている。また、特許文献1には、端材名称を端材にマーキングすることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、素材に名称などをマーキングした後に、その素材から生じた新たな端材を再利用する場合がある。この場合に、新たな端材に元の素材と同じようにマーキングすると、新たにマーキングされたものと元の素材にマーキングされていたものが重複して表記されるので、作業者が困惑して端材を再利用するときに不都合が生じるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理方法であって、前記素材に前記製品を割り付けて板取を決定し、前記板取に基づいて、前記製品が割り付けられた領域と前記製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を前記素材に設定し、前記切断線によって前記素材を複数の切断領域に分割し、前記製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、前記素材に前記識別マークを配置し、前記製品が割り付けられていない切断領域を前記端材として登録する。
【0006】
また、本発明の別の一態様は、素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理装置であって、前記素材に前記製品を割り付けて板取を決定する板取決定部と、前記板取決定部で決定された前記板取に基づいて、前記製品が割り付けられた領域と前記製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を前記素材に設定し、前記切断線によって前記素材を複数の切断領域に分割する切断領域設定部と、前記製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、前記素材に前記識別マークを配置する識別マーク設定部と、前記製品が割り付けられていない切断領域を前記端材として登録する端材登録部とを備える。
【0007】
本発明の一態様の端材管理方法及びその装置によれば、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、素材に識別マークを配置する。これにより、新たにマーキングされた識別マークと元の素材にマーキングされていた識別マークが重複して表記されることがなくなるので、端材を再利用するときに生じる不都合を防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、端材を再利用するときに生じる不都合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る端材管理方法を実現する端材管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、素材から切り出される製品と端材を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る端材管理装置による識別マークの配置位置を選択するための選択画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る端材管理装置によって製品が割り付けられた素材の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る端材管理装置によって切断線が設定された素材の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る端材管理装置によって識別マークが配置された素材の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る端材管理装置によって識別マークが削除された素材の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る端材管理装置によって識別マークを削除する理由を説明するための図である。
【
図9】
図9は、スケルトン材の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る端材管理装置による端材管理処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[端材管理システム]
以下、図面を参照し、本実施形態に係る端材管理方法を実現するための端材管理システムについて説明する。
図1は、本実施形態に係る端材管理装置を備えた端材管理システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る端材管理システム10は、CAM(Computer Aided Manufacturing)20、制御装置30、加工ユニット40、操作端末50、データベース60、及び生産管理装置70を主体に構成されている。
【0011】
本実施形態に係る端材管理方法は、素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理方法であって、素材に製品を割り付けて板取を決定し、板取に基づいて、製品が割り付けられた領域と製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を素材に設定し、切断線によって素材を複数の切断領域に分割し、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、素材に識別マークを配置し、製品が割り付けられていない切断領域を端材として登録する。
【0012】
CAM20は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、CAM20は、素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理装置21として機能する。また、CAM20は、素材に対して加工機41が加工を行うための加工プログラムを作成したり、所定の識別マークをマーキング装置42がマーキングするためのプログラムを作成したりする。
【0013】
CAM20には、CAM20に対して情報を入力するための入力装置22、及びCAM20によって作成された情報を表示するための出力装置23が接続されている。入力装置22は、端材管理装置21を機能させるために必要な情報を外部装置から取得する。入力装置22が取得する情報としては、製品の形状及びサイズを含む製品情報、マーキングを行う位置情報などである。出力装置23は、作成された加工プログラムを制御装置30に出力したり、端材管理に必要な情報をデータベース60に出力したりする。
【0014】
制御装置30は、加工プログラムに基づいて加工ユニット40を制御する装置であり、例えばNC装置(数値制御(Numerical Control)装置)を含んでいる。制御装置30は、CPUなどのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、制御装置30が備える種々の機能が実現される。
【0015】
加工ユニット40は、加工機41と、マーキング装置42とを備えている。加工機41は、素材に対して所定の加工を行うことで、素材から製品を作成する。例えば、加工機41は、素材に対してレーザビームを照射してレーザ加工を行うレーザ加工機、パンチとダイとからなる金型により素材に対してパンチ加工を行うパンチ加工機、或いは、これらの複合機である。
【0016】
マーキング装置42は、加工機41によって加工された製品、或いは、素材または端材に対してマーキングを行う装置である。マーキング装置42は、例えばインクジェットプリンタであり、印刷によりマーキングを行う。マーキング装置42は、印刷以外の方法、例えば刻印やレーザ加工などの手法によってマーキングを行ってもよい。また、刻印やレーザ加工などでマーキングを行う場合、加工機41がマーキング装置として機能してもよい。
【0017】
図2は、素材から切り出される製品と端材とを示す説明図である。制御装置30が加工プログラムに基づいて加工機41を制御することで、加工機41が素材105に対して加工を行う。これにより、加工機41は、素材105から製品107を切り出す。また、加工機41は、素材105のうち製品107が切り出されずに残った領域を、端材110として切り出す。
【0018】
操作端末50は、例えばスマートフォン、タブレット端末などである。操作端末50は、汎用コンピュータであってもよい。操作端末50は、CPUなどのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。メモリに格納されたアプリケーションプログラムを実行させることにより、操作端末50が備える種々の機能が実現される。
【0019】
操作端末50は、情報を表示する表示パネル、入力操作に応じた信号を出力するタッチパネル、加工ユニット40、制御装置30、データベース60及び生産管理装置70などの外部装置と通信するための通信インターフェースなどを備えている。また、操作端末50は、マーキングされた識別マークを読み取るための読取部、例えばカメラを備えている。
【0020】
データベース60は、端材管理システム10で必要とされる情報を記憶する記憶手段である。データベース60は、素材及び端材毎に用意された複数のレコードで構成されている。個々のレコードには、サイズ、板厚、材質、原点、マーキング位置、加工条件、及び保管場所を含む情報が、IDと関連付けて登録されている。さらに、素材が、製品を切り出した後のスケルトン材のような素材であるか否かについても登録されている。また、データベース60は、作業者によって予め設定された機械パラメータを記憶している。
【0021】
IDは、素材または端材を識別する識別子(ID(identifier))であり、例えば文字列などで構成されている。サイズ、板厚及び材質は、それぞれ素材または端材のサイズ、板厚及び材質である。原点は、素材または端材の原点を示す位置であり、マーキング位置は、素材または端材にマーキングされる識別マークの位置である。加工条件は、素材または端材を加工するときの加工機41の加工条件である。保管場所は、素材または端材が保管されるストックエリア100の位置である。
【0022】
機械パラメータには、識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない材質が登録されている。例えば、識別マークをレーザ加工で素材に焼き付ける場合には、素材が黒などの暗い色であると、識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない場合がある。そこで、このような材質については、リーダで読み取れない材質として予め登録されている。
【0023】
また、機械パラメータには、識別マークを素材の四隅に配置するか否かの設定や識別マークを素材の四隅の中から選択して配置する設定が登録されている。識別マークを素材の四隅に配置する設定が登録されている場合には、識別マークは自動的に素材の四隅に配置される。作業現場において素材が大きい場合には、識別マークが素材の四隅に配置されていれば、作業者は近くの四隅へ移動すれば識別マークを読み取れるので、作業時間を短縮することができる。
【0024】
また、識別マークを素材の四隅の中から選択して配置する設定が登録されている場合には、
図3に示すような選択画面の中から識別マークを配置する位置が予め選択され、選択された位置に識別マークが自動的に配置される。ユーザによっては識別マークを素材の四隅に必要としない場合があるので、無駄に識別マークを素材の四隅にマーキングすることがなくなり、加工時間を短縮することができる。また、ユーザが希望する位置に識別マークを配置することができる。
【0025】
生産管理装置70は、製品を効率的に生産するための加工機41の運用管理を行う。生産管理装置70は、その日に作業すべき製品の一覧などの情報を保有している。
【0026】
ストックエリア100は、素材105や端材110を保管する保管場所であり、素材105から生じた端材110は、将来の加工に備えて所定の保管場所に保管されている。
【0027】
[端材管理装置]
次に、本実施形態に係る端材管理装置21の構成を説明する。端材管理装置21は、素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する。
図1に示すように、端材管理装置21は、板取決定部21aと、切断領域設定部21bと、識別マーク設定部21cと、端材登録部21dとを備えている。尚、端材管理装置21は、CAM20ではなく、制御装置30や操作端末50に搭載されていてもよい。
【0028】
板取決定部21aは、製品を割り付けるための素材を取得し、取得した素材に製品を割り付けて板取を決定する。例えば、
図4に示すように、素材105に製品107を割り付けて板取を決定する。
【0029】
切断領域設定部21bは、板取決定部21aで決定された板取に基づいて、製品が割り付けられた領域と製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を素材に設定し、切断線によって素材を複数の切断領域に分割する。例えば、
図5に示すように、切断領域設定部21bは、2つの切断線112a、112bを素材105に設定し、素材105を3つの切断領域114a、114b、114cに分割する。尚、切断方法としては、
図5に示すT字切断の他に、水平切断や垂直切断、L字切断などの切断方法を採用してもよい。
【0030】
識別マーク設定部21cは、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、素材に識別マークを配置する。まず、識別マーク設定部21cは、素材の予め設定された位置に識別マークを配置する。識別マーク設定部21cは、データベース60にアクセスして機械パラメータを参照し、識別マークを素材の四隅に配置するように設定されている場合には、
図6に示すように素材105の四隅に識別マーク116a、116b、116c、116dを配置する。また、機械パラメータに識別マークを素材の四隅の中から選択して配置するように設定されている場合には、
図3に示す選択画面で選択された位置に識別マークを配置する。
【0031】
識別マーク116a~116dは、
図6に示すように、カメラなどで読み取り可能な2次元コードを用いることができる。識別マーク116a~116dは、素材105を特定するための情報を表すマークであり、例えば素材105のIDや名称を表している。
【0032】
識別マーク設定部21cは、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークが配置されている場合には、製品が割り付けられていない切断領域に配置された識別マークを削除する。例えば、
図6では、切断領域114a、114bには製品107が割り付けられていないので、
図7に示すように、切断領域114a、114bに配置されていた識別マーク116a~116cを削除する。
【0033】
ここで、識別マークを削除する理由を説明する。
図8に示すように、素材105の切断領域114dには製品107が割り付けられ、切断領域114eには製品が割り付けられていない。この後、製品107が切り出されると、切断領域114eは端材として再利用される。しかし、切断領域114d、114eに識別マーク116a~116dをマーキングしてしまうと、切断領域114eを端材として再利用するときに、識別マーク116b、116dがマーキングされたままになる。そのため、切断領域114eから生成された端材を再利用するときに新しい識別マーク116e~116hをマーキングすると、古い識別マーク116b、116dと新しい識別マーク116f、116hが重複して表記される。
【0034】
したがって、作業者がリーダで識別マークを読み取ろうとしても、重複した識別マークはリーダで読み取ることができない。また、古い識別マークと新しい識別マークをずらしてマーキングすると、作業者はいずれの識別マークを読み取ればよいのか分からなくなってしまう。このように端材として再利用する切断領域に識別マークが配置されていると、再利用するときに不都合が生じてしまう。そこで、本実施形態に係る端材管理装置21では、製品が割り付けられていない切断領域に配置された識別マークを削除することによって、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないようにしている。これにより、新しい識別マークと古い識別マークが重複して表記されることがなくなるので、端材を再利用するときに生じる不都合を解消することができる。
【0035】
さらに、識別マーク設定部21cは、製品が割り付けられた切断領域のみに識別マークを配置してもよい。これにより、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがなくなるので、新たにマーキングされた識別マークと元の素材にマーキングされていた識別マークが重複して表記されることがなくなり、端材を再利用するときに生じる不都合を防止することができる。
【0036】
また、識別マーク設定部21cは、素材が製品を切り出した後の素材である場合には、素材に識別マークを配置しない。例えば、
図9に示すように、素材105から製品107を切り出して穴の開いたスケルトン材のような場合には、素材105の全体が再利用されるので、識別マークの配置を中止する。これにより、素材105の全体をスケルトン材として再利用しても、新しい識別マークと古い識別マークが重複して表記されることがなくなるので、素材105を再利用するときに生じる不都合を解消することができる。
【0037】
尚、素材がスケルトン材であるか否かの判定方法としては、作業者が予めデータベース60に登録しておいてもよいし、素材に切断線が設定されていない場合にスケルトン材であると判定してもよい。
【0038】
さらに、識別マーク設定部21cは、素材が識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない材質である場合には、素材に識別マークを配置しない。機械パラメータには識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない材質が登録されている。そこで、識別マーク設定部21cは、データベース60の機械パラメータを参照して、素材105の材質がリーダで読み取れない材質である場合には、識別マークの配置を中止する。
【0039】
端材登録部21dは、製品が割り付けられていない切断領域を端材として登録する。例えば、
図7に示す切断領域114a、114bを、端材としてデータベース60に登録する。
【0040】
尚、端材管理装置21は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路と、メモリ等の周辺機器から構成されたコントローラであり、端材を管理するための処理を実行するためのコンピュータプログラムがインストールされている。端材管理装置21の各機能は、1または複数の処理回路によって実装することができる。処理回路は、例えば電気回路を含むプログラムされた処理装置を含んでおり、また実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含んでいてもよい。
【0041】
[端材管理処理]
次に、本実施形態に係る端材管理装置21による端材管理処理を説明する。
図10は、端材管理装置21による端材管理処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0042】
図10に示すように、ステップS101において、板取決定部21aは、製品を割り付けるための素材を取得する。板取決定部21aは、生産管理装置70にアクセスして、加工機41の作業予定の製品群を特定し、作業予定の製品群の中から、作業を行う素材を取得する。
【0043】
ステップS103において、板取決定部21aは、ステップS101で取得した素材に製品を割り付けて板取を決定する。板取決定部21aは、素材の特性、すなわち材質、板厚及びサイズに適合する製品を抽出し、抽出した製品を素材に対して割り付け、割り付けの候補を生成する。そして、製品の納期、歩留まりなどを考慮して、割り付けの候補の中から最適な候補を選択して板取を決定する。ただし、板取の決定は、作業者が操作端末50を操作して、割り付けの候補の中から選択して板取を決定してもよい。こうして
図4に示すように、素材105に対して製品107が割り付けられて板取が決定する。
【0044】
ステップS105において、切断領域設定部21bは、ステップS105で決定された板取に基づいて、製品が割り付けられた領域と製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を素材に設定し、切断線によって素材を複数の切断領域に分割する。例えば、
図5に示すように、2本の切断線112a、112bによって、素材105を3つの切断領域114a~114cに分割する。
【0045】
ステップS107において、識別マーク設定部21cは、ステップS101で取得した素材が識別マークをマーキングしない素材であるか否かを判定する。具体的に、識別マーク設定部21cは、データベース60に格納されている機械パラメータを参照して、ステップS101で取得した素材が識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない材質であるか否かを判定する。そして、リーダで読み取れない材質である場合には識別マークを配置せずに本実施形態に係る端材管理処理を終了し、リーダで読み取れない材質ではない場合にはステップS109へ進む。
【0046】
また、識別マーク設定部21cは、データベース60に格納されている機械パラメータを参照して、ステップS101で取得した素材がスケルトン材のように製品を切り出した後の素材であるか否かを判定する。そして、素材が製品を切り出した後の素材である場合には識別マークを配置せずに本実施形態に係る端材管理処理を終了し、素材が製品を切り出した後の素材ではない場合にはステップS109へ進む。
【0047】
ステップS109において、識別マーク設定部21cは、素材の予め設定された位置に識別マークを配置する。例えば、素材の四隅に識別マークを配置するように設定されている場合には、
図6に示すように、素材105の四隅に識別マーク116a~116dを配置する。また、識別マーク設定部21cは、製品が割り付けられた切断領域のみに識別マークを配置してもよい。
【0048】
ステップS111において、識別マーク設定部21cは、ステップS105で分割された切断領域のうち、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークが配置されている場合には、製品が割り付けられていない切断領域に配置された識別マークを削除する。例えば、
図7に示すように、切断領域114a、114bには製品が割り付けられていないので、識別マーク116a~116cを削除する。尚、識別マークが、製品が割り付けられた切断領域のみに配置されている場合には、識別マークを削除する必要はない。
【0049】
ステップS113において、端材登録部21dは、製品が割り付けられていない切断領域を端材としてデータベース60に登録して、本実施形態に係る端材管理処理を終了する。例えば、
図7の切断領域114a、114bが端材としてデータベース60に登録されて本実施形態に係る端材管理処理は終了する。
【0050】
この後、CAM20が、端材管理処理で決定された板取や切断領域に基づいて加工プログラムを作成し、この加工プログラムに基づいて、制御装置30がマーキング装置42を制御して識別マークをマーキングし、加工機41が製品を加工する。
【0051】
[実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る端材管理装置21は、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがないように、素材に識別マークを配置する。これにより、製品が割り付けられていない切断領域を端材として再利用する場合に、元の素材にマーキングされていた識別マークと新たな端材にマーキングされた識別マークが重複して表記されることがなくなる。したがって、端材を再利用するときに生じる不都合を防止することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る端材管理装置21では、素材の予め設定された位置に識別マークを配置し、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークが配置されている場合には、製品が割り付けられていない切断領域に配置された識別マークを削除する。これにより、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがなくなるので、端材を再利用するときに生じる不都合を防止することができる。
【0053】
さらに、本実施形態に係る端材管理装置21は、製品が割り付けられた切断領域に識別マークを配置する。これにより、製品が割り付けられていない切断領域に識別マークを配置することがなくなるので、端材を再利用するときに生じる不都合を防止することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る端材管理装置21では、素材が識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない材質である場合には、素材に識別マークを配置しない。これにより、識別マークをリーダで読み取れない事態を未然に防止することができるので、端材を再利用するときに生じる不都合を防止することができる。
【0055】
さらに、本実施形態に係る端材管理装置21は、識別マークを素材の四隅に配置する。これにより、作業現場で素材が大きい場合であっても、作業者は近くの四隅へ移動すれば識別マークを読み取れるので、作業時間を短縮することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る端材管理装置21は、識別マークを素材の四隅の中から選択して配置する。これにより、ユーザの希望に応じて四隅の中から必要な箇所だけに識別マークをマーキングすればよいので、マーキングのための加工時間を短縮することができる。
【0057】
さらに、本実施形態に係る端材管理装置21は、素材が製品を切り出した後の素材である場合には、素材に識別マークを配置しない。これにより、製品を切り出した後の素材を素材全体として再利用する場合でも、識別マークが重複して表記されることがなくなるので、素材を再利用するときに生じる不都合を防止することができる。
【0058】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0059】
10 端材管理システム
20 CAM
21 端材管理装置
21a 板取決定部
21b 切断領域設定部
21c 識別マーク設定部
21d 端材登録部
22 入力装置
23 出力装置
40 加工ユニット
41 加工機
42 マーキング装置
50 操作端末
60 データベース
70 生産管理装置
100 ストックエリア
105 素材
107 製品
110 端材
112a、112b 切断線
114a~114e 切断領域
116a~116h 識別マーク
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
ステップS105において、切断領域設定部21bは、ステップS
103で決定された板取に基づいて、製品が割り付けられた領域と製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を素材に設定し、切断線によって素材を複数の切断領域に分割する。例えば、
図5に示すように、2本の切断線112a、112bによって、素材105を3つの切断領域114a~114cに分割する。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理方法であって、
前記素材に前記製品を割り付けて板取を決定し、
前記板取に基づいて、前記製品が割り付けられた領域と前記製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を前記素材に設定し、前記切断線によって前記素材を複数の切断領域に分割し、
前記素材の予め設定された位置に前記識別マークを配置し、前記製品が割り付けられていない切断領域に前記識別マークが配置されている場合には、前記製品が割り付けられていない切断領域に配置された前記識別マークを削除し、
前記製品が割り付けられていない切断領域を前記端材として登録する
端材管理方法。
【請求項2】
前記素材が、前記識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない材質である場合には、前記素材に前記識別マークを配置しない請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項3】
前記識別マークを前記素材の四隅に配置する請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項4】
前記識別マークを前記素材の四隅の中から選択して配置する請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項5】
前記素材が、前記製品を切り出した後の素材である場合には、前記素材に前記識別マークを配置しない請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項6】
素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理装置であって、
前記素材に前記製品を割り付けて板取を決定する板取決定部と、
前記板取決定部で決定された前記板取に基づいて、前記製品が割り付けられた領域と前記製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を前記素材に設定し、前記切断線によって前記素材を複数の切断領域に分割する切断領域設定部と、
前記素材の予め設定された位置に前記識別マークを配置し、前記製品が割り付けられていない切断領域に前記識別マークが配置されている場合には、前記製品が割り付けられていない切断領域に配置された前記識別マークを削除する識別マーク設定部と、
前記製品が割り付けられていない切断領域を前記端材として登録する端材登録部と
を備えた端材管理装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理方法であって、
前記素材に前記製品を割り付けて板取を決定し、
前記板取に基づいて、前記製品が割り付けられた領域と前記製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を前記素材に設定し、前記切断線によって前記素材を複数の切断領域に分割し、
前記素材の予め設定された位置に識別マークを配置し、前記製品が割り付けられていない切断領域に前記識別マークが配置されている場合には、前記製品が割り付けられていない切断領域に配置された前記識別マークを削除し、
前記製品が割り付けられていない切断領域を前記端材として登録する
端材管理方法。
【請求項2】
前記素材が、前記識別マークをマーキングしてもリーダで読み取れない材質である場合には、前記素材に前記識別マークを配置しない請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項3】
前記識別マークを前記素材の四隅に配置する請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項4】
前記識別マークを前記素材の四隅の中から選択して配置する請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項5】
前記素材が、前記製品を切り出した後の素材である場合には、前記素材に前記識別マークを配置しない請求項1に記載の端材管理方法。
【請求項6】
素材から製品を加工したときに発生する端材を管理する端材管理装置であって、
前記素材に前記製品を割り付けて板取を決定する板取決定部と、
前記板取決定部で決定された前記板取に基づいて、前記製品が割り付けられた領域と前記製品が割り付けられていない領域とを切断する切断線を前記素材に設定し、前記切断線によって前記素材を複数の切断領域に分割する切断領域設定部と、
前記素材の予め設定された位置に識別マークを配置し、前記製品が割り付けられていない切断領域に前記識別マークが配置されている場合には、前記製品が割り付けられていない切断領域に配置された前記識別マークを削除する識別マーク設定部と、
前記製品が割り付けられていない切断領域を前記端材として登録する端材登録部と
を備えた端材管理装置。