IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

特開2024-145814充電リソースを効率的に共有する電動車両
<>
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図1
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図2
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図3
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図4
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図5
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図6
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図7
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図8
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図9
  • 特開-充電リソースを効率的に共有する電動車両 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145814
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】充電リソースを効率的に共有する電動車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/12 20160101AFI20241004BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20241004BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20241004BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241004BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241004BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20241004BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20241004BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20241004BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241004BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241004BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241004BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20241004BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241004BHJP
【FI】
B60W20/12 ZHV
B60L15/20 J
B60L50/16
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/13
G01C21/36
B60W10/26 900
H02J7/00 P
H02J7/00 X
H02J7/02 B
G16Y20/20
G16Y20/30
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058330
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】国政 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】廣江 健太
【テーマコード(参考)】
2F129
3D202
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD19
2F129DD21
2F129DD46
2F129DD48
2F129DD49
2F129EE02
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE81
2F129EE92
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF60
2F129HH02
3D202AA10
3D202BB00
3D202BB19
3D202CC14
3D202DD00
3D202DD45
3D202DD50
5G503AA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503CB06
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BA00
5H125BC05
5H125BC12
5H125BC21
5H125CA18
5H125CC04
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE51
5H125EE55
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】多数の電気自動車が公共の給電スポットを共有して充電を行う状況において、エリア全体での各車両の充電待ち時間を抑制し交通の円滑化を図る。
【解決手段】禁止区域内に設けられ外部電源を有する第一給電スポット61(A)において充電されている際に、サーバ51,52から、禁止区域内に設けられた複数の給電スポット61(A)、及び予定走行ルート上における目的地と禁止区域との間にある第二給電スポット61(B)の混雑情報を受信し、禁止区域内に設けられた複数の給電スポット61(A)の混雑度が第一所定値以上であって、第二給電スポット61(B)の混雑度が第二所定値未満である場合には、第二給電スポット61(B)まで到達するために必要な電力量を目標充電量とし、二次電池12の充電量が目標充電量となると充電を停止するように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動輪を駆動させるモータと、前記モータに給電可能であり外部電源から充電され得る二次電池と、前記車両を制御する制御部と、排ガスの排出を禁止する禁止区域の情報を含む地図情報を得る地図情報取得部と、前記地図情報における目的地までの予定走行ルートを指定するルート指定部と、前記車両の現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、サーバとの間で通信する通信部を有する電動車両であり、
前記制御部は、
前記車両が、前記禁止区域内に設けられ前記外部電源を有する第一給電スポットにおいて充電されている際に、前記通信部を介して、前記サーバから、前記禁止区域内に設けられた複数の給電スポット、及び前記予定走行ルート上における前記目的地と前記禁止区域との間にある第二給電スポットの混雑情報を受信し、前記禁止区域内に設けられた複数の給電スポットの混雑度が第一所定値以上であって、前記第二給電スポットの混雑度が第二所定値未満である場合には、前記第二給電スポットまで到達するために必要な電力量を目標充電量とし、前記二次電池の充電量が前記目標充電量となると充電を停止するように制御する電動車両。
【請求項2】
前記制御部は、
前記禁止区域内に設けられた複数の給電スポットの混雑度が前記第一所定値X以上であって、前記第二給電スポットの混雑度が前記第二所定値以上であって、前記予定走行ルート上にある第二給電スポットより前記目的地側に位置する第三給電スポットの混雑度が第三所定値未満である場合は、前記第三給電スポットまで到達するために必要な電力量を前記目標充電量とし、前記二次電池の充電量が前記目標充電量となると充電を停止するように制御する、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第三給電スポットまで到達するために必要な電力量を前記目標充電量として充電している間に、前記第二給電スポットの混雑度が前記第二所定値未満となった際、その時点で前記第二給電スポットまで到達するために必要な電力量が前記二次電池に充電されている場合はその時点で充電を停止するように制御し、その時点で前記第二給電スポットまで到達するために必要な電力量が前記二次電池に充電されていない場合は前記目標充電量まで充電する請求項2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記制御部は、
前記禁止区域内から前記目的地までの間の前記予定走行ルート上にあるすべての前記給電スポットの混雑度が各前記給電スポットに対応した所定値以上である場合は、前記外部電源に接続し前記二次電池の充電を開始したときに設定された前記目標充電量まで充電するように制御する、請求項1から3のいずれかに記載の電動車両。
【請求項5】
前記混雑情報には、前記禁止区域内から前記目的地までの間のすべての前記給電スポットである給電スポット群における充電中及び充電待ちの前記車両の充電終了までの時間である予定待ち時間を含んでおり、
前記制御部は、前記車両の前記第一給電スポットから前記給電スポット群の各前記給電スポットまでの予想移動時間を算出し、
前記給電スポット群のすべての前記給電スポットの混雑度が各前記給電スポットに対応した所定値以上である場合は、各前記給電スポットのうち、前記予定待ち時間と前記予想移動時間との差が最も少ない前記給電スポットまで到達するために必要な電力を前記目標充電量に設定し、前記二次電池の充電量が前記目標充電量となると充電を停止するように制御する、請求項1から3のいずれかに記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、公共の給電スポットを利用する電動車両の制御と運用に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両の普及とともに、自宅以外で一般の利用者が出先で充電できる公共の給電スポットが普及している。ただし、ある地域内の自動車需要によっては、給電スポットの数は全ての電動車両の電力需要を完全に賄えるほどとは限らない。このため、給電スポットで給電待ちが生じることがあり、出先での給電待ちによって走行が制限されることがある。
【0003】
一方、エンジンと二次電池の両方を搭載したハイブリッド車が普及している。ハイブリッド車であれば、エンジンによる自己発電によって二次電池を充電することで、給電スポットによらない補充ができる。例えば特許文献1には、目的地にある充電器(給電スポット)が利用できない状況に備えて、エンジンによって発電される充電率を向上させて、電力欠乏を回避する方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-123267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、環境対策としてエンジンの稼働が法的に禁止される禁止区域が設定されている場合もある。このような禁止区域を通過する場合はハイブリッド車であってもエンジンからの充電ができず、給電スポットのリソースの確保が走行にあたって必須となる。だがこのような給電スポットのリソースを各車両が個々に獲得しようとすると、エリア全体で電力供給が追い付かなくなることは避けられない。このため、給電スポットのリソースをいかに好適に共有するかが課題となる。
【0006】
そこでこの発明は、多数の電動車両が公共の給電スポットを共有して充電を行う状況において、エリア全体での各車両の充電待ち時間を抑制し、交通の円滑化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、
車両の駆動輪を駆動させるモータと、前記モータに給電可能であり外部電源から充電され得る二次電池と、前記車両を制御する制御部と、排ガスの排出を禁止する禁止区域の情報を含む地図情報を得る地図情報取得部と、前記地図情報における目的地までの予定走行ルートを指定するルート指定部と、前記車両の現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、サーバとの間で通信する通信部を有する電動車両であり、
前記制御部は、
前記車両が、前記禁止区域内に設けられ前記外部電源を有する第一給電スポットにおいて充電されている際に、前記通信部を介して、前記サーバから、前記禁止区域内に設けられた複数の給電スポット、及び前記予定走行ルート上における前記目的地と前記禁止区域との間にある第二給電スポットの混雑情報を受信し、前記禁止区域内に設けられた複数の給電スポットの混雑度が第一所定値以上であって、前記第二給電スポットの混雑度が第二所定値未満である場合には、前記第二給電スポットまで到達するために必要な電力量を目標充電量とし、前記二次電池の充電量が前記目標充電量となると充電を停止するように制御する電動車両とする第一の解決手段により、上記の課題を解決した。
【0008】
また、この発明にかかる電気自動車は、第一の解決手段に加えて、
前記制御部は、
前記禁止区域内に設けられた複数の給電スポットの混雑度が前記第一所定値X以上であって、前記第二給電スポットの混雑度が前記第二所定値以上であって、前記予定走行ルート上にある第二給電スポットより前記目的地側に位置する第三給電スポットの混雑度が第三所定値未満である場合は、前記第三給電スポットまで到達するために必要な電力量を前記目標充電量とし、前記二次電池の充電量が前記目標充電量となると充電を停止するように制御する、第二の解決手段を採用できる。
【0009】
さらに、この発明にかかる電気自動車は、第二の解決手段に加えて、
前記制御部は、
前記第三給電スポットまで到達するために必要な電力量を前記目標充電量として充電している間に、前記第二給電スポットの混雑度が前記第二所定値未満となった際、その時点で前記第二給電スポットまで到達するために必要な電力量が前記二次電池に充電されている場合はその時点で充電を停止するように制御し、その時点で前記第二給電スポットまで到達するために必要な電力量が前記二次電池に充電されていない場合は前記目標充電量まで充電する、第三の解決手段を採用できる。
【0010】
さらにまた、この発明にかかる電気自動車は、第一から第三のいずれかの解決手段に加えて、
前記制御部は、
前記禁止区域内から前記目的地までの間の前記予定走行ルート上にあるすべての前記給電スポットの混雑度が各前記給電スポットに対応した所定値以上である場合は、前記外部電源に接続し前記二次電池の充電を開始したときに設定された前記目標充電量まで充電するように制御する、第四の解決手段を採用できる。
【0011】
さらにまた、この発明にかかる電気自動車は、第一から第三のいずれかの解決手段に加えて、
前記混雑情報には、前記禁止区域内から前記目的地までの間のすべての前記給電スポットである給電スポット群における充電中及び充電待ちの前記車両の充電終了までの時間である予定待ち時間を含んでおり、
前記制御部は、前記車両の前記第一給電スポットから前記給電スポット群の各前記給電スポットまでの予想移動時間を算出し、
前記給電スポット群のすべての前記給電スポットの混雑度が各前記給電スポットに対応した所定値以上である場合は、各前記給電スポットのうち、前記予定待ち時間と前記予想移動時間との差が最も少ない前記給電スポットまで到達するために必要な電力を前記目標充電量に設定し、前記二次電池の充電量が前記目標充電量となると充電を停止するように制御する、第五の解決手段を採用できる。
【発明の効果】
【0012】
この発明にかかる電動車両によれば、充電中の給電スポットが混雑して充電待ちが発生しているような場合に、その時点で充電している電動車両を満充電させるのではなく、予定走行ルート上の先にある別の給電スポットまで行けるだけの電力量を確保した段階で充電を打ち切って発車できるようにすることで、その時点で混雑している給電スポットを速やかに空けられるようになる。これにより、給電スポットの充電待ちを全体として減らすことができ、その給電スポットのあるエリアでの円滑な電動車両の運用ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明にかかる電動車両の実施形態と周辺状況を示す概念図
図2図1の周辺側の機能ブロック図
図3】(a)この発明にかかる電動車両を運用している状況例図、(b)(a)から状況が変化して中途段階で充電を停止して発車する際の状況例図
図4】この発明にかかる電動車両が予定待ち時間を活用する状況例図
図5】この発明にかかる電動車両を利用するためのエリアサーバの処理フロー図
図6】この発明にかかる電動車両を利用するための給電スポットの処理フロー図
図7】この発明にかかる電動車両がシステムを利用する処理フロー例図
図8】この発明にかかる電動車両を利用するための予定待ち時間を含む場合の給電スポットの処理フロー図
図9】この発明にかかる電動車両が予定待ち時間を含む場合のシステムを利用する処理フロー例図
図10図9の分岐フロー例図
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の実施形態を図1に示す概念図と、図2に示す機能ブロック図とを用いて説明する。この発明にかかる電動車両1は、車輪の駆動輪を駆動させるモータ13と、モータに給電可能であり外部から充電され得る二次電池12と、二次電池12への充電を制御する制御部20と、サーバとの間で情報を通信する通信部14を有する。なお、電動車両1は、エンジンを有するハイブリッド車であってもよい。ただし、ハイブリッド車である場合は、エンジンによって発電される電力によって充電されるだけではなく、後述する給電スポット61の給電スタンド(外部電源)に接続可能であり給電スタンドから二次電池12へ電力供給可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)である必要がある。また、図示しないものの、二次電池12は外部へ給電する外部給電も可能であってもよい。
【0015】
制御部20は、半導体演算装置とメモリを有し、アクセル等の操作装置の操作による出力要求を受けて、モータ13等の稼働指示や出力要求等の命令を送るとともに、各部位からデータを取得する。制御部20は記憶されたプログラムの実行によって実現する機能や、専用の回路による機能として、下記の各部を有する。
【0016】
制御部20は、GPS等の衛星測位システムに対応したアンテナからの情報により、位置情報を取得する位置情報取得部21を有する。
【0017】
制御部20は、地図情報を得る地図情報取得部22を有する。この地図情報を元に後述する予定走行ルートを確認する。また、地図情報には、排ガスの排出を禁止する禁止区域の情報が含まれている。これらの地図情報を取得するための取得元は、電動車両1が有するカーナビゲーションソフトとして保持する地図情報データベースに記録されたものでもよいし、移動体通信網へ接続する通信部14を介して適宜ダウンロードされるものでもよい。
【0018】
制御部20は、前記地図情報における予定走行ルートを利用者からの入力によって指定するルート指定部23を有する。制御部20は、タッチパネルなどの入力装置を介して、ルート検索機能によるルート候補を提示した上での選択や、利用者による手入力などにより、行先を含む予定走行ルートについての指示を受け取り、予定走行ルートを指定して、メモリに登録する。
【0019】
この電動車両1は、予定走行ルート上、もしくは予定走行ルート付近にある給電スポット61に立ち寄って充電を行うことが可能である。一つの給電スポット61には一つ又は複数基の給電スタンドがあり、そのいずれかを選択して電動車両1を接続し、充電を行う。給電スポット61は、エリアサーバ52と通信可能であり、エリアサーバ52から使用の予約を受け付けたり、エリアサーバ52へ給電スタンドの使用状況(混雑情報)を通知することが可能である。
【0020】
給電スポット61は、エリアサーバ52と通信するための通信部62を有する。通信部62は、有線インターフェースでもよいし、移動体通信網を使った無線インターフェースでもよい。また、給電スポット61の各給電スタンドは、電動車両1の充電部15(接続端子)に接続される給電部64(接続端子)を一つ又は複数有する。また、給電スポット61は、予約受付部65を有することが好ましい。予約受付部65は、エリアサーバ52からの情報や給電スポット61内の装置の操作により充電の予約を受け付ける。例えば、利用者のスマートフォン71の操作により予約情報がエリアサーバ52へ送信され、エリアサーバ52から給電スポット61へ指示を出す等すればよい。また、給電スポット61内の装置のボタン等の操作によって予約を受け付けてもよい。充電の予約は、全ての給電部64が使用されて電動車両1(他車)に対して充電が行われている際に、他車の充電が終了した給電部64への電動車両1(自車)の接続の順番を予約するものである。
【0021】
さらに、給電スポット61は、上記の機能を管理するための給電制御部63を有する。また、給電スポット61は、エリアサーバ52から予約情報等を受け取る通信部62を有する。さらに、給電制御部63は、充電中の電動車両1の二次電池12の充電量が目標充電量となるように、各給電部64からの放電量を制御する。
【0022】
次に、サーバ側の構成について説明する。図2に示す実施形態では集約サーバ51とエリアサーバ52とに機能を分担させた構成を例として説明する。エリアサーバ52は、給電スポット61が設けられたエリア毎に設けられ、給電スポット61と通信して給電スポット61の混雑状況を把握し、必要な情報を集約サーバ51へ送る。集約サーバ51は各エリアサーバ52からの情報を集めて管理するとともに、給電スポット61の予約システムのインターネットへの提供をはじめとする、外部との情報の管理を行い、必要な情報を各エリアサーバ52へ送る。
【0023】
エリアサーバ52は、所定のエリア内の単数若しくは複数の給電スポット61の使用状況と、予約状況とを受信して管理する使用情報管理部53を有する。ここで給電スポット61から送られてくる予約状況は、上記の予約受付部65で受け付けた充電予約の件数や予想される電力量、それに必要な充電時間などのデータが含まれているとよい。エリアサーバ52は、集約サーバ51がネットワーク経由で受け付けた給電スポット61の充電予約を受信し、混雑状況を把握する混雑情報管理部55を有するとよい。
【0024】
一方、集約サーバ51は、インターネットを介して利用者のスマートフォン71や、電動車両1の通信部14、及び予約受付部65から、給電スポット61での充電を予約する旨の充電予約を受け付けるネット予約受付部54を有するとよい。
【0025】
また、集約サーバ51は、電動車両1の通信部14から各電動車両1の現段階での二次電池12の充電率や、周辺道路の渋滞状況などの情報を受け取る情報集約部56を有する。
【0026】
また、集約サーバ51は、各エリアサーバ52から受け取ったそれぞれの給電スポット61の混雑状況を、電動車両1へ送信する情報送信部57を有する。ここで送信するのは現時点でその電動車両1が位置しているエリアの給電スポット61の混雑状況だけでなく、その電動車両1の予定走行ルート上にある先のエリアの給電スポット61の混雑状況も必要に応じて送信する。
【0027】
サーバについての上記の構成は一例であり、エリアサーバ52と集約サーバ51が有する機能の分担はこの例に限定されるものではない。たとえば、これらのサーバがクラウド上にまとめて展開されるものでもよいし、単一のサーバ群によって運用されるものでもよいし、異なる分担の仕方をしたサーバの組み合わせでもよい。
【0028】
電動車両1の制御部20は、集約サーバ51から給電スポット61の混雑状況の情報を受け取って、エリア全体での充電混雑を緩和するように制御を行う。
【0029】
制御部20が行う制御は、次のような方式による。電動車両1は、予定走行ルート上の禁止区域にて、給電スポット61(A)(第一給電スポット)に駐車するとともに給電部64に接続して、目標充電量まで充電を開始する。目標充電量は、満充電以下の充電量に利用者が適宜設定可能である。給電スポット61の給電制御部63は、給電スポット61の各給電部64がどの程度使用されているか(電動車両1に接続されているか)を把握できる。また、エリアサーバ52の混雑情報管理部55は、予約受付部65からの予約や、ネット予約受付部54からの予約情報も受け付け、当該給電スポット61の混雑度を把握する。エリアサーバ52(A)は、禁止区域内の全ての給電スポット61の混雑度を平準化して、混雑度の判断に用いる。
【0030】
電動車両1は、禁止区域内の給電スポット61(A)と、禁止区域より目的地側の予定走行ルート上の給電スポット61(B)(C)・・・について、混雑度を受信する。例えば、通信部14を介して集約サーバ51から混雑度を受信する。電動車両1が駐車している給電スポット61(A)又は禁止区域内の全ての給電スポット61の混雑度を平準化した混雑度が所定の値X(第一所定値X)以上である場合、混雑度が高すぎるため早急に給電スポット61(A)に空きを生じさせることが望ましいという事態となる。このときに、予定走行ルート上の禁止区域外の次の給電スポット61(B)(第二給電スポット)の混雑度が所定の値Y(第二所定値Y)未満である場合に、電動車両1は当初設定していた目標充電量(例えば満充電)までの充電完了を待たずして、次の給電スポット61(B)を目標充電スポットに設定し、目標充電スポットまで到達するために必要な電力量を確保した中途段階で充電を停止するように制御する。すなわち、目標充電量を目標充電スポットまで到達するために必要な電力量に低下させる。ここで次の給電スポット61(B)まで到達するために必要な電力量は、地図情報上における次の給電スポット61(B)までの距離や道路状況(勾配等)等から電動車両1の制御部20が算出すればよい。目標充電量を低下させる際は、その旨の通知を利用者のスマートフォン71等に表示して、利用者に決定させるものとしてもよい。給電スポット61(B)までは到達できる電力量は確保されているので、混雑している給電スポット61(A)を抜けて、充電が混雑していないであろう給電スポット61(B)まで到達して再度充電を行うことができるので、全体としてリソースが効率的に使われ、混雑が緩和される。
【0031】
しかし、給電スポット61(A)又は禁止区域内の全ての給電スポット61の混雑度を平準化した混雑度が所定の値X以上である場合であって、予定走行ルート上の次の給電スポット61(B)の混雑度が所定の値Y以上である場合には、給電スポット61(B)も混雑しているということであり、給電スポット61(B)までの電力量のみを充電したのでは、次の充電前に電力量が尽きてしまう。この場合、予定走行ルート上のさらに先の給電スポット61(第三給電スポット)の中で、混雑度が所定の値Y未満である給電スポット61を目標充電スポットとする。図では、給電スポット61(C)として示しているが、給電スポット61(C)も混雑度が所定の値Y以上であったら、さらに次の給電スポット61(D)、(E)・・について混雑度を判断し、混雑度が所定の値Y未満の給電スポット61を目標充電スポットとし、目標充電スポットまで到達できる電力量を充電した段階で充電を停止するように制御する。
【0032】
もし、予定走行ルート上のどの給電スポット61も混雑度が所定の値Y以上である場合には、現在充電中の電動車両1の充電を途中で切り上げさせても充電できる見込みがないということであり、充電を中途段階で停止させることなく、最大充電量まで充電させるとよい(目標充電量を変更しない)。
【0033】
ただし、給電スポット61の利用状況は刻刻と変化するため、遠距離の給電スポット61(C)や目的地までの電力量を確保しようと充電している最中であっても、それより手前の給電スポット61(例えば給電スポット61(B))の混雑度が所定の値Y未満にまで緩和される事態は当然に起こりうる。電動車両1の制御部20は、定期的に混雑度の情報を受け取り、その時点で目標充電スポットに設定している給電スポット61(C)よりも手前の給電スポット61(B)の混雑度が所定の値Y未満となったことを確認したら、現在の二次電池12の充電量が給電スポット61(B)に到達できる電力量にあるか否かを確認し、給電スポット61(B)まで到達できる電力が既に充電されているのであれば、充電を停止するように制御するとよい。このとき、充電を停止すること及び給電スポット61(B)まで到達可能であることの通知を利用者のスマートフォン71等に表示することが好ましい。
【0034】
図3に示す状況例を用いて説明する。直線上の1目盛り分を走行するのに、電動車両1が有する充電量1目盛りの電力が必要であるとする。給電スポット61(B)と61(C)はそれぞれ給電部64を2枠有する。図3(a)の段階では次の給電スポット61(B)の給電部64は2枠とも使用され、さらに1両の予約が入っている。一方で、給電スポット61(C)の給電部64は2枠あるうちの1枠だけが使用されている。給電スポット61(A)の枠は1つであり、電動車両1(自車)が給電を受けており、さらに一両(他車)が待機している。この状況では、制御部20は、混雑度が低い給電スポット61(C)を目標給電スポットに設定し、給電スポット61(C)までの電力量3目盛り分までの充電を目標充電量とし、3目盛り分まで充電できたら充電を停止するように制御を開始する。
【0035】
ところが、その後、給電スポット61(B)で充電していた2両が充電を終了して給電部64を開放し、予約していた次の1両のみが給電部64を使うようになると、図3(b)のように、給電スポット61(B)は1枠が空くことになる。このように、混雑度が変化した旨の情報を受け取った電動車両1の制御部20は、次の給電スポット61(B)まで行けばそこで充電が可能になると判断し、現在の充電量が次の給電スポット61(B)までの電力量、すなわち電力量1目盛り分まで充電できているか否かを確認する。この例では、この段階ですでに電力量2目盛り分まで充電できているので、制御部20はすぐに充電を停止し、ただちに発車して給電スポット61(B)へ向かうように利用者に通知する。こうすると給電スポット61(A)の給電部64が1枠開放され、予約していた別の電動車両が充電を受けることができるようになり、全体として充電待機していた混雑状況が解消される。
【0036】
混雑度が所定の値X,Y以上であるか未満であるかによってこれらの制御部20は判断を変える。この混雑度は、運用基準によって適宜設定されるとよい。現時点で充電している給電スポット61(A)を開ける必要があるか否かは、禁止区域内の全ての給電スポット61の充電予約を平準化して充電予約が1件以上入っているか否かによって判断することが基準として挙げられる。一方、走行先である給電スポット61(B)(C)の混雑度は、枠が1つ以上空いているか否かによって判断することが基準として挙げられる。空き枠が0であれば充電予約が0であっても混雑度が所定の値Y以上とし、空き枠が1以上であれば混雑度が所定の値Y未満とする、という運用が挙げられる。
【0037】
このような運用をベースにしつつ、混雑度とはさらに別の要素を加えることで、より円滑な運用を行うことができる。別の要素とは、例えば電動車両1が次の給電スポット61(B)やさらに次の給電スポット61(C)に到達するまでの到達時間と、給電スポット61(B)や給電スポット61(C)の予定待ち時間である。
【0038】
この例では、電動車両1の制御部20は、次の給電スポット61(B)やさらに次の給電スポット61(C)(禁止区域と目的地との間の給電スポット61)まで到達できる電力量まで充電するための充電時間を算出する充電時間算出部を有する。充電時間算出部は、現在の二次電池12の電力量と、各給電スポット61(B)、(C)まで到達できる電力量とに基づいて充電時間を算出すればよい。また、制御部20は、現在地(給電スポット(A))から各給電スポット61(B)、(C)まで走行して到達するまでの予想移動時間を算出する予想移動時間算出部を有する。予想移動時間算出部は、現在地(給電スポット(A))から各給電スポット61(B)、(C)までの距離に基づいて算出すればよい。充電時間と予想移動時間との和が、給電スポット61まで到達するための到達時間となる。
【0039】
次の給電スポット61(B)やさらに次の給電スポット61(C)(禁止区域と目的地との間の給電スポット61)に対応するエリアサーバ52(B)、(C)の混雑情報管理部55は、給電部64に接続されている電動車両1、及び充電予約している電動車両1の充電完了までの時間を算出する充電完了時間算出部を有する。充電完了時間算出部は、給電部64に接続されている電動車両1の充電完了までの時間は、給電部64に接続されている電動車両1の現在の二次電池12の電力量と目標充電量に基づいて算出すればよい。給電部64に接続されている電動車両1の現在の二次電池12の電力量と目標充電量は、電動車両1から給電部64を通して有線で、又は電動車両1の通信部14を通して無線で情報を取得すればよい。充電予約している電動車両1の充電完了までの時間は、現在の二次電池12の電力量と目標充電量に基づいて算出すればよい。現在の二次電池12の電力量と目標充電量は、予約時に電動車両1の通信部14を通して無線で情報を取得すればよい。給電部64に接続されている電動車両1のうち最も短い充電完了時間に、予約順位の最も早い電動車両1の充電完了を足し合わせた値、給電部64に接続されている電動車両1のうち二番目に短い充電完了時間に、予約順位が二番目の電動車両1の充電完了を足し合わせた値、を算出し、この値の最も小さい値が給電スポット61全体の予定待ち時間となる。
【0040】
そして、禁止区域内の全ての給電スポット61の混雑度を平準化した混雑度が所定の値X以上、かつ禁止区域と目的地との間の給電スポット61の混雑度が所定の値Y以上である場合、制御部20は、各エリアサーバ52から予定待ち時間を取得し、予定待ち時間と到達時間の差が最も小さい給電スポット61を目標充電スポットとし、目標充電スポットに基づいて目標充電量を設定する。
【0041】
上記例の運用を、図4を用いて説明する。給電スポット61(B)は2枠が充電中で1両が充電待機している。一方、給電スポット61(C)は2枠が充電中であり、充電待機している車両はない。給電スポット(B)では1両目の充電があと10分で終わり、待機している車両の充電が開始されて待機車両が0になる。続いて2両目の充電が25分後に終わる。待機している車両の充電時間は40分であり、1両目の充電の終了と併せて50分後に充電が終了する。一方、給電スポット61(C)では1両目の充電があと30分で終わり、2両目の充電があと50分で終わる。給電スポット(A)で充電中の電動車両1は、給電スポット(B)に対する充電時間は10分であり、予想移動時間は10分である。給電スポット(C)に対する充電時間は15分であり、予想移動時間は20分である。
【0042】
このとき、給電スポット(B)の充電待ち時間は25分であり、給電スポット(C)の充電待ち時間は30分である。一方、電動車両1の給電スポット(B)への到達時間は20分であり、給電スポット(C)への到達時間は35分である。充電待ち時間と到達時間の差は、給電スポット(B)は5分であり、給電スポット(C)は‐5分である。よって、充電待ち時間と到達時間の差が小さい給電スポット(C)が目標給電スポットに設定される。
【0043】
このように、最も予定待ち時間が少ない給電スポットに到達するまでに必要な電力を確保した中途段階で充電を停止するようにすると、その分だけ給電スポット61(A)の枠を空けられる時間を早めることができるとともに、中途段階で充電を停止した電動車両1の次の充電の待ち時間も短くすることができる。
【0044】
この発明にかかる電動車両1とそれを利用するためのシステムの具体的な制御フロー例を説明する。まず、混雑情報の集約について説明する。図5はエリアサーバ52(A)が禁止区域内の混雑度についての情報を集める際のフロー例である。まず、エリアサーバ52(A)は、エリア内の全ての給電スポット61の通信部62から情報を受信し、充電待ち車両の台数Sallを取得する(S101)。具体的には、充電予約をしている待機車両が1両あるごとに数値を+1し、逆に給電部64に空き枠が1両分あるごとに数値を-1し、その総合計をSallとする。集計する充電予約は、それぞれの給電スポット61の予約受付部65で直接受け付けたものと、集約サーバ51経由で外部から予約されたものとの両方を含む。このSallが所定の台数(所定の値X)以上であれば(S102→Yes)、当該エリアの充電設備(外部電源)が混んでいると判断する(S103)。所定の台数未満であれば(S102→No)、当該エリアの充電設備が混んでいないと判断する(S104)。ここで所定の台数とは、例えば「1」と設定することが挙げられる。いずれの場合も、当該エリアの混雑情報として集約サーバ51に送信する(S105)。
【0045】
図6は、禁止区域外の給電スポット61(B)の混雑情報を集約サーバ51に集める際のフロー例である。給電スポット61(B)は、自身の充電待ち車両の台数Tallを取得する(S111)。具体的には、充電予約をしている待機車両が1両あるごとに数値を+1し、逆に給電部64に空き枠が1両分あるごとに数値を-1し、その総合計をTallとする。集計する充電予約は、それぞれの給電スポット61(B)の予約受付部65で直接受け付けたものと、集約サーバ51経由で外部から予約されたものとの両方を含む。このTallが所定の台数以上であれば(S112→Yes)、この給電スポット61(B)が混んでいると判断する(S113)。所定の台数未満であれば(S112→No)、この給電スポット61が混んでいないと判断する(S114)。ここで所定の台数とは、例えば「1」と設定することが挙げられる。いずれの場合も、当該給電スポット61(B)の混雑情報として集約サーバ51に送信する(S115)。給電スポット61(C)でも同様となる。
【0046】
続いて、電動車両1側の処理例を図7のフローとともに説明する。電動車両1がある禁止区域内の給電スポット61(A)で充電を開始する(S121)。その段階では満充電を目標とする。この状況で、定期的に集約サーバ51からスポット混雑情報を取得する。スポット混雑情報を取得した結果、エリア内の充電設備が混んでいない(S104)場合は(S122→No)、そのまま満充電まで充電する(S123)。ただし、満充電までの間に、スポット混雑情報が変化する可能性があるため、充電完了までは混雑情報の取得を継続する(S123→No→S122→)。充電が完了したら(S123→Yes)本制御を終了する(S199)。このとき、充電の終了をユーザに通知してもよい。
【0047】
スポット混雑情報を取得した結果、禁止区域内の充電設備が混んでいる(S103)場合(S122→Yes)、可能な限り速やかに給電スポット61(A)を空けられるための制御を行うことになる。そこで、予定走行ルート上の禁止区域と目的地との間にある給電スポット61(B)(C)・・・のスポット混雑情報を取得する(S131)。そのうち、最も近い給電スポット61(B)の混雑情報を確認する(S132)。混雑していない(S114)との情報であれば(S132→No)、給電スポット61(B)までの距離を地図情報から取得する(S141)。なお、ここで取得する距離とは直線距離ではなく道路に沿った距離である。その得た距離に応じて、必要と想定される電力量(B)を、目標充電量として設定しなおす(S142)。その上で、給電スポット61(B)まで走行できる電力が充電されるまで充電を進める(S143)。充電が完了したら(S143→Yes)本制御を終了する(S199)。
【0048】
一方、最も近い給電スポット61(B)が混雑している(S113)場合は(S132→Yes)、さらに次の給電スポット61(C)のスポット混雑情報を確認する(S151)。給電スポット61(C)も混雑しているとの情報であれば(S151→Yes)、先へ行っても充電できないということであるため、満充電を目標充電量としたままで充電を進める(S152)。充電が完了したら(S152→Yes)、本制御を終了する(S199)。
【0049】
さらに次の給電スポット61(C)が混雑していないとの情報であれば(S151→No)、給電スポット61(C)までの距離を地図情報から取得し(S161)距離に応じて必要と想定される電力量(C)を、目標充電量として設定しなおす(S162)。その上で、給電スポット61(C)まで走行できる電力が充電されるまで充電を進める(S163)。充電が完了したら(S163→Yes)本制御を終了する(S199)。
【0050】
ただし、給電スポット61(C)までの走行に必要な電力量が充電されるまでに状況が変わることがあるため、充電完了するまで(S163→No)給電スポット61(C)よりも近い給電スポット61(B)の混雑情報の取得を継続する。給電スポット61(B)が混雑したままであれば(S164→Yes)そのまま電力量(C)を目標に充電を継続する(S163)。一方で、給電スポット61(B)が混雑していないという情報に変わったら(S164→No)、給電スポット61(B)までの距離を地図情報から取得する(S165)。給電スポット61(C)よりも近い給電スポット61(B)を目標給電スポットに変更するため、この段階ではすでに給電スポット61(B)までの走行に必要な電力量が充電完了されている場合もある(S166→Yes)。この場合は、充電が完了したとしてユーザに通知し、本制御を終了する(S199)。給電スポット61(B)までの走行に必要な電力量に足りない場合は(S166→No)、再度電力量(C)を目標に充電を続ける(S163)。
【0051】
次に、スポット混雑情報が各給電スポット61における充電開始までの予定待ち時間を含む場合のフロー例を説明する。電動車両1が充電している給電スポット61(A)の混雑情報の把握のフローは図5と同様であるため、説明を省略する。次に、電動車両1の予定走行ルート上の給電スポット61(B)(C)・・・のスポット混雑情報の把握のフローを図8に示す。S211~のフローは基本的にS111~のフローと共通しているが、給電スポット61が混んでいると判断した(S213)以降の処理が異なる。各給電スポット61(B)(C)・・・において現時点で充電している電動車両1の充電率(SOC)を取得し、各車両の充電完了時間αを算出する(S215)。次に、その給電スポット61での充電を予約している電動車両1の充電率(SOC)を取得し、各車両の充電完了時間βを算出する(S216)。算出された時間αと時間βから、給電スポット61の予定待ち時間を算出する(S217)。
【0052】
こうして得られた混雑情報と、待ち時間とをまとめて、集約サーバ51に送信する(S218)。
【0053】
続いて、電動車両1側の処理例を図9のフローとともに説明する。基本的なS221~のフローは、図7のS121~からのフローとおおむね共通する。異なるのは、S251で給電スポット61(C)が混雑している(S251→Yes)ときの判断であり、ここがS152とは異なる。この異なる部位(S252-S253)のフローを図10に抜き出す。
【0054】
給電スポット61(B)までの距離を地図情報から取得した上で、給電スポット61(B)までの距離に応じて必要と想定される電力量(B)を、「給電スポット61(B)までの走行に必要な電力=SOC(B)」として設定する(S271)。続いて、目標となるSOC(B)まで充電するために必要な充電時間と、給電スポット61(B)まで走行するための予想移動時間を算出する(S272)。また、給電スポット61(B)の予定待ち時間を含んだスポット混雑情報をサーバから取得する(S273)。以上を踏まえて、給電スポット61(B)へ赴いて充電した場合の実効待ち時間TBを、予定待ち時間から「充電時間+予想移動時間」を減算して算出する(S274)。この実効待ち時間TBとはすなわち、そこに行くまでに必要な分の充電を終えて給電スポット61(B)へ赴いた後で、無為に待つことになる時間である。
【0055】
同様に、給電スポット61(C)までの距離を地図情報から取得した上で、給電スポット61(C)までの距離に応じて必要と想定される電力量(C)を、「給電スポット61(C)までの走行に必要な電力=SOC(C)」として設定する(S281)。S282~S284でもS272~S274から同様の手順で、給電スポット61(C)に行くまでに必要な分の充電を終えて給電スポット61(C)へ赴いた後で、無為に待つことになる時間である実行待ち時間TCを算出する(S284)。
【0056】
そのうえで、TBとTCを比較する(S291)。TCの方が大きい場合(S291→Yes)、給電スポット61(B)へ向かって充電する方が実効待ち時間が短く効率的であるので、給電スポット61(B)へ向かうのが望ましいということになる。このため、SOC(B)までの充電が終わったら中途段階で充電を停止し(S292)、充電完了したとして通知して利用者に発車を促す(S253→S299)。逆にTCの方が小さい場合(S291→No)、給電スポット61(C)へ向かって充電する方が実効待ち時間が短く効率的であるので、給電スポット61(C)へ向かうのが望ましいということになる。このため、SOC(C)までの充電が終わったら中途段階で充電を停止し(S293)、充電完了したとして通知して利用者に発車を促す(S253→S299)。
【0057】
本実施形態の電動車両によれば、禁止区域内の給電スポット61(A)が混雑した場合に、充電中の電動車両1の二次電池12の目標充電量を禁止区域外の給電スポット61(B)まで走行可能な充電量に変更するので、給電スポット61(A)での充電時間を短縮し混雑を緩和することができる。このとき、禁止区域内の給電スポット61(A)の混雑具合を平準化した値に基づいて目標充電量を変更するかを判断するので、電動車両1(自車)が充電中の給電スポット61(A)の近くの給電スポット61が混雑し、待ち車両が電動車両1(自車)が充電中の給電スポット61(A)へ訪れる可能性も考慮することができる。また、禁止区域外の給電スポット61(B)まで走行可能な充電量までは充電するため、途中で走行不能となることを抑制できる。このとき、禁止区域外の給電スポット61(B)が混雑していない場合に目標充電量を変更するので、禁止区域外の給電スポット61(B)で充電待ちの時間が長くなることを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態の電動車両によれば、禁止区域外の給電スポット61のうち、最も禁止区域に近い給電スポット61(B)が混雑している場合は、次に禁止区域に近い給電スポット61(C)の混雑度を確認し、給電スポット61(C)が混雑していない場合は給電スポット61(C)まで走行可能な充電量を目標充電量とする。これにより、給電スポット61(A)で充電中の電動車両1の次の給電スポット61(C)での待ち時間を極力短くしつつ、給電スポット61(A)での充電時間を短縮することができる。
【0059】
また、本実施形態の電動車両によれば、給電スポット61(C)まで走行可能な充電量を目標充電量としての充電中に給電スポット61(B)の混雑度が緩和した場合は、その時点(給電スポット61(B)の混雑度が緩和した時点)での二次電池12の充電量が給電スポット61(B)まで走行可能な充電量である場合は、その時点で充電を停止する。給電スポット61(B)の混雑度が緩和した時点ですぐに出発して給電スポット61(B)に到達できるのであれば、給電スポット61(B)での充電待ちの時間は短いと考えられるので、この時点で給電スポット61(A)での充電を切り上げることで、給電スポット61(A)での充電時間を短縮するとともに給電スポット61(B)での待ち時間を短くすることができる。
【0060】
また、本実施形態の電動車両によれば、禁止区域と目的地との間の全ての給電スポット61(B)、(C)が混雑している場合は、給電スポット61(A)での充電開始時の当初の目標充電量で充電する。これにより、給電スポット61(B)、(C)で充電待ちの時間が長くなる場合は目標充電量を変更せず、当初の予定通りの走行を行うことができ、先に給電スポット61(A)で充電していた電動車両1が後の車両のために不利益を被ることを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態の電動車両によれば、禁止区域と目的地との間の全ての給電スポット61(B)、(C)が混雑している場合は、予定待ち時間と予想移動時間との差が最も少ない給電スポット61まで走行可能な充電量に目標充電量を変更する。これにより、最も充電待ちの時間が短くなる給電スポット61まで到達できる充電量まで充電して給電スポット61(A)での充電を切り上げ、給電スポット61(A)での充電時間を短縮するとともに、次の給電スポット61での待ち時間を短くすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 電動車両
12 二次電池
13 モータ
14 通信部
15 充電部
20 制御部
21 位置情報取得部
22 地図情報取得部
23 ルート指定部
51 集約サーバ
52 エリアサーバ
53 使用情報管理部
54 ネット予約受付部
55 混雑情報管理部
56 情報集約部
57 情報送信部
61 給電スポット
62 通信部
63 給電制御部
64 給電部
65 予約受付部
71 スマートフォン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10