(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014583
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】剥離用爪付きテープカッター
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20240125BHJP
B26D 1/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65H35/07 B
B26D1/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117521
(22)【出願日】2022-07-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】509078551
【氏名又は名称】株式会社マイスターズインク
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正人
【テーマコード(参考)】
3C027
3F062
【Fターム(参考)】
3C027DD02
3C027DD03
3C027DD08
3F062BA02
3F062BD05
3F062BD08
3F062BG01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、巻装された粘着テープを所望する長さに簡単に切るテープカッターであって、安定した切断を容易にすることを可能とするのみならず、特に、粘着テープの先端が貼り付いてしまい取り出し難い先端を簡単にはがすことができる剥離用の爪が付いたテープカッターの提供を課題とするものである。
【解決手段】本発明は、片面の全部又は一部に粘着剤が塗布され芯材(S)に巻装された粘着テープ(T)を剥離して切り取るためのテープカッターであって、被覆部(10)と保持部(20)から成り、前記保持部(20)は、前記芯材(S)の開口穴(K)を利用して前記被覆部(10)を前記粘着テープ(T)に装着する装着機能を備え、前記被覆部(10)には、前記粘着テープ(T)を切り取るための切取刃(30)と該切取刃(30)と反対方向へ向かう前記粘着テープ(T)を剥離するための剥離爪(40)を有する構成を採用した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に粘着剤が塗布され芯材(S)に巻装された粘着テープ(T)を剥離して切り取るためのテープカッターであって、
被覆部(10)と保持部(20)から成り、
前記保持部(20)は、前記芯材(S)の開口穴(K)を利用して前記被覆部(10)を前記粘着テープ(T)に装着する装着機能(50)を備え、
前記被覆部(10)には、前記粘着テープ(T)を切り取るための切取刃(30)と該切取刃(30)と反対方向へ向かう前記粘着テープ(T)を剥離するための剥離爪(40)を有していることを特徴とする剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項2】
前記剥離爪(40)を前記粘着テープ(T)の周方向外側から内側に向かって押し付ける押し当て機能(60)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項3】
前記装着機能(50)と前記押し当て機能(60)が素材の弾性特性又は弾性部材(51)を利用するものであることを特徴とする請求項2に記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項4】
前記剥離爪(40)が前記芯材(S)の軸心方向に対して傾斜角(θ)を有して設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項5】
前記剥離爪(40)が、前記芯材(S)の軸芯方向に対して平行且つ中心近傍が巻装される前記粘着テープ(T)の外周方向に向かって突出した形状を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項6】
前記剥離爪(40)が、前記粘着テープ(10)の軸芯方向に対して平行且つ両側が巻装される前記粘着テープ(T)の外周方向に向かって突出した形状を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離用の爪の付いたテープカッターに関し、詳しくは、片面の全体又は一部に粘着剤が塗布され、ロール状に巻装された長尺な粘着テープにおいて、表面に貼り付いて取り出し難くなった先端を簡単に捲ることができ、所望する長さに自由に切り取れることを可能にする剥離用爪付きテープカッターの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
付箋紙は様々な場面で活躍する便利な商品として確立され、特に事務用品として付箋紙は欠かせない存在となり、用途に合わせて様々な商品の開発がなされている。しかし、現在市販されている付箋紙は、決まったサイズや形が積層されたものが大半を占め、目的や用途に合わせて選択できるようにするためには、複数の異なった付箋紙を予め揃えておく必要がある。また、短冊状に積層した構成であると、一枚だけ必要なところ、複数枚剥がし取ってしまうこともある。従って、所望するサイズの付箋紙を何時でも、且つ安易に得られる付箋紙が求められている。
【0003】
係る要求を満たすものとして、ロール付箋紙が存在する。ロール付箋紙は、長尺な付箋紙が芯に巻き付けられてロール状となり、用途に応じて必要な長さに切断して使用することが可能であり大変便利である。しかし、ロール付箋紙をセロテープ(登録商標)等で用いられるようなホルダーに収め、付箋紙を所望するサイズで切断しようとすると、上手く切断することができない。なぜなら、粘着力が極めて強いセロテープ(登録商標)の場合であれば、所望のサイズの長さ分をホルダーから引き出し、カッター部分で固定されることで綺麗に切断できるが、付箋紙の場合では粘着力が低いため十分な固定ができず、カットする際ロール部分が動いてしまい、切り口が幅方向に対して斜めになってしまうことがあるからである。そのため、ロール状の付箋紙を安定してカットできるテープカッター等に関する技術も必用となる。
【0004】
また、所望する長さに付箋紙をカットする際に、引き出す端辺も粘着剤により貼り付いてしまい、爪を使って剥がさなくてはならないという問題がある。係る問題が発生すると、忙しい仕事中にいちいち端辺を爪で剥がさなければならず、ストレスを生じさせる原因となる。そこで、所望する長さに自由にカットできることのみならず、簡単に貼り付いた端辺を捲り取ることができる用具が求められているといえる。係る要求はマスキングテープやクラフトテープなどの多くの粘着テープ類にも存在しているものである。近年、多彩な色や模様が施されたマスキングテープが提供されるようになり、これを装飾に利用する態様が静かな流行となっており、係る要求への対応技術の提供は急務といえる。更に、粘着カーペットクリーナーを使用した後にシートを一枚剥離する際、自分の爪で汚れたシートを剥がすことに抵抗を感じる人も多く、不衛生であることはいうまでもない。即ち、これらの巻装される粘着テープには、同様の問題として解決しなければならない課題がある。
【0005】
このような問題に鑑みて、従来からも、種々の技術提案がなされている。例えば、発明の名称を「台紙付き付箋紙ディスペンサー」とする技術が開示されている(特許文献1参照)。具体的には、「基台にロール付箋体を支持させてなり、簡易な 構造で廉価に製造できる台付きフセンディスペンサーを提供する。」ことを課題とし、解決手段を「表側に仮留め面を有する平坦な基台と、片面に粘着層を有する付箋が切り離し線を介して連続する付箋シートを含み、このフセンシートが軸部の回りに巻装されてなる筒状のロール付箋体と、上記基台に取り付けられ、ロール付箋体を回転可能に支持する支持体とを具備する。ロール付箋体は、仮留め面と隣り合わせに、上記基台の表側に沿って横向きに支持されている。ロール付箋体から仮留め面の方向へ付箋シートを引き出した状態で、付箋シートの粘着層と、仮留め面とが向かい合うように構成されている。」というものである。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、仮止めするための平坦な基台を備える構成であり、付箋紙の先端をめくりやすくし、利用しやすくするという本発明の課題を解決するに至っていない。
【0006】
また、発明の名称を「マスキングテープのカッターケース」とする技術が開示されている(特許文献2参照)。係る発明は「マスキングテープを汚れが生じないように保護することができ、全長を無駄なく使用することが可能になり、しかもマスキングテープをマスキング作業の近くに一旦保管することができ、マスキング作業の能率を向上させることができるマスキングテープのカッターケースを提供すること」を課題とし、具体的には、「マスキングテープを出し入れ自在に収納し、周壁にマスキングテープの引き出し口と、この引き出し口の近傍に位置するカッターとを設けたケース本体の一方側面に磁石を取り付けることにより、マスキングテープを汚れが生じないように保護し、自動車に吸着させることによりマスキングテープをマスキング作業位置の近傍に仮置きできる。」というものである。しかしながらケースがマスキングテープ全体を被覆するため小型化しにくいものと考えられ、また、貼り付いた先端をめくりやすくし、利用しやすくするという本発明の課題を解決するに至っていない。
【0007】
特開2001-240297
また、発明の名称を「接着テープカッター」とする技術が開示されている(特許文献3参照)。係る発明は、「年老いてくると、老眼も進み手元が見えにくく、指先の力も弱くなってくる。そのとき梱包や包装の接着テープを剥がすのに難儀する。この時、端が折り返してあるテープは、剥がす場所が分かり易く、視力の衰えた者には触覚でも探し出せ、つかむのも楽であり、容易に剥がすことが出来る。これを普及さす為には、簡単に片手で折り返し摘みが出来る、テープカッターを創出しなければならない。」という課題の下、解決手段として「巻き取り部から繰り出されるテープの剥離開始部(1)と、カッター刃先(2)との間に、繰り出したテープをテープ裏面から表面へ向かって、突き上げる形にする突き上げ部(3)を、テープ巾(4)より小さい巾寸法(5)でテープを支持する形に設け、更にテープ接着で本体が固定させ易いベース張り出し部7を設ける。」というものである。しかしながら、特許文献3に記載の技術は、「繰り出したテープをテープ裏面から表面へ向かって、突き上げる形にする突き上げ部(3)を、テープ巾(4)より小さい巾寸法(5)でテープを支持する形に設け、更にテープ接着で本体が固定させ易いベース張り出し部7を設ける。」というものであることから構造が複雑であり、大きなディスペンサーが必要となる、これに対して本発明は極めてコンパクトといえ部品点数が少なくてすむなど相違し、また、粘着テープの先端を捲りやすくするという課題を解決する技術的手段が異なっている。
【0008】
また、本発明者は、発明の名称を「ロール付箋紙ディスペンサー」とする技術を発明し、既に特許を取得しており、その技術内容は開示されている。(特許文献4参照)。具体的には、「本発明は、よりコンパクト、軽量、簡易な構造、コストも抑え、且つ所望する長さで自由にきれいな切断ができるロール式付箋紙ディスペンサーの提供」を課題とするとするもので、解決手段は「ロール付箋紙を保持、引き出し、及び切り取りのためのディスペンサーであって、該ディスペンサーは、前記ロール付箋紙の外周部を覆う開口部を備えた断面が略C字型の筒状体に形成され、前記開口部はロール付箋紙を引き出すための引出部となり、該引出部の縁部にはロール付箋紙を切り取ることを可能とする切取部を有し、前記ディスペンサーの素材の有する弾性によりロール付箋紙を保持するとともに、ロール付箋紙の使用状態に応じ追従して形状を変化させる構成を採用した。」というものである。しかしながら、係る技術によっても、ロール型の付箋紙の先端がすぐに見つからず、また、先端をはがしにくくなる場合がある等、課題を残すものであった。
【0009】
このように、粘着テープを容易にカットできるテープカッターは数多く存在し、市販化されているものも散見される。また、粘着テープが貼り付かないように引き離した端辺を仮に貼着させておくディスペンサーも存在する。しかしながら巻装された粘着テープの外周面に貼り付いた粘着テープの端辺を捲ることができるテープカッター或いはディスペンサーは皆無である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2017-128341号
【特許文献2】特開2000-153951号
【特許文献2】特開2001-240297号
【特許文献4】特許第6887553号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、巻装された粘着テープを所望する長さに簡単に切るテープカッターであって、安定した切断を容易にすることを可能とするのみならず、特に、粘着テープの先端が粘着テープの外周面に貼り付いてしまい、取り出し難い先端を簡単にはがすことができる剥離用の爪が付いたテープカッターの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、片面に粘着剤が塗布され芯材に巻装された粘着テープを剥離して切り取るためのテープカッターであって、被覆部と保持部から成り、前記保持部は、前記芯材の開口穴を利用して前記被覆部を前記粘着テープに装着する装着機能を備え、前記被覆部には、前記粘着テープを切り取るための切取刃と該切取刃と反対方向へ向かう前記粘着テープを剥離するための剥離爪を有している構成を採用した。
【0013】
また、本発明は、前記剥離爪を前記粘着テープの周方向外側から内側に向かって押し付ける押し当て機能を備えているものである構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明は、前記装着機能と前記押し当て機能が素材の弾性特性又は弾性部材を利用する構成を採用することもできる。
【0015】
また、本発明は、前記剥離爪が前記芯材の軸心方向に対して傾斜角を有して設けられている構成を採用することもできる。
【0016】
また、本発明は、前記剥離爪が、前記芯材の軸芯方向に対して平行且つ中心近傍が巻装される前記粘着テープの外周方向に向かって突出した形状を備えている構成を採用することもできる。
【0017】
また、本発明は、前記剥離爪が、前記粘着テープの軸芯方向に対して平行且つ両側が巻装される前記粘着テープの外周方向に向かって突出した形状を備えている構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る剥離用爪付きテープカッターによれば、剥離爪が巻装された粘着テープの軸心方向に向かう側へ傾斜角を有する剥離爪を備えていることから、テープの先端が貼り付いて剥がれにくいというトラブルにおいても、当該先端を剥離爪で捲ることができるので、指先で掴みやすくなりロール付箋紙やマスキングテープ等の使い勝手を向上させることができるという優れた効果を発揮する。
【0019】
本発明に係る剥離用爪付きテープカッターによれば、極めて簡易な構成であり、コンパクトであって、コストもかからずにロール型の付箋紙やマスキングテープ等を捲りやすくするとともに、所望する長さに自在にカットできるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの基本構成を説明する基本構成説明斜視図である。
【
図2】本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの基本構成を説明する基本構成説明平面図である。
【
図3】本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの外形形状を例示した外形形状実施例説明図である。
【
図4】本発明に係る押し当て機能を説明する機能説明図である。
【
図5】本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの装着機能と押し当て機能を説明する機能説明図である。
【
図6】本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの使用状態説明図である。
【
図7】本発明に係る引出部における剥離爪の形状別の実施例を説明する実施例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ロール状に巻装された粘着テープの引き出し、及び切り取りを容易にするテープカッターであって、従来のテープカッターには無かった剥離用の爪を設ける構成としたことを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0022】
図1は、本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの基本構成を説明する基本構成説明斜視図であり、
図1(a)は、本発明に係る剥離用爪付きテープカッターが粘着テープTに装着された状態を切取刃30側から見た斜視図を示し、
図1(b)は、本発明に係る剥離用爪付きテープカッターが粘着テープTに装着された状態を剥離爪40側から見た斜視図を示している。また、
図2は、本発明に係る剥離用爪付きテープカッター1の基本構成を説明する基本構成説明平面図であり、
図2(a)は平面図、
図2(b)は側面図、
図2(c)は正面図をそれぞれ示している。なお、、
図1及び
図2の中の一点鎖線で示した部分は被覆部10と保持部20であり、実線で描いている部分が切取刃30と剥離爪40である。また、粘着テープTは二点鎖線で示した。一点鎖線で示した部分の形状は特に限定されるものではなく、切取刃30と剥離爪40との配置のために適宜決定すれば良い。
【0023】
剥離用爪付きテープカッター1は、片面に粘着剤が塗布され芯材Sに巻装された粘着テープTを剥離して切り取るためのテープカッターであって、被覆部10と保持部20から成り、前記被覆部10には、前記粘着テープTを切り取るための切取刃30と該切取刃30と反対方向へ向かう前記粘着テープTを剥離するための剥離爪40を有し、前記保持部20は、前記芯材Sの開口穴Kに挟み込む装着機能50と前記被覆部10を前記粘着テープTの外側から押し付ける押し当て機能60を備えていることを基本構成とするものである。
【0024】
被覆部10は、粘着テープTを切り取るための切取刃30と、該切取刃30と反対方向へ向かう前記粘着テープTを剥離するための剥離爪40を備える部材である。
【0025】
保持部20は、被覆部10と一体又は対になり、前記芯材Sの開口穴Kを利用して前記被覆部10を前記粘着テープTの外周に装着する装着機能50を備えるための部材である。
【0026】
切取刃30は、粘着テ-プTにおいて所望する長さで切断するための所謂カッターである。繰り返し連続する微小な三角形状や波形形状に形成されることが望ましく、指先を傷つけない構成とする。なお、切取刃30に金属の刃物等を備える構成も考え得るが、前述の安全性の問題やコストを考えると本発明の課題を解決するための技術的手段としては好ましくないといえる。
【0027】
剥離爪40は、ロール状に芯材Sへ巻装された粘着テープTの端辺Hが貼り付いてしまった場合に、剥離するための爪であって、粘着テープTの外周面に密着させて、該貼り付いてしまった端辺Hの段差部に入り込ませて粘着テープTを剥離する。また、剥離爪40の形状については
図7に例示したように傾斜角θを備えたり(
図7(a))、中央部(
図7(b))や両側(
図7(c))を突出させるなどして、該貼り付いてしまった端辺Hの段差部に入り込みやすい形状とすることが望ましい。
【0028】
装着機能50は、本発明に係る剥離用爪付きテープカッター1を、芯材Sに巻装された粘着テープTに装着するための機能である。可能な限り粘着テープTの外周面と開口穴Kの内周面と並行になるように装着させるための構成例を
図4及び
図5に例示した。
【0029】
押し当て機能60は、切取刃30及び剥離爪40を粘着テープTの外周面に密着するように押し当てる機能である。特に被覆部10を可能な限り粘着テープTの外周面と開口穴Kの内周面と平行になるように装着させるため、
図4及び
図5に例示したような構成が考え得る。
【0030】
芯材Sは、粘着テープTを巻装するための基材となり、紙管などを輪切りに切った環状のものである。
【0031】
粘着テープTは、粘着剤が片面の全部又は一部に塗布された紙等であって、芯材Sの周囲に巻装される長尺なテープである。例えば、ロール付箋紙、マスキングテープ、クラフトテープ、粘着カーペットクリーナーなどである。これらは、所望する長さで自由に切断し、メモやインデックスとしたり、養生資材、装飾やラッピング用とするなど他方面での利用が可能なものである。
【0032】
開口穴Kは、巻装される長尺な粘着テープに用いられる芯材Sが、厚紙等で構成される管紙等であり、筒状を輪切りにし、内部は開口した開口穴Kを有しているのが一般的である。本発明では係る開口穴Kに保持部20で挟み込んで剥離用爪付きテープカッター1を装着するための穴として利用するものである。
【0033】
剥離爪40は、被覆部10に設けられ、貼り付いた粘着テープTの先端をめくりやすくするための爪である。前記剥離爪40は、巻装される最外周部の粘着テープTの端辺Hと、該最外周部の次の内側に巻装される粘着テープTの表面との隙間に入り込むように芯材Sの軸心方向に対して傾斜角度θを有して備えられる。また、剥離爪40が、芯材Sの軸芯方向に対して平行且つ中心近傍に突出した形状を備える構成や、芯材Sの軸芯方向に対して平行且つ両側が突出した形状を備える構成とすることで剥離爪40が貼り付いた粘着テープTの隙間に入りやすくなる構成とすることも好適である。
【0034】
弾性部材51は、弾性の性質を持つ材料で成形された部材であり、力を掛けると変形し、力を取り除くと元に戻る性質を有する弾性体であり、弾性部材51は、装着機能50並びに押し当て機能60を発揮させるための部材である。本発明に係る剥離用爪付きテープカッター1では、粘着テープTを被覆部10と保持部20で挟み込むための弾性部材51としては、コイル状のコイルバネや、ねじりコイルばね(helical torsion spring)などが考えられる。なお、
図3(c)及び、
図3(e)に示すように、保持部20に弾性特性を有する素材と形状を選択してもよい。
【0035】
ロール付箋紙Rは、裏面の一部又は全部に接着力が弱い再剥離性粘着剤が塗布された紙が芯材に巻装されたものであり、具体的には基材となる長尺な紙と、その紙の表裏に目止層、剥離層、部分的又は全体的な粘着層という順番で塗工する構成になっており、様々な筆記具で書くことができ、また、自由な長さに切って色々なものに貼って剥がせる機能を持たせるために、それぞれの用紙に合わせた剥離剤、粘着剤などの塗工剤の種類、塗工量、塗工条件が所望する筆記性や粘着強度等により決められるものである。塗工剤の種類や量によっては筆記性が悪くなったり製品がカールして見栄えが悪くなったりするため、それぞれの紙に合わせた専用の塗工剤を調製し、0.1g/m2単位で細かく塗工量が管理されるものである。刃物等の道具がなくても、手でちぎることができるが、綺麗に切るにはカッター等の刃物は必用であり、また貼り付いた端辺Hを剥離する際のストレスが存在するといえるものである。
【0036】
マスキングテープ(masking tape)Mは、塗装をはじめとするシーリングやコーキングの際に塗装箇所以外を汚さない目的で使用される保護用の粘着テープ。「マスキング」は「覆い隠す」の意味で「養生」と呼ばれ、マスキングテープは養生資材に分類される。粘着力が弱く剥がしやすいため、仮止めにも使われる。近年ではさまざまな色や柄のマスキングテープが発売され、装飾やラッピングなどに幅広く応用されるようになり人気が高まっているものである。刃物等の道具がなくても、手でちぎることができるが、ロール付箋紙Rと同様に、綺麗に切るにはカッター等の刃物が必用であり、また貼り付いた端辺Hを剥離する際のストレスが存在するといえるものである。
【0037】
クラフトテープ(Gummed paper tape)Cは、基材(支持体)にクラフト紙を使った粘着テープのことで、ガムテープと呼ばれることも多いが、本来のガムテープは、接着剤に水溶性のガム糊(デンプンまたは、ゼラチン)を使った、使用直前に接着面を濡らして使う粘着テープである(Water activated tape)。現在の主なクラフトテープは不溶性の糊を使っている。基本的に、クラフト紙特有の淡褐色(クラフト色)をしているが、漂白クラフト紙を使った白いものや、着色や二重張によりカラフルな色をしたものもある。また、「取扱注意」、「われもの注意」のように注意書きの文字が入った荷札テープもある。刃物等の道具がなくても、手でちぎることができるが、ロール付箋紙RやマスキングテープMと同様に、綺麗に切るにはカッター等の刃物が必用であり、また貼り付いた端辺Hを剥離する際のストレスが存在するといえるものである。
【0038】
粘着カーペットクリーナーNは、芯材に粘着ローラーのついたカーペット用のローラーであり、カーペットについたほこりや花粉、糸くず、髪の毛やペットの抜け毛などを取る事ができる道具である。使用時には粘着ローラーを装着して使用するものである。図面には示していないが、本発明に係る剥離用爪付きテープカッター1では、ローラー幅を全て覆装することが困難なため、片側端辺Hの端に挟み込んで使用すれば張り付いたシートの角部を一部捲ればそこをきっかけとして捲りやすくなり、従来、清掃後の汚れたシートに触れるのは嫌だなと思うことを最小限にすることができる。
【0039】
図3は、本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの外形形状を例示した外形形状実施例説明図であり、
図3(a)は従来から用いられてきたテープカッターに切断刃と反対方向に剥離用爪40を設けた構成例を示し、
図3(b)は被覆部10と保持部が一体成形される構成例を示し、
図3(c)は粘着テープTの側方から挟み込むクリップタイプの構成例を示し、
図3(d)は一枚の板状部材にスリットを入れて両側から挟み込む構成例を示している。
【0040】
図4は、本発明に係る押し当て機能を説明する機能説明図である。
図4(a)は、圧縮バネ等の弾性部材51を利用して、切断刃30側を押し上げることで、剥離爪40を粘着テープTの端辺Hに食い込ませるように押し当てる構成を示し、
図4(b)は素材の持つ弾性特性を利用したものであり、変形させて元の形状に戻ろうとする弾性力により粘着テープTの外周面と内周面を挟み込むとともに、係る弾性力によって端辺Hの段差部に剥離爪40が入り込みやすいように押し当てる機能が発揮される状態を示している。
【0041】
図5は、本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの装着機能と押し当て機能を説明する機能説明図であり、
図5(a)は被覆部10と保持部20がクリップ状に回動し、弾性部材51としてのねじりコイルバネによりこれらがそれぞれ挟み込む装着機能50と、被覆部10を粘着テープTの表面に押し当てる押し当て機能60を発揮する態様を示し、
図5(b)は、弾性部材51としてのコイルバネにより、芯材Sの内周面に並行に反発させて、挟み込む装着機能50と、被覆部10を粘着テープTの表面に押し当てる押し当て機能60を発揮する態様を示し、
図5(c)及び
図5(e)は、被覆部10と保持部20が一体に成形され、その素材の持つ弾性特性により、装着機能50と押し当て機能60を発揮する態様を示し、
図5(d)は保持部20に関節を持たせて、より平行に作用する装着機能50と押し当て機能60を発揮する態様を例示したものであり、
図5(f)は保持部20に押し当て部が螺設されて装着機能50と押し当て機能60を発揮する態様を例示したものである。
【0042】
図6は、本発明に係る剥離用爪付きテープカッターの使用状態説明図であり、
図6(a)は、芯材Sに巻装された粘着テープTに剥離用爪付きテープカッター1が装着され、反時計回りに剥離用爪付きテープカッター1を回動させて、貼り付いた段差部に剥離爪40を入り込ませた状態を示し、
図6(b)は剥離用爪付きテープカッター1を時計回りに回動させている途中の状態を示し、
図6(c)は、剥離用爪付きテープカッター1を時計回りに回動させて切取刃30により所望する長さで粘着テープTを切り取る状態を示している。係る
図6に示すとおり、粘着テープTは、貼り付いてしまった端辺Hを回転させることによって、剥離爪40を超える位置まで移動させ、逆回転させると剥離爪40が端辺Hと粘着テープTの表面との間に差し込まれ、浮き上がらせることができる。次に浮き上がった端辺Hを掴んで引っ張り出し、引き出した端辺Hから必要となる長さに切取刃を合わせて切り取る。
【0043】
図7は本発明に係る剥離爪40の形状別の実施例を説明する実施例説明図であり、
図7(a)は、剥離爪40が粘着テープTの軸心方向に対して傾斜角θを備えて設けられている構成例を示し、引出部22と切取部23が平行に配置される剥離爪40である場合の構成例を示し、
図7(b)は剥離爪40が粘着テープTの軸芯方向に対して平行且つ中心近傍が突出した形状を備えている構成例を示し、
図7(c)は剥離爪40が粘着テープTの軸芯方向に対して平行且つ両側が突出した形状を備えている構成例を示している。何れも剥離用爪付きテープカッター1を回動させた場合に、剥離爪40の進行方向先端が張り付いた端辺Hと粘着テープTの表面との隙間に入り込みやすくなる形状である。
【0044】
なお、傾斜角θは、
図7(a)に示すとおり、剥離爪40が粘着テープTの軸心方向に対して傾斜した斜辺となる角度である。係る傾斜角θを有することで、粘着テープTの表面と、そこに貼り付いた端辺Hとの間に入り込みやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る剥離用爪付きテープカッターがより便利に利用できることが可能となれば、付箋紙を利用する事務仕事等において、利便性が高く、多くの需要が見込まれることから文房具用品の生産の拡大に寄与することが考えられ、産業上利用可能性は高いと思慮されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 剥離用爪付きテープカッター
10 被覆部
20 保持部
30 切取刃
40 剥離爪
50 装着機能
60 押し当て機能
51 弾性部材
C クラフトテープ
H 端辺
K 開口穴
M マスキングテープ
N 粘着カーペットクリーナー
R ロール付箋紙
S 芯材
T 粘着テープ
θ 傾斜角
【手続補正書】
【提出日】2022-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に粘着剤が塗布され芯材(S)に巻装された粘着テープ(T)を剥離して切り取るためのテープカッターであって、
被覆部(10)と保持部(20)から成り、
前記保持部(20)は、前記芯材(S)の開口穴(K)を利用して前記被覆部(10)を前記粘着テープ(T)に装着する装着機能(50)を備え、
前記被覆部(10)には、前記粘着テープ(T)を切り取るための切取刃(30)と該切取刃(30)と反対方向へ向かう前記粘着テープ(T)を剥離するための剥離爪(40)を有し、前記剥離爪(40)が前記芯材(S)の軸心方向に対して傾斜角(θ)を備えていることを特徴とする剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項2】
片面に粘着剤が塗布され芯材(S)に巻装された粘着テープ(T)を剥離して切り取るためのテープカッターであって、
被覆部(10)と保持部(20)から成り、
前記保持部(20)は、前記芯材(S)の開口穴(K)を利用して前記被覆部(10)を前記粘着テープ(T)に装着する装着機能(50)を備え、
前記被覆部(10)には、前記粘着テープ(T)を切り取るための切取刃(30)と該切取刃(30)と反対方向へ向かう前記粘着テープ(T)を剥離するための剥離爪(40)を有し、該剥離爪(40)の先端形状が、中心近傍において巻装される前記粘着テープ(T)の外周方向に向かって突出した形状を備えていることを特徴とする剥離用爪付きテープカッター(1)。前記芯材(S)の軸芯方向に対し、
【請求項3】
片面に粘着剤が塗布され芯材(S)に巻装された粘着テープ(T)を剥離して切り取るためのテープカッターであって、
被覆部(10)と保持部(20)から成り、
前記保持部(20)は、前記芯材(S)の開口穴(K)を利用して前記被覆部(10)を前記粘着テープ(T)に装着する装着機能(50)を備え、
前記被覆部(10)には、前記粘着テープ(T)を切り取るための切取刃(30)と該切取刃(30)と反対方向へ向かう前記粘着テープ(T)を剥離するための剥離爪(40)を有し該剥離爪(40)の先端形状が、前記粘着テープ(T)の軸芯方向に対し、両側が巻装される前記粘着テープ(T)の外周方向に向かって突出した形状を備えていることを特徴とする剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項4】
前記剥離爪(40)を前記粘着テープ(T)の周方向外側から内側に向かって押し付ける押し当て機能(60)を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項5】
前記装着機能(50)と前記押し当て機能(60)が素材の弾性特性又は弾性部材(51)を利用するものであることを特徴とする請求項4に記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に粘着剤が塗布され芯材(S)に巻装された粘着テープ(T)を剥離して切り取るためのテープカッターであって、
被覆部(10)と保持部(20)から成り、
前記保持部(20)は、前記芯材(S)の開口穴(K)を利用して前記被覆部(10)を前記粘着テープ(T)に装着する装着機能(50)を備え、
前記被覆部(10)には、前記粘着テープ(T)を切り取るための切取刃(30)と該切取刃(30)と反対方向へ向かう前記粘着テープ(T)を剥離するための剥離爪(40)を有し、前記剥離爪(40)が前記芯材(S)の軸心方向に対して傾斜角(θ)を備えていることを特徴とする剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項2】
片面に粘着剤が塗布され芯材(S)に巻装された粘着テープ(T)を剥離して切り取るためのテープカッターであって、
被覆部(10)と保持部(20)から成り、
前記保持部(20)は、前記芯材(S)の開口穴(K)を利用して前記被覆部(10)を前記粘着テープ(T)に装着する装着機能(50)を備え、
前記被覆部(10)には、前記粘着テープ(T)を切り取るための切取刃(30)と該切取刃(30)と反対方向へ向かう前記粘着テープ(T)を剥離するための剥離爪(40)を有し、該剥離爪(40)の先端形状が、中心近傍において巻装される前記粘着テープ(T)の外周方向に向かって突出した形状を備えていることを特徴とする剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項3】
片面に粘着剤が塗布され芯材(S)に巻装された粘着テープ(T)を剥離して切り取るためのテープカッターであって、
被覆部(10)と保持部(20)から成り、
前記保持部(20)は、前記芯材(S)の開口穴(K)を利用して前記被覆部(10)を前記粘着テープ(T)に装着する装着機能(50)を備え、
前記被覆部(10)には、前記粘着テープ(T)を切り取るための切取刃(30)と該切取刃(30)と反対方向へ向かう前記粘着テープ(T)を剥離するための剥離爪(40)を有し該剥離爪(40)の先端形状が、前記粘着テープ(T)の軸芯方向に対し、両側が巻装される前記粘着テープ(T)の外周方向に向かって突出した形状を備えていることを特徴とする剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項4】
前記剥離爪(40)を前記粘着テープ(T)の周方向外側から内側に向かって押し付ける押し当て機能(60)を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。
【請求項5】
前記装着機能(50)と前記押し当て機能(60)が素材の弾性特性又は弾性部材(51)を利用するものであることを特徴とする請求項4に記載の剥離用爪付きテープカッター(1)。