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特開2024-145832摩擦攪拌接合方法及び摩擦攪拌接合システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145832
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】摩擦攪拌接合方法及び摩擦攪拌接合システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20241004BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B23K20/12 340
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058353
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真三樹
【テーマコード(参考)】
3C707
4E167
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS02
3C707BS12
3C707KS06
3C707KS17
3C707KS20
3C707KT02
3C707KT06
3C707KT11
3C707LT12
4E167BG09
4E167BG20
4E167BG22
4E167DA10
(57)【要約】
【課題】狙い位置の誤差情報を正確にフィードバック制御して、常に正確な狙い位置で摩擦攪拌接合が行われるようにする摩擦攪拌接合方法及び摩擦攪拌接合システムを提供する。
【解決手段】摩擦攪拌接合方法は、マニピュレータ15の先端軸部21に支持された接合ツール23を、被接合部材11,13に回転させつつ押圧して摩擦攪拌接合することを含む。少なくとも先端軸部21には複数のマーカ25が設けられる。上記摩擦攪拌接合において、複数のマーカ25の位置を検出したマーカ位置情報に対応する接合ツールの位置及び姿勢を算出し、算出した接合ツールの位置及び姿勢と、マニピュレータより出力される推定位置及び推定姿勢とを比較して、接合ツールの位置及び姿勢を補正する補正量を求める。この補正量を用いて補正した指令信号に基づいてマニピュレータを駆動して、接合ツールの位置及び姿勢を補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接合部材同士を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合方法であって、
マニピュレータの先端軸部に支持された接合ツールを、前記被接合部材に回転させつつ押圧して摩擦攪拌接合することを含み、
少なくとも前記先端軸部には複数のマーカが設けられ、
前記摩擦攪拌接合において、
前記複数のマーカの位置を検出して得られた前記マーカのマーカ位置情報に対応する前記接合ツールの位置及び姿勢を算出し、
算出した前記接合ツールの位置及び姿勢と、前記マニピュレータより出力される位置及び姿勢の情報に基づく前記接合ツールの推定位置及び推定姿勢とを比較して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する補正量を求め、
前記補正量を用いて補正した指令信号に基づいて前記マニピュレータを駆動して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する、
摩擦攪拌接合方法。
【請求項2】
前記マーカ位置情報の前記マーカの位置と、前記接合ツールの位置及び姿勢とを関係付けた対応位置テーブルを予め求めておき、
前記マーカ位置情報に対応する前記接合ツールの位置及び姿勢を、前記対応位置テーブルを参照して算出する、
請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項3】
前記接合ツールの位置及び姿勢の算出は、前記マーカ位置情報のいずれか3つの前記マーカの位置を用いた三角測量法に基づいて算出する、
請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項4】
前記マーカ位置情報は、前記複数のマーカを撮像した撮像画像に映出された前記マーカの前記撮像画像上における位置情報を含む、
請求項3に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項5】
被接合部材同士を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合システムであって、
接合ツールを支持して回転駆動する先端軸部を有し、前記接合ツールの位置及び姿勢を変更可能なマニピュレータと、
前記マニピュレータを駆動させ、前記被接合部材に前記接合ツールを回転させつつ押圧して、前記被接合部材同士を摩擦攪拌接合させる制御装置と、
前記先端軸部に設けられた複数のマーカと、
前記複数のマーカをそれぞれ異なる方向から検出する複数の検出部を有するマーカ検出装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記マニピュレータより出力される位置及び姿勢の情報に基づき、前記接合ツールの推定位置及び推定姿勢を算出する計画位置推定部と、
前記マーカ検出装置が検出した前記複数のマーカのマーカ位置情報を用いて、前記接合ツールの位置及び姿勢を算出する位置姿勢算出部と、
算出した前記接合ツールの前記推定位置及び前記推定姿勢と、算出した前記接合ツールの前記位置及び前記姿勢とを比較して、前記接合ツールの位置及び姿勢の補正量を算出する補正量算出部と、
前記補正量を用いて補正した指令信号に基づいて前記マニピュレータを駆動して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する制御部と、
を含む摩擦攪拌接合システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記マーカ位置情報の前記マーカの位置と、前記接合ツールの位置及び姿勢とを関係付けた対応位置テーブルを記憶する記憶部を備え、
前記位置姿勢算出部は、前記マーカ位置情報に対応する前記接合ツールの位置及び姿勢を、前記対応位置テーブルを参照して算出する、
請求項5に記載の摩擦攪拌接合システム。
【請求項7】
前記位置姿勢算出部は、前記マーカ位置情報のいずれか3つの前記マーカの位置を用いた三角測量法に基づいて算出する、請求項5に記載の摩擦攪拌接合システム。
【請求項8】
前記複数の検出部は、前記複数のマーカをそれぞれ異なる方向から撮像するように配置された複数のカメラである、
請求項6に記載の摩擦攪拌接合システム。
【請求項9】
前記マーカ検出装置は、前記複数のカメラそれぞれに搭載した赤外線照射部を備え、
前記複数のカメラは、それぞれに搭載された赤外線照射部から照射した赤外線が前記マーカにより反射した反射光を撮像した撮像画像を出力する、
請求項8に記載の摩擦攪拌接合システム。
【請求項10】
前記マニピュレータは多軸ロボットである、
請求項5から9のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦攪拌接合方法及び摩擦攪拌接合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体等の構造体に用いる接合方法として、近年、摩擦攪拌接合が採用されつつある。摩擦攪拌接合では、摩擦攪拌接合工具(ツールともいう)を被接合部材に押し付けながら回転させて線状に前進させる。これによるツールと被接合部材との摩擦、及び被接合部材の塑性流動による入熱及び攪拌によって被接合部材同士が接合される。しかし、接合中のツールには、回転による材料抵抗と前進による材料抵抗がかかり、ツールの進行方向(X方向)に直交するY方向及びZ方向に狙い位置がずれることがある。特に低剛性な多関節装置を用いて摩擦攪拌接合する場合には、上記のY方向及びZ方向に加え、ツールから受ける力による装置のしなりによってX方向にもずれが生じやすい。さらに、XYZの3軸方向のずれに伴い、各軸の回転方向(Rx、Ry、Rz方向)にもずれが生じる。このようなツールの位置ずれは、被接合部材同士の接合位置となる境界面からのツール位置のずれとなり、接合不良の発生要因の一つとなっていた。このような接合不良を解消する装置が例えば特許文献1、2等に提案されている。
【0003】
特許文献1には、丸みあるいは面取りを施した被接合部材の突合せ線を、ツール側に設けた1つのCCDカメラで検知して、摩擦攪拌接合工具をXYZ方向へサーボモータにより移動制御する際の補正量を求め、サーボモータをフィードバック制御する方法が記載されている。特許文献2には、ショルダ部が無回転なツールにおいて、被接合部材の突き合わせ方向であるY軸方向の位置ずれを、摩擦攪拌接合装置におけるY軸のロードセルを用いて検知し、接合初期の値に戻すようにツールの位置をフィードバック制御する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-260571号公報
【特許文献2】特許第5849678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、サーボモータへのフィードバック制御はY軸方向のみであり補正が限定的となる。また、特許文献2の技術では、被接合部材からの揚力、ツールの振れ等が生じる不安定な接合下においては、誤検知が生じる可能性が高くなる。いずれの場合でも、ツールの狙い位置にずれが生じると、被接合部材同士の境界面を適正な深さ、姿勢で攪拌できなくなり、ルートフローを含む未接合、攪拌不良等の接合欠陥を発生する。
【0006】
そこで本発明は、狙い位置の誤差情報を正確にフィードバック制御して、常に正確な狙い位置で摩擦攪拌接合が行われるようにする摩擦攪拌接合方法及び摩擦攪拌接合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る摩擦攪拌接合方法および摩擦攪拌接合システムは下記の構成からなる。
(1) 被接合部材同士を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合方法であって、
マニピュレータの先端軸部に支持された接合ツールを、前記被接合部材に回転させつつ押圧して摩擦攪拌接合することを含み、
少なくとも前記先端軸部には複数のマーカが設けられ、
前記摩擦攪拌接合において、
前記複数のマーカの位置を検出して得られた前記マーカのマーカ位置情報に対応する前記接合ツールの位置及び姿勢を算出し、
算出した前記接合ツールの位置及び姿勢と、前記マニピュレータより出力される位置及び姿勢の情報に基づく前記接合ツールの推定位置及び推定姿勢とを比較して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する補正量を求め、
前記補正量を用いて補正した指令信号に基づいて前記マニピュレータを駆動して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する、
摩擦攪拌接合方法。
(2)被接合部材同士を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合システムであって、
接合ツールを支持して回転駆動する先端軸部を有し、前記接合ツールの位置及び姿勢を変更可能なマニピュレータと、
前記マニピュレータを駆動させ、前記被接合部材に前記接合ツールを回転させつつ押圧して、前記被接合部材同士を摩擦攪拌接合させる制御装置と、
前記先端軸部に設けられた複数のマーカと、
前記複数のマーカをそれぞれ異なる方向から検出する複数の検出部を有するマーカ検出装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記マニピュレータより出力される位置及び姿勢の情報に基づき、前記接合ツールの推定位置及び推定姿勢を算出する計画位置推定部と、
前記マーカ検出装置が検出した前記複数のマーカのマーカ位置情報を用いて、前記接合ツールの位置及び姿勢を算出する位置姿勢算出部と、
算出した前記接合ツールの前記推定位置及び前記推定姿勢と、算出した前記接合ツールの前記位置及び前記姿勢とを比較して、前記接合ツールの位置及び姿勢の補正量を算出する補正量算出部と、
前記補正量を用いて補正した指令信号に基づいて前記マニピュレータを駆動して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する制御部と、
を含む摩擦攪拌接合システム。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、狙い位置の誤差情報を正確にフィードバック制御して、常に正確な狙い位置で摩擦攪拌接合が行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、摩擦攪拌接合システムの概略全体図である。
図2図2は、先端軸部に支持された接合ツールを回転させつつ押圧して、被接合部材同士を摩擦攪拌接合させる様子を示す説明図である。
図3図3は、制御装置の機能ブロック図である。
図4図4は、摩擦攪拌接合方法の手順を示すフローチャートである。
図5図5は、接合ツールの位置及び姿勢とマーカ位置との対応関係を示す説明図である。
図6図6は、摩擦攪拌接合時における接合ツールの振れの影響を軸毎に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<摩擦攪拌接合システムの構成>
図1は、摩擦攪拌接合システム100の概略全体図である。摩擦攪拌接合システム100は、被接合部材(例えば一対の被接合部材11,13)同士を摩擦攪拌接合する構成であって、マニピュレータ15と、制御装置17と、マーカ25と、マーカ検出装置19とを含んで構成される。図1に示すように、本実施形態の摩擦攪拌接合システム100では、マニピュレータ15が、マニピュレータ15の外部に設置された制御装置17と接続されている構成とするが、制御装置17がマニピュレータ15に内蔵されている構成であってもよい。
【0011】
マニピュレータ15は、本実施形態では多関節のロボットアーム27を有し、互いに直交するX,Y,Z軸と、各軸回りの回転軸Rx,Ry,Rzとを有する6軸制御の多軸ロボットを例示するが、直交2軸のスライドテーブルを用いた構成であってもよい。ここで、Rx軸はX軸回りの回転軸、Ry軸はY軸回りの回転軸、Rz軸はZ軸回りの回転軸を表す。ロボットアーム27の先端軸部21には、接合ツール23が支持される。先端軸部21は接合ツール23を回転駆動する。この先端軸部21の外周面には、詳細を後述する複数のマーカ25が設けられている。先端軸部21に支持された接合ツール23の位置及び姿勢は、先端軸部21、各ロボットアーム27及びベース29の回転動作によって自在に変更可能となっている。ここで、接合ツール23の位置とは、加工位置である接合ツール23の先端位置を意味し、接合ツール23の姿勢とは、接合ツール23の中心軸の方向を意味する。
【0012】
多軸ロボットからなるマニピュレータ15を用いることで、接合ツール23の姿勢制御の自由度を高められる。このX,Y,Z軸で表現される座標系を、以下、ロボット座標系という。
【0013】
図2は、先端軸部21に支持された接合ツール23を回転させつつ押圧して、被接合部材11,13同士を摩擦攪拌接合させる様子を示す説明図である。接合ツール23は、その先端の中心軸外側に突出したプローブ23aと、プローブ23aの周囲に形成されプローブ23aより大径のショルダ23bとを有する摩擦攪拌接合用のツールである。マニピュレータ15は、接合ツール23を先端軸部21に支持した状態で回転駆動し、被接合部材11,13に向けて軸方向に押圧しながら被接合部材11,13の溶接線Lに沿って移動させる。これにより、被接合部材11,13は、発生する摩擦熱によって塑性流動して互いに接合される。
【0014】
図1に示す制御装置17は、予め定めた接合計画に基づく駆動データ及び後述の補正量に応じてマニピュレータ15へ指令信号を出力し、上記のようにマニピュレータ15を駆動することで、被接合部材11,13同士を摩擦攪拌接合させる。制御装置17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)などのプロセッサ(図示略)と、記憶部41と、入力受付部(図示略)と、通信部(図示略)により構成され、これらの構成要素は、バスBusを介して相互に通信可能に接続されている。そして、制御装置17は、通信部を介してマニピュレータ15、マーカ検出装置19と通信を行う。
【0015】
記憶部41は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含み、制御装置17が処理する各種情報やプログラムを格納する。なお、記憶部41は、制御装置17に内蔵されるものに代えて、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置でもよい。
入力受付部は、例えば、キーボードやマウス、タッチパッド、その他の入力装置である。なお、入力受付部は、表示部として機能してもよく、さらに、タッチパネルとして構成されてもよい。
通信部は、例えば、USB等のデジタル入出力ポートやイーサネットポート等を含んで構成される。
【0016】
マーカ検出装置19は、複数の検出部CAM1~CAM5と位置算出部31とを備える。複数の検出部CAM1~CAM5は、マーカ25の位置を検出するカメラであって、先端軸部21に設けた複数のマーカ25をそれぞれ異なる方向から検出するように、検出方向を互いにずらして配置されている。ここでは一例として検出部の個数が5つの場合を示すが、検出部の個数は、3つ以上、好ましくは5つ以上であり、演算処理に支障をきたさない範囲で多いほど好ましい。
【0017】
検出部CAM1~CAM5は、例えば、光学式モーションキャプチャ用の赤外線発光機能を併せ持つ赤外線カメラを好適に使用できるが、一般的な可視光を検出する撮像素子が搭載されたカメラでもよい。上記の赤外線カメラの場合には、各カメラに赤外線照射部が搭載され、赤外線照射部から照射した赤外線がマーカ25により反射した反射光を撮像することになる。そのため、高精度なマーカ25の検出が可能となる。
【0018】
本実施形態では、位置算出部31は、制御装置17と同様の構成となっている。また、位置算出部31の後述の機能は、例えば、プロセッサが記憶部に記憶された各種プログラムを実行することで実現される。なお、位置算出部31は、本実施形態のように制御装置17と別体の構成であっても良いし、制御装置17が位置算出部31の機能を備えた、制御装置17と一体の構成であっても良い。
【0019】
マーカ25は、例えば、再帰性反射素材により形成された球状又は平面状の反射体、あるいは、LED等の発光体を使用できる。また、マーカ25は、少なくとも3個以上、好ましくは5個以上設けるのがよく、それぞれが同時に2つ以上の検出部によって検出可能となる配置にするのが好ましい。なお、本実施形態のように先端軸部21の外周面にマーカ25が設けられている構成がより望ましいが、更にロボットアーム27に設けたり、接合ツール23の外表面に設けたりして、より検出精度を向上させる構成にしても良い。
【0020】
各検出部CAM1~CAM5は、指示されたタイミングで複数のマーカ25を撮像した撮像画像を位置算出部31に出力する。位置算出部31は、入力された撮像画像からマーカ25の位置を画像処理して求め、x-y面のカメラ座標系での位置情報をマーカ位置情報として生成する。つまり、マーカ検出装置19は、複数のマーカ25を撮像した撮像画像のそれぞれから、各マーカ25の位置を画像毎に算出する。位置算出部31は、撮像画像毎に算出した各マーカ25のマーカ位置情報を制御装置17に出力する。
【0021】
図3は、制御装置17の機能ブロック図の一例である。制御装置17は、計画位置推定部33と、位置姿勢算出部35と、補正量算出部37と、制御部39と、キャリブレーション部40と、記憶部41とを備える。計画位置推定部33、位置姿勢算出部35、補正量算出部37、制御部39、キャリブレーション部40の各機能は、例えば、プロセッサが、記憶部41に記憶された各種プログラムを実行することで実現される。
計画位置推定部33は、マニピュレータ15から出力されるロボットアーム27の位置及び姿勢の情報を用いて、接合ツール23の推定位置及び推定姿勢を算出する。
位置姿勢算出部35は、マーカ検出装置19が検出した複数のマーカ25のマーカ位置情報を用いて、接合ツール23の位置及び姿勢を算出する。
補正量算出部37は、計画位置推定部33が算出した接合ツール23の推定位置及び推定姿勢と、位置姿勢算出部35が算出した接合ツール23の位置及び姿勢との差分に応じて、接合ツール23の位置及び姿勢の補正量を算出する。
制御部39は、記憶部41に記憶された接合計画に基づく駆動データや補正量算出部37が算出した補正量等に基づいて接合ツール23を含むマニピュレータ15を制御する指令信号を生成し、生成された指令信号をマニピュレータ15に出力する。また、制御部39は、マーカ検出装置19を制御する検出指令信号を生成し、生成された検出指令信号をマーカ検出装置19に出力する。
キャリブレーション部40は、計画位置推定部33が算出した接合ツール23の推定位置及び推定姿勢と、マーカ検出装置19からのマーカ位置情報に基づいて位置姿勢算出部35が算出する接合ツール23の位置及び姿勢との対応関係を求め、対応位置テーブル43を生成する。
記憶部41は、接合計画に基づく駆動データや、位置姿勢算出部35が接合ツール23の位置及び姿勢を求める際に参照される対応位置テーブル43等の情報を記憶する。
【0022】
<摩擦攪拌接合方法>
次に、上記した構成の摩擦攪拌接合システム100を用いて被接合部材11,13を摩擦攪拌接合する手順を説明する。
図4は、摩擦攪拌接合方法の手順を示すフローチャートである。まず、図1に示すマニピュレータ15の駆動により、マニピュレータ15の先端軸部21に取り付けた接合ツール23を、規定の待避位置に移動させる(S1)。マニピュレータ15の退避位置は、予め設定された既知の位置であり、先端軸部21の位置及び姿勢(軸方向)も既知となる。したがって、先端軸部21に設けた複数のマーカ25の空間位置は、幾何学的に求められる。なお、移動先となる退避位置は特に限定されず、任意の位置(教示点)であってもよい。
【0023】
制御装置17は、先端軸部21を既知の位置及び姿勢にした状態でキャリブレーションを実行し、詳細を後述する対応位置テーブル43を生成する(S2)。このキャリブレーションは、マーカ検出装置19により検出される複数のマーカ25のマーカ位置と、接合ツール23の位置及び姿勢との対応関係を求める処理であり、特定の空間位置の座標値を、マニピュレータ15のロボット座標系と、マーカ検出装置19のカメラ座標系とで一致させる。具体的には、まず、図1に示す制御装置17がマーカ検出装置19にマーカ検出を実行させる検出指令信号を出力する。マーカ検出装置19は、その検出指令信号を受けて、複数の検出部CAM1~CAM5を駆動する。位置算出部31は、各検出部CAM1~CAM5が撮像して出力した撮像画像からカメラ座標系でのマーカ位置を算出する。
【0024】
図5は、接合ツール23の位置及び姿勢とマーカ位置との対応関係を示す説明図である。例えば、検出部CAM1から出力された撮像画像をIMG1、検出部CAM2から出力された撮像画像IMG2とする。検出部CAM1,CAM2が、先端軸部21に設けられた複数のマーカ25をそれぞれ異なる方向から撮像すると、撮像画像IMG1,IMG2にはマーカ25が互いに異なるパターンで画像上に映出される。位置算出部31は、撮像画像IMG1,IMG2内に映出されるマーカ25の像Pa,Pb,Pcの画像内での位置(カメラ座標系)を画像処理して求める。求めた像Pa,Pb,Pcのカメラ座標系での位置情報と、各像Pa,Pb,Pcに対応するマーカ25のロボット座標系での位置情報とから、三角測量法を適用して先端軸部21のロボット座標系での位置と姿勢を演算により特定する。三角測量法では、各撮像画像IMG1,IMG2に映出されるマーカ25が少なくとも3つ存在させる必要がある。そこで、ワーク又は装置の陰に隠れて一部のマーカ25が検出できない場合でも安定した検出を可能にするため、撮像画像内にマーカ25を好ましくは5つ以上存在させる。マーカ25の像は、撮像画像内で映出される数が多いほど位置及び姿勢の検出精度を向上できる。なお、三角測量法については公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0025】
接合ツール23の加工位置となる先端位置は、先端軸部21の軸線上であり、先端軸部21から既知の寸法だけ離れた位置となる。したがって、先端軸部21の位置及び姿勢が特定できると、接合ツール23の先端位置及びその接合ツール23の軸線の方向(姿勢)も一義的に特定できる。この接合ツール23の位置及び姿勢は、マトリクス演算等によって、像Pa,Pb,Pcの位置情報から直接求めることができる。
【0026】
なお、図5では、説明を簡単にするため2枚の撮像画像IMG1,IMG2から接合ツール23の位置及び姿勢を求める例を示しているが、実際には、他の複数の検出部からの撮像画像を併用又は選択的に用いる。これにより、位置及び姿勢の検出精度をより向上できる。
【0027】
上記のように、キャリブレーション部40は、各検出部CAM1~CAM5による撮像画像に映出されたマーカ25の像の画像内位置(x,y)[カメラ座標系]と、マニピュレータ15から出力された信号から得られる接合ツール23の先端位置(X,Y,Z,Rx,Ry,Rz)[ロボット座標系]との関係を、テーブル又は関数の形で表した対応位置テーブル43を生成して、記憶部41に保存する。
【0028】
このように、対応位置テーブル43を接合に先立ち予め求めておくことで、複数の撮像画像のマーカ25の像の位置情報から、接合ツール23の位置及び姿勢を、この対応位置テーブル43を参照して簡単に取得できるようになる。なお、対応位置テーブル43は、位置精度が0.1mm以下、回転角度の精度が0.1°以下となるまで繰り返しキャリブレーションを実行することが好ましい。また、すでに記憶部41に対応位置テーブル43が記憶されている場合であっても、所定のタイミングにて必要に応じてキャリブレーションを実行し、記憶部41に保存された対応位置テーブル43を更新しても良い。
【0029】
制御装置17の制御部39は、キャリブレーションの完了後に対応位置テーブルを生成し(S2)、駆動データに基づく指令信号をマニピュレータ15に出力する(S3)。そして、マニピュレータ15の駆動によって、接合ツール23を用いた被接合部材11,13の接合を実行する。また、制御部39は、指令信号により駆動した後のマーカ25を検出するように、マーカ検出装置19へ検出指令信号を出力する(S4)。
【0030】
そして、制御部39は、マニピュレータ15から出力されるマニピュレータ15の位置信号を読み取り、マニピュレータ15の位置及び姿勢、つまり本実施形態ではロボットアーム27の位置及び姿勢を算出する。算出されたマニピュレータ15の位置及び姿勢の情報は、計画位置推定部33に出力される。計画位置推定部33は、入力されたマニピュレータ15の位置及び姿勢から加工位置となる接合ツール23の先端の推定位置、及び接合ツール23の推定姿勢を算出する(S5)。計画位置推定部33は、算出した接合ツール23の先端の推定位置及び接合ツール23の推定姿勢の情報を補正量算出部37に出力する。
【0031】
また、マーカ検出装置19は、制御部39から入力された検出指令信号を受けて、各検出部CAM1~CAM5によりマーカ25を撮像する。そして、位置算出部31は、得られた撮像画像からマーカ25の位置を検出し、検出したマーカ25のマーカ位置情報を制御装置17の位置姿勢算出部35に出力する。
【0032】
位置姿勢算出部35にマーカ位置情報が入力されると、位置姿勢算出部35は、記憶部41の対応位置テーブル43を参照して、入力されたマーカ位置情報に対応する接合ツール23の位置及び姿勢を算出する(S6)。位置姿勢算出部35は、算出した接合ツール23の位置及び姿勢の情報を補正量算出部37に出力する。
【0033】
補正量算出部37は、位置姿勢算出部35が算出した接合ツール23の位置及び姿勢と、計画位置推定部33が算出した接合ツール23の推定位置及び推定姿勢とを比較して、実際の接合ツール23の位置と推定位置との差分、及び実際の接合ツール23の姿勢と推定姿勢との差分に応じて、接合ツール23の位置及び姿勢の補正量を算出する(S7)。補正量算出部37は、求めた補正量を制御部39に出力する。
【0034】
制御部39は、入力された補正量を用いて、制御部39からマニピュレータ15に出力する次の指令信号を補正する(S8)。以上のステップS3~S8を接合が終了するまで繰り返す。なお、ステップS8にて指令信号を補正した後、ステップS3に戻ってマニピュレータ15に指令信号を出力する際、マニピュレータ15に出力する指令信号は、ステップ8で補正した指令信号となる。つまり、マニピュレータ15には、対応位置テーブルを用いて駆動データを補正した指令信号を出力する。
【0035】
上記のように接合工程を実施しながら接合ツール23の位置ずれ及び姿勢のずれ(これらをまとめて「振れ」ともいう)を算出し、発生した振れに応じてマニピュレータ15の駆動制御にリアルタイムでフィードバックすることで、接合ツール23の位置及び姿勢を、接合計画通りの目標位置及び目標姿勢に高精度に一致させることができる。よって、常に正確な狙い位置で摩擦攪拌接合を実施できる。
【0036】
図6は、摩擦攪拌接合時における接合ツール23の振れの影響を軸毎に示す説明図である。正常時の摩擦攪拌接合では、接合ツール23のプローブ23aを、被接合部材11,13の板面の垂直方向からZX面内で溶接方向であるX方向の先方に傾斜させた状態で、回転させつつX方向へ移動させる。しかし、接合ツール23が、X,Y,Z軸の各方向、又はRx,Ry,Rz軸の各回転方向について振れが発生すると、摩擦攪拌接合が実施されなくなったり、実施されても内部欠陥の発生を招いたりする。
【0037】
X軸方向に振れが生じた場合、その振れが急激であると、接合ツール23と被接合部材11,13(ワーク)との相対速度が変化して、内部欠陥が発生しやすくなる。Y軸方向に振れが生じた場合、接合ツール23が被接合部材11,13同士の間(溶接線L)から、いずれか一方の被接合部材11又は13に寄ってしまい、被接合部材11,13同士の接合ができなくなる。Z軸方向に振れた生じた場合、接合ツール23が被接合部材11,13に接触せずに未接合となったり、接合ツール23の被接合部材11,13への押し込み深さが不足又は過剰となったりする。
【0038】
Rx軸の回転振れが生じた場合、接合ツール23が一方の被接合部材11には浅く、他方の被接合部材13には深く押し込まれ、一方の被接合部材11より他方の被接合部材13の減肉が大きくなる。その結果、接合強度が低下する。Ry軸の回転振れが生じた場合、接合ツール23のZX面内の傾斜が変化して接合ツール23の進行方向前後で被接合部材11,13への押し込み深さがの差が、正常時の場合よりも増減して、意図通りの接合が得られないことがある。Rz軸の回転振れが生じた場合、その振れが急激であると、接合ツール23と被接合部材11,13(ワーク)との相対回転速度が変化して、内部欠陥が発生しやすくなる。しかし、本構成の摩擦攪拌接合システム100によれば、上記のような振れの影響を生じることなく、接合計画通りの摩擦攪拌接合が可能となる。
【0039】
以上説明したように、本構成の摩擦攪拌接合システム100により被接合部材11,13を摩擦攪拌接合する場合には、マーカ25の検出による接合ツール23の位置及び姿勢のフィードバック制御が、マニピュレータ15の有する駆動軸全てに対して行えるため、高精度な摩擦攪拌接合が可能となる。また、摩擦攪拌接合の施工前に、被接合部材11,13に光学的な検出を助けるための溝加工等の前処理が必要なく、工数を削減できる。そして、検出部CAM1~CAM5は、接合ツール23を支持するマニピュレータ15の先端軸部21を含む複数箇所にマーカ25が設けられることで、接合ツール23の位置によらず、確実にマーカ25を検出できる。そのため、検出部CAM1~CAM5の設置自由度が高められ、摩擦攪拌接合システム100の構成を接合対象物に応じて自在に変更できる。また、被接合部材11,13は、同じ厚さの板材である以外にも、互いに異なる厚さを有する板組であってもよい。ここでは突合せ継手の配置例を示したが、これに限らず、隅肉継手の配置等、他の配置としてもよい。また、裏当て材等の他の部材を配置してもよい。
【0040】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0041】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 被接合部材同士を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合方法であって、
マニピュレータの先端軸部に支持された接合ツールを、前記被接合部材に回転させつつ押圧して摩擦攪拌接合することを含み、
少なくとも前記先端軸部には複数のマーカが設けられ、
前記摩擦攪拌接合において、
前記複数のマーカの位置を検出して得られた前記マーカのマーカ位置情報に対応する前記接合ツールの位置及び姿勢を算出し、
算出した前記接合ツールの位置及び姿勢と、前記マニピュレータより出力される位置及び姿勢の情報に基づく前記接合ツールの推定位置及び推定姿勢とを比較して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する補正量を求め、
前記補正量を用いて補正した指令信号に基づいて前記マニピュレータを駆動して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する、
摩擦攪拌接合方法。
この摩擦攪拌接合方法によれば、マニピュレータに設けた複数のマーカの位置を検出して求まる接合ツールの位置及び姿勢と、接合計画に基づく目標位置及び目標姿勢と比較して補正量を求め、求めた補正量を用いて補正した指令信号に基づいてマニピュレータを駆動することで、接合計画通りの位置及び姿勢で摩擦攪拌接合を実施できる。これにより、常に正確な狙い位置で摩擦攪拌接合が行える。
【0042】
(2) 前記マーカ位置情報の前記マーカの位置と、前記接合ツールの位置及び姿勢とを関係付けた対応位置テーブルを予め求めておき、
前記マーカ位置情報に対応する前記接合ツールの位置及び姿勢を、前記対応位置テーブルを参照して算出する、(1)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この摩擦攪拌接合方法によれば、対応位置テーブルをキャリブレーションにより求めることで、マーカ位置情報から容易に接合ツールの位置及び姿勢の情報が得られる。
【0043】
(3) 前記接合ツールの位置及び姿勢の算出は、前記マーカ位置情報のいずれか3つの前記マーカの位置を用いた三角測量法に基づいて算出する、(1)又は(2)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この摩擦攪拌接合方法によれば、三角測量法により高精度に位置及び姿勢の算出が行える。
【0044】
(4) 前記マーカ位置情報は、前記複数のマーカを撮像した撮像画像に映出された前記マーカの前記撮像画像上における位置情報を含む、(1)から(3)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
この摩擦攪拌接合方法によれば、マーカの撮像画像から検出されるマーカの位置情報を含むことで、複数のマーカを効率よく検出できる。
【0045】
(5) 被接合部材同士を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合システムであって、
接合ツールを支持して回転駆動する先端軸部を有し、前記接合ツールの位置及び姿勢を変更可能なマニピュレータと、
前記マニピュレータを駆動させ、前記被接合部材に前記接合ツールを回転させつつ押圧して、前記被接合部材同士を摩擦攪拌接合させる制御装置と、
前記先端軸部に設けられた複数のマーカと、
前記複数のマーカをそれぞれ異なる方向から検出する複数の検出部を有するマーカ検出装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記マニピュレータより出力される位置及び姿勢の情報に基づき、前記接合ツールの推定位置及び推定姿勢を算出する計画位置推定部と、
前記マーカ検出装置が検出した前記複数のマーカのマーカ位置情報を用いて、前記接合ツールの位置及び姿勢を算出する位置姿勢算出部と、
算出した前記接合ツールの前記推定位置及び前記推定姿勢と、算出した前記接合ツールの前記位置及び前記姿勢とを比較して、前記接合ツールの位置及び姿勢の補正量を算出する補正量算出部と、
前記補正量を用いて補正した指令信号に基づいて前記マニピュレータを駆動して、前記接合ツールの位置及び姿勢を補正する制御部と、
を含む摩擦攪拌接合システム。
この摩擦攪拌接合システムによれば、マニピュレータに設けた複数のマーカの位置を検出して求まる接合ツールの位置及び姿勢と、マニピュレータからの出力信号に基づく推定位置及び推定姿勢と比較して補正量を求め、求めた補正量を用いて補正した指令信号に基づいてマニピュレータを駆動することで、接合計画通りの位置及び姿勢で摩擦攪拌接合を実施できる。これにより、常に正確な狙い位置で摩擦攪拌接合が行える。
【0046】
(6) 前記制御装置は、前記マーカ位置情報の前記マーカの位置と、前記接合ツールの位置及び姿勢とを関係付けた対応位置テーブルを記憶する記憶部を備え、
前記位置姿勢算出部は、前記マーカ位置情報に対応する前記接合ツールの位置及び姿勢を、前記対応位置テーブルを参照して算出する、(5)に記載の摩擦攪拌接合システム。
この摩擦攪拌接合システムによれば、対応位置テーブルをキャリブレーションにより求めることで、マーカ位置情報から容易に接合ツールの位置及び姿勢の情報が得られる。
【0047】
(7) 前記位置姿勢算出部は、前記マーカ位置情報のいずれか3つの前記マーカの位置を用いた三角測量法に基づいて算出する、(5)又は(6)に記載の摩擦攪拌接合システム。
この摩擦攪拌接合システムによれば、三角測量法により高精度に位置及び姿勢の算出が行える。
【0048】
(8) 前記複数の検出部は、前記複数のマーカをそれぞれ異なる方向から撮像するように配置された複数のカメラである、(6)又は(7)に記載の摩擦攪拌接合システム。
この摩擦攪拌接合システムによれば、複数のカメラにより撮像されたマーカの撮像画像からマーカの位置情報を効率よく検出できる。
【0049】
(9) 前記マーカ検出装置は、前記複数のカメラそれぞれに搭載した赤外線照射部を備え、
前記複数のカメラは、それぞれに搭載された赤外線照射部から照射した赤外線が前記マーカにより反射した反射光を撮像した撮像画像を出力する、(8)に記載の摩擦攪拌接合システム。
この摩擦攪拌接合システムによれば、より高精度にマーカの検出が可能となる。
【0050】
(10) 前記マニピュレータは多軸ロボットである、(5)から(9)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合システム。
この摩擦攪拌接合システムによれば、姿勢制御の自由度を高められる。
【符号の説明】
【0051】
11,13 被接合部材
15 マニピュレータ
17 制御装置
19 マーカ検出装置
21 先端軸部
23 接合ツール
25 マーカ
27 ロボットアーム
29 ベース
31 位置算出部
33 計画位置推定部
35 位置姿勢算出部
37 補正量算出部
39 制御部
40 キャリブレーション部
41 記憶部
43 対応位置テーブル
100 摩擦攪拌接合システム
CAM1~CAM5 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6