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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145835
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058359
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】森本 尚央
(72)【発明者】
【氏名】田村 光
(72)【発明者】
【氏名】辻村 祐樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA29
2C056HA33
2C056JC10
(57)【要約】
【課題】プラテンの上面に吸収体を隣接させつつ、吸収体の全体の体積を増やすことが可能な画像記録装置を提供する。
【解決手段】 画像記録装置10は、上面45および上面45に位置する液体流路85を有するプラテン42と、プラテン42の上面45に液体を吐出するヘッド39と、上面45に隣り合って液体流路85の端部に位置する第1吸収体30と、第1吸収体30および上面45よりも下方に位置する第2吸収体31と、第1吸収体30から第2吸収体31へ液体を導く誘導部材と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および当該上面に位置する液体流路を有するプラテンと、
上記プラテンの上記上面に液体を吐出するヘッドと、
上記上面に隣り合って上記液体流路の端部に位置する第1吸収体と、
上記第1吸収体および上記上面よりも下方に位置する第2吸収体と、
上記第1吸収体から上記第2吸収体へ上記液体を導く誘導部材と、を備える画像記録装置。
【請求項2】
上記誘導部材は、上記第1吸収体および上記第2吸収体に接触し、上記液体を吸収する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1吸収体および上記第2吸収体は、上下方向に沿った平面視において、少なくとも一部の領域が重なる請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記プラテンは、上方が開口する溝と、当該溝において上下に連通する貫通孔と、を有しており、
上記第1吸収体は、上記プラテンの上記溝に位置しており、
上記第2吸収体は、上記プラテンの下方に位置しており、
上記誘導部材は、上記プラテンの上記貫通孔に位置している請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記プラテンを上下方向に揺動可能に支持するフレームをさらに備えた請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記第1吸収体および上記第2吸収体の液体の保持性は、上記誘導部材の液体の保持性よりも高い請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
シートを搬送する搬送機構をさらに備えており、
上記第1吸収体は、シートの搬送方向と交差する交差方向に沿って細長であり、
上記誘導部材は、上記交差方向に間隔を空けて複数が位置する請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記液体流路は、上記端部へ向かって下方へ傾斜している請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンに吐出された液体を吸収する吸収体を備える画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクタンクおよび記録部のようなインク漏れの虞のある場所に、インク吸収体を位置させた画像記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。インク吸収体が漏れたインクを吸収することで、画像記録装置の外部へのインクの漏出が抑制される。インク吸収体は、画像記録装置の内部空間を区画する下カバーの上面に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-122505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体を吐出するヘッドからプラテンに吐出された液体を吸収することを目的として、プラテンの上面に吸収体を隣接させることが考えられる。吸収体の体積を増やすことで、吸収体が保持可能な液体の体積を増やすことが可能である。しかしながら、装置の小型化の観点などから、プラテンに隣接している吸収体の体積の増加には限界がある。プラテンの上面に吸収体を隣接させつつ、吸収体の全体の体積を増やして、保持可能な液体の体積を増やすことができれば好ましい。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラテンの上面に吸収体を隣接させつつ、吸収体の全体の体積を増やすことが可能な画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、上面および当該上面に位置する液体流路を有するプラテンと、上記プラテンの上記上面に液体を吐出するヘッドと、上記上面に隣り合って上記液体流路の端部に位置する第1吸収体と、上記第1吸収体および上記上面よりも下方に位置する第2吸収体と、上記第1吸収体から上記第2吸収体へ上記液体を導く誘導部材と、を備える画像記録装置である。
【0007】
ヘッドから上面に吐出された液体は、液体流路を通じて第1吸収体へ流れる。第1吸収体に吸収された液体は、誘導部材を通じて第2吸収体に吸収される。第2吸収体が第1吸収体および上面の下方に位置するので、プラテンなどとの干渉を避けつつ空きスペースに第2吸収体が配置されることにより、液体流路から流出する液体を吸収する吸収体の全体の体積を増やすことができる。
【0008】
(2) 上記誘導部材は、上記第1吸収体および上記第2吸収体に接触し、上記液体を吸収するのが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、誘導部材に液体を吸収させて、第2吸収体に液体を導くことができる。
【0010】
(3) 上記第1吸収体および上記第2吸収体は、上下方向に沿った平面視において、少なくとも一部の領域が重なるのが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、プラテン周りのスペースが効率的に利用され得る。
【0012】
(4) 上記プラテンは、上方が開口する溝と、当該溝において上下に連通する貫通孔と、を有しており、上記第1吸収体は、上記プラテンの上記溝に位置しており、上記第2吸収体は、上記プラテンの下方に位置しており、上記誘導部材は、上記プラテンの上記貫通孔に位置しているのが好ましい。
【0013】
(5) 上記画像記録装置は、上記プラテンを上下方向に揺動可能に支持するフレームをさらに備えるのが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、プラテンの揺動に応じて誘導部材が撓むので、プラテンの揺動が阻害されにくい。
【0015】
(6) 上記第1吸収体および上記第2吸収体の液体の保持性は、上記誘導部材の液体の保持性よりも高いのが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、第1吸収体および第2吸収体によって液体が保持され、誘導部材が液体の通路として機能する。
【0017】
(7) 上記画像記録装置は、シートを搬送する搬送機構をさらに備えており、上記第1吸収体は、シートの搬送方向と交差する交差方向に沿って細長であり、上記誘導部材は、上記交差方向に間隔を空けて複数が位置するのが好ましい。
【0018】
第1吸収体は、シートの搬送方向に交差する方向に吐出された液体を交差方向に亘って吸収することができる。誘導部材は、第1吸収体による液体の吸収を阻害しない。
【0019】
(8) 上記液体流路は、上記端部へ向かって下方へ傾斜しているのが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、上面に吐出された液体を第1吸収体に向けて案内できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、吸収体の全体の体積が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、画像記録装置10の外観斜視図である。
図2図2は、画像記録装置10の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、記録部24およびガイドレール43,44周辺の斜視図である。
図4図4は、当接部材80およびプラテン42周辺の平面図である。
図5図5は、プラテン42の斜視図である。
図6図6は、図4のA-A線断面図である。
図7図7は、図4においてプラテン42を除去した平面図である。
図8図8は、図4のB-B線断面図である。
図9図9は、図4のC-C線断面図である。
図10図10は、曲げ剛性が比較的高いシート12が当接部材80と支持リブ52との間に進入した際の位置関係を示す概略図である。
図11図11は、曲げ剛性が比較的低いシート12が当接部材80と支持リブ52との間に進入した際の位置関係を示す概略図である。
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義される。排出口が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義される。画像記録装置10を手前側(前面)から見て、左右方向9が定義される。本実施形態では、左右方向9が交差方向の一例である。
【0024】
[画像記録装置10の全体構成]
図1に示されるように、画像記録装置10は、概ね直方体に形成されている。画像記録装置10は、例えば、複合機である。画像記録装置10の下部には、例えば、シート12(図2参照)などに画像を記録するプリンタ部11が設けられており、上部には原稿の画像を読み取るスキャナ部14が設けられている。画像記録装置10は、プリント機能の他、スキャン機能、ファクシミリ機能などを有している。なお、本明細書では、スキャナ部14の詳細な構成や、スキャン機能、ファクシミリ機能については詳細な説明が省略される。画像記録装置10は、所定の大きさのシート12(図2参照)に対して、余白を設けないいわゆるフチなし印刷が可能である。画像記録装置10は、給送トレイ20と、排出トレイ21と、給送部15と、搬送機構50と、記録部24、プラテン42と、当接部材80と、支持フレーム70と、第1吸収体30と、第2吸収体31と、第3吸収体32(誘導部材の一例)と、を備える。
【0025】
[給送トレイ20及び排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、プリンタ部11の最下部に配置されている。給送トレイ20は、プリンタ部11の前面に形成された開口13を通じて、画像記録装置10の筐体に対して前後方向8に挿入及び取出可能である。図2に示されるように、給送トレイ20は、複数のシート12(例えば、カット紙)を積層状態で支持する。排出トレイ21は、給送トレイ20の直上に配置されている。排出トレイ21は、搬送路65から排出されたシート12を支持する。
【0026】
[給送部15]
図2に示されるように、給送部15は、プリンタ部11に装着された状態の給送トレイ20の上方に設けられている。給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端側に回転可能に設けられている。給送ローラ25は、給送モータ(図示せず)から駆動力を付与されて回転する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレーム(図示せず)に支持された軸27に回動可能に設けられている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20側へ付勢されている。給送ローラ25は、給送トレイ20に支持されている最上位置のシート12に当接した状態で回転することによって、最上位置のシート12を搬送路65へ給送する。
【0027】
[搬送路65]
図2に示されるように、搬送路65は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって区画される空間を指す。搬送路65は、給送トレイ20の後端部からプリンタ部11の後部へ延び、プリンタ部11の後部において下方から上方へ延びつつ前部へUターンし、記録部24を経て排出トレイ21に至る通路である。搬送路65は、搬送ローラ部54の挟持位置、プラテン42とヘッド39との間、及び排出ローラ部55の挟持位置を経て排出トレイ21へ通じている。なお、搬送路65内におけるシート12の搬送向き16は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。搬送路65において、搬送ローラ部54より搬送向き16の上流に、外側ガイド部材18から搬送路65へ突出するレジストセンサ120が設けられている。レジストセンサ120は、搬送路65へ突出又は退避するように回動可能な検出子125の回動姿勢を光学センサ126によって検知するものである。搬送路65を搬送されるシート12がレジストセンサ120の検出子125に当接することによって、搬送路65へ突出している検出子125が搬送路65から退避するように回動する。
【0028】
[搬送機構50]
搬送機構50は、図2に示されるように、搬送路65に位置している。搬送機構50は、搬送路65に位置するシート12を搬送する。搬送機構50は、搬送ローラ部54と、排出ローラ部55と、を有している。搬送ローラ部54は、搬送路65における給送部15よりも搬送向き16の下流側、且つ記録部24よりも搬送向き16の上流側に設けられている。搬送ローラ部54は、搬送モータ(図示せず)によって駆動される搬送ローラ60と、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回るピンチローラ61とを有する。搬送ローラ60とピンチローラ61とは、シート12を挟持して搬送向き16に搬送する。ピンチローラ61は、例えば、左右方向9に沿って、間隔を空けて複数位置している。複数のピンチローラ61は、例えば、搬送向き16に交差する方向に延びる図示しないローラホルダに回動自在に支持されている。
【0029】
排出ローラ部55は、搬送路65における記録部24よりも搬送向き16の下流側に設けられている。排出ローラ部55は、搬送モータによって駆動される排出ローラ62と、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る拍車63とを有する。排出ローラ62と拍車63とは、シート12を挟持して搬送向き16に搬送する。排出ローラ62は、搬送ローラ60と同期して回転する。
【0030】
[記録部24]
図2及び図3に示されるように、記録部24は、搬送路65の上方において、搬送向き16における搬送ローラ部54と排出ローラ部55との間に設けられている。また、記録部24は、プラテン42に対向している。記録部24は、ガイドレール43、44に沿って左右方向9(主走査方向)に移動可能なキャリッジ23と、キャリッジ23に搭載されたヘッド39と、を備える。ガイドレール43、44は、各々が左右方向9に延設され且つ前後方向8において互いに離間して設けられている。ガイドレール43,44は、搬送ローラ60やプラテン42などを支持するサイドフレーム71に組み付けられている。キャリッジ23は、キャリッジモータ(不図示)から駆動力を付与されて左右方向9(主走査方向の一例)に移動する。
【0031】
図2に示されるように、ヘッド39は、下方を向くノズル面38に複数のノズル40を有する。キャリッジ23は、ノズル面38をプラテン42に対向させた状態でヘッド39を支持している。ヘッド39は、左右方向9へキャリッジ23と共に移動する過程において、図示しないインクカートリッジから供給された各色のインクを各ノズル40のノズル孔から噴出する。
【0032】
[プラテン42]
図2から図5に示されるように、プラテン42は、平面視における外形が矩形の板体である。プラテン42は、搬送路65の下方において、搬送向き16における搬送ローラ部54と排出ローラ部55との間に位置している。プラテン42の前端部は、排出ローラ62に係合されている。プラテン42は、排出ローラ62と係合されていることにより、排出ローラ62を軸に揺動可能である。プラテン42の後端部には、主面を上下方向に向けた突部58が左右方向9に間隔を空けて位置している。突部58の上面は、ピンチローラ61を回動自在に支持するローラホルダの下面に当接する。プラテン42は、上面45と、突出部46と、係合部47と、を有している。
【0033】
[上面45および傾斜面59]
図3から図5に示されるように、プラテン42の上面として、上面45および傾斜面59が位置する。上面45および傾斜面59は、前後方向8および左右方向9に延びる。図3に示されるように、上面45および傾斜面59の上方には、記録部24が位置する。上面45および傾斜面59は、記録部24に対向する。図4に示されるように、上面45の左右方向9の幅は、搬送されるシート12の左右方向9の幅よりも大きい。上面45は、前後方向8において、中央近傍から前端にかけて、上方且つ前方を向いて傾斜する。上面45には、複数の支持リブ52と、側壁部56と、凸条101と、が位置している。複数の支持リブ52、側壁部56、および凸条101は、いずれも上方に突出し且つ前後方向8に延びている。
【0034】
傾斜面59は、前後方向8において、プラテン42の上面の前端部に位置する領域である。傾斜面59の平面視における外形は、左右方向9に延びる矩形である。傾斜面59の後端および左右方向の両端は、上面45に接続される。傾斜面59は、前後方向8において、上方且つ前方を向けて傾斜する。具体的には、傾斜面59は、後端よりも前端が下方となるように傾斜する。傾斜面59は、例えば、プラテン42の上面において、複数の支持リブ52の前端よりも前方に広がる領域である。傾斜面59には、側壁部56および凸条101が位置しない。傾斜面59の左右方向9における幅は、左右方向9におけるプラテン42の上面の幅よりも小さい。傾斜面59の左右方向9における幅は、左右方向9における上面45の幅よりも小さい。傾斜面59は、左右方向9において、凸条101よりも内側に位置する。傾斜面59は、例えば、シート12の前端縁および後端縁に対してフチなし印刷を実行する際に、ヘッド39から吐出されるインクを受ける受け面となる。傾斜面59に吐出されたインクは、重力により、前方に向けて移動して、溝90に流入する。
【0035】
[支持リブ52]
複数の支持リブ52は、左右方向9において相互に所定の間隔を空けて上面45に位置している。搬送路65を搬送されるシート12の下面は、複数の支持リブ52の突出端53に接触する。図4に示されるように、複数の支持リブ52の位置は、左右方向9において、シート12の幅に対応している。具体的には、各種サイズのシート12の両端に合致しない位置にそれぞれ支持リブ52が位置する。支持リブ52の前端は、上面45の前端よりも後端側に位置している。支持リブ52の突出端53がシート12の下面を支持することで、シート12は、上面45に接触しない。
【0036】
[側壁部56]
側壁部56は、上面45の左右方向9における両端縁に位置している。側壁部56は、例えば、上面45の前端から後端まで延びる。側壁部56は、左右方向9において、搬送されるシート12の両端よりも外側に位置する。
【0037】
[凸条101]
凸条101は、左右方向9において、側壁部56と支持リブ52との間に位置する。具体的には、凸条101は、上面45の左右方向9の両端付近において、側壁部56と支持リブ52との間にそれぞれ位置する。凸条101の後端は、上面45の中途部分であって、例えば、ヘッド39よりも後方に位置する。凸条101の前端部は、上面45の前端を超えて、上面45の前端から下方へ延びる前側面51の下端まで延びる。凸条101の上端の位置は、上下方向7において、支持リブ52の突出端53の位置よりも低い。これにより、凸条101の上端は、シート12の下面に接触しない。
【0038】
凸条101は、上面45の両端付近において、左右方向9に間隔を空けて一対が位置する。プラテン42において、最大幅のシート12の両端は一対の凸条101の間に位置する。最大幅のシート12にフチなし印刷がされる場合、一対の凸条101の間にインクが吐出される。
【0039】
[突出部46]
図4図5図8、および図9に示されるように、突出部46は、前側面51から前方に向けて突出する。突出部46の平面視における外形は、左右方向9に細長い矩形である。突出部46の左右方向9における長さは、上面45の左右方向9における長さと略同じである。突出部46の上面には、下方に向けて凹む溝90が位置する。溝90の平面視における外形は、矩形である。溝90の底面91は、上方を向く平面である。溝90の底面91の平面視における外形は、矩形である。溝90の左右方向9の両端と、前端とは、上下方向7および前後方向8に広がる側壁92によって区画される。溝90の後端は、上面45によって区画される。突出部46は、溝90により、上面45から前方に突出するとともに、上面を開口する箱状に構成される。突出部46は、突板94と、貫通孔95と、を有する。
【0040】
[突板94]
図5に示されるように、溝90の底面91には、上方に向けて突出する複数の突板94が位置している。突板94は、例えば、前後方向8に延び、左右方向9に主面を向けている。突板94は、左右方向9に沿って、間隔を空けて複数位置している。突板94の後端は、前側面51に接続されている。突板94の上端面96は、上方且つ後方を向いて傾斜する。突板94の上端面96における前端は、傾斜面59の前端よりも上方に位置する。突板94の上端面96は、搬送向き16に搬送されるシート12の下面を支持することにより、インクを受ける傾斜面59へのシート12の下面の接触を抑制する。
【0041】
[貫通孔95]
図4および図5に示されるように、貫通孔95は、溝90の底面91に位置する。貫通孔95は、上下方向7に沿って延びる。貫通孔95は、底面91から突出部46の下面までを貫通する。これにより、貫通孔95は、溝90の内部と、突出部46の下方とを連通する。貫通孔95は、左右方向9に沿って、間隔を空けて複数位置する。複数の貫通孔95は、上面45および傾斜面59よりも下方に位置する。貫通孔95の平面視における外形は矩形である。図4に示されるように、搬送向き16に搬送される最大幅のシートの左右方向9における両端は、例えば、左右方向9の両端に位置する貫通孔95の上方を通過する。左右方向9の両端に位置する貫通孔95の平面視における面積は、左右方向9の中間に位置する貫通孔95の面積よりも大きい。貫通孔95は、例えば、上下方向7において、突板94に重ならない。
【0042】
[係合部47]
図8および図9に示されるように、係合部47は、突出部46の前面から前方に向けて突出する。係合部47は、左右方向9(搬送向き16に交差する方向)に沿って、間隔を空けて複数位置する。係合部47は、排出ローラ62の軸に回動可能に係合されている。係合部47の平面視における外形は、矩形である。係合部47の上端部には、左右方向9に沿った軸線の円弧形状の孔部98が位置している。孔部98は、係合部47の上面によって区画される開口99を有する。
【0043】
図9に示されるように、孔部98には、排出ローラ62の軸64が挿通されている。孔部98の半径r1は、排出ローラ62の軸64の半径r2と同じか若干大きい(r1<=r2)。孔部98は、開口99によって、半径r1の縁の上方の一端部が欠けた形状である。開口99は、孔部98の軸線を含む前後方向8に沿った仮想線P1よりも上方に位置している。これにより、開口99の前方および後方に位置する係合部47の一部は、相互に対向する一対の爪部100を構成している。開口99の前端および後端は、左右方向9に延びる一対の爪部100によって区画されている。爪部100は、前後方向8に対向する対向面104を有する。対向面104は、孔部98に係合されている排出ローラ62の軸64に当接可能である。開口99の前後方向8の寸法L1は、排出ローラ62の軸64の直径L2よりも小さい(L1<L2)。排出ローラ62の軸64は、一対の爪部100によって抜け止めされている。
【0044】
[当接部材80]
図2から図4図6から図9に示されるように、当接部材80は、搬送路65におけるヘッド39よりも搬送向き16の上流に設けられている。当接部材80は、左右方向9に離間した複数箇所に設けられている。図10に示されるように、複数の当接部材80は、シート12に付与する波形状に対応して左右方向9の異なる位置に配置されている。各当接部材80は、固定部81と、湾曲部82と、当接部83とを備える。
【0045】
固定部81は、概ね平板形状である。当接部材80は、固定部81によってガイドレール43に固定される。固定部81の上面には、複数の係止部75が突設されている。係止部75がガイドレール43に設けられた開口74の周縁に係止されることによって、当接部材80がガイドレール43の下面に固定される。
【0046】
湾曲部82は、固定部81から前方(搬送向き16の下流)及び下方に向かって湾曲している。湾曲部82の先端部には、当接部83が概ね搬送向き16に沿って突設されている。
【0047】
当接部83は、概ね平板形状であって、上下方向7においてプラテン42と対向する位置に設けられている。当接部83は、搬送向き16及び左右方向9に直交する対向方向(本実施形態では上下方向7)において、ヘッド39とプラテン42との間に位置する。当接部83の下面84には、下方に向かって突出する当接リブ88が設けられている。当接リブ88の下端は、プラテン42に支持されたシート12の上面に当接する。これにより、シート12の谷底位置12B(図10参照)は、当接部83によって下方(プラテン42)へ向けて押さえられる。当接リブ88の先端(搬送向き16の下流端部)は、搬送ローラ部54より搬送向き16の下流側で且つノズル40より搬送向き16の上流に位置している。
【0048】
各当接部83は、プラテン42の上面に左右方向9に離間して形成された複数の支持リブ52の間に位置する。換言すれば、各支持リブ52は、左右方向9に隣接する当接部材80の間の位置からヘッド39側へ向けて突出している。つまり、当接リブ88と支持リブ52とは、左右方向9において交互に配列されている。各支持リブ52の突出端53は、当接リブ88の下端よりも上方(ヘッド39側)に位置する。したがって、各支持リブ52の突出端53は、当接リブ88とシート12との当接位置よりヘッド39に近い位置でシート12の山頂位置12A(図10参照)と当接する。当接部材80及び支持リブ52によって、プラテン42に支持されたシート12は、搬送向き16の上流或いは下流からみて波打った状態となる。
【0049】
[支持フレーム70]
図8および図9に示されるように、支持フレームは70(フレームの一例)は、前後方向8および左右方向9に延びる板体である。支持フレーム70は、例えば、金属製である。支持フレーム70の左右方向9における両端は、サイドフレーム71に接続されている。支持フレーム70は、プラテン42の下方に位置する。支持フレーム70の上面は、例えば、プラテン42の下面に対向する。支持フレーム70の上面は、プラテン42における下面48の後端を上方に向けて付勢するコイルバネ49の下端を支持する。コイルバネ49の上端は、プラテン42の前端側の下面を上方に向けて付勢する。これにより、コイルバネ49は、プラテン42の前端と、ピンチローラ61のホルダとを上方に向けて付勢する。ピンチローラ61がコイルバネ49の付勢力により搬送ローラ60に当接することで、ピンチローラ61およびプラテン42が上下方向7に位置決めされる。
【0050】
搬送ローラ60とピンチローラ61との間にシート12が進入すると、ピンチローラ61およびローラホルダがコイルバネ49の付勢に抗して下方へ移動する。ローラホルダが下方に移動することにより、プラテン42の突部58も下方に移動する。これにより、プラテン42は、排出ローラ62の軸64周りに回動する。
【0051】
[液体流路85]
図4図8、および図9に示されるように、液体流路85は、プラテン42においてインクの流路となる空間である。本実施形態では、液体流路85は、上面45と支持リブ52の側面との隅により構成される。また、液体流路85は、上面45と凸条101の側面との隅により構成される。これら隅において毛管現象によりインクが後方へ向かって移動する。また、支持リブ52より後方においては、傾斜面59が液体流路85を構成する。傾斜面59においては、重力によりインクが溝90へ向かって移動する。
【0052】
[第1吸収体30]
図4および図6に示されるように、第1吸収体30は、例えば、多孔質材料からなり、インクを吸収可能なスポンジである。第1吸収体30は、例えば、メラミンスポンジである。第1吸収体30は、左右方向9に長い角柱である。第1吸収体30は、溝90の底面に載置されている。換言すると、第1吸収体30は、液体流路85の端部(前端部)に位置する。第1吸収体の30の上下方向7における上面の位置は、突出部46の上面の位置よりも低い。これにより、第1吸収体30は、溝90内に収容されている。第1吸収体30の後端は、上面45に接触する。第1吸収体30は、上下方向7において、貫通孔95および突板94に重ならない。すなわち、第1吸収体30の後方側面には、貫通孔95および突板94の形状に合わせた切欠き33が位置する。
【0053】
[第2吸収体31]
図6から図9に示されるように、第2吸収体31は、例えば、多孔質材料からなり、インクを吸収可能なスポンジである。第2吸収体31は、例えば、メラミンスポンジである。第2吸収体31は、例えば、第1吸収体30と同様の密度を有している。換言すると、第2吸収体31におけるインクの保持性(単位体積当たりで重力に抗して保持可能なインク量)は、第1吸収体30におけるインクの保持性と同じまたは略同じである。図7に示されるように、第2吸収体31は、平板形状である。第2吸収体31は、第1吸収体30および上面45よりも下方に位置する。第2吸収体31は、例えば、上下方向7において、プラテン42の下方に位置する。より詳しくは、第2吸収体31は、上方を開口するトレイ34の内部に載置された状態で、プラテン42の下方に位置する支持フレーム70の上面に支持される。第2吸収体31は、上下方向7に間隔を空けて(離れて)、第1吸収体30と少なくとも一部の領域で重なる。例えば、第2吸収体31の前方側の端部は、第1吸収体30と上下方向7に間隔を空けて(離れて)重なる。
【0054】
[第3吸収体32]
図4図6から図9に示されるように、第3吸収体32は、例えば、多孔質材料からなり、インクを吸収可能なスポンジである。第3吸収体32は、例えば、メラミンスポンジである。第3吸収体32は、左右方向9に延びる溝90に沿って、複数位置する。具体的には、第3吸収体32は、貫通孔95の位置に合わせて、左右方向9に間隔を空けて複数位置している。第3吸収体32が有する細孔(不図示)の径は、第1吸収体30および第2吸収体31よりも大きい。これにより、第3吸収体32は、第1吸収体30および第2吸収体31よりも低い密度を有している。換言すると、第3吸収体32におけるインクの保持性(単位体積当たりで重力に抗して保持可能なインク量)は、第1吸収体30および第2吸収体31におけるインクの保持性よりも低い。図4および図6に示されるように、第3吸収体32のうち、左右方向9の両端に位置する第3吸収体32は、前後方向8において、凸条101に接触する。これにより、左右方向9の両端に位置する第3吸収体32は、凸条101に沿って第2流路87から流出するインクを直接吸収することができる。
【0055】
図4に示されるように、第3吸収体32の上部35の平面視における外形は、矩形である。図6に示されるように、第3吸収体32の側面視における外形は、例えば、T字状である。具体的には、第3吸収体32は、上下方向7に交差する方向の寸法の大きい直方体形状の上部35と、上下方向7に交差する方向の寸法が上部35よりも小さい直方体形状の下部36とが上下に組み合わされている。第3吸収体32の上部35における下面は、溝90の底面91に当接している。具体的には、第3吸収体32の上部35における下面は、溝90の底面91に固定される。第3吸収体32の上部35における下面は、例えば、図示しない両面テープなどの粘着剤により、溝90の底面91に粘着されている。
【0056】
第3吸収体32のうち、左右方向9の両端に位置する第3吸収体32の上部35にける上下方向7に交差する方向の寸法は、両端以外に位置する第3吸収体32の上部35における寸法よりも大きい。第3吸収体32の上部35における上下方向7の寸法は、それぞれ同じまたは略同じである。これにより、左右方向9の両端に位置する第3吸収体32の上部は、両端以外に位置する第3吸収体32の上部よりも多くのインクを吸収できる。第3吸収体32は、上下方向7において、第1吸収体30と重ならない。第3吸収体32のうち、両端以外に位置する第3吸収体32の上部35の側面は、第1吸収体30の側面に接触する。第3吸収体32の上部35の側面は、例えば、第1吸収体30の切欠き33の側面に接触する。なお、第1吸収体30の切欠き33のうち、第3吸収体32に接触する側面と、前側面51との前後方向の8における幅は、第3吸収体32の前後方向8における幅よりも小さい。これにより、第3吸収体32の側面は、第1吸収体30の側面(切欠き33の側面)に押圧される。第3吸収体32は、第1吸収体30の側面(切欠き33の側面)と、前側面51との間に挟まれて固定される。
【0057】
第3吸収体32の下部36は、貫通孔95の上方から下方に向けて挿通されている。第3吸収体32の下部36における上下方向7に交差する方向(前後方向8および左右方向9)の寸法は、挿通される貫通孔95の上下方向7に交差する方向の寸法と同じまたはより小さい。第3吸収体32の下部における上下方向7の寸法は、それぞれ同じまたは略同じである。第3吸収体32の下部36の上下方向7の寸法は、貫通孔95の上端(溝90の下面)から第2吸収体31の上面との間の寸法と同じまたは若干長い。第3吸収体32の下部36の下面(不図示)は、第2吸収体31の上面に接触する。
【0058】
[上面45に吐出されるインクの流れ]
次に、ヘッド39から上面45に吐出されるインクの流れが説明される。以下では、最大幅のシート12にフチなし印刷がされる場合を例にインクの流れが説明される。
【0059】
図2に示されるように、給送ローラ25が回動することにより、給送トレイ20に積層されているシート12のうち、最上位置のシート12が搬送路65へ給送される。シート12の前端が、傾斜面59の上方まで搬送されると、シート12の前端部分へのフチなし印刷が行われる。記録部24は、シート12の前端部分に対して左右方向9へ移動しつつ、シート12の前端部分よりも若干前方へも、ヘッド39からインクを吐出する。シート12の前端よりも前方へ吐出されたインクは、傾斜面59に到達する。傾斜面59において、インクは重力により溝90へ向けて移動する。溝90に移動したインクは、第1吸収体30および第3吸収体32に吸収される。
【0060】
フチなし印刷において、記録部24が左右方向9へ移動しつつインクを吐出する記録処理と、シート12を搬送向き16に所定距離だけ搬送して停止する搬送処理と、が交互に行われる。シート12の前端部分への記録処理が行われた後、搬送処理が行われ、再び記録処理が行われる。この記録処理において、記録部24は左右方向9へ移動しつつ、シート12の左右方向9の両端よりも外方まで、ヘッド39からインクを吐出する。
【0061】
シート12の左右方向9の両端よりも外方に吐出されたインクは、一対の凸条101の間の上面45に到達する。上面45において、インクは、毛管現象により上面45と一対の凸条101との隅に沿って前方へ移動する。凸条101の前端部において、インクは前側面51へ移動し、前側面51において重力および毛管現象により溝90へインクが移動する。溝90に移動したインクは、第3吸収体32に吸収される。
【0062】
記録処理と搬送処理とが交互に繰り返されて、シート12の後端が傾斜面59の上方に位置すると、シート12の後端部分へのフチなし印刷が行われる。記録部24は、シート12の後端部分に対して左右方向9に移動しつつ、シート12の後端部分よりも若干後方へも、ヘッド39からインクを吐出する。シート12の後端部分よりも後方に吐出されたインクは、傾斜面59に到達する。傾斜面59において、インクは重力により溝90へ向けて移動する。溝90に移動したインクは、第1吸収体30および第3吸収体32に吸収される。
【0063】
前述されたフチなし印刷が繰り返し行われると、第1吸収体30および第3吸収体32に吸収されるインクが累積する。累積したインクの量が、第1吸収体30が保持可能なインクの量を超えると、溝90へ移動したインクは、第1吸収体30によって吸収されずに溝90内に溜まる。溝90に溜まったインクは、第3吸収体32に吸収されて、重力により、第3吸収体32を下方に移動して第2吸収体31に到達する。このように、第3吸収体は32、溝90から第2吸収体31へのインクの流路となる。第2吸収体31に到達したインクは、第2吸収体31によって吸収される。また、第3吸収体32に吸収されたインクも、重力により第3吸収体32を下方に移動して第2吸収体31に吸収される。
【0064】
[プラテン42の揺動と第3吸収体32との関係]
次に、プラテン42の揺動と第3吸収体32との関係について説明する。
搬送ローラ部54にシート12が搬送されると、シート12は、搬送ローラ60とピンチローラ61との間に進入する。ピンチローラ61およびプラテン42は、シート12の厚みに応じて、コイルバネ49による上方への付勢に抗して下方に移動する。シート12は、コイルバネ49によるピンチローラ61の上方への付勢により、搬送ローラ60とピンチローラ61とによってニップされる。搬送ローラ60の回動により、シート12は、プラテン42へ移動する。
【0065】
プラテン42へ移動したシート12は、支持リブ52の突出端53と当接部83の下面との間に進入する。支持リブ52の突出端53は、当接部83の下面よりも上方に位置するので、シート12は、曲げ剛性に応じて左右方向9に沿った形状が波形状に変形する。図10に示されるように、仮に、曲げ剛性が比較的高いシート12が当接部材80の下面と支持リブ52の突出端53との間に進入すると、シート12が波形状にあまり変形しない。その結果、当接部材80の下面と支持リブ52の突出端53とは、シート12の厚み分だけ上下方向7に離れる。すなわち、プラテン42は、シート12の厚み分だけ下方に移動する。
【0066】
プラテン42が下方へ移動すると、溝90および貫通孔95も下方へ移動する。第3吸収体32の上部35は、溝90の下方への移動に従って下方に移動する。第3吸収体の32の下部36は、下方に移動する上部35から下方に向かう方向の力を受ける。第3吸収体32の下部36は、第2吸収体31の上面に当接しているので、上部35から下方に向けて受ける力により圧縮変形して、上下方向7に交差する方向に撓む(湾曲する)。
【0067】
下部36の上下方向7に交差する方向の断面積は、上部35の上下方向7に交差する方向の断面積よりも小さい。これにより、第3吸収体32の下部36は、上部35よりも変形しやすい(撓みやすい)。したがって、第3吸収体32の下部36がプラテン42の揺動の障害となることが抑制される。
【0068】
図11に示されるように、仮に、曲げ剛性が比較的低いシート12がプラテン42に搬送されると、当接部材80と支持リブ52によって、シート12の左右方向9に沿った形状が波形状に変形し、プラテン42は下方へ移動しない。このときも、第3吸収体32は、第2吸収体31と当接した状態である。
【0069】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、ヘッド39から上面45に吐出されたインクは、液体流路85を通じて第1吸収体30へ流れる。第1吸収体30に吸収されたインクは、第3吸収体32を通じて第2吸収体31に吸収される。第2吸収体31が第1吸収体30および上面45の下方に位置するので、プラテン42などとの干渉を避けつつ空きスペースに第2吸収体31が配置される。第2吸収体31によって、吸収体の全体の体積を増やすことができる。
【0070】
第1吸収体30の保持量を超えて溝90に流入したインクが、第3吸収体32を通じて第2吸収体31に導かれる。
【0071】
第1吸収体30および第2吸収体31の一部が上下方向7に重なるので、プラテン42周りのスペースが効率的に利用され得る。
【0072】
プラテン42の揺動に応じて第3吸収体32が撓むので、プラテン42の揺動が阻害されにくい。
【0073】
第1吸収体30および第2吸収体31によるインクの保持性が、第3吸収体32によるインクの保持性よりも高いので、第1吸収体30および第2吸収体31がインクの保持部分として機能する。第3吸収体32は、第1吸収体30と第2吸収体31との間の流路として機能する。
【0074】
第1吸収体30は、シート12の搬送向き16に交差する方向に吐出されたインクを左右方向9に亘って吸収することができる。第3吸収体32は、左右方向9に間隔を空けて位置しているので、第1吸収体30によるインクの吸収を阻害しない。
【0075】
液体流路85を構成する傾斜面59が前方端に向かって下方へ傾斜しているので、傾斜面59に吐出されたインクを第1吸収体30に向けて案内できる。
【0076】
[変形例]
上記実施形態において、第3吸収体32を誘導部材の一例として説明した。誘導部材は、例えば、第1吸収体30と同じ密度で、第1吸収体30と一体成形されていてもよい。誘導部材は、例えば、第2吸収体31と同じ密度で、第2吸収体31と一体成形されていてもよい。また、誘導部材は、第2吸収体31の上方で、第2吸収体31と離れて位置してもよい。誘導部材は、吸収体に限定されず、貫通孔を通り上下方向に延びる金属や樹脂からなる筒体、U字溝、シート、棒体、または板体などの液体の流路を構成可能な構造体であってもよい。
【0077】
上記実施形態において、シート12は、紙に限定されず、布、フィルムなどであってもよい
【0078】
上記実施形態において、第1吸収体30、第2吸収体31、および第3吸収体32を多孔質材料からなるとしたが、これに限定されない。第1吸収体30、第2吸収体31、および第3吸収体32は、不織布などの繊維材料からなってもよい。
【0079】
上記実施形態において、プラテン42の上面45には、前後方向8に延び、下方に凹む溝が位置してもよい。溝は、支持リブ52の前端から、前側面51の下端まで延びてもよい。これにより、溝は、液体流路を構成してもよい。
【0080】
上記実施形態において、給送トレイ20は、カット紙に限定されず、ロール状に巻回されたシート(例えば、ロール紙)を支持してもよい。ロール紙に対する印刷では、カット紙に対する印刷よりも、フチなし印刷の頻度が多い傾向にある。フチなし印刷の頻度が増加すると、プラテン42上に吐出される(打ち捨てられる)インク量も増える。したがって、ロール紙を支持可能であり、フチなし印刷を実行可能な画像記録装置10において、上記実施形態のような第1吸収体30、第2吸収体31、および第3吸収体32を構成することは、特に有用である。
【0081】
上記実施形態において、記録部24は、図2に示されるように、給送トレイ20の後端部からから前方に向けてUターンする搬送路65を搬送されるシート12にインクを吐出する例を示したが、これに限定されない。記録部24は、例えば、画像記録装置10の後面(背面、図1参照)から搬送路65を前方に向けて給紙されるシート12に対してインクを吐出可能(画像を記録可能)であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10・・・画像記録装置
30・・・第1吸収体
31・・・第2吸収体
32・・・第3吸収体(誘導部材)
39・・・ヘッド
42・・・プラテン
45・・・上面
50・・・搬送機構
85・・・液体流路
90・・・溝
95・・・貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11