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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145838
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】提案装置、及び提案方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058363
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 匡史
(72)【発明者】
【氏名】大島 敬志
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】資源の循環を促進させるアクションの提案を行う。
【解決手段】資源に対する複数の処理の間の関係を示すデータであるルールデータを記憶
する記憶装置、及び、所定資源を処理する業務の情報である個別業務クレジットデータを
複数の業務について生成する個別業務クレジットデータ生成処理と、ルールデータと、生
成した個別業務クレジットデータとに基づき、複数の業務のうちいずれか複数の業務によ
り構成される業務のフローであって、所定資源を循環させる業務のフローである提案フロ
ーを生成する業務組み合わせ生成処理と、生成した提案フローを示す情報を出力装置に出
力する出力処理とを実行する演算装置を備える提案装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
資源に対する複数の処理の間の関係を示すデータであるルールデータを記憶する記憶装
置、及び、
所定資源を処理する業務の情報である個別業務クレジットデータを複数の業務について
生成する個別業務クレジットデータ生成処理と、
前記ルールデータと、前記生成した個別業務クレジットデータとに基づき、前記複数の
業務のうちいずれか複数の業務により構成される業務のフローであって、前記所定資源を
循環させる業務のフローである提案フローを生成する業務組み合わせ生成処理と、
前記生成した提案フローを示す情報を出力装置に出力する出力処理と
を実行する演算装置を備える提案装置。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記ルールデータとして、連続して行われる2つの処理における各処
理の前記資源の循環への寄与を示す選好度を記憶し、
前記業務組み合わせ生成処理において、前記選好度に基づき、前記所定資源の循環にお
ける処理の選好度が所定の寄与を超える提案フローを生成する、
請求項1に記載の提案装置。
【請求項3】
前記記憶装置は、前記ルールデータにおける選好度として、連続して行われる2つの処
理の実行地域が同一である場合の寄与を示す同一地域選好度を記憶し、
前記演算装置は、前記個別業務クレジットデータ生成処理において、前記個別業務クレ
ジットデータとして、前記処理が行われる地域のデータを含むデータを生成し、
前記業務組み合わせ生成処理において、前記同一地域選好度と、前記生成した前記処理
が行われる地域のデータとに基づき、前記所定資源の循環における処理の選好度が所定の
寄与を超える提案フローを生成する、
請求項2に記載の提案装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記ルールデータにおける選好度として、連続して行われる2つの処
理の順序及び種類に対応づけた寄与を示す効果選好度を記憶し、
前記演算装置は、前記個別業務クレジットデータ生成処理において、前記個別業務クレ
ジットデータとして、前記処理の種類のデータを生成し、
前記業務組み合わせ生成処理において、前記効果選好度と、前記生成した前記処理の種
類のデータとに基づき、前記所定資源の循環における処理の選好度が所定の寄与を超える
提案フローを生成する、
請求項2に記載の提案装置。
【請求項5】
前記演算装置は、前記業務組み合わせ生成処理において、前記業務の実行による経済的
利益を示す情報を生成し、
前記出力処理において、前記生成した経済的利益を示す情報を出力する、
請求項1に記載の提案装置。
【請求項6】
前記演算装置は、前記個別業務クレジットデータ生成処理において、前記個別業務クレ
ジットデータとして、前記処理により処理される前記所定資源の量である貢献量のデータ
を前記複数の業務について生成し、
前記業務組み合わせ生成処理において、前記提案フローを生成するとともに、前記生成
した提案フローにより処理される前記所定資源の貢献量を、前記生成した各前記貢献量の
データに基づき算出し、
前記出力処理において、前記算出した貢献量を示す情報を出力する、
請求項1に記載の提案装置。
【請求項7】
前記演算装置は、前記業務組み合わせ生成処理において、
前記個別業務クレジットデータにおける前記処理の特徴を表すパラメータを算出し、算
出したパラメータに基づき、前記貢献量を補正する、
請求項6に記載の提案装置。
【請求項8】
前記記憶装置は、汚染物質に対する複数の処理の間の関係を示すデータであるルールデ
ータを記憶し、
前記演算装置は、
前記個別業務クレジットデータ生成処理において、所定の汚染物質を処理する業務の情
報である個別業務クレジットデータを複数の業務について生成し、
前記業務組み合わせ生成処理において、前記ルールデータと、前記生成した個別業務ク
レジットデータとに基づき、前記複数の業務のうちいずれか複数の業務により構成される
業務のフローであって、前記所定の汚染物質を循環させる業務のフローである提案フロー
を生成する、
請求項1に記載の提案装置。
【請求項9】
前記記憶装置は、窒素、リン、又はカリウムに対する複数の処理の間の関係を示すデー
タであるルールデータを記憶し、
前記演算装置は、
前記個別業務クレジットデータ生成処理において、窒素、リン、又はカリウムを処理す
る業務の情報である個別業務クレジットデータを複数の業務について生成し、
前記業務組み合わせ生成処理において、前記ルールデータと、前記生成した個別業務ク
レジットデータとに基づき、前記複数の業務のうちいずれか複数の業務により構成される
業務のフローであって、前記窒素、リン、又はカリウムを循環させる業務のフローである
提案フローを生成する、
請求項8に記載の提案装置。
【請求項10】
演算装置及び、資源に対する複数の処理の間の関係を示すデータであるルールデータを
記憶する記憶装置を備える情報処理装置による提案方法であって、前記演算装置が、
所定資源を処理する業務の情報である個別業務クレジットデータを複数の業務について
生成する個別業務クレジットデータ生成処理と、
前記ルールデータと、前記生成した個別業務クレジットデータとに基づき、前記複数の
業務のうちいずれか複数の業務により構成される業務のフローであって、前記所定資源を
循環させる業務のフローである提案フローを生成する業務組み合わせ生成処理と、
前記生成した提案フローを示す情報を出力装置に出力する出力処理と
を実行する提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、提案装置、及び提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ESG(Environment、Social、Governance)に対して積極的な企業に投資する
ESG投資が注目されている。一般的に、ESGに関する評価が高い企業は、事業の社会
的意義や持続可能性が高いと評価されるようになっているためである。また、投資家にと
っては、投資により社会貢献に寄与しているというアピールにもなる。
【0003】
ESG投資は、地球環境問題に対する対応となるような取引がその対象となりうる。典
型的な地球環境問題の一つはいわゆる地球温暖化問題である。そこで、ESG投資の対象
としてはカーボンクレジット取引が取り上げられる。例えば、特許文献1には、カーボン
クレジットの需要量を創出するための創出方法をカーボンクレジット創出者に割り当てる
ための技術として、カーボンクレジットの需要量を取得する需要量取得部と、カーボンク
レジットを創出するための複数の創出手法と複数の創出手法それぞれのカーボンクレジッ
トの創出能力とを関連付けて格納する手法データベース、及び1又は複数のカーボンクレ
ジット創出者と当該創出者それぞれが実現可能な創出手法とを関連付けて格納する創出者
データベースを参照して、上記需要量に相当するカーボンクレジットを創出するために要
する1又は複数の創出手法を、1又は複数の創出者それぞれが実現可能な範囲において割
り当てる手法割当部と、を備える情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7138390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、地球環境問題には、地球温暖化問題にも様々な重要な環境問題が存在し
、そのうちの一つに「生物地球化学的循環」がある。地球温暖化問題は、地球上の総量と
しての炭素量(二酸化炭素濃度)が主要な問題であるのに対して、生物地球化学的循環の
問題では、資源が偏在している(例えば、地球の一部の地域に偏在している)ことが主に
問題となる。
【0006】
したがって、生物地球化学的循環の問題に関して適切なESG投資を行うためには、単
に対象資源の総量を削減するという観点だけではなく、対象資源を効率よく循環させると
いう観点からの投資が重要となる。逆に、ESG投資の対象となるプロジェクトも、同様
の観点から構築されるべきである。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、資源の循環を促
進させるアクションの提案を行うことが可能な提案装置、及び提案方法を提供することに
ある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一つは、資源に対する複数の処理の間の関係を示す
データであるルールデータを記憶する記憶装置、及び、所定資源を処理する業務の情報で
ある個別業務クレジットデータを複数の業務について生成する個別業務クレジットデータ
生成処理と、前記ルールデータと、前記生成した個別業務クレジットデータとに基づき、
前記複数の業務のうちいずれか複数の業務により構成される業務のフローであって、前記
所定資源を循環させる業務のフローである提案フローを生成する業務組み合わせ生成処理
と、前記生成した提案フローを示す情報を出力装置に出力する出力処理とを実行する演算
装置を備える提案装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、資源の循環を促進させるアクションの提案を行うことができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る提案システムの構成の一例を示す図である。
図2】選好度ルールデータの一例を示す図である。
図3】提案システムにおける各情報処理装置が備えるハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】提案システムで行われる提案支援処理の概要を説明するフロー図である。
図5】個別プロジェクトクレジットデータ生成処理の詳細を説明するフロー図である。
図6】個別プロジェクトクレジットデータの一例を示す図である。
図7】個別プロジェクト間選好度算出処理の詳細を説明するフロー図である。
図8】選好度表データの一例を示す図である。
図9】プロジェクト組合せ生成処理の詳細を説明するフロー図である。
図10】投資提案画面の一例を示す図である。
図11】投資提案画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る提案システム1の構成の一例を示す図である。提案システム
1は、1又は複数の個別プロジェクト実行者装置10、クレジット認証機関装置20、提
案装置30(仲介業者装置)、及び1又は複数の投資家装置40の各情報処理装置を含ん
で構成される。これらの情報処理装置の間は、例えば、インターネット、LAN(Local
Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又は専用線等の有線又は無線の通信ネ
ットワークにより接続されてもよいし、直接通信線で接続されてもよい。
【0012】
投資家装置40は、次述するプロジェクトに対して投資を行う投資家が使用する情報処
理装置である。
【0013】
個別プロジェクト実行者装置10は、所定の資源を処理する業務(以下、プロジェクト
ともいう)を実行する事業者が管理する情報処理装置である。このプロジェクトは、投資
家にとって、いわゆるESG投資(ESG:Environment、Social、Governance)の対象
となる業務を含んでいる。
【0014】
このプロジェクトは、汚染物質を構成し得るようなリン、窒素、又はカリウムといった
物質の生物地球化学的循環に関わるものである。そして、このプロジェクトは、当該物質
をスムーズに循環させることに寄与する(循環物質が所定地域に偏在することが無いよう
にする)ためのものである。このプロジェクトにおいて行われる処理は、例えば、物質の
分離(除去)、物質の精製、他の物質の生産、又はその他の物質の使用である(詳細は後
述する)。以下、本実施形態では、プロジェクトが対象とする資源は、リン、窒素、及び
カリウムであるものとする。
【0015】
個別プロジェクト実行者装置10は、このようなプロジェクトの内容を記憶したデータ
であるプロジェクト実行者データ11を記憶している。プロジェクト実行者データ11は
、例えば、プロジェクトが対象とする資源、プロジェクトが対象とする地域の情報、プロ
ジェクトにより処理可能な資源の量(以下、処理量という)の情報(後述する貢献量の基
礎となる情報)、及びその資源の処理効率(例えば、所定装置による資源の除去性能)を
含む。
【0016】
クレジット認証機関装置20は、プロジェクトを認証する認証機関が管理する情報処理
装置である。
【0017】
クレジット認証機関装置20は、プロジェクト実行者データ11が示すプロジェクトの
認証結果(認証を行った否か等)のデータである登録クレジットデータ21を記憶してい
る。また、登録クレジットデータ21に関する情報には、後述する貢献量に関する認証結
果が含まれる。
【0018】
また、クレジット認証機関装置20は、プロジェクトが対象とする資源の分布ないし偏
在を示すデータである個別プロジェクト実行モニタリングデータ22を記憶している。
【0019】
個別プロジェクト実行モニタリングデータ22は、例えば、センサ、人工衛星、若しく
はドローン等の飛行体の所定装置からリモートセンシングにより取得した、又は所定のデ
ータベースから取得した、プロジェクトが対象とする各地域における資源の存在量又は濃
度のデータである。個別プロジェクト実行モニタリングデータ22は、上記リモートセン
シングにより取得した画像データから生成したものであってもよい。個別プロジェクト実
行モニタリングデータ22は、クレジット認証機関装置20が、上記所定装置と通信して
受信して得られたものとしてもよい。
【0020】
次に、提案装置30は、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31、個別プロジェ
クト間選好度算出部32、プロジェクト組合せ生成部33、及び出力部34の各機能部を
備える。
【0021】
個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、資源を処理する業務(認証済みのプ
ロジェクト)の情報である個別業務クレジットデータを複数の業務について生成し、個別
プロジェクトクレジットデータ100に記憶する(個別業務クレジットデータ生成処理)
。例えば、個別業務クレジットデータは、プロジェクトに係る業務が行われる地域のデー
タを含む。また、例えば、個別業務クレジットデータは、プロジェクトに係る処理の種類
のデータを含む。
【0022】
また、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、個別業務クレジットデータと
して、プロジェクトにおける処理により処理される資源の量である貢献量のデータを複数
のプロジェクトについて生成する。
【0023】
個別プロジェクト間選好度算出部32は、資源を対象とする連続する2つの処理の間の
関係を示す情報であるルールデータを、選好度ルールデータ200として記憶している。
また、個別プロジェクト間選好度算出部32は、選好度ルールデータ200に基づき、プ
ロジェクト間の選好度の関係を記憶した選好度表データ300を生成する。
【0024】
具体的には、選好度ルールデータ200は、連続して行われる2つの処理における各処
理が資源の循環に量的に寄与する程度を示す選好度を記憶している。
【0025】
例えば、選好度は、連続して行われる2つの処理の実行地域が同一である場合の寄与の
程度である同一地域選好度を含む(連続して行われる2つの処理が同一である場合に選好
度が高い)。また、選好度は、連続して行われる2つの処理の順序及び種類(効果)に対
応づけた寄与を示す効果選好度を含む(連続して行われる2つの処理の種類(効果)が同
一である場合に選好度が高い)。また、選好度は、連続して行われる2つの処理の対象が
同じであることを示す同一資源選好度を含む(連続して行われる2つの処理の対象の資源
が同一である場合に選好度が高い)。
【0026】
次に、プロジェクト組合わせ生成部33は、ルールデータ(選好度ルールデータ200
)と、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31で生成した個別業務クレジットデー
タとに基づき、個別業務クレジットデータの複数のプロジェクトのいずれかにより構成さ
れる業務のフローであって、資源を循環させる複数のプロジェクトからなるフローである
提案フローを生成する(業務組み合わせ生成処理)。
【0027】
具体的には、プロジェクト組合わせ生成部33は、選好度に基づき、資源の循環におけ
るプロジェクトの選好度が所定の寄与を超える提案フローを生成する。
【0028】
例えば、プロジェクト組合わせ生成部33は、同一地域選好度と、個別プロジェクトク
レジットデータ生成部31で生成した、プロジェクトの処理が行われる地域のデータとに
基づき、資源の循環における処理の選好度が所定の寄与を超える提案フローを生成する。
【0029】
また、例えば、プロジェクト組合わせ生成部33は、効果選好度と、個別プロジェクト
クレジットデータ生成部31で生成した、プロジェクトの処理の種類のデータとに基づき
、資源の循環における処理の選好度が所定の寄与を超える提案フローを生成する。
【0030】
また、プロジェクト組合わせ生成部33は、提案フローを生成するとともに、生成した
フローにより処理される資源の貢献量を、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31
で生成した各貢献量のデータに基づき算出する。
【0031】
出力部34は、プロジェクト組合わせ生成部33で生成したフローを示す情報を出力装
置に出力する(出力処理)。
【0032】
また、出力部34は、プロジェクト組合わせ生成部33で算出した貢献量を示す情報を
出力する。
【0033】
(選好度ルールデータ)
図2は、選好度ルールデータ200の一例を示す図である。選好度ルールデータ200
は、各ルールのルールID201、そのルールを構成する、資源に関する条件のデータで
ある対象資源202、そのルールを構成する、連続する2つのプロジェクトの各処理の効
果の種類に関する条件のデータである効果種別203、そのルールを構成する、プロジェ
クトの処理が実行される地域の条件のデータである対象地域204、及び、そのルールが
適用される場合の選好度の算出方法205の各データを有する。
【0034】
算出方法205は、ルール適用の対象となる連続する2つのプロジェクトの一方又は双
方に係る選好度の値の増加量を規定している。
【0035】
同図の例では、連続する2つのプロジェクトのいずれも同一の資源の処理である場合は
、ルールR1が適用され、両プロジェクトに、選好度として10が加算される(同一資源
選好度)。
【0036】
また、連続する2つのプロジェクトのうち1番目のプロジェクトの処理の種類(効果)
が「精製プロジェクト」であり2番目のプロジェクトの種類(効果)の処理が「除去プロ
ジェクト」である場合には、ルールR2が適用され、後プロジェクト(2番目のプロジェ
クト)である「除去プロジェクト」に選好度として10が加算される(効果選好度)。
【0037】
また、連続する2つのプロジェクトのいずれも同一の地域で実行される場合は、ルール
R1が適用され、両プロジェクトに、選好度として10が加算される(同一地域選好度)
【0038】
次に、図3は、提案システム1における各情報処理装置が備えるハードウェア構成の一
例を示す図である。各情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装
置91と、RAM(Random Access Memory)、又はROM(Read Only Memory)等の主記
憶装置92と、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の外部
記憶装置93と、キーボード、マウス、又はタッチパネル等の入力装置94と、ディスプ
レイ又はタッチパネル等の出力装置95と、NIC(Network Interface Card)、無線通
信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、又はシリアル通信モジ
ュール等で構成される通信装置96とを備え、これらの装置の間はバス97によって接続
されている。
【0039】
以上に説明した、提案システム1における各情報処理装置の機能部の機能は、演算装置
91が、主記憶装置92又は外部記憶装置93からプログラムを読み出すことにより実現
される。また各プログラムは、例えば、可搬性の又は固定された記録媒体に記録して配布
することができる。なお、これらのプログラムは、その全部または一部が、例えば、クラ
ウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技
術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。
また、これらのプログラムの全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI (Ap
plication Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい

次に、提案システム1で行われる処理について説明する。
【0040】
図4は、提案システム1で行われる提案処理の概要を説明するフロー図である。提案処
理は、例えば、提案装置30が起動した際、プロジェクト実行者データ11、登録クレジ
ットデータ21、若しくは個別プロジェクト実行モニタリングデータ22が更新された際
、又は、提案装置30に個別プロジェクト実行者装置10から所定の入力がなされた際に
開始される。
【0041】
まず、提案装置30は、各事業者のプロジェクトのうち認証済みのプロジェクト(以下
、候補プロジェクトという)の情報である個別プロジェクトクレジットデータ100を生
成する個別プロジェクトクレジットデータ生成処理s100を実行する。
【0042】
そして、提案装置30は、選好度ルールデータ200と、個別プロジェクトクレジット
データ生成処理s100で生成した個別プロジェクトクレジットデータ100とに基づき
、連続して2つの候補プロジェクトが行われた場合におけるそれらの候補プロジェクトの
選好度を記憶した選好度表データ300を生成する個別プロジェクト間選好度算出処理s
200を実行する。
【0043】
提案装置30は、プロジェクト間選好度算出処理s200で生成した選好度表データ3
00に基づき提案フローを生成するプロジェクト組み合わせ生成処理s300を実行する
【0044】
提案装置30は、プロジェクト組み合わせ生成処理s300により生成した提案フロー
及び提案フローに関連する情報を出力する出力処理s400を実行する。以上で提案処理
は終了する。
以下、各処理の詳細を説明する。
【0045】
<個別プロジェクトクレジットデータ生成処理>
図5は、個別プロジェクトクレジットデータ生成処理s100の詳細を説明するフロー
図である。
【0046】
個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、各事業者のプロジェクトに関する情
報を取得する(s101)。
【0047】
例えば、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、個別プロジェクト実行者装
置10から、プロジェクト実行者データ11を受信する。また、例えば、個別プロジェク
トクレジットデータ生成部31は、クレジット認証機関装置20から、登録クレジットデ
ータ21及び個別プロジェクト実行モニタリングデータ22を受信する。
【0048】
個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、s101で取得した情報に、貢献量
の算出に用いることができるデータ(以下、参考データという)が含まれているか否かを
確認する(s102)。例えば、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、s1
01で取得した個別プロジェクト実行モニタリングデータ22に、各事業者のプロジェク
トの各地域における資源の量又は濃度のデータが含まれているか否かを確認する。
【0049】
参考データが含まれている場合は(s102:YES)、個別プロジェクトクレジット
データ生成部31はs103の処理を実行する。一方、参考データが含まれていない場合
は(s102:NO)、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、プロジェクト
実行者データ11における処理量を貢献量に設定し、その後s104の処理を実行する。
【0050】
s103において個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、s102で確認し
た外部データ及びs101で取得したプロジェクト実行者データ11に基づき、貢献量を
算出するための、処理量に対する補正量を算出する。
【0051】
例えば、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、参考データが示す地域にお
ける資源の量(又は濃度)が所定の標準値に対して不足しているか又は過剰であるか否か
を判定する。そして、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、不足している場
合には、その資源の量(又は濃度)を増やすことが可能な種類の処理を行うプロジェクト
(例えば、リンを用いた肥料の生産又は施肥)を特定し、特定したプロジェクトに対する
所定の補正量(例えば、処理効率)を設定する。一方、個別プロジェクトクレジットデー
タ生成部31は、資源の量(又は濃度)が過剰である場合には、その資源の量(又は濃度
)を減らすことが可能な種類の処理を行うプロジェクト(例えば、資源の除去)を特定し
、特定したプロジェクトの処理量に対する所定の補正量(例えば、処理効率)を設定する
【0052】
s104において個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、s101で取得し
た情報と、s103で算出した補正量(ただし、s103の処理を実行した場合)とに基
づき、個別プロジェクトクレジットデータを生成する。
【0053】
例えば、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、s101で取得した情報に
含まれる処理量に対して、s103で算出した補正量を加味する(例えば、加算、乗算す
る)することで、貢献量を算出する。そして、個別プロジェクトクレジットデータ生成部
31は、算出した貢献量を、個別プロジェクトクレジットデータ100に設定する。また
、個別プロジェクトクレジットデータ生成部31は、s101でその情報を取得したプロ
ジェクトのうち、認証されているプロジェクトを候補プロジェクトとして抽出する。
【0054】
(個別プロジェクトクレジットデータ)
図6は、個別プロジェクトクレジットデータ100の一例を示す図である。個別プロジ
ェクトクレジットデータ100は、各候補プロジェクトのプロジェクトID101、その
候補プロジェクトが対象とする資源である対象資源102、その候補プロジェクトにより
対象資源に関して行われる処理(又はその効果)の種類である効果種別103、その候補
プロジェクトが行われる対象地域104、及びその候補プロジェクトにより達成される貢
献量105の各データを有する。
【0055】
効果種別103は、例えば、対象地域における(所定場所からの)対象資源の除去、対
象資源の精製、対象資源を原材料とする他の資源又は物質の生産(例えば、肥料の生産)
、対象資源を通常より抑制して用いる処理(例えば、最小限用いる処理。例えば、高度施
肥。)、等がある。
【0056】
<個別プロジェクト間選好度算出処理>
図7は、個別プロジェクト間選好度算出処理s200の詳細を説明するフロー図である
。個別プロジェクト間選好度算出処理s200は、例えば、提案装置30が管理者から所
定の入力を受け付けたことを契機に開始される。
【0057】
個別プロジェクト間選好度算出部32は、選好度ルールデータ200を読み込む(s2
01)。
【0058】
また、個別プロジェクト間選好度算出部32は、s101で取得した個別プロジェクト
クレジットデータ100から、2つの候補プロジェクトの順列(2つの候補プロジェクト
の、順序を区別した組み合わせ)を全て生成する(s202)。
【0059】
個別プロジェクト間選好度算出部32は、s202で生成した2つの候補プロジェクト
の順列の一つを選択し、選択した候補プロジェクトの順列における選好度(同一資源選好
度、効果選好度、同一地域選好度)を、s201で読み込んだ選好度ルールデータ200
を参照することにより、特定する(s203)。
【0060】
具体的には、個別プロジェクト間選好度算出部32は、選好度ルールデータ200の各
レコードを参照し、そのレコードに登録されている対象資源202、効果種別203、又
は対象地域204が示す条件を、上記選択した、s202で生成した2つの候補プロジェ
クトの順列における各候補プロジェクトが満たしているか否かを判定する。個別プロジェ
クト間選好度算出部32は、そのレコードの算出方法205が示す各選好度を取得する。
個別プロジェクト間選好度算出部32は、上記2つの候補プロジェクトの順列に対する現
在の選好度に、上記取得した各選好度を加算する。
【0061】
例えば、個別プロジェクト間選好度算出部32は、s202で生成した2つの候補プロ
ジェクト(E1、E2)の順列における1番目のプロジェクトの効果(精製)及び2番目
のプロジェクトの効果(除去)がそれぞれ、効果種別203の1番目の処理の効果及び2
番目の処理の効果(「精製プロジェクト->除去プロジェクト」)に対応しているレコー
ド206を発見した場合には、そのレコード206の算出方法205が示す効果選好度(
2番目の(後の)プロジェクトの効果選好度「10」)を取得する。個別プロジェクト間
選好度算出部32は、上記2つの候補プロジェクト(E1、E2)の順列に対する現在の
選好度に、上記効果選好度を加算する。
【0062】
次に、個別プロジェクト間選好度算出部32は、これまでにs203の処理を行ってい
ない、2つの候補プロジェクトの順列があるか否かを判定する(s204)。これまでに
s203の処理を行っていない、2つの候補プロジェクトの順列がある場合は(s204
:YES)、個別プロジェクト間選好度算出部32はその順列を選択すべくs205の処
理を実行する。これまでにs203の処理を行っていない、2つの候補プロジェクトの順
列がない場合は(s204:NO)、個別プロジェクト間選好度算出部32はs205の
処理を実行する。
【0063】
s205において個別プロジェクト間選好度算出部32は、s204までの処理によっ
て算出した各選好度を選好度表データ300に記憶する。以上で個別プロジェクト間選好
度算出処理s200は終了する。
【0064】
(選好度表データ)
図8は、選好度表データ300の一例を示す図である。選好度表データ300は、連続
して行われる2つの候補プロジェクトの順列における1番目の候補プロジェクトの行30
1と、2番目の候補プロジェクトの列302とからなる行列データであり、上記2つの候
補プロジェクトの順列に対する選好度303のデータを含む。同図の例では、プロジェク
トE1の次にプロジェクトE2を行う場合の順列の選好度は30である。
【0065】
<プロジェクト組合せ生成処理>
図9は、プロジェクト組合せ生成処理s300の詳細を説明するフロー図である。プロ
ジェクト組合せ生成処理s300は、例えば、提案装置30が管理者から所定の入力を受
け付けたことを契機に開始される。
【0066】
プロジェクト組合せ生成部33は、選好度表データ300を読み込む(s301)。
【0067】
プロジェクト組合せ生成部33は、選好度表データ300の各候補プロジェクトについ
て、その候補プロジェクト(以下、前候補という)に続けて行われるべき候補プロジェク
ト(以下、後候補という)の組み合わせ(2つの候補プロジェクトの順列)を特定する(
s302)。
【0068】
例えば、プロジェクト組合せ生成部33は、選好度表データ300からある行301の
レコードを取得し、取得したレコードに設定されている各列302の選好度303のうち
選好度が最大である列302を特定する。
【0069】
なお、プロジェクト組合せ生成部33は、最大の選好度が2以上ある場合は、所定のル
ール(例えば、プロジェクトIDに関するルール等)に従って、1つの列302のみを特
定する。また、プロジェクト組合せ生成部33は、選好度303が最大である列302に
係る候補プロジェクトが上記レコードを取得した行301に係る候補プロジェクト(すな
わち前候補と後候補が同じ)である場合は、その列302を選択してよい。
【0070】
プロジェクト組合せ生成部33は、s302で特定した各順列に基づいて、複数の順列
の並びによって候補プロジェクトの循環が成立するパターン(すなわち提案フロー)を一
つ検索する(s303)。そして、プロジェクト組合せ生成部33は、検索したパターン
を構成する各候補プロジェクトを、プロジェクト組合せ生成処理s300の処理対象から
除外する。なお、プロジェクト組合せ生成部33は、候補プロジェクトの循環が完全に成
立していなくても、循環の一定程度以上が成立しているパターンも含めて検索することを
妨げない。
【0071】
プロジェクト組合せ生成部33は、プロジェクト組合せ生成処理s300の処理対象で
ある候補プロジェクトが残っているか否かを判定する(s304)。候補プロジェクトが
残っている場合は(s304:YES)、プロジェクト組合せ生成部33はs302の処
理を繰り返し、候補プロジェクトが残っていない場合は(s304:NO)、プロジェク
ト組合せ生成部33はs305の処理を実行する。
【0072】
s305においてプロジェクト組合せ生成部33は、s304までの処理で検索した提
案フローに対する貢献量を算出する。
【0073】
具体的には、まず、プロジェクト組合せ生成部33は、s304で検索した提案フロー
を構成するn個の候補プロジェクトiの貢献量Ciを合計して貢献量の合計値C(=C1
+C2+・・・+Cn)を算出する。そして、プロジェクト組合せ生成部33は、貢献量
の合計値Cを、候補プロジェクトに関する所定のパラメータを算出することで補正する。
【0074】
例えば、プロジェクト組合せ生成部33は、提案フローが対象とする資源の重要度パラ
メータR(例えば、生物地球化学的循環を効率化すべき程度を示す重要度ないしクリティ
カリティ)を、貢献量の合計値Cに乗算する(R(C1+C2+・・・+Cn))。なお
、重要度パラメータRは、例えば、提案装置30が、各候補プロジェクトが行われる各地
域における各資源の自給率、又は各資源の不足時の経済的インパクト(逸失利益等)等に
基づき算出する。
【0075】
また、例えば、プロジェクト組合せ生成部33は、提案フローが資源の完全な循環フロ
ーであるか否かを、トポロジカルソートが可能か否か等を判定することにより特定し、そ
の結果を示すパラメータLを設定する。もしくは、プロジェクト組合せ生成部33は、提
案フローの循環の程度を示すパラメータLを算出する。そして、プロジェクト組合せ生成
部33は、このパラメータLを用いて、貢献量の合計値Cを補正する(L(C1+C2+
・・・+Cn))。なお、このパラメータLは、候補プロジェクトによるバリューチェー
ンの強さを示すパラメータである。
【0076】
また、例えば、プロジェクト組合せ生成部33は、提案フローを構成する各候補プロジ
ェクトの属性又は、連続する候補プロジェクト間の関係性に基づいて、貢献量の合計値C
を補正してもよい。
【0077】
例えば、提案装置30は、各候補プロジェクトを実行する事業者の業務遂行能力を示す
情報(以下、ノード強度という。例えば、過去のプロジェクトの実施回数、資本金等の経
済力の情報。)を予め記憶し又は個別プロジェクト実行者装置10から取得する。また、
提案装置30は、事業者間の関係性の強さを示す情報(以下、リンク強度という。例えば
、資本関係の情報。)を予め記憶し又は個別プロジェクト実行者装置10から取得する。
【0078】
そして、プロジェクト組合せ生成部33は、ノード強度に基づき、提案フローに係るパ
ラメータである点強連結度V(提案フローの連結性を失わせるために必要な候補プロジェ
クトの数)を算出する。また、プロジェクト組合せ生成部33は、ノード強度に基づき、
提案フロー係るパラメータである有効辺強連結度A(提案フローの連結性を失わせるため
に必要な、互いに隣接する候補プロジェクトの数)を算出する。そして、プロジェクト組
合せ生成部33は、点強連結度V及び有効辺強連結度Aを用いて、貢献量の合計値Cを補
正する((V×m+A×n)(C1+C2+C3+・・・)。m、nはそれぞれV及びA
の重みを表す係数。)。
【0079】
さらに、提案装置30は、提案フローの実行による経済的利益に基づき、貢献量Ciに
関連付けた参考値を算出してもよい(s306)。すなわち、提案装置30は、候補プロ
ジェクトを実行することによる事業者の売上金額(循環分売上)と、候補プロジェクトが
対象としている資源を用いたその事業者の全事業による売上合計金額(総売上)とを、予
め記憶し又は個別プロジェクト実行者装置10から取得する。そして、プロジェクト組合
せ生成部33は、提案フローの各候補プロジェクトについて、参考値として売上比率(循
環分売上)/(総売上)を算出する。
【0080】
これにより、同じ貢献量の候補プロジェクトが複数ある場合であっても、各事業者の事
業規模により、候補プロジェクトの経済的な的価値が異なることを把握することができる
。なお、ここで示した参考値である売上比率は一例であり、その他の経済指標を用いても
よい。
【0081】
次に、出力部34は、s303で特定した提案フローとともに、s305で算出した貢
献量(及び参考値)を、投資対象とすべきプロジェクトの情報として表示する所定の画面
(以下、投資提案画面という)を所定の装置(例えば、投資家装置40)に出力する。
【0082】
(投資提案画面)
図10は、投資提案画面の一例を示す図である。この投資提案画面1000には、資源
が循環している提案フローを構成する各候補プロジェクトに関する情報が各表示領域10
01に表示される。また、投資提案画面1000には、これらの各表示領域1001間を
連結する所定の図形1002(同図では、矢印)によって、循環図形(同図では、円)が
描画されている。
【0083】
また、投資提案画面1000には、提案フロー全体における貢献量1003が表示され
る。また、各候補プロジェクトの表示領域1001には、各候補プロジェクトの貢献量及
び参考値1004が表示される。
【0084】
なお、出力部34は、提案フローとして特定されなかった候補プロジェクトを示す投資
提案画面を出力してもよい。
【0085】
図11は、提案フローとして特定されなかった候補プロジェクトを示す投資提案画面の
一例を示す図である。この投資提案画面1100には、それぞれ独立して存在する各候補
プロジェクトに関する情報1101が表示される。
【0086】
以上のように、本実施形態の提案装置30は、所定資源(窒素、リン、カリウム)を処
理するプロジェクトの情報である個別業務クレジットデータを複数のプロジェクトについ
て生成し(個別プロジェクトクレジットデータ100)、資源(窒素、リン、カリウム)
に対する複数の処理の間の関係を示すデータ(選好度ルールデータ200)と、個別業務
クレジットデータとに基づき、上記複数のプロジェクトのうちいずれか複数のプロジェク
ト(候補プロジェクト)により構成されるプロジェクトのフローであって、上記所定資源
を循環させる提案フローを生成し、生成した提案フローを示す情報を出力装置に出力する
【0087】
すなわち、本実施形態の提案装置30は、各プロジェクトの情報から、所定資源を循環
させるようなプロジェクトのフローを生成してこれを提示することができる。これにより
、資源の循環、例えば生物地球化学的循環を促進するようなプロジェクトの組み合わせを
提案することができる。例えば、そのようなプロジェクトの組み合わせに対応する投資商
品の組み合わせを提案することができる。
【0088】
以上のように、本実施形態の提案装置30によれば、資源の循環を促進させるアクショ
ンの提案を行うことができる。
【0089】
また、本実施形態の提案装置30は、連続して行われる2つの処理における各処理の資
源の循環への寄与を示す選好度に基づき、提案フローを生成する。
【0090】
このように、連続して行われる2つの処理に着目した選好度に基づき提案フローを生成
することで、より効率のよい資源の循環を促進させることができる。
【0091】
また、本実施形態の提案装置30は、プロジェクトに係る処理が行われる地域のデータ
を含む個別業務クレジットデータを生成し、連続して行われる2つの処理の実行地域が同
一である場合の寄与を示す同一地域選好度と、上記個別業務クレジットデータとに基づき
、提案フローを生成する。
【0092】
このように、同一地域選好度を用いることで、同一地域で資源が循環するような提案フ
ローを生成することができる。これにより、例えば、特定の地域で資源が偏在している状
況(循環不全に陥っている状況)において、その地域での資源の循環を促進し偏在を解消
することができる。
【0093】
また、本実施形態の提案装置30は、プロジェクトに係る処理の種類のデータを含む個
別業務クレジットデータを生成し、連続して行われる2つの処理の順序及び種類に対応づ
けた寄与を示す効果選好度と、上記個別業務クレジットデータとに基づき、提案フローを
生成する。
【0094】
このように、効果選好度を用いることで、資源の循環を促進するような種類の処理を組
み合わせた提案フローを生成する。これにより、資源のより効率のよい循環を促進させる
ことができる。
【0095】
また、本実施形態の提案装置30は、プロジェクトの実行による経済的利益を示す情報
(本実施形態では、売上比率)を生成し、これを出力する。
【0096】
これにより、提案フローに関して、経済的観点からの情報を提示することができる。
【0097】
また、本実施形態の提案装置30は、プロジェクトに係る処理により処理される資源の
量である貢献量のデータに基づき、提案フローにより処理される資源の貢献量を算出し、
算出した貢献量を示す情報を出力する。
【0098】
このように、提案フローにおける資源の処理量の情報を提示することで、提案フローが
資源の循環に寄与する程度を知ることができる。
【0099】
また、本実施形態の提案装置30は、個別業務クレジットデータにおける処理の特徴を
表すパラメータ(重要度パラメータR、パラメータL、点強連結度V、有効辺強連結度A
)を算出し、算出したパラメータに基づき貢献量を補正する。
【0100】
これにより、資源の循環に対する提案フローの、資源の循環の実態又は経済的な事情に
応じた寄与を知ることができる。例えば、点強連結度Vを用いることで、提案フローにお
ける少数の事業者の事業停止でその提案フローが不成立となるリスクを考慮できる。また
、有効辺強連結度Aを用いることで、提案フローにおける少数の事業者間のパートナーシ
ップ解消によりその提案フローが不成立となるリスクを考慮できる。
【0101】
また、本実施形態の提案装置30に係る資源は、汚染物質である。これにより、例えば
、汚染物質の偏在又は滞留を原因とする種々の環境汚染を防止することができる。
【0102】
また、本実施形態の提案装置30に係る資源は、窒素、リン、又はカリウムである。こ
れにより、例えば、これらの物質が過剰になることによる海洋、河川、又は湖沼等の富栄
養化の防止、水産資源への悪影響、又は、これらの物質が不足することによる農地の生産
力の低下(肥料の供給不足)を防止することができる。
【0103】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、
任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例
であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではな
い。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定
されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の
範囲内に含まれる。
【0104】
例えば、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい
【0105】
また、各装置の各プログラムは他の装置に設けてもよいし、あるプログラムを複数のプ
ログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラムに統合して
もよい。
【0106】
また、本実施形態では、提案システム1は投資家に対する提案を行うためのシステムで
あるものとして説明したが、投資家に限らず、例えば、生物地球科学的循環の促進と関連
のある者一般に対する情報提供を行うシステムとされてもよい。
【0107】
また、提案システム1が対象する資源は、本実施形態で主に説明した窒素、リン、カリ
ウムに限られず、汚染物質一般、又はさらに所定地域を循環する任意の資源に対して適用
可能である。
【0108】
また、本実施形態で説明したプロジェクトの内容(処理の内容、種類等)は一例であり
、任意の業務内容を含んでいてよい。
【0109】
また、本実施形態で説明した選好度ルールデータ200の内容は一例であり、例えば、
プロジェクトの実行主体に関する選好度に基づくルールを設定してもよい。
【0110】
また、本実施形態で説明した、個別プロジェクトクレジットデータ生成処理s100に
おける貢献量の算出方法は一例であり、例えば、資源の輸送プロセス、資源の具体的な精
製方法、資源から生産される物質の種類等の他の要素を加味しても良い。例えば、企業等
のIR(Investor Relations)情報、特に環境パフォーマンスデータを利用することがで
きる。
【0111】
また、本実施形態で説明した、プロジェクト組合せ生成処理s300における候補プロ
ジェクトの組み合わせ(提案フロー)の特定方法(トップトレーディングサイクルメカニ
ズムの適用)は一例であり、資源の循環(の一部)を実現できる候補プロジェクトの組み
合わせ(順列)を発見できる任意のアルゴリズムを採用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 提案システム、30 提案装置、200 選好度ルールデータ、300 選好度表デ
ータ、100 個別プロジェクトクレジットデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11