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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145865
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】飲み口付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B65D47/08 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058410
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 達哉
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CB03
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA01
3E084FB01
3E084FC13
3E084FC15
3E084FC18
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB06
3E084GB23
3E084KB01
3E084LA18
3E084LC02
3E084LC06
(57)【要約】
【課題】 押ボタン部の押し込み操作によりワンタッチで蓋体を開蓋できるとともに、キャップ体に飲み口を設ける位置の自由度が高い飲み口付き容器を提供すること。
【解決手段】 容器本体Aの開口部に装着されるキャップ体Bと、キャップ体Bに設けられる飲み口(ストロー部材C)と、キャップ体Bにヒンジ機構を介して開閉可能に装着される蓋体Dとを備える飲み口付き容器であって、キャップ体Bは、押し込み操作により蓋体Dを開蓋する押ボタン部E1と、押ボタン部E1を弾性変形により押し戻す弾性バネ部E2とを有し、蓋体Dは、押ボタン部E1が操作されるまで閉蓋を維持する係止片34を有し、弾性バネ部E2は、内方に飲み口を取り囲む空間αを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部に装着されるキャップ体と、キャップ体に設けられる飲み口と、キャップ体にヒンジ機構を介して開閉可能に装着される蓋体とを備える飲み口付き容器であって、
キャップ体は、押し込み操作により蓋体を開蓋する押ボタン部と、押ボタン部を弾性変形により押し戻す弾性バネ部とを有し、
蓋体は、押ボタン部が操作されるまで閉蓋を維持する係止片を有し、
弾性バネ部は、内方に飲み口を取り囲む空間を有することを特徴とする飲み口付き容器。
【請求項2】
押ボタン部は、押し込み方向側に弾性バネ部が一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の飲み口付き容器。
【請求項3】
飲み口は、キャップ体の中心から押し戻し方向側に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の飲み口付き容器。
【請求項4】
蓋体は、係止片に設けられ、押ボタン部と係合可能な係止受部を有し、
押ボタン部は、蓋体の係止受部と係合可能な係止突部を有し、
弾性バネ部は、押ボタン部から押し込み側に変形可能な薄肉でリング状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の飲み口付き容器。
【請求項5】
蓋体は、係止片に設けられ、押ボタン部と係合可能な係止受部を有し、
押ボタン部は、蓋体の係止受部と係合可能な係止突部を有し、
弾性バネ部は、押ボタン部から押し込み側に変形可能な薄肉でリング状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の飲み口付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を収容する容器に関し、とくに、直接口をつける飲み口を備える飲み口付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器本体内に飲料を収容し、キャップ体を装着したままで、乳幼児などが口をつけて飲料を飲むために、ストローや吸い口などの飲み口を備える飲み口付き容器が知られている。
この飲み口付き容器では、衛生的に繰り返し使用するために、容器本体から蓋体付きのキャップ体を取り外し、このキャップ体の各部材を分解して洗浄し、洗浄後に再び各部材を元の状態に組み立てる必要があった。
【0003】
この問題に対処するため、容器本体の口部に着脱自在に嵌装されるキャップ体と、このキャップ体に回動自在に枢支された蓋体とを備えるストロー(飲み口)付き容器において、キャップ体と蓋体とはヒンジ機構により着脱自在に設けられ、また、蓋体の外周位置には常時はバネ部材により外方に付勢される押ボタン部を設けるとともに、この押ボタン部には蓋体の閉蓋時においてキャップ体の上面に立設した係止部と係合する係合受部が設けられ、キャップ体と蓋体とが完全に洗浄できるようにされたストロー(飲み口)付き容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-205958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のストロー(飲み口)付き容器では、閉蓋された蓋体を開ける際に操作する押ボタン部材は、押ボタン部と隣接してバネ部材が配置されているため、ストローなどの飲み口を設ける位置が制限されるという問題があった。
また、押ボタン部とバネ部材とが別体で設けられているため、キャップ体および蓋体を洗浄する際に、押ボタン部とバネ部材とを別々に分解する必要があり、分解、洗浄および組み立てに手間を要するという問題があった。
さらに、分解した部材が小さいために、乳幼児が誤飲するリスクもあった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、押ボタン部の押し込み操作によりワンタッチで蓋体を開蓋できるとともに、キャップ体に飲み口を設ける位置の自由度が高い飲み口付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、飲み口付き容器として、容器本体の開口部に装着されるキャップ体と、キャップ体に設けられる飲み口と、キャップ体にヒンジ機構を介して開閉可能に装着される蓋体とを備える飲み口付き容器であって、キャップ体は、押し込み操作により蓋体を開蓋する押ボタン部と、押ボタン部を弾性変形により押し戻す弾性バネ部とを有し、蓋体は、押ボタン部が操作されるまで閉蓋を維持する係止片を有し、弾性バネ部は、内方に飲み口を取り囲む空間を有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
飲み口付き容器の実施形態として、押ボタン部は、押し込み方向側に弾性バネ部が一体に形成されることを特徴とする構成を採用し、また、飲み口は、キャップ体の中心から押し戻し方向側に設けられることを特徴とする構成を採用し、また、蓋体は、係止片に設けられ、押ボタン部と係合可能な係止受部を有し、押ボタン部は、蓋体の係止受部と係合可能な係止突部を有し、弾性バネ部は、押ボタン部から押し込み側に変形可能な薄肉でリング状に形成されることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の飲み口付き容器は、上記構成を採用することにより、押ボタン部を弾性変形により押し戻す弾性バネ部の内方に、飲み口を取り囲む空間が確保できる。
また、本発明の飲み口付き容器は、押ボタン部と弾性バネ部とを連続する1つの部材で形成することができるとともに、1つの大きな部材として作ることができるので、分解、洗浄および組み立てを簡単に行うことができるとともに、乳幼児が口に入れて誤飲してしまうリスクを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の飲み口付き容器の実施例であるストロー付き容器の閉蓋時の状態を示す側面断面図である。
図2】本発明の飲み口付き容器の実施例であるストロー付き容器を示す図で、(a)正面図、(b)は側面図である。
図3】本発明の飲み口付き容器の実施例であるストロー付き容器のキャップ体および蓋体を組み立てた状態を示す図で、(a)は側面断面図、(b)は下面図である。
図4】本発明の飲み口付き容器の実施例であるストロー付き容器の押ボタン部材を示す図で、(a)上面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
図5】本発明の飲み口付き容器の実施例であるストロー付き容器の開蓋操作時の状態を示す図で、(a)は側面断面図、(b)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、飲み口付き容器について、以下のストロー付き容器として具体化した実施例に示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図1でみて、上方向を「上」、下方向を「下」、左方向を「正面側(ヒンジと反対側)」、右方向を「背面側(ヒンジ側)」とする。
【0012】
図1および図2において、Aは飲料などの内容液を収容する容器本体、Bは容器本体Aの開口部に装着されるキャップ体、Cはキャップ体Bの中央付近を貫通して装着される飲み口としての弾性変形可能なストロー部材、Dはキャップ体Bにヒンジ機構を介して開閉可能に装着される蓋体、Eはキャップ体Bの正面側(ヒンジと反対側)から背面側(ヒンジ側)へ向けて押し込み可能に装着される弾性変形可能な押ボタン部材、Fは容器本体Aに着脱自在に装着される把手部材である。
【0013】
容器本体Aは、上部に形成される円筒状の口筒部1と、口筒部1の下部から拡径する肩部2と、肩部2の外縁から垂設される有底円筒状の胴部3とから構成され、口筒部1外周には、キャップ体Bを螺合して装着する雄ねじ部4が螺設されている。
【0014】
キャップ体Bは、図1図3に示すように、内周が容器本体Aの口筒部1外周に螺合して装着される外筒壁5と、外筒壁5上端内縁から延設されるリング状の上壁6とから構成され、上壁6には、中央より正面側に偏心した位置に配設され、内縁にストロー部材Cを貫通して装着する装着口7と、背面側に後述する蓋ヒンジ部D2とヒンジ機構を構成するヒンジ部8とが形成され、外筒壁5の正面側には、押ボタン案内部9が形成されている。
外筒壁5の内周には、口筒部1の雄ねじ部4に螺合する雌ねじ部10が螺設されている。
【0015】
上壁6には、図1および図3に示すように、下面中央部に、平行する背面側直線部12aおよび正面側直線部12bと、それぞれの両側を繋ぐ円弧部12cと円弧部12dとでトラック楕円形状に形成された下面凹部12が凹設され、下面凹部12が凹設された上壁6の凹壁6aには、中央より背面側に偏心した位置に開口した装着口7が配設されている。
【0016】
上壁6の正面側には、内方の正面側直線部12bの上下端および両側端から正面側に向って平行に伸びて開口され、押ボタン部材Eを案内する押ボタン案内口13が穿設されている。
また、下面凹部12の背面側直線部12aには、中央部から所定の距離隔てた位置に、押ボタン部材Eと当接する一対の当接突部14が突設されている。
【0017】
ヒンジ部8は、上壁6の背面側上面から切り欠かれる切り欠け段部16と、切り欠け段部16の背面側中央からヒンジ機構の軸受けとなる軸受け部17が突設されている。
【0018】
押ボタン案内部9は、外筒壁5の外周上端から凹設され、押ボタン部材Eの押し込み範囲を決める内側段面19aと底面19bと両側の側段面19cとからなる下凹段部19と、外筒壁5の下凹段部19の底面19bと両側の側段面19cの縁から正面側に突設される下案内壁部20とで構成されている。
【0019】
ストロー部材Cは、図3に示すように、弾性変形可能な軟材質のシリコンゴムなどで形成され、キャップ体Bの上壁6の装着口7に、外周に凹設された嵌合溝26が嵌合して装着され、装着口7を塞ぐとともに、内方に流路が穿設されたリング状の栓部25と、栓部25の上面から正面側に傾斜して上方に伸び、内方が流路となる上ストロー筒27と、栓部25の下面から下方に伸び、内方が流路となる下ストロー筒28とから構成されている。
下ストロー筒28は、図1に示すように、使用時に、容器本体Aの胴部3の底方から内容液を最後まで吸い込み易いように、下端が胴部3の底面外周側に近接するように形成されている。
【0020】
蓋体Dは、図1図3に示すように、キャップ体Bの上部を閉塞する蓋部D1と、蓋部D1の背面側に連設されキャップ体Bのヒンジ部8の軸受け部17と係合してヒンジ機構となる蓋ヒンジ部D2とから構成されている。
【0021】
蓋部D1は、平坦な頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設される外周壁31とから構成され、ストロー部材Cの上ストロー筒27およびキャップ体Bの上壁6の背面側から正面側までを覆っている。
頂壁30の中央付近には、閉蓋時に先端がストロー部材Cの正面側に傾斜する上ストロー筒27の傾斜上面と当接し、上ストロー筒27の途中を押し潰し、流路を塞ぐ、押し込み片32垂設されている。
【0022】
外周壁31の正面側には、閉蓋時にキャップ体Bの押ボタン案内部9の下凹段部19の上方に、同じ幅で下端から切り欠かれ、押ボタン部材Eの押し込みを案内する上凹段部33が凹設され、上凹段部33の中央には、押ボタン部材Eと係合し、閉蓋を維持する係止片34が配設され、係止片34の内方面下端には、係止受部35が突設されている。
また、外周壁31には、上凹段部33から正面側に向かい上案内壁部36が突設されている。
【0023】
蓋ヒンジ部D2は、蓋部D1の外周壁31の背面側から伸び、容器組み立て時に、キャップ体Bのヒンジ部8の軸受け部17の両側を挟む一対の背面側壁38が突設され、一対の背面側壁38の間には、軸受け部17と係合してヒンジ機構をなす軸部39が形成されている。
【0024】
押ボタン部材Eは、図3および図4に示すように、押し込み操作で蓋体Dを開蓋する正面側の押ボタン部E1と、押ボタン部E1の背面側(押し込み方向側)に連設され、弾性変形して押ボタン部E1を押し戻すように、薄肉でリング状に形成される弾性バネ部E2とから構成されている。
また、押ボタン部材Eは、弾性変形可能な材質として、ポリアセタール樹脂(POM)やポリプロピレン樹脂(PP)等を選定できるが、乳幼児に使用する場合は、PPが適している。
【0025】
押ボタン部E1は、閉蓋時に、キャップ体Bの下案内壁部20および下凹段部19と、蓋体Dの上案内壁部36との間で案内される押板部40と、押板部40の背面側上部に連設され、キャップ体Bの上壁6と蓋体Dの上凹段部33との内方、およびキャップ体Bの押ボタン案内口13により案内される押し込み板部41とから構成され、押し込み板部41には、蓋部D1の係止片34が通過できる大きさの係止開口42が穿設されている。
係止開口42の背面側には、上方面が係止片34の係止受部35が乗り越える傾斜面43aとなり、下面が蓋体Dの係止受部35と係合して係止する係止下面43bとなる係止突部43が突設されている。
【0026】
弾性バネ部E2は、押ボタン部E1の押し込み板部41の背面側両端部から背面側に変形可能な薄肉で平行して伸びる一対の弾性直壁部45と、それぞれの弾性直壁部45の背面側端から外方に伸びる半円状の弾性円弧壁部46と、弾性円弧壁部46の両先端部を繋ぐ弾性背面側壁部47とからリング状に形成され、内方にストロー部材Cを取り囲む空間αが形成されている。
また、弾性バネ部E2は、両側の弾性直壁部45の外側が、押ボタン部E1の押し込み板部41の両側から続き、幅がキャップ体Bの押ボタン案内口13内方で案内される幅となっており、容器組み立て後、平常時には、弾性直壁部45の外側面が、キャップ体Bの下面凹部12の背面側直線部12aの当接突部14と当接し、内方の空間α内にストロー部材Cの栓部25がセットされるようになっている。
【0027】
把手部材Fは、図1および図2に示すように、セット時に、容器本体Aの肩部2上面とキャップ体Bの外筒壁5の下端面との間で狭持してセットされる狭持部50と、狭持部50の外縁から拡径して垂設され、胴部3の外周上部を覆う外壁51と、外壁51の外側に、手で持ち易いように配設される一対の把手部52とから構成されている。
【0028】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のストロー付き容器は、まず、キャップ体Bの上壁6の押ボタン案内口13から押ボタン部材Eを弾性バネ部E2側から挿入していく。
弾性バネ部E2を押ボタン案内口13内に挿入する際に、まず、押ボタン案内口13の両側面に弾性バネ部E2のそれぞれの弾性円弧壁部46が当接し、挿入が進むと、一旦、弾性円弧壁部46および弾性背面側壁部47が変形して潰れ、弾性円弧壁部46の外側面が押ボタン案内口13の両側面に摺接しながら、挿入されていく。
【0029】
さらに、挿入が進むと、弾性円弧壁部46の外側面が、押ボタン案内口13の両側面から、キャップ体Bの上壁6の下面凹部12の円弧部12c、12d内に侵入し、弾性円弧壁部46および弾性背面側壁部47の変形が解消し、弾性バネ部E2が元の形状に復元する。
最後は、弾性背面側壁部47の背面側面に下面凹部12の背面側直線部12aの当接突部14が当接して押ボタン部材Eの挿入が止められ、キャップ体Bに押ボタン部材Eが装着される。
【0030】
押ボタン部材Eは、図3に示すように、弾性バネ部E2の両側の弾性直壁部45の外側面がキャップ体Bの押ボタン案内口13の両内側面により案内されるとともに、押ボタン部E1の押板部40の側面と下面がキャップ体Bの下案内壁部20の側面と下面に当接し、押し込み板部41の側面および下面が、キャップ体Bの下凹段部19のそれぞれの側段面19cおよび上壁6の上面に当接して押し込みの方向を案内し、また、押し込み板部41の係止開口42が押ボタン案内口13より外側にある状態でキャップ体Bに装着される。
【0031】
次いで、キャップ体Bの上壁6の装着口7にストロー部材Cを挿入し、装着口7に栓部25の嵌合溝26を嵌合させ、ストロー部材Cをキャップ体Bの上壁6に装着する。
ストロー部材Cの下部がキャップ体Bに装着された押ボタン部材Eの弾性バネ部E2の空間α内であれば、押ボタン部材Eの弾性バネ部E2の弾性変形の邪魔にならないので、ストロー部材Cおよび装着口7の中心を正面側に偏心させて形成することができる。
【0032】
次いで、キャップ体Bのヒンジ部8の軸受け部17に、蓋体Dの蓋ヒンジ部D2の軸部39を係合させ、蓋体Dをキャップ体Bにヒンジ機構を介して開閉自在に装着する。
【0033】
蓋体Dをキャップ体Bに閉蓋する際には、蓋ヒンジ部D2の軸部39を支点として、蓋部D1が閉蓋方向に回動していき、まず、蓋部D1内方の押し込み片32がストロー部材Cの上ストロー筒27の上方面に当接し、回動が進むと、上ストロー筒27を上方から押し潰していき、次に、蓋部D1の係止片34が押ボタン部材Eの押し込み板部41の係止開口42に挿入されて、係止片34の係止受部35下面が、係止開口42の係止突部43の傾斜面43aに当接し、さらに回動が進むと、係止受部35が係止突部43を押し込んでいき、押ボタン部材Eをキャップ体Bに対して僅かに背面側に押し込み、キャップ体Bの当接突部14に当接した弾性バネ部E2を押し込み、とくに両方の弾性円弧壁部46および弾性背面側壁部47を潰して変形させていく。
【0034】
最後は、係止片34の係止受部35が係止突部43を乗り越え、押し込みが解消され、変形していた弾性バネ部E2(とくに両方の弾性円弧壁部46および弾性背面側壁部47)が復元して、速やかに押ボタン部材Eを押し戻し、図1に示すように、蓋部D1の係止片34の係止受部35の上面が、押ボタン部材Eの係止突部43の係止下面43bと当接して、引っ掛かり、閉蓋を維持するとともに、蓋体Dの外周壁31下端面がキャップ体Bの上壁6の上面に当接し、閉蓋される。
【0035】
閉蓋時には、蓋体Dの上案内壁部36および上凹段部33の上面と両側面が、押ボタン部材Eの押ボタン部E1の押板部40および押し込み板部41の上面と両側面と当接して、キャップ体Bとともに、押ボタン部材Eの移動を案内する。
また、閉蓋中には、ストロー部材Cの上ストロー筒27が蓋部D1の押し込み片32で上方から押し潰され、上ストロー筒27の流路が完全に塞がれるとともに、押し潰された上ストロー筒27の弾性により、押し込み片32および蓋体Dが上方に押し戻そうとする力が掛かるが、押ボタン部材Eと蓋体Dとの係合により閉蓋が維持される。
【0036】
以上のように、ストロー部材C、押ボタン部材Eおよび蓋体Dのセット後、閉蓋したキャップ体Bは、内容液を充填した容器本体Aの口筒部1に把手部材Fを間に挟んで装着し、本実施例のストロー付き容器とする。
【0037】
本実施例のストロー付き容器は、閉蓋中に、ストロー部材Cの上ストロー筒27が蓋部D1の押し込み片32で上方から押し潰され、上ストロー筒27の流路が完全に塞がれ、密封されているので、容器本体A内の内容液がストロー部材Cの流路を通り抜け、キャップ体Bの上面を汚したり、蓋体D内に溢れ出したりすることがない。
また、閉蓋中は、蓋部D1の係止片34の係止受部35が、押ボタン部材Eの係止突部43の係止下面43bと当接して、引っ掛かるとともに、弾性バネ部E2とキャップ体Bの当接により、弾性バネ部E2の弾性による押し戻しが抵抗となり、閉蓋状態が維持される。
【0038】
容器本体A内の内容液を使用する際には、まず、キャップ体Bおよび蓋体Dに対して押ボタン部材Eの押板部40を押し込むと、キャップ体Bの当接突部14に当接した弾性バネ部E2を押し込み、両側の弾性円弧壁部46および弾性背面側壁部47を潰して変形させ、押ボタン部E1が押し込まれていく。
すると、図5に示すように、押ボタン部E1の係止突部43の係止下面43bと蓋部D1の係止片34の係止受部35との係合が外されていく。
【0039】
押ボタン部E1の係止突部43と蓋部D1の係止片34の係止受部35との係合が外されると、蓋体Dの押し込み片32で押し潰された上ストロー筒27の弾性が開放され、押し込み片32および蓋体Dを上方に押し戻し、蓋ヒンジ部D2の軸部39を支点に、蓋部D1が開蓋していき、最後は、図3に示すように、蓋体Dが開蓋した状態となるとともに、上ストロー筒27が完全に復元し、ストロー部材C内の流路が開かれる。
【0040】
押ボタン部E1を押し込んでいくと、押ボタン部E1の押板部40の下方の内方面が、キャップ体Bの下凹段部19の内側段面19aに当接し、押ボタン部E1の押し込みが止められ、開蓋後、押板部40の押し込みを止めることで、弾性バネ部E2の復元による弾性により、押ボタン部E1が押し戻され、押ボタン部材Eがキャップ体B内で元の状態となる。
開蓋後には、上ストロー筒27に口を付けて吸い込むと、ストロー部材Cを介して容器本体A内の内容液を吸引して使用することができる。
【0041】
容器本体A内の内容液を使用後には、再び蓋体Dを閉蓋することで、閉蓋を維持するとともに、ストロー部材Cの上ストロー筒27を押し潰して、容器内を密封することができ、蓋体Dの開閉を繰り返して使用することができる。
【0042】
本実施例では、押ボタン部材Eは、押し込んで開蓋を操作する押ボタン部E1と、弾性変形し押ボタン部E1を押し戻す弾性バネ部E2とが一体に形成されるので、部材が1つとなり、閉蓋を維持させる係止部材と、係止部材を押し付けるバネ部材とが別体であるものに比べ、部材数が少なく、分解、洗浄および組み立てを簡単に行うことができる。
【0043】
また、従来であれば係止部材を押し付けるバネ部材を正面側に設定すると、バネ部材が邪魔にならないように、ストロー部材Cを背面側に持っていかなくてはならないが、押ボタン部材Eの弾性バネ部E2内の空間αにストロー部材Cを配置することができるので、バネ部材の配置場所の制約が少なく、ストロー部材Cの位置を自由に設定することができる。
さらに、押ボタン部材Eは、1つの部材としてサイズを大きくすることができるので、乳幼児が口に入れ誤飲してしまうリスクを軽減できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の飲み口付き容器は、押ボタン部を弾性変形により押し戻す弾性バネ部の内方に、飲み口を取り囲む空間が確保でき、さらに、押ボタン部と弾性バネ部とを連続する1つの部材で形成することで、1つの大きな部材として作ることができるので、分解、洗浄および組み立てを簡単に行うことができるとともに、乳幼児が口に入れて誤飲してしまうリスクを軽減でき、乳幼児などが使用する飲料用の飲み口付き容器として好適である。
【符号の説明】
【0045】
A 容器本体
B キャップ体
C ストロー部材
D 蓋体
D1 蓋部
D2 蓋ヒンジ部
E 押ボタン部材
E1 押ボタン部
E2 弾性バネ部
F 把手部材
α 空間
1 口筒部
2 肩部
3 胴部
4 雄ねじ部
5 外筒壁
6 上壁
6a 凹壁
7 装着口
8 ヒンジ部
9 押ボタン案内部
10 雌ねじ部
12 下面凹部
12a 背面側直線部
12b 正面側直線部
12c、12d 円弧部
13 押ボタン案内口
14 当接突部
16 切り欠け段部
17 軸受け部
19 下凹段部
19a 内側段面
19b 底面
19c 側段面
20 下案内壁部
25 栓部
26 嵌合溝
27 上ストロー筒
28 下ストロー筒
30 頂壁
31 外周壁
32 押し込み片
33 上凹段部
34 係止片
35 係止受部
36 上案内壁部
38 背面側壁
39 軸部
40 押板部
41 押し込み板部
42 係止開口
43 係止突部
43a 傾斜面
43b 係止下面
45 弾性直壁部
46 弾性円弧壁部
47 弾性背面側壁部
50 狭持部
51 外壁
52 把手部
図1
図2
図3
図4
図5