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特開2024-145878三次元計測システム及び穿刺システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024145878
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】三次元計測システム及び穿刺システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/103 20060101AFI20241004BHJP
   A61B 5/153 20060101ALI20241004BHJP
   G06T 7/521 20170101ALI20241004BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B5/103
A61B5/153 300
G06T7/521
G06T7/00 612
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058429
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】竹林 正明
【テーマコード(参考)】
4C038
5L096
【Fターム(参考)】
4C038TA03
4C038TA10
4C038UF01
4C038VB40
4C038VC02
5L096AA02
5L096AA09
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA09
5L096CA17
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA38
(57)【要約】
【課題】穿刺を行う場合などにおいて、血管領域の三次元的な位置を把握することが可能な三次元計測システムを提供すること。
【解決手段】三次元計測システム1であって、血液が存在する血管領域を含む被検体に測定光Lを投光する投光部10と、被検体に投光された測定光Lの戻り光Rを撮像する撮像部50と、制御部100と、を備え、投光部10は、測定光Lを走査する走査部40を有し、測定光Lは、血液が存在する血管領域とそれ以外の生体組織との間で異なる光学特性を有する特定波長の光であり、制御部100は、三次元位置決定部140を有し、三次元位置決定部140は、投光部10と撮像部50との間の距離である基線長BLと、基線長BLの延びる方向と測定光Lの投光方向とのなす角である投光角度θと、撮像部50により撮像された測定光Lの戻り光Rの情報と、に基づいて、血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液が存在する血管領域を含む被検体に測定光を投光する投光部と、
前記被検体に投光された前記測定光の戻り光を撮像する撮像部と、
制御部と、を備え、
前記投光部は、前記測定光を走査する走査部を有し、
前記測定光は、血液が存在する血管領域とそれ以外の生体組織との間で異なる光学特性を有する特定波長の光であり、
前記制御部は、三次元位置決定部を有し、
前記三次元位置決定部は、
前記投光部と前記撮像部との間の距離である基線長と、
前記基線長の延びる方向と前記測定光の投光方向とのなす角である投光角度と、
前記撮像部により撮像された前記測定光の戻り光の情報と、に基づいて、
前記血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する、三次元計測システム。
【請求項2】
前記測定光はライン光であり、
前記走査部は、前記ライン光を、前記ライン光のライン延在方向と垂直な方向に一次元走査を行う、
請求項1に記載の三次元計測システム。
【請求項3】
前記走査部は、前記投光角度を変化させる投光角度可変部である、
請求項1又は請求項2に記載の三次元計測システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記投光角度の情報を決定する投光角度情報決定部を有し、
前記三次元位置決定部は、前記投光角度情報決定部により決定された前記投光角度の情報に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する、
請求項1又は請求項2に記載の三次元計測システム。
【請求項5】
前記基線長を変化させる基線長可変部を備え、
前記制御部は、前記基線長可変部により変化する前記基線長の情報を決定する基線長情報決定部を有し、
前記三次元位置決定部は、前記基線長情報決定部により決定された前記基線長の情報に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する、
請求項1又は請求項2に記載の三次元計測システム。
【請求項6】
前記投光部は、前記走査部の走査により、投光角度を変化させながら測定光を投光し、
前記三次元位置決定部は、前記撮像部により撮像された異なる投光角度における測定光の戻り光の情報に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元形状を決定する、
請求項1又は請求項2に記載の三次元計測システム。
【請求項7】
前記測定光は、波長の異なる複数の測定光を有し、
前記複数の測定光は、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンに対する吸光特性が異なり、
前記制御部は、画像解析部と、出力部を有し、
前記画像解析部は、前記撮像部により撮像された前記波長の異なる複数の測定光の戻り光の情報に基づいて、静脈と動脈とを分別し、
前記出力部は、前記三次元位置決定部により決定された前記血液が存在する血管領域の三次元位置を、静脈であるか動脈であるかを分別して出力可能である、
請求項1又は請求項2に記載の三次元計測システム。
【請求項8】
前記測定光は、第1測定光と、前記第1測定光とは波長の異なる第2測定光を有し、
酸素化ヘモグロビンにおける前記第1測定光の吸収率は、脱酸素化ヘモグロビンにおける前記第1測定光の吸収率よりも高く、
酸素化ヘモグロビンにおける前記第2測定光の吸収率は、脱酸素化ヘモグロビンにおける前記第2測定光の吸収率よりも低く、
前記画像解析部は、前記撮像部により撮像された前記第1測定光の戻り光の情報と、前記第2測定光の戻り光の情報に基づいて、静脈と動脈とを分別する、
請求項7に記載の三次元計測システム。
【請求項9】
前記測定光は、前記第1測定光及び前記第2測定光とは波長の異なる第3測定光を有し、
酸素化ヘモグロビンにおける前記第3測定光の吸収率と、脱酸素化ヘモグロビンにおける前記第3測定光の吸収率は略等しく、
前記画像解析部は、前記撮像部により撮像された前記第1測定光の戻り光の情報と、前記第2測定光の戻り光の情報と、前記第3測定光の戻り光の情報とに基づいて、静脈と動脈とを分別する、
請求項8に記載の三次元計測システム。
【請求項10】
前記投光部は、前記測定光に加えて、少なくとも皮膚表面で反射する波長帯域を含む光であって、前記測定光とは波長の異なるモニタ光を前記被検体に投光可能であり、
前記投光部は、前記走査部の走査により、投光角度を変化させながら前記測定光及び前記モニタ光を投光し、
前記三次元位置決定部は、前記撮像部により撮像された異なる投光角度における前記測定光及び前記モニタ光の戻り光の情報に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元形状及び前記皮膚表面の三次元形状を決定し、
前記制御部は、出力部を有し、
前記出力部は、前記血液が存在する血管領域の三次元形状の情報と、前記皮膚表面の三次元形状の情報を関連付けた状態で出力可能である、
請求項1又は請求項2に記載の三次元計測システム。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の三次元計測システムと、穿刺制御部と、穿刺部とを備えた穿刺システムであって、
前記穿刺制御部は、前記三次元計測システムにより決定された前記血液が存在する血管の三次元位置の情報に基づいて、前記穿刺部を制御する、穿刺システム。
【請求項12】
前記撮像部は、前記穿刺部の針への血液の流入状況を撮像可能に設けられ、
前記制御部は、画像解析部を有し、
前記画像解析部は、前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記針への血液の流入を判定し、
前記穿刺制御部は、前記画像解析部の判定結果に基づき、前記穿刺部を制御する、
請求項11に記載の穿刺システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元計測システム及び穿刺システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場においては、薬剤投与、採血、或いは血液透析等のため、日々多数回の血管への注射針の穿刺が医療従事者によって行われている。
しかしながら、近年、医療従事者の不足が深刻化することが懸念されている。その一方で、医療従事者を必要とする高齢者が増加する傾向にある。このことから、医療機関における医療行為の自動化、省力化が期待されている。
特許文献1には、皮膚表層部の血管像を取得し、血管と採血用針との相対的位置情報に基づき、採血用針を移動させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-164123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される技術においては、血管の三次元的な位置を把握することはできない。よって、穿刺を行う場合などにおいて、血管の正確な位置を把握することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、穿刺を行う場合などにおいて、血管領域の三次元的な位置を把握することが可能な三次元計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、血液が存在する血管領域を含む被検体に測定光を投光する投光部と、前記被検体に投光された前記測定光の戻り光を撮像する撮像部と、制御部と、を備え、前記投光部は、前記測定光を走査する走査部を有し、前記測定光は、血液が存在する血管領域とそれ以外の生体組織との間で異なる光学特性を有する特定波長の光であり、前記制御部は、三次元位置決定部を有し、前記三次元位置決定部は、前記投光部と前記撮像部との間の距離である基線長と、前記基線長の延びる方向と前記測定光の投光方向とのなす角である投光角度と、前記撮像部により撮像された前記測定光の戻り光の情報と、に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する三次元計測システムに関する。
【0007】
(2)また、(1)の三次元計測システムにおいて、前記測定光はライン光であり、前記走査部は、前記ライン光を、前記ライン光のライン延在方向と垂直な方向に一次元走査を行うことが好ましい。
【0008】
(3)また、(1)又は(2)の三次元計測システムにおいて、前記走査部は、前記投光角度を変化させる投光角度可変部であることが好ましい。
【0009】
(4)また、(1)~(3)の三次元計測システムにおいて、前記制御部は、前記投光角度の情報を決定する投光角度情報決定部を有し、前記三次元位置決定部は、前記投光角度情報決定部により決定された前記投光角度の情報に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元位置を決定することが好ましい。
【0010】
(5)また、(1)~(4)の三次元計測システムにおいて、前記基線長を変化させる基線長可変部を備え、前記制御部は、前記基線長可変部により変化する前記基線長の情報を決定する基線長情報決定部を有し、前記三次元位置決定部は、前記基線長情報決定部により決定された前記基線長の情報に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元位置を決定することが好ましい。
【0011】
(6)また、(1)~(5)の三次元計測システムにおいて、前記投光部は、前記走査部の走査により、投光角度を変化させながら測定光を投光し、前記三次元位置決定部は、前記撮像部により撮像された異なる投光角度における測定光の戻り光の情報に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元形状を決定することが好ましい。
【0012】
(7)また、(1)~(6)の三次元計測システムにおいて、前記測定光は、波長の異なる複数の測定光を有し、前記複数の測定光は、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンに対する吸光特性が異なり、前記制御部は、画像解析部と、出力部を有し、前記画像解析部は、前記撮像部により撮像された前記波長の異なる複数の測定光の戻り光の情報に基づいて、静脈と動脈とを分別し、前記出力部は、前記三次元位置決定部により決定された前記血液が存在する血管領域の三次元位置を、静脈であるか動脈であるかを分別して出力可能であることが好ましい。
【0013】
(8)また、(7)の三次元計測システムにおいて、前記測定光は、第1測定光と、前記第1測定光とは波長の異なる第2測定光を有し、酸素化ヘモグロビンにおける前記第1測定光の吸収率は、脱酸素化ヘモグロビンにおける前記第1測定光の吸収率よりも高く、酸素化ヘモグロビンにおける前記第2測定光の吸収率は、脱酸素化ヘモグロビンにおける前記第2測定光の吸収率よりも低く、前記画像解析部は、前記撮像部により撮像された前記第1測定光の戻り光の情報と、前記第2測定光の戻り光の情報に基づいて、静脈と動脈とを分別することが好ましい。
【0014】
(9)また、(8)の三次元計測システムにおいて、前記測定光は、前記第1測定光及び前記第2測定光とは波長の異なる第3測定光を有し、酸素化ヘモグロビンにおける前記第3測定光の吸収率と、脱酸素化ヘモグロビンにおける前記第3測定光の吸収率は略等しく、前記画像解析部は、前記撮像部により撮像された前記第1測定光の戻り光の情報と、前記第2測定光の戻り光の情報と、前記第3測定光の戻り光の情報とに基づいて、静脈と動脈とを分別することが好ましい。
【0015】
(10)また、(1)~(9)の三次元計測システムにおいて、前記投光部は、前記測定光に加えて、少なくとも皮膚表面で反射する波長帯域を含む光であって、前記測定光とは波長の異なるモニタ光を前記被検体に投光可能であり、前記投光部は、前記走査部の走査により、投光角度を変化させながら前記測定光及び前記モニタ光を投光し、前記三次元位置決定部は、前記撮像部により撮像された異なる投光角度における前記測定光及び前記モニタ光の戻り光の情報に基づいて、前記血液が存在する血管領域の三次元形状及び前記皮膚表面の三次元形状を決定し、前記制御部は、出力部を有し、前記出力部は、前記血液が存在する血管領域の三次元形状の情報と、前記皮膚表面の三次元形状の情報を関連付けた状態で出力可能であることが好ましい。
【0016】
(11)本発明は、(1)~(10)の三次元計測システムと、穿刺制御部と、穿刺部とを備えた穿刺システムであって、前記穿刺制御部は、前記三次元計測システムにより決定された前記血液が存在する血管の三次元位置の情報に基づいて、前記穿刺部を制御する穿刺システムに関する。
【0017】
(12)また、(11)の穿刺システムにおいて、前記撮像部は、前記穿刺部の針への血液の流入状況を撮像可能に設けられ、前記制御部は、画像解析部を有し、前記画像解析部は、前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記針への血液の流入を判定し、前記穿刺制御部は、前記画像解析部の判定結果に基づき、前記穿刺部を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、穿刺を行う場合などにおいて、血管領域の三次元的な位置を把握することが可能な三次元計測システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態の三次元計測システムを、機能ブロックで示した図である。
図2】上記実施形態の三次元計測システムの構成及び測定原理を概念的に示す図である。
図3】上記実施形態の三次元計測システムの構成及び測定原理を概念的に示す図である。
図4】上記実施形態のモザイクフィルタを示す図である。
図5】上記実施形態の制御部を、機能ブロックで示した図である。
図6】酸素化ヘモグロビンと、脱酸素化ヘモグロビンの吸光特性を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態の三次元計測システムを、機能ブロックで示した図である。
図8】本発明の第4実施形態の穿刺システムを、機能ブロックで示した図である。
図9】上記実施形態の穿刺システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の三次元計測システム1を、機能ブロックで示した図である。図2及び図3は、本実施形態の三次元計測システム1の構成及び測定原理を概念的に示す図であり、図2は、その構成を立体的に示す図であり、図3は、平面的に示す図である。
【0021】
本実施形態の三次元計測システム1は、投光部10と、撮像部50と、制御部100を備える。
【0022】
投光部10は、光源20と、投光光学系30と、走査部40を備える。
【0023】
光源20は、測定用光源21を備える。測定用光源21としては、血液が存在する血管領域とそれ以外の生体組織との間で異なる光学特性を有する特定波長の光を測定光として出射する光源が用いられる。このような特定波長の光を発光する光源として、例えば600nm~1500nmの範囲内の近赤外光を発光するレーザー光源が用いられる。
【0024】
投光光学系30は、光源20から出射したレーザー光を、ライン光に整形するための光学系である。投光光学系30は、ロッドレンズ31を備える。光源20から出射したレーザー光は、ロッドレンズ31を通過することによりライン光(ラインビーム、シートビーム)に整形される。なお、投光光学系30としてシリンドリカルレンズ等を用いてライン光に整形してもよい。
なお、測定用光源21として、ハロゲンランプ等の広帯域の光を出射する光源を用いる場合は、光学フィルタにより特定波長の光のみを通過させた上で、さらにスリットを通過させることにより、特定波長のライン光を形成してもよい。但し、測定光の直進性を考慮すれば、指向性の高いレーザー光源を用いることが好ましい。
【0025】
投光部10は、走査部40により走査位置を変化させながら測定光Lを投光する。具体的には、走査部40は、投光光学系30により整形されたライン光を、被検体としての生体に投光角度θを変化させながら投光する。
本実施形態の走査部40は、スキャニングミラー41を備えており、被検体に対して、測定光Lとしてのライン光を、ライン光のライン延在方向(Y方向)と垂直な方向(X方向)に一次元走査を行う。このスキャニングミラー41は、図3に示す投光角度θ、すなわち、後述する投光部10と撮像部50との間の距離である基線長BLの延びる方向と測定光Lの投光方向とのなす角である投光角度θを変化させる投光角度可変部としての機能を有する。このスキャニングミラー41としては、例えば1軸のMEMSミラーなどを用いることができる。
【0026】
このような構成により、投光部10は、投光角度θを変化させながら、連続的又は断続的に複数の位置で測定光Lを投光する。
【0027】
撮像部50は、CCDやCMOSイメージセンサ等のイメージセンサ60と、受光光学系70を備えている。イメージセンサ60としては、可視光から近赤外光までの広い波長帯域の光を受光可能なセンサを用いる。イメージセンサ60の撮像面には、X方向とY方向で規定される二次元平面内に画素が並んでいる。イメージセンサ60の撮像面の画素数は、測定対象部との距離と、必要とする測定精度に応じて決定されている。
【0028】
イメージセンサ60の撮像面には、光学フィルタを設けてもよい。測定光Lの波長領域の光のみを通過する光学フィルタを設けることにより、測定光Lの戻り光Rのみを感度良く受光することができる。例えば、イメージセンサ60の撮像面に、図4に示すような、撮像面の各画素に対応するような格子状のモザイクフィルタ62を設け、モザイクフィルタ62の一部を、測定光Lの波長領域の光のみを通過する光学フィルタによって構成してもよい。具体的には、赤色フィルタ(R)、緑色フィルタ(G)、青色フィルタ(B)からなる三原色フィルタと、測定光Lの波長領域の光のみを通過する帯域制限フィルタ、例えば、近赤外光を通過するNIRフィルタ(N)とによってフィルタ群を構成し、このフィルタ群を撮像面上に並べて配置してもよい。この場合、測定光Lの戻り光Rを解析するときには、測定光Lの波長領域の光のみを通過する帯域制限フィルタ(NIRフィルタ)が配置されている画素の情報のみを用いて解析を行うことが好ましい。
なお、このようなモザイクフィルタ62を用いれば、三原色フィルタを用いて通常画像(白色光画像)を取得することも可能であるため、後述の測定光Lの戻り光Rを解析結果(測定対象部の三次元位置)と、通常の画像を重ね合わせて表示することなども可能となる。
【0029】
投光部10により投光された測定光Lは、被検体の測定対象部で反射するなどして戻り光Rとなり、この戻り光Rは、受光光学系70を通過し、イメージセンサ60の撮像面に入射する。撮像部50は、異なる投光角度θで投光された測定光Lの戻り光Rを撮像し、複数の画像Pを取得する。
【0030】
次に、図3を用いて、本実施形態の三次元計測システム1が、測定対象部となる血管Vの三次元位置を測定する測定原理について説明する。三次元計測システム1は、三角測量の手法、より具体的には、能動的ステレオ法を用いて血管Vの三次元位置を計測する。
能動的ステレオ法によれば、三次元計測システム1から測定対象部までの距離Dは、投光部10と撮像部50との間の距離である基線長BLと、この基線長BLの延びる方向と測定光Lの投光方向とのなす角である投光角度θと、イメージセンサ60で撮像された画像Pにおける特徴的な輝度を有する画素の位置より定まる受光角度φにより求まる。
このイメージセンサ60で撮像された画像Pにおける特徴的な輝度を有する画素の位置は、投光部10から出射した測定光Lが特徴的な反射特性を示す測定対象部の位置V1に対応する。
三次元計測システム1から測定対象部の位置V1までの距離Dは、三角測量の原理により、下記の式(1)により求めることができる。
【0031】
D=BL・tanθ・tanφ/(tanθ+tanφ)…(1)
【0032】
本実施形態においては、X方向とY方向で規定される二次元平面内に画素が並んでいるイメージセンサ60を用い、かつ測定光LとしてY方向に延びるライン光を用いているため、このライン光を、走査部40によりライン光のライン延在方向(Y方向)と垂直な方向(X方向)に一次元走査を行うことにより、XY平面内における、測定対象部までのZ方向の距離Dを求めることができる。その結果、測定対象部の三次元形状を測定することも可能となる。すなわち、投光部10が、走査部40の走査により、投光角度θを変化させながら測定光Lを投光し、撮像部50が、異なる投光角度θにおける測定光Lの戻り光Rを撮像することにより複数の画像Pを取得し、これらの複数の画像Pを解析することにより、測定対象部の三次元形状を測定することも可能である。
例えば、投光部10は、被検体における測定光Lの投光位置が0.1mm程度の間隔となるように測定光Lの走査及び投光タイミングの制御を行い、撮像部50は、各投光位置における画像Pを取得する。
【0033】
ここで、本実施形態においては、特定波長の測定光Lとして、例えば600nm~1500nmの範囲内の近赤外光を用いている。このような波長の光は、皮膚などの被検体表面で全て反射することはなく、生体組織の内部に進入する。そして、このような光は、ヘモグロビンの吸光特性に応じて、血管領域においてある程度吸収される特性を有するものの、血管領域、すなわち血管壁と周囲組織の界面、血管壁と血液の界面、血液内のヘモグロビンなどにおいて反射する。一方、界面の存在しない生体組織の内部においては、光の散乱は発生するものの、正反射のような反射はほぼ発生しない。よって、血液が存在する血管領域は、それ以外の生体組織の内部と比べて、特徴的な反射特性を示す。
例えば、測定光Lとして血管壁の界面等で反射率が高くなるような波長の光を用いれば、測定光Lが測定対象部としての血管領域で反射し、イメージセンサ60で撮像された画像Pにおいて、この反射位置に対応する画素が、特徴的な輝度を有する画素(高輝度画素)となる。
【0034】
このように、画像Pにおける特徴的な輝度を有する画素の位置を把握することができれば、公知の方法により受光角度φを求めることができる。そして、この受光角度φと、投光角度θと、基線長BLの情報があれば、三角測量の原理より、三次元計測システム1から測定対象部としての血管領域までの距離Dを求めることがでる。その結果、測定対象部としての血管領域の三次元位置を決定することができる。
また、投光部10が、走査部40の走査により、投光角度θを変化させながら測定光Lとしてのライン光を投光し、X方向とY方向で規定される二次元平面内に画素が並んでいるイメージセンサ60が、異なる投光角度θにおける測定光Lの戻り光Rを撮像することにより複数の画像Pを取得し、複数の画像Pにおける特徴的な輝度を有する画素のXY平面内の位置を検出すれば、測定対象部としての血管領域の三次元形状を測定することも可能となる。
【0035】
図5に、制御部100の機能ブロック図を示す。
制御部100は、投光角度情報決定部110と、画像解析部120と、三次元位置決定部140と、出力画像生成部150と、出力部160と、記憶部190とを備える。
なお、制御部100は、上述のように複数の機能ブロックにより構成されているが、各ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、複数のブロックの機能を1つのCPUで実現できるように構成してもよい。また、制御部100は、制御対象機器の配置や配線を考慮するなどして、2つ以上に分かれていてもよい。
【0036】
投光角度情報決定部110は、基線長BLの延びる方向と測定光Lの投光方向とのなす角である投光角度θの情報を演算などにより決定する。この投光角度θの情報は、スキャニングミラー41を駆動するための駆動制御信号の情報に基づいて決定してもよい。また、スキャニングミラー41の角度を検知するセンサを設け、このセンサ情報に基づいて、投光角度θの情報を決定してもよい。
【0037】
画像解析部120は、イメージセンサ60で撮像された画像Pを処理及び解析し、被検体からの戻り光Rに基づく画像Pの中から、測定光Lが測定対象部で反射した反射位置などに対応する、特徴的な輝度を有する画素の位置を検出する。
さらに画像解析部120は、画像Pにおける特徴的な輝度を有する画素の位置と、スキャニングミラー41、受光光学系70、イメージセンサ60の配置関係等に基づき、受光角度φを求める。
【0038】
三次元位置決定部140は、基線長BLと、投光角度情報決定部110により決定された投光角度θの情報と、画像解析部120により解析された特徴的な輝度を示す画素の位置に基づく受光角度φとに基づいて、血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する。
ここで、本実施形態においては、基線長BLはシステムとして固定値となっており、その値は記憶部190に記憶されている。
【0039】
出力画像生成部150は、三次元位置決定部140によって決定された血液が存在する血管領域の三次元位置の情報に基づいて、血管領域の三次元位置を示す画像Qを生成する。
【0040】
出力部160は、出力画像生成部150により生成された血管領域の三次元位置を示す画像Qを、表示部等に出力する。
例えば、医療従事者が穿刺を行う場合などにおいて、表示部に血管領域の三次元位置を表示することにより、穿刺に必要な血管の三次元的な位置を把握できるようにすることが可能となる。
【0041】
なお、測定光Lとして、血液内のヘモグロビンによって特に吸収されやすい波長の光を用いてもよい。測定光Lとして血液内のヘモグロビンによって吸収されやすい波長の光を用いれば、測定光Lが測定対象部としての血管領域で吸収され、イメージセンサ60で撮像された画像Pにおいて、この吸収位置に対応する画素が、特徴的な輝度を有する画素、ここでは低輝度画素となる。
【0042】
なお、本実施形態においては、測定光Lとしてライン光を用いているが、ライン光に換えて、スポット光を用いても、測定対象部としての血管領域の三次元位置を決定することができる。また、スポット光を用いる場合は、被検体に対して、測定光Lとしてのスポット光を、X方向とY方向の二次走査を行うことで、測定対象部としての血管領域の三次元形状を決定することも可能である。この場合は、スキャニングミラーとしては、例えば2軸のMEMSミラーなどを用いることができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、基線長BLはシステムとして固定値となっていたが、基線長BLを可変させる不図示の基線長可変部を設けてもよい。すなわち基線長可変部により、投光部10と撮像部50の相対位置を変化させることが可能な構成を採用してもよい。この場合、制御部100は、基線長可変部により変化する基線長BLの情報を決定する基線長情報決定部をさらに備える。三次元位置決定部140は、基線長情報決定部により決定された基線長BLの情報に基づいて、血液が存在する血管の三次元位置を決定する。
基線長情報決定部は、基線長BLの情報を、投光部10と撮像部50の相対位置を変化させるアクチュエータ等を駆動するための駆動制御信号の情報に基づいて決定してもよい。また、投光部10と撮像部50の相対位置を検知するためのセンサを設け、このセンサ情報に基づいて、基線長BLの情報を決定してもよい。
これにより、投光部10と撮像部50の相対位置を、測定しやすい所望の相対位置に調整した上で、測定対象部としての血管領域の三次元位置を計測することが可能となる。また、走査部40が、基線長BLが変化するような走査を行う態様であったとしても、測定対象部の三次元位置を計測することが可能となる。
【0044】
なお、測定対象としての血管領域の三次元位置をより詳細に決定するために、測定光Lが生体組織に進入する際における、皮膚表面での屈折も考慮した上で、測定対象部の三次元位置を算出してもよい。
【0045】
本実施形態の三次元計測システム1によれば、以下の効果を奏する。
【0046】
(1)本実施形態に係る三次元計測システム1は、血液が存在する血管領域を含む被検体に測定光Lを投光する投光部10と、被検体に投光された測定光Lの戻り光Rを撮像する撮像部50と、制御部100と、を備え、投光部10は、測定光Lを走査する走査部40を有し、測定光Lは、血液が存在する血管領域とそれ以外の生体組織との間で異なる光学特性を有する特定波長の光であり、制御部100は、三次元位置決定部140を有し、三次元位置決定部140は、投光部10と撮像部50との間の距離である基線長BLと、基線長BLの延びる方向と測定光Lの投光方向とのなす角である投光角度θと、撮像部50により撮像された測定光Lの戻り光Rの情報と、に基づいて、血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する。
これにより、穿刺を行う場合などにおいて、血管領域の三次元的な位置を把握することが可能となる。
【0047】
(2)本実施形態に係る三次元計測システム1の測定光Lはライン光であり、走査部40は、ライン光を、ライン光のライン延在方向(Y方向)と垂直な方向(X方向)に一次元走査を行う。
これにより、血管領域の三次元形状を簡便に計測できるようになる。
【0048】
(3)本実施形態に係る三次元計測システム1の走査部40は、投光角度θを変化させる投光角度可変部である。
これにより、被検体に対して簡便に測定光Lを走査できるようになる。
【0049】
(4)本実施形態に係る三次元計測システム1の制御部100は、投光角度θの情報を決定する投光角度情報決定部110を有し、三次元位置決定部140は、投光角度情報決定部110により決定された投光角度θの情報に基づいて、血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する。
これにより、実際の投光角度θの情報に基づいて、血液が存在する血管領域の正確な三次元位置を決定することができる。
【0050】
(5)本実施形態に係る三次元計測システム1は、基線長BLを変化させる基線長可変部を備え、制御部100は、基線長可変部により変化する基線長BLの情報を決定する基線長情報決定部を有し、三次元位置決定部140は、基線長情報決定部により決定された基線長BLの情報に基づいて、血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する。
これにより、投光部10と撮像部50の相対位置を、測定しやすい所望の相対位置に調整した上で、測定対象部としての血管領域の三次元位置を計測することが可能となる。また、走査部40が、基線長BLが変化するような走査を行う態様であったとしても、測定対象部の三次元位置を計測することが可能となる。
【0051】
(6)本実施形態に係る三次元計測システム1の投光部10は、走査部40の走査により、投光角度θを変化させながら測定光Lを投光し、三次元位置決定部140は、撮像部50により撮像された異なる投光角度における測定光Lの戻り光Rの情報に基づいて、血液が存在する血管領域の三次元形状を決定する。
これにより、血液が存在する血管領域の三次元形状の情報も取得することができる。
【0052】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0053】
本実施形態の三次元計測システム1は、血液が存在する血管領域の三次元位置を決定し、その位置が、静脈であるか動脈であるかを分別する。
本実施形態の三次元計測システム1は、投光部10の光源20が、測定用光源21として、第1測定用光源21A、第2測定用光源21B、及び第3測定用光源21Cを備える。これらの光源は、レーザー光源であることが好ましい。第1測定用光源21Aが発光する第1測定光L1と、第2測定用光源21Bが発光する第2測定光L2と、第3測定用光源21Cが発光する第3測定光L3は、それぞれ波長が異なる。
【0054】
ここで、静脈には脱酸素化ヘモグロビンが多く存在し、動脈には酸素化ヘモグロビンが多く存在する。そこで、静脈と動脈とを分別する上で、ヘモグロビンの吸光特性に着目する。
図6は、酸素化ヘモグロビン(HbO2)と、脱酸素化ヘモグロビン(Hb)の吸光特性を示す図である。
近赤外光領域における酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの吸光度は、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの同吸収点波長である805nmの光において等しく、805nmよりも長波長領域においては、酸素化ヘモグロビンの吸光度が脱酸素化ヘモグロビンの吸光度を上回り、805nmよりも短波長領域においては、脱酸素化ヘモグロビンの吸光度が酸素化ヘモグロビンの吸光度を上回る。
【0055】
そこで、本実施形態においては、第1測定光L1として、805nmよりも長波長領域(例えば、830~1300nm)に波長分布のピークを有する波長λ1の光を用い、第2測定光L2として、805nmよりも短波長領域(例えば、600~780nm)に波長分布のピークを有する波長λ2の光を用い、第3測定光L3として、805nm近傍(例えば、790nm~820nm)に波長分布のピークを有する波長λ3の光を用いる。
【0056】
このような波長を用いる場合、酸素化ヘモグロビンにおける第1測定光L1の吸収率は、脱酸素化ヘモグロビンにおける第1測定光L1の吸収率よりも高い。また、酸素化ヘモグロビンにおける第2測定光L2の吸収率は、脱酸素化ヘモグロビンにおける第2測定光L2の吸収率よりも低い。そして、酸素化ヘモグロビンにおける第3測定光L3の吸収率と、脱酸素化ヘモグロビンにおける第3測定光L3の吸収率は略等しい。
【0057】
これらの第1測定用光源21Aからの第1測定光L1と、第2測定用光源21Bからの第2測定光L2と、第3測定用光源21Cからの第3測定光L3は、図2のロッドレンズ31に入射する前に、同軸の光とすることが好ましい。異なる光源から出射する複数の波長の光の光軸を同軸の光とする手法としては、ダイクロイックミラーを用いる手法や、跳ね上げミラーを用いる手法など、公知の手法を採用することができる。
測定光L1、L2、L3を同軸の光とすることにより、撮像部50は、同じ位置から照射された測定光L1、L2、L3の戻り光R1、R2、R3を撮像し、測定光L1、L2、L3に対応する複数の画像P1、P2、P3を取得することができる。この場合、複数の画像P1、P2、P3間の位置ずれが発生しにくい。
【0058】
制御部100は、光源20の発光タイミングを制御する。ここで、測定光L1、L2、L3は、時分割で順番にパルス状に発光させる構成を採用することが好ましい。
これにより、撮像部50によって撮像される、測定光L1、L2、L3の戻り光R1、R2、R3に基づく複数の画像P1、P2、P3はそれぞれ、他の測定光の影響を受けることがなくなる。よって、画像解析部120は、外乱の少ない画像P1、P2、P3に基づいて解析を行うことができる。
【0059】
なお、異なる波長の光源を同時に発光させる手法を採用することもできる。この場合は、撮像部50に光学フィルタを設け、この光学フィルタにより、撮像部50に入射する戻り光を、測定光L1、L2、L3に対応する波長λ1、λ2、λ3の光に分離する。撮像部50は、光学フィルタによって波長が分離された戻り光R1、R2、R3を受光し、複数の画像P1、P2、P3を取得する。このような光学フィルタとしては、λ1を透過するフィルタ部、λ2を透過するフィルタ部、λ3を透過するフィルタ部を備えるモザイクフィルタを用いてもよい。
【0060】
次に、静脈と動脈とを分別する処理について説明する。
画像解析部120は、撮像部50が撮像した画像P1、P2における、測定対象部の位置V1に対応する画素について、測定光L1に基づく画像P1の輝度値I1と、測定光L2に基づく画像P2の輝度値I2を比較する。測定対象部が酸素化ヘモグロビンを多く含む動脈であれば、測定光L1の光は、測定光L2の光よりも吸収されやすいため、画像P1の輝度値I2は、画像P2の輝度値I2よりも低くなる。
一方、測定対象部が脱酸素化ヘモグロビンを多く含む静脈であれば、測定光L1の光は、測定光L2の光よりも吸収されにくいため、画像P1の輝度値I1は、画像P2の輝度値I2よりも高くなる。
なお、画像間の輝度値の比較は、差分や比をとることにより行ってもよい。
このように、画像解析部120は、撮像部50により撮像された第1測定光L1の戻り光R1の情報と、第2測定光L2の戻り光R2の情報に基づいて、すなわち、上述のような画像間の比較を行うことで、静脈と動脈とを分別することができる。
なお、画像間の比較の結果、実質的な差が認められない場合は、周囲の画素の判断結果に基づいて、周囲の画素の判断結果と同じ結果であるとして判断してもよい。
なお、上述のように画像P1、P2間の比較により静脈と動脈を分別する場合は、第3測定光L3を発光する第3測定用光源21Cは設けなくてもよい。
【0061】
例えば、画像解析部120は、撮像部50が撮像した画像P1、P3における、測定対象部の位置V1に対応する画素について、測定光L1に基づく画像P1の輝度値I1と、測定光L3に基づく画像P3の輝度値I3を比較してもよい。測定対象部が酸素化ヘモグロビンを多く含む動脈であれば、測定光L1の光は、測定光L3の光よりも吸収されやすいため、画像P1の輝度値I1は、画像P3の輝度値I3よりも低くなる。
一方、測定対象部が脱酸素化ヘモグロビンを多く含む静脈であれば、画像P1の輝度値I1は、画像P3の輝度値I3と同等以上となる。例えば、第1測定光L1として、波長830~900nmの光、或いは950nm以上の光を用いる場合は、測定光L1の光は、測定光L3の光よりも吸収されにくいため、画像P1の輝度値I1は、画像P3の輝度値I3よりも高くなる。
なお、画像間の輝度値の比較は、差分や比をとることにより行ってもよい。
このように、画像解析部120は、撮像部50により撮像された第1測定光L1の戻り光R1の情報と、第3測定光L3の戻り光R3の情報に基づいて、すなわち、上述のような画像間の比較を行うことで、静脈と動脈とを分別することができる。
なお、画像間の比較の結果、実質的な差が認められない場合は、周囲の画素の判断結果に基づいて、周囲の画素の判断結果と同じ結果であるとして判断してもよい。
なお、上述のように画像P1、P3間の比較により静脈と動脈を分別する場合は、第2測定光L2を発光する第2測定用光源21Bは設けなくてもよい。
【0062】
例えば、画像解析部120は、撮像部50が撮像した画像P2、P3における、測定対象部の位置V1に対応する画素について、測定光L2に基づく画像P2の輝度値I2と、測定光L3に基づく画像P3の輝度値I3を比較してもよい。測定対象部が酸素化ヘモグロビンを多く含む動脈であれば、測定光L2の光は、測定光L3の光よりも吸収されにくいため、画像P2の輝度値I2は、画像P3の輝度値I3よりも高くなる。
一方、測定対象部が脱酸素化ヘモグロビンを多く含む静脈であれば、測定光L2の光は、測定光L3の光よりも吸収されやすいため、画像P2の輝度値I2は、画像P3の輝度値I3よりも低くなる。
なお、画像間の輝度値の比較は、差分や比をとることにより行ってもよい。
このように、画像解析部120は、撮像部50により撮像された第2測定光L2の戻り光R2の情報と、第3測定光L3の戻り光R3の情報に基づいて、すなわち、上述のような画像間の比較を行うことで、静脈と動脈とを分別することができる。
なお、画像間の比較の結果、実質的な差が認められない場合は、周囲の画素の判断結果に基づいて、周囲の画素の判断結果と同じ結果であるとして判断してもよい。
なお、上述のように画像P2、P3間の比較により静脈と動脈を分別する場合は、第1測定光L1を発光する第1測定用光源21Aは設けなくてもよい。
【0063】
例えば、画像解析部120は、撮像部50が撮像した画像P1、P2、P3における、測定対象部の位置V1に対応する画素について、測定光L1に基づく画像P1の輝度値I1と、測定光L2に基づく画像P2の輝度値I2と、測定光L3に基づく画像P3の輝度値I3を用いて分析してもよい。
例えば、I1/I3>I2/I3の条件を満たせば、この部分は、静脈であると判断する。また、I1/I3<I2/I3の条件を満たせば、この部分は動脈であると判断する。なお、I1/I3=I2/I3の場合や、I1/I3≒I2/I3の場合は、周囲の画素の判断結果に基づいて、周囲の画素の判断結果と同じ結果であるとして判断してもよい。
このように、画像解析部120は、撮像部50により撮像された第1測定光L1の戻り光R1の情報と、第2測定光L2の戻り光R2の情報と、第3測定光L3の戻り光R3の情報に基づいて、すなわち、上述のような画像P1、P2、P3の輝度値I1、I2、I3の分析を行うことで、静脈と動脈とを分別することができる。
なお、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの同吸収点波長の第3測定光L3を基準測定光として用いることにより、外乱にも強い分別判定を行うことができる。
【0064】
このように、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンに対する吸光特性が異なる複数の波長の測定光を用いることで、画像解析部120は、撮像部50により撮像された波長の異なる複数の測定光の戻り光の情報に基づいて、静脈と動脈とを分別することができる。そして、出力部160は、三次元位置決定部140により決定された血液が存在する血管領域の三次元位置を、静脈であるか動脈であるかを分別して出力することが可能となる。
【0065】
具体的には、出力画像生成部150は、静脈であるか動脈であるかが分別された血管領域の三次元位置の情報に基づいて、血管領域の三次元位置を示す画像Qを生成する。
例えば、三次元位置決定部140が、血管の三次元形状も決定する場合は、静脈であるか動脈であるかを分別できるように、それぞれの色調を異ならせて、血管の三次元形状を示す画像Qを生成する。また、血管領域のうち、静脈のみの三次元形状を示す画像Q、動脈のみの三次元形状を示す画像Qを生成してもよい。
【0066】
出力部160は、出力画像生成部150により生成された血管領域の三次元位置を示す画像Qを、表示部等に出力する。
例えば、システムに指示信号受付部を設け、指示信号受付部が、静脈の表示を指示する指示信号を受け付けた場合は、出力部160が、血管領域のうち、静脈のみの三次元形状を示す画像Qを出力し、表示部に静脈の三次元形状を示す画像Qを表示してもよい。また、指示信号受付部が、動脈の表示を指示する指示信号を受け付けた場合は、出力部160が、血管領域のうち、動脈のみの三次元形状を示す画像Qを出力し、表示部に動脈の三次元形状を示す画像Qを表示してもよい。また、指示信号受付部が、静脈及び動脈の表示を指示する指示信号を受け付けた場合は、出力部160が、静脈及び動脈の三次元形状を示す画像Qを出力し、表示部に静脈及び動脈の三次元形状を示す画像Qを、静脈と動脈を分別できるような態様で表示してもよい。
指示信号受付部は、入力部へのオペレータからの入力に基づく指示信号を受け付ける態様とすることもできる。
【0067】
このように、静脈と動脈の三次元位置を選択的に表示できるように構成することで、例えば、医療従事者が穿刺を行う場合などにおいては、表示部に静脈又は動脈の三次元位置を表示することにより、穿刺に必要な静脈又は動脈の三次元的な位置を適切に把握できるようにすることが可能となる。
【0068】
なお、本実施形態の投光部10は、異なる波長の光を発光する複数のレーザー光源を備えているが、これに換えて、ハロゲンランプ等の広帯域の光を出射する光源を用いてもよい。この場合は、異なる波長λ1、λ2、λ3の光を通過させる複数の光学フィルタを、投光光路中に、時分割で順番に挿入してもよい。但し、測定光の直進性を考慮すれば、指向性の高いレーザー光源を用いることが好ましい。
【0069】
なお、本実施形態の撮像部50は、1つのイメージセンサ60を用いて、測定光L1、L2、L3に対応する複数の画像P1、P2、P3を取得しているが、異なる波長λ1、λ2、λ3の光を受光するのに適した複数のイメージセンサを用いてもよい。
【0070】
本実施形態の三次元計測システム1によれば、(1)~(6)に加えて、以下の効果を奏する。
【0071】
(7)本実施形態に係る三次元計測システム1は、測定光が、波長の異なる複数の測定光L1、L2、L3を有し、複数の測定光L1、L2、L3は、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンに対する吸光特性が異なり、制御部100は、画像解析部120と、出力部160を有し、画像解析部120は、撮像部50により撮像された波長の異なる複数の測定光L1、L2、L3の戻り光R1、R2、R3の情報に基づいて、静脈と動脈とを分別し、出力部160は、三次元位置決定部140により決定された血液が存在する血管領域の三次元位置を、静脈であるか動脈であるかを分別して出力可能である。
このように、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンに対する吸光特性が異なる複数の波長の測定光を用いることで、血液が存在する血管領域の三次元位置を、静脈であるか動脈であるかを分別して出力することが可能となる。
【0072】
(8)本実施形態に係る三次元計測システム1は、測定光が、第1測定光L1と、第1測定光L1とは波長の異なる第2測定光L2を有し、酸素化ヘモグロビンにおける第1測定光L1の吸収率は、脱酸素化ヘモグロビンにおける第1測定光L1の吸収率よりも高く、酸素化ヘモグロビンにおける第2測定光L2の吸収率は、脱酸素化ヘモグロビンにおける第2測定光L2の吸収率よりも低く、画像解析部120は、撮像部50により撮像された第1測定光L1の戻り光R1の情報と、第2測定光L2の戻り光R2の情報に基づいて、静脈と動脈とを分別する。
このような、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンに対する吸光特性が異なる複数の波長の測定光を用いることで、血液が存在する血管領域の三次元位置を、静脈であるか動脈であるかを分別して出力することが可能となる。
【0073】
(9)本実施形態に係る三次元計測システム1は、測定光が、第1測定光L1及び第2測定光L2とは波長の異なる第3測定光L3を有し、酸素化ヘモグロビンにおける第3測定光L3の吸収率と、脱酸素化ヘモグロビンにおける第3測定光L3の吸収率は略等しく、画像解析部120は、撮像部50により撮像された第1測定光L1の戻り光R1の情報と、第2測定光L2の戻り光R2の情報と、第3測定光L3の戻り光R3の情報とに基づいて、静脈と動脈とを分別する、
このような、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンに対する吸光特性が異なる複数の波長の測定光を用いることで、血液が存在する血管領域の三次元位置を、静脈であるか動脈であるかを分別して出力することが可能となる。
また、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの同吸収点波長の第3測定光L3を基準測定光として用いることにより、外乱にも強い分別判定を行うことができる。
【0074】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0075】
図7は、本実施形態に係る三次元計測システム1を、機能ブロックで示した図である。
本実施形態の三次元計測システム1は、投光部10の光源20が、測定用光源21に加えて、モニタ光用光源22を備える。
モニタ光用光源22は、測定光とは波長の異なる光であるモニタ光LMを被検体に投光する光源である。モニタ光LMは、少なくとも被検体表面、すなわち皮膚表面で大半が反射する波長帯域を含む光であり、このような光を発光する光源として、例えば青色~緑色領域の波長の光を発光するレーザー光源を用いることができる。また、白色光を照射する光源を用いてもよい。
【0076】
測定用光源21からの測定光Lと、モニタ光用光源22からのモニタ光LMは、ロッドレンズ31に入射する前に、同軸の光とすることが好ましい。異なる光源から出射する複数の波長の光の光軸を同軸の光とする手法については、ダイクロイックミラーを用いる手法や、跳ね上げミラーを用いる手法など、公知の方法を採用することができる。
測定光Lとモニタ光LMを同軸の光とすることにより、撮像部50は、同じ位置から照射された測定光Lの戻り光Rとモニタ光LMの戻り光RMを撮像し、測定光L、モニタ光LMに対応する複数の画像P、PMを取得することができる。この場合、複数の画像P、PM間の位置ずれが発生しにくい。
【0077】
制御部100は、光源20の発光タイミングを制御する。ここで、測定用光源21からの測定光Lと、モニタ光用光源22からのモニタ光LMは、時分割で交互にパルス状に発光させる構成を採用することが好ましい。
これにより、撮像部50によって撮像される、測定光Lの戻り光Rに基づく画像Pと、モニタ光LMの戻り光RMに基づく画像PMはそれぞれ、お互いの光の影響を受けることがなくなる。よって、画像解析部120は、外乱の少ない画像P、PMに基づいて解析を行うことができる。
【0078】
なお、異なる波長の光源を同時に発光させる手法を採用することもできる。この場合は、撮像部50に光学フィルタを設け、この光学フィルタにより、撮像部50に入射する戻り光を、測定光Lに対応する波長λと、モニタ光LMに対応する波長λMの光に分離する。撮像部50は、光学フィルタによって波長が分離された戻り光R、RMを受光し、複数の画像P、PMを取得する。このような光学フィルタとしては、波長λを透過するフィルタ部、波長λMを透過するフィルタ部を備えるモザイクフィルタを用いてもよい。
【0079】
画像解析部120は、測定光Lに加えて、モニタ光LMが測定対象部で反射した反射位置などに対応する、特徴的な輝度を有する画素の位置を検出する。
さらに画像解析部120は、画像P、PMにおける特徴的な輝度を有する画素の位置と、スキャニングミラー41と受光光学系70の配置関係等に基づき、受光角度φを求める。
【0080】
三次元位置決定部140は、基線長BLと、投光角度情報決定部110により決定された投光角度θの情報と、画像解析部120により解析された特徴的な輝度を示す画素の位置に基づく受光角度φとに基づいて、血液が存在する血管領域の三次元位置に加えて、皮膚表面の三次元位置を決定する。
【0081】
出力画像生成部150は、三次元位置決定部140によって決定された血液が存在する血管領域の三次元位置の情報と、皮膚表面の三次元位置の情報に基づいて、皮膚表面の三次元位置と、血管領域の三次元位置の位置関係を示す画像Qを生成する。
【0082】
出力部160は、出力画像生成部150により生成された、皮膚表面の三次元位置と、血管領域の三次元位置の位置関係を示す画像Qを、表示部等に出力する。
例えば、医療従事者が穿刺を行う場合などにおいて、表示部に皮膚表面の三次元位置と、血管領域の三次元位置の位置関係を示す画像Qを表示することにより、穿刺に必要な血管の三次元的な位置を把握できるようにすることが可能となる。
【0083】
また、投光部10が、走査部40の走査により、投光角度θを変化させながらモニタ光LMをライン光の態様で投光し、イメージセンサ60が、異なる投光角度θにおけるモニタ光LMの戻り光RMを撮像することにより複数の画像PMを取得し、複数の画像PMにおける特徴的な輝度を有する画素の位置を検出すれば、皮膚表面の三次元形状を測定することも可能となる。
【0084】
この場合は、出力画像生成部150は、三次元位置決定部140によって決定された血液が存在する血管領域の三次元形状の情報と、皮膚表面の三次元形状の情報に基づいて、皮膚表面の三次元形状と、血管領域の三次元形状の相対的な形状及び位置関係を示すQを生成する。例えば、皮膚表面の三次元形状に対する、血管領域の三次元位置及び三次元形状を示す重畳画像を生成する。
【0085】
出力部160は、血液が存在する血管領域の三次元形状の情報と、皮膚表面の三次元形状の情報を関連付けた状態で出力可能である。具体的には、出力画像生成部150により生成された、皮膚表面の三次元形状に対する、血管領域の三次元位置及び三次元形状を示す画像Qを表示部等に出力する。
例えば、医療従事者が穿刺を行う場合などにおいて、表示部に、皮膚表面の三次元形状に対する、血管領域の三次元位置及び三次元形状を示す画像Qを表示することにより、より正確に、穿刺に必要な血管の三次元的な位置を把握できるようにすることが可能となる。
【0086】
なお、第2実施形態に示すような、静脈と動脈とを分別する態様において、本実施形態の構成を適用してもよい。この場合は、皮膚表面の三次元形状に対して、静脈及び動脈を分別して、その三次元位置及び三次元形状を示す画像Qを表示することもできる。
【0087】
なお、図4に示すようなモザイクフィルタ62を有する1つのイメージセンサ60を用いて、測定光L、モニタ光LMに対応する画像P、PMを取得することが可能であるが、測定光L、モニタ光LMに対応した複数のイメージセンサを用いてもよい。
【0088】
本実施形態の三次元計測システム1によれば、(1)~(9)に加えて、以下の効果を奏する。
【0089】
(10)本実施形態に係る三次元計測システム1の投光部10は、測定光Lに加えて、少なくとも皮膚表面で反射する波長帯域を含む光であって、測定光Lとは波長の異なるモニタ光LMを被検体に投光可能であり、投光部10は、走査部40の走査により、投光角度θを変化させながら測定光L及びモニタ光LMを投光し、三次元位置決定部140は、撮像部50により撮像された異なる投光角度θにおける測定光L及びモニタ光LMの戻り光R、RMの情報に基づいて、血液が存在する血管領域の三次元形状及び前記皮膚表面の三次元形状を決定し、制御部100は、出力部160を有し、出力部160は、血液が存在する血管領域の三次元形状の情報と、皮膚表面の三次元形状の情報を関連付けた状態で出力可能である。
これにより、医療従事者が穿刺を行う場合などにおいて、表示部に、皮膚表面の三次元形状に対する、血管領域の三次元位置及び三次元形状を示す画像Qを表示することなどが可能となり、より正確に、穿刺に必要な血管の三次元的な位置を把握できるようにすることが可能となる。
【0090】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態においては、第1~第3実施形態の三次元計測システム1を用いた、穿刺システム200の構成を説明する。
なお、以下の説明において、第1~第3実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0091】
図8は、本実施形態に係る穿刺システム200を、機能ブロックで示した図である。
本実施形態の穿刺システム200は、三次元計測システム1と、穿刺制御部210と、穿刺部220を備える。
【0092】
穿刺制御部210は、三次元計測システム1により決定された血液が存在する血管領域の三次元位置に基づいて、穿刺部220を制御する。
【0093】
穿刺部220は、被検体の血管に穿刺するための針と、針を保持するロボットとを備える。このロボットは、所望の位置に針を穿刺できるようにするために、軸数が6軸以上の自由度を持つロボットであることが好ましい。
【0094】
本実施形態の撮像部50は、針への血液の流入状況も撮像できるような位置に設けられている。例えば、針を有する注射器のシリンダ内への血液の流入状況を撮像できるような位置に設けられている。
【0095】
画像解析部120は、撮像部50が撮像した画像Pに基づき、針への血液の流入を判定する。具体的には、注射器のシリンダを撮像している所定の撮像領域を検出領域として設定し、検出領域のうち、第1の所定数以上の画素が赤色近傍の色調になったと判定されたときに、穿刺が行えたと判定する。
【0096】
穿刺制御部210は、画像解析部120の判定結果に基づき、穿刺部220のロボットを制御する。例えば、所定時間穿刺が行えていないと判定された場合は、被検体から一度針を抜き、再度穿刺を行うための制御を行う。なお、所定時間穿刺が行えていないと判定された場合は、報知を行ってもよい。また、複数回に亘って穿刺が行えていないと判定された場合に、報知を行ってもよい。
【0097】
画像解析部120は、検出領域のうち、第1の所定数よりも多い第2の所定数以上の画素が赤色近傍の色調になったと判定されたときに、注射器のシリンダ内に十分な血液が流入したと判定する。この場合、穿刺制御部210は、穿刺が終了したとして、被検体から針を抜くようにロボットを制御する。
【0098】
なお、心拍動音をモニタするマイクロホンを設け、針への血液の流入を、マイクロホンにより検出してもよい。この場合、穿刺制御部210は、マイクロホンによる心拍動音の検出結果に基づき、穿刺部220のロボットを制御する。
【0099】
次に、本実施形態の穿刺システム200の動作を、図9のフローチャートを用いて説明する。
ステップS1において、三次元位置決定部140は、血液が存在する血管領域の三次元位置を決定する。
【0100】
ステップS2において、出力部160は、三次元位置決定部140により決定された血管領域の三次元位置を示す情報を、穿刺制御部210に出力する。
【0101】
ステップS3において、穿刺制御部210は、三次元位置決定部140により決定された血管領域の三次元位置に基づいて、穿刺部220を制御し、被検体に針を穿刺する。
【0102】
ステップS4において、画像解析部120は、撮像部50が撮像した画像Pに基づき、針への血液の流入を判定し、穿刺が行えたか否かを判定する。
【0103】
画像解析部120の解析結果に基づき、所定時間穿刺が行えていないと判定された場合は(ステップS4 NO)、ステップS5において、穿刺制御部210は、被検体から一度針を抜き、再度ステップS1に戻り、穿刺を行うための制御を再度実行する。
【0104】
画像解析部120の解析結果に基づき、穿刺が行えたと判定された場合は(ステップS4 YES)、ステップS6において、穿刺制御部210は、針の位置を維持するように穿刺部220のロボットを制御する。
【0105】
ステップS7において、画像解析部120は、撮像部50が撮像した画像Pに基づき、穿刺が終了したか否かを判定する。
【0106】
画像解析部120の解析結果に基づき、穿刺が終了していないと判定された場合は(ステップS7 NO)、ステップS6に戻り、穿刺制御部210は、針の位置を維持するように穿刺部220のロボットを制御する。
【0107】
画像解析部120の解析結果に基づき、穿刺が終了したと判定された場合は(ステップS7 YES)、ステップS8において、穿刺制御部210は、被検体から針を抜くように穿刺部220のロボットを制御する。
【0108】
このような構成により、穿刺の自動化を実現することができる。また、精度よく穿刺を行うことができる。そして、このような穿刺システム200であれば、穿刺の手技において人を介在させる必要がなくなる。また、穿刺システム200のうち、少なくとも人と接触する可能性のある部分については、全体を殺菌可能に構成することも容易である。
【0109】
なお、このような穿刺の自動化を実現する穿刺システム200においては、制御部100は、出力画像生成部150を備えていなくてもよい。
【0110】
本実施形態の三次元計測システム1によれば、(1)~(10)に加えて、以下の効果を奏する。
【0111】
(11)本実施形態に係る穿刺システム200は、三次元計測システム1と、穿刺制御部210と、穿刺部220とを備え、穿刺制御部210は、三次元計測システム1により決定された血液が存在する血管の三次元位置の情報に基づいて、穿刺部220を制御する。
このような構成により、穿刺の自動化を実現することができる。また、精度よく穿刺を行うことができる。
【0112】
(12)本実施形態に係る穿刺システム200は、撮像部50が、穿刺部220の針への血液の流入状況を撮像可能に設けられ、制御部100は、画像解析部120を有し、画像解析部120は、撮像部50が撮像した画像Pに基づき、針への血液の流入を判定し、穿刺制御部210は、画像解析部120の判定結果に基づき、穿刺部220を制御する。
このような構成により、針への血液の流入を自動で判定し、その判定結果に基づいて穿刺部220を制御することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 三次元計測システム
10 投光部
20 光源
21 測定用光源
22 モニタ光用光源
30 投光光学系
40 走査部
41 スキャニングミラー
50 撮像部
60 イメージセンサ
62 モザイクフィルタ
70 受光光学系
100 制御部
110 投光角度情報決定部
120 画像解析部
140 三次元位置決定部
150 出力画像生成部
160 出力部
200 穿刺システム
210 穿刺制御部
220 穿刺部
L 測定光
L1 第1測定光
L2 第2測定光
L3 第3測定光
R 戻り光
LM モニタ光
BL 基線長
θ 投光角度
φ 受光角度
D 距離
V 血管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9